全国書店新聞
             

平成25年2月15日号

3・6%減の1兆7398億円/2012年出版物販売金額

2012年の書籍・雑誌販売金額は前年比3・6%減(644億円減)の1兆7398億円になったことが出版科学研究所の調べで明らかになった。販売金額の内訳をみると、書籍はヒット作の不在が影響し同2・3%減。雑誌は同4・7%減と、昨年の6・6%減に次いで過去2番目に大きな落ち込みとなった。
書籍の推定販売金額は前年比2・3%減(186億円減)の8013億円と、かろうじて8千億円台に踏みとどまったものの、6年連続の前年割れ。ミリオンセラーが『聞く力』(文藝春秋)の新書1点のみとなり、売行き上位銘柄の部数水準も大幅に前年を下回るなど、ヒット作不足が売上げに大きく影響した。
推定販売部数は前年比1・7%減と5年連続のマイナスを記録し、6億8790万冊と7億冊を割り込んだ。販売金額の落ち込みより減少幅が小さいのは、文庫本など低価格本の販売が伸長したことが要因。
返品率は前年比0・2ポイント増の37・8%となり、3年ぶりの増加。10年から大手取次が主導する返品減少策として送品量の抑制が行われており、新刊配本の引き締めが依然として続くものの、効果の一巡感が強くなっている。
新刊点数は7万8349点で前年比3・3%増。内訳は取次仕入窓口経由の新刊が同1・0%増の5万7466点、注文扱い新刊が同10・3%増の2万883点。注文扱いが伸長したのは、自治体の採用試験問題集、楽譜類等が新たに多数カウントされたため。仕入窓口経由の新刊点数は、この2年間減少していたが、増加に転じた。返品減少対策として新刊部数の引き締めが続く中、出版社は採算ベースに合わない本の刊行を手控えていたものの、出版点数で稼ぐ傾向が再度見え始めてきた。
平均価格は、新刊が前年比0・7%増の1117円と4年ぶりにアップ。一方、出回りは同0・5%減の1112円で、この10年間では116円の減少となり、読者の廉価本志向がうかがえる。
書籍市場はヒット作が総じて不発で、特に文芸やビジネス書など単行本の売行きが伸び悩んだ。近年ヒット作が続いた自己啓発書も、類書が多くなり目新しさを欠いた。一方、売行き上位を占めたのはダイエットや健康関連書。高齢者はもとより中年にさしかかった団塊ジュニア層にとって健康問題は切実な関心事になっており、人気テレビ番組に大々的に取り上げられることも多く、売行きを加速させた。
雑誌の推定販売金額は前年比4・7%減(458億円減)の9385億円。前年割れは15年連続で、下落幅も過去最大だった昨年に次ぐ大きさとなった。内訳は、月刊誌が同4・6%減の7374億円、週刊誌が同4・9%減の2012億円。
推定販売部数は前年比5・8%減の18億7339万冊と、金額より減少幅が大きかった。月刊誌は同5・2%減の12億7044万冊、週刊誌は同7・2%減の6億295万冊。
平均価格は前年比1・2%増の517円。月刊誌が0・9%増の593円、週刊誌が2・1%増の340円だった。推定発行部数は月刊誌・週刊誌合計で同3・7%減の29億701万冊と、30億冊を割った。
返品率は前年比1・5ポイント増の37・6%と悪化。店頭の販売状況の悪さから過剰供給状態が続いている。
創復刊点数は前年比21点減の98点。100点を割ったのは1965年以来47年ぶりで、過去最低レベルになった。部数は同2・9%の減少。創刊誌は、人口が多く雑誌を手に取る習慣がある中高年世代向けが多い。読者の多様化により、マスを狙った雑誌は厳しく、ターゲットを絞った小部数でマニアックな雑誌が増えている。
休廃刊点数は同3・8%減の152点、部数は同4・4%増となっており、休刊点数が創刊点数を上回る状況が続いている。この結果、雑誌の総発行銘柄数は同67点減の3309点で、6年連続のマイナスになった。本誌の点数は漸減しており、その代わりに不定期のムックを大幅に増やす傾向にある。
部門別動向をみると〈女性〉は20代向け、特にカジュアル系が厳しい一方で、30代以上の年齢層が高い雑誌は好調な銘柄が多かった。〈男性〉は10~20代向けが依然厳しいが、中高年ファッション誌は好調で部数を増やした。〈趣味〉はパズル誌がシニア向けで堅調だったほか、モーター誌が健闘。スポーツはオリンピック特集の不定期誌が好調な売行きを示した。

震災復興基金募金箱設置にご協力を

〈大震災〉出版対策本部では、「大震災出版復興基金」の店頭での募金活動に協力を呼び掛けている。協力書店には、アクリル製ブック型の募金箱と店頭掲示用ポスター、送金用の郵便振替用紙を送付する。振込料は本部負担。募金を送金することで書店に税金はかからない。問い合わせは所属の都道府県書店組合へ。

書店再生第2回企画を協議/電子書籍はスマホに注力/東京組合

東京都書店商業組合は2月4日に書店会館で定例理事会を開催した。
書店再生委員会では、「書店再生のためのロングセラー、実用書増売」の第2回企画について、現在実施している「食と健康」のテーマをさらに深化させて提案する方針を説明し、理事から意見を集約した。実施期間は初夏から秋口にかけての4ヵ月間を見込んでおり、具体案をまとめて日書連に提案する。
ケータイ書店Booker’sは、ユーザーが携帯電話からスマートフォンへシフトする中で会員数が激減しているため、3月31日でドコモのサイトを閉鎖。KDDIとソフトバンクのサイトについても4月末までに閉鎖する。
スマートフォン向け電子書籍販売サイト「BOOKSMARTpowered by Booker’s」は会員数が伸びており、今後は同サイトの充実に力を注ぐ。現在、使いやすいサイトへリニューアルを進めているほか、今まで扱っていなかったティーンズラブ・ボーイズラブコミック、ハーレクインや写真集などのコンテンツを拡充。また、料率の問題等で取引を見合わせている出版社へコンテンツの許諾を要請していく。
TS流通協同組合の12月期発注件数は5596件(前年同月比85・3%)、売上金額は531万9280円(同76・0%)、書店数は59店(同76・6%)。1月期発注件数は4660件(同84・3%)、売上金額は437万2386円(同90・9%)、書店数は57店(同85・1%)だった。

軽減税率求めて署名運動/佐藤理事長が提案/愛知賀詞交歓会

愛知県書店商業組合は1月17日、名古屋市千種区のルブラ王山で平成25年賀詞交歓会を開催し、組合員、出版社、取次など総勢約100名が出席した。
冒頭のあいさつで佐藤光弘理事長は消費税問題に言及。「書籍・雑誌への軽減税率適用に向けて業界あげて運動しなければならない」と述べ、一例として署名活動を行い請願書を代議士に託すことを提案した。その際は業界エゴと言われることのないよう行動を起こさねばならないと付け加えた。さらにヨーロッパの例をあげて消費税20%に対して本は平均5~9%と紹介し、取次、出版社からも国に訴えてほしいと要望。日書連でも訴えていきたいと強い決意を語り、今年の年末は明るい話ができるようにしたいと締め括った。
続いて日販中部支社の横山淳支社長が「店頭活性化に力を入れ、活気のある年にしたい」と発声のあいさつを行い乾杯。途中、福引抽選会が行われるなど盛況の中、中締めで講談社販売促進局の吉田俊輔局次長が「今年は三位一体で店頭に多くのお客様が来店するような本を作っていきたい」と述べ、一本締めで閉会した。(太田武志広報委員)

再販制度は文化のコア/再販研究委新年懇親会で相賀委員長

出版再販研究委員会は1月29日、東京・千代田区のホテルグランドパレスで新年懇親会を開き、出版社、取次、書店の各委員、業界関係団体の代表ら約40名が出席した。
冒頭あいさつした相賀昌宏委員長(日本書籍出版協会理事長)は「再販制度を文化のコアとしてやっていく。再販制度はそれ自体が目的ではなく、本を読み商売を続けることが目的。ガチガチでもユルユルでも困る。当事者である我々が節度をもってやっていくことだ。電子書籍は再販制度の対象外だが、安いものをやってユルユルになると紙の本を売る書店が困る。ガチガチだと新しい市場が動かず、読者の求めるものに対応できない。新しい市場作りに果敢にチャレンジする中で、定価を維持するのは大切だということを伝えていきたい」と述べた。
続いて日本雑誌協会の石﨑孟理事長は「再販制度の存在は、出版物の文化的価値を世の中の人が認識しているところにある。そこに思いをはせ、原点に立ち返った雑誌作りをしなければならない」、日本出版取次協会の古屋文明会長は「北京に駐在する日販社員の話では、中国でもネット書店が盛んになっているが、再販制度がないので新刊を2、3割の値引き販売している。対抗して新刊書店も値引きしているが、民営書店は立ち行かなくなっていっている。我々は定価で販売する再販制度を守っていかなければならない。この約束事を守るために時限再販の取り組みを続けていきたい」とあいさつした。
日書連の大橋信夫会長は17年前に再販制度が廃止されたイギリスの現状に触れ、「再販制度については、こうした国の行く末を見ながら考えていく必要がある」と話し、朝倉邦造相談役の発声で乾杯した。

帯コン展示会、茨木市で開催/大阪

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は1月19日、大阪組合会議室で定例理事会を開催した。主な審議事項および報告事項は以下の通り。
[読書推進委員会]
「本の帯創作コンクール」第3回茨木市版の展示会が1月2日から31日まで、阪急電車・京都線茨木市駅2階ロサヴィア内で開催と報告があった。茨木市からは16小学校・1436作品の応募があり、このうち大阪府知事賞、茨木市長賞を受賞したものや、帯として製品化されたものを中心に約300作品を展示。
[情報化委員会]
東京の5書店で構成する「多摩川の本屋たち」が共同出資で出版した『風になった伝書猫』(田村元著)の販売に協力してほしいとの要請が、「多摩川の本屋たち」の世話人を務める小川書店・小川頼之社長からあり、理事会はこれを了承。全組合員にFAX通信で注文書を流した。同書は最初の2か月で100部を完売。その後も部数を伸ばし、現在、実売2000部に達している。
(金田喜徳郎事務局長)

「注文品が明日来る」出版流通の構築を/大阪新年互礼会で面屋理事長

平成25年大阪出版販売業界新年互礼会(大阪出版取次懇和会・大阪府書店商業組合主催、出版三水会・日本書籍出版協会大阪支部後援)が1月11日、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で開かれ、出版社、取次、書店など総勢132名が出席した。
新年互礼会は深田健治副理事長の司会で進行し、面屋龍延理事長が新年あいさつ。「出版業界は厳しい状況が続いているが、今年は書店にとって三大テーマである『注文品が明日来る』『第3商材の販売強化』『送品・返品同日精算の実現』を推進していきたい」と抱負を語った。このあと日販大阪支店の椎木康智支店長の発声で乾杯した。
会場では昨年実施した「第8回本の帯創作コンクール」の模様を収録したDVDが放映され、出席出版社全員が一言アピールを行った。創元社の矢部敬一社長の閉会の辞で散会した。
(坂口昇広報委員)

東京から日本元気に/東京青年部新年懇親会

東京都書店商業組合青年部は、2月6日午後6時半から東京・中央区の銀座スターホールで新年懇親会を開催、約90名が出席した。
秋葉良成会長は「今日は出版社の皆さんから『一押しの1冊』を持ってきていただいた。この場で懇親を深め本を売っていきたい。東京が元気にならないと日本は元気にならないと言われているが、東京を元気にするのはやはりこの青年部から。皆さんと協力して今年1年頑張っていきたい」とあいさつした。
相談役の東京組合大橋信夫理事長は、「私は『愚直に本を売っていこう』と言い続けているが、岩波書店の山口社長から、『愚直にいい本を作ります』というお話しをいただいた。『いい本』には、いわゆる『売れる本』と『内容のある本』という意味があると思うが、両方売っていくことが大事だ。本が売れるようにしたいということは、我々本屋がずっと考え続けていかなければならないテーマなので、どうぞよろしくお願いする」とあいさつ。
続いて、講談社販売促進部の吉田俊輔部長が「昨年ミリオンを1点しか出せなかったのは、出版社として忸怩たる思い。百万部売れる商品とは、普段書店に足を運ぶ習慣のないお客様を店頭に呼ぶ、来店客数の増加に寄与できるもの。いい商品を作り、書店さんとうまく育てていきたい」と祝辞を述べ、小学館パブリッシング・サービスの對馬安宏首都圏エリアマネージャーの発声で乾杯した。

「ワクワクする書店作ろう」/久住理事長が呼びかけ/北海道新年会

北海道書店商業組合は1月22日、ホテル札幌ガーデンパレスで平成25年北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会を開催し、総勢55名が出席した。
主催者側として北海道取協のトーハン北海道支店・小川徹支店長があいさつ。続いて北海道組合の久住邦晴理事長は今後の書店経営について「業界全体が厳しい状況が続く中、三者が知恵を出し合い、ワクワクする書店を目指して、夢中になって熱中できる面白い仕事をしていきたい」とあいさつした。
小学館パブリッシング・サービスの西川雅司北海道エリアマネージャーの発声で乾杯。懇親を深め、今年の活躍を誓い合った。(事務局・髙橋牧子)

成人式で本を贈る「20歳の20冊」/31自治体・1校で実施

成人式に自治体から新成人に本を贈る「20歳の20冊」が、昨年8月と今年1月に開催された成人式を合わせて全国31自治体・1校で実施され、平成24年度は3129名に贈呈された。
「20歳の20冊」は若者に読書に親しんでもらうことを目的に、出版文化産業振興財団(JPIC)が運営事務局を務め、日書連が協力して実施している事業。本格実施となってから今回で3年目を迎えた。杏(モデル)、内田恭子(キャスター)、為末大(陸上選手)、永江朗(フリーライター)、柳田邦男(ノンフィクション作家)の5氏が20歳の時に読んでほしい20冊をリストアップ。この中から新成人が自ら読みたい1冊を選び、成人式当日に自治体から記念品として贈る。本は自治体が地元書店から定価購入するので書店の売上げにもつながる。
〔山梨県身延町の成人式会場を訪問/日書連西村副会長〕
1月13日、初めて「20歳の20冊」を実施した11自治体の1つ、山梨県身延町の成人式を日書連の西村俊男副会長とJPICの矢作孝志専務理事が訪問した。同町の新成人は159名。記念品の本は袋に入れ、受付で手渡された。また、式典の中で、望月仁司町長から成人代表への記念品贈呈セレモニーが行われた。
同町教育委員会生涯学習課生涯学習担当の和久田裕美主事は、同事業を採用したいきさつについて「昨年夏に記念品選定を行っていたところ、企画の案内が届いた。新成人が自分で記念品を選べる仕組みに新鮮さと魅力を感じた」と説明。「事前に好きな本をそれぞれ聞かなければならないが、それほど手間はかからず、作業は順調に進んだ」と話した。本は同町の書店、佐野教報社から購入。最も人気のあった本は『ティファニーのテーブルマナー』(W・ホービング、鹿島出版会)だったという。
新成人からは「記念品を自分で選べるのがよい」「ブックリストで紹介されている他の本も読んでみたい」「読書が好きなので自分にとって最高の贈り物」などの声を聞くことができ、好評だった。
式典を終え、西村副会長は「記念品の本を読むことで、読書の楽しさを知り、他の本を読むきっかけになればうれしい。日書連は読書推進に力を入れていく」と語った。また、矢作専務理事は「『20歳の20冊』事業は若者の読書推進とともに、地域の書店の活性化につなげることが目的。この仕組みは日書連傘下組合加入書店しか利用できない。来年の成人式に向け、各県組合や書店から地元自治体に実施を働きかけてほしい」と求めた。

よむよむ・わくわく広場in東京/最終回催しに2千人/絵本・日本プロジェクト

文字・活字文化推進機構と国立青少年教育振興機構が主催する「よむよむ・わくわく広場in東京」が1月19・20日の両日、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催。親子連れを中心に約2100名が来場し、おはなし会や多彩な体験型イベントを楽しんだ。
この催しは、文字・活字文化推進機構の「絵本・日本プロジェクト」が中心となって、幼児・小学校低学年の子どもにたくさんの絵本と出会う機会を作るために、異業種企業とコラボレーションして開催するもの。2011年度は東京・福岡・仙台で開催、2012年度は9月に静岡で開催しており、この東京開催が最終回となる。今回は、日本児童図書出版協会が共催、東京都書店商業組合と読売新聞東京本社が後援し、ウッディジョー、オトワファーム、菓匠三全、カルピス、キッコーマン、日本図書普及などの企業が協賛して行われた。
19日に行われたオープニングセレモニーでは、文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長が「この催しも2年間開催して今回が最終回。今日はこれまでの経験を生かして最大級の成功を収めたい。朝からやってきてくれた子どもたちにとって、今日と明日が思い出深い日になることを祈っている」とあいさつ。肥田理事長と、読売新聞東京本社教育支援部の木村透部長、国立青少年教育振興機構の田中壮一郎理事長、日本児童図書出版協会の竹下晴信会長、東京都書店商業組合の舩坂良雄副理事長、絵本・日本プロジェクトの髙橋小織会長がテープカットを挙行して幕を開けた。
会場では、絵本作家のおはなし会・サイン会や、本の即売会を開催。真珠まりこさんのおはなし会には多くの親子連れが詰めかけ、人気シリーズ「もったいないばあさん」の読み聞かせなどを楽しんだ。黒川みつひろさんのおはなし会「恐竜博士になろう!」では、化石標本を使って恐竜たちの生態を楽しく解説。黒川さんの問いに、恐竜好きのちびっ子たちが間髪いれずに答えを返していた。
読売新聞社は、新聞紙を使って工作をしたり、自分で書き込んだり色を塗って新聞を作れる「新聞であそぼう」コーナーを開催。キッコーマンによる「せんべい焼きに挑戦しよう」、ウッディジョーの「木の自由工作コーナー」などさまざまな体験型イベントに、子どもたちが熱心に取り組んでいた。

生活実用書/注目的新刊

日書連企画、書店再生のための「食と健康」フェアが開催されたが、2月でおしまいにせず、これをきっかけに各書店独自のロングセラー発見の機会にしたいものである。たとえば椅子に布を敷いて、売れ行き良好書を数点残す。小さな台でも、わずか3点でも、その書店ならではのアクセントになるに違いない。
食に関連して、最近食品メーカーが自社の看板商品を使ったレシピ本が盛んである。
キッコーマン飲料監修『ヘルシー!豆乳レシピ』(ワニブックス857円)はその先駆けとなった。社員のオススメ豆乳ドリンクの第一位はミックスベリー&ソイスムージー。豆乳に市販の凍ったミックスベリー、ヨーグルトと砂糖をかき回すだけである。
豆乳カルボナーラは調整豆乳150CCにパルメザンチーズ大さじ3と顆粒コンソメ少々。これがホワイトソースの代わりになってしまう。
飲み物やスープだけでなく豆カレー、豆乳坦々つけ麺、などのごはんもの、デザートまで60品目を紹介する。メーカーらしく、豆乳の効用や調整と無調整の違い、製法などのコラムも掲載している。
キューピー監修『キューピーのマヨネーズレシピ』(主婦と生活社857円)も、マヨネーズを使った料理やおつまみのレシピを76品目紹介している。たとえばチャーハンをパラッと仕上げるのにも威力を発揮する。これはマヨネーズの卵黄と乳化された植物油が、ご飯の一粒一粒をコーティングするのでかたまりになりにくいためなのだ。フライパンにマヨネーズを入れてから火にかけるが、あらかじめご飯に混ぜても同じ効果がある。マヨネーズ栄養学や製法などのコラムもある。
食と健康なら『ミツカン社
員公認お酢レシピ』(ワニブックス)も、寿司飯から和・洋・中100レシピを紹介。主要商品や社史まである。ほかにも、S&B生しょうが、ヤマキめんつゆ、小岩井ヨーグルト、おかめちゃん納豆、豆腐、烏龍茶、トマトジュース、レモンなど実に花盛り。
一時代前ならば企業の宣伝したものが商品になるとは、誰も思わなかっただろうが、今は違う。むしろ読者に好評で、またたく間に版を重ねている。親しみとヘルシーな感覚の新分野かもしれない。
(遊友出版・斎藤一郎)

「活字文化は非課税に」/読売新春懇親会で渡辺会長・主筆

読売新聞社は1月23日、東京・千代田区の東京會舘で出版業界関係者との新春懇親会を開き、出版社、取次、書店など約600名が出席した。
冒頭であいさつに立った読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長・主筆は消費税問題に言及。「欧州諸国では20%以上の高い付加価値税を課しているにもかかわらず、活字文化に対しては『知識には課税しない』という哲学のもとに軽減税率やゼロ税率を適用している国が多い」と指摘し、「政治家や役所に話をして、日本の活字文化を守る運動を展開しなければならない。
日本の未来は国民の教養の程度で決定する。民度を上げる役割を果たすのは活字文化産業に携わる人間。新聞界、出版界が一丸となって運動を起こしたい。民度が落ちないよう、活字文化が健全な発展をするよう、知識に課税しないという哲学のもと、活字文化への軽減税率について特段の配慮をしてほしい」と求めた。
〔軽減税率適用目指す/日書連大橋会長〕
来賓を代表してあいさつした日書連の大橋信夫会長は、昨年ミリオンセラーが1点しか出なかったことを紹介し、「出版社は良い本を作り、取次はあまねく配本してほしい」と求めた。また、消費税問題について「出版業界は新聞業界と一緒になって軽減税率適用を目指したい」と述べた。

日書連のうごき

1月5日日書連事務局仕事始め。
1月8日新風会新年懇親会に大橋会長が出席。
1月9日新年名刺交換会に大橋会長ほか役員が出席。日教販春季展示大市会に大橋会長が出席。
1月10日悠々会新年会に大橋会長が出席。公正取引委員会事務総長講演会に大橋会長ほか役員が出席。大阪屋新春おでんの会に面屋副会長が出席。
1月13日山梨県身延町の「20歳の20冊」贈呈式に西村副会長が出席。
1月15日JPO第5回運営委員会に柴﨑副会長が出席。
1月16日東京都書店商業組合新年懇親会に大川専務理事が出席。
1月17日第28回梓会出版文化賞贈呈式に石井事務局長が出席。第3回ISBN付与対象外商品流通問題検討WGに岩瀬委員ほか日書連派遣委員が出席。出版倫理協議会に石井事務局長が出席。
1月18日西田昌司衆議院議員を出版業界での軽減税率適用を求め4団体専務理事が陳情。
1月22日平成24年第1回全国団体運営研修会に石井事務局長が出席。
1月23日読売新聞主催「平成25年新春懇親会」に大橋会長が出席。
1月24日「ためほんくん」幹事会。
1月25日文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。出版5団体合同新年会に柴﨑副会長が出席。「書店再生」出版社との打ち合わせ。
1月28日公正取引委員会・著作物再販ヒアリングに舩坂副会長が出席。読書アドバイザー講座修了式に大橋会長が出席。
1月29日出版再販研究委員会に石井事務局長が出席。
1月30日日本図書普及役員会に大橋会長ほか役員が出席。政策委員会。
1月31日全国万引防止機構理事会に大橋会長が出席。同臨時総会に石井事務局長が出席。

大人の塗り絵コンテストに最多の応募作/河出書房新社

河出書房新社は、読売新聞社と共催する「第7回大人の塗り絵コンテスト」の受賞作品を1月27日に発表した。
コンテストには史上最多となる4421作品の応募があった。独創的な作品に贈る「あじわいオリジナル賞」、90歳以上の方を対象とした「プラチナ賞」、闘病・障害などハンディキャップのある方を対象とした「クローバー賞」など、テーマごとに多彩な賞が設けられており、今回は12人と3グループが受賞した。
受賞作は、東京の渋谷Bunkamuraギャラリーで2月20日から26日まで、大阪のサクラアートミュージアムで3月11日から24日まで公開される。

Twitter社と連携し小説企画/角川GHD

角川グループホールディングス(角川GHD)は、TwitterJapanと連携し、Twitterで小説企画を実施すると発表した。
ユーザーがTwitter上で執筆した小説を、角川グループ内で開発するソーシャルデータ統合解析システム「commucom.jp(コミュコム)」によって取り込み、文章解析・整形を行う。140文字以内のTweetを連続した文章にまとめ、購読しやすい形にする。
ユーザーが気軽に執筆できる環境を整えるとともに、購読者はTwitterのタイムラインで読み逃した場合でも、アーカイブ化された形式で購読することができる。
この取り組みはTwitterJapanが初めて連携して国内で実施する小説企画。この企画で生まれた作品は、電子書籍化、出版化、映像化、翻訳による海外展開等も視野に入れるとしている。

角川アスキー総研を設立/角川歴彦氏が社長就任/角川GHD

角川グループホールディングス(角川GHD)とアスキー・メディアワークス(AMW)は、AMWの一部門である角川アスキー総合研究所を、角川GHD傘下の新会社「株式会社角川アスキー総合研究所」として2月1日設立した。
角川アスキー総合研究所は、角川グループの持つコンテンツ力、メディア力、リサーチ力、デジタルコンテンツに関する技術力を生かし、「リサーチ事業」「出版事業」「教育・支援事業」の3事業を展開。テクノロジー分野で活躍するイノベーターを主席研究員として招聘、国内外の企業・研究機関とも協力して、日本のネットやコンテンツ技術の発展を目指していく。代表取締役社長には、角川GHD取締役会長の角川歴彦氏が就任した。
1月17日に東京・千代田区の東京會館で行われた発足記念フォーラムで、角川歴彦氏は「クラウド時代に突入し、技術革新によってITが社会に大きな影響を与える一方、先が読めずに混迷が深まっている。こうした中で知的探求を続けながら、将来に光を差し伸べる社会貢献をしたいと考えた。そのために主席研究員としてIT業界の先達を集め、自由に勉強し発言をしていただくことにした」と述べた。
このほか、AMWが創刊する『アスキークラウド』の媒体説明が行われ、編集長の中野克平氏は「角川会長が編集主幹を務める。3月にWebサイトを立ち上げて4月に創刊、角川アスキー総研研究員の皆さんとも議論や示唆をいただきながら、7月から月刊化したい」と述べた。
〈役員〉
代表取締役社長〔角川グループホールディングス取締役会長〕角川歴彦
代表取締役専務〔角川デジックス代表取締役社長〕
福田正
取締役〔アスキー・メディアワークス角川アスキー総合研究所部長〕
遠藤諭
取締役(非常勤)〔アスキー・メディアワークス代表取締役社長〕塚田正晃
監査役〔角川グループホールディングス監査役〕
若林陽
〈主席研究員〉
伊藤穰一〔マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長〕、川上量生〔ドワンゴ代表取締役会長〕、まつもとゆきひろ〔Rubyアソシエーション理事長〕、遠藤諭、福田正

参考図書

□『マガジンデータ2013(2012年版)』
日本雑誌協会刊行、頒価2千円。日本を代表する80社602誌の全データを表紙写真と編集長メッセージ付きで紹介。印刷証明付き部数公表は375誌となっている。各誌の判型・刊行形態・発売日・創刊日・定価を掲載。
□『全国医書同業会120周年誌』
明治中期に発足以来、創立120年を迎えた全国医書同業会が上梓した記念誌。平成3年刊行の「100周年誌」を踏まえ、その後の20年の活動について詳述した。「全国医書同業会のあゆみ」を始め、関係団体代表の寄稿や、役員・委員一覧、総会・研修会・互礼会年表、永年勤続者、機関誌「医書界」20年間の特集、会員社一覧などを収める。
□『読書推進運動協議会の50年』
読書推進運動協議会が2009年11月に創立50周年を迎え、記念事業の一環として編纂した。巻頭で「読書週間」「こどもの読書週間」のポスターをカラーで紹介。「読書推進運動協議会50年のあゆみ」「事業別活動記録」「全国の読書推進運動協議会と手を携えて」「機関紙で振り返る50年」「年表・資料」の5章で構成する。

吉川弘文館に出版文化賞/特別賞は弦書房と社会批評社/出版梓会

出版梓会が主催する第28回梓会出版文化賞の贈呈式が1月17日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で行われた。今回は本賞に吉川弘文館、特別賞に弦書房と社会批評社、新聞社学芸文化賞に新曜社が選ばれた。なお、吉川弘文館は1992年、新曜社は2004年に梓会出版文化賞を受賞している。
贈呈式で菊池明郎理事長は「梓会出版文化賞は会員外の出版社が受賞することの方が多い。いい仕事をした出版社がこの賞を受賞することで励まされ、出版業界を元気にする材料になっていると思う」とあいさつ。東日本大震災と、大震災出版対策本部の活動について触れ、「被災地の子どもたちに図書カードを贈っているが、資金が不足しており、復興基金にご協力をお願いする。被災地の書店の方から、出版社や取次の人が来てくれることに励まされるとうかがった。ぜひ機会を見つけて現地の書店と交流し支えてほしい」と述べた。また、取次発表の年末年始書店売上げについて述べ、「1年前に比べだいぶ盛り返しており、いい材料と考えたい。我々がいいものを提供すれば読者は必ず反応してくれる。今日は、これから先の出版をどうしていくかを様々な立場から話し合い、希望を見出せる場にしてほしい」と結んだ。
受賞各社に賞が贈られた後、選考委員の竹内薫氏が選評を行い、「梓会出版文化賞は、芥川賞や直木賞のような大きな賞の対極に位置する出版賞。頑張っている中小出版社を表彰する活動は非常に地味だが、それがあってこそ業界全体が活性化する」と述べた。
続いて、各受賞社の代表があいさつ。吉川弘文館の前田求恭社長は、創業156年を迎える同社の足跡と自身の編集経歴を紹介し、「編纂事業を体験して、出版とは人とのつながりがいかに大切かを痛感した。編者、著者はもちろん、印刷、製本など表に見えない方々の努力があったからこそ成しえたこと。今回表彰対象となった『日本歴史災害事典』もお互いの信頼関係で成り立ったものだと確信している。出版環境は不況と叫ばれて久しいが、受賞を契機に、従前にも増して良書を読者に届ける役目を果たしていきたい」と話した。

電撃コミックグランプリの贈呈式

アスキー・メディアワークス(AMW)が主催する「第14回電撃コミックグランプリ」の贈呈式が1月25日に都内のホテルで開催された。
電撃コミックグランプリは、少年マンガ、少女マンガ、青年マンガの3部門を合わせた選考本数329作品の中から受賞作を決定。少年マンガ部門はグランプリ1点、準グランプリ1点、優秀賞1点、奨励賞2点、少女マンガ部門は準グランプリ1点、青年マンガ部門は準グランプリ1点、優秀賞2点が受賞した。グランプリ選出は2年ぶり。
贈呈式でAMWの塚田正晃社長は「電撃というブランドは日本中の本屋で愛していただいている。期待している読者を裏切らないように、日々頑張って新しいものを作ろうとする中で、コミックグランプリは大きな力になっている。受賞した皆さんは、今日から我々の仲間として、電撃を愛してくれる方々の期待を一身に受けて新しい作品を作っていくスタート地点に立っている。自分を磨き、新しい作品をどんどん作ってほしい」とあいさつした。