全国書店新聞
             

平成26年11月1日号

BOOK EXPO 2014/11月11日に大阪で大商談会

第4回を迎える大阪の大商談会「BOOKEXPO2014秋の陣」は、「魅せろ!書店魂」をサブテーマとして、大阪市北区の「グランフロント大阪」に会場を移して開催されます。
今回は、過去最大の224社・227ブースでの開催。一般書、児童書、コミック、第三商材のコーナーが設けられ、商談や貴重な情報交換の場となります。また、スタンプラリーとアンケートの回答者には先着5百名にBOOKEXPOオリジナル図書カード5百円を進呈。ぜひ会場にお越しください。
▽日時2014年11月11日(火)10時30分~18時〔10時受付開始、10時15分からセレモニーを開催〕
▽会場グランフロント大阪地下2階「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」(JR・大阪駅、地下鉄御堂筋線・梅田駅、阪急・梅田駅より徒歩3分、阪神・梅田駅より徒歩6分)
▽出展224社・227ブース
▽主催「BOOKEXPO2014」実行委員会(構成=書店、取次会社、出版社)
▽問い合わせ帳合の取次担当者または「BOOKEXPO2014」実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=JPIC)まで。℡03―5211―7282FAX03―5211―7285

売上げ増やす販売戦略学ぶ/書店経営・販売研修会を開催/日書連

日書連は10月21日、22日の2日間、東京・文京区の東京ガーデンパレスで「日書連書店経営・販売研修会」を開催し、日書連役員、都道府県組合役員ら40名余りが出席した。全国中小企業団体中央会の連合会等研修事業として実施したもので、広報委員会が企画。書店経営のチェックポイントや出版物に軽減税率が適用された場合の店頭実務、神田村を活用した品揃えの強化、実用書の効果的販売など、書店の売上増につながる販売戦略を学んだ。
研修会は広報委員会の大石宏典委員の総合司会で進行。初日の冒頭、舩坂良雄会長があいさつし、「売上減少と後継者不足で廃業に歯止めがかからない。日書連は現在、外商雑誌の買切による報奨金で書店収益の改善を目指す『書店再生のための提案』を推進している。マージンを増やすことで外商をやっている組合加入書店の経営基盤を整備し、書店を継続できる環境を作る。実績を作ってから、店売についても施策を考えたい」と、日書連が売上増と利益増のために取り組んでいる重点施策を説明した。
このあとノセ事務所代表の能勢仁氏が「書店経営のチェックポイント」、藤曲税理士事務所所長の藤曲武美氏が「出版物への消費税軽減税率適用と店頭実務について」、弘正堂図書販売社長の細野寛行氏が「専門取次『神田村』を活用した品揃えの強化」と題してそれぞれ講演した。
能勢氏は、①文庫②実用書③児童書④文芸――が書店の4本柱だとして、「書店はそれぞれ強みに応じて特色を持ってほしい。特定の分野を伸ばし、地域で独自の地位を築くことが書店の生きる道」と強調。「利益の源泉は接客。商人としてお客様に誠を持つことが利益につながる」と締めくくった。
藤曲氏は、消費税を巡る政界の動きや諸外国における軽減税率の状況、わが国で軽減税率が導入される場合に考えられる方法、店頭実務への影響について解説。4月の消費税8%引き上げ後、景気回復がもたついていることから、来年10月に予定される10%引き上げが先延ばしになる可能性もあるとした上で、「なぜ出版物に軽減税率が必要か、今から考えておきたい。欧州は活字文化を重視していることから軽減税率は一般的。出版市場の縮小と活字文化の衰退を避けるため、日本でも軽減税率は効果がある」と指摘した。
細野氏は、東京・神田の専門取次18社から成る神田村の特色と利用法について説明。「神田村の各取次は得意な版元に特化しているため商品力が強く、きめ細かな、小回りの利くサービスを提供できる。欲しい新刊が入荷しない、客注、棚の補充が遅いなどで困っている書店は、ぜひ利用してほしい」と呼びかけ、「神田村を使えばアマゾンに負けない」と力説した。
2日目は遊友出版社長の齋藤一郎氏が「実用書の効果的販売と売れるお店の棚作り」と題して講演。「新書を低価格の単行本と位置付けて混ぜて並べたい。レジ回りを有効活用したり、机や椅子を使った小スペースでのブックフェアも効果的」など、齋藤氏がこれまで営業で回った各書店の事例をあげながら説明した。
このあとパネルディスカッション及び参加者全員による討論会を行い、研修成果を検証した。パネルディスカッションでは、広報委員会・面屋龍延委員長がコーディネーターを務め、同・佐藤光弘委員、同・吉田徳一郎委員、同・光永和史委員、同・大石宏典委員のパネリスト4氏が2日間の各講義について考えを述べた。
都道府県組合役員が加わった討論会では、「オンライン書店が値引きした書籍を無料配送することを禁じる『反アマゾン法』がフランスで成立した。日本も地域書店が中心となり議員に働きかけて導入を目指すべき」(大阪・萩原浩司氏)、「個店の力には限界がある。鹿児島、熊本、宮崎の南九州地区3県のトーハン会が合同で販売コンクールを行ったところ成果があがった」(熊本・宮崎容一氏)、「電子書籍は紙の本と対立するものではなく、販売チャンネルが1つ増えたと思っている。当店でも店頭で電子書籍の販売を行っている」(鳥取・井澤尚之氏)、「中小出版社や神田村と連携を強め、街の書店が生き残れる体制を作りたい」(千葉・植田栄一氏)、「若い書店人の力を組合活動に取り入れるため青年部を作った」(大分・大隈智昭氏)などの意見が出た。
続いて面屋委員長が研修会全体のまとめを行い、まず機関紙として全国書店新聞が果たしている役割の重要性を強調。機関紙を通して提供する日書連および各都道府県組合の活動状況に関する情報が組合加入書店に利益をもたらしていると指摘した。
そして、中小書店から大型書店まで書店業界全体が競争原理により疲弊している現状に危機感を示し、「勉強しなければ窮状を乗り越えることはできない。各都道府県組合や各ブロック会でも中央会などの制度を利用して積極的に研修会を行ってほしい。その成果を持ち寄って、話し合いの場を持ちたい」と述べた。
最後に佐藤光弘委員が「今回の研修会の成果を売上増につながる販売戦略の構築に活かしてほしい」とあいさつし、閉会した。

トーハン、アマゾンと取引開始/来年1月より

トーハンは10月27日、アマゾンジャパンと来年1月より新たに取引を開始すると発表した。
取引を開始するジャンルは雑誌、コミックスの新刊。書籍全般、注文品全般については取引対象外。取引開始日は来年1月7日発売商品より。

日販「違約金支払わない」/出版協加盟4社、回答に声明発表

日本出版者協議会(出版協)に加盟するあけび書房、彩流社、大蔵出版、リベルタ出版の4社は9月26日、東京・文京区の文京区民センターで会見を開催。日販に違約金を請求していた問題で日販から支払わないとする回答があったことを受け声明を発表した。
4社は、アマゾンが学生を対象に実施している10%のポイントサービス「AmazonStudentProgram」から自社書籍を除外するよう日販がアマゾンに指導することを求めてきたが、日販が指導しないのは版元各社と結んでいる再販売価格維持契約に違反するとして、違約金の支払いを求めたもの。
日販は8月21日付の回答で「契約第3条又は第4条には違反しておりません」とし、「ポイント付与が再販契約違反に該当するか否かは、多様な解釈規準があり、StudentProgramのポイント付与が違反か判断するのは困難」との考えを示して、アマゾンへの指導と4社への違約金の支払いはできないとの態度を明らかにした。
4社は声明で「ポイント付与が値引き否かの判断をするのはあくまでも版元」と指摘し、StudentProgramのポイントサービスが明らかな値引き行為であるにもかかわらず判断を回避することは「再販売契約に基づき書店の値引き行為を禁止・指導する責務を放棄」し、「値引き行為を容認し、再販制度の崩壊を助長する行為」と批判。「値引きを容認しない版元の意思を取次が書店に強力に指導する体制を維持することが出版界の直面する危機を最小限に留める道」と強調した。

次期会長に大垣守弘氏/「地方書店の経営継続を支援」/書店新風会

書店新風会は10月2日、鳥取県米子市の本の学校今井ブックセンターで第55回地方総会「山陰総会」を開き、会員書店27名をはじめ出版社88名、取次8名など総勢131名が出席した。今井書店(中尾行雄社長)が幹事店を務めた。
初めに会員書店のみによる総会を開催。大垣守弘副会長(大垣書店)の次期会長就任を決めた。大垣氏は第12代会長。来年1月開催の新年総会で会長に就任する。また、次回の地方総会を2015年10月8日、9日、山梨県甲府市で開催することを決めた。
大垣副会長は「歴史と伝統を引き継ぎ、地方の書店が経営を続けられるよう支援できる会にしたい。情報交換、経営研究、親睦、販売を柱に、会員書店が1法人でも増えるよう活動する」と抱負を語った。
続いて「いま、改めて『書店協業化』の可能性を探る」と題してシンポジウムを行い、本の学校の星野渉副理事長をコーディネーターに、ネット21の田中淳一郎社長、大田丸の丸岡弘二取締役(廣文館社長)、書店新風会ICTハイブリッド型書店実践委員会の高須大輔委員長、今井書店店売本部青杏+グループの増原裕子グループ長の4氏が討論した。
今井書店錦町店で臨店研修を行った後、米子ワシントンホテルプラザで懇親会を開催。高須博久会長(豊川堂)は会長職を務めた2期4年を振り返り、「若い人にバトンタッチし、後方から見守りたい」と退任のあいさつを述べた。このあと高須会長に招かれて登壇した次期会長の大垣氏が抱負を述べた。博文館新社の大橋一弘社長があいさつし、トーハンの藤井武彦社長の発声で乾杯した。

西村内閣府副大臣を訪問/軽減税率適用を要望

日書連の舩坂良雄会長と志賀健一理事は10月10日、東京・千代田区の内閣府に西村康稔内閣府副大臣(自民、衆・兵庫9区)を訪ね、出版物への軽減税率適用を要望した。
舩坂会長は「文字・活字文化はわが国の文化を守るために必要なもの。全国で署名運動を行って20万近い署名を集め、議員への陳情を続けている。出版4団体で声明文も発表した。消費税10%引き上げの際は出版物に軽減税率を適用し、5%にしていただきたい」と求めた。
これに対し、西村内閣府副大臣は「軽減税率は税率10%時に導入することで公明党と合意しているが、自民党内には標準税率が欧州諸国並みになった時に導入という意見もある。ただ、4月の8%引き上げ後、特に地方で景気が厳しい状況にあることも考慮しなければならない」と述べた。

生活実用書/注目的新刊

星旦二著『ピンピンコロリの法則[改訂版]~「おでかけ好き」は長寿の秘訣』(ワニブックスPLUS新書121800円)は2010年に発売された同名の本の改訂版である。この4年間で一番変わったのは、日本の男性の寿命が低下したことだが、それは心の健康を失って、毎日平均約95人が自殺している事実が主な原因というから、なんだかとてもやるせない。
大学院教授で医学博士の著者が地方自治体と協同で行った大規模な追跡調査の結果が随所にグラフ化されている。
これまでの健康常識を覆す結果も多く、たとえば都市高齢者1万3千人を3年間追跡した調査では、男性は毎日飲酒する群が最も死亡率が低く女性は週に1~2回飲む群が同様で、最も死亡率が高いのは不思議なことに飲まない群だった。この中には酒の飲めない人が含まれるため、一概には言えないのだが、適度なお酒はからだに良いらしい。
さらに、健康診断の結果はそんなに重要?とも問いかける。血圧も180/110が妥当な基準値で、同じように1・3万人を6年間追跡の結果、治療の有無で生存率に全く差はなかったのである。
総コレステロール値も高い方が長生きだし、メタボと心臓病の関係など考える必要もないという。 健康の基板は、何と言っても「心」である。
年をとっても元気でいるピンピンコロリの人生を目指そうと著者は語りかける。巻末には、あなたの健康・長生き度チェックテストが20問。
健康でいられればそれに越したことはないが、病気が突然やってくることもある。
近藤誠著『近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか?』(光文社新書712740円)は、①がんの手術はほとんど役に立たない②がんの9割に抗がん剤は無意味・有害③がん検診は百害あって一利なし④がんは本物のがんとがんもどきに分かれると、「社会通念に反することを主張してき」た著者が、患者からの質問に一つずつ回答する形の構成になっている。
著者は今年慶応大学医学部放射線科講師を定年退職し、現在は、近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来を運営している。無意味・有害ながん検診は医療経済上の要請でしかないと断じている。
(遊友出版斎藤一郎)

売上伸び率マイナス3・2%/マイナス成長19年連続に/トーハン書店経営の実態

トーハンが発行した平成26年度版『書店経営の実態』によると、調査を行った全国の178企業572店舗の平均売上高伸長率はマイナス3・2%で、前年を0・1ポイント下回り19年連続のマイナス成長となった。収益面では、売上高対営業利益率がマイナス0・3%(前年マイナス0・1%)、売上高対経常利益率が0・6%(前年0・3%)になった。『書店経営の実態』は、売上高対経常利益率が0・0%以上の企業を「健全企業」、0・0%未満の企業を「欠損企業」として分析している。売上高伸長率を見ると、健全企業が前年比0・7ポイント増のマイナス0・9%、欠損企業が同0・9ポイント減のマイナス7・4%で、総平均では同0・1ポイント減のマイナス3・2%と、19年連続の前年割れになった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は、総平均で前年より0・2ポイント減少しマイナス0・3%だった。健全企業は1・4%だったが、欠損企業はマイナス2・5%。売上高対経常利益率は健全企業が2・5%、欠損企業がマイナス1・8%で、総平均は前年比0・3ポイント増の0・6%になった。
売上高対販売費・管理費率は総平均で前年比0・3ポイント増の22・5%。健全企業は21・2%、欠損企業は24・3%だった。また、売上高対人件費率は総平均で同0・8ポイント増の11・7%。健全企業は10・7%、欠損企業は12・9%だった。
粗利益対経費率は、販売費及び一般管理費が粗利益に占める割合をみるもので、収益が厳しい低成長期には特に重要になる。総平均では前年比0・9ポイント増加して101・4%。健全企業が93・8%に対し、欠損企業は111・5%だった。労働分配率は50%以下が目標とされるが、健全企業が47・3%、欠損企業が59・2%。総平均では同3・3ポイント悪化して52・7%になった。
売上高伸長率を売場規模別にみると、最も下げ幅が大きかったのが101~150坪と151~200坪で、ともにマイナス4・2%。立地環境別では、郊外がマイナス4・5%と不振が目立った。売上規模別では、2億~3億円未満がマイナス4・9%と振るわなかった。地域別では関東の下げが最も大きく、マイナス4・2%と落ち込んだ。
複合型書店の調査では、書籍・雑誌以外の売上構成比が20%以上の店舗を複合型書店、20%未満を本専業店に分類。複合型書店の売上高伸長率を部門別にみると、文具が0・7%増で唯一のプラス。この他、書籍マイナス2・6%、雑誌マイナス4・6%、AVレンタルマイナス11・5%、セルCDマイナス2・6%で、総平均はマイナス2・9%。本専業店は総平均でマイナス5・0%だった。
従事者1人当りの月間売上高は、健全企業が187万4千円、欠損企業が164万3千円で、総平均では179万4千円と前年比7万6千円増加した。従事者1人当りの月間粗利益高をみると、健全企業43万8千円に対し欠損企業33万8千円。総平均で同1万5千円増の39万9千円だった。
商品回転率は健全企業4・8回、欠損企業4・2回で、総平均は前年と同じ4・5回。売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標だが、健全企業108・5%、欠損企業91・6%で、総平均では前年比0・3ポイント増加して99・9%になった。
総資本に占める純資産(自己資本)の割合を示す自己資本比率は、健全企業が25・4%、欠損企業が12・9%で、総平均は前年比1・0ポイント増の20・0%だった。事業に投下された資本総額の回転速度を表す総資本回転率は、書店経営では約2回点が目安。総平均は同0・1回増の1・8回で、健全企業が1・9回、欠損企業が1・5回だった。
流動比率は、1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスをみることで短期支払能力を表す指標で、130%以上の確保が望ましい。健全企業は前年比12・4ポイント増の151・2%、欠損企業は同36・2ポイント増の192・9%で、総平均は同20・8ポイント増の163・9%となった。
固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は前年比29・3ポイント減の142・9%、欠損企業は同122・7ポイント減の338・8%で、総平均は同22・0ポイント減の197・5%だった。

ニコニコ書店会議を企画/佐藤社長「リアル書店の集客力を強化」/KADOKAWA・DWANGO

KADOKAWAとドワンゴは10月1日に経営統合し、持ち株会社、KADOKAWA・DWANGOを設立した。これを記念して、10月1日から来年3月31日まで「KADOKAWAdwango統合キャンペーンニコニコカドカワ祭り」を展開。書店でのネット特典配布、ニコニコ生放送特番、書店店頭での特別イベントなど様々な企画を実施している。
「本屋さんに行くと、いいことザクザクフェア!」では、フェア参加書店でKADOKAWAの書籍を購入すると、ドワンゴの動画投稿サイト「ニコニコ動画」(ニコ動)の特別コンテンツの視聴権やクーポンなどの特典があるザクザクカードがもらえる。
「ニコニコ書店会議」はネットと書店をつなぐイベント。ドワンゴはリアルイベント「ニコニコ超会議」「ニコニコ町会議」を成功させているが、これをリアル書店でも行おうという試み。ニコニコの「歌ってみた」「ゲーム実況」などユーザー参加型企画を実施するほか、KADOKAWA作品に関連したサイン会やトークショーを行い、イベントの模様をニコ動で生中継する。また、高校生以下の参加者を対象に「ニコニコプレミアム会員1年間無料券」を配布する。
書店会議は11月~来年3月に全国10カ所で開催予定。11月9日の本の学校今井ブックセンター(鳥取県)を皮切りに、11月23日に留萌ブックセンター(北海道)、TENDO八文字屋(山形県)、金沢ビーンズ(石川県)での開催が決まっている。
「新会社の最初の仕事はリアル書店の集客力を強化すること」。9月30日、東京都港区のニコファーレで開いた会見で、統合会社の佐藤辰男社長(KADOKAWA相談役)は強調した。若者の読書離れが進む一方、ニコ動は中高生を中心に約4千万人のユーザーがおり、ニコニコ超会議などのリアルイベントも楽しんでいる。佐藤社長は「ネットの世界に生きる若者をリアル書店に呼び込みたい」と訴えた。
また、リアル書店でイベントを開催する狙いについて、佐藤社長は「地域密着の書店に頑張ってほしい。頑張っている書店をニコ動を通じて紹介したい」と説明。川上量生会長(ドワンゴ会長)は「地方で行っているニコニコ町会議は盛況。書店会議はイベントが開催されない地方の書店でやる。評判が良ければ続けたい」と述べた。
5月の経営統合発表時にネットとリアルを融合させた「日の丸プラットフォーム」を打ち出したが、川上会長は「これから考える。新しいものを作るには時間がかかる」として具体的な構想には触れなかった。

外販企画増売へ決意/出版社と合同決起大会開催/トーハン

トーハンは10月1日、東京・新宿区の本社で第3回「出版社合同外販企画決起大会」を開催し、出版社15社63名が外販企画商品の説明を行った。トーハンからは藤井武彦社長、清水美成専務をはじめ、東日本、西日本、首都圏、特販の営業担当者など141名が出席した。
この決起大会は、外販企画を成功させ、出版社とトーハン営業担当者の情報・販売目標の共有化を図ることを目的に、昨年10月に第1回を開いたもので、今年は6月に続く2回目の開催。冒頭であいさつした清水専務は、6月の決起大会の成果について、「出版社15社の目標達成率は110・6%と2桁伸長の実績を上げ、取次間の占有も57・8%と他社を引き離した」と報告。続いて出版社15社が企画の発売時期の順に登壇し、5分の持ち時間で企画を説明した。
第2部の懇親会であいさつを行った藤井社長は、「外販営業部を立ち上げて3年目に入った。出版社からは積極的な企画商品を出していただき、書店の反応も非常によくなっている」として、外販営業部の売上が9月末で前年比127%の実績を上げていると報告。「他に100%をクリアしているのはブックライナーと複合事業本部で、外販の伸びが第一だ。書店経営にとって店売と外販は車の両輪だが、私どもは複合商材で新しい売場を提案しており、ニューコアと位置付けている。3つのコアが融合しながら難しい時期を乗り切って勝ちぬくのが1つの新しいモデルではないか」と述べた。この後、出版社を代表してポプラ社の奥村傳社長が乾杯の音頭をとり、トーハンの営業担当者4名が外販企画商品の増売へ決意を述べた。
参加出版社は、朝倉書店、岩波書店、NHK出版、KADOKAWA、河出書房新社、主婦の友社、小学館、世界文化社、創元社、日東書院本社、PHP研究所、平凡社、ベースボールマガジン社、ポプラ社、ゆまに書房。朝倉書店、平凡社、ポプラ社の3社は初参加。

『主婦の友Deluxe』/ブランド再生へムック発売/主婦の友社

主婦の友社は11月20日、創業プレ100周年記念企画の第1弾として、豪華グッズ付録3点と、人気ベストセラー企画を収録したムック『主婦の友Deluxe』を発売する。
『主婦の友Deluxe』は、「ダイエットインソール」「ネックウォーマー」「視力アップアイグラス」という、すぐに役立つ健康グッズ3点を付録に。本誌では、累計52万部を突破した「作りおき」シリーズや、累計12万部超の「親の家を片づける」シリーズ、いまブームを呼んでいる〝おからダイエット〟の「おからレシピ」など、ベストセラー商品のコンテンツを1冊に詰め込んだ。発行部数は8万部を予定。A4変型・200ページで本体1667円。書店への特別報奨設定はクローズ報奨としており、対象期間は来年3月末まで。
9月29日に東京・文京区の本社で行われた企画説明会で、荻野善之社長は「再来年に創業100周年を迎え、プレ100周年企画として、『主婦の友』の休刊から久方ぶりに企画タイトルとして主婦の友ブランドを復活させた。今年上期は増収を実現できる見込み。『主婦の友Deluxe』は下期の目玉企画として、書店の皆様の協力を得て成功に導き、我々のDNAである主婦の友ブランドを、もう一度再生していきたい」とあいさつ。
『主婦の友Deluxe』の編集長を担当する藤岡眞澄第2事業部編集部部次長兼趣味・生活編集編集長は、2005年まで雑誌『主婦の友』の編集長を務めており、今回の企画について「主婦の友らしい1冊とは何かを考える中で、今年は売れている本が多く、グッズ付き企画も当たる物が出ており、それらを当社の力として1冊で表現できないかと考えた。3点の付録はいずれも読者が体験、実証済みで、自信を持ってお勧めできる」と語った。

文庫売り伸ばし企画を2千店で展開/日販

日販は、講談社と全国の取引書店の協力で、10月1日から文庫の売り伸ばし企画「傑作宣言プロモーション」をスタートした。2千店を超える書店が参加しており、書店フェアとしては過去最高規模の取り組み。
「傑作宣言プロモーション」は、全国の書店員が好きな作家を指名し、その代表作から本当に面白いと思う本を「傑作宣言」しプロモーションするという、新しいスタイルの企画。書店員が売りたい作家・作品を選定することができるため、従来のフェアに比べ各書店の意向をより反映しやすい形になっている。さらに、各作家の代表作だけでなく、その次に読んでほしい「次の1冊」も同時に紹介するという新しい試みを行っている。
今回の企画で「傑作宣言」の対象となるのは講談社の文庫シリーズで、日販と講談社が候補作家24人と、その「代表作」「次の1冊」を選定。書店員はその中からそれぞれ10人を選び、指名した作家の「代表作」を大々的に展開。さらに読者を「次の1冊」へと誘導する売場作りを行うことで、作家のファンを育て、「著者買い」による売り伸ばしを図っていく。
実施期間は来年3月末までの6ヵ月間。日販では「著者パネル」などの販促物を参加書店に提供するほか、インターネット書店「HonyaClub.com」でも「傑作宣言」キャンペーンを開催し、読者による投票イベントを実施するなど、参加書店への来客促進を図る。