全国書店新聞
             

平成20年5月21日号

出版は文化の要/文字活字の力を再認識/出版人大会

出版業界の春の祭典「第47回全出版人大会」が5月9日午後3時から千代田区のホテルニューオータニで開かれた。出版人大会では「急激な国際化や高度情報化社会が進むが、出版人は日本文化の担い手として出版事業に誇りを持ち、文字・活字を守っていこう」とする大会声明を採択したほか、長寿者26名と永年勤続者449名を表彰した。
第1部式典は野間佐和子大会会長(講談社)が「長寿者、永年勤続者は長年にわたり出版文化の発展に寄与されたことに敬意を表し深く感謝します。デジタル化の進展でメディアの多様化が進み、読書のありようは大きな変化が現れていますが、活字は多様な文化の基軸であり、次の世代に引き継いでいくことが出版人の責務です。昨年は文字・活字文化推進機構も発足しました。出版人の自覚と決意を新たにしていきたい」とあいさつ。
続いて村松邦彦大会委員長(主婦の友社)は「戦後、日本は軍事力を放棄し、驚異的な発展をとげた。日本独自の文化をみつめ、経済大国から文化大国へ国をあげて文化力の向上を」と述べ、大会声明を朗読。拍手で今年の声明を採択した。
来賓として長尾真国立国会図書館長、池坊保子文部科学副大臣が祝辞を述べ、福田首相のメッセージが代読された。
長寿者祝賀は26名。相賀昌宏大会副会長(小学館)から寿詞と記念品が贈呈されたあと、長寿者を代表して須田昌夫光文社顧問が謝辞。昭和36年に光文社に入社以来、販売と編集の両方を経験し、昭和天皇訪米時には同行取材した思い出などを語った。
永年勤続者は449名が表彰され、小峰紀雄大会副会長(小峰書店)の祝辞に続いて、番沢仁識氏(大修館書店)が謝辞を述べた。
大 会 声 明(要旨)
21世紀の今日、世界は混沌とした様相を呈し、食糧危機、格差社会、地球温暖化、環境破壊など、科学技術の発達は豊かな社会を生むと同時に、新たに負の問題を人類に突きつけています。急激な高度成長は歪みを生み、地球全体の行く末に暗い影を落としています。数世紀にわたって営んできた人々の英知が進歩という呪縛に縛られ、いまや崩壊の危機にさらされています。戦後、日本社会は大きな復興をとげ、経済大国に成長し、まれに見る平等社会を実現しました。しかし90年代に起こったIT革命は急速な国際化や高度情報化社会というかつて経験しなかった事態をもたらしました。日本は、政治、経済、文化など様々な分野で、有効な解決策を模索している状況です。
出版界もまた、「活字離れ」の問題、Webメディア開発、携帯電話などモバイル情報伝達手段の急速な発展の対応に苦慮しています。しかし、いかなるメディアといえども日本語で表現されます。紀記万葉の時代から私たちの租先は、「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の三種類の表記を組み合わせ、物語、小説はもとより和歌、俳句のような簡潔で凝縮した文学表現を生み出してきました。本年は、「源氏物語」が誕生千年紀を迎えます。「源氏物語」は、卓越した文学作品であるばかりでなく、その後、文学、美術、工芸など日本文化を形成するうえで重要な源泉となりました。私たちは、こうした世界に類のないユニークな日本文化の担い手としての出版事業というものを改めて認識し、誇りたいと思います。
昨年10月には「文字・活字文化推進機構」が設立され、出版界、新聞界を中心に、広く経済界、労働界などの参画を得て、国民運動として発足いたしました。設立趣旨には、「文化や歴史の基盤である日本語を深く理解し、表現力や思考力を持った人材を育てることは、健全な民主主義の発展にとって必須の条件」と唱いあげています。
私たちはこれを心にとめ「文化国家」の基礎を築く良質な出版物を世に送り続ける崇高な志とそのための努力を持続します。時代がどのように移り変わろうと、人間の持つ心の真実は容易に変容することはありません。知力と活力に溢れた社会を創造することは、出版人の永遠に変わらぬ使命と誓い、大会声明といたします。

特賞タイの旅/春の書店くじ合同抽選会

第12回春の書店くじ、第15回雑誌出版社共同懸賞の合同抽選会が5月8日夕、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれた。
抽選会は日書連大橋信夫会長から春の書店くじキャンペーンに協力いただいた関係各社に御礼のあいさつがあった後、舩坂良雄増売委員長が今年のキャンペーンを報告。「心が揺れた1冊の本」は2万859通、「本のある風景」は243点、「本の川柳」は9908句の応募があったと紹介し、「秋のくじ特賞は図書カードに変更する。良い意見をどんどん取り入れていきたい」と述べた。続いて書協田中光則事務局長が「本の川柳」選考経過を発表。グランプリの「読書には賞味期限はありません」は、「賞味期限問題を風刺すると同時に本の良さを歌いこんだ」と選評した。
雑誌共同懸賞は出席者から日販・小泉訓行氏、リクルート・平田直大氏がA賞、B賞各10名の当選者を選んだ。春の書店くじ抽選は名女川勝彦文藝春秋取締役、林保栗田取締役ら5名がボウガンで当選番号を決めていった。このあと、雑協浜田博信常務理事が「キャンペーンがますます盛大になり書店の売上げにつながるよう願っている」と述べ乾杯。懇親会に移った。

5月29日に第20回日書連通常総会

日書連は5月29日午前11時から東京・飯田橋のホテルエドモントで第20回通常総会を開催し、平成19年度事業報告・決算報告、平成20年度事業計画・予算案などを審議する。
前日28日は午前11時から書店会館で定例理事会。午後4時から出版小売業公正取引協議会の通常総会を開催する。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

三宮にある書店組合(三宮ブックス内)で取材かたがた村田耕平事務局長に古い資料を見せていただきました。昭和30年の「日本出版物小売業組合全国連合会」の名簿、関係者が古書店で入手されたものだそうです。「兵庫縣神戸市」1ページのコピーを頂戴しました。当時の加入書店33店、存続しているのは8店、半世紀以上たってのこの数字を皆さんはどう判断されるでしょう。中央区(旧生田区)では海文堂と宝文館のみ、まさしく絶滅危惧種です。
消えてしまったモノを再び甦らせるのは至難のことです。昔『酒場の絵本』をお仲間と自費出版された顧客の方、今は亡き酒場の「ハイボール」を復活させたいという思いで、元町にバーを開かれました。その名も「BarHeaven」。「洋酒天国」とか「酔っ払い天国」と言われますが、楽しいお酒は天国そのものです。かつての名人から引き継いだ秘伝とは、高い酒でも名水でもなく、グラスを丹念に麻布でぬぐうこと。酒を注ぐ前に、毎日何百何千のグラスを磨き続けること。人生に通じるいい話です。
名人と新マスターに敬意を表してか、わが酔いどれ店長企画フェアは「酒とつまみ~ちょっとつまんで、一杯やっか~」。私生活そのままやんか。酒呑みお気楽雑誌「酒とつまみ」編集部が公認と推薦をしてくれています。店長曰く「いつ飲んでも酒はええなあ。女はやっかいやけど、酒はいっこも文句言わんとすぐええ気持ちにさせてくれるからなあ」。おバカフェアでお客さんも大喜びですから、ますます調子に乗ります。開催前に「酒つま」HPを見た美女が、「まだですかー?」。相当の変人酒豪とお見受けいたしました。
定期的に訪問してくれる営業マンとは、仕事ならぬ呑み会、否、営業会議をしております。割り勘・立ち呑み・手酌・仰山呑んだモン勝ち・泥酔支払い不能翌日精算可というデスマッチ・ルールを採用しています。「誰の挑戦でも受ける」「誰がいちばん泥酔するか決着つけたる」というストロングスタイル呑み会、否、営業会議に参加を募ります。
さて、ゴールデンウィークぶちぬきの「古本市」はおかげさまで盛況のうちに終了しました。永年の夢を実現した店長、「いつ死んでもエエ」と。こういう輩は長命です。ぜひとも継続してくだされ。催しがすんでから必ず「もう終わった?」と来られる方々がいらっしゃいます。さきの営業会議常連、大阪のT出版Kさん、訪問日がちょうど開催前日で、準備中の会場を見学して、「ゆっくり見に来ます」。ほんまにゆっくりで、終了して3日目に来はりました。

SJフェスのチャリティ売上102万円/愛知理事会

愛知県書店商業組合(谷口正明理事長)は4月25日に理事会を開催した。
冒頭、5月総会に向けての方針を発表。読者にとって安心できる自費出版の提供と、仲間卸し証の発行など、組合員のメリットづくりをしようと提案した。
サン・ジョルディフェスティバル名古屋については、チャリティ売上102万円余りがあり、一部を中日新聞社社会事業団に寄託。今回は初の試みとして、生徒数の少ない小中学校(50人以下)へ本の寄贈をしたいと発表した。
また、組合ブースにて「中学生はこれを読め!」関連企画として、クイズ「私はだれでしょう」という作家名当てイベントを催したところ、2日間で216名の応募があった。JPIC読書アドバイザーと組合書店員らのステージ出演も好評だった。
(榊原壮一広報委員)

九州出版界ボウリング大会

九州出版界主催によるボウリング大会が5月10日、福岡県福岡市城南区の七隈ファミリーボウルで、出版社、取次、書店、運輸の合計24チームが参加して行われた。団体の部の優勝は福岡金文堂、準優勝は天龍運輸。ブービー賞は福岡県書店商業組合だった。ゲーム終了後の表彰式は和気あいあいの雰囲気の中で行われた。(事務局・安重裕)

井上理事長の新体制発足/副理事長に平井氏ら3名/神奈川

神奈川県書店商業組合は5月13日、横浜市社会福祉会館で理事会を開催した。
同組合では長谷川理事長が3月末日をもって「一身上の理由により」辞任したことを受け、4月12日の理事会で井上俊夫氏(井上書房)を新理事長に選出。併せて副理事長に平井弘一(平井書店)、堀護(宮崎台書店)、岩下寛治(岩下書店)の3氏を選任している。
5月理事会の席上、井上理事長は就任あいさつを行い、以下の議題を討議した。
1、総会日程が決定。8月12日に横浜市の神奈川平和会館で開催し、懇親会を中華街の順海閣で行う。
2、ポイントカードを書籍にも使えるようにする動きが各地であり問題となっている。出版社は特別の注意を払っていないので、書店が中心となって問題提起する必要がある。出版社から読者への直接値引き販売も増えている。昨年の日書連総会でも問題となった。
3、神奈川県の夏の推薦図書が6月15日に各書店に入荷する。拡売をお願いしたい。
4、幼稚園児を対象にした「大好きな本絵画コンテスト」は750通の申し込みがあった。8月に表彰式を行う。
5、神奈川組合ホームページ「honkana.net」(http://books.honkana.net/)を開設した。
(平井弘一広報委員)

現行19支部制は堅持/ブロック新設案で強調/東京組合

東京都書店商業組合は5月8日、書店会館で定例理事会を開き、先月理事会で組織委員会が提示した組織改革案について討議した。
組織改革案は①現在の支部構成(現行19支部制)は変更せずに維持する、②近接支部を統率する機関として「ブロック」を設け、理事選出及び支部間の交流の促進を図る、③理事選出にあたり、理事会推薦枠を設ける――が骨子。都内23区(16支部)を4ブロック、多摩地区(3支部)を1つのブロックとし、東京組合を以下の5ブロック制とする。▽第1ブロック=千代田、中央、港・渋谷、新宿支部▽第2ブロック=文京、台東、豊島・練馬、板橋、北支部▽第3ブロック=品川、大田、目黒・世田谷、中野・杉並支部▽第4ブロック=荒川・足立、墨田・葛飾、江東・江戸川支部▽第5ブロック=武蔵野、立川、八王子支部。
組織委員会は同提案について広く各支部および組合員の意見を聞くため、4月24日付でアンケートを実施。今後の支部会および支部総会で意見集約するよう求めた。ここで集約された意見をもとに支部長会で討議する予定。
小泉忠男副理事長は「寄せられた意見をみると、まだ誤解がある。支部をなくしてブロック制に移行するのではない。港・渋谷のような2行政区による支部を分割することもない。現行19支部を維持しつつ5つのブロックに集約することで、支部活動を活性化することが目的。組合員減少等で行き詰まっている支部も実際にあり、このまま放置すれば現行支部体制が崩壊しかねないという危機感から考えた改革案だ」と強調し、各支部長にいま一度趣旨徹底を図るよう求めた。

県の図書予算40%カットの通達/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合は4月15日、神戸市エスカル神戸で4月度定例理事会を開催した。
委員会報告では、財務・図書館事業委員会より、過日県立図書館との話し合いの中で、本年度兵庫県下で開かれる「全国図書館大会」への協賛の依頼があった。また、財政難に喘ぐ兵庫県の事業費が一律30%カットされることに伴い、図書予算についても40%カットする旨通達があったことを報告した。
支部報告では、第1支部より、阪神御影駅前クラッセ御影にメトロ書店がオープンしたと報告された。第3支部からは、コーナンブックスがコーナン尼崎道意店内にオープンしたことと、角川書店より5月30日に発売される「尼崎ウォーカー」の増売を決めたことの報告があった。また、テレビで放映される万引特集について、放送されていた手口をまねる被害が増えており、テレビ放映の善し悪しと、万引対策について意見を求める声があった。
(中島良太広報委員)

出版販売金額3.1%の減/雑誌は10年連続のマイナス/出版指標年報

出版科学研究所が発行した『2008出版指標年報』によると、2007年の取次ルートを経由した出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は前年比3・1%減の2兆853億円となり、3年連続で前年を下回った。内訳は、書籍が3・2%減の9026億円、雑誌が3・1%減の1兆1827億円。書籍は「ハリポタ」などで好調だった前年の反動に加え、低価格商品に需要がシフトした影響で落ち込んだ。雑誌は10年連続の前年割れとなった。
〔教養新書とケータイ小説が好調/書籍〕
書籍の推定販売金額は9026億円で、前年比3・2%減。一方、推定販売部数は7億5542万冊で前年とほぼ同じだった。これは、06年に『ハリー・ポッターと謎のプリンス(上・下)』が刊行された反動に加え、教養新書、ケータイ小説、文庫本など低価格商品に売行き良好書が多かったため、部数に比べ金額が伸び悩んだのが主な要因とみられる。
金額返品率は39・4%と前年比1・2ポイント悪化した。06年は買切条件のハリポタが刊行されて土台が低くなったことと、好調だった文庫・新書等に比べて値段が比較的高い商品の売行きが鈍化したことが影響した。
新刊点数は7万7417点、前年比0・4%減で、前年を下回ったのは8年ぶり。流通ルート別の内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が1・5%増の5万8301点。06年は1・3%減で歯止めがかかったと見られたロット配本の新刊点数は、再び増加に転じた。注文扱いの新刊は5・8%減の1万9116点だった。
新刊推定発行部数は0・6%増の4億405万冊だが、初版200万部で刊行されたハリポタを除くと1%程度の増加。新刊1点当たりの発行部数は5200冊で、05年から横ばいで推移している。新刊平均価格は1152円と22円(1・9%)下落した。
ミリオンセラーは累計210万部の『女性の品格』を筆頭に4点で、06年と同数だった。07年は教養新書とケータイ小説が非常に売れ、年間売行き良好書ベスト30には教養新書が9点、ケータイ小説が5点ランクインした。メディア露出のあったものやドラマ・映画原作本が突出して売れる現象が07年も継続。中高年向けの健康・生き方関連書が安定した人気だったほか、タレントの自伝風小説や名作古典の新訳が売れた。
07年単行本ベスト10は以下の通り。
①女性の品格/坂東眞理子/PHP研究所②ホームレス中学生/田村裕/ワニブックス③鈍感力/渡辺淳一/集英社④日本人のしきたり/飯倉晴武/青春出版社⑤新・人間革命(17)/池田大作/聖教新聞社⑥ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説/関暁夫/竹書房⑦恋空(上・下)/美嘉/スターツ出版⑧国家の品格/藤原正彦/新潮社⑨赤い糸(上・下)/メイ/ゴマブックス⑩君空/美嘉/スターツ出版
〔休刊誌が過去最多の218点に〕
雑誌の推定販売金額は1兆1827億円、前年比3・1%減で、10年連続の減少となった。内訳は、月刊誌が4・1%減の9130億円、週刊誌が0・8%増の2698億円。週刊誌が前年を上回ったのは分冊百科の好調によるもので、既存の週刊誌は約2%の減少。インターネットをはじめとした他メディアとの競合、中小書店の廃業による販売拠点の減少、若者人口の減少といった販売環境の悪化に加え、07年は年間を通して売れ筋の核となるものを欠いたことが不振につながった。創刊誌もほとんどが苦戦を強いられた。
推定販売部数は3・2%減の26億1269万冊となった。内訳は、月刊誌が4・0%減の17億2339万冊、週刊誌が1・6%減の8億8930万冊。金額返品率は、月刊誌が0・9ポイント上昇して36・7%、週刊誌が0・1ポイント上昇して29・5%だった。
創復刊点数は182点で前年より21点(13・0%)の増加。主な創刊誌は『AneCan』(小学館)、『GRACE』(世界文化社)、『クロワッサンPremium』(マガジンハウス)、『コミックチャージ』(角川書店)、『ジャンプSQ.』(集英社)など。分冊百科は前年より7点増の24点が創刊(定期誌のみ)。中高年向け教養・カルチャー系がヒットしたほか、DVDやグッズの付いた高額の分冊百科が多数創刊され、発行・販売金額面で大きく貢献した。
一方、休廃刊点数は51点(30・5%)増の218点で、出版科研が出版統計を取り始めて以来最多となった。出版社の倒産や分冊百科の完結も点数増の一因となっているが、『ダカーポ』『月刊少年ジャンプ』など名のある雑誌の休刊も目立った。
部門別動向を見ると、経済は株式投資関連誌が大きく下降したが、ビジネス総合誌はお金や生活への不安に絡んだ特集を組んで好調だった。ムックは新刊点数が増加し販売効率がさらに悪化。コミックスは映像化作品にメガヒットが少なく前年割れとなった。

『2008出版指標年報』
B5判404頁、頒価1万2千円。申込みは出版科学研究所まで。℡03―3269―1379、FAX03―3266―1855

実売前期比95.86%に/07年下期ABC発行社レポート

日本ABC協会は2007年下半期雑誌発行社レポートを発表した。53社150誌の前年同期比指数は週刊誌93・31%、月刊誌97・12%で、合計95・86%。このうち主要52誌を一覧にしたのが別表。
総合週刊誌では07年上期と比べて下期に販売部数が伸びたのは『週刊朝日』、『週刊新潮』、『週刊文春』『ニューズウイーク日本版』の4誌。『週刊新潮』は2万2千部、『週刊文春』は3万3千部伸ばし、『週刊ポスト』『週刊現代』に水をあけた。
女性週刊誌は『週刊女性』が前期の21万5千部から今期は21万6千部と若干増加したものの、『女性自身』『女性セブン』の2誌はマイナス基調が続いている。
月刊誌では女性ヤング誌の『CanCam』が前期の52万4千部から今期は45万7千部と大幅な減少。『non・no』も34万4千部から30万4千部へと部数を落とした。年齢が少し上の『with』は35万7千部から37万3千部へ回復したが『MORE』は41万4千部から39万3千部へ2万部減。不景気を反映してか生活実用情報誌の『ESSE』は37万8千部から43万4千部に大幅増。

新刊と季節セット送品/河出書房「おとなの塗り絵」

河出書房新社は累計240万部突破の「大人の塗り絵シリーズ」販売プログラムを5月から来年4月末まで展開する。
プログラムに申し込むと、「おとなの塗り絵」新刊を必ず配本するほか、時期に合わせた売れ行き良好書セット(6点各3冊程度)を送品。5月・8月・11月・2月の年4回、陳列ケース入りセットを届ける。出荷条件は新刊・追送分が委託、陳列ケース入りセットが3カ月延勘。特別報奨として新刊を含む「大人の塗り絵」全点に2%の報奨が付く。
陳列ケース入りセットは大判セット、ポストカードセットとも4点各5冊。新しいセットが来れば前回の商品と入れ替えることにより、季節に応じた新しいアイテムで売場の活性化が図れる。
5月のケース入りセットは大判が『夏の花編』『北海道の風景編』『花とフルーツ編』『日本の田園風景編』の4点、ポストカードは『夏の花と実』『夏の花の妖精編』『なつかしの風景編』『元気なピーターラビット編』の4点。
同シリーズ37点のうち、発行部数トップは『美しい花編』で68刷41万部となっている。

角屋正隆氏お別れの会

トーハン元取締役社長の角屋正隆氏は去る4月29日、老衰のため逝去した。93歳。葬儀は近親者により5月3日に密葬として営まれた。「お別れの会」が6月3日(火)午前11時半より13時まで帝国ホテル孔雀の間で行なわれる。
お別れの会委員長はトーハン上瀧博正代表取締役会長。喪主は長男の角屋隆之(たかゆき)氏。香典・供花・供物は辞退。出席は平服で。

参考図書

◆『韓国の出版事情ガイド』
舘野晳・文ヨンジュ共著、①韓国の出版事情(06年版)、②同(08年版)の2分冊セット。セット本体定価2400円、分売不可。出版メディアパル刊。
06年5月に出版した『韓国の出版事情ガイド』は大きな反響を呼んだ。同書の出版後、韓国では新・再販制度にあたる「出版文化産業振興法」が制定され、刊行後18カ月までの出版物は1割引販売を認めたが、ネット書店はさらに10%の割引クーポン、マイレージが可能になった。再販制度をめぐって揺れる韓国の最新事情を探った書。
◆『書店員の実務教育読本』
「書店再生の道は、日常業務の工夫の積み重ねから生まれる」と説く出版コンサルタント・能勢仁氏が全国の書店人に贈る書店員教育の実務書。05年4月に復刻した『本と読者をつなぐ知恵』の新装版に、新しく書き起こした『書店員の実務教育』を増補し、2分冊セットとした。四六判並製2分冊、総頁352頁、セット本体定価2400円。分売不可。出版メディアパル発行。
◆『小学生のための読書ブックガイド』
日本児童図書出版協会は「別冊・こどもの本」として『小学生のための読書ブックガイド2008年版』を発行した。昨年1月号から12月号に掲載した新刊2279点から「朝読」や「家読」に適したものを低学年・中学年・高学年のグレード別に232点紹介。巻頭には会員各社のすすめるロングセラーを掲載した。

本屋のうちそと

今春から、二人の子供が勤務を始めた。
娘は親元からの通勤で、初めてラッシュアワーの経験に面食らい、1カ月経っても馴染めていないようだ。
息子は本社勤務となり、独身寮に入居した。大学の下宿の時と違い、食事が保障され、美味しいと気に入っている様子で、5月の連休に帰省した際には腹回りが出てきていた。
1カ月のことながら、顔付きが学生のそれから社会人の雰囲気に変わって、言葉遣いや話題に変化が見られることに親として喜びがある。
二人が初任給を合わせて、私にポロシャツ、妻にはスカーフをプレゼントしてくれ、10月の銀婚式には兄妹で店番をするからと、年中無休の夫婦に温泉旅行を提案してくれた。妻は舞い上がらんばかりの感激だ。
麗しい話はここまでで、娘は仕事柄連休中も勤務なのだが、息子はろくすっぽ家にいつかない。京都へ行ってくると出かけ、携帯電話も繋がらない。就職浪人をしている友人と遊び回っている様子。メールを入れてみると、連休最終の6日夕方に、ゼミの教授宅にいるとの連絡。当人は当日中に寮まで戻る時間を調べていたようだが、心配の種は尽きない。
閉店後帰宅してみると、私の本棚からポール・ケネディの『大国の興亡』上下二巻を借りていくとのメモに、心配を掛けましたと添え書きが残されていた。
(井蛙堂)