全国書店新聞
             

平成20年7月21日号

山形組合、8月に学校図書館システム研修会

山形県書店商業組合は、8月に4会場で「学校図書館システム研修会」を開催する。講師は教育情報化コーディネーターの本間達哉氏。問い合わせは℡023―623―1828まで。
▽山形会場=8月19日・山形市「山形テルサ」▽庄内会場=20日・三川町「なの花ホール」▽置賜会場=21日・米沢市「アクティ米沢」▽村山会場=22日・東根市「さくらんぼタントクルセンター」

図書館対応の実践例学ぶ/ビッグサイトで全国情報化会議/日書連

7月10日から13日まで4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた「東京国際ブックフェア2008」。初日の10日午後2時から同会場で、日書連は「全国情報化推進委員長会議」を開催。日本図書館協会・常世田良事務局次長、出版倉庫流通協議会・大竹靖夫代表幹事が基調報告したほか、兵庫・大分における図書館対応事例の報告が行なわれ、今後の実践に役立てる方策を学んだ。
会議には日書連・大橋信夫会長、井門照雄情報化推進委員長、各都道府県組合の情報化推進委員長など総勢42名が出席。大川哲夫専務理事が司会進行をつとめた。
冒頭、大橋会長は「今日は全国から情報化推進委員長にお集まりいただいた。長丁場の研修会だが、実のある会にしていただきたい」とあいさつ。井門委員長は「今日は資料として『書店生き残り作戦マニュアル図書館対応の「いろは」』をお配りした。書店が主に学校図書館に納入する際の手順や、気をつけなければいけない点、指定管理者制度の概略などをまとめた。ぜひ参考にしていただきたい」と述べた。
続いて書店の周辺事情に関する基調報告が行なわれ、始めに日本図書館協会理事・事務局次長の常世田良氏が講演した。
常世田氏は「私が館長をしていた浦安市立図書館は、書店協同組合から本を購入し、装備もお願いしている。公共図書館はマークや装備が一緒でないと本を買ってくれないというイメージがあるが、浦安では本と装備とマークを切り離し、どういう組み合わせでもいけるという体制を作ってやってきた。皆さんの町の公共図書館がそうなっていないとすれば、それはおかしいと指摘していただく必要があると思う。工夫すれば、図書館の受注を全て地元書店が受けるのは不可能ではない。ポイントになるのはロビー活動。行政に影響のある議員に働きかけ議会で発言してもらうことだ。税金を地元産業に還元するよう主張するのはおかしいことではないし、何でも外の業者に任せて節約できればいいというものではない。住民のニーズを背景に公共図書館は増えている。この市場を地元が捕まえれば売上げが増える可能性がある。ぜひ活動してほしい」と話した。
続いて出版倉庫流通協議会の大竹靖夫代表幹事が、RFIDタグを利用して2本建て取引条件で販売する小学館の『ホームメディカ新版・家庭医学大事典』について説明。「委託制度を残しながら返品・廃棄を少なくする方法を導入できないかと考えた。タグを使えば一つの銘柄で買切と委託といった複数の取引条件を併用できる。当初はリーダーライターがなくても書店現場で目で区別ができるようにする。将来的には、棚卸作業の効率化、万引き防止も課題にしていきたい」と述べた。
この後、図書館対応実践事例報告が行なわれ、始めに近畿ブロック図書館及び情報化委員会の深田健治氏が、兵庫県尼崎市の中学校への情報BOX・日書連マーク導入事例を報告した。
尼崎では昨年8月、市教育委員会より図書館管理ソフトについて説明依頼があったことから、情報BOXの採用をお願いし、中学校図書館部会役員へのデモを実施。11月に市内19校中18校に情報BOXと日書連マークの採用が決定した。京都府、大阪府の情報化委員会が協力して導入サポートを行ない、蔵書登録を終えたところから順次導入を進めている。
深田氏は、府県組合の枠を越えて行なったサポートについて「近畿ブロックでは数年前から情報化委員会を設立して情報を共有している。京都は導入経験が豊富であるのに対し、大阪や兵庫は機会が少なく、導入指導ができるメンバーが少なかった。今回、新しいメンバーが電算化の現場を体験することで理解が深まり、実際の導入サポートができるようになった」と総括した。
続いて、大分県書店商業組合の大隈劭理事長が、官公需と県立図書館の受注について報告。大隈理事長は「定款の整備が受注に必要だと考えて準備を進め、昨年11月に定款変更した。県中央会と協議して図書館納入を定款に明文化した。今年4月に県立図書館がサービス業務、データ入力・装備業務、図書及び雑誌購入の競争入札を実施し、サービス業務はTRCが落札したが、他の2つを大分組合が受託した。市販されている雑誌は朝10時までに納入するといった、地元だからこそできる条件を提案した」とポイントを説明した。
〔情報化会議出席者〕
▽本部=大橋信夫会長、井門照雄副会長・情報化推進委員長
▽情報化推進委員=和泉徹郎(秋田)三上一充(兵庫)田江泰彦(鳥取)平野惣吉(徳島)大隈劭(大分)
▽図書館サポート委員=高島瑞雄(福島)長尾幸彦(愛知)川崎孝(長崎)井之上博忠(鹿児島)
▽各都道府県組合出席者=寺下徹(北海道)黒滝恭一(青森)小原玉義(岩手)関場稔(山形)大内弘一、大川敬文(茨城)岡崎圭介(群馬)増澤敏雄(千葉)北住和弘(東京)古田智一(岐阜)伊藤信悟(三重)赤羽好三、宮原洋一(長野)清水祥三(福井)岩根秀樹(滋賀)深田健治(大阪)岡田大次郎(京都)林田芳幸(奈良)多屋昌治(和歌山)中島良太(兵庫)福田寛(島根)冨永信(山口)松本敏裕(香川)足立岳彦(愛媛)鶴秀穂(福岡)江口文明(佐賀)宮崎俊明(熊本)福田健太郎(大分)瀬川浩三(鹿児島)小橋川篤夫、大湾喜代一(沖縄)

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

お暑うございます。商売は寒いです。どちらのお店も夏の文庫フェアを開催されておられることでしょう。当店も第1弾として角川書店・集英社・新潮社を展開中です。プレゼントが人気ですが、店頭でお渡しできる集英社のハチのストラップをお客さまは喜んでくださいます。8種類あるとなると、全部集めたい、欲しいというのが人情です。わが最古参バイト・院生K君「全部わかります」と涼しい顔で申します。ささっと選んで「まず間違いないです」。私、「取り柄ちゅうもんはあるもんや」と茶々を入れました。一同「おお、ゴッドハンド」とか「ゴールドフィンガー」とか感心しておりますが、開封してみないとわからない。この稿は「すべて正解」を前提に書いております。ただのヤマ勘か幸運のなせる技か。「勘」ならそれも才能でしょうが、「運」ならこんなことで使うな、と忠告いたします。阿佐田哲也氏が、運は無限ではない、と書いています。K君、自信たっぷりですから、いらぬ心配かもしれません。指先の感覚、推理力、洞察力、判断力などを、どうか専門の化学研究で活かしてくだされ、と切に願うものです。集英社、栞も8種類で、並べると1枚の絵になって楽しいです。でも、集めるのに熱くならないでね。
顧客で、私の小学校・中学校の12年後輩という男性「戦艦ユキカゼの絵はがき、海文堂に寄贈する」と、くださいました。チンプンカンプンです。調べました。「雪風」。1940年(昭和15)完成、多くの戦いに出動、終戦まで残った唯一の駆逐艦でした。戦後は復員輸送に従事した後、中国(台湾)に引き渡され、69年(昭44)解体とか。2階海事書コーナーで展示中です。
6月のイベントでお迎えした「均一小僧」岡崎武志さんと「古本ソムリエ」山本善行さんの『新・文學入門』(工作舎)が好評、サイン本、残りわずかです。岡崎さん得意の作家似顔絵付きです。トークはお手のものの岡崎さんは「3のつく数字と3の倍数でアホになる」お笑いを交えて、「こんなモノ書きおらんやろ」と自慢なのか自戒なのか。山本さんは物静かながら、読書体験と古本の魅力を熱く語ってくださいました。エエコンビです。おふたりは高校の同級生で、書籍愛好雑誌「スムース」の同人です。最後の質疑応答の時間に、「同級生の○○です」と名乗った人がいて、両氏立ち上がって指差し、「勉強できた方の○○や」。他の同級生たちも「あ、ほんまや」と起立、会場は同窓会になってしまいました。皆さん、わざわざ大阪の京阪沿線からお越しで、ありがたいことです。

返品入帳問題の動向を注視/茨城総会

茨城県書店商業組合は5月30日午前11時から水戸市のホテルテラスザガーデン水戸で第22回通常総会を開き、組合員71名(委任状含む)が出席した。
総会の冒頭、大野豊治理事長は「組合員減少や日書連共済会解散の影響で、組合財政は厳しい状況が続いている。賦課金に頼らない方策を模索していきたい。返品入帳問題については引き続き注視していきたい」とあいさつした。
続いて大野理事長を議長に議案審議に移り、平成19年度事業報告、収支決算、平成20年度事業計画、収支予算を原案通り承認した。
このうち事業報告では①茨城県立図書館への共同販売・共同受託事業、水戸市立図書館、つくば市立図書館への共同販売事業を実施した、②商品配本、支払いサイト延長、正味引き下げ、倒産版元商品の取り扱いなど取引流通改善について日書連の動向を注視し、必要であれば意見を述べる、③茨城県立図書館事業による「子ども読書フェスティバル」「茨城読書フェスティバル」で展示即売を実施した――などの報告があった。また組織強化に関する討議の中で、財政問題に伴い大型店の組合加入について研究すべきとの意見が出た。(舘野弘広報委員)

返品入帳問題などを意見交換/群馬・水上温泉で関東ブロック会

書店関東ブロック会は7月13日午後2時から群馬・水上温泉の水上館で総会を開き、関東6県幹部と日書連から大橋信夫会長、大川哲夫専務理事など総勢22名が出席した。
今年の総会は群馬組合が設営。同組合・大澤孝輝理事長の開会の辞に続き、鈴木喜重ブロック会長があいさつ。「日書連は若者の活字離れを憂慮し、読書推進、活字文化振興に取り組んでいる。町の本屋は地域読者と顔を合わせて本をお薦めし、読書推進を図ってきた。しかし、近年は大型店が一挙に押し寄せ、地域文化を支え続けてきた町の本屋が次々と廃業している。これは日本文化にとって憂慮すべき状況。われわれは結束し、町の本屋として日本文化を支えていきたい」と述べた。
日書連・大橋会長は「昨年、組合法改正に伴い日書連定款を変更した。各都道府県組合の定款も変更しなければならず、昨年夏、組合法改正の要点を学ぶため研修会を開いた。書店を取り巻く環境が厳しい中、傘下組合員数はついにピーク時の半数を割り込んだ。多くの書店の売上は減少し、キャッシュフローも厳しくなっている。そこでこの8月、書店キャッシュフローの改善をテーマに研修会を開催する」と、日書連活動について報告した。
鈴木ブロック会長を議長に進めた議案審議では、返品入帳、組合員数減少、読書推進など、さまざまな問題が討議された。各県組合から報告された取り組みと課題は以下の通り。
〔茨城〕
この業界は不公平。返品入帳問題で送品締日と返品締日を同じにすることすらうまくいかない。日書連は取次に要望書を提出したが、回答を受けてきちんと対応しなければならない。支払サイト延長への取り組みも必要だ。
〔栃木〕
ナショナルチェーンが採算無視で出店していることが、中小書店の疲弊に拍車をかけている。書店は中高生が罪の意識なく万引きする場となっている。絵本ワールドを4年前から開催しているが、今後はより売上が増える方法を考えたい。
〔群馬〕
7月11日、高崎にヤマダ電機がオープンし、地下1階に300坪の書店を出した。オープン時のチラシに「たまったポイントで本も購入できます」として、オープン期間限定で「全品5%ポイント進呈」とうたっている。業界に与える影響を心配している。
〔埼玉〕
県央道の開設を見込んで超大型ショッピングモールが次々と完成し、大型書店が入っている。読者の食い合いで、周辺書店の経営はますます悪化している。毎年、県内福祉施設に図書寄贈を行っているが、今年は528冊を寄贈した。
〔千葉〕
役員が支部育成のため県内を回り意見交換を行った。大型書店に対して組合加入の折衝を行っている。県観光協会発行『ちば眺望100景』等を斡旋した。
返品入帳問題については徹底的な運動が必要だ。
〔神奈川〕
後継者なしで廃業する書店について、日書連が後継者を見つけるなど橋渡しできないか。組合員数減少の歯止めになると思う。日書連共済会の残余財産について有効な使い道を検討してほしいとの声が出ている。

熊本・一勝地温泉で婦人研修会/鹿児島組合

鹿児島県書店商業組合は6月12日、13日の両日、婦人研修会「第17回あじさいの会」を開催した。
この研修会は浜田智美元理事長(故人)、坂口洋右前理事長、そして井之上博忠理事長が「女性部を大切に」との趣旨で受け継いできたもの。
12日午前10時かごしま中央駅に集合。昼食は都城コーヒー館でとり、100万本のひまわり畑を見学。球磨川の流れに寄り添う小道から木立を抜けたところに、森に抱かれて佇む熊本県球磨村・一勝地温泉「かわせみ」に宿泊した。「自然との一体感を味わえた」など喜びの声があがった。
翌朝も梅雨の中休みで青空が見えた。棚田の水辺は一勝地梨の発祥地で、白い花が咲いていた。1泊2日のいい旅だった。
(県女性部会会長・山口まり子)

「声」/取次の対応に疑問/大阪市・カペラ書店・秋末勝

取次店は返品処理について真剣に対応しようとしているか疑わしい。本紙6月21日号に掲載された村上市・高橋守人氏の投稿を読んで心の底から思った。取次店はいつも、もっともらしい言い訳をして、羞恥心のかけらもない。ミスは自ら反省し、ことの詳細を報告し、今後の戒めとしなければならない。改善案を検討し、再発が起きないように自覚してこそ、企業の正しいモラルである。
クレームは原因と結果をはっきりさせることが肝要だ。高橋氏が指摘しているように、派遣やアルバイトが悪いわけではない。原因がはっきりした時点で取引先に一報を入れ、ことの顛末を自ら内外に明らかにしてこそ、企業と人の進化があると思う。
私の店も未入帳の多さに頭を悩ませていた。数週間前に返品の集品にきた運送会社に、さりげなく「東京へはすぐに転送してくれていますね」と訊ねたところ、耳を疑うような答えが返ってきた。会社の倉庫には10トン車6、7台分の返品が滞留し、日々の作業にも支障をきたしている。取次の命令で転送をストップしているのだそうだ。
この業界の取引慣習はおかしい。委託品にもかかわらず、送品は「送品主義」で送品時点で請求し、返品は「受入れ主義」。だから高橋氏のようなことが起こる。取次店の都合のよいように行われる土壌がある。
過日、大阪組合は総代会で返品入帳と請求日の同一化を決議した。取次は取引約定書を盾に、本来支払の対象から除かれるべき金額を強要している。これによる全国書店のキャッシュフローは莫大な金額になる。オーダリーな取引であれば街角の書店は必ず活性化する。一部企業の横暴を許していては将来の展望も開けない。大書店の返品処理と入帳は、ほぼ月末まで実施されているとのこと。独禁法でいう不公正取引ではないか。自信と自覚と誇りある業界になることを望む。

特別寄稿・神田村取次利用のお薦め/東京出版物卸業組合・弘正堂図書販売㈱社長・細野寛行

10年ほど前になりますが、神田神保町の再開発を機に神田村の取次「松島書店」が廃業しました。多くの書店から「松島がなくなると困る」という声があがりました。松島はコミックの補充に利用する書店が多かったのです。
実のところ、私は大した影響は無いだろうと考えていました。ところが、それ以来、神田村に来店する書店が減り始めたのです。中小書店にとって松島書店は当てにされていたのだなとつくづく思いました。それ以後、現在までに神田村からは鈴木書店をはじめ7社の取次がなくなりました。
机の周りを整理していると、日書連の報告書『書店経営者生の声』が出てきました。再度読み直してみましたが、「ほしい本が入らない」「売上げが回復しない」という悲鳴は、当時よりますます大きくなっているのではないでしょうか。自分の家の近くの書店に行き小遣いで本を買う習慣が、小さな読者が育つ条件です。本が好きになるかどうかは、子供の頃に本を読む習慣が大きく影響しています。中小書店が減少することは、小さな読者が育たない環境が増大し、読書離れ、活字離れ、活字文化の衰退に繋がっていくと危惧しています。
取次が減ったとはいえ、現在も神田村には独自の専門分野を持った18社の専門取次があります。鈴木書店の元社員が創った人文自然科学系の取次JRCも加わりました。
神田村に週2回仕入れに来る書店は「売上げは微増だがアップしている。神田に来ない近所の書店は2桁ダウン」と言います。この書店は電車で神田に来て、各取次を回り仕入れたものは弊社から一緒に配送しています。神田に来ればそれなりにいい仕入れが出来るのです。
昔はよく仕入れに来ていた書店も、代替りして仕入れに来なくなる場合もあります。むしろ、誰から聞いたのか、最近開業した書店で毎日のように仕入れに来る書店があります。初めは商品知識も無く、何が売れ筋かもわからなかったようですが、ベテランの書店から「これは売れる」「あそこに行ってごらん」と教わっていました。
神田村では客注、補充品の地方発送もやります。神田まで来られなくても、FAXで注文いただければ翌朝にはお届けできます。ぜひ一度ご利用いただきたいと思います。
神田村は大手取次ではできない補助的な役割を担いたいのです。日販の店売が葛西に移り、トーハンの店売も縮小しています。中小書店は補充に本当に困っています。太洋社が小川町に移転しましたので、松島書店がなくなってから神保町に集英社、小学館、白泉社を扱う取次が一時なくなりましたが、今では弊社が3社を扱っています。
何年か前、東京組合千代田支部の新年会で「千代田区の書店は神田村があるから恵まれている」と申し上げたことがあります。お客さんの求める在庫がないと、走って来て「伝票つけといて」と品物を抜いていくこともあります。便利に使っていただいてありがたいのですが、それだけでなく、客注も補充も速い神田村をご利用いただきたい。神田村を利用すれば売り損じが無くなり、売上げが上がります。
最近取引を始めたある書店は、補充品を棚下のストックに持っていましたが、神田村から毎日荷物が入るようになり、ストックをなくしました。在庫が減り、資金繰りが楽になったと喜んでいます。今までSブックでコミックを注文していた書店は、取引を始めてからSブックを使わなくなりました。取次翌々日搬入のSブックより当日入荷の弊社の方が便利だからです。
都内の書店で神田村を使っていない書店は、小回りが利き、機動力のある神田村の取次を使うように考えて欲しいです。本当に便利ですよ。弊社の営業車が近くを通っているのに取引していないのはもったいないと思います。
親しくしている大手出版社の部長にある書店を紹介いただいたことがあります。「大手取次からクレームがきて困りませんか」と聞いたところ、「それはない。おたくのサポートで補充も客注も速く入り、売れ損じがなくなれば、その方がいい。補完的に使うんだから問題ないし、速く入れば書店も喜ぶはず」と言われました。
大手取次も神田村もお互いの長所を尊重しながら、いろいろな形で書店をサポートし、魅力ある店作りに貢献し、その結果、本に興味を持つ読者を増やしていければいいと思うのです。これまで神田村はあまりPRが上手とは言えませんでした。日書連や東京組合、首都圏各組合と相談して、中小書店にご利用いただきやすい営業活動を展開していきたいと思います。

中国・ミャンマーに救援金

5月に起きた中国四川大地震とミャンマーサイクロンの被災者支援のため日本出版クラブが呼びかけた救援金は98社・951名から約906万円が寄せられ、7月10日、日本赤十字社に送金した。

雑誌とデジタルの融合/11月に東京で国際会議開く

日本雑誌協会は7月11日午前11時から江東区の東京ビッグサイトで記者会見を行い、11月13日、14日の両日、FIPP(国際雑誌連合)との共催により「アジア太平洋デジタル雑誌国際会議」をホテルニューオータニで開催すると発表した。大会テーマは「紙とデジタルの融合」。日本を含むアジア太平洋地域の雑誌出版社と関連企業、内外合わせて4百人が出席する。
11日の記者会見で河村有弘大会実行委員長(日経BP社)は「日本は世界でもまれな雑誌のマーケットとマンガというコンテンツ、携帯、画像処理のインフラを持っている。雑誌とデジタルの融合は世界共通のビジネステーマで、著作権問題を含め各国と率直に話し合いたい」と会議の狙いを説明。
岩本敏副委員長(小学館)は「この10年、雑誌の販売は減少の一途をたどっているが、突破口の一つがデジタル、ネットの取り組み。この大会を機に来年あたりから本格的なデジタル元年の第一歩を踏み出すのではないか。携帯を使った雑誌展開は日本独自のものがあり、日本で本日リリースされたiフォンの活用も期待できる」と大会への意欲を述べた。このあと、大久保徹副委員長(集英社)が2日間のプログラムについて説明した。

志夢ネット18店舗が出版社と交流会

7法人18店舗で運営するボランタリー・チェーン「志夢ネット」(清宮英晶社長)のオーナー、店長と版元の交流会が14日午後6時から日本出版クラブ会館で開かれ、加盟店から24名と出版社29名が出席した。
開会にあたり清宮社長は「地域のお客様に喜んでもらえることを理念に5年目を迎えた。半年前、店内に汚れた本があるので手に取るとディスカバー21の『賢人の知恵』で、志夢ネットの販売情報を調べるとラックスさんが2百冊売っていた。いい本なのでうちでも売ろうと仕入れると2カ月で百冊売れた。まるぜん書店も8百冊売った本があると調べたら主婦の友の『0円、50円、100円のめちゃうまおかず』だった。うちでもよく売れたが、ムックなのでもう返品したという。もう一度取り組み、志夢ネットで2600冊売った。従来の来た、並べた、返したの繰り返しではダメ。情熱をこめれば本は売れることを再認識した」とあいさつ。
日本書店大学田辺聡学長は「志夢ネットは書店大学を母体に精鋭が集まって16年3月に設立した。単品で見ると売上ランキングは町田・久実堂書店に匹敵する。出版界は本が好きなのは当たり前で、算盤も重要だ。今年は新しい提案が出てくることを期待している。責任販売制に踏み込んでいく原動力に」と、ネットへの期待を述べた。
この1年の取り組みを報告した田中茂雄経営企画室長は「単独店では厳しいが、夢をともにする書店が集まりボランタリー・チェーンを作った。婦人誌新年号は『すてきな奥さん』を1041部、『主婦の友』を1500部販売し、文庫もチェーン全体で数千冊売っている。良書出版社支援のため草思社応援フェアも行った」と述べた。
従業員の推薦により掘り起こし、チェーンで販売に取り組んだ「志夢ネット大賞」は、1月からの半年で1500部販売した『幽霊人命救助隊』(高野和明)の文藝春秋と、提案者の半澤浩司氏(ブックスなにわ塩釜店)、POP大賞の一清堂浦和店を表彰した。
また、年間千部以上販売した『父からの手紙』(光文社)、『交渉人』(幻冬舎)の2点も、志夢ネットサポート賞のPHP研究所、日本文芸社とともに表彰した。

人事

◇筑摩書房(6月26日)
代表取締役社長菊池明郎
代表取締役専務(編集局長・製作部担当)
○熊沢敏之
常務取締役岡本格
取締役(総務部長)
宮園功夫
同(編集局・第2編集室部長)山野浩一
同(営業局長)平川恵一
監査役浅田弘

前期売上7%の減、返品削減協力求む/太洋社すいか祭

太洋社は7月12日、文京区水道の本社で第18回すいか祭を開催し、書店123名、出版社137名が出席した。
10時10分から行われた代表あいさつで、太洋社国弘晴睦社長は「6月末で55期が終了したが、6月の91・7%が影響して前年比93・0%、443億円と最悪の結果になった。原因は分析中だが、例年より新規出店が少なく、取引先への提案もない悪い流れになってしまった。今後、原油値上がり、物価高騰、取次間の帳合変更など競争激化が予想される。太洋社では社員教育、意識改革に取り組み、多少の痛みは伴ってもお客様のためになる業界を目指したい。展示では秋葉系コミック、児童書新提案など、売場活性化の提案をした。チームマイナス6%のエコ活動への参加も決め、省エネ、ペーパーレスに取り組みたい。書店も返品削減で協力をお願いする」と述べた。
3階の特設会場には児童書、コミック&スポーツ関連書提案コーナーや太洋会増売コーナー、ecoブックコーナーが設けられ、6階には手作りPOP、SA関連コーナーを展示。ゲストとして、タレントにしおかすみこさんのミニトークが行われ、初エッセイ『化けの皮』(ゴマブックス)のサイン会には長い列ができていた。

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本屋のうちそと

「ハーゲン・ダーツのアイスクリームを買ってきて」と女房殿が日(のたま)う。
向暑の午後の配達は、クーラーを掛けていると発進・停止とドアーの開閉の繰り返しでコンプレッサーが軋みを上げている。車検と諸税を込みで中古車を自動車修理業の友人から2年前に12万円で購入したものだが、オーバーヒートによるエンジン停止と燃費効率が悪くなることを恐れて、窓を全開で走行している。3時を過ぎて、西日が運転席に差し込みだすと、汗が風による気化を超えて噴出す。つまり、配達を終える頃は蓄熱による脱水気味となることから、女房殿の依頼は渡りに船の話だ。
彼女によれば、セブンイレブンで買ってくるようにとの事。他のコンビにでは売っていないのかどうかは詳らかではないので、従順に買いに行くと駐車場が満車だ。帰る道すがら他のセブンイレブンがあった事を思い出し、そちらへ廻って買ってきた。
セブンイレブンは、数年前まで関西圏に進出をしていなかった。2、3年前までは当地で2軒ほどであったが、この1年で驚くほど出店している。ドミナント出店と言って、一店舗当たりの輸送コストの低減を目指すものだが、他方では自社競合(カニバリズム)を生み出す。
また、CO2の削減によるエコロジカルを追求すると、快適さや利便性(コンビニエンス)が損なわれる。コンビニエンスを支える利潤率を追求すると、他社との自由競争どころか身内の共食い(カニバリズム)が始まる。
女房殿の尻に敷かれて、毎日を走り回るナチョラルな生活が一番だと思っている。 (井蛙堂)