全国書店新聞
             

平成27年4月15日号

5月7日に春のくじ抽せん会

1等賞「図書カード1万円」が当たる日書連主催、第19回「春の書店くじ」の抽せん会は、5月7日午前11時半から東京・千代田区の書店会館会議室で日書連役員、出版社、取次、関係会社の立会いのもと行われる。当せん発表は5月23日、日書連ホームページと書店店頭掲示のポスターで。

全国小売書店経営実態調査、全書店からの返信待つ

〔今後の日書連活動の指針に/日書連会長・舩坂良雄〕
出版物の販売金額は1996年をピークに落ち込みが続き、その中で書店業界は廃業、閉店に歯止めがかからず、書店組合の加盟店数も減少を続けている状況です。
新刊書店が生き残るための施策として、日書連は外商雑誌買切制度、実用書増売企画などによる書店収益改善の運動に取り組んでいるほか、取引改善、流通改善、読書推進、組織強化など、様々な活動を推進しています。今回実施する『全国小売書店経営実態調査』は、書店の現在の経営状態を明らかにし、調査結果をもとに今後の日書連活動の指針を得ようと行うものです。
私たち書店組合の大多数を占めるのは、各地域で読者と共に歩んできた中小書店です。困難な環境下にありますが、自店の商圏・客層に合った品揃えや売り場づくりを工夫すれば、読者に店頭へ足を運んでもらうことは可能です。書店の経営を支援するには、組合加入書店に魅力のある、そして出版業界全体の売上増に資する事業を提案していくことが重要だと考えます。日書連の今後の活動を強力に推し進めるためにも、街の書店の生の声を多く集める必要があります。調査への皆様からのご回答をお待ちしています。
〔調査への回答が不足しています。/日書連指導教育委員長・鈴木喜重〕
『全国小売書店経営実態調査』(以下『実態調査』)は、各都道府県書店商業組合の加盟店を対象に、平成17年以来10年ぶりに実施する全国調査です。この間、インターネット書店の台頭、電子書籍の増加、消費税率引き上げなど、書店経営を取り巻く環境は大きく変化しています。この調査は、最新の経営実態を把握することによって、より良い書店経営のための資料として役立てていくとともに、今後の日書連活動の重要な資料として活用したいとの目的から実施するものです。出版社、取次に書店の地位向上を訴えるためには、数多くのデータ、書店の生の声、事例が必要です。自由記入欄がありますので、様々なご意見に活用いただければと存じます。
『実態調査』の質問項目は「書店の現状」「経営の実態」「取引の実態」「経営の現状」の4章で構成しており、この「全国書店新聞」に調査・記入票を挟み込み、回答をFAXで返信していただく方法で実施します。2月から調査を開始しましたが、全国からの回答数が足りない状況です。まだ回答がお済みでない書店は、今号の新聞に挟み込んである調査票に記入の上、日書連までFAXをお送りくださるようお願い申し上げます。

総代会の準備事項などを審議/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は3月14日に大阪市北区の大阪組合会議室で定例理事会を開催した。
会議に先立ち、面屋理事長から、①4月15日に消費税軽減税率の国会請願を行いたい、②日書連「全国小売書店経営実態調査」の回収数が少ないため協力をお願いする、③総代会の準備委員長に坂口昇氏を決定した、④理事会推薦理事候補は、4月理事会で正式に決めたい――などの報告や説明があった。
理事会の審議では、図書館委員会からは、大阪市立学校図書館の蔵書数調査が4月以降に始まると報告。経営活性化委員会では、研修会の講師をウィー東城店の佐藤友則社長に要請していると説明があった。また、出店問題・組織強化委員会からは、4月~5月上旬に開店予定の4店の出店情報が報告された。
(石尾義彦事務局長)

テーマは『和~日本のこころ』/第2回「書店金賞」提案

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は4月2日開催の定例理事会で、第2回「書店金賞」のテーマを『和~日本のこころ』として、多くの出版社からの出品を促し、増売の実を挙げられる企画を、日書連の4月理事会に提案することを了承した。
エントリー作品は、和食、和装、しきたり、まつり、伝統行事などに関する、実用書、小説、児童書、解説ガイド等で、全てのエントリー作品から20点をノミネート作品とする。それぞれ10点、各3冊(計30冊)のA、Bセットと、A+B(20点、各3冊・計60冊)のCセットを組む。いずれかのセット申込店を販促費対象店とし、9月上旬から12月末を販売期間(報奨対象期間)とする。

組合員数は415店に/東京組合

東京組合の4月定例理事会は東京・千代田区の書店会館会議室で行われ、各委員会の主な審議・報告事項は次の通り。
〔総務・財務〕
第39回通常総代会は、5月20日(水)午後1時半から、東京・千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで開催する。
4月1日現在の組合員数は、前年同期と比べ脱退33店、加入3店で415店になったと報告された。
6月以降の理事会開催日を、次の通り決定した。6月2日(火)、7月2日(木)、8月休会、9月2日(水)、10月6日(火)、11月5日(木)、12月2日(水)
第10回江戸文化歴史検定の後援依頼があり、これを承認した。
〔組織〕
移転1件、譲渡1件について審議したほか、組織変更1件、商号変更4件、屋号追加1件、名義変更1件、休業1件、脱退15件の報告があった。
〔取引・流通改善〕
TS流通協同組合の3月期発注件数は3914件(前年同月比99・3%)、売上金額は600万8980円(同170・0%)、書店数は61書店(同148・8%)だった。
〔デジタル戦略推進〕
電子書籍販売サイト「BOOKSMART」の店頭連動企画は、双葉社モンスター文庫の『ギルドのチートな受付嬢』1巻と2巻に、電子版の書き下ろしアナザーストーリーをプレゼントするクーポンを封入して販売。2月27日から3月29日までテスト協力店36店で実施したと報告した。

書籍5点を英訳して出版/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は3月12日に東京・新宿区の日本出版クラブ会館で評議員会と理事会を開き、平成26年度事業報告、平成27年度事業計画案、役員・評議員の一部交代等を承認した。
事業報告では、JPICとNTTアドが事務局を担当する内閣府の国際広報活動「日本の魅力の発信に資する書籍の英語翻訳及び出版事業」について、書籍5点(後掲)を英語翻訳し、各1千部刊行すると報告した。アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツの公共図書館や大学図書館・研究室など約750ヵ所に寄贈する。
役員と評議員の一部交代では、古屋文明常務理事(日本出版販売会長)、今村正樹評議員(偕成社社長)、山去賢二評議員(日教販監査役)が退任。平林彰氏(日本出版販売社長)が常務理事に、小野田裕氏(日教販取締役)が評議員に就任した。英訳出版書籍のタイトル=▽『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(佐々涼子著・早川書房)▽『地球の声に耳をすませて―地震の正体を知り、命を守る―』(大木聖子著・くもん出版)▽『花びらは散る花は散らない―無常の日本思想』(竹内整一著・KADOKAWA)▽『もし、日本という国がなかったら』(ロジャー・パルバース著・集英社インターナショナル)▽『リストラなしの「年輪経営」』(塚越寛著・光文社)

出版ADR設立総会/代表理事に浅田次郎氏

一般社団法人出版ADRの設立総会が3月11日、東京・新宿区の日本書籍出版協会会議室で開かれた。
出版ADRは、著作者と出版者間の紛争を「和解」によって解決することを目的として設立されたもので、昨年4月の著作権法改正による出版権の電子出版への拡張に伴い、国会の付帯決議に明記されるなど、その創設が出版業界に求められていた。
総会では、定款案や内部規定、理事案などを採択。出版ADRの事務は出版物貸与権管理センターに委託される。決議に基づいて認証、会社登記手続きに入り、正式に設立される。設立時社員は、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版者協議会と、日本ペンクラブ、日本文藝家協会など著作者11団体の計14団体。代表理事には、作家の浅田次郎氏が就任する予定になっている。
登記設立後は寄付金を募り、実際の実務開始時期は6月以降を予定する。

春の書店くじ、4月20日から配布開始/1等賞は図書カード1万円/ポスターは日書連HPからダウンロード

4月23日の「世界本の日サン・ジョルディの日」に合わせて、平成27年「春の書店くじ」の配布が4月20日からスタートする。
配布する書店くじは、ハードカバーの本にピンクの花が添えられたデザイン。宣伝用ポスターは、印象派の巨匠クロード・モネの「春(Springtime)」を用いたデザインのもの。1等賞として図書カード1万円が4百本当たることを大きくアピールするほか、4等賞までの各賞の賞品と当せん本数、当せん発表日と発表方法、賞品引換期間などを記載している。
ポスターは今回から、日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)からファイルをダウンロードして印刷する方式に変更している。
くじの配布期間は、4月20日(月)から30日(木)まで。当せん番号の発表は5月23日(土)。

人事

★教科書協会
2月27日開催の第4回社員総会後の理事会で、平成27年度の正副会長、役員を決定した。
▽会長・理事=佐々木秀樹(日本文教出版)
▽副会長・理事=野澤伸平(山川出版社)波田野健(大日本図書)
▽理事=川畑慈範(東京書籍)戸塚雄弐(実教出版)大熊隆晴(開隆堂出版)奈良威(学校図書)北口克彦(三省堂)小林一光(教育出版)市川かおり(教育芸術社)常田寛(光村図書出版)斎藤正義(帝国書院)鈴木一行(大修館書店)佐藤徹哉(新興出版社啓林館)星野泰也(数研出版)三樹敏(明治書院)松本洋介(第一学習社)斉藤智(桐原書店)宮原雄一(学研教育みらい)藤原浩(橋元綜合法律事務所弁護士)
▽監事=永島公朗(永島公認会計士事務所)渡部哲治(清水書院)佐久間ひとみ(教育図書)

日書連のうごき

3月5日書店再生委員会に小泉副会長、片岡理事が出席。出版情報登録センター管理委員会。
3月6日文字・活字文化推進機構理事会に舩坂会長が出席。
3月10日税制対策特別委員会に舩坂会長、藤原、面屋、小泉各副会長が出席。
3月11日学校図書館整備推進会議運営委員会、総会。JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
3月12日JPIC評議員会・理事会に舩坂会長、西村、藤原、柴﨑、小泉各副会長、川嶋、筒井、片岡、本間、東浦各理事が出席。
3月13日出版クラブ平和堂委員会。
3月16日書店再生委員会に小泉副会長、片岡理事が出席。
3月17日ためほんくん管理委員会。出版倫理協議会に井上委員が出席。光文三賞贈呈式に舩坂会長が出席。
3月19日日本専門店会連盟との対談に舩坂会長が出席。
3月20日九州雑誌センター取締役会に舩坂会長が出席。出版クラブ理事会に舩坂会長が出席。
3月24日全出版人大会事務局会議。雑誌発売日励行本部委員会に西村副会長、筒井、佐藤、塩川、長﨑各理事が出席。
3月25日文化信用理事会に舩坂会長が出席。
3月26日活字文化推進会議に舩坂会長が出席。
3月27日日本図書普及役員会に舩坂会長ほか出席。政策委員会に舩坂会長、鈴木、藤原、中山、面屋、柴﨑、西村、小泉各副会長が出席。

コミック推定販売金額2・7%減の3569億円/出版科研調べ

出版科学研究所発行の『出版月報』2月号は「コミック市場2014」を特集。これによると、昨年のコミックス(単行本)、コミック誌を合わせた推定販売金額は前年比2・7%減の3569億円で、13年連続のマイナスになった。同レポートからコミック市場の動向を紹介する。
〔各分野でヒット作、2年連続プラス/コミックス〕
コミックスの推定販売金額は前年比1・1%増の2256億円。推定販売部数は同0・4%増の4億4038万冊で、金額・部数ともに2年連続でプラスとなった。
前年に大ヒットした『進撃の巨人』(講談社)の反動減が懸念されたが、少年向けで『ハイキュー!!』(集英社)、『七つの大罪』(講談社)、青年向けで『東京喰種(トーキョーグール)』『テラフォーマーズ』(いずれも集英社)、女性向けで『アオハライド』『今日は会社休みます。』(いずれも集英社)などジャンルごとにヒット作品が出た。
平均価格は同4円高(0・8%増)の511円。前年に比べて売行上位銘柄に青年向け作品がランクインすることも多く、平均価格を押し上げた。返品率は同1・2%増の28・4%。増税の影響や新刊点数の増加に伴い、実売率が鈍化した。
新刊点数は同4・4%増の1万2700点。内訳は雑誌扱いコミックスが同456点多い9937点で4年連続のプラスとなり、雑誌扱いのみで1万点目前まできている。
Webコミックレーベル「少年エッジスタ」から派生する青年向けコミックスシリーズ「エッジスタコミックス」(小学館クリエイティブ)が創刊されたほか、出版社を問わずスマートフォン向けに無料で漫画を閲覧できるサービス「comico(コミコ)」(NHNPlayArt)から単行本化作品が出てくるなど新しい動きがあり、点数を底上げした。
人気作品をジャンル別で見ると、青年向けでは『東京喰種(トーキョーグール)』『テラフォーマーズ』(いずれも集英社)がともに累計1000万部を突破。作家自身に根強いファンが多い井上雄彦の『バガボンド』(講談社)、本編の20年後の主人公を描いた『MASTERキートンReマスター』(小学館)や40年ぶりに新刊が刊行され既刊も復刻発売した『ベルサイユのばら』(集英社)などのリバイバル企画も好調だった。
女性向けは『進撃の巨人』のスピンオフ『進撃の巨人悔いなき選択』(講談社)が既刊2巻合計で125万部に到達。テレビアニメ化・実写映画化と続いた『アオハライド』(集英社)の最新刊は初版66万部で刊行。テレビドラマ化された『きょうは会社休みます。』(集英社)は最新刊が60万部を突破した。
少年向けはジャンプコミックスの『ハイキュー!!』が新刊の初版部数75万部で刊行し、テレビアニメ化に合わせて既刊の伸長も目立った。『銀の匙SilverSpoon』(小学館)はテレビアニメ化・実写映画化と続き、最新刊は初版120万部で刊行された。『弱虫ペダル』(秋田書店)はスピンオフ作品を含めて大ヒットした。
コミック文庫は、推定販売金額が同15・9%減の46億円、推定販売部数が同17・5%減の659万冊で、ともに15%以上の大幅なマイナスとなった。新刊点数は同37点少ない306点で7年連続マイナス。コミック文庫に収録されるような名作の電子コミック化が進んでいることもマイナス要因の一つとみられる。
コンビニエンスストアの占有が高い廉価軽装版の推定販売金額は同1・0%減の201億円。推定販売部数は同3・0%減の4139万冊。一方、新刊点数は同3・2%増の1413点となった。
〔金額・部数とも19年連続マイナス/コミック誌〕
コミック誌の推定販売金額は前年比8・7%減の1313億円。推定販売部数は同9・8%減の3億9755万冊と4億円を割り、ともに19年連続のマイナスとなった。月刊誌・週刊誌別に見ると、販売金額は月刊誌が同8・0%減の649億円、週刊誌が同9・3%減の664億円と、ともに700億円を割った。販売部数は月刊誌が同10・9%減の1億4131万冊、週刊誌が同9・2%減の2億5624万冊だった。
販売金額を読者対象別に見ると、月刊誌の子ども向けは同0・9%減の233億円、青年向けは同11・6%減の416億円。少年週刊誌は同8・5%減の451億円、青年週刊誌は同10・8%減の213億円。月刊誌の子ども向けは「妖怪ウォッチ」関連の雑誌に支えられて落ち込み幅は小さかったものの、それ以外は軒並み大幅な部数減となった。
14年12月末時点での月刊誌・週刊誌を合わせた発行銘柄数は同24点減の252点。創刊誌は同5点多い12点。休刊誌は同17点多い36点。『最強ジャンプ』(集英社)や『月刊少年ライバル!』(講談社)といった大手出版社のコミック誌のほか、1968年創刊の『プレイコミック』(秋田書店)が休刊した。
推定発行金額は同5・4%減の2097億円、推定発行部数は同7・4%減の5億9511万冊。発行部数の内訳を見ると、月刊誌は同6・8%減の2億5248万冊、週刊誌は同7・8%減の3億4263万冊だった。
月刊誌では『進撃の巨人』と入れ替わるように14年大きく部数を伸ばしたのが「妖怪ウォッチ」関連の雑誌。メダルやカードなどの付録を付けた『コロコロコミック』(小学館)は昨年の水準から倍増し、9月号は4年ぶりに100万部を発行した。14年10月~12月期は110万部を超えた。週刊誌では、『週刊少年ジャンプ』(集英社)が人気長編作品の完結もあり260万部まで減少した。
平均価格は同7円(2・1%)アップの352円。内訳は月刊誌が同16円(3・6%)アップの469円、週刊誌が前年と同じで266円。
〔13年度は約30%増、市場の拡大続く/電子コミック〕
13年度の電子コミック市場規模は、インプレス総合研究所の発表ではケータイ向けと新プラットフォーム向けを合わせて前年比27・4%の大幅増で731億円。これに出版科学研究所が発表している13年の紙のコミックスの市場規模2231億円を足すと、13年のコミック市場は2900億円を超える市場だったと見られる。14年度の伸びが同様に3割前後だったと仮定した場合、電子コミック市場は900億円半ばに到達する。これに14年の紙のコミックスの市場規模2256億円を足すと、紙と電子を合わせたコミック市場は3200億円に達すると見られる。紙のコミックスの販売金額がピークだった05年の2636億円から2割以上市場が拡大していることになり、電子を含めたコミック市場が過去最大の規模になることは確実だ。
出版科学研究所は「電子コミックはコミック市場において大きな位置を占めるようになった。電子コミックはこれまでコミック誌が持っていた役割を担える要素がある。普段コミック誌を手に取らない読者であっても、知らなかった面白い作品に出会える機会が生まれ、新しいユーザーに電子コミックの習慣性(定期性)が根付く可能性が大いにある」と分析している。

新入社員35名が入社/トーハン

トーハンは4月1日、東京・新宿区の本社で平成27年度入社式を行った。今年度の新入社員は35名(男子24名、女子11名)。
藤井武彦社長は「出版業界は予想以上のスピードで変化しており、大転換の状況にある。トーハンは大きな変革に挑戦している」と述べ、同社の中核的機能である物流機能を柱に、新しい柱として文具・雑貨・音響・カフェなどの複合事業、新規事業として介護事業、本社再開発構想プロジェクトに取り組んでいることを説明。また、今年度は「客注」と「店頭集客」の二つの大きな課題に取り組むとして、「ネット書店や図書館などのチャンネルに拡散した読者を新刊書店に呼び戻す」と述べた。そして、「今まさにトーハンは大きく変わりつつある。皆さんも社会の変化とトーハンの変化にしっかり対応し、出版界に新しい風を吹き込む人材に育ってほしい」と激励した。

講談社、ハースト婦人画報社と業務提携/全刊行物の販売業務を受託

ハースト婦人画報社と講談社は3月9日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で合同記者会見を開催。業務提携を締結することで合意し、4月からハースト婦人画報社が刊行するすべての出版物の書店販売業務を講談社が受託することになったと発表した。講談社はこれまで特定の雑誌で販売業務を受託したことはあるが、他社が刊行する出版物をすべて受託するのは初めて。
4月6日発売の「エル・ア・ターブル」から、ハースト婦人画報社が定期刊行する14誌やムックをはじめ、すべての出版物の書店等の小売業者を通じた販売業務を講談社が受託する。ハースト婦人画報社が刊行する出版物の奥付は「発行元ハースト婦人画報社」、「販売元講談社」となる。編集、制作、広告セールス活動は、これまで通り発行元であるハースト婦人画報社が行う。
記者会見でハースト婦人画報社のイヴ・ブゴン社長兼CEOは「両社とも老舗出版社だが、イノベーションを推進していることも共通している。それぞれの強みを活かし、シナジー効果の創出を目指す。今回の業務提携で将来の出版社の形を模索したい。講談社の持つ強力な流通インフラとスケールメリットは魅力的」と話した。
講談社の野間省伸社長は「講談社とハースト婦人画報社の女性誌には競合誌がない。『ViVi』から『婦人画報』まで幅広い年齢層をターゲットとした女性誌グループとなる。相互補完的な理想的なラインナップを構築することができた。女性誌ラインナップを活用して合同キャンペーンを積極的に展開し、書店店頭の活性化につなげ、女性誌市場、雑誌市場全体を盛り上げたい。キャラクターを使ったコンテンツ面のコラボレーションも検討している。出版業界と雑誌を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。歴史もDNAも異なる両社だが、今回の業務提携によってそれぞれの強みやノウハウの共有を進め、コンテンツの伝え方を工夫、開発して、新しい出版ビジネスの在り方を模索していく」と述べた。

「書店に来れば楽しいことがある」/第2回大阪屋本屋フェス

大坂屋は4月上旬~6月上旬、第2回大阪屋本屋フェスを開催する。
昨年、消費税が上がる4月に合わせて第1回を開催したが、参加書店から好評で、継続を求める声が多かったため、今年も開催することにしたもの。
今回も「書店に来れば楽しいことがある!」をコンセプトに、店頭を活性化し、書店と客のコミュニケーションを図ることを目指す。参加書店は201店(昨年164店)、協賛出版社は113社(同93社)と、ともに昨年を上回る。
参加書店は店頭くじびき大会、雑誌定期購読キャンペーン(期間中に新規申し込みの読者100名に抽選で図書カード進呈)、店頭装飾コンクール(優秀店に賞品提供)、本屋川柳募集(本、雑誌、本屋にまつわる川柳を募集。優秀作に賞品提供)を実施する。

絵本とおはなし会2百回目を迎える/茅ヶ崎・長谷川書店

神奈川県茅ケ崎市の長谷川書店が毎月第3火曜日に開催している「絵本とおはなし会」が、4月21日に200回目を迎える。「幼少期から親子の触れ合いが大切」「絵本で心を育てたい」との思いから、1997年に始めたもの。
4月21日(火)午後3時、長谷川書店ネスパ店6階ギャラリーで開催。『わたしのワンピース』(こぐま社)など、今月のテーマ「びっくり!」にちなんだ絵本を数冊読む。最後に塗り絵を行う。
また、「絵本とおはなし会」200回記念講演として、5月16日(土)午前10時半、長谷川書店ネスパ店6階ギャラリーで、童話作家の荒川薫氏が「絵本は楽しい~童話作家としての想い~」と題して講演する。参加無料。定員30名。

リノベーショングループ新設/日販68期組織改訂・職制人事体制

日販は3月23日、第68期(15年4月1日~16年3月31日)組織改訂・職制人事体制を発表した。
第68期からスタートする新・中期経営計画は、出版流通改革のさらなる推進、書店から広がる新空間の創造と個客接点の拡大を柱としている。計画の遂行に向け、早期に成果を生み出す体制を確立することを主眼に組織を再編した。
組織改訂の主なポイントは以下の通り。
①営業推進室にリノベーショングループを新設する
書店空間のデザイン、プロデュース、店舗の運営・指導から業態開発に至るまでを担う。個人の顧客「個客」の購買意欲を高めるため、書店により感情的な価値を生み出す「新空間」を創り出す。
②CRM事業部の組織ミッションを再定義し、CRM推進部と改称する
HonyaClub会員・加盟店だけでなく、あらゆる「個客」・書店をターゲットに売上アップ・サービスアップを目指す。リノベーショングループが作り出す「新空間」と「個客」をつなげるため、様々な個客接点を創り広げる。まずスマートフォンを軸としたインフラを構築し、情報発信からイベントの展開まで、書店の利益につながる仕掛けづくりに取り組む。
③マーケティング本部の書籍部・雑誌部を廃止し、流通改革推進グループ・販売企画グループ・仕入部を置く
▽流通改革推進グループ
買切スキームの構築、時限再販の拡大、「PPI」といった利益指標に基づいた優先販売を軸に、出版流通の変革に挑戦する。書店マージンの還元目標を達成し、書籍で儲かる業界構造を創ることを目指す。
▽販売企画グループ
「新空間の創造」や取引先の業態変化に伴い、店頭は商材の垣根を超えたシームレスな売場に変わっていく。売場起点でMD機能を一元化していくことを目的に組織を新設した。店舗・売場の魅力を高める、書籍・雑誌の垣根を超えた商品企画を提案する。配下に、MDチーム、コミックチーム、ムックチーム、実用書チームを置く。
▽仕入部
仕入・配本機能の統合・整理を進めていくプロセスに対応して、商材ではなく「仕入」という概念を上位に引き上げるため仕入部を新設した。配下に、書籍・雑誌という商材単位の組織を置く。