全国書店新聞
             

平成26年1月15日号

軽減税率署名運動に協力を

日書連は、消費税増税の際に出版物への軽減税率適用を求める「50万人署名」運動を展開しています。昨年4月初旬に各書店に直送した署名用紙で、運動へのご協力をお願いします。署名は日書連事務局まで、専用の封筒(切手貼付不要)にてご送付ください。

出版業界変化の時代へ/出版5団体で新年名刺交換会

2014年出版関係新年名刺交換会が1月7日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開かれ、出版社、取次、書店など業界関係者約500名が出席。出版5団体の代表が壇上に勢揃いし、日本出版クラブの野間省伸会長(講談社)が「今年は出版業界に様々な変化が訪れる。新しい時代を皆さんと一緒に作っていきたい」とあいさつ。赤ワインで乾杯して新年の門出を祝った。
乾杯を前に日本出版クラブの野間省伸会長(講談社)、日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館)、日本雑誌協会の石﨑孟理事長(マガジンハウス)、日本出版取次協会の古屋文明会長(日本出版販売)、日本書店商業組合連合会の舩坂良雄会長(大盛堂書店)の各氏が登壇し、代表して野間会長があいさつ。
野間会長は「14年は出版者の権利が法制化に向かうと期待している。デジタル時代に相応しい有り方が法制化される。様々な変化が出版業界に訪れるのではないか。昨年の出版販売金額は1兆7千億円と厳しい市場環境が続いているが、ここで大きく変えて、新しい時代を皆さんと一緒に作っていきたい」と述べ、乾杯の音頭をとった。
出版5団体代表のあいさつは出版クラブ会報「出版クラブだより」に掲載され、当日配布された。このうち日書連・舩坂会長のあいさつ全文は次の通り。
〔「書店再生」で出版界を元気に/舩坂日書連会長〕
新年明けましておめでとうございます。
東日本大震災から3年がたとうとしています。震災により失われた多くの人々に哀悼の意を表し、いまだ苦難を抱えて生活している多くの方々にお見舞いを申し上げます。
安倍政権が発足して約1年。デフレ脱却を目指した経済政策「アベノミクス」の影響で消費や生産の経済指標、消費者の暮らしには改善の兆候が見られますが、その効果はまだ出版業界に波及しておりません。
私は昨年6月20日の第25回通常総会で日本書店商業組合連合会の第9代会長の重責を拝命いたしました。「厳しい状況の中で努力している書店にどう報いていくかが今後の課題」と申し上げましたが、書店の減少を食い止め、書店再生の取り組みを着実に前進させていくことが私の使命であると考えております。
書店を取り巻く環境は大変厳しく、弊連合会傘下組合加入書店数は平成25年4月1日現在、4459書店と、前年に比べて260店減少しました。我々は長年にわたり組合加入促進を事業活動の重要な柱の1つに据えて取り組んでまいりましたが、組合加入書店数は昭和61年の1万2953書店をピークに26年連続減少となり、組織規模はピーク時の3分の1まで縮小するという極めて深刻な事態を迎えております。
最も重要な課題は書店再生です。書店に利益が出る収益構造を構築しなければ書店の減少に歯止めをかけることはできません。責任仕入と責任販売で2%の収益改善を実現することを骨子とする「書店再生のための5項目の提案」は、一昨年から最も力を入れて取り組んできたことです。
5項目の提案はいずれも重要な案件ですが、まず「ロングセラー・実用書増売」に着手いたしました。これまで欲しくても配本されなかった商品を確保し、店頭の活性化を図る。増売の実績を作ることで、出来れば出版社から報奨金を頂きたいというのが趣旨です。これまで「食と健康」をテーマに2回実施しましたが、出版社や書店の皆さんから好評の声を多数いただくことができました。
日書連が「販売集団」として力をつけることは、出版業界全体のメリットになると考えています。今後も日書連として、あらゆる提案、販売、増売を考えてまいります。出版社、取次の皆さんも、雑誌の付録綴じを書店業務からなくすこと、万引きロスの書店負担を軽減することにご協力をお願いしたいと思います。
今年4月に消費税が8%に引き上げられます。平成9年の3%から5%への税率変更以来、出版販売額は右肩下がりが続いており、今回の増税で我々の業界はさらに追い打ちをかけられるのではないかと危機感を持っています。昨年は出版社、取次などからもご協力をいただき出版物への軽減税率導入を求める50万人署名運動、および各党議員への請願活動に全力で取り組みました。すべての国民が等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できるよう、出版物に軽減税率を導入して5%に据え置いてほしいというのが我々の主張するところです。
本年におきましても、出版業界の英知を結集し、一歩一歩諸問題解決に向けて努力を傾注し、将来あるべき書店像を追い求めていきたいと思っております。日書連の諸活動にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

トーハン4・6%減、日販6・5%減/年末年始店頭売上

年末年始(13年12月29日~14年1月3日)の書店店頭売上動向をトーハン、日販が発表した。これによると、トーハン調べが4・6%減、日販調べが6・5%減と、両社とも厳しい数字だった。
トーハンの発表(調査店1591店)によると、年末の売上は書籍4・1%減、雑誌11・2%減、コミック7・1%減、MM商品8・9%増、合計6・2%減。年始は書籍3・0%減、雑誌5・3%減、コミック1・9%増、MM商品5・6%増、合計2・3%減だった。期間計は書籍3・6%減、雑誌9・0%減、コミック3・0%減、MM商品7・5%増、合計4・6%減。MM商品は好調だったものの、雑誌が大きく落ち込んだ。
日販の発表(調査店1745店)では、年末は書籍
6・2%減、雑誌10・6%減、合計8・5%減。年始は書籍4・6%減、雑誌3・2%減、合計3・9%減。期間計は書籍5・5%減、雑誌7・5%減、合計6・5%減。雑誌の低迷が目立った。
書籍は総記(3・6%増)、書籍コミック(10・0%増)が前年を上回ったものの、実用書(13・9%減)、専門書(11・5%減)、新書(12・6%減)は2ケタの大幅減となった。雑誌はコミック5・0%減、ムック1・4%減、定期誌12・5%減と、定期誌の落ち込みが大きかった。内訳は月刊・隔月12・6%減、週刊・隔週11・8%減。

図書館を地元書店に取り戻す/三重県組合総会で岡森理事長

三重県書店商業組合(岡森泰造理事長)は11月23日、津市の三重県教育文化会館で第28回通常総会を開催、組合員42名(委任状含む)が出席した。
総会は重盛理事の司会で進行、今年亡くなった組合員の方に黙祷を捧げたのち、岡森理事長があいさつ。「16年減少を続ける厳しい出版業界の現状の中で、版元・取次・お客様の3つを大切にすることが大事だ。昨年に引き続き、県下の市町村を役員と共に回り、学校及び公共図書館を地元書店に取り戻すために、精力的に活動している。やる気のある組合支部には、応援を惜しまない」と力強く話した。
続いて三宅理事を議長に選出し、平成24年度事業報告、25年度事業計画を別所専務理事が報告。作田副理事長が収支予算案など各議案を提出し、全て可決承認された。
総会終了後、取次・版元を交え、ここ数年恒例となった「出版討論会」を鈴木副理事長の司会で開催した。まず取次とNHK出版、ポプラ社、小学館によるあいさつと、自社商品のPRが行われた。
また、出版輸送の近物レックスが、出版物の配送について返品の集荷から各センターへの流れを説明。「地域によって配送のタイムラグ」「返品商品のセンター荷受までの遅さ」などの点について質問に答えた。
石垣理事からは、県内の雑誌の早売り問題の現状と対策事例が紹介され、組合員によるさらなる監視の要請があった。
定刻となり討論会を終了、会場を変えて開催された懇親会でも活発な意見交換が行われた。
(磯田智広報委員)

研修活動の充実に取組む/「事業継続と相続」の講演会実施/鹿児島総会

鹿児島県書店商業組合(楠田哲久理事長)は12月5日、鹿児島市のサンロイヤルホテルで第28期通常総会を開催、組合員65名(委任状含む)が出席した。
総会は石井俊司専務理事の司会で進行、瀬川浩三副理事長の開会の辞で始まり、楠田理事長が1年を振り返って「組合員減少で収入減の中、節約に努めて運営をしてきたが、来期は研修活動を充実させていきたい」とあいさつした。
村永直美理事を議長に議案審議を行い、概況報告の中で楠田理事長が、業界の厳しい現状と県内の状況を説明。4月からの消費税増税へのスムーズな移行と軽減税率適用の署名運動への協力をお願いした。
黒木淳一総務・厚生委員長、浜田一郎事業・流通委員長、和田豊広報委員長、高尾諭情報化推進委員長、永里省吾読書推進委員長の
各委員会報告、事務局森永氏の収支決算報告、西光溥監事の監査報告があり、それぞれ全会一致で承認した。その後第29期事業計画案、収支予算案を審議し、全て原案通り可決した。
総会終了後、上野法律事務所の上野英城弁護士による「事業継承と相続について」の講演が行われ、熱心に質疑が交わされた。
引き続き、県中央会、取次、出版社、鹿児島書籍、九州雑誌センター、テジマを交えて懇親会を開催、和気あいあいのなか情報交換しお開きになった。
(和田豊広報委員)

消費税転嫁対策法で事業者説明会/日書連理事43名が出席

消費税転嫁対策特別措置法の事業者向け説明会が12月19日午後、東京・千代田区の書店会館で開かれ、日書連理事43名が出席した。
同法は、消費税率の引き上げに際し、特定事業者による消費税の転嫁拒否等の行為を迅速かつ効果的に是正するための特別措置など、所要の法整備を講じることにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的とするもの。13年10月1日に施行され17年3月31日に効力を失う時限的な措置。
説明会では、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課の武田雅弘課長補佐が「消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置」「消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置」、消費者庁表示対策課の後藤大樹総括係長が「消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置」、東京国税局課税第二部消費税課の稲垣貴之連絡調整官が「価格の表示に関する特別措置」について概要を説明した。

第9回「帯コン」表彰式と展示会/大阪

児童書の本に巻く『帯』を小学生に作ってもらう、第9回大阪こども「本の帯コンクール」(「帯コン」=大阪読書推進会、朝日新聞大阪本社主催)の表彰式が11月16日、大阪市中央区のエルおおさかで開催。運営には大阪府書店商業組合加盟書店、版元、取次が多数協力した。
2013年度は府内の38の市町村から216校が参加。課題図書部門(小学校低、中、高学年)と自由図書部門があり、応募総数9809点の中から89点が入賞。これら入賞作品を含む531点が会場で展示披露された。
課題図書部門の中から大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞の9点については、実際に印刷され帯として本に巻いて会場で販売し、87冊約13万円を売上げた。また、大阪組合加盟書店の店頭でも販売された。
表彰式終了後の第2部は5人の金管奏者「ひゅーぶらすクインテット」による児童参加型の演奏会を実施。自分たちが主役だと感じてもらえるイベントは子どもたちに非常に喜んでもらえて大盛況で終わった。
このほか、2013年11月29日~14年1月13日に阪急茨木市駅2階ロサヴィア内で、また12月17日・18日に堺市役所本館エントランスホールでも作品展示会が行われた。
なお、今年の第10回記念の「帯コン」は、11月15日にエルおおさかで開催を予定している。
(東正治広報委員)

日書連のうごき

12月3日サン・ジョルディの日企画審査会。
12月6日発売日本部委員会に藤原、西村両副会長、筒井、片岡、塩川、長﨑各理事が出席。
12月10日JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。日本児童図書出版協会忘年会に舩坂会長が出席。
12月11日出版流通改善協議会「再販関連会員説明会」に舩坂会長、藤原、柴﨑、小泉各副会長、井上理事、影山監事が出席。
12月12日取引改善委員会。
12月17日取引改善委員会。
12月18日各種委員会。図書館サポート部会。児童図書打合会。ためほんくん管理委員会に深田部会長が出席。出版販売年末懇親会。
12月19日定例理事会。書協・雑協税制対策委員会が消費税経過措置で説明会。公取委・消費者庁・東京国税局が消費税転嫁対策で説明会。
12月20日取引改善委員会。
12月24日電子出版流通整備研究委員会。会計士による定期監査会。
12月25日5団体事務局で軽減税率打合会。消費税対策増売プロジェクト打合会。
12月26日JPO雑誌コード小委員会に柴﨑副会長が出席。
12月27日事務局業務終了。

組織強化などの目標掲げる/第35期福岡県組合通常総会

福岡県書店商業組合(長谷川澄男理事長)は11月26日、福岡市のセントラルホテルフクオカで第35期通常総会を開催し、組合員155名(委任状含む)が出席した。
総会は森松常務理事を議長に選出して議案審議。長谷川理事長から今期の事業報告が行われ、各委員長による委員会事業報告、収支決算、第36期収支予算案など、全ての議案を原案通り承認可決した。
第36期事業計画については、「行動プラス結実」期と位置づけ、定着しつつある「海の日の万引き防止キャンペーン」「九州選書市」「サン・ジョルディin北九州キャンペーン」に加え、先人が残した足跡を踏みしめ、新たな足跡を残すべく一層の努力目標を設定。①組合の組織・運営の強化②再販制度下における書店の役割の明確化③取引慣行の弊害是正④ネットワーク化による情報・物流の改善⑤読書推進と活字文化の振興⑥万引き防止・青少年健全育成の周辺整備の強化――の6点を特に掲げた。
総会終了後は取次・版元・運輸・報道を含めて、懇親会がなごやかな雰囲気の中行われた。
(西村勝広報委員)

訃報

奥川禮三氏(東京都杉並区・杉並みどり書房)2013年12月21日逝去した。85歳。通夜は12月25日午後6時から、告別式は同26日午前10時半から杉並区の蓮華寺会館で営まれた。喪主は妻のみどりさん。昭和53年から63年まで日本書店組合連合会常任理事、同年から平成13年まで日本書店商業組合連合会常任委員を務めた。

わが社のイチ押し企画/河出書房新社・営業第二部第二課・大沢直美

今日では列車が走っていることを珍しいと感じる人はいません。しかし180年あまり前に鉄道が誕生した時、私たちの生活に革命的な変化がもたらされました。1825年、蒸気機関車の誕生によって産業革命は加速しはじめ、地球の隅々まで広がった鉄道は文字通り「世界」を変えていきます。それは、人類の歴史に深く結びついてきました。そんな世界の鉄道を貴重な写真とともに紹介する、『ヴィジュアル歴史図鑑世界の鉄道』(フランコ・タネル著)を2月に刊行いたします。
本書は、蒸気機関とその黎明期から、新幹線やリニアモーターカーなどの高速鉄道の最新情報まで、200年近い世界の鉄道史を時代順に詳しく紹介し、技術的な進化、文化や経済、社会変化など、鉄道についての全体像までを詳細に紹介したものです。
本書の大きな特徴は、鉄道に関する貴重な写真図版約400点を、世界中から集めて収録していることです。蒸気機関車から、オリエント急行やシベリア横断鉄道、世界中の高速鉄道の進化まで、紹介する車両の種類の豊富さはもちろん、初期の珍しい車両や設計図、新旧の寝台車や食堂車の貴重な内装写真、世界の鉄道網の発達の様子、スピード記録の競争時代、トンネル工事の様子、鉄道と戦争まで、科学技術・政治・産業・歴史を多角的な視点から見た写真や図版資料を数多く収録しております。また、世界中の観光鉄道の最新情報も満載した本格的なヴィジュアル図鑑です。
鉄道というテーマは複雑かつ壮大で、その進化には国や大陸ごとに多彩な物語が存在します。たった1冊の書物で鉄道というテーマ全体とその細部を解説し、基本的事実と代表的な列車に内容を絞って紹介することで鉄道史の全体像を見通すことができます。是非その魅力を存分に感じて頂ければと考えております。
B5変型(256×185㍉)/並製/328ページ/予価本体3800円(税別)

わが社のイチ押し企画/金の星社・編集部・阿部文

「食育」という言葉は、いまでこそいろいろなところで耳にするようになりましたが、20年ほど前は言葉を知っている人さえ稀だったように記憶しています。ところが、いまや教育現場や保育現場などで、食育と名のついたさまざま実践がされるようになりました。
とはいえ、食育の一番の実践の場は、やはり家庭であることを疑う人はありません。家庭は子どもといっしょに食事をする場であり、子どもに料理を手伝わせることができる場です。とくに料理の手伝いは、親から子へと大切な食の知恵を伝えるいい機会です。
子どもの多くは料理を手伝いたがります。それこそお絵かきや工作でもするように、料理をしたがるものです。しかし、なれない子どもに料理をさせることは危険をともないますし、どういうふうにやらせたらいいのか分からないという親も少なからずいるようです。
もし子どもが料理に興味を示しはじめたら、面倒でもわずらわしくても、少しずつ手伝わせてみたり、ときには思いきって一品つくらせてみたりしてほしいと思います。そんなときに役立ててほしいのが「ちびまる子ちゃんのはじめてのクッキングえほん」という全6巻のレシピえほんシリーズです。
このシリーズでは、子どもの意欲をそぐわないように、料理をする楽しさが実感できるレシピを厳選し、難しい料理用語を用いず、わかりやすく説明しています。そして、安全面に十分配慮し、包丁や火を使うところは文字の色を変えて、おうちの人が手を差しのべるべきところをひとつひとつ示してあります。
子どもが料理をはじめるきっかけとして最適のこのシリーズ。ラインナップは次のとおりです。『うれしい!おかし・デザート』『だいすき!人気メニュー』『かんたん!たまごりょうり』『おいしい!やさいりょうり』『げんきいっぱい!ごはん・パン・めん』『たのしい!おべんとう・パーティーメニュー』。A4変型判上製、定価各1470円。

わが社のイチ押し企画/小峰書店・編集部・山岸都芳

本年のわが社のイチ押し企画は、「ポケット版ウォーリアーズ」シリーズ2期です。森に暮らす4つの野生猫の部族が織りなす壮大な物語は、2003年のシリーズ開始以来、本国イギリスをはじめ英語圏での売上冊数が1000万冊を超えるベストセラーとなっており、わが社でも2006年より翻訳出版をスタートしました。
この作品は、Ⅰ期6巻というスパンでシリーズが構成されており、現在までに3期5巻、計17巻が日本でも刊行されています。今春より3ヵ月連続での出版を予定している「ポケット版」シリーズ2期は、すでに店頭にならんでいる1期同様、オリジナルの判型よりもサイズを縮小し、ハードカバーからソフトカバーに作りを変更して、より読みやすく、携帯に便利なものになっています。
さて、シリーズ1期では、飼い猫から部族の戦士、そして最終的にはサンダー族の族長にまでのぼりつめたファイヤスターの成長の軌跡を縦軸に、4つの部族猫たちの争いや友情、愛や策略の日々が描かれていました。そして、2期。今期は、ファイヤスターの宿敵、タイガースターがこの世を去り、4つの部族に平和な日々が訪れたところから物語がはじまります。
ある日、サンダー族の戦士ブランブルクローは、夢をとおして、森に災いが迫りつつあることを知ります。新月の夜に集まった各部族の若き猫たち。かれらは、長く危険な旅路のすえに、災いの正体と、スター族からの重要な任務を託されます。たがいに反目しあい、争ってきた4つの部族は、若き猫たちがもたらしたスター族の啓示にしたがい、大きな決断を下します。それは、長年住み慣れた森をすて、あらたな安住の地を探すというものでした――。
さらにおもしろく、スケールアップした2期6巻を1月より、3ヵ月にわたって2巻ずつ刊行していきます。ウォーリアーズファンの方々はもちろんのこと、まだ未読の方にも、これを機会に猫族たちの壮大なストーリーにぜひ触れていただきたいと願っています。

わが社のイチ押し企画/新潮社・出版部・矢代新一郎

『白い巨塔』590万部、『不毛地帯』530万部、『沈まぬ太陽』660万部……、日本人の「矜持」を描き続け、読者の圧倒的な支持を受けた国民的大作家、山崎豊子先生がお亡くなりになられて、早3ヵ月――。
原因不明の疼痛に悩まされ、一度は筆を置いたはずの作家が、日本を巡る内外の状況から、今改めて「戦争」について、特に若い人に知って欲しいと願いを込め執筆されたのが、この「週刊新潮」連載が終わったばかりの小説、『約束の海』(2月刊)となります。
遺作の主人公、花巻朔太郎は、平成を生きる我々によく似た、どこにでもいそうな普通の青年。それが、海上自衛隊の潜水艦乗りとして未曾有の事故に関わったことにより、マスコミの激しいバッシングを受け苦しみ、人生のどん底に落とされ、やっとつかみかけた恋の行方も見えなくなる。そんな生涯の危機に対して、この主人公、最初は立ち向かうどころか……と、財前五郎(『白い巨塔』)や恩地元(『沈まぬ太陽』)とは正反対なのですが――。
山崎さんが最後の作品に託した夢とは、むしろスーパーヒーローではない若者が、「苦難」をこそ糧にし、先の「戦争」の真実を追体験、人間的成長を遂げ、将来のこの国を担うようになって欲しいということ。
多くの登場人物の思惑が蠢く中、果たして、一度挫折した主人公が、再び立ち上がることは出来るのか?それはまた、これからの未来を生きる我々日本人へのラスト・メッセージでもあるのでしょう。
いつも同様、徹底した取材と多くの機密資料を基に、山崎ワールドの魅力全開の1冊です!
もう一つ、興味深い話を。この『約束の海』は、更に続編が計画されており、今年度中にまた連載を始めようと、既に多くの取材や構想作りが行われていました。そのシノプシスを巻末で、「『約束の海』、その後――」として、二十頁にわたって紹介します。

わが社のイチ押し企画/双葉社・営業局局次長・奥山秀

明けましておめでとうございます。
旧年中は格別なるご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、昨年弊社では、雑誌売上につきましては業界全体の状況と同様に苦戦をしましたが、コミックは前年に引き続き新刊既刊共に数字を伸ばしました。
また、書籍分野においては前年の数字を大きく伸ばすことができました。特に文芸書では、10万部を突破した柚木麻子著『ランチのアッコちゃん』、秋吉理香子著『暗黒女子』など、多くの書店員様、販売会社様に応援をいただき、強力な店頭展開で売り上げを伸ばしております。また、アイドル写真集『乃木坂派』や『熔ける大王製紙前会長井川意高懺悔録』など、弊社らしいノンフィクションも発刊し、書店様店頭を賑わすことが出来たと自負しております。また文庫部門では、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙シリーズ』はもちろん、『夜行観覧車』(湊かなえ著)が連続ドラマの話題性と相まって87万部のセールスとなり、2013年の文庫ランキングでも上位にランクインしました。また11月に刊行いたしました髙田郁著『ふるさと銀河線軌道春秋』も、この年末年始大きく部数を伸ばしております。
コミックではシリーズ累計320万部の『王様ゲーム』、同じくケータイ小説をコミカライズした『奴隷区』、漫画アクションにて好評連載中の『ライジングサン』『達人伝』『富士山さんは思春期』などが数字を伸ばしています。1月からはいよいよ月刊アクション発のコミックスも発売になります。是非お力添えの程お願い致します。
また本年、双葉文庫は創刊30周年を迎えます。その第一弾は1月4日発売の初荷として累計1700万部を突破した「居眠り磐音シリーズ」45巻を刊行。翌週には2012年の本屋大賞にもノミネートされ、同年の大藪春彦賞も受賞したベストセラー『ユリゴコロ』(沼田まほかる著)が待望の文庫化です。続々と登場する話題作に是非ご期待ください。
双葉社は今年も書店様、読者の方々のご期待に応えるべく努力を重ねてまいります。何卒、倍旧のご支援お力添えを宜しくお願い致します。

三ツ星店、世界最多の14店/『ミシュランガイド東京・横浜・湘南』

日本ミシュランタイヤは12月3日、東京・港区の東京プリンスホテルで『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2014』の出版記念パーティを開き、最高評価三ツ星の評価を受けたレストラン14軒のシェフ、料理人を表彰した。
合計504軒(東京441軒、横浜24軒、湘南40軒)を掲載。このうち三ツ星を獲得したのは14軒(東京13軒、湘南1軒)で、前年より1軒減ったものの、パリを上回り今年も世界一の座を守った。東京エリアのミシュランガイドの発表は07年に始まり、今回で7回目となる。
14年版では、星付きレストラン以外にも、コストパフォーマンスの高い食事を提供するピブグルマンのセレクションを新たに追加。5000円以下でコースやアラカルトを提供する157軒にピブグルマンマークを付け、その中でも1050円以下で食事ができる店にコインマークを付けた。
パーティであいさつしたベルナール・デルマス社長は「20年にオリンピックが東京で開催され、国内外から多くの人々が東京を訪れる。『食』と『おもてなしの心』が感動を与えるだろう。ミシュランもガイドを通して食の素晴らしさを伝えていきたい」と語った。
『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2014』は12月6日に発売された。定価2940円(税込)。

トーハン元社長金田氏お別れの会/2月12日、東京會館で

トーハンの金田万寿人元社長の「お別れの会」が2月12日午前11時半~午後1時、東京・千代田区の東京會舘「ローズルーム」(℡03―3215―2111)で執り行われる。お別れの会委員長は同社の藤井武彦社長、喪主は妻の喜久子さん。香典、供花、供物は辞退する。
金田氏は昨年11月26日、心不全のため72歳で逝去した。葬儀は密葬で近親者により済ませた。
問い合わせはトーハン秘書室(℡03―3269―6111)まで。

「再販の目的は知の再生産」/出版流通改善協議会が再販関連説明会

日本書籍出版協会(書協)、日本雑誌協会(雑協)、日本出版取次協会(取協)、日本書店商業組合連合会(日書連)の出版4団体で構成する出版流通改善協議会の「再販関連」会員説明会が12月11日、東京・新宿区の日本出版会館で開かれ、120名が出席した。
冒頭あいさつした相賀昌宏委員長(小学館)は「協議会は再販制度を守るだけではなく、流通改善を行うことで再販制度を存置させたいということを目的に作られている。再販制度の真の目的は知の再生産。ネット書店でのポイントの行き過ぎ、値引きのあり方に対して再販制度は何を求めているのかという観点から主張すべき時代が来ている。
ネットの側とも話し合いをして、我々がなぜこういうことをやっているのか理解を求めていくことを来年の大きな課題として取り組んでいきたい」と述べた。
早川三雄委員(小学館)は同協議会発行『2013年出版再販・流通白書№16』の概要を説明。出版再販研究委員会の菊池明郎前副委員長(筑摩書房)の再販制度に関する考察と提言、各社の出版インフラの取り組みや東日本大震災への取り組みなどを掲載している。
日書連書店再生委員会のの小泉忠男委員長(小泉書店)は、書店再生のための提案5項目の1つとして2回実施した「食と健康」実用書増売企画について報告。第1回は12年11月~13年2月に行った。出版社5社が参加。セット内容は各社10点15冊の計50点75冊。418書店より456セットを受注した。第2回は13年8月~11月に行った。出版社12社が参加。セット内容は各社4点6冊の計48点72冊。385書店より407セットを受注した。
大竹深夫委員(講談社)は講談社が刊行した『からだにやさしい旬の食材野菜の本』と『からだによく効く旬の食材魚の本』の計画販売制の事例を報告。『野菜の本』の初回出荷条件は書店仕入正味65%、返品正味45%。以降は書店仕入正味70%、返品正味45%。初版5万部と追加5千分で実売率は80%だった。『魚の本』は初版3万2千部でスタートし、5千部を重版。重版特別販売条件として書店仕入正味67%、返品正味45%で受注した。大竹委員は「仕入れた商品を売り切る意識を現場と共有すれば売り伸ばせることが分かった」と話した。

11月期は3・4%減/新書、3ヵ月ぶりプラスに/日販調べ

日販営業推進室調べの13年11月期書店分類別売上調査は、雑誌・書籍合計で対前年売上高増加率が3・4%減となった。
雑誌の売上は3・8%減。月刊誌は、前年と比較して『コロコロコミック13年12月号』の売上が好調だったが、前年売上良好だった『ちゃお12年2月号』『新春すてきな奥さん13年版』の反動で、3・8%減とマイナスが続いた。ムックは、前年は『ドラえもんふしぎのサイエンス4』が牽引したが、今月は比肩する銘柄がなく、7・0%減とマイナス幅が拡大した。
書籍は3・0%減。総記、新書以外すべてのジャンルでマイナスとなった。文庫は『疾風ロンド』が売上を牽引したが、前年の売上良好銘柄には届かず、4・5%減とマイナス幅の縮小に留まった。新書は3・4%増と3ヵ月ぶりにプラスに転じた。『人間にとって成熟とは何か』や、新刊銘柄に好調なものが多かった。

保坂和志氏が受賞/野間文芸賞

野間文化財団が主催する野間文芸賞各賞の贈呈式が、12月17日午後6時から東京・千代田区の帝国ホテルで開催された。
今回受賞したのは、第66回野間文芸賞に保坂和志氏『未明の闘争』(講談社)、第35回野間文芸新人賞にいとうせいこう氏『想像ラジオ』(河出書房新社)、第51回野間児童文芸賞に斉藤洋氏『ルドルフとスノーホワイト』(講談社)。
贈呈式では、主催者を代表して講談社の野間省伸社長が「保坂さんは以前に野間文芸新人賞を受賞され、今回は本賞。斉藤さんは講談社児童文学新人賞、野間児童文芸新人賞を受賞している。また、いとうさんは元講談社社員と、非常に縁の深い方がご受賞ということで、非常にうれしく思っている」とあいさつし、各受賞者に賞を授与。
野間文芸賞選考委員の町田康氏は、受賞作について「全体的に自由というか、一般的な形を外れるところがあるが、そのフリーさ加減が非常に自覚的であり、小説を読む緊張感があるといった意見や、作者がこれまでやってきたことの集大成的な作品だといった意見が出た。選考は、この作品をどう読むかについて意見を述べる、楽しい議論になった」と述べた。