全国書店新聞
             

平成20年6月11日号

大阪屋と栗田が業務提携

大阪屋と栗田出版販売は5月30日、包括的業務提携に関して基本合意書を取り交わした。業務提携の内容は①集品機能の相互利用、②保有在庫の活用、③客注機能の利用、④輸送機能での相互協力、⑤資材等共同購入の推進で、専門委員会を立ち上げ、本年内の実施を予定している。
これにより大阪屋は栗田の書籍通販「ブックサービス」を利用でき、栗田は大阪屋の物流拠点KBC、TBCの在庫を利用できる。資材の共同購入、情報システムの利用も検討中。

中小書店の経営環境を改善/新販売システム手直し/苦境脱出へ活性化策打出す/日書連総会

日書連は5月29日午前11時から飯田橋のホテルメトロポリタン・エドモントで第20回通常総会を開催。売上低迷が続き、中小書店の減少が目立つ中、書店の経営環境改善へ向けた返品入帳の改善、第3回新販売システムの検討、読書推進運動の展開など今年の重点的取り組みを決めた。
通常総会は理事47名と常任委員5名、各県組合からのオブザーバーとして62名、合計114名が出席して開かれた。平野惣吉理事(徳島)の進行で始まった総会は、井門副会長が「1万2千店あった組合書店も今や5869店と半分になった。同時にアマゾンに代表されるIT書店に浸食されている厳しい状況の中、実りある1年であるように議論を尽くしてもらいたい」と開会のあいさつを行った。
次いで日書連大橋会長があいさつ。「昨年の総会で会長を拝命し、あっという間の1年だったが、書店の置かれた苦しい状況は一刻の猶予も許さない」と前置きして、この1年に日書連が重点的に取り組んだ環境改善の運動を紹介。書店のマージンアップのための新販売システムについては「昨年の第2回は思うような注文部数に届かず中止したが、(改善を要する)仕組みの問題もあったのではないか。買い切り条件で一発勝負の注文は難しかったかもしれない。第3回目に(教訓を)生かしてもらう」と必要な修正を加え、新販売システムに取り組む意欲を示した。
また、取引問題については返品入帳の短縮化、有事出版社への対応をあげ、「(月末入帳を)実施済みの取次には大いに感謝したい。大取次は問題がある。資金は書店が肩代わりしていることになる。返品入帳短縮化の考え方は少しずつ理解が進んでおり、(改善されれば)書店のキャッシュフローに生かされる。月末に書店の資金がショートすれば出版業界全体も行き詰ることになる。1つひとつ問題を解決していきたい」とした。
さらに読書推進運動の重要性に触れた大橋会長は「書店のインターフェースはお客様。本は楽しいということを広めていかなくてはいけない。読書推進は業界の努力がゆっくり実りつつある。最近起きているおかしな社会的事件の背景には読書不足がある。書籍・雑誌は人類最大の知的財産。日書連の活動を通じて書店の仕事にを誇りをもち続けていきたい」と述べた(会長あいさつ要旨4面)。
議案審議は鶴谷祿郎理事(青森)を議長に選び、第1号議案「平成19年度事業報告」、第3号議案「20年度事業計画案」は各委員会委員長が一括して報告・提案を行った。質疑応答のあと、事業報告と事業計画案を拍手で承認。
平成19年度決算報告と平成20年度予算案は井門財務委員長が提案・説明し、中田成一、村田耕平両監事の監査報告を受けて原案通り承認された。第5号議案の定款一部変更の件は組合法の改正に伴うもので、定款変更特別委員会鈴木委員長が提案趣旨を説明し、原案通り承認された。
第6号議案の役員選任に関する件は、昨年の総会以後に理事交代のあった新理事として岡嶋成夫(東京)、山本秀明(広島)、玉山哲(岩手)、井之上博忠(鹿児島)、多屋昌治(和歌山)、井上俊夫(神奈川)、小橋川篤夫(沖縄)の7氏を承認。監事は中田成一、村田耕平の2氏と、新たに員外監事として小売公取協専務理事の影山稔氏を選任した。
第7号議案「借入金最高限度額」は1億円とすること、第8号議案「員外役員報酬」は限度額を1500万円とすることを井門財務委員長が提案し、拍手で可決承認した。

月末まで返品入帳求む/不合理な取引は改善へ

不況の長期化に伴って、国際地学協会、エクスメディア、山海堂、新風舎、草思社、アスコムと出版社の経営破綻が続いて、フリー入帳だったはずの返品が入帳されないケースが続いている。出版社有事の対応について取引改善委員会柴﨑委員長は「なんといっても取次が交渉に応じず、交渉の場すらないのが実情」と批判した。
問題点として、「出版社が倒産した場合、出版社―取次の取引は凍結するのに対し、取次―書店では延勘の期日が来ると集金される。出版社―取次の取引が凍結されるなら、書店―取次も凍結するのが当然」と申し入れていることを明らかにした。
文庫配本問題の対応では昨年10月から12月にかけて新潮社、角川、文春、講談社、光文社の5社の文庫配本状況を全国46店で調査した。この結果、新潮社の場合、20万部以上製作したAランク配本は1冊もなかったほか、上位5ランクに入る配本も68点中3点しかなかった。他の出版社も同様で、この部数では初めから配本されない書店がほとんどで、今後パターン配本の見直しに力を入れていきたいとした。
返品入帳の問題は、トーハンの「10営業日前」が「5営業日前」に改善されたが、「5月の返品入帳にあてはめると31日の5営業日前は26日。少なくとも24日午前中に桶川に入らなければ入帳されない。地方書店はさらに早く返品しないといけない。(出版界の資金を)誰が負担しているのか。こういう理不尽を一つずつ解決していきたい」と述べた。
返品入帳を取次に文書通告すべきだという意見に、柴﨑委員長は「話し合いを求めて取次が応じないようなら公取委が立ちあってもよいとしている」と含みを持たせた。

再販違反事例あれば出版社に提示

岡嶋再販研究委員長は各県から報告のある再販違反事例の中に、出版小売業景品規約と混同して値引き、割引類似行為が行われるものがあることを指摘。「年2回90日の景品提供、通年2%のポイントカードはあくまでも景品の規約」と強調し、誤解があれば、今後も粘り強く出版社に再販違反事例として提示していきたいとした。
書協が行っている謝恩価格本フェアでは、日本経済新聞が「本屋に行く前にこのサイトで検索するといいだろう」と紹介していることに触れ、「本屋をないがしろにするもので、残念に思う」と述べたほか、「再販価格の拘束は出版社が持っている。そこのところの意識を持ってくれないと、再販はなくなってしまうのではないか」と強い懸念を表明した。
また、公取委が出版流通の弊害是正をテーマに出版各団体へヒアリングを始めたことを紹介したが、平成7年当時、「流通慣行の弊害規制」が再販見直しにつながった経緯があり、慎重に見定めていくと述べた。

新年懇親会は中止、年末に感謝会開催へ

環境改善政策審議会が管轄する文字・活字文化推進機構について大橋会長は「出版業界が取り組んできた読書推進運動にようやく追い風が吹き始めた」と評価し、日書連として基本財産として200万円を出資したことを説明。今後も機構を後押ししていくとした。
この数年、箱根・湯本富士屋ホテルで1月末に開かれてきた出版販売新年懇親会については、出版社・取次・書店の各参加者からアンケートをとったところ、出版社・取次からは東京開催の要望が多かった。これを受けて、来年の新年会は開催を見送り、代わりに今年12月17日夕方、皇居前・パレスホテルに出版社、取次、業界関係者を招いて年末感謝会を開く方針を明らかにした。

新販売システム/ICタグ利用して買切り低正味検討

昨年出版社7社・14点が参加して取り組んだ第2回新販売システムは申し込みが少なく、中止となったが、流通改善委員会藤原委員長は「書店が買い切りになれていなかった面があり、いろいろご批判もいただいたが、書店のマージンが少ないことの一つの方策として考えていかなければならない問題」と、意義を強調した。
次回計画中の第3回目について藤原委員長は「考え方として同一タイトルで複数取引条件が可能か検討している」とし、ICタグを使って同一の書籍でも買切りで仕入れれば低正味、委託で仕入れれば普通正味にする仕組みを実現するべく出版社と検討中であることを説明した。
また、単行本が文庫化されるまで通常4年程度かかっているため、文庫になる前に廉価版を作り、買い切りにすることも検討しているとした。
雑誌発売日問題では粘り強く全国同日発売を求めて活動していくほか、スリップ報償の件では現在、報償券を送らなくてもよいという出版社が増加しているため、各社の報奨金システム、報償券回収状況についてアンケートを行った。しかし回答が少なかったため、時間をかけ詳しく調査していく方針。

新理事・監事

5月29日の日書連通常総会で承認された新理事ならびに監事は以下の方々。
理事=岡嶋成夫(東京・ブックロード)、山本秀明(広島・金正堂)、玉山哲(岩手・東山堂)、井之上博忠(鹿児島・ブックス大和)、多屋昌治(和歌山・多屋孫書店)、井上俊夫(神奈川・井上書房)、小橋川篤夫(沖縄・いしだ文栄堂)
監事=中田成一(埼玉・日野屋書店)、村田耕平(兵庫・三宮ブックス)影山稔(員外)

図書館マニュアル作成/日書連マーク1300校に

公共図書館は全国に5千館、平均予算が1館400万円として200億円の市場。小・中・高校の学校図書館は4万2千館、約300億円の市場。公共図書館納入の7割はTRCが握っており、書店の市場は公共図書館、学校図書館合わせて360億円と推定される。情報化推進委員会井門委員長は、公共図書館の予算削減からTRCが学校図書館市場を狙っており、学校図書館市場を守るためには日書連MARCが武器で、現在、小・中・高校1300校に日書連MARCが普及していることを説明した。
一方、各県組合が共同受注する場合、組合の定款に図書館業務をうたい法人格としてきちんと対応した方が有利とし、大分組合の定款変更例が参考に示された。日書連では「図書館サポート基本マニュアル」を現在製作中で、近く各県組合に配布する。図書館の最近の動きとして、図書類、CDなどの販売を探る動きがあるといい、日本図書館協議会と意見交換を行い、図書館の役割分担を再確認していきたいとした。
ICタグについては出版業界として4年間の実証実験を行ってきた。万引の被害額は大手書店の決算書から万引き率は1・41%という数字がはじき出され、書店利益率0・6%の倍以上になることが明らかになっている。今後、ICタグの実用化を支援していく。
新しい取り組みとしてはカード決済機能がついて、販売データを送れるNETレジ(仮称)を検討していると紹介があった。

質疑応答

万納昭一郎氏(神奈川)消費税が3%から5%になって以後、売上げが落ち続けている。消費税が10%になれば売上げはますます落ちる。一昨年の総会で取引は平等と決議した。締め期まで返品入帳するのは当然で、期末まで入帳している取次もある。取次に文書で通告し、だめなら公取委に取次の優越的地位の濫用を訴えるべきではないか。
面屋龍延副会長大阪組合も5月23日の総代会で「送品即請求、返品入帳の遅れ、100%支払いは取引約定書の不平等であり、解決してほしい」という決議を行った。
柴﨑繁取引改善委員長取次に文書を出すことは問題ないが、出しても回答がない。取次は返品の荷物が着いた当日、データを機械で読み取っている。4月7日に公取委に呼ばれ、取引約定書を渡してきた。公取委としても流通上の問題を検討しているようだ。話し合いを求めて取次が応じない場合は公取委が立ち会ってもよいと言われている。
万納氏大手書店は月末まで返品入帳している。中小書店だけ入帳しないのはおかしい。
植田栄一氏(千葉)法の番人である公取委が法律を無視するのはおかしい。生協は5%引きのチラシを配っている。学校図書館の図書予算が1千億円ついているのに、交付税措置なので千葉県は42%の実施率にとどまっている。全国的にも50%程度しか使われていないのではないか。
岡嶋成夫再販委員長独禁法23条の適用除外で官公庁、生協は割引販売できる。ただ、生協によっては会員証を示さなくても買える場合があるようで、そういう実態があれば街中の書店を圧迫することのないよう求めたい。具体的な事例を示してもらえれば出版社に提示する。
大川哲夫専務理事学校図書館協議会の総会でも予算の消化率が低いことが問題になった。交付税措置なので、予算の執行を文教委員や教育長に問い合わせて情報公開してもらいたい。
井門照雄副会長来年度予算は8月に決まるので、早急な取り組みが必要だ。
武藤武久氏(千葉)支払いサイト60日を90日にしてもらいたい。
鈴木喜重副会長昨年来、北海道組合は90日サイト、青森組合は60日サイトを求める決議を行った。各県の声を集めて、全国的な流れを作りたい。
青柳公夫氏(千葉)組合員数が6千店を切った。このままでは3千店程度に減るのではないか。
中山寿賀雄書店経営健全化委員長組織拡大には頭を痛めている。今年度は「加入のしおり」を配るほか、取次各社に組合加入の協力を呼びかけたい。大手チェーン店は各県で最低1店は加入を求めたい。
大橋信夫会長新販売システムなどで組合加入のメリットを出せる仕組みを考えていきたい。書店は今、大中小にかかわりなく、みんな苦しい状況だ。東京組合は、大型書店と協調する方法を話し合うことにしている。今まで、大型書店はカヤの外という考えがあったのではないか。今後は大型書店にも参加いただき、一緒に行動していきたい。

「組合加入のご案内」/パンフ5千枚製作し配布

〔経営健全化〕
経営健全化委員会は組織強化委員会を引き継いだ委員会。今年度も組合員の減少に歯止めをかけるべく取り組みを行ったが、会員数は前年より461店減って5869店になったと中山委員長が報告した。
今後の取り組みとして、書店組合の活動、機構図、役員名簿、各県組合の連絡先などを紹介したカラー刷りパンフレット「書店商業組合加入のご案内」5千部を製作中で、各県で加入促進に利用してほしいとした。
また、6年ぶりに取次各社を訪問して取引店の組合加入促進について協力を求める方針を明らかにした。
〔指導教育〕
4月に施行された組合法の改正を受け、昨年8月に各県組合事務局職員を対象にした研修会を東京で開催した結果、27都道府県組合から参加があったことを報告した。
新年度の計画では、①書店経営のキャッシュフロー改善をテーマにした研修会を8月に1泊2日で開く、②青少年有害図書規制で販売店に懲役、罰金などを科す中央立法化の動きがあり、出版倫理協議会を通じて反対していく、③e―ラーニング上級編の検討などの課題を鈴木委員長が説明した。
〔増売運動〕
世界本の日=サン・ジョルディの日のキャンペーンについて、舩坂委員長は「心に残る1冊の本などの応募は毎年増えており、地道に続けていきたい」と説明した。また、北海道、山形、富山、福岡など各地で独自にキャンペーン企画が行われていることの紹介があった。
読書週間書店くじは、昨年の特賞「台湾4日間の旅」を5月に実施。当選者、書店など33名が参加したとしたほか、今秋の書店くじ特賞賞品は「図書カード」にして書店への還元を狙ったと報告した。
〔共同購買・福利厚生〕
中山委員長は日書連オリジナル薄型手帳「ポケッター」は昨年11万部を完売したが、2009年版は製作部数を10万部とし、8月に組合員に案内状を送るとした。損保系の災害補償共済「あんしん財団」は毎月2千円で充実した保障が受けられる。平成20年度は前年より1名増えて74名の加盟となった。
〔消費税〕
社会保障国民会議が基礎年金の財源をすべて税で賄う場合、9・5%から18%まで消費税を上げる必要があるという試算を示したが、面屋委員長は「消費税が18%になれば本は売れなくなる」と懸念を示し、出版4団体と新聞業界で消費税率上げ反対と軽減税率を各党に求めていることを説明した。
そして「消費税問題は再販と並ぶ日書連の重要課題」として、これ以上税率をあげないよう求めていきたいと述べた。
〔広報活動〕
面屋委員長は「出版業界全体が疲弊している中で組合員のパイプをつなぐ広報活動は大きな役割がある」と指摘。「小売書店実態調査の結果に基づいて、日書連が何をやっていくのかを重点的に報道してきた。また、すぐれた経営をしている個店を取り上げ紹介した」と今年度の取組みを報告し、新企画として全国に24名いる各県組合の女性理事を紹介していくとした。

大阪「本の帯創作コンクール」課題図書決まる

大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社が主催する「本の帯創作コンクール」の課題図書15点(低学年・中学年・高学年向け各5点)が決まった。
創作してもらう帯は本の天地の3分の1以内の大きさに、本を紹介するキャッチコピーやイラストを自由に描いてもらうもの。学校を通してまとめて作品を応募する場合は課題図書が対象だが、個人の応募は課題図書以外でも可。また、今年から個人応募は大阪以外の地区からも受け付けることになった。
作品は大阪府書店商業組合に郵送するか、「作品受付書店」のステッカーを張った組合加盟書店に9月10日までに持参する。
表彰式と展示会は11月15日、天満橋のドーンセンターで開催する予定。優秀作品は帯を製品化して本に巻き、書店店頭に並べて販売する。
〔低学年向け〕
『あいうえおとaiueoがあいうえお』(小学館)
『きんいろのライオン』(鈴木出版)『ピース・ブック』(童心社)『まじょねこピピぼくのだいじなともだち』(金の星社)『むしのおんがくがっこう』(あかね書房)
〔中学年向け〕
『ジェレミーと灰色のドラゴン』(小学館)『タンポポ空地のツキノワ』(新日本出版社)『日本昔ばなし三まいのおふだ』(くもん出版)『のら犬物語』(金の星社)『へいきのヘイタ』(ポプラ社)
〔高学年向け〕
『12歳に乾杯』(国土社)『精霊の守り人』(偕成社)『だんご鳥』(新日本出版社)『ようこそ宇宙の研究室へ』(くもん出版)『リバウンド』(福音館書店)

大阪組合「取次との取引関係を改善することを要求する決議」(5月23日採択)

現在小売書店は、売上減少の中で経営を維持するためたゆまぬ努力を日々重ねています。しかし、同業の数少なくない人々が止むを得ず廃業に追い込まれ、今年度も全国で1000件にも及びました。小売店の荒廃には目に余るものがあります。出版文化を底辺で支える書店のこの状態がここ十数年続いております。業界全体(特に雑誌)の衰退も止まるところを知りません。
そこで私達は、この時期にこの苦境を打開するために取次との取引関係に平常な状態の回復を要求しなければなりません。その最大の課題は取次会社における返品入帳の早期実施です。日書連において働きかけていますが、やや努力は見られるものの現在においても取次の決算月等においては大幅に遅れ、それをもって各取次の「残高証明」とされています。つまり、書店の持つべき「金融資産」が取次に入帳されず小売のものになっていません。各書店にとって本当に必要なキャッシュフローであるべきものが小売に皆無、取次に預りおかれる状態となっています。現在のIT化のもとで返品処理さえなされれば入帳計算は直ちに行えることです。
そこで書店組合として返品入帳日までの仕入れ同日請求を実現させるべきです。新刊雑誌・書籍の見計らい送品も雑誌35%余り、書籍39%余りが返品されるというこの業界では、少なくとも返品の完全入帳は当然すぎるほど当然なことです。
①返品入帳日同日請求を実現させよう
②注文品請求と委託新刊雑誌・書籍を分ける注文品は即請求とする。他の雑誌においては35%程度の返品、書籍は39%の返品が恒常的であり、返品が発生することは確実であるにもかかわらず、現在はその全てを支払うことが前提となっています。つまり、前記返品入帳日同日請求と注文品の仕入れが確実な仕入れであって、新刊雑誌・書籍は、まだ「不確定な仕入れ」であって、約定書等で仕入れの100%支払うとの取決めは、明らかにこれらの状況を無視して取次が支払いを強要したものです。この現状態を取次、小売の双方が対等になる状態にすべきです。
③いずれも、約定書の不平等関係が、その原因となっています。つまり互恵に基づく約定書の改訂を実現させなければなりません。
以上3点の実現を全国の書店に呼びかけ、日書連の一層の努力を要望し第26回大阪府書店商業組合総代会の名によって決議します。

2010年を読書年に/国会採択へ向けて取組み

こども読書活動推進法、文字・活字文化振興法に盛り込まれた諸施策を具体化するため、昨年10月に設立された財団法人「文字・活字文化推進機構」について谷口委員長は、2010年を日本読書年とする国会決議採択へ向けて活動しているところと説明した。
北海道組合から始まり、愛知・三重、熊本と広がった「本屋のおやじのおせっかい、中学生はこれを読め」の冊子製作については、各県組合に製作希望の有無をアンケートした結果、5組合から回答があったのにとどまり、最低2万部に達しないため、製作を見送りたいとした。
一方、創設を検討してきた「日本読者大賞」に関してはNHKが同様の企画を出版文化産業振興財団に持ち込んでいるため、JPICを通じて検討していくことになった。
子どもゆめ基金の助成事業である絵本ワールドは、今年から絵本ワールドと展示即売会を切り離すことが求められたため、①即売会は同時開催とすること、②会場費・運搬費は「こどもの読書推進会議」が全額または半額を負担していくことになった――と説明があった。
質疑では「第4土曜日は子ども本の日」の読み聞かせ運動の現状について質問があったが、谷口委員長は児童図書出版協会からも復活してはどうかという声があることを紹介し、検討することを約束した。

規約見直し、議論進める/井門照雄会長を再選/出版物小売公取協総会

出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)は5月28日午後4時から書店会館3階会議室で2008年度総会を開催した。
総会は小泉忠男監事の司会で進行、代理を含め52名が出席と報告があった。鈴木喜重副会長の開会の辞に続き、井門会長が「平成18年に規約を変更し、期間制限は年2回90日、トレーディングスタンプのサービスは1%からスタートして去年から2%になった。次年度は、来年の総会に向けて規約見直しの期間に入る。私の個人的な意見としては、このままでいいのではないかと思うが、会員の方々の意見を聞き、公取委と話をしながらまとめていきたいと思っている。ルールを見直すということは、変えるのを前提とするのではなくて、消費者にとって是か非かを明確にしながら、どうするかを議論するべきだと考える。この1年間は、配送料の無料サービスなど幾つかの問題について、公取協の考え方を明確にした。次の1年は厳しい時になるだろうと覚悟している。皆さんにわかり易い資料を提示し、議論して結論を出していきたい」とあいさつした。
続いて来賓の公正取引委員会消費者取引課・粕渕功課長が祝辞。粕渕課長は景品表示法の現状について、「食品の偽装表示などいろいろな問題が起きていることから、現在制度面の見直しを行なっている。一つは団体訴権の導入だ。これは、消費者団体が消費者個人に代わって訴訟を起こすことができるようにするもので、来年4月から施行される。もうひとつは、不当表示について課徴金を導入する法改正で、今国会に法案を提出している。また、消費者庁の創設による消費者行政の一元化が政府内で検討されており、景表法も議論の対象になっている」と説明。
出版物小売業の公正競争規約については、「これから来年度に向けて見直しを展開していただく必要がある。前回見直した結果どうなったのか、まず現状を分析していただきたい。昨年、一般的な景品のルールを見直した。そういう大きな流れの中で、今後皆様の業界でもどういう方向でやっていくのか、その辺をこれから検討していただければと思う。公正な競争、消費者利益の確保が重要であり、引き続き規約の運用にご理解、ご支援をいただきたい」と述べた。
このあと井門会長を議長に議案審議を行い、平成19年度事業報告、収支決算報告、平成20年度事業計画案、収支予算案をいずれも原案通り承認可決した。
事業報告を行なった影山稔専務理事は「公取協として、いくつかの問題について考え方を明確にした。出版社が宣伝材料等を景品として提供する場合、書店来店者にプレゼントするというような景品提供と認識される方法で読者に提供する場合は、規約の制限が及ぶ。配送料の無料サービスについては、公取委に見解をうかがった。基本的に無料で配送する場合は商品販売に伴うサービスとして行うのが普通だから景品類に該当する。また、通信販売の場合は、配送が取引内容の一部を為すため景品には該当しないとの判断が示された。規約を運用していく上で一番大事なのは、何が値引きで何が景品に当たるかを判断すること。出版業界の中でこのあたりを取り違えている事例がかなりあるので、景品と値引きの判断について再度資料をまとめて理事会で説明した」と報告。
また平成20年度事業計画については、以下の計画案を承認した。
1.出版物小売業の「公正競争規約」に対する理解と検討。そして正しい運用、普及のための活動、研修会等の開催。2.景品表示法をはじめ、関係法令の研究並びに規約違反の防止。3.一般消費者、消費者団体及び出版業界団体との連絡。4.関係官庁及び団体との連絡①公正取引委員会並びに各地方事務所との連絡。②各都道府県の景品表示主管課との連絡。③全国公正取引協議会連合会との連絡。5.広報活動
続いて任期満了に伴う役員改選を行い、井門会長を再選した。
〈出版物公取協新役員〉
▽会長=井門照雄(愛媛)
▽副会長=鈴木喜重(千葉)藤原直(宮城)柴﨑繁(東京)
▽理事=久住邦晴(北海道)鶴谷祿郎(青森)和泉徹郎(秋田)玉山哲(岩手)五十嵐太右衛門(山形)西猛(福島)大野豊治(茨城)杉山和雄(栃木)大澤孝輝(群馬)水野兼太郎(埼玉)井上俊夫、山本裕一(神奈川)大橋信夫、柴﨑繁、岡嶋成夫、舩坂良雄(東京)青柳和人(山梨)古澤隆(静岡)谷口正明、佐藤光弘(愛知)木野村祐助(岐阜)作田幸久(三重)西村俊男(新潟)吉岡隆一郎(富山)森井清城(石川)赤羽好三(長野)安部悟(福井)平柿宗敏(滋賀)面屋龍延、戸和繁晴、藤田彰(大阪)中村晃造(京都)西本功(奈良)多屋昌治(和歌山)三上一充(兵庫)田江泰彦(鳥取)今井直樹(島根)吉田達史(岡山)山本秀明(広島)冨永信(山口)西尾文士(香川)平野惣吉(徳島)本久善一(高知)山口尚之、長谷川澄男(福岡)岩永藤房(佐賀)中山寿賀雄(長崎)長﨑晴作(熊本)大隈劭(大分)田中隆次(宮崎)井之上博忠(鹿児島県)小橋川篤夫(沖縄)
▽専務理事=影山稔
▽監事=小泉忠男、筒井正博

日書連の活動通じて明日の書店像を実現/大橋会長の総会あいさつ

昨年この会場で会長を拝命し、あっという間の1年だった。思いもかけないことだったので、その時は1年間様子見をさせていただきたいと申し上げたが、全国の書店は猶予を許さぬという状況にきていると理解している。
日書連は、全国小売書店経営実態調査に基づいて報告書を作成し、続いて書店経営者の生の声を別冊としてまとめ、書店の現状を整理して出版業界内外に実態を訴え続けてきた。そして副会長や理事の皆様の協力をいただいて、この1年考えつつ同時に行動してきた。
書店の経営環境を改善しようという目的で第一に取り組んだ「新販売システム」の導入は、第2回目の実施を検討したが、なかなか思うように注文部数がまとまらなかった。システムの仕組みの問題や、買切で一発勝負というところが難しいという面もあって、ハードルは越えがたいということで第2回は残念ながら中止せざるを得なかった。実施を必ずしも10月27日の文字・活字文化の日に合わせる必要はないのではないかということもあり、もっと書店のロングセラーやベストセラーが追加注文によって作られることに留意して、ためになる仕掛けを作っていこうということで、第3回の実施に向けてさらに努力を続けていきたいと思う。
もうひとつ取り組んだのは、取次との取引改善問題だ。返品入帳改善や有事出版社対応などの問題がクローズアップされている。これについてはいろいろと交渉し、環境を改善すべく努力しているが、なにぶんにも相手があることなので、一朝一夕にできることではない。
返品入帳問題については、我々の改善要請に対し、中には既に実施済みであるという回答をいただいた取次もあった。これには我々も大いに感謝しており、今後もそういう方向で進めていただきたいと思う。大取次ほどいろいろと問題がある。考えてみれば、資金は書店が肩代わりしているのである。返品入帳短縮化は少しずつ理解が進んでおり、その結果が我々のキャッシュフローに生きてくる。月末で資金がショートしては経営が行き詰ってしまう。キャッシュフローの改善と書店経営についても、今後考えていく必要があると思う。日書連としてこういった一つひとつの問題を解決すべく、行動していく。
書店の一番多くのインターフェースはお客様。どんどん本を読んでもらうようにしていかないといけない。本はこんなに楽しいものなんだよということを、我々が声を大にして言っていくことが大切だと思う。地域における読書推進運動は、図書館などが中心になって活動が進められているが、不特定多数の読者に対して一番多くの接点をもつのは書店店頭だと思う。我々としては、日々お買い上げいただいている読者を大切にしていかなければならないと考えている。
出版業界でもいろいろな組織を作って読書推進運動をやってきている。社内に部署をもって活動している出版社もあまたある。そういった業界内の努力が、今ようやく実を結びつつあると考えている。単に出版業界のみにとどまらず、その先の動きが、ようやくゆっくりとではあるが起こってきている。
最近は、若者が起こしたびっくりするような事件がいろいろと報道されている。現実と虚構の区別ができず、ゲームの影響が大きいのではないかと考えられる。そのようなことが今までなぜ起きなかったのかといえば、本来人というものは社会の中で生きていくものだからだろう。社会という枠の中で、口のうるさいお爺さんお婆さんがいて注意をしたり、周囲の目があって、その中でバランスを保って人々は生きてきたのだと思う。
ところが最近は家に引きこもってゲームやパソコンに時間を費やして育ってきてしまう。やはり読書が足りない面があると思う。我々は本を読んで、やっていいことといけないことを学ぶことができる。読書を通じて、実際に経験しなくても、ちゃんと物事を理解して、社会的な行動がとれるようになる。
今まではそのようにして、やっていいことと悪いことの区分けができていたはずだが、現在はそれが希薄になっていると思う。最近は、説教がましいことは避けて通りたいという風潮があるが、こういう問題を解決するためには読書が必要なんだと、口をすっぱくして言っていく必要がある。読書によって頭を鍛えることの大切さを広めていきたい。
我々の手元にある書籍、雑誌というものは人類最大の知的財産だと思う。これだけのものを、売れないからといってなくしてしまってよいだろうか。我々は誇りを持って書店という仕事をやり続けていきたいと思う。
そのためには、少しでも多くの読者の存在が必要だ。本屋の減少が、いま我が国の津々浦々で起こっている。我々は、それぞれの地域の知識人であるという自負を持っている。明日の書店像を、日書連の活動を通じて実現していきたいと思う。
今日は全国から各県組合の代表にお集まりいただいた。日書連の活動にひとこと言いたいという思いでお見えいただいている。また、多くのアイデアをお持ちになっていると思う。少しでも多くの方からご意見を賜りたい。今日の総会を有意義なものにしていただきたい。

新理事長に小橋川篤夫氏/沖縄総会

沖縄県書店商業組合は5月21日午後2時から那覇市内で通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選の結果、6期12年務めた山田親夫理事長が退任。新理事長に小橋川篤夫副理事長(那覇市・いしだ文栄堂)の昇格を決めた。
新しい三役として副理事長に大城行治(読谷村・大城書店)、真栄城久尚(那覇市・首里書房)の両氏、総務委員長を兼ねた専務理事に安仁屋博一氏(那覇市・安木屋)を承認した。
(安仁屋博一広報委員)

組合組織の改編急務/次年度から全員参加型総会に/京都総代会

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は5月27日午後2時から京都市の京都ホテルオークラで第24回通常総代会を開催し、総代37名(委任状含む)が出席した。
総代会は中川勝利専務理事(ブックジョイ)の司会で進行。冒頭、あいさつした中村理事長は「組合員数が減少している昨今、組合の必要性を問う声もあるが、組合に加盟する大きな利点は行政とコンタクトが取れること。一書店では届かない声も、組合という組織から発信することで行政は聞く耳を持ってくれる。組合員がこれを最大に活かすことが組合の最大の存在意義。組合はこれからも寄せられる要望に耳を傾け、実現に向けた努力をしていきたい」と述べた。
議長に野村忠弘雑誌発売日励行委員長(宮脇書店京都店)、副議長に堀江幸雄副理事長(ブックスランボー)を選出、平成19年度事業報告、平成20年度事業計画案、収支決算・予算案等の議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決した。
事業計画案では、活性化委員会から、組合事業の啓蒙活動に役立てるため、京都組合のイメージキャラクター作りに着手することを報告。ITサポート委員会からは、京都組合の組合員を対象にすでに稼働中のインターネット発注システム「KBOS」(京都組合ブックオーダーシステム)について報告。今年度には組合取扱い商品のリアルタイムな在庫照会情報をパソコン画面上で閲覧できるシステムに改良するなど、さらに効率的で便利に利用できるシステム構築に向けた計画を提示したほか、昨年度までに京都市内のすべての小中高校に導入された「図書館電算化システム情報BOX」のシステムメンテナンスに関して、組合員を対象にしたサポート体制の確立についても明言した。
このほか、情報化委員会の村田弘武委員長(村田書店)から組織改編を見据えた議案が提出された。村田委員長は「京都組合の組合員数は最盛期に比べて半数近くに落ち込んでいる。京都では代議員による総代会を開いてきたが、今後も組合員が減少した場合、代議員の選出が難しくなり、組合運営に支障を来す懸念がある。今後、組合員数の回復を期待することは難しく、組合組織の改編は急務。まずは次年度から組合員全員参加型による総会開催が望ましい」として決議を求め、議長が採決。全会一致で来年度は組合員全員参加型の総会となることが議決された。村田委員長は「今後1年かけて定款と規約の改正に向け骨子案を作る」と述べた。
総代会終了後、組合が「役員・従業員表彰」と「小学一年生飾り付けコンクール表彰」を行った。また、小学館が「小学一年生増売コンクール表彰」、京都新聞社が「お話を絵にするコンクールスリップ表彰」を行った。このあと懇親会を催した。
(澤田直哉広報委員)

「組合活性化進める」大澤理事長を再選/群馬総会

群馬県書店商業組合は5月30日、前橋問屋センター会館で第21回通常総会を開き、組合員46名(委任状を含む)が出席した。
総会は高塚副理事長の開会の辞で始まり、大澤理事長の挨拶後、議長に成田理事(星彦書店)を選出し議案審議に入り、平成19年度事業報告・決算報告、20年度事業計画案・予算案、定款の一部変更など原案通り承認可決した。
続いて役員改選に入り、推薦委員会で各理事が推薦、承認され、大澤理事長と高塚、中村、小林副理事長がそれぞれ再任された。大澤理事長は「業界はますます厳しくなり、各書店は大変だろうが、組合活性化のために一段とご協力をお願いしたい」と挨拶した。
また、最近、大取次・版元とも小売書店を軽視しているとの問題が組合員より提起され、活発な意見が出された。そして、県組合としてさまざまな問題について中央に意見発信をしていくべきとの決議を行った。
議事終了後、群馬県中小企業団体中央会の石井主事が祝辞を述べ、総会を終了した。
このあと研修会を実施。情報化委員会より学校図書館システムについて紹介があり、組合員より多くの質問が出されて関心の高さを示した。引き続き運送会社の挨拶等があり、懇親会で幕を閉じた。
〔群馬組合役員〕
▽理事長=大澤孝輝(天華堂)
▽副理事長=高塚茂(正林堂)、中村光雄(ナカムラヤ)、小林卓郎(煥乎堂)
(竹内靖博広報委員)

加入促進、出版社有事問題など課題/埼玉総会

埼玉県書店商業組合(水野兼太郎理事長)の第24回通常総会が5月27日午後2時から、さいたま市の埼玉書籍4階会議室で行なわれ、組合員125名(委任状含む)が出席した。
総会は小野太一郎副理事長の開会の辞で始まり、水野理事長が挨拶。野沢恒雄常任理事を議長に選任し、平成19年度事業報告、財産目録・貸借対照表及び損益計算書、剰余金処分案、平成20年度事業計画案、収支予算並びに経費の賦課金徴収方法、借入金残高の最高限度額等の議案を審議し、いずれも原案通り承認可決した。
事業報告、計画では、年々減少する組合員数について、本県組合においては年内に200名を割りそうな勢いで減少していることが報告された。各組合員が意識を持って加入促進を行なうとともに、書店経営問題、公正競争取引問題、有事出版社問題等に取組むことが確認された。
総会終了後、出版物公正取引協議会埼玉支部の総会を開催。続いて、来賓の埼玉県中小企業団体中央会大宮支所主査・武内正美様があいさつし、吉田矩康副理事長の閉会の辞で終了した。
引き続き、埼玉県中小企業団体中央会、取次を交え懇親会を開き、和やかな中に情報交換が行なわれた。
(事務局・山口洋)

携帯コンテンツ事業に参入/ACCESSと協業で/東京組合

東京都書店商業組合は6月3日、書店会館で定例理事会を開催。携帯情報端末および情報家電向けソフトウェアの開発会社ACCESSの子会社であるアクセス・パブリッシングと協業で、携帯電話を使ったコンテンツ事業に今秋参入し、携帯電子書店サイトの運営を行うことを承認した。
出版業界の売上減少、書店の廃業に歯止めがかからない状況の中、電子書籍業界は順調に売上を伸ばしているが、電子書籍の販売には一部の書店を除き関わることができていないのが現状。
こうした背景から、本のプロである書店人が運営する本好きのためのサイトを立ち上げ、電子書店サイトと書店を連動させることで読書人口の底上げを図り、業界全体の活性化を目指すことになった。
東京組合はサイト運営および店頭プロモーション、ACCESSグループはシステム開発およびサイト運営支援を担当する。
このほか理事会では、5月20日総代会で新しく理事に就任した宍戸哲郎氏(八重洲ブックセンター常務)の所属委員会をBグループ(流通改善、経営取引、万引・出店)とすることを決めた。また、立川支部からの申し入れにより、7月以降の理事会にオブザーバーとして下向紅星氏(分梅書店)が出席することを了承した。

加入促進に積極的な取り組みを/福井総会

福井県書店商業組合は5月26日、芦原温泉「灰屋」で平成19年度通常総会を開き、組合員55名(委任状含む)が出席した。
総会は出口理事の司会で進行し、安部悟理事長があいさつ。「景気は横ばいか少し上向きと言われているものの、小売、特に書店業界は厳しい状況にあり、対前年90%前半の落ち込みとなっている。日書連加盟の組合員数の減少は止まらず、ついに最盛期の半分以下の6000店を割り込んでしまった。福井県は組合員が減少しなかった4県に入っているが、安心せずに積極的に組合加入を促進していかねばならない。書店くじにも積極的な参加をお願いしたい」と述べた。
玉木理事を議長に各議案を審議し、清水副理事長から報告のあった平成19年度事業報告、決算報告を承認。また、20年度事業計画案、予算案も了承した。また、発売日励行委員会の中林委員長より違反事例と対処について報告。青年部の三澤理事より前年の金沢市視察研修に続き、今年は名古屋を予定しているとして、参加を呼びかけた。
このあと、来賓のトーハン北陸支店の小川支店長、日販北陸支店の表氏、太洋社北陸支店の池田支店長、そして講談社、小学館、聖教新聞社からあいさつがあり、福井県青少年育成グループの魚谷氏から青少年保護育成条例の一部改正による成人向け図書区分陳列の具体的方法について説明があった。総会終了後、懇親会を開いた。
(清水祥三広報委員)

坂田専務理事が県商工功労賞/兵庫組合

兵庫県書店商業組合は5月13日、エスカル神戸で定例理事会を開催した。
委員会報告では、第1支部よりメトロ書店神戸御影店の組合加入が正式に決まったことと、組合専務理事の坂田正美氏(甲南堂)が本年度の兵庫県商工功労賞を受賞することになったと報告。第2支部からは7月17日阪急伊丹駅前にTSUTAYAが300坪で出店、第5支部からは5月20日に高砂市緑が丘ジャスコに未来屋が100坪で出店すると報告。5月30日発売「尼崎Walker」の増売を決めている第3支部からは、支部組合員のさらなる協力を要請する目的でロゴ入り手提げ袋を作成し、1店舗当たり500枚配布すると報告があった。
総務委員会からは、先般作成したブロック会組合員名簿について、訂正連絡が数件あったと報告。古いデータが掲載されるなどもあったため、より一層校正に注意してもらうよう事務局に申し入れると報告があった。(中島良太広報委員)

広辞苑旧版寄贈でカナダから感謝状/北海道組合

北海道書店商業組合は5月13日、組合事務所で定例理事会を開催した。主な審議内容は以下の通り。
1、第32回通常総会を6月24日午後3時半からホテル札幌ガーデンパレスで開催する。事業計画案の中心は第5回「中学生はこれを読め」フェアの開催および講演会の実施について。組合員数減少が組合運営基盤を揺るがすことも予想されるので、組合加入促進案の早急な作成についても討議する予定。
2、広辞苑旧版を寄贈したカナダのモントリオール大学から、贈呈式の写真と感謝の手紙が岩田理事に送られてきた。
3、「新学校図書館図書整備計画」について報告。平成18年3月末の文部科学省調査では、学校図書館図書標準を達成した小中学校の割合は平均40%以下。学校図書館の図書整備費は、各自治体では一般財源とされ使途は各自治体に任され、図書整備以外のものに使われているのが現状である。道組合は道内180市町村議会に「学校図書館図書整備費をきちんと予算化する」ことを求める要請書を送付することを決議した。
(事務局・阿知良由紀美)

トーハン元社長・角屋氏「お別れの会」に905名参列

4月29日に逝去したトーハン元社長の角屋正隆氏を偲ぶ「お別れの会」が6月3日午前11時半より帝国ホテル孔雀の間で行われた。出版社、書店など業界関係者905名が参列して、角屋氏の遺影に白いカーネーションを献花した。喪主は長男の角屋隆之氏、お別れの会委員長はトーハン上瀧博正会長。
角屋氏は大正3年、新潟県出身。長姉が大野孫平に嫁いだ縁で昭和7年、東京堂の少年社員に応募して上京。中央大学で経済学を学び従軍した。戦後は日配に復職して東販設立に参画。昭和59年社長、62年会長、平成3年顧問に就任。14年に退任している。

女性役員に聞く/東京組合理事・加藤美子氏

町の中小書店は夫婦とパートで営んでいるところが多く、女性の力が書店を支えているといっても過言ではない。しかし、各県組合の役員は男性が圧倒的多数を占めており、女性役員は全国に24名しかいない。
書店業界が苦境にある今こそ、現場を支える女性役員の声を組合活動に積極的に取り入れる時ではないか。本紙は各都道府県組合で活躍する女性役員のインタヴューを数回にわたり掲載することにした。
第1回目は東京組合理事の加藤美子氏(福生市・ブックスタマ)に組合活動についてざっくばらんに語ってもらった。
――理事になったきっかけを教えてください。
加藤萬田(元東京組合理事長)さんに無理矢理引き入れられて(笑)。2期3年目になります。読書推進委員会などに所属しています。
――理事会など組合の会合は女性が参加しやすい雰囲気ですか。
加藤正直に申し上げると非常に参加しづらいです。いま東京組合には2人の女性理事がいますが、最初は私1人で、話をしたり相談したりする相手もいませんでした。せめて4、5人の女性理事がいれば、発言もしやすくなると思うのです。
――出版業界全体で見ても女性の参画は非常に少ないという印象があります。
加藤この世界の体質はとても古いですね。今までやってきたことをずっと続けています。でも世の中は変化しており、女性の活躍の場はどんどん広がっています。出版業界も、これから後継者になる人は男性じゃなくてもいいのではないでしょうか。どんどん女性の力を取り入れて、男社会からの脱皮を図るべきです。
――女性の力を組合に取り入れるにはどうしたら良いでしょうか。
加藤ご主人が組合など外の仕事をして、店頭は奥様が……という書店は多いと思います。奥様はお客様をしっかりとつかんでいます。女性の力は偉大です。そんな奥様方が気軽に集まって話し合う場を作ってはどうでしょうか。カジュアルな雰囲気の座談会のようなものであれば、現場の生の声を聞くことができると思います。そして、時にはご主人に代わって理事会にも出席する。現場に出ている女性の力を取り入れるには柔軟性のあるやり方がいいと思います。
――東京組合は婦人感謝の会を実施して、観劇や食事の場を設けています。これに加えて仕事に関する意見交換の場も必要ですね。
加藤観劇もいいですけど、書店会館で簡単な食事をしながら意見交換するほうが成果は大きいと思います。
――現在、出版業界はいろいろな問題で出口が見えない状況にあります。組合員数が減っていることが最大の問題です。組合に入っていない書店が我々の仲間になってくれれば、いろいろな書店の意見を聞くことができて、活力が生まれると思います。同時に、女性の方々も意見を出しやすくなるのではないでしょうか。
加藤男性は組織の中で仕事をしていますが、女性は自由で、突拍子もないことを言ってもそれで通ってしまうところがあります。でも、突拍子もない発言がヒントになって、新しいアイデアが生まれることもあるのではないでしょうか。組合は今、マンネリになっているところがあります。もっといろいろな書店に組合に入っていただいて、活力ある組合になることを望んでいます。
(聞き手=日書連広報委員会・小泉忠男副委員長)

山本一力氏講演会に420名集まる/新潟組合

新潟県書店商業組合は5月26日、新潟市の新潟市民プラザで「世界本の日サン・ジョルディの日記念文化講演会」を開催し、420名の聴衆が集まった。
講談社協賛、新潟市教育委員会・新潟日報社後援。
西村俊男理事長あいさつのあと、直木賞作家の山本一力氏が登壇。「生き方雑記帖」と題し、「人と人との結びつき」「人間の誇りとは」「仕事とは」「自身の幼少時代のこと」などテーマは多岐にわたり、最後まで笑いの絶えない和やかな講演会となった。
講演会終了後、図書カードプレゼントの抽選会と100名限定のサイン会を行った。山本氏と奥様はお客様にひとこと声をかけ握手しながらサインした。
(熊田雅明広報委員)

生活実用書/注目的新刊

我が身は自分で守る、というのが昔からの常識だった。怪しいものは口にしないとか自分のコンディションに見合った食への知恵や判断が、現
代はできにくくなっている。おいしいものが四六時中いつでも手に入る。それが体に悪くとも、我慢したくない。それが飽食という時代である。
浜内千波著『からだに効くおやじメシ』(学研新書029740円)はメタボに憂鬱を感じているオトーサンのための、旬の食材を使った体に良いおつまみを紹介してくれる本。四季の旬菜を63種、季節ごとに解説される。
たとえば、夏といえばトマト。鍋に水1カップを入れ、薄口醤油と塩を少々でひと煮立ちさせ、切ったトマトを漬けて鰹節を加えざっくりと混
ぜる。冷やすとさらに美味なトマトのおひたしである。カリウム、リコピンなどが豊富で、活性酸素を除去、老化を防ぎ心臓病やがん予防の効果
が期待できるという。
夏はほかにもパプリカ、枝豆、ゴーヤー、きゅうり、にら、なす、鯵、冬瓜、ピーマン、しし唐、オクラ、山いもなどが次々と出てくる。
クッキングスクールの代表が、生徒に語りかけるように書いた手軽な料理書である。
健康な食生活を心がけていても、ふと調子の良くないこともある。そんな時にはお医者さんを訪ねることになる。
高田明和著『病気の9割は薬なしで治る』(健康人新書009800円)は医師の本音を医師自身が明かした、患者でもある読者が安心でき
る本。
かつては患者(クランケ)と呼びすてられていたのが、やがて患者さんになり、患者様になった。反対にお医者様は、お医者さんから、医者と呼ばれるようになってきた。それは情報ネットワークが発展したために、医療に対する要求が高くなって、結局、病院が患者を恐れているのだ。つまり医者と患者の関係が変わってきてしまった。
医者自身の葛藤、名医とアブない医者の見分け方、裏から見た医療の現場、患者に言いにくい医者の本音など、現代医療を取りまくあらゆる角度から語られる。脳ドックは百害あって一利なし、など賢い患者になれる1冊である。
後期高齢者医療がどうであろうと、読者にはこの本で我が身を守ってもらえばいい。
(遊友出版・斎藤一郎)