全国書店新聞
             

平成27年7月1日号

訂正=「書店金賞」のセット価について

6月15日号に挟み込んだ「第2回書店金賞」注文書で、A、B、C各セットのセット価(本体計)に誤りがありました。正しくは以下の通りです。お詫びして訂正します。
■Aセット(10点30冊)文化・伝統を知る
39,918円
■Bセット(10点30冊)暮らしを楽しむ
41,100円
■Cセット(20点60冊)
(Aセット+Bセット)
81,018円

舩坂会長体制2期目が始動/日書連通常総会

日本書店商業組合連合会(日書連)は6月18日午後1時から東京都千代田区の書店会館で第27回通常総会を開催。書店再生、消費税軽減税率適用、読書推進など今年度の取り組みを決めた。任期満了に伴う役員改選では理事53名を承認したあと、初理事会で会長、副会長など新執行部を決定。舩坂良雄会長(東京)を再選し、新副会長に本間守世理事(東京)が就任した。2期目を迎える舩坂会長は「書店再生の施策を強化し、街の書店を元気にしたい」と決意を語った。
総会は全会員46名(本人36名、委任状4名、書面6名)が出席し、西猛理事(福島)の司会、鈴木喜重副会長(千葉)の開会の辞で開始。最初に舩坂会長があいさつに立った。
舩坂会長は、昨年4月の消費税率8%への引き上げ以降、売上減少が加速していることに強い危機感を示し、「書店は地域社会の中心的存在として社会に貢献してきた。世界でも他に類を見ない充実した出版文化を絶対に守っていかなければならない」と力を込めた。
全国的に書店が減少している要因として雑誌・コミックの売上の落ち込み、インターネットの普及、アマゾンのネット販売などをあげ、さらに万引き問題が書店経営を圧迫していると指摘。図書館問題については、図書館と地元書店が連携していく道を模索したい考えを示した。
最後に「書店業界が抱える問題を解決するには政治家の力を借りて行政に物申すことも必要」として、自民党内に「地域書店を元気にする議員連盟」(仮称)を立ち上げるため自民党有力議員らと話し合いを行っていると報告した。
議案審議は安部悟理事(福井)を議長に選任。第1号議案の平成26年度事業報告書を各担当委員長が報告し、第2号議案の平成26年度財産目録、貸借対照表、損益計算書および剰余金処分案を舩坂会長が説明。高橋千尋(北海道)、足立岳彦(愛媛)、元永剛(員外)各監事の監査報告、質疑応答のあと、いずれも原案通り可決した。
続いて、第3号議案の平成27年度事業計画案を各担当委員長が報告し、第4号議案の平成27年度収支予算案について舩坂会長が説明。質疑応答のあと、いずれも原案通り可決した。
第5号議案の経費の賦課および徴収方法、第6号議案の平成27年度借入金の最高限度額案、第7号議案の平成27年度役員の報酬額案は政策委員会の舩坂委員長が提案、一括して審議し、いずれも原案通り可決した。平成27年度借入金の最高限度額は1億円。平成27年度役員の報酬額は員外監事60万円。
第8号議案の任期満了に伴う役員改選では、全会一致で指名推薦制を決め、江﨑直利(静岡)、今井直樹(島根)、田中隆次(宮崎)各理事を選考委員に理事候補53名、監事候補3名を選出。これを承認した。
総会終了後、新役員による第1回理事会を開き、新執行部を選出。舩坂良雄会長(東京)を再選した。副会長は鈴木喜重(千葉)、藤原直(宮城)、中山寿賀雄(長崎)、面屋龍延(大阪)、柴﨑繁(東京)、西村俊男(新潟)の6氏が留任し、新たに本間守世氏(東京)が副会長に就任した。木野村祐助副会長(岐阜)は退任。小泉忠男副会長(東京)は退任し、監事に就いた。これにより副会長は従来の8名から7名となった。専務理事は引き続き、当面空席にすることとした。顧問は高島瑞雄(福島)、深田健治(大阪)の両氏が留任した。
委員会は従来通り政策、組織、指導教育、広報、流通改善、取引改善、読書推進、書店再生の8委員会体制で諸施策を推進する。政策は舩坂会長、組織は中山副会長、指導教育は鈴木副会長、広報は面屋副会長、流通改善は藤原副会長、取引改善は柴﨑副会長、読書推進は西村副会長、書店再生は本間副会長が、それぞれ委員長を務める。また、政策委員会の下に雑誌買切制度研究小委員会と事業研究小委員会、流通改善委員会の下に図書館サポート部会と「ためほんくん」部会を、それぞれ従来通り置く。
〔新副会長の略歴〕
本間守世氏(ほんま・もりとし)
東京都江東区・㈱本間書店代表取締役。昭和23年3月24日生まれ、67歳。46年学習院大学法学部政治学科卒業。46年日本自転車振興会入社。48年本間書店入社、50年取締役、平成2年代表取締役。7年東京都書店商業組合理事、21年同常務理事、25年同副理事長。25年日本書店商業組合連合会理事。

日書連通常総会の主な報告事項

[書店再生委員会](小泉忠男委員長)
3回目となる実用書増売企画は、今回も「食と健康」をテーマに26年9月から12月末までの4ヵ月長期委託で実施した。参加出版社は12社。各社1点3冊、計12点36冊を1セットとして7月初旬に参加店を募集し、7月15日の締切までに410書店、441セットの申し込みがあった。今回は新たに販売から3ヵ月時点の全国POSデータをもとに上位3銘柄を「書店金賞」として発表し、読者の注目を集めて売り伸ばしを図る方式をとった。集計の結果、新星出版社、1万年堂出版、日本文芸社の3社が書店金賞を受賞し、12月17日の出版販売年末懇親会で贈呈式を行った。
27年度の増売企画は実用書ジャンルに限定せず、第2回「書店金賞『和~日本のこころ』」として実施する。出版社がテーマに沿った本をエントリーし、書店147名がノミネート20作品を投票で選出。販売期間を9月から12月末まで、販売条件を3ヵ月延勘とし、A・B(10点、各3冊、合計30冊)、C(A+B)の3セットに分けた。販売から3ヵ月目の全国POSデータをもとに書店金賞を決定し、さらに1ヵ月の増売を実施する方式は前回と同様。トータル4ヵ月間の販売実績に応じて報奨金が支払われる。
書店再生5項目の実現に
向けては、収益改善の方策として増売活動が定着。今後は「万引きロスの負担軽減」「取次宅急便の書店負担をなくす」など未着手案件の研究を進める。
[政策委員会](舩坂良雄委員長)
26年9月に政策委員会が管轄するワーキンググループとして、①外商雑誌の買切による報奨金で書店の収益改善を目指す「雑誌買切制度研究小委員会」(藤原直委員長)②現行の事業収入の基盤を固めるとともに新たな事業収入策を検討する「事業研究小委員会」(中山寿賀雄委員長)――の2つの小委員会を立ち上げた。雑誌買切制度研究小委員会は取協との意見交換をはじめ、トーハン、日販と個別に話し合いの場を持つなど、新しい買切制度の構築に向けて活動を続けている。
また、日書連財政健全化にも引き続き取り組む。
[組織委員会](中山寿賀雄委員長)
27年4月1日現在の各都道府県組合に所属する組合員数の合計は、前年4月1日対比で209店、4・9%減の4015店。昭和61年の1万2953店をピークに28年連続減少、組織規模は約31%に縮小するという深刻な事態を迎えている。今後、加入促進にいっそう力を入れる。
日書連オリジナル薄型手帳「ポケッター」は、26年度から受注生産方式に変更した。部数により価格が決定するため予価での案内になること、申込締切日以降の追加注文・キャンセルができないなどの制約はあるものの、26年度は4万8200部を製作した。今年度も同方式を採用する。
[指導教育委員会](鈴木喜重委員長)
「全国小売書店経営実態調査」を実施した。組合加盟書店の経営状況を把握し、今後の日書連活動の指針とすることが目的。平成17年に実施して以来となる。質問項目は「書店の現状」「経営の実態」「取引の実態」「経営の現状」の4章で構成。自由記入欄も設けた。調査は、全国書店新聞27年2月15日号に質問項目と記入票を挟み込み、FAXで回答を返信してもらう方式で行った。集計結果をまとめた報告書が出来次第、出版社や取次を訪問し、書店の声を伝える。
万引き問題では、全国万引犯罪防止機構と連携をとりながら、書店での効果的な万引防止策を研究し、書店への情報提供を図った。
[読書推進委員会](西村俊男委員長)
「サン・ジョルディの日PR企画推進費」の募集を行い、独自企画を提出した13組合に総額240万円の補助金を拠出。各地で地域に密着した様々な催しが行われた。
書店くじを26年度も春と秋の年2回発行した。日書連活動を支える重要な事業であり、販売枚数を増やすための対策を検討する。
「心にのこる子どもの本」増売運動を26年度も年2回実施した。販売金額は「新学期・夏休みセール」が8835万円で前年比83・32%、「秋・冬セール」が8790万円で同91・31%だった。秋・冬セールでは読者向けにオリジナル図書カードのプレゼント企画を実施した。
[取引改善委員会](柴﨑繁委員長)
送品・返品同日精算問題では、トーハン、日販が26年4月から開始した取引書店に対する返品入帳締切日繰り下げが今期以降も継続して実行されるか注視しながら、送品・返品同日精算の完全実施を求めて要望を続ける。また、取次物流センターの返品作業の実態を確認するため、26年5月、出版共同流通の蓮田センターを見学した。27年はトーハン桶川SCMセンターの見学を予定している。
雑誌付録については、通販カタログが別途付録として付いているケースなどで自主基準の遵守を求めるとともに、完成品での納品も引き続き主張する。このほか、出版業界用語の統一による出版社有事対策にも取り組む。
[流通改善委員会](藤原直委員長)
雑誌発売日問題では、全国同日発売を目指して、北海道、九州の3日目地区から2日目地区への改善、沖縄の週刊誌航空輸送の早期実現などを粘り強く求め、雑誌発売日励行本部委員会への申し入れを続ける。
情報化推進については、国立国会図書館のNDL書誌データが無償で利用可能となるなど周囲の状況が大きく変化したため、有償提供を続けてきた日書連MARCも将来を見据え事業の在り方を再検討している。
図書館問題では、公共図書館が指定管理者制度で大手民間事業者に運営委託する事例が増えている。全国から情報を収集し、対策を検討する。
[広報委員会](面屋龍延委員長)
機関紙「全国書店新聞」で日書連の諸活動、各県組合の取り組みを伝えた。
全国広報委員会議は、今回は全国中小企業団体中央会の連合会等研修事業として補助金を受けて実施。26年10月21日、22日の2日間、東京都文京区の東京ガーデンパレスで「日書連書店経営・販売研修会」の名称で開催した。受講者アンケートでは参加満足度90・9%と好評だった。
[消費税問題](面屋龍延委員長)
出版物への軽減税率適用を求める運動を行った。署名は27年3月31日現在、合計19万6968筆が集まった。国会議員請願運動は、26年度は計8回・国会議員11名に対して行った。26年6月11日には、日書連の舩坂会長と面屋副会長、日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長、日本雑誌協会の鹿谷史明副理事長、日本出版取次協会の藤井武彦会長の出版4団体首脳が揃い、自民党の野田毅税制調査会会長、細田博之幹事長代行(税調副会長)の両有力議員に陳情を行った。今後は請願議員を増やすとともに、与党税調への請願をいっそう強化する。
また、政界の動きや欧米諸国の状況、軽減税率導入時の店頭実務を学ぶため、26年5月、税理士の藤曲武美氏を講師に勉強会を開催した。
このほか、出版4団体連名で、26年4月、「出版物に対する消費税軽減税率を要望します」と題する声明文を発表した。

舩坂良雄会長を再選/小売公取協臨時総会

出版物小売業公正取引協議会は6月18日午前、東京・千代田区の書店会館で臨時総会を開き、会員37名(本人34名、代理3名)が出席。任期満了に伴う役員改選で理事50名、監事2名を選出した。総会終了後、新役員による初理事会を開き、舩坂良雄会長を再選した。
[小売公取協役員]
▽会長=舩坂良雄(東京)
▽副会長=鈴木喜重(千葉)藤原直(宮城)柴﨑繁(東京)
▽専務理事=吉武三男(員外)
▽理事=志賀健一(北海道)成田耕造(青森)加賀谷龍二(秋田)玉山哲(岩手)五十嵐太右衛門(山形)西猛(福島)池田和雄(茨城)杉山和雄(栃木)竹内靖博(群馬)吉田矩康(埼玉)筒井正博、天野潔(神奈川)後藤雅利(山梨)江﨑直利(静岡)春井宏之(愛知)木野村匡(岐阜)岡森泰造(三重)西村俊男(新潟)丸田茂(富山)森井清城(石川)塩川明人(長野)安部悟(福井)吉田徳一郎(滋賀)面屋龍延(大阪)三宅久嗣(京都)林田芳幸(奈良)宇治三郎(和歌山)山根金造(兵庫)杉嶋運一(鳥取)今井直樹(島根)小野正道(岡山)山本秀明(広島)西尾文士(香川)平野惣吉(徳島)光永和史(愛媛)五藤栄一郎(高知)都渡正道、森松正一(福岡)堤洋(佐賀)中山寿賀雄(長崎)長﨑晴作(熊本)福田健太郎(大分)田中隆次(宮崎)楠田哲久(鹿児島)小橋川篤夫(沖縄)
▽監事=本間守世、戸和繁晴

訂正

6月15日号1面に掲載した第2回書店金賞ノミネート作品20点決定に関する記事で、書名に誤りがありました。正しくは『有元葉子うちのおつけもの』(文化出版局)です。お詫びして訂正します。

書店金賞、申込書店500店目標に/日書連定例理事会

日書連は6月18日午前、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開いた。主な審議事項は以下の通り。
[書店再生委員会]
第2回「書店金賞『和~日本のこころ』」のノミネート作品を決める投票の開票を6月4日に行い、9日に出版社19社の20作品を決定した(ラインナップは6月15日号既報)。投票したのは日書連、東京組合役員のほか、書店店頭で商品に精通している書店人など147人(1人10票)で、合計1470票が集まった。小泉忠男委員長は「第1回は410書店から申込があった。今回は500店が目標」と述べ、日書連主催増売企画の成功に向け積極的な参加を呼び掛けた。
[消費税問題]
文字・活字文化推進機構は6月3日、衆議院第一議員会館で「出版物への軽減税率の適用を求める集い」を開催し、約320名が出席。有識者らが書籍、雑誌、新聞に軽減税率を適用するよう訴えた。活字文化議連の細田博之会長ら国会議員も出席した。同集会に出席した面屋龍延委員長は「書協の相賀昌宏理事長が意見表明した。首都圏の書店組合役員も参加。成功裏に終了した」と報告した。
[指導教育委員会]
「全国小売書店経営実態調査」記入票の回収率は6月17日現在、27・6%となった。鈴木喜重委員長は「目標の30%まであと一歩」と協力を求めた。
[組織委員会]
各都道府県組合に所属する組合員の5月期加入・脱退状況は、新規加入1店、脱退17店、差し引き16店減。この結果、日書連傘下組合加入書店は3965店になったと中山寿賀雄委員長が報告した。

平成27年度日書連役員

[新役員体制]
○印は新任
▽会長=舩坂良雄(東京・大盛堂書店)
▽副会長=鈴木喜重(千葉・ときわ書房)藤原直(宮城・金港堂)中山寿賀雄(長崎・好文堂書店)面屋龍延(大阪・清風堂書店)柴﨑繁(東京・王様書房)西村俊男(新潟・文信堂書店)○本間守世(東京・本間書店)
▽理事=志賀健一(北海道・リブレリーフィール)成田耕造(青森・成田本店)加賀谷龍二(秋田・加賀谷書店)玉山哲(岩手・東山堂)五十嵐太右衛門(山形・八文字屋)西猛(福島・西沢書店)○池田和雄(茨城・一貫堂書店)杉山和雄(栃木・杉山書店)竹内靖博(群馬・シロキヤ書店)○吉田矩康(埼玉・吉田謙受堂)筒井正博(神奈川・伊勢治書店)天野潔(同・弘集堂本店)○田島敏幸(東京・椿書房)○小林洋(同・烏山書房)○後藤雅利(山梨・ブックスアマノ)江﨑直利(静岡・藤枝江﨑書店)○春井宏之(愛知・正文館書店)○木野村匡(岐阜・東文堂本店)岡森泰造(三重・岡森書店)丸田茂(富山・清明堂書店)森井清城(石川・紀陽館森井書店)塩川明人(長野・花屋書店)安部悟(福井・安部書店)吉田徳一郎(滋賀・ヨシダ書店)戸和繁晴(大阪・トーワブックス)○三宅久嗣(京都・久栄堂)林田芳幸(奈良・啓林堂書店)宇治三郎(和歌山・宇治書店)山根金造(兵庫・巌松堂書店)杉嶋運一(鳥取・杉島書店)今井直樹(島根・今井書店)小野正道(岡山・小野書店)山本秀明(広島・金正堂)西尾文士(香川・西尾誠文堂)平野惣吉(徳島・平惣)光永和史(愛媛・松山堂書店)五藤栄一郎(高知・冨士書房)都渡正道(福岡・菊竹金文堂)森松正一(同・森松尚文堂)堤洋(佐賀・ブックスグリーンウッド)長﨑晴作(熊本・熊文社)福田健太郎(大分・福田書店)田中隆次(宮崎・田中書店)楠田哲久(鹿児島・楠田書店)小橋川篤夫(沖縄・いしだ文栄堂)
▽監事=高橋千尋(北海道・ザ・本屋さん)○小泉忠男(東京・小泉書店)元永剛(員外)
▽顧問=高島瑞雄(福島・高島書房)深田健治(大阪・ブックスふかだ)
[各種委員会委員長]
▽政策委員会=舩坂良雄(雑誌買切制度研究小委員会=藤原直委員長、事業研究小委員会=中山寿賀雄委員長)
▽組織委員会=中山寿賀雄
▽指導教育委員会=鈴木喜重
▽広報委員会=面屋龍延
▽流通改善委員会=藤原直(図書館サポート部会=高島瑞雄部会長、「ためほんくん」部会=深田健治部会長)
▽取引改善委員会=柴﨑繁
▽読書推進委員会=西村俊男
▽書店再生委員会=本間守世
※常設委員会等の編成は後日詳報。

舩坂会長の総会あいさつ(要旨)

書店業界を取り巻く環境は非常に厳しく、消費税が8%に上がった昨年4月以降さらに厳しさを増している。このままいけばどこまで売上減少が続くのかと危惧している。書店は地域社会の中心的存在として社会に貢献してきた。日本の出版文化の充実は世界でも他に類を見ない。この出版文化は絶対に守っていかなければならない。
昭和61年に日書連傘下組合加入書店は1万2953店だったが、27年4月現在は4015店まで減少した。ネットの普及、雑誌・コミック売上の減少、アマゾンのネット販売など様々な問題があるが、中でも大きな問題の一つとして万引きがある。万引きロスが書店経営に与える負担は非常に大きい。マスコミを使って現状を訴えていくことが必要だ。
図書館については、新文化4月23日号で紹介された東京都千代田区の千代田図書館の取り組みが興味深い。読者拡大へ図書館と出版社、書店が連携しているという。また、作家の阿刀田高先生が館長を務める山梨県立図書館は地元書店と連携して本を贈る運動を推進している。全国で注目すべき流れが生まれている。
出版社も現状に合った取り組みを始めている。トランスビューの工藤秀之代表が発案した、小出版社26社が手を組み、取次が配本先や冊数を決める従来の流通の仕組みに頼らない方法で書店に本を届ける「注文出荷」についての記事が、5月27日の朝日新聞夕刊に出ていた。工藤さんは「本を売った時の書店の取り分が増えないと小さな書店は生き残れない」と考えて、書店が売りたい本を届ける仕組みを作ったという。
北海道砂川市のいわた書店が取り組んでいる「1万円選書」にも注目している。利用者に最近読んだ本とその評価を聞き、よく読む雑誌などのアンケートに答えてもらう。その回答に基づいて1万円分のおすすめ本を送るサービスだ。岩田社長の読書力と知識があるからできることで、誰にでもできることではないが、これを参考にして全国の書店が元気になる試みを考えてみたい。本を求めている読者は全国にいる。読者が本を選ぶ手助けを書店ができればと思っている。
全国の332市町村に本屋がないという。山積する問題を解決するには、政治家の力を借りて行政に物申していかなければならないこともある。自民党有力議員に党内に「地域書店を元気にする議員連盟」(仮称)を立ち上げていただきたいとお願いしている。政治の力を借りて、図書館納入で地元書店を優先するよう働きかけたり、学校図書館に十分に本がいきわたるよう予算を組んでもらうことなどを要望していきたい。皆さんの声を議員に伝え、一歩でも前に進みたい。

新理事長に吉田矩康氏/埼玉県組合第31回通常総会

埼玉県書店商業組合(川嶋孝文理事長)は5月28日、さいたま市浦和区の埼玉書籍で第31回通常総会を開き、組合員93名(委任状含む)が出席した。
総会は山口洋事務局長の司会で始まり、川嶋理事長があいさつを述べた。続いて野澤恒雄常任理事を議長に選任して議案審議。定款の一部変更、組合規約一部変更、平成26年度事業報告・決算報告を行い、武内稔監事が監査報告。さらに平成27年度事業計画・予算の決定、任期満了による役員選挙などを行って、全ての議案を原案通り承認可決した。
任期満了による役員選挙では、理事35人、監事3人を選任した。
引き続き、出版物小売業公正取引協議会埼玉県支部総会を開催し、全ての議案を承認した。
議事終了後、埼玉県中小企業団体中央会組合支援部参事・池川禎蔵氏より祝辞をいただき、総会を閉会した。
総会後に開催した理事会で、2期4年を務めた川嶋理事長が退任し、新しく吉田矩康氏(吉田謙受堂)が理事長に就任した。川嶋前理事長には、吉田理事長から感謝状と記念品が贈呈された。
この後、トーハン埼玉支店・小崎修支店長のあいさつ、日本出版販売北関東支店営業第一課・小柳久光課長の乾杯で懇親会を開催。中央会・池川参事を交え、情報交換など有意義な一時を過ごした。
(山口洋事務局長)

安部理事長の再選決める/日書連事業に積極取組み/福井総会

福井県書店商業組合は、第33回通常総会を5月26日午後4時半から、あわら温泉の「灰屋」で開催し、組合員32名(委任状含む)が出席した。
総会は京藤敏実副理事長(ひしだい書店)の司会で開会。勝木伸俊理事(勝木書店)を議長に議事を進行し、清水祥三副理事長(じっぷじっぷ)が決算、事業報告及び事業案を報告。安部悟理事長(安部書店)は「消費税8%の影響で苦しい1年になり、組合員も廃業や業態変更による減少が表れてきた。書店くじや『心にのこる子どもの本』セットセールなど、日書連の事業に、より積極的に取り組む。福井県が、福井出身の白川静先生の漢字学習を積極的に推進しており、県内数ヵ所の講演会場で、組合に本の販売依頼がきている」と述べた。
任期満了に伴う役員改選では、安部理事長を再選し、全員が留任した。
その後、来賓のトーハン北陸支店アシスタントマネージャー・田辺義博氏、日本出版販売北陸支店係長・表弘信氏、太洋社北陸支店支店長・義田英則氏、福井県教科書供給所総務管理部長・前田三男氏、小学館パブリッシング・サービス主任・田村一郎氏、聖教新聞福井支局支局長・河上和浩氏が各々あいさつや企画説明を行った。
太洋社・義田北陸支店長の乾杯の音頭で懇親会が始まり、近況や情報交換の話で盛り上がった。
(清水祥三広報委員)

第39回通常総会議案を審議/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は、5月12日午後2時から、札幌市中央区のトーハン北海道支店で定例理事会を開催した。
理事会では、第39回通常総会について、決算関係書類の内容を審議し可決決定。また事業報告書の原案も同様に可決決定した。このほか、組合未加入書店へ加入促進を図っていくことを決めた。
(事務局・髙橋牧子)

内閣府の翻訳出版事業を継続受託/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は6月3日に東京・新宿区の日本出版クラブ会館で評議員会を開催。内閣府が国際広報活動として進めている書籍の英語翻訳出版事業を、今年度も受託したと報告した。
この事業は、海外の有識者・メディア関係者を始めさまざまな層に対し、日本の書籍を翻訳出版して日本の魅力を発信しようというもの。発行書籍のシリーズ名は「JAPANLIBRARY」で、JPICは事務局と発行元として協力。平成26年度事業では5タイトルを発行し、32ヵ国約9百ヵ所の図書館・研究機関等に寄贈した。
今年度は、翻訳点数を12タイトル程度に増やすほか、寄贈だけでなく海外での販売等によって読者拡大を図る方針。

総合トップは『フランス人は10着しか服を持たない』/15年上期ベストセラー

トーハン、日販、大阪屋は2015年上半期ベストセラーを発表。総合ランキング1位はいずれも、ジェニファー・L・スコット著、神崎朗子訳『フランス人は10着しか服を持たないパリで学んだ〝暮らしの質〟を高める秘訣』(大和書房)が獲得した。各社調べのトップ10は次の通り。
〔トーハン調べ〕
①フランス人は10着しか服を持たないパリで学んだ〝暮らしの質〟を高める秘訣(大和書房)②智慧の法心のダイヤモンドを輝かせよ(幸福の科学出版)③火花(文藝春秋)④新・戦争論僕らのインテリジェンスの磨き方(文藝春秋)⑤鹿の王(上・下)(KADOKAWA)⑥家族という病(幻冬舎)⑦聞くだけで自律神経が整うCDブック(アスコム)⑧夢をかなえるゾウ(3)ブラックガネーシャの教え(飛鳥新社)⑨学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(KADOKAWA)⑩モンスターストライク攻略アイテムBOOK/モンスターストライク攻略アイテムBOOK(2)/モンスターストライク攻略アイテムBOOK(3)(宝島社)
〔日販調べ〕
①フランス人は10着しか服を持たないパリで学んだ〝暮らしの質〟を高める秘訣(大和書房)②火花(文藝春秋)③新・戦争論僕らのインテリジェンスの磨き方(文藝春秋)④お金が貯まるのは、どっち!?お金に好かれる人、嫌われる人の法則(アスコム)⑤聞くだけで自律神経が整うCDブック(アスコム)⑥夢をかなえるゾウ(3)ブラックガネーシャの教え(飛鳥新社)⑦鹿の王(上)生き残った者/鹿の王(下)還って行く者(KADOKAWA)⑧学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(KADOKAWA)⑨智慧の法心のダイヤモンドを輝かせよ(幸福の科学出版)⑩家族という病(幻冬舎)
〔大阪屋調べ〕
①フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ〝暮らしの質〟を高める秘訣~(大和書房)②火花(文藝春秋)③新・戦争論僕らのインテリジェンスの磨き方(文藝春秋)④家族という病(幻冬舎)⑤夢をかなえるゾウ3ブラックガネーシャの教え(飛鳥新社)⑥嫌われる勇気自己啓発の源流「アドラー」の教え(ダイヤモンド社)⑦鹿の王上生き残った者/鹿の王下還って行く者(KADOKAWA)⑧聞くだけで自律神経が整うCDブック(アスコム)⑨日本の大和言葉を美しく話す――こころが通じる和の表現(東邦出版)⑩21世紀の資本(みすず書房)

新理事長に三宅久嗣氏/新図書カードの説明会開く/京都総会

京都府書店商業組合は5月28日午後3時より、京都市中京区の京都ホテルオークラで第31回通常総会を開催、組合員94名(委任状含む)が出席した。
総会は三宅久嗣氏(久栄堂)の司会で進行。冒頭のあいさつで中村晃造理事長(桂書房)は、消費税の軽減税率適用に向けた活動が他業界に比べ遅れていると苦言を呈したほか、日書連傘下組合員の減少に歯止めがかかるかは難しいと現状に憂慮を示して、「本屋の生き残りの道を探っていくことが課題だ。本だけにとらわれず、扱える商品は積極的に扱い、我々本屋仲間全員がそろって生き残っていける道を探すことで、次の展望が開けたらと思っている」と述べた。
続いて、議長に洞本昌哉氏(ふたば書房)、副議長に村田清氏(村田舞鶴堂)を選出して議事を進行。各種事業では、組織情報委員会から、平成27年3月末日現在の組合員総数は159店と報告。広報委員会は、ITサポート委員会と連携し、組合だよりや組合FAX速報等の情報をインターネットやメール等で配信できないか探っていくと方針を説明した。厚生委員会からは、今年度も秋に組合員対象の旅行を計画していると報告があった。役員改選では理事23名、監事2名を選出。全ての議案を原案通り承認して閉会した。
引き続き「役員表彰」を行い、30年以上務めた1名を含む該当6名を京都組合から表彰。また、「第44回京都新聞お話を絵にするコンクール販売促進キャンペーン表彰」を行い、京都新聞社が上位5店舗を表彰した。最後に、新図書カード「図書カードNEXT」の説明会を開催、みな一様に真剣に耳を傾けていた。
説明会終了後、第1回理事会を開催し、三宅久嗣氏を新理事長に選出した。三宅新理事長は、「私自身未熟なところも多々あるが一生懸命務めさせていただく。皆様のお力添えなくしては遂行できないものと思っている。ご指導ご鞭撻をよろしくお願いする」と語った。
午後5時半から懇親会を開催し、全ての予定を終了した。(若林久嗣広報委員)

地方書店の環境悪化を懸念/群馬組合通常総会で竹内理事長

群馬県書店商業組合は5月26日、前橋問屋センター会館で第28回通常総会を開催し、組合員35名(委任状を含む)が出席した。
竹内靖博理事長はあいさつの中で、書籍売上の減少や日書連傘下組合員数の減少に言及し、「我が群馬県組合は昨年が44店で今年は39店。踏ん張って現状を維持しないと組合活動に支障が出るようになってしまう。都心部の大型店出店ラッシュ、アマゾンをはじめとするインターネット通販の台頭など、地方の中小書店をめぐる環境は悪化する一方だ」と懸念を表明。また、日書連が推進する「書店金賞」、消費税軽減税率の活動等にも触れ、組合書店の協力を呼びかけた。
その後、竹内理事長を議長に議案を審議。事務局より平成26年度事業報告・決算報告、岸田監事より監査報告を行い、27年度事業計画案・予算案等を審議して原案通り承認可決した。
議事終了後、群馬県中小企業団体中央会の岩城課長補佐より祝辞をいただき、総会を終了した。
続いて、出版社の新刊説明会及び運送会社との懇談会を開催。最後に日本図書普及の平井常務取締役より、図書カードNEXTの概要と読取り機の交換設置について1時間ほど研修を行って全日程を終了した。
(鹿沼中広報委員)

委員会編成を決定/東京組合

東京都書店商業組合は6月2日、東京・千代田区の書店会館会議室で定例理事会を開催し、舩坂良雄理事長体制2期目の各委員会編成を決定した。
委員会編成は、総務・財務委員会以外の8委員会をA・B・C・Dの4グループに分けるグループ制をとっており、副理事長が各グループ内の委員会を担当。新任の田島敏幸副理事長はAグループ、小林洋副理事長はCグループを担当する(後掲)。
事業・読書推進委員会報告では、河出書房新社から、戦後70年特別企画「戦争とは何か~70年目の夏~」謝恩価格フェアの説明が行われた。デジタル戦略推進委員会からは、電子書籍販売サイト「BOOKSMART」の店頭連動企画として、実業之日本社のリュエルコミックス3点について、店頭で購入した読者に電子版をプレゼントする企画を5月20日から6月19日まで31店が参加して実施と報告があった。
TS流通協同組合の4月期発注件数は4185件(前年同月比95・4%)、売上金額は677万2637円(同150・7%)、書店数は62店(同98・4%)。5月期発注件数は3783件(同81・5%)、売上金額は435万3226円(同74・5%)、書店数は51店(同73・9%)だった。
〔東京組合各委員長〕
▽総務・財務=(総務)舩坂良雄理事長(財務)田島敏幸副理事長
▽Aグループ(担当=田島敏幸副理事長)組織=矢幡秀治理事、再販・発売日・倫理=秋葉幸伸常務理事
▽Bグループ(担当=柴﨑繁副理事長)取引・流通改善=澁谷眞常務理事、デジタル戦略推進=濱野敏明常務理事
▽Cグループ(担当=小林洋副理事長)指導・調査=渡部満常務理事、厚生=渡辺真常務理事
▽Dグループ(担当=本間守世副理事長)事業・読書推進=井之上健浩理事、共同受注=安藤弘常務理事

外販企画の強化図る/出版社と合同決起大会開く/トーハン

トーハンは6月2日、東京・新宿区の本社で第4回「出版社合同外販企画決起大会」を開催し、出版社15社59名が外販企画商品のプレゼンテーションを行った。トーハンからは藤井武彦社長、清水美成専務をはじめ、東日本、西日本、首都圏、特販の営業担当者など172名が出席した。
この決起大会は、外販企画商品の増売を目指し、出版社とトーハン営業担当者が企画情報や販売目標の共有化を図るため、6月、10月の年2回開催している。
今回、参加した出版社は朝倉書店、潮出版社、学研マーケティング、河出書房新社、講談社、集英社、小学館、創元社、ダイヤモンド社、辰巳出版、中央公論新社、デアゴスティーニ・ジャパン、PHP研究所、平凡社、ポプラ社。このうち初参加は潮出版社、集英社、中央公論新社、デアゴスティーニ・ジャパン、ダイヤモンド社の5社。
冒頭、あいさつした清水専務は「平成24年に藤井社長の肝煎りで立ち上げた外販営業部の成績は、平成25年度が売上前年比33%増、26年度が同23%増。27年度は10%増の目標を掲げている。また、外販主要企画の取次占有は推定49・5%。外販営業部立ち上げ当初から7・9%拡大した。トーハンの外商店にはまだまだ底力がある。第3回大会に参加した15社の取扱商材は120%強の目標達成率だった」と述べた。続いて各出版社が5分間の持ち時間で企画説明を行った。最後に谷川直人取締役は「出版社の熱意に結果で応える」と述べた。
第2部懇親会であいさつした藤井社長は「外販部門が25年度、26年度と伸びたのは、出版社が良い企画を出してくれた賜物。それを受けてトーハンの営業と書店が一致して頑張った結果でもある。26年度は13企画が目標を達成した。今年度はすべての企画で達成する。エリア書店が元気にならないと出版業界も元気にならない。客注を施策の軸に、ネット書店にできない外販企画にも同等の力を入れる」と強調した。
出版社を代表して創元社の矢部敬一社長が「出版社の企画力、トーハンの行動力、書店の販売力を結集すればいい結果が出る」と乾杯の音頭をとり、トーハンの営業担当者4名が外販企画の増売へ決意を述べた。

トーハン、減収減益の決算/売上高2・4%減4809億円

トーハンは6月3日、第68期(平成26年4月1日~27年3月31日)決算概況を発表。売上高は前年比2・4%減の4809億1900万円となった。
消費税増税に伴う駆け込み需要の反動や、4月から実施した返品入帳締切日延長の影響により上半期売上は前年比5・8%減となったが、複合売場開発や既存店改善などで下半期は同0・7%増となり、通期では2・4%減にとどまった。売上高の内訳は、書籍が同2・2%減の1822億4700万円、雑誌が同5・8%減の1799億2900万円、コミックが同0・0%(2100万円)増の568億9700万円、マルチメディア商品が同5・4%増の618億4500万円だった。返品率は、書籍が同0・9ポイント増の41・5%、雑誌が同2・1ポイント増の45・8%、コミックが同2・0ポイント増の27・4%、マルチメディア商品が同0・4ポイント増の12・1%と全ジャンルで悪化し、総合では39・3%と同1・3ポイント増加した。
売上総利益は前年比4・0%減の517億600万円。販売費及び一般管理費は同4・6%減の456億6400万円で、売上総利益に比べ0・6ポイント下回った。この結果、営業利益は同0・3%増の60億4200万円、経常利益は同7・2%増の40億9500万円となった。しかし、課税所得の増加に伴い法人税等が増加。また、法人税率の引下げによる繰延税金資産の取り崩しによって法人税等調整額が増加したため、当期純利益は同3・3%減の21億3800万円で、減収減益の決算となった。
連結子会社14社を含む連結決算は、売上高が前年比2・7%減の4951億3200万円、経常利益が同1・1%増の39億1200万円、当期純利益が同16・6%減の15億9400万円で、単体と同様に減収減益の決算となった。
今年度は、書店のストアロイヤルティ向上を目指し、書店POSの売上を前年比7%押し上げることを目標に、①TONETSネットワークを駆使した店頭増売提案の強化②「ブックライナー本の特急便」の利用拡大による客注増加③他業種と連携した大型企画の提案――などの各施策を推進。また、複合売場開発の拡大、介護事業・物流事業領域の拡大など新分野の開拓、業界発展のための人材育成を行うセミナーハウスの稼働などに取り組む。
役員人事は、小野晴輝、田仲幹弘両取締役が常務取締役に昇任、髙田聡執行役員特販支社長が取締役に新任、本川幸史取締役が退任し監査役に就任、加藤悟監査役が退任と発表。6月26日開催の定時株主総会、取締役会で承認された。

再生計画は順調と報告/大阪屋友の会連合大会で大竹社長

第49回大阪屋友の会連合大会が6月10日、滋賀県大津市の琵琶湖グランドホテルで開催され、会員書店、出版社、大阪屋など総勢317名が出席した。
冒頭で、同連合会の田村定良会長(田村書店)は、「現在の厳しい状況は、お客さんが出版業界にそっぽを向いているからではないか。一番の原因は、スマホに代表される情報伝達機器の普及だ。もう一度本を読んでもらうようにするのは難しいが、我々業界人はそれを打破していかなければいけない。私は読書が嫌いだったが、60歳過ぎで一冊の本と出会って読書中毒になった。お客さんに本との出会いのきっかけを提供すること、小さい行動だがそれしかないと思っている」とあいさつ。大阪屋の現況については、「もう一遍立派な会社にすべく実際に行動を起こし、現在進んでいる」と期待を寄せた。
総会の議事では第48期活動報告、青年部活動報告、会計・監査報告を承認。役員改選では田村会長の再選を承認した。
大阪屋の大竹深夫社長は同社の状況について「再生計画のロードマップにほぼ沿った形で来ている」と述べ、前期実績について、売上は計画を7億円上回る681億円(前年比11%減)、返品率は40・3%(同0・8ポイント増)と報告。今期は、新規店の予定もあり、売上は前年比2%増、経常ベースでの黒字化を計画していると説明した。
今期計画達成と次年度以降の事業強化に向けては、①店頭の販売効率の改善②注文物流の強化と物流効率の改善③POSを含めた情報システム強化④書店提案力、MD力の強化――の4点を重点項目に掲げ、①の販売効率改善については、「返品率の改善ということでもあり、今期黒字化のために欠かせない最優先課題。返品率目標値は書籍38%台、雑誌35%台。高い目標だが、5月までの2ヵ月間ではほぼ計画に近い状態できている」と述べた。
続いて、学研マーケティングの山田耕嗣社長、日書連の面屋龍延副会長(大阪府書店商業組合理事長)が祝辞。面屋副会長は日書連の活動について、出版物への消費税軽減税率適用を求め、出版業界4団体首脳で自民党・野田毅税制調査会会長らを訪問したことを説明。「秋には軽減税率の方向性が決まるとみられる。日書連は先頭に立って頑張りたい」と述べた。
この後、特別企画として大阪屋の若手社員が『来店動機・購買動機を高める大阪屋オリジナル提案』と題しプレゼンテーション。書店の店頭活性化を支援する「メーカーズ・セレクト」「本屋フェス」や、大阪屋オリジナル企画「バースデー文庫」カバーの展開、楽天のポイントサービス導入による集客効果等の説明を行った。