全国書店新聞
             

平成13年4月18日号

一年間の脱退数649店

全国都道府県書店商業組合の加盟書店を合計した日書連傘下の組合員数は、今年四月一日現在で前年より五百五十三店少ない八千八百五十三店になったことが組織強化委員会の調べで明らかになった。
組合員の数が八千八店台になったのは昭和四十七年以来のこと。
この一年間の組合員の減少率五・九%は昨年の四・六%を上回り、ワースト記録となった。
日書連傘下の加盟書店は昨年四月一日が九千四百六店。
一年間に加入九十六店、脱退は加入を大きく上回る六百四十九店を数えた。
この結果、今年四月一日現在で組合員は前年比五百五十三店、五・九%少ない八千八百五十三店になった。
この一年間の各県別加入数、脱退数をまとめたのが別表。
加入数は東京組合が十四店、北海道組合十二店、福岡組合県十一店といったところが目立つが、約半数にあたる二十一組合は加入ゼロ。
脱退も東京組合の八十一店を筆頭に、大阪四十三店、北海道四十一店、神奈川三十七店、福岡三十一店と有力組合の組織減少が目につく。
日書連傘下の組合書店数は戦後一貫して右肩上がりで増加を続けてきたが、昭和六十二年の一万二千九百九十二店をピークにマイナスに転じた。
平成十一年には一万店を割り、二年で九千店も割った。
今年の組合員数は、昭和四十七年の八千八百八十六店に相当し、二十九年前に逆戻りした。
東京組合を例にとると、昭和五十四年から平成三年までは千四百店台を維持してきたが、平成四年に千二百店台、八年に千百店台、十一年に千店台と減少を続け、今年ついに千店を切って九百七十三店になった。
東京組合が千店を切ったのは昭和二十七年以来、約四十年ぶり。

金田社長が営業本部長兼務

トーハンは四月十二日、平成十三年の機構改革と役員人事、人事異動を発令。
営業本部を新設し、営業、販売、取引を一体化して目標達成を図る方針を明らかにした。
営業本部長は金田社長が兼務する。
また、フラットな組織作りのため、課長・係長制を廃止し、グループ制を導入する思い切った組織再編を行った。
職階の呼称は部長がゼネラルマネジャー、部長代理がシニアマネジャー、課長がマネジャー、係長はアシスタントマネジャー、職長・主任はチーフとなる。
(人事詳細は次号掲載)

3カ月で1千●名が参加

日販の読み聞かせ会「おはなしマラソン」が三月二十四日、関西地区四府県の取引書店九店で開かれ、合計三百二十八人(子供二百五人、大人百二十三人)が参加した。
三月は休会し、四月二十一日に第三回目を開催する詳文館(兵庫県加古川市)を除き、これで同地区でのすべての日程を終了。
一月から三月まで三カ月間の参加者は累計千三百四十八人(子供八百三十七人、大人五百十一人)にのぼった。
各書店の開催状況は以下の通り。
○紀伊國屋書店堺店(大阪府堺市)参加した子供の年齢層が予想より低かったが、読み手が対象年齢に幅をもたせて絵本を準備していたため、プログラムを急遽変更して対応することができた。
○旭屋書店近鉄上本町店(同・大阪市)書店社員が読み聞かせを担当し、好評だった。
顔見知りの客が増え、今回は会終了後にお礼を言う子供が多かった。
○ブックランドすばる四条畷店(同・四条畷市)絵本に描かれた体操を子供が一緒に行って盛り上がり、手遊びで最初は大きな声で歌い、次第に小さな声で歌って次の絵本につなげるなど、見事な進行が光った。
○宮脇書店泉南店(同・泉南市)店舗奥の児童書棚を衝立やカーテンで仕切って即席の「おはなしの部屋」を作り、読書アドバイザーは子供立ちに楽しみながら集中してもらうため大型絵本や手遊びの導入など、様々な工夫を凝らした。
○耕文堂書店Nビル店(同・池田市)会場を広い通路に移して開催。
前月の開催風景の写真を使った看板を店頭に掲出して開催告知を行った。
会ではパネルシアターや大型絵本が効果的に使われた。
○BookParkアトラス館(同・門真市)読書アドバイザーが一人ひとりに話しかけるように絵本、紙芝居を読んだ。
人形を使ったり手作りの仕掛け絵本を紹介することがプログラムのアクセントになった。
○本のがんこ堂守山店(滋賀県・守山市)紙芝居で始まり、中盤にしかけ絵本で気分を変えて、最後は大型絵本で余韻を持たせて終了。
二回合わせて十二冊の絵本を読んだ。
○ブックスランボー(京都府京都市)近所の児童館に集まる子供達が誘い合って集まり、熱心に聞いていた。
○メディカアスパ店(兵庫県高砂市)三カ月を通じて予想以上の参加者があり反響も大きかったことから、「地域貢献のため、今後も自店で継続していく」としている。
*なお、四月から六月は北海道地区で開催する。
実施書店は以下の9書店。
丸善札幌南一条店(札幌市)、丸善ら・がぁーる新札幌DUO店(同)、紀伊國屋書店平岡店(同)、ブックマーク厚別店(同)、札幌明正堂元町店(同)、三省堂書店旭川店(旭川市)、ザ・本屋さんWOW店(帯広市)、アイブック西友岩見沢店(岩見沢市)、リラィアブル蔦屋運動公園通店(釧路郡)

初心者向けパソコン教室が好評

小学館の支援によるパソコン導入で、京都府書店商業組合は三月中に各書店への設置を終了。
初心者向けのパソコン教室を四月七日、十四日、二十一日の三回にわたり書店組合会議室で開催する。
第一回目の七日は受講者二十二名。
サポーター十五名の協力を得て、二時から三時間にわたり、ほとんど一対一の対応で個々人に合った勉強を実施。
充実した教室となり、受講者からも好評だった。
(中西裕広報委員)

参考図書

◇『学校図書館50年史年表』全国学校図書館協議会の「学校図書館50年史編集委員会」が約二年間にわたり編集作業を進めてきたもので、半世紀にわたる同協議会の活動を中心に戦後の学校図書館の歴史を通覧できる。
一九四五年から九九年までの五十五年間を年次ごとにそれぞれ「学校図書館」「研究・文献」「図書館界・出版界」「教育・社会一般」の四項目に分けて記述し、巻末には同協議会創設時の資料や重要な記録、文書を付録として収録している。
B5判・函入り、一九七頁、本体価格四千円。
◇『日本放送出版協会70年のあゆみ』四月一日に創立七十年を迎えた日本放送出版協会の歴史をまとめたもの。
七十年のあゆみをまとめた略年表歴代会長・社長・副社長・専務取締役や現役員、組織図などを紹介した「業務資料」現行出版物一覧の三部から成る。
◇『新文化縮刷版二〇〇〇年版』新文化通信社が発行する出版業界専門紙『新文化』の二〇〇〇年一月十三日付から十二月二十一日付までを網羅した縮刷版。
特集レポート・連載、ニュース、データなど百二十一項目に分類した記事インデックスで、テーマごとに年間の動向を知ることができる。
A4判、四九八頁、本体価格一万五千円。

大阪

大阪府書店商業組合は四月十日、組合会議室で定例理事会を開き、以下の事項を審議した。
〔総務委員会〕組合財政健全化の効果があり、税引き前利益が予想した額より多かったので、組合員に還元する方法を考えることにした。
〔組織強化委員会〕支部再編後の支部活動円滑化のため、出来るだけ各地の支部会に組合本部から出向いてアドバイスすることにした。
〔経営研究委員会〕大阪組合ホームページのイメージキャラクターの愛称募集には、全国各地から約六百件の応募があったが、期待したほどには優秀作がなかった。
パソコン講習会はオンライン発注の手順等、即営業活動に活かせることから始めることにした。
〔再販・公取協委員会〕三月二十三日の公取委見解発表で一応再販制度は存続することになったが、ポイントカード導入問題など検討すべき課題もあるので、引き続き再販擁護運動を推進していくことにした。
〔返品入帳問題〕ティーツー出版、経営塾が倒産した際、トーハンから取引書店に委託品以外の返品入帳は受け付けないとファックス通信があった。
「倒産はしたものの引き続き営業活動はしており、注文は受け付けている。
返品だけ入帳しないのは不合理で一方的である」と怒りの声が出た。
また、「取次には出版社に未払分、未精算分があるのだから返品入帳して当然である」との発言もあった。
さらに、「日書連には以前にも倒産出版社の入帳問題の早期解決を要請していたのに、遅々として進展を見ないのは遺憾である」との指摘もあった。
(中島俊彦広報委員)

組合加入の魅力アピール

組合加入の魅力をアピールするため、奈良県書店商業組合は組合案内のしおり(写真)を五千部作成した。
アウトサイダーの加入促進ツールとして利用するとともに、各公共機関に配布して県における組合の認知度アップを図る。
しおりでは、組合員数、組織図などの基本的データのほか、奈良組合の歴史や活動を多角的に紹介。
「組合活動の意義」を「奈良県書店商業組合員は、そのほとんどが小規模事業者であり、企業経営において技術的にも運営面、信用面でも十分でなく、それを少しでもカバーできる組織が奈良県書店商業組合です」と謳い、「組合員の特典」として返品は一個口につき加盟店は三十円減額付加金から日書連分担金を支出し、毎週一回、全国書店新聞が郵送される奈良県教職員互助組合から毎年出される「教職員研修図書券」取扱店として指定される組合主催のパソコン等の講習会、社員研修会および組合が斡旋する専門家の経営相談が受けられる−−の四点をあげている。
「組合の事業」の説明では、地域文化向上への取り組み、読書推進のボランティア活動が同組合の目的の一つであるとして、平成十二年から十三年にかけて開催された「おはなし隊が街にやって来る」「絵本ギャラリーin奈良」「書店業務とITについての講演会」を写真入りで紹介している。
また、日書連共済会の案内も併載している。

「声」

先日、角川文庫の日本文学の新刊が発売日に入荷しないので調べてもらった。
昨年八月にブックメイトの担当者から「文庫のランク改定があるので、今ある売上報奨カードを至急送ってください」と言われて送ったのだが、その売上報奨カードのデータでは当店の日本文学の売上枚数が二十一枚しかなく、ランクがつきませんでした、と角川書店の担当者に言われた。
それはいくらなんでもおかしい、何かの事故だろう、それ以前に送った分のデータもあるはずだと言うと、「貴店のここ二年間のデータが見当たりません」と言う。
しかし、売上報奨カードは送っているし、新刊の配本もいただいている。
「当社が業務委託しております会社から上がってきたデータによりますとそうなっておりますので、今回ランクは付けられません。
それでしたら四月、五月の売上報奨カードをかくかく送っていただければ参考にさせていただきます」と言う。
しかし、そんなことをしていると仮にランクがもらえたとしても夏になってしまう。
結局、昨年一年間のPOSレジ売上データの、文庫の分を送るということで再考していただけることにはなったのだが。
常識的に考えて、「売上報奨カードの枚数が余りに少なすぎるので、再調査しました結果、残念ながら今回は最低規定枚数の一千枚に二十一枚足りませんでした。
よってランクは付きません」と言われるのなら、致し方ないかなとは思う。
けれど「業務委託している会社から来るデータがそうなっているし、過去のデータも探しても見当たりません。
よってランクは無しです」と言われると、いくら角川書店の言われることでも、すぐにハイそうですかとは言えない。
「内外データ」から「アルゴインテリジェントサービス」に、そしてこの四月からは「主婦の友図書」へと売上報奨カードの送り先は替わる。
データが無事に管理、移行されますように。
地方の小書店の祈りです。

「声」

平成十三年四月の配本日から突然角川スニーカー文庫の配本がゼロになった。
恥ずかしい話だが全国の我々のような零細書店には身につまされる話なので敢えてペンを取ることにした。
三月まではゼロ配本はなかったので、どうしたのかと取次に問い合わせたのだが、ランクに関しては角川書店が行っているという。
早速角川書店営業部へスリップ枚数の調査を依頼し、回答を五日後にもらった。
それによると、平成十年度のスリップ送付枚数は千三百八十八枚(最低ランクは四百枚)であり、十一年度の送付枚数は二百八十七枚(同四百枚)、十二年度は三百九枚(八月末迄)で十三年三月末締切をもって集計するという。
ここで重要なのは単年度ごとのランク決めであることだ。
前年度の繰越はないというので、最低基準枚数をクリアーした時点で、来年度のことを考えて送りを控えなくてはならない。
送り過ぎたら次年度は配本が無くなる可能性が出るかも知れない。
そして、次期四月からのランク見直しは十二月から一月までないので、何カ月も配本無しが続いてしまう。
しかし、版元のデータ分析は大体こんなものと理解しましょう。
我々は版元から直接商品を送品してもらっている訳ではないのです。
さあ一体取次はどういう考えで配本しているのでしょう。
単にデータだけで配本するなら、何のための取次なのかを疑う。
横浜ウォーカーが出れば、拡販だと大騒ぎするのに、スニーカー文庫は売るな!と言っているのと同じこと。
一切の拡販の話は無しにしてくれと言いたい。
特に角川のものはご遠慮したい、となる。
こんな少量しか売れない本屋が何を言っているのだと言われても同志の為に敢えて書いた次第である。

「声」

書店新聞四月四日号「ジュンク堂池袋本店、オリオン書房ノルテ店を視察」を読ませてもらった。
視察の状況・懇談の内容は紙面の都合上すべて報告されているとは思わないが、読んでいるうちに何と高飛車な馬鹿にした言い方・身勝手な使い分けをするのかと腹が立ってきた。
売上の目標、システムの運営などはとにかくとして「大には大、小には小の役割がある。
それぞれ読者の求める品揃えをすればいい。
小型店とは競合しないようにやっている。
書店業界を支えているのは街の本屋さん。
助け合ってやっていきたい」とある。
何を言っているのか。
大は小を吸収していくだけではないのか。
競合しないで棲み分けができるものなのか。
何を助け合うのか。
大書店の出店攻勢で強者が正しくて弱者は悪いという構図のみを作ってきたのではないのか。
また書店業界は街の小さな本屋だけでやればいいと言っているようにとれる。
まさに慇懃無礼な言い方である。
万引き対策にいたっては自社の対策のみ話をすればよいと思うが、業界全体で取り組む問題としている。
なぜこの問題だけが業界全体の問題なのだろうか。
都合の悪いときは組合・業界を無視し、利用すべきときは利用するというまさに何の秩序もない、自分だけ良ければそれでよい。
業界のリーダーもしくは日本一を自認するのであれば坪数・売上だけではなく全ての面において範となる努力もすべきである。
我が県でもこんなことがあった。
数年前の話になるが県の中心都市の駅前にある空きビルに日本でも有数の大書店が出店することになった。
そのとき県内最大手書店は、県及び市の書店組合の名前で意見書を提出させる方法を取ったのである。
自社が県内及び県外に出店・増床する場合は説明もせず、話し合いの場も設けずやりたい放題であったにもかかわらずである。
それにしても出店問題委員会のコメントとして「日本一の書店の心意気を見ることができ、収穫があった」とあるが、何のための視察で何の収穫があったのか詳しく知りたいものである。
我々には礼賛と受け止められるが。
このように出店時には反対しても、出店がどのような方法で行われても終わってしまえば何もなかったように受け入れてしまう、何のペナルティもなく、結果やったもの勝ちとなるのである。
大型店の出店による小書店の廃業、廃業による組合員数の減、書店組合の組織力も減退し組合が崩壊してしまうことにはならないだろうか。

−無題−

〓売りたい本と売れている本とがうまくかみあわないもどかしさ。
3月末取次からのムダな決算送品は少し改善されているが入帳は3月13日まで。
至急改善を望む。
(ぺ)(1)『チーズはどこへ消えた?』扶桑社4‐594‐03019‐X……34冊
(2)『あいのり2』学習研究社4‐05‐401417‐8……12冊
(3)『ジーニアス英和辞典』大修館書店4‐469‐04109‐2……10冊
(4)『三省堂国語辞典第5版』三省堂4‐385‐13189‐9……8冊
(5)『三省堂国語辞典第5版小型版』三省堂4‐385‐13168‐6……7冊
”『模倣犯(上)』小学館4‐09‐379264‐X……7冊
(7)『バトルネットワークロックマンエグゼ公式ガイドブック』エンターブレイン4‐7577‐0431‐3……6冊
”『ドラゴンクエストVIIのあるきかた』エニックス4‐7575‐0431‐4……6冊
”『空想科学漫画読本』日本文芸社4‐537‐25039‐9……6冊
”『三省堂全訳読解古語辞典小型版』三省堂4‐385‐13344‐1……6冊
”『模倣犯(下)』小学館4‐09‐379265‐8……6冊
”『竹久夢二殺人の記』講談社4‐06‐182178‐4……6冊
”『旺文社全訳古語辞典小型版』旺文社4‐01‐077713‐3……6冊
(14)『ワールドサッカーウイニングイレブン5パーフェクトガイド』新紀元社4‐88317‐864‐1……5冊
”『受験坂本ちゃん屁の河童』日本テレビ放送網4‐8203‐9779‐6……5冊
”『新明解国語辞典』三省堂4‐385‐13143‐0……5冊
(4月9日〜15日調べ)
〓『十二番目の天使』が上位にランクインした。
文芸書の売上が低迷している中、売りたい!売れて欲しいと思う本が、店頭からお客様の手に渡るのはとても嬉しい。
(隆)(1)『チーズはどこへ消えた?』扶桑社4‐594‐03019‐X……30冊
(2)『あいのり2恋と友情、旅がくれた勇気』学習研究社4‐05‐401417‐8……24冊
(3)『模倣犯(上)』小学館4‐09‐379264‐X……18冊
(4)『十二番目の天使』求龍堂4‐7630‐0106‐X……15冊
(5)『なぜか仕事がうまくいく人の習慣』PHP研究所4‐569‐61488‐4……10冊
(6)『模倣犯(下)』小学館4‐09‐379265‐8……8冊
”『チーズはどこへ消えた?洋書版』日本洋書販売0‐0918‐1697‐1……8冊
”『ドラゴンクエストVIIのあるきかた』エニックス4‐7575‐0431‐4……8冊
(9)『竹久夢二殺人の記』講談社4‐06‐182178‐4……7冊
”『鯨の哭く海』祥伝社4‐396‐63187‐1……7冊
(11)『自分自身を発見する本』マガジンハウス4‐8387‐1028‐3……6冊
”『空想法律読本』メディアファクトリー4‐8401‐0269‐46冊”『英語は絶対、勉強するな!』サンマーク出版4‐7631‐9338‐4……6冊
”『金持ち父さん貧乏父さん』筑摩書房4‐480‐86330‐3……6冊
”『生きることばあなたへ』光文社4‐334‐97288‐8……6冊
”『とっとこハム太郎おりがみぶっく』小学館4‐09‐734264‐9……6冊
(4月8日〜14日調べ)

本屋のうちそと

再販撤廃運動が終ったと安心してばかり入られない。
書店業もこの三、四年で大きく変わるだろう。
安泰とは行かない。
書店も出版社も取次も、どんな商売、企業も大きく変わる。
銀行が変わってきたように。
お客様も情報過多になってきた。
注文されたものが品切れとか在庫がない、返品待ちと説明しても、直接出版社の在庫を調べて「あるって言ってたもの」と書店の情報では納得しない。
先日もいまテレビでやっていた本が欲しいと、書名も著者もあやふやな注文。
こちらはテレビを見ていないからわからない。
やっと書名と著者と版元がわかって注文を出すと案の定品切れ。
すると「いま品切れなの、いつ頃来ますか」。
あまり早く早くと言うので、品切れ状態でも発注したが、入荷日が不明。
お客様のことを思って「お急ぎでしたら大きい本屋で買っても良いですよ」と言ったことが癇に障ったのか、私が留守のときに、「お宅のご主人から本がないから他で買えって言われた」って怒ってきたらしい。
図書館の利用者も減っている。
図書館が町の貸し本屋になってしまったので、昔のようにレポートを書いたり、データを調べる本がなくなっている。
インターネットの情報収集の方が簡単と考える人も増えた。
図書館は読者が欲しいという本はすぐ買い求めている。
書店としてはますます商売がやりにくくなってきました。
(とんぼ)

宮城谷氏の『子産』

吉川英治文学賞、文学新人賞、文化賞三賞の受賞者が決まり、十一日午後五時より帝国ホテルで贈呈式が行われた。
第35回文学賞は宮城谷昌光氏『子産(上・下)』、第22回文学新人賞は野沢尚氏『深紅』、第35回文化賞は更生保護施設「群馬仏教保護会」で社会復帰の指導をする木村稔・圭子氏、薬物依存者のリハビリセンターを運営する近藤恒夫氏、日本の建築文化財保存に尽力する白鷹幸伯氏、チェルノブイリ原発事故がん患者の治療活動を続ける菅谷昭氏、水俣病被害者救済に取り組む原田正純氏の六氏に贈られた。
吉川英治国民文化振興会野間佐和子理事長から受賞者一人ひとりに賞状と副賞が手渡されたあと、選考委員の渡辺淳一、高橋克彦、城山三郎各氏が選考経過を報告。
渡辺氏は宮城谷氏の作品について「知的なオーケストラの味わいがある」と論評した。

新社長に雨谷正巳氏

協和出版販売は四月六日開催の株主総会並びに取締役会で小貫邦夫代表取締役社長が退任、取締役会長に就任するとともに、新社長に雨谷正巳代表取締役専務が昇格した。
このほか、中村保常務は顧問に就任し、町田孝治取締役が常務取締役に昇格。
新たに佐久間信、中島政一、坂井光雄の三氏が取締役に就任し、それぞれ販売、業務、総務を担当する。
九日に行われた記者発表で小貫氏は社長交替について「学生時代から含めると四十五年取次の仕事をしてきた。
昭和三十六年三月に入社して、五月には神田図書と合併、労組結成、中央社との業務提携もあった。
四十六年に板橋に千坪の土地を買い、五十三年には隣接の二千坪を入手した。
何とか再活用をと考え、高島平に倉庫を借り、本社は志村に移転した。
四十年間、お金との戦いだったが、財務体質が良くなり、ほとんど無借金状態。
軌道に乗った。
あとはボクシングで鍛えた新社長にお願いする」と説明。
雨谷社長は「厳しい時なので、社員が一致協力してお得意先を大事にしていきたい。
会長がやれたようにはできないが、どこか違うこともやってみたい」と抱負を述べた。
協和出版販売新役員取締役会長小貫邦夫代表取締役社長◎雨谷正巳常務取締役(経理・取引担当)◎町田孝治取締役(九州支店長)川内清人同(販売担当)○佐久間信同(業務担当)○中島政一同(総務担当)○坂井光雄監査役梓澤豊作顧問中村保同隅田禎男同島田礼治雨谷正巳氏略歴昭和10年4月5日生れ、66歳、茨城県出身。
昭和33年、中央大学卒業、同年協和出版販売入社、九州支店長、書籍販売部長、仕入部長、取引部長、雑誌販売部長を経て60年取締役、63年常務取締役、平成7年専務取締役、11年から代表取締役専務。

『広辞苑』iモード版

岩波書店の『広辞苑』がiモード版として四月十六日から携帯電話でも利用できるようになった。
『広辞苑』は初版から第五版まで累計出荷数で千百万部。
さらに、大日本印刷と共同で八七年にCD−ROM版(六百万枚)を刊行以来、電子ブック版五十万枚、搭載電子辞書五十万台。
今回のiモード版も大日本印刷と共同開発。
コンテンツは『広辞苑第五版』の全二十三万項目を完全、前方、後方一致で検索する「単語(見出し語)検索」、六千三百項目の見出し漢字の拡大表示が可能な「一字漢字検索」、岩波文庫の名句を日替わりで配信する「言葉の贈り物」(一部有料)など。
「手紙の書き方」など無料コンテンツも充実している。
月額利用料百円(六月三日まで無料)。
iモード加入者約二千万人の〇・五%にあたる十万人の利用を見込んでいる。
十日に開かれた発表会で大塚信一社長は「近年モバイル分野の進歩が顕著で、若い世代を中心にコミュニケーション、情報アクセスのあり方が大きく変化している。
その中で『広辞苑』を活かす答の一つがiモード版。
書籍版と相互補完的に活用されることを期待している」と述べた。

スピードくじで賞品

講談社は五月の連休に向けて、全国七〜八千書店の店頭でスピードくじによりキャラクター入り賞品が当たるコミックス・キャンペーンを展開する。
このキャンペーン、講談社コミックスをお買い上げいただいた読者にスピードくじで「バガボンド」「ラブひな」「ちょびっツ」など人気キャラクターを使用したオリジナルプレゼントが当たる。
賞品はA賞が目覚まし時計十名、B賞ハンドタオル、レジャーシート各十五名、C賞メモ帳三十名、D賞缶バッジ三百三十名で、B全判のボードに賞品四百個が添付され、レジ回りに立て掛けて使用できる仕組み。
賞品ボードの発送は四月下旬、スリップ回収に協力している書店七〜八千店に送付する。
新古書店や漫画喫茶の台頭で、コミックスを取り巻く環境は厳しいが、講談社ではキャンペーンの狙いとして「新刊書店の売場を活性化するための施策」と位置づけている。

小学館PS、読者サービス本部新設

小学館パブリッシングサービスは四月九日付で組織変更と定期異動を行い、読者サービス向上のためカスタマーサービスセンター本部(CSC本部)を新設した。
○印は昇格。
営業本部長付〔参事〕勤務(特販部部長)桶川孝雄教育関連事業部長(関西支社長代理)小林光弘中部支社次長(東海支社課長)○水野親男特販支社次長(流通企画室長)竹内章首都圏支社長代理〔次長〕(首都圏支社課長)○福井雄治営業企画部次長(営業企画部課長)○今井勇喜東海支社課長(同課長代理)○苅和誠二東部支社課長(中部支社課長代理)○水柿巧関西支社長代理〔課長〕(同課長代理)○浜田浩北海道支社長代理〔課長〕(同課長代理)○加藤達美九州支社課長(東部支社係長)○山本博行