全国書店新聞
             

平成13年2月7日号

5月号から時限再販

小学館は女性エンターティメント誌『JUDY』の時限再販を、三月二十四日発売の同誌五月号から実施する。
当該号から表4の定価表示に時限再販マーク*を表記、表示定価の有効期限を次号発売までとし、以降は販売価格の拘束を解く。
施行期間は平成十四年二月発売までの一年間。
小学館では再販運用弾力化のため、平成十年五月から『週刊ポスト』、十二年四月から『週刊ヤングサンデー』の時限再販を実施しており、今回は女性エンターティメント誌、連載コミック誌での反応を検証する。
バックナンバーの販売は小学館が読者に直接郵送することにしている、書店で販売する場合の出荷条件は表示価格の六掛、買い切り扱い。
小学館から出庫するバックナンバーには再流通雑誌のマークを天地二カ所に入れる。

双葉社も二誌実施

双葉社は『週刊大衆』と、レディス・コミック誌『ジュール・すてきな主婦たち』の時限再販を実施する。
『週刊大衆』は二月五日首都圏発売の二月十九日号から、『ジュール』は二日発売の三月号から一年間。
表4に*マークと「次号発売まで」と表示。
バックナンバーの書店注文は送料込みで『週刊大衆』が百八十円、『ジュール』は二百四十円。
読者からの直接注文は『週刊大衆』が二百円、『ジュール』は二百九十円。

4年連続でマイナス成長

昨年の出版物販売金額は前年より六百四十億円、二・六%減少し、二兆三千九百六十六億円となったことが出版科学研究所の調べで明らかになった。
これにより出版業界の売上げは、九七年の〇・七%減、九八年の三・六%減、九九年の三・二%減に続いて四年連続でマイナス成長になった。
『出版月報』一月号が発表した数字によると、昨年の書籍販売金額は九千七百六億円(二・三%減)、雑誌一兆四千二百六十億円(二・八%減)。
書籍は四年連続、雑誌は三年連続で前年割れになった。
書籍、雑誌とも売上げ規模は八年前の一九九二年の水準に戻ったという。
販売部数は書籍が前年比二・三%減の七億七千三百六十四万冊で四年連続の減少。
この四年間で一億四千万冊減少したことになるという。
雑誌の販売部数は書籍の減少を上回る三・七%減で、こちらは五年連続で前年を下回った。
内訳は月刊誌が二・五%減、週刊誌が五・六%減で、週刊誌の落ち込みが目立つ。
昨年は返品減少対策のため、書籍、雑誌とも取次の送品抑制が進み、書籍の送品実績は三・一%減、雑誌は三・七%減だった。
雑誌はここ二年間で一〇%近く送品を減らしている。
しかし、実需が伸び悩んだ結果、返品率においては書籍が〇・五%減の三九・四%、雑誌は〇・七%減の二八・九%となり、返品率の改善は小幅にとどまった。
書籍の新刊点数は前年比三・八%増加し、六万七千五百二十二点と大幅な増加になった。
雑誌も創刊点数が前年比三十七点増加して二百九点となり、四円ぶりに二百点の大台に乗った。
また、ムックの点数は前年比一一%増の七千四百点台に達し、増刊別冊も二%増と不定期刊行物の点数が増加している。
雑誌の休刊点数は前年比八点減の百三十五点だったが、『太陽』『アサヒグラフ』など老舗雑誌、有名雑誌の休刊が目立った。
新シリーズの創刊が続いた文庫本の新刊点数は前年比一一・一%増加して七千七十一点と七千点を突破した。
しかし発行部数は三・七%の増加にとどまり、一点当たりの発行部数は抑制傾向にあることがわかる。
書籍、雑誌とも新刊点数増加が目立つが、出版科学研究所は「送品抑制策で一点当たりの配本部数が減ったため、企画を増やす動きが強まってきたのでは」と見ている。

配送料250円に

インターネットで書籍を販売するBOLジャパンは、開設キャンペーンとして昨年十一月から国内の注文品すべての配送料無料を実施してきたが、キャンペーン期間終了後の二月一日から全国一律二百五十円の配送料にすると発表した。
一回の注文が三千五百円以上の場合は無料配送。
また、BOLの日本サイトオープン以来、海外在住の日本人や日本語学習者から海外配送サービスを求める声が多数寄せられているため、一月三十一日から海外への書籍配送サービスを開始した。
同サービスはDHLジャパンとの提携により行うもので北米への配送の場合、一冊二千二百円、一冊追加ごとに六百円加算。
配送日数はBOLに在庫がある場合(サイト上に「24−48時間」と表記)は2−8営業日、出版社からの取り寄せ(「約1−2週間」と表記)は10−20営業日がかかる。
扱い商品では、ベルテルスマン・グループの・CDナウジャパンとの業務提携により、一月三十一日よりCDはじめ音楽商品の販売を開始した。
この提携により、BOLでは書籍とギフトのコーナーに加え、ミュージック・コーナーを新設。
BOL独自のセレクションによるおすすめCDや音楽情報などを紹介していく。
ユーザーはBOLサイトからCDナウのデータベースを検索し、七十万タイトル以上のCDを入手できるようになった。

再販決着へ最後の詰め

出版再販研究委員会は一月二十九日午後六時から中央区銀座の山田屋で新年懇親会を開催した。
冒頭あいさつを行った渡邊隆男委員長(書協理事長)は「今日は再販の最後の締めくくり。
実質やることはやった。
昨年一年間、再販対話に出た委員十名にはご苦労をかけた。
ポイントカードはじめ問題がいくつか残っているが、延長戦で処理していく。
公取も腹は固まっているのではないか。
どっちに転んでも同士討ちや流通が目茶目茶になってはいけない。
どう結論が出ようが崩さず、続けられるまで続けていく。
残された一カ月どういうことが出来るか、流通改善、弾力化を進めたい」と、今後の取り組みを説明した。
各団体あいさつで雑協角川歴彦理事長は「二十年前は非壮感にあふれていたが、今回の再販問題は出版界が現実論を模索している。
公取の結論がどう出ても、知恵を生かし、結集して柔軟に対応していきたい」とあいさつ。
続いて日書連萬田貴久会長は、ポイントカードの問題について「公取委山田課長とは五回会って話している。
先頃、質問状に回答があったが、公表文による行政指導は裁量行政であり、あいまいさに懸念がある。
著作物はきわめて個性的な性格があり、日本独自に決着を図ってほしい」と述べた。
取協を代表して日教販大藤耕治社長は「再販問題の対応を通じて四団体が共通の目的に向かって動いた。
これを基盤に読書推進運動のキャンペーンを。
出版業界が印刷、製本、運輸まで一人一万円を出せば五億円ぐらい集まる」と問題提起した。
このあと、長坂一雄相談役が「この委員会は四団体で唯一の会。
業界が円滑に行くように祈っている」と述べて乾杯、開宴した。
来賓として出席した取協利部二顧問は「再販廃止は法改正を伴うので、二月末になれば間に合わない。
しかし一切自由になるわけはない。
業界で自主的な改善を約束することも必要」と業界の今後の対応について示唆。
書協樋口嘉重顧問は「ポイントカードと同じマイレージを導入した航空機の自由化は失敗だったと言われている。
アメリカでも農業、中小企業分野に独禁法の適用除外領域はある。
日本も一定の政策目的のため適用除外は必要」とする考えを述べた。

6月に文化講演会

埼玉県書店商業組合(植村稔理事長)は一月二十日午後一時よる浦和ワシントンホテルで理事会を開催した。
理事会では植村理事長から再販問題の経過報告があり、再販維持に向けて意見書提出の協力要請があった。
今春公表される結果次第で小書店にとっては厳しい年になりそうだ。
また、本年は浦和市、与野市、大宮市の合併により、人口百二万人の新都市「さいたま市」が誕生する。
埼玉県組合では「世界本の日=サン・ジョルディの日」を記念した文化講演会を講談社の協賛により企画。
六月十三日、浦和市文化センターに瀬戸内寂聴先生を招いて開催する。
収容人員は千六百名。
理事会では準備委員会会長に植村理事長、準備委員長に佃茂明氏、委員十九名を選び、第一回準備委員会を二月八日、埼玉書籍会議室で開くことを決めた。
二時半からは新春恒例の研修会を開催。
新文化通信社常務・丸島基和編集長から「21世紀出版業界と書店経営」のテーマで講演いただいた。
ブックオフの今後の展開、新古書店の影響、年間千店に及ぶ書店の廃業と流動化など、原点に戻って書店の生き残り策を見つめ直す必要を感じた。
(長谷川正夫広報委員)

納得できぬ公取委回答

東京都書店商業組合は二月二日午後二時から定例理事会を開き、再販問題の対応を中心に協議した。
岡嶋再販委員長からは、公取委への意見書提出について「東京組合各支部の報告を累計すると千二百四十通を越え目標をクリアした」と感謝の報告があった。
しかし、公取委の姿勢については「一月十九日に公取委根来委員長の講演を聞いたが、危機的状況は変わっていない」という認識を示した。
ポイントカードの対応については、日書連の質問状に対し年明けに公取委山田取引企画課長から文書回答があったことを下向副理事長が報告。
公取委の回答内容は■ポイントカード制で商品の代金に充当できるものは値引きに該当する、■しかし消費者利益に資するもので、通常の値引きとは異なる、■出版社がこれを制限することは問題−−というもの。
これに対して各理事からは「現金の値引きが一番の消費者利益になる。
公取の考えは現金の値引きも認めることになる」「ポイントカードが値引きなら、現在の再販の上では違法。
違法であっても消費者利益だから認めろというのはおかしい」「値引きなら、なぜ版元が反論しないのか」など、公取委を批判する声が多数あがった。

「声」

昨年来『大阪書店組合50年史』や『教科書供給協会50年史』が刊行され、出版流通史に接する機会を得ました。
その中で明治から平成までの約百年間、出版物の流通システムの変化はあっても、全国の書店が読者と接し続け、本を届けてきたという事実を感じました。
日書連50年史が編纂されると聞き、喜びと同時に大いに期待しております。
しかし、先日出版学会関西部会に参加した折り、大阪組合50年史を研究者が入手できない事態が起こっていたと知りました。
団体史や社史、個人史は歴史研究の原資料として不可欠なものです。
例えば、返品問題は返品制が業界に導入されて数年目に発生し、先人諸氏が再三苦慮され、様々な改善提案がなされてきた百年来の問題だというように、歴史研究が現在的問題の解決に示唆を与えてもくれます。
そこで、編纂に際し以下のことをご検討いただけるようお願い申し上げます。
1.残部を持ち、研究の一助に供することは社会的な団体の使命として重要だと思いますで、発行部数と配付販売方法を工夫してほしい。
2.各県組合の戦後の動きもフォローしてほしい。
京都・大阪・東京では各組合が年史を刊行し出版流通史を浮き彫りにしてくれていますが、予算上の問題もあって刊行されていない地域もあります。
日書連は全国書店の代表でもありますし、日本全国の動きもフォローして欲しい。
3.日本出版流通史的視野も取り込んで欲しい。
可能なら、何度か中間報告的に書店新聞の特別別冊としてでも「日書連50年史編集レポート」をお伝えいただきたい。
4.社史や団体史は年譜的に編纂される場合が多いですが、現代的問題や課題の史的資料としての役割を持ってほしい。
冊子体での刊行だけでなく、CD−ROMなどデジタルデータでの提供も予定してほしい。
勿論HPで閲覧可能にすることも考えられると思います。
戦後出版流通史の中核をなす書店の歴史です。
これからの学究者が学ぶことも容易になるでしょうし、それ故、資料価値も計りしれないものになると思います。
5.日書連の団体史ではありますが、関連事項として次の関連史との連動的な解釈を示してほしい。
出版社の戦後史、日配以後の販売会社の戦後史、読書の戦後史。
一団体史にこのような要望は無謀とは承知しますが、グーテンベルク以来の出版文化五百年でもあり、近代出版流通システム確立から約百年目でもあります。
出版メディア激変期の現在だからこそ、出版流通システムの川下である書店の団体史として、後世に語り継がれるものを編纂してほしいと望むのです。

「声」

十月二十七日より読書週間書店くじが施行された。
主催は日書連である。
これに参加すべきか、いつも悩む。
その揚げ句今回も参加は見合わせた。
ここにその悩みと考えを訴えたい。
賞品総額は春秋共一億一千二百万円。
当籖本数はまったく同様である。
経費を別にして年二回で合計二億二千四百万円を賞として投資したわけだ。
顧客に少しでも喜んでもらえればというささやかなプレゼントであるが、本当にお客様に喜んでもらっているのだろうか。
わたしは今回を含め四回ボイコットした。
その理由はあまりに魅力がないからである。
お客様にお礼を込めて差し上げても「当たったことはないわ!」と言われると空しい気がしてならないのはわたし一人だろうか。
本を買って外国旅行の喜びを掴もうとする人は皆無といってよく、それほど魅力もなく無視されている。
不満を言って申し訳ないが、わたしの感ずるところを言えば、・外国旅行はすべて廃止する(二千万円を他にまわす)。
・ダブルチャンス賞はよいヒントと思うが客には該当が少ない。
これはやめる。
・例えば三角籖等、即座に当落が分かる籖にする。
利点を挙げれば紙幣同様の精巧な印刷をするより安い。
即時性、公平性の効果。
書店の回収、日書連の確認、銀行振込等の人件費、振込手数料の節約。
当籤発表会の費用、取次への手間も不要−−など、再検討の余地はある。
・書店にはポスターが一枚配布されるが、当籤発表を一般新聞に広報するならば、二億余も投じた籖の配布も一般新聞に広報すべきだ。
今一つお願いがあります。
籖の配布はやり方によっては効果のある事業と思います。
恒例とはいいながら、委員や幹部のみで処理することなく加盟全店にアンケートされてはいかがかと思います。
二億余の組合費の投資ですから。

「声」

書籍販売をインターネット上で展開して世界的に有名なアマゾン・ドット・コムが、最近日本で活動を開始した。
送料無料で直接読者に送られてくるシステムで、脅威となることは間違いない。
もちろん再販制度が守られている日本では定価を守らざるを得ず、成功しないのではいう見方もあるが、いずれにしても、我々既存の書店も従来とは別の発想に立った事業展開が求められることになるだろう。
「売りたい本が思ったように入荷しない」ことで諦めてしまい、客注をすべて断る書店が増えてきているようだ。
確かに、ひと月たっても入荷せず、いつ入荷するかもお客様に申し上げられない今までのシステムでは、トラブルが絶えず起きるという結果になるのは目に見えている。
全国書店新聞二〇〇〇年十一月十五日号で紹介した、インターネットによる発注について、再度皆さんの注意を喚起したい。
インターネットで注文できる版元は徐々に増え、小学館グループ、角川書店グループ、JTB、文藝春秋、そして講談社がすでに稼働している。
これの利点は、注文時に在庫の有無が分かること、入荷までの日時が短いこと(横浜の場合、版元によっては中二日で入荷)。
このインターネット発注業務を、少額の費用で請け負ってくれる会社があるので、紹介しよう。
港光文化社がそれで、月三千円の会費で発注を代行してくれる。
皆さんからファクシミリで同社へ依頼すれば、すぐに各版元への注文が代行される。
もちろん商品は従来どおり各取次から直接送られるので、何の心配もなく、新たな費用も発生しない。
発注されたものについては翌日ファクシミリで各書店に知らされるのも、親切だ。
港光文化社の柳瀬氏は、昨秋まで書店を営まれていた方で、今は「街の本屋さん、がんばれ!」と、このようなことを考えられた。
アマゾン・ドット・コムがどうであれ、対面販売の良さを十分に発揮して、これからの商売に勝ち抜いていきたいものだ。
具体的には各版元のID(インターネット上の番線ナンバーのようなもの)を取得する必要があるが、これも港光文化社が代行してくれる(無料)。
また、各支部単位で五人以上が希望すれば、柳瀬氏は説明に赴くつもりだとのこと。
氏は当初会員数五十程度から始める意向のようで、興味のある方はぜひとも早めに相談してほしい。
(045−290−9444FAX045−290−4544/留守電の場合は、ぜひとも名前と電話番号を残しておいてほしいとのことであった)最近、元気の出ない我々書店業界だが、このような具体的な施策をバネに、活性化を図っていきたいものだ。

日書連の動き

1月5日仕事始め。
医書同業会新年会へ萬田会長出席。
1月6日悠々会新年会へ萬田会長出席。
1月9日出版クラブ主催新年名刺交換会へ日書連幹部出席。
1月11日日販、日教販各市会、書店新風会新年会へ萬田会長出席。
1月12日情報化推進委員会。
中小小売商連絡会へ下向委員他出席。
1月17日出版四団体代表が公取委根来委員長訪問。
全国中小企業団体連絡会へ萬田理事出席。
1月18日出版再販研究委・再販対話委合同会議。
日書連再販委打合会。
1月19日公取委根来委員長講演会へ萬田会長他出席。
1月22日TIBF出展者説明会へ舩坂委員他出席。
1月23日TIBF出展の件でリードジャパンとの打合会へ舩坂委員他出席。
1月24日聖教新聞社創立50周年記念祝賀会へ日書連幹部出席。
出版販売倫理協議会。
1月25日情報化推進委員会。
JPIC流通改善委へ中村委員他出席。
共通雑誌コード運営委員会へ井門委員他出席。
出版販売新年懇実行委員会開催。
1月26日日書連定例理事会。
日書連共済会理事会。
出版販売新年懇親会開催。
1月29日公取協連合事務局長会議へ影山専務、白幡局長出席。
出版再販研究委員会、同懇親会へ萬田会長他出席。
1月30日図書普及KK役員会開催。

本屋のうちそと

耳にタコ!と言われるに決まっているが、やっぱり書く。
ITの時代だというのに、どうしてこんなにも送品が遅いのだろう。
どうしてこう返事が遅いのだろう。
一月二十四日、「発行していない」というポプラ社の絵本の事故スリップが届いた。
日付を見て絶句してしまった。
なんと四月二十七日の発注なのだ。
もちろん去年の。
トーハンの受付印は二十八日になっている。
おまけにそのタイトルは、あまり遅いので電話で再注文して、とっくにお届け済みのものである。
どういうこと?同じ日に届いた絵本館のカルタは、十二月二十二日に直接ファックスで発注したもの。
版元のメモには二十七日搬入とある。
正月をはさんだとはいえ、一カ月近くかかっている。
ほんの一例だが、これらはすべて再発注、電話での問い合わせをしている。
たいてい間の抜けた頃に二重に入ってきて、悪くすると返品になる。
数年前から客注はできるだけ版元に直接するようにしている。
インターネット、ファックス、電話、相手によって手段は変えるが、通信費と手間は惜しまない。
けれど、小さい書店にできることはここまで。
流通の段階で溜め置かれた日には手出しできない構造的な問題である。
原因ははっきりしている。
口先ではともかく、自分たちの利益ばかりを先に立て、顧客中心に意識を変えることができないからだ。
小学館がIT化によってなんとかこうした事態を突破しようと奮闘しているのが唯一の救いだが、なんとかなるまでもちこたえられるのだろうかと深刻に考えさせられた日だった。
(如意)

三カ月間の参加者1千●名

日販は十二月の第四土曜日を中心に、中部地区の取引先十一書店で読み聞かせ会「おはなしマラソン」を開催し、合計四百名(子供二百五十四名、大人百四十六名)が参加した。
同地区では十月十二月の三カ月間にわたり読み聞かせ会を開催。
三カ月間の参加者は累計千百六十名(子供七百三十三名、大人四百二十七名)にのぼった。
今後は各書店がそれぞれのスタイルで継続開催していく。
各地の模様は以下の通り。
○アルタイ書店(長野県須坂市)物語の間に『やさいのおなか』(福音館書店)、『たべものクイズ』(童心社)など、クイズ形式の絵本と紙芝居を行った。
小さい子供だけでなく小学校三、四年生のグループも参加した。
○平安堂新長野店(同・長野市)午前の会は絵本五冊の読み聞かせ、午後は読み聞かせの他にボランティアによりクリスマス見にコンサート。
○TSUTAYA座光寺店(同・飯田市)「でこぼろ人形劇団」が実演を担当。
読み聞かせ、人形劇に加えてエプロンシアターを上演した。
○谷島屋呉服町本店(静岡県・静岡市)『クリスマスの前の晩』(偕成社)、『Dearサンタさん』(岩崎書店)などクリスマス関連の絵本の読み聞かせでスタートし、合間に折り紙でサンタクロースを折るなどした。
○谷島屋高丘店(同・浜松市)書店員が中心になって実演を行ってきた。
リピートする参加者が多く、また読み手として参加したいとの申し出もあった。
○森田書店本店(富山県・東砺波郡)子供と対話しながら進行し、九冊の絵本を紹介した。
新聞折り込みチラシによる事前告知も実施。
アンケート結果からリピーターが何組もいたことがわかった。
○本のひろた(石川県・鹿島郡)参加者は読み聞かせに興味をもっている人が多く、「読み方の参考になった」「次回の開催日も子供の幼稚園に案内を」などの感想、要望が寄せられた。
○めいてつブックセンター(同・金沢市)「クリスマスおはなし会」と銘打ち、ハープによるジングルベルの演奏に始まり、語り、手遊び、絵遊び、読み聞かせを行った。
充実した事前告知で多数の来店者で賑わった。
○タカコマ(新潟県・新潟市)新潟大学児童文化研究会が絵本三冊の読み聞かせと、絵本のはなしを元にした指人形劇を行った。
十月から三回参加した子供には皆勤賞(図書券)が贈られた。
○平安堂上越店(同・上越市)書店スタッフがエプロンシアターに挑戦し、好評だった。
地元紙誌に告知記事が掲載されたこともあり、大変な賑わいとなった。
○鈴屋書店(同・中蒲原郡)回を追うごとに新しい参加者が増加。
終了後、参加者全員が残って絵本を選び、十冊の購入があった

3月に『デリシャス』創刊

世界文化社は食と旅を楽しむための女性月刊誌『デリシャス』を三月六日に創刊する。
対象は結婚しても仕事を続けている女性や独身のワーキングウーマン。
A4変形判・中綴じ、一六八頁前後、毎月六日発売、予価七百五十円。
創刊号(四月号)では大特集「女性に嬉しい今どきの寿司入門寿司屋が変わった」、料理特集「餃子味自慢」、旅特集「週末ソウル食べる、探す」等の企画を予定。
同社では創刊号コンクール企画として「完売コンクール」と「店頭陳列・飾り付けコンクール」を実施する。
完売コンクールは創刊号配本十部以上が参加資格。
完売賞(実売率90%以上)はA(●部以上配本)一部あたり別途相談、B(●●部)同●円、C(5099部)同●円、D(3049部)同●円、E(2029部)同●円、F(1019部)クオカード●円×3枚となっている。
このほか努力賞と参加賞がある。
また、店頭陳列・飾り付けコンクールの参加資格は創刊号配本十部以上で、販売促進に役立つオリジナルPOP・ポスターを制作、飾り付け写真を二枚送付する。
最優秀賞三店に旅行券五万円相当、優秀賞十店に同三万円相当、特別賞二十店に同一万円相当。

◇小学館漫画賞小学館は一月二十三日、第四十六回「小学館漫画賞」の最終選考会を行い、児童、少年、少女、一般各部門の受賞作を決定した。
贈賞式は三月二日午後四時から東京・丸の内のパレスホテルで開催。
正賞としてブロンズ像、副賞として百万円が授与される。
各部門の受賞作は以下の通り。
▽児童部門=島袋光年『世紀末リーダー伝たけし!』▽少年部門=青山剛昌『名探偵コナン』、西森博之『天使な小生意気』▽少女部門=篠原千絵『天(そら)は赤い河のほとり』▽一般部門=浦沢直樹『MONSTER』

新個人出版システム「万能Web出版」

トーハンと凸版印刷の合弁会社で、オンデマンド出版を手掛けるデジタルパブリッシングサービス(DPS)は、新しい形の個人出版システム「万能Web出版」サービスを一月下旬より開始した。
このサービスは従来の個人出版(自費出版)とは一線を画し、情報発信者(著者)に対してデジタル印刷による高品質印刷とインターネット販売の販売ルートを提供するもの。
個人出版の普及を阻害してきた最大要因、著者の費用負担の大きさに対し、オンデマンド出版の有する「デジタルデータ化・受注生産・非在庫」の利点を活用して、過剰在庫・返品等の無駄なコストを排除、一作品当たり十万円から二十万円(パッケージ料金)の低価格を実現したことが最大の特長。
著者はDPSが開発した簡易組版システム利用による低価格コース(おまかせコース)と、提携編集プロダクションを利用した高品質の商品制作サービス(こだわりコース)を選択でき、予算と目的にあった出版活動を行うことができる。
商品はDPSが運営するオンデマンド出版商品販売サイト「万能書店」、凸版印刷運営のインターネット電子書店「Bitway−Booksオンデマンド」で受注・販売を行う。
また、編集プロダクションなど編集能力をもつ企業に参加を呼びかける「パートナーシップカンパニー(PC)」制度を同時開設。
PCは編集ノウハウを活用してWeb出版の顧客開拓・受注・編集作業に協力することで、万能Web出版での販売ルートを著者に提供できるようになり、顧客獲得・営業力強化につながる。
なお、オープニングキャンペーンとして、「おまかせコース」利用の著者先着三十名まで、正規料金二十万円のところ半額の十万円でサービスを提供。