全国書店新聞
             

平成29年8月15日号

東京・渋谷「書店万引き防止連絡会」が発足/地域書店が連携して万引防止対策/連絡会会長に大盛堂書店・舩坂社長

東京・渋谷周辺の書店同士が万引被害や犯人情報を共有し、渋谷警察署や渋谷区などと連携して万引防止対策を行うことを目的とする「渋谷署管内書店万引き防止連絡会」が7月31日に発足、連絡会の会長に大盛堂書店の舩坂良雄社長(日書連会長)が就任した。同日発足式が行われ、舩坂会長は、渋谷の取り組みをモデルケースに、得られた成果を東京、全国へと拡げていきたいと述べた。
「渋谷署管内書店万引き防止連絡会」は、警察、行政、商店街、学校、地域ボランティア等の団体が連携して渋谷の街から万引犯罪を根絶することを目的に組織された「渋谷万引き犯罪根絶対策協議会」の下に設立されたもの。
発足式は、渋谷警察署、渋谷区、渋谷万引き犯罪根絶対策協議会、渋谷防犯協会の主催により渋谷警察署講堂で行われ、渋谷周辺の書店や古書店、渋谷防犯協会管内の小売店、商店街団体、警察・区関係者など約70名が出席した。
始めに、渋谷万引き犯罪根絶対策協議会の小野寿幸会長(渋谷防犯協会会長)が「当協議会はこれまで地区別に5つの連絡会を立ち上げてきたが、初めて業種別の連絡会として『書店万引き防止連絡会』を発足することになった。書店同士の情報交換や防犯対策が盛んになり、万引被害の減少につながることを期待する」とあいさつ。
渋谷警察署の金井貴義署長は「平成21年に協議会ができてから、官民挙げた万引対策により渋谷署管内の万引認知件数は21年の約1千件から昨年は約3割減少した。渋谷を訪れる外国人や若者が増えており、もう一度気運を高めて万引対策に取り組み、渋谷が安心して遊べ、生活し事業ができる街にしたい」と述べた。
渋谷区の長谷部健区長は「刑法犯の発生件数は減少傾向にあるが、万引はその中に占める割合が高くなってきている。万引を軽視する風潮が未だ払拭されず、改善しつつある治安に様々な影響を与えることになりかねない。書店と地域の皆様、警察と連携しながら万引をさせない街づくりに取り組む」と語った。
来賓あいさつで全国万引犯罪防止機構(万防機構)の竹花豊理事長は、今年3月に「万引対策強化国際会議」を開催し、被害情報・犯人情報の共有・活用や、地域での万引対策の実施などを盛り込んだ「万引対策強化宣言」を採択したことを説明。「今回、渋谷の書店が集まり情報を共有して対策を強化する。街全体で取り組もうと連絡会の発足につながった。1つの地域で万引を締め出す成果を上げることが日本全体を大きく動かしていくことを期待する」と述べた。
この後、書店万引き防止連絡会の舩坂会長が、万引防止運動や、万引させない環境づくりの実施などをうたった「万引き犯罪根絶宣言」(別掲)を読み上げた。
引き続き連絡会の会議が行われ、警視庁生活安全総務課対策第4係の森田係長が、東京都内の万引被害の現状を説明。万引犯に行った調査によると、万引犯は罪の意識が非常に薄く、万引を押しとどめるには「この店では万引はできない」と思わせる店づくりが重要だと指摘。万引犯の75%が「店員の声掛け」があったら万引を諦めたと回答したことを紹介し、店内での声掛けの実践を呼びかけた。
書店の万引防止の取り組みについて述べた舩坂会長は、「出版不況が続く中、書店の万引被害は深刻で経営を圧迫している。手口が巧妙化、悪質化する中で、万引防止はもはや個々の努力では如何ともしがたい。地域の書店が連携し、万引させない環境づくりをするしかないと決意した」と連絡会発足の趣旨を説明。万防機構の協力を得て、渋谷駅前の新刊書店5店と新古書店1店の体制で共同防犯のモデルケースを作ろうと活動を開始したとして、この取り組みが成果を上げ、東京や全国へ拡がるようにしたいと述べた。
また、渋谷警察署生活安全課の菊地課長が管内の万引被害について、平成28年の万引認知件数は約670件で全刑法犯件数の約22%を占め、都全体でみた件数比率の約2倍になっていると説明。万引犯を確保した際の全件警察への届出や、防犯カメラ設置の推進等の対応を要請した。
意見交換では、万防機構の竹花理事長が、今年5月施行の改正個人情報保護法で個人情報の利活用の整備が示され、個人情報保護委員会でそのガイドライン策定が進められているとして、「渋谷の書店間で万引被害情報の共同利用が検討されるが、万防機構はその取り組みが適法に運用されるよう、書店と相談しながらシステム作りを進めたい」と述べた。
【万引き犯罪根絶宣言】
私たち「渋谷万引き犯罪根絶対策協議会」は、本会の設立趣旨にのっとり、
○「万引きをしない・させない・見逃さない」の万引き防止3ない運動を実践する。
○関係機関・団体等は、あらゆる機会・媒体を通じた幅広い広報啓発活動を実践し、「万引きはやってはいけない」「万引きは犯罪である」との認識を確立する。
○万引きをさせない防犯設備等店内の環境づくりと、店員による「いらっしゃいませ」「何かお探しですか」の声掛け運動を実践する。
○万引き犯人を発見、確保した場合は、店舗責任者等は必ず全件警察に届け出る。
以上のことを遵守し、万引き犯罪の根絶を図り、犯罪のない明るい街づくりのため、会員一同努力し推進することをここに宣言します。
平成29年7月31日
渋谷署管内書店万引き防止連絡会
会長舩坂良雄

読書週間書店くじ実施要綱

▽実施期間平成29年10月27日(金)より11月9日(木)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数200万枚。書店には1束(500枚)3571円(税別)で頒布
▽申込方法と申込期限注文ハガキに必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は8月20日(厳守)
▽配布と請求方法くじは取引取次経由で10月25日前後までに配布。代金は取引取次より請求
▽当せん発表12月5日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額2860万円
当せん確率は9・6本に1本
1等賞=図書カード1万円400本
2等賞=図書カード
又は図書購入時充当1千円600本
3等賞=同5百円8000本
4等賞=図書購入時に充当百円20万本
▽賞品引換え1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当
▽引換え期間読者は12月5日より平成30年1月10日まで。書店で立替えたくじは平成30年1月31日までに「引換当せん券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスターは日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)よりダウンロード(郵送はしません)。全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページで宣伝

9月5日に横浜で開催/関東ブロック会

日書連関東ブロック会(鈴木喜重会長=千葉県書店商業組合理事長)が9月5日(火)に横浜市中区の横浜中華街「華正樓本店」で開催される。
当日は午後2時から会議、午後3時45分から金文堂信濃屋書店代表取締役社長で郷土史家の山本詔一氏による講演「ペリー来航と神奈川」、午後5時から懇親会。

雑誌依存の収益構造から転換を/粗利30%確保へ運動強化/茨城総会

茨城県書店商業組合は6月27日、水戸市の茨城県教科書販売で第31回通常総会を開催。組合員47名(委任状含む)が出席した。
総会は秋山誠二理事の開会の辞で始まり、池田和雄理事長があいさつ。「出版業界の現状は、書籍・雑誌の販売金額が12年連続マイナスとなり、41年ぶりに雑誌が書籍の売上を下回るという、大変厳しい状況。コミックを含む雑誌の大幅な販売減少は中小書店の経営を圧迫している。長い間、店売・外商商材として納品配達など雑誌売上に収益を依存しているが、利益構造の転換を図らなければ経営が成り立たなくなっている。昨年発表した日書連の全国小売書店経営実態調査報告書をもとに、『書店の粗利益の拡大』『客注品の迅速確実化』『取次システム利用料の軽減』『配本の適正化』の4項目を書店経営環境改善の要望とし、取次、出版社に対して、特に粗利益30%確保の早期実現に向けて交渉している」と説明。また、組合財政の現状に触れ、「日書連所属の書店数は3500店を切り、茨城県も5年間で33店の退会があった。財政面では赤字続きで支出削減を図ってきたが、一部若干の会費値上げをお願いしたい」と要望した。
議長に川又英宏副理事長を選出して議事を進行。平成28年度事業報告、収支決算書、監査報告、平成29年度事業計画案、収支予算案等すべての議案を原案通り可決した。
来賓の県中央会・近藤哲生次長が祝辞を述べた後、任期満了に伴う役員改選を行い、選考委員会(塚越賢次選考委員長)が理事13名、監事2名を選出し承認。新理事による初理事会を開催し、全会一致で池田理事長を再選した。
2期目となる池田理事長は「書籍では児童書が前年を上回り好調。公立図書館
・小中学校図書館が盛況で、図書館への継続的な納品につなげていきたい。また、いばらき読書フェスティバルへの参加も11月に予定されている。各委員会の活動を柱とし、新たな2年間が始まる。組合員数も激減し大変厳しい時代だが、新役員で組合活性化に一層努力したい」と決意表明した。
中村敏弘理事の閉会の辞で総会を終了した。
[茨城組合役員体制]
▽理事長=池田和雄(一貫堂書店)
▽副理事長=川又英宏(茨城県教科書販売)田所和雄(忠愛堂田所書店)鴻野茂夫(鴻野書店)
(高橋雅夫広報委員)

地方での雑誌販売苦境/dマガジン配信で配慮必要/岡山総会

岡山県書店商業組合は6月24日、岡山市の岡山県教科図書販売藤原営業所で第30回通常総会を開催し、組合員40名(委任状含む)が出席した。
冒頭、小野正道理事長は「今日出席された方々は我が組合の精鋭。少数だが心強い。心よりお礼申し上げる」とあいさつした。
総会は事務局の林氏の司会で進行。議長に小野理事長を選任して議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算報告、平成29年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
その他の議案の中で、雑誌の早売り問題が提議され、確実な証拠が実際にあれば、今後是正を申し入れるとの結論に達した。また、dマガジンが首都圏と同時配信しているため、地方では雑誌発売日と格差が生じている問題について、出版社に何らかの是正を申し入れることを課題として検討することとした。書店くじについては、地方と都市では普及状況も違うので一概に統一して協力、購入することは困難とした。
最後に、春名武副理事長が「商店街から人影が消えている。高校生もバス通学で、歩いている生徒が減った。寂しくなったが、書店組合は元気に頑張ろう」と締め括った。
(横井憲五広報委員)

県から児童書1300万円受注/組合財政、大幅に改善/佐賀総会

佐賀県書店商業組合は6月17日、佐賀市の佐賀ワシントンホテルプラザで第35回通常総会を開き、組合員25名(委任状含む)が出席した。
総会は吉竹康志理事(油屋書店)の司会で進行。冒頭、あいさつに立った堤洋理事長(ブックスグリーンウッド)は「この4年間、『行動する組合』を目指して活動。今年度は11年ぶりに組合新規加入が実現した。また、書店組合が直接仕入・販売できるよう平成21年度に定款を変更した後、初めて佐賀県から児童書1万1000冊、1300万円分を受注した。これは昨年度、山口祥義県知事に書店振興策を要望して実現したものだ。本年度はさらに上を目指し、『書店による書店のための組合』にしたい」と意欲を語った。
このあと堤理事長を議長に選任して議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算報告、監査報告、平成29年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、高田副理事長(ブックマート日の出)が、①佐賀県教職員互助会を中心に2700万円の図書カードの受注、②20件の火災共済保険契約受注、③前述の佐賀県より児童書の受注――の3件の結果により組合財政が改善し、3年連続で組合費の20%相当額を販売促進費として図書カードを配給。また、組合設立以来初めて役員報酬を支給したと報告。「4年前の賦課金と比べて100万円の減収の中、組合員の協力により達成することができた」と謝意を表した。
事業計画案については堤理事長が説明。①本年度も新規加入1店以上の獲得に努める、②昨年度に続き書籍納入の受注活動に努める、③第5次学校図書整備の予算策定について100%策定運動をする、④平成30年は明治維新150年にあたり肥前佐賀幕末維新博覧会が決定。書店組合も博覧会事務局とコラボレーションすべく活動する、⑤ファーストブック(ブックスタート)、セカンドブック(小学校入学時)、サードブック(中学校入学時)、ホームランブック(成人式または高校入学時)の推進を行政に働きかける、⑥佐賀県はICT教育推進日本一だが、学校図書館システムは全国平均より大幅に遅れているので、学校図書館のシステム化運動を推進する――など重点目標を15項目掲げ、組合員の協力を呼びかけた。
任期満了に伴う役員改選では、現理事、監事が全員留任し、新たに唐津地区より満島隆幸氏(TSUTAYA唐津店)を理事に選任。堤理事長、高田副理事長を再選した。
この後、宮崎県・田中書店の田中専務が「地方書店の未来」と題して記念講演。産地直売「本の駅・田中屋」など新しい取り組みに聴衆は皆、感心していた。
懇親会には、テジマ・手嶋社長、トーハン・江島チーフマネージャー、小野顧問、篠塚相談役、池田佐賀県副知事、岩田和親衆議院議員、山下雄平参議院議員も参加し、有意義な意見交換を行った。
(佐賀県組合事務局)

「春夏秋冬本屋です」/「すべての市民を本好きに」/神奈川・長谷川書店ネスパ茅ヶ崎店店長・長谷川静子

毎夏1回の恒例の「しかけ絵本教室」も無事盛会にできた。「大学生の息子が小学生の時、参加させていただいたわ」「去年、姪っ子がしかけ絵本を作って、すごく楽しかったと聞きました」等々、店頭でのポスターを前にしてのお客様とのおしゃべり。教室開始の際に「今回で26回目です」とあいさつすると、会場から驚きの声をいただいた。限られた時間で、しかけの基本を学び、自由な発想で、どんどんと手を動かし、次々と作品を作る。子どもがのびのびと楽しんでいる姿、その感性を大切にしてあげたい。定員30名のうち大人1人の参加も6、7名ある。後で判ったことだが、昨年、本年と、参加者に公民館の方がいらっしゃった。
昨年7月、「本がだいすきプロジェクトちがさき」が始動し、1年が経った。市立図書館(行政)とNPO団体と地元書店がメンバー。「子どもだけでなく、すべての市民が本を好きになってほしい」という思いを共有し、協力しながら啓発事業を行っていくプロジェクトチームができた。このプロジェクトのロゴマークを印刷すれば、業者はお断りとされていた公民館等にチラシやポスターを設置、掲出していただけることになった。読書お楽しみ企画を目に留めていただく機会が広がった。行政の参加は、当店の活動を気に掛けてくださっている、好意の証と受け止めたい。

「どえりゃあ書店大商談会」/組合加入書店に参加呼びかけ/岐阜総会

岐阜県書店商業組合は6月16日、岐阜市の岐阜キャッスルインで平成28年度通常総会を開き、組合員46名(委任状含む)が出席した。
冒頭、木野村匡理事長(東文堂本店)があいさつ。古田智一氏(文泉堂書店)を議長に議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算報告などすべての議案を原案通り可決した。
最後に、愛知、岐阜、三重の東海3県の書店組合を中心に構成する「日本ど真ん中書店会議実行委員会」(春井宏之委員長=愛知県書店商業組合理事長)が9月7日午後1時から名古屋中小企業振興会館「吹上ホール」で「日本ど真ん中書店会議~第2回どえりゃあ書店大商談会」を開催することを報告。これを機会に活路を見出すため、組合加入書店に参加を呼びかけた。(司馬豪久広報委員)

6月期販売額3・8%減/書籍は前年並み、雑誌は大幅減続く/出版科研調べ

出版科学研究所調べの6月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・8%減となった。
部門別では、書籍が同0・2%減とほぼ前年並みだったが、雑誌が同7・0%減と大幅に落ち込んだ。雑誌の内訳は、月刊誌が同6・3%減、週刊誌が同9・6%減。週刊誌の大幅減は送品稼働日が前年同月より1日少なかった影響が大きい。
返品率は、書籍が同0・3ポイント減の41・6%、雑誌が同2・0ポイント増の44・8%。雑誌の内訳は月刊誌が同1・6ポイント増の45・5%、週刊誌が同3・6ポイント増の41・4%と依然高い水準にある。
書店店頭の売上は、書籍は前年並みとなった。低迷が続く文庫は約1%減にとどまった。住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫)や池井戸潤『アキラとあきら』(徳間文庫)などの話題作が寄与し、ここ2ヵ月間は落ち込みが小さい。学参・辞典は当月もうんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)が底上げし、約15%増。
雑誌は、定期誌が約2%減、ムックが約9%減、コミックスが約12%減。コミックスの2桁減は常態化している。

「最高の旅、最悪の旅」椎名誠氏講演会に聴衆400名/新潟組合

新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)と出版文化産業振興財団(JPIC、肥田美代子理事長)は、6月28日、新潟市中央区の新潟市民プラザで、作家・椎名誠氏の講演会「わが人生で最高の旅、最悪の旅」を開催し、400名を超える聴衆が集まった。
椎名氏は、最高の国としてアイスランドをあげ、「税金は高いけれども、教育費と医療費がかからない。社会福祉が充実しているのか、歩いている人たちがみんないい顔をしていた」と述べた。
他の国についても「ヘディンの『さまよえる湖』を読んでロマンをかきたてられていた楼蘭もよかった。チリの軍艦に乗ってマゼラン海峡を越えてパタゴニアに行ったが、いま思うとよく命があって帰れたと思う。中国のトイレ事情は、すごかったというより、すさまじいものがあった。今はだいぶ改善していると思うけれど」と数々のエピソードを披露した。
また、欧米と比較して日本の国民性に触れ、「欧米の国々は多民族が一緒に生活しているので、お互い思いやりがあってやさしい。日本は単一民族のためなのか、そのあたりが違う。江戸時代、侍の往来での鞘当に見られるように、今でも混雑時に肩でもぶつかろうものなら、『この野郎』とばかりに睨み合ってしまう。もっとやさしさがあればいいと思う」と話した。聴衆は「椎名ワールド」に酔いしれていた。
続いて行われたサイン会は、100名を超える行列ができて、中には椎名氏にお酒や新潟名産の枝豆を贈る人もいて、大盛況となった。(西村俊男理事長)

塩川明人理事長を再選/上山田温泉で第33期通常総会/長野総会

長野県書店商業組合は6月13日、千曲市上山田温泉の梅村旅館うぐいす亭で第33期通常総会を開催し、組合員61名(委任状含む)が出席した。
柳沢純理事を議長に議案審議を行い、第32期事業報告、第33期事業計画案、収支予算案などを原案通り承認可決。第32期決算報告は一部修正があり、後日書面議決により承認となった。役員改選では塩川明人理事長(花屋書店)を再選した。(藤島等広報委員)

新理事長に古泉淳夫氏/組合取上げ商品、収入源に/鳥取総会

鳥取県書店商業組合は6月26日、倉吉市の倉吉未来中心で第29回通常総会を開催。新理事長に古泉淳夫氏(鳥取今井書店)を選出した。
総会では、窪田憲三副理事長(クボタ書店)、杉嶋運一副理事長(杉島書店)より平成28年度事業報告、平成29年度事業計画案の説明があり、いずれも原案通り承認可決した。
事業計画のうち、出版販売・増売運動委員会より重点目標としている「組合取り上げ商品」について説明があり、組合員の協力のもと増売を図り、組合の収入源を確保しようと再確認した。また、2002年から毎年継続している「絵本わーるどinとっとり」は11月18日、19日の開催予定と報告された。
任期満了に伴う役員改選では、選考委員による指名推薦制で理事10名、監事2名を選出。このあと理事会を開き、田江泰彦理事長の退任表明を受けて、古泉淳夫氏を新理事長に選任した。なお、田江氏は理事として組合に残る。
古泉新理事長は「厳しい環境下での就任となった。理事、組合員の皆様からご協力をいただき、無事務めたい」とあいさつした。
総会終了後、組合員研修として、「ブックインとっとり(地方出版文化展)の30年」と題して、小谷寛ブックインとっとり実行委員長が講演した。この研修会は中小企業団体中央会より「連携組織活性化サポート事業」として認定を受けて実施した。
[鳥取組合役員体制]
▽理事長=古泉淳夫(鳥取今井書店)
▽副理事長=窪田憲三(クボタ書店)杉嶋運一(杉島書店)
(井澤尚之広報委員)

日書連のうごき

7月5日高島図書館サポート部会長がJPO訪問。
7月6日書店東北ブロック大会に舩坂会長が出席。
7月7日日本雑誌協会・次世代雑誌販売戦略会議との意見交換に柴﨑、本間両副会長、公取協元永専務理事が出席。
7月10日JPO運営幹事会に事務局が出席。
7月11日学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。
7月13日JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。子どもの読書推進会議総会に西村副会長が出席。出版倫理協議会に事務局が出席。アシェット・コレクションズ・ジャパンとの意見交換に公取協元永専務理事が出席。
7月18日読書推進運動協議会ポスター選定委員会に事務局が出席。出版クラブ平和堂委員会に事務局が出席。平和堂維持会理事会に事務局が出席。出版情報登録センター管理委員会に事務局が出席。吉野作造賞贈呈式に事務局が出席。
7月21日出版梓会業界・会員社懇親の集いに事務局が出席。
7月25日軽減税率専門委員会との意見交換に舩坂会長が出席。全国万引犯罪防止機構理事会に舩坂会長が出席。栃木県組合杉山理事長通夜に事務局が出席。
7月26日公取協会月例懇談会に柴﨑、本間両副会長が出席。文化産業信用組合理事会に舩坂会長が出席。
7月27日万引防止出版対策本部打合会に事務局が出席。全国中小小売商団体
連絡会に事務局が出席。
7月28日JPO会費制度検討WGに事務局が出席。
7月31日渋谷署管内書店万引き防止連絡会発足式に舩坂会長が出席。

広告大賞はシャネルが受賞/青山商事にデジタル広告大賞/講談社

第39回「読者が選ぶ・講談社広告賞」、第1回「講談社デジタル広告賞」の贈賞式と感謝の会が7月26日に東京都千代田区の帝国ホテルで行われた。
講談社広告賞は全17誌で読者による投票を実施して25の雑誌賞を選出し、その中から「広告大賞」にシャネル(「VOCE」5月号掲載)が選ばれた。また、今年から新設した講談社デジタル広告大賞は、3部門8作品の入賞作を決定し、「デジタル広告大賞」に青山商事(「FORZASTYLE」掲載)を選出した。
感謝の会であいさつした講談社の野間省伸社長は「本年より講談社広告賞、講談社デジタル広告大賞の2本立てとし、新しい広告賞をスタートさせた。伸長するデジタル広告の市場と弊社メディアの多面的なデジタル展開に合わせた取り組みだ。上半期の広告収入は計画予算を達成、デジタルの広告収入が大幅に伸長し、売上の25%の比率を占めるまでに至った。コンテンツ系のソリューション提案を企業にお届けする手段として、情報サイト『C―station』をオープンしており、皆様の課題解決に貢献していく所存だ」と述べた。

週刊誌2誌の北海道・九州地区発売日繰上げ/取協

日本出版取次協会(取協)は7月26日、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)、『週刊実話』(日本ジャーナル出版)の2誌の北海道・九州地区の発売日繰上げを発表した。
首都圏地区木曜日発売の対象2誌は、北海道・九州地区では金曜日発売だったが、取次会社の発送作業見直しにより木曜日発売が実現する。取協は雑誌進行委員会を中心に、2017年度推進テーマであり、日書連からの要望事項である「発売日格差是正」に取り組んでおり、今回の見直しによって首都圏地区との発売日格差が是正されることで、商品の鮮度向上を実現する。
実施時期については、8月発売での試験運用の後、9月からの完全移行を予定している。

人事

★読書推進運動協議会
6月20日開催の定時総会で下記の役員を選任した。
▽会長=野間省伸(講談社社長)
▽副会長=平林彰(日本出版販売社長)森茜(日本図書館協会理事長)
▽常務理事=堀内丸恵(財務委員長、集英社社長)齋藤健司(事業委員長、金の星社社長)矢部敬一(創元社社長)舩坂良雄(日書連会長)設楽敬一(全国学校図書館協議会理事長)藤井武彦(トーハン社長)
▽理事=酒川玲子(日本図書館協会参与)持谷壽夫(みすず書房社長)佐々木秀樹(日本文教出版社長)山縣裕一郎(東洋経済新報社社長)荻野善之(主婦の友社社長)渡部正嗣(日教販社長)
▽監事=西村俊男(日書連副会長)竹村和子(全国学校図書館協議会常務理事)佐藤潤一(福音館書店社長)

第18回読売・吉野作造賞に篠田英朗氏

読売新聞社と中央公論新社が主催する第18回「読売・吉野作造賞」の贈賞式が7月18日、東京都千代田区のパレスホテル東京で開催された。
今回の受賞作は、東京外国語大学大学院総合国際学研究員教授・篠田英朗氏の『集団的自衛権の思想史―憲法九条と日米安保』(風行社)。
贈賞式では、読売新聞グループ本社の老川祥一取締役最高顧問が「受賞作は憲法九条について今までの論争とは違う角度で、国際協調主義の観点から日本の安全保障、そして憲法を考えたユニークな研究。今後の憲法論争でも刺激になるのではないか」とあいさつ。中央公論新社・大橋善光社長が篠田氏に賞を贈呈し、選考委員会座長の経済学者・猪木武徳氏が選評を行った。24年前、PKO協力法による文民職員として国連PKO活動に参加した経験を持つ篠田氏は、「現在、日本の国力の相対的な状況や、国際社会の環境も大きく変わった。日本はこれから国際社会の中で今まで通りうまくやっていけるのか、もう少し危機意識をもってとらえていく必要がある。そうした観点で集団的自衛権、PKO、憲法問題など、いろいろ論じていきたい」と語った。

日之出出版とマガジンハウスが販売業務提携/今年10月から開始

日之出出版とマガジンハウスは販売業務の提携で合意し、今年10月から、日之出出版が定期刊行する「Fine」(月刊・毎月10日発売)、「FINEBOYS」(同上)、「Safari」(月刊・毎月24日発売)の3誌や、「CINEMASQUARE」「STAGESQUARE」「DanceSQUARE」他のムック、書籍など全ての出版物の販売業務をマガジンハウスが受託すると発表した。
日之出出版が刊行する出版物の奥付は、「発行日之出出版」「発売マガジンハウス」となる。編集、制作、宣伝、集広活動についてはこれまで通り発行元の日之出出版が行い、書店営業活動はマガジンハウスが行う。
10月以降に発売する日之出出版の刊行物への注文は、マガジンハウス受注センター=℡049―275―1811(平日9時半~18時)、FAX0120―468―127、メールchumon@magazine.co.jpまで。9月までに発売された本については、10月以降も日之出出版に注文する。

「能勢仁が語る書店史道を拓いてくれた人」/ダイセイコー・青柳清氏

〔従業員に全面的に仕事を任せる〕
私が青柳清さん(青春書店のちダイセイコー社長)に会ったのは昭和40年代であった。
日販千葉支店が開設された時期で、青柳さんが仕入の帰りに多田屋・千葉銀座店に立ち寄ってくれた。話題は仕入、送品、支払、広告、人事、商品管理、催事等、経営全般であった。
小生も何度か青春書店を訪ねた。店に行って驚いたことは、店内ムードが軽井沢に居るような高原の雰囲気であった。店内に鳥の囀りが流れ、壁紙は白樺樹林であった。
青春書店の販売企画も変わっていた。クリスマスの時には寿司屋さんに作らせたクリスマスケーキならぬ、円形状のクリスマス寿司を販売、大評判であった。お彼岸には店頭で仏壇の花を販売していた。夏休みには店頭でたらいに水をはり、ラムネ、サイダーを売り、子どもたちに人気であった。事ほど左様にアイディアの多い店であった。書店の屋上は丁度JR本八幡駅ホームと同じ高さであった。そこに鉄骨でベストセラー看板を作り、毎週差し替えていた。青柳さんは常々、書店は従業員次第でお客様が集まる業種だと言っていた。
その根底の考えは、人を信頼することであった。全面的に仕事を任せ、自己完結をさせたのである。社長とは統率者であり、人事バランスをとることが仕事だということを教えてくれた。
(ノセ事務所代表)

万引防止街頭キャンペーン/福岡組合と県警、14回目の実施

福岡県書店商業組合は、7月17日に福岡市中央区天神地区の街頭で、今回で14回目となる「万引防止街頭キャンペーン」を実施した。
出発式で福岡組合の安永寛理事長(金修堂書店)は「大変暑い中ではあるが、夏休みが始まる前のこの時期に、是非とも万引きの防止を広く周知していただきたい。皆様の協力に感謝する」とあいさつ。次に、福岡県警察本部生活安全総務課の大庭課長補佐が「万引をするのは昔は少年と言われていたが、今は高齢者に至るまで、世代を問わず万引が横行する由々しき状況にある。県警としても色々と取り組んでいるが、このキャンペーンを通じて万引の被害が1件でも減るように皆様と協力しあっていきたい」と述べた。
当日は気温30度を超す猛暑の中、書店組合から11名、後援の県警本部生活安全総務課から2名、福岡県中央警察署から3名の総勢16名が参加し、「万引きは犯罪です/万引きゼロを目指します」のチラシとボールペンの2000セットを配布し、街行く多くの人々に万引の根絶を訴えた。
(加来晋也広報委員)