全国書店新聞
             

平成16年2月1日号

3月までの決着図る/早期是正を取次に要請/ポイントカード

日書連は1月23日、箱根の「湯本富士屋ホテル」で新年理事会を開催。理事会ではポイントカードの対応について、早期是正に向け取次への要請を強める方針を承認。3月までに決着をつけるよう全力をあげていく。理事会終了後の出版販売新年懇親会で取協小林会長は「ポイントカードは率にかかわらず再販違反。出版社と連携をとって適正な運用を図っていく」と、取次の立場を明確にした。解決が越年したポイントカードの対応は、萬田会長と岡嶋再販研究委員長から年末以降の経過について報告が行なわれた。これによると、暮れも押し迫った12月26日に萬田会長、井門副会長、岡嶋委員長の3名がトーハン本社に小林取協会長を訪ね、ポイントカード実施店に対する指導を要請した。
これを受けたトーハンは年明けの『トーハン週報』1月9・16日合併号で「ポイントカード中止のお願い」を掲載。「再販出版物の購入時にポイントを付与することは再販契約違反」として即時中止を求める文章を発表した。これを皮切りに日販、大阪屋、栗田、日教販、太洋社の取次各社も広報誌で同様の呼びかけを行なった。
岡嶋再販委員長は「事実上は5%以上、単独実施しているヤマダ電機を止められるかどうかにかかっている」とし、「いたずらに時間をかけず、完全解決に向けて努力していく」と述べた。また、萬田会長は「取次が文書を発表したことは、違反店への抑止効果もある。取次の今後の対応を身守りたい」と、取次の次の対応が重要という認識を示した。

雑誌月刊アイデア募集

夏の雑誌月間に実施している「定期購読獲得キャンペーン」は今年で第4回目になります。これまで、年間予約すると1号分サービスというキャンペーンを行なってきましたが、「こういう取り組みで予約を獲得した」「雑誌売場活性化のアイデア」「出版社に望む」などのご意見を日書連「雑誌月間係」へFAXでお寄せ下さい。締め切り2月9日(月)。

対応POSレジを推薦/コード変更、消費税総額表示で/日書連

〔スタートアップ21〕
書籍・雑誌に対する貸与権の適用問題で昨年末、文化庁の意見募集が行なわれたが、1313通の意見のうち賛成1211件、反対73件と圧倒的に賛成が多数を占めたことが報告された。2月3日に開かれる文化審議会で報告され、著作権法の改正が国会にかけられることになる。
雑誌月間の定期購読キャンペーンは、雑協として今年も実施する意向で、店頭活性化、定期予約促進を目的にキャンペーンを展開する。井門委員長は同行事の実施にあたって「出版社への要望、アイデア、問題点などがあれば、日書連にFAXで寄せてほしい」と述べた。
〔情報化〕
学校図書館納入問題では日書連マーク研修会が各県で活発に開かれており、2004年版日書連MARCと図書館貸出し・返却用ソフト「司書ツール」を搭載したCD―ROMを1書店1枚無料で提供する。
萬田会長は学校図書館納入に関してTRCの攻勢が続いている問題を指摘。「不当廉売、抱き合わせ販売に抵触しないか。独禁法改正強化の風も吹いており踏み込んだ対策を検討する」と述べた。
6月に予定している雑誌コード変更問題では、メトロコンピュータサービスのPOSシステム「ストア・フロント」はじめ、各メーカーで対応できるPOSレジを推薦していくとした。
各県組合の情報化支援では、アンケート結果をもとに審査を行い、総額7百万円の補助を決める。
〔消費税〕
4月1日からの総額表示の切り替え問題で下向委員長は年末に財務省を訪ね、1円未満の端数処理、計算方式を確認したとして詳細を柴崎委員が説明した。
これによると、1円未満の端数は切上げ、切捨て、四捨五入のいずれでも問題なく、複数冊の購入に対し1点ごとの消費税を足しても問題はないという結論。
下向委員長は誤差の出ない20円刻みの定価付けを出版社に提案していくとしたほか、委員会でまとめた「消費税をめぐる議論の必要性と今後の対応」を説明し、日書連の議論の出発点にしたいと報告した。
〔組織強化〕
日書連の定款変更について鈴木委員長は、1月末に全国中央会を訪問し、意見調整した上で2月理事会に委員会案を提出すると説明。萬田会長は各県組合でも宮城、福島両県が商業組合の定款を変更したほか、東京組合でも検討中だと報告した。
神奈川県組合からは、川崎に千坪で出店したあおい書店の組合加入が暗礁に乗り上げていると報告があり、中野店の加入とあわせて取次の日販を通じ加入を働きかけることになった。

洋書の卸価格値下げ/日本洋書販売

日本洋書販売(賀川洋社長)は取り扱い輸入書籍・雑誌の書店納入価格を2月1日出荷分から順次値下げする。書籍は現行より20~40%、洋雑誌は米国輸入雑誌を20~30%値下げする。
2月1日から値下げするのはペーパーバック全タイトルとアメリカからの輸入雑誌で、8月までにすべての輸入書籍・雑誌を値下げする。同社では値下げの原資について「仕入価格によるものではなく、企業内努力で実現した」としており、これにより顧客は書店店頭で実物を手に取りながらオンライン販売とほぼ同じ安い価格で洋書が購入できることになる。

共済会給付

▼病気傷害柴田郡大河原町字新東24―3本のフリーポート日下昌幸殿5口
新宿区歌舞伎町1―6―1尾張屋書店町田栄一殿3口
港区新橋1―13―5書房三壷堂水谷史朗殿
▼死亡弔慰西村山郡河北町谷地甲84田宮商店田宮つる殿
相馬市中村字田町52広文堂書店木村久美殿3口
北茨城市磯原町磯原2―177中川書店高林ゆき子殿3口
桑名市馬道3―333―2天神堂書店伊藤信夫殿2口
尼崎市南塚口町2―1―3宣文堂書房熊本睦子殿5口
▼前名義人死亡(亀田賢治)宇都宮市池上町1―2亀田書店亀田公一殿5口
同(井之上哲夫)町田市原町田6―11―10久美堂井之上賢一殿5口
▼配偶者死亡(吉田睦子)新宿区箪笥町27文鳥堂吉田東亜紀殿2口
▼地震広尾郡忠類村字忠類5遠藤商店遠藤輝博殿1口1万4千円
標津郡中標津町西6条北1丁目マル五中尾書店中尾邦幸殿10口315万5千円
大船渡市盛町字町11―14イセキ伊藤重徳殿1口27万5千円
▼消防冠水(倉庫)新潟市東万代町9―24文信堂書店西村俊男殿1口5万円

5月から第4土曜キャンペーン実施/佐賀県組合

佐賀県書店商業組合は1月17日、佐賀市若楠会館で今年初めての理事会を開催。岩永理事長は「いまだ厳しい状況が続いている。生き残っていけるよう今年も理事の皆さんによろしくお願いしたい」と述べ、前任者の退職で新たに採用した事務員の田中さんを紹介してから、日書連理事会報告と11月に川上の龍登園で開催した日書連マーク研修会について報告した。
新規出店では積文館伊万里店が1月17日開店、唐津店は閉鎖を伝えた。
佐賀県オリジナルカレンダーは今回、発行部数を減らしたが、まだ残部があるとのことで、来年度以降の取り扱いについて協議した。「見直しの時期では」という意見もあったが、県との連携で行っている事業であり、売れなくなったから止める性格のものではないとして、来年以降も事業の継続を確認した。
「第4土曜は子どもの本の日」キャンペーンは5月から7月の3カ月間、県内を5地区に分けて参加書店を募ることになり、2月13日に説明会を行う。
その他組合活動についてのアンケート実施を求める提案があった。午後5時半過ぎ閉会して懇親会を行った。(近藤甲平広報委員)

大阪市と協力して子ども読書推進会

大阪府書店商業組合は1月17日、組合会議室で定例理事会を開いた。今西理事長は「昨年は厳しい一年だった。今年は書店が生き残れるよう様々な仕掛けを提供していきたい。世間は景気が底をうち上向く気配というが、我々に実感は無い。書店が変わらなければその波に乗ることは出来ない」と年頭の挨拶をした。
「子ども読書推進会」は、担当の面屋副理事長が12月定例理事会以降の動きを報告。朝日新聞社から大阪市への申し入れにより土崎大阪市助役、鶴田教育委員会総務部長と福家朝日新聞社編集局長補佐、千葉社会部次長と大阪組合正副理事長の会談が実現。続いて大阪府と第一回実務者会談。組合では臨時理事会で「読書感想文」「読書ノート」「読書アドバイザー」の3班を設け理事全員を振り分けたほか、面屋委員長以下で常任委員会を構成した。今後、府・市の協力体制、「読書推進会」構成団体の編成、読書ノート製作(最低二十万部)の資金繰り等が焦点となる。
《再販・公取協》
各取次は週報でポイントカードが再販違反であることを言明。今後、違反に対して確固たる措置をとるよう注視したい。各取次・日書連に大阪組合の決議文を送付することにした。
《雑誌発売日》
「週刊朝日」の早売り問題は、「週刊朝日」不扱い運動も含めて更に効果的な手だてを模索していく。
《その他》
レディスランチは現在107名の申し込みがある。女性部会発足のはずみをつけたい。2月20日開催予定の「IT戦略講演会」に申し込まれていない方は事務局に問い合わせを。
(田中順二広報委員)

平成15年読書週間書店くじ特賞当選者

平成15年読書週間書店くじ特賞当選者
土浦市・土屋竹子(白石書店)宇都宮市・野田聡史(落合書店宝木店)、下都賀郡・斉藤裕子(せきぐち書店)、さいたま市・三浦大典(参考堂書店)、桶川市・石井千尋(あすなろ文庫)、北葛飾郡・横山和彦(丸善日本橋店)、習志野市・椎名裕(次郎書店)、港北区・中野香織、麻生区・矢野カレン・ケイ(大塚書店本店)、世田谷区・松本章忠、調布市・小倉綾子(真光書店)、稲沢市・武藤裕介、枚方市・山本恭子(山本書店)、北葛城郡・杉野貴将(ユーゴー書店)、和歌山市・冨桝和子(宇治書店堀留店)、岡山市・大森栄一(ブックプラザAZ本店)、豊見城市・大城保男(上の蔵書店)

書店の本は撮らないで!/携帯電話団体がポスター製作/新年理事会

〔指導教育〕
万引き対策の取り組みで大手書店を中心に「日本書店万引問題協議会」を立ち上げる提案があり、日書連も協力していく。デジタル万引きについては電気通信事業者協会が「書店の本は撮らないで」というマナー向上ポスターを2万店に配布するほか、日書連もシールを作成する。

東京都の青少年条例改正問題では、包括指定は見送られたものの個別指定は強化され、不健全図書のビニール包装が義務付けられる見通し。
〔流通改善〕
「週刊朝日」が即売、新聞販売店で書店より1日早く販売されている問題で、日書連顧問弁護士は「即売と取次に同日出荷していれば不公正取引とはいえない」という考えを示したと報告があった。
これに対し、「1日遅くては古本。ボイコットして返品したい」「発売指定しないなら雑誌目録から発売曜日を削除して」などの声があがった。
〔増売・読書推進〕
4月20日から始まる春の書店くじについて、舩坂委員長から積極的に注文するよう要請があった。
第4土曜は子どもの本の日キャンペーンは、今春、滋賀、香川、佐賀の3県で開催準備が進んでいる。
〔公取協〕
出版物小売業公正競争規約の解説書を11年ぶりに改訂する作業を進めている。

12月は平均100.9%/1年ぶりに前年実績上回る/日販調べ

日販書店経営相談センター調べの12月期書店分類別売上げ調査は、前年同月比100・9%となり、1年2カ月ぶりに前年実績を上回った。
書店規模別では81~120坪店、121坪以上店は2~3%の伸び、40坪以下店は1・3%減と、ほぼ横ばいだが、41~80坪クラスは95%を割り込み、落ち込みが目立つ。ジャンル別では、コミック、文庫、新書の3部門が前年の数字をクリアした。
新書は年末に再び「バカの壁」が勢いを取り戻したためか12月は18・9%増で、8カ月連続で高い伸び率を記録している。コミックも9カ月連続のプラス。文庫は41~80坪クラスを除いて前年をクリアしている。
客単価の平均は1133・9円で前年比3・2%増。41~80坪以下店は4、5%のマイナス。

ポイント問題解決の年に/業界各代表が所信表明/出版販売新年懇親会

日書連が主催する第50回出版販売新年懇親会は1月23日午後5時半から箱根の湯本富士屋ホテルで開催され、出版社、取次、書店など総勢157名が出席した。懇親会では日書連・萬田貴久会長、出版社を代表して書協・朝倉邦造理事長、取次を代表して取協・小林辰三郎会長が年頭あいさつ。日販・鶴田尚正社長の発声で乾杯した。
〔日書連・萬田貴久会長あいさつ〕
第50回の出版販売新年懇親会に大勢の参集をいただいたことを心から感謝したい。懇親会の前に開催した理事会では、昨年から続くポイントカード問題が今回も議論の焦点になった。各取次の週報で出された中止のお願いで、出版社の指示に従った方法で措置を取るとはっきり明言いただいたことを高く評価する。理事会では、早期に是正措置を取っていただきたいという決議をした。取次各社にはぜひ主体的に働いて下さるようお願い申し上げる次第である。
消費税の総額表示が4月から始まる。端数処理の問題については出版社でご賢察をいただきたい。貸与権問題は一応のめどがつき、出版物貸与権管理センターが立ち上がる予定だが、書店が関与できるビジネスモデルをぜひ構築していただきたいと思う。
万引き問題では、東京都青少年問題協議会が1月19日、東京組合が請願した趣旨に従って18歳未満からの買入れ禁止条項を入れるという答申をした。また都の万引問題協議会が昨年12月25日にスタートした。東京組合の万引き防止ポスターは損害賠償請求する場合もあることを明記し、抑止効果を高めることができた。反響は大きく、いい方向に向かっていると考えている。横浜でも万引き防止のシンポジウムが開かれ、徐々に成果をあげていくと思う。日書連としても協力を惜しまぬ考えだ。
今は新時代の潮目だと思う。情報化、脱工業化社会が言われ、それを代表する業界の一つが出版産業だ。厳しい環境をもがき苦しみながら出版業界は進んできているが、先程申し上げたことがここにきて具体化してきている。中小企業の回復がなければ景気の本格的回復はありえないと、国は商法改正による新会社法制定や中小企業対策に力を入れている。そういう状況の中で、書店は特に仕入面、販売面で力をつけていきたい。今進められているJPO(日本出版インフラセンター)や、各取次が行っているSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)などを取り込み、新しいパラダイムで書店も奮起して頑張っていきたいと思う。
〔書協・朝倉邦造理事長あいさつ〕
出版界は7年続けて景気が悪い悪いと言われてきたが、今年になって、取次各社の社長から年末年始は前年よりよくなったという話を聞いた。今までの低落傾向にストップがかかってきたようだ。芥川賞では若い女性2人が受賞し、出版界に少し明るさが出てきた。今年1年を占ってもらったかなと思う。
4月1日から、スリップのボーズに消費税の総額表示をすることになった。版元としては昨年から新刊、重版に全部つけるようにしている。現場では多少トラブルがあるかと思うが、その節は何とかよろしくお願い申し上げ、定着させたいと思う。
出版界あげて取り組んできたポイントカード問題は今年は決着をつけなければならない時期と思う。再販の護持ができるか、出版界の根本にかかわる問題だ。4団体首脳が集まる出版サロンの会を定期的に開いており、お互いの立場、考え方を話し合って諸問題を解決していきたい。
〔取協・小林辰三郎会長あいさつ〕
取次としては、更なる流通改革に向けて日書連の要請に応えて参りたい。ポイントカードについても、ポイント率に関わらず再販違反であるとの立場で中止に向けて努力する考えだ。出版社と充分連携して再販制度の健全運用を図りたい。
平成15年は7年連続の減少で、販売金額、返品率とも厳しい1年だったが、今年はやや明るさが見えている。正月3が日はまずまずのスタートで、その後も堅調な実績を維持している。うれしい話題は19歳と20歳の女性が芥川賞に輝いたことだ。若い世代から新しい作家が生まれてくる背景には、本に接する若者が増えているという現実がある。読書推進運動によって読書回帰の潮流が広がっているように感じる。この流れを現実の売上げに結びつければ、プラス成長の回復が実現できると確信する。今年こそ、その転機の年としたい。読者の期待に応え、新たな需要の創造に向けて全力で努力していく所存だ。

出版販売新年懇親会出席者

〔出版社〕
あかね書房・岡本雅晴、秋田書店・村山光磨、朝倉書店・朝倉邦造、朝日ソノラマ・金子凱彦、岩波書店・瀬間勉、潮出版社・佐藤保彦、SSコミュニケーションズ・大野隆弘、旺文社・那須野富雄、オーム社・村上和夫、角川書店・井上泰一、角川出版販売・田中樹生、河出書房新社・若森繁男、学習研究社・山田耕嗣、くもん出版・志村直人、講談社・浜田博信、幸福の科学出版・中村嘉秀、光文社・須田昌夫、小峰書店・小峰紀雄、ごま書房・池田雅征、三省堂・中川裕二、サンマーク出版・竹下直光、集英社・今井鈴人、主婦と生活社・古川一夫、主婦の友社・依田俊之、小学館パブリッシング・サービス・小泉明允、祥伝社・藤岡俊夫、少年画報社・平本昭一、昭文社・笈川実、昭和図書・大竹靖夫、新星出版社・富永靖弘、新潮社・木島秀夫、女子栄養大学出版部・岩佐義彦、JTB出版販売・鳥澤誠、聖教新聞社・高橋康隆、同・田中清文、同・長谷川太作、青春出版社・山口稔、誠文堂新光社・福永忠秋、税務経理協会・大坪嘉春、草思社・渡辺直之、大修館書店・青木三郎、高橋書店・東宏志、第三文明社・松島健寿、筑摩書房・平川恵一、中央経済社・竹内伸介、中央公論新社・吉村治、東京大学出版会・大江治一郎、東京ニュース通信社・野沢一浩、東洋経済新報社・浅野純次、徳間書店・岩渕徹、二玄社・渡邊隆男、日本実業出版社・吉溪慎太郎、日本文芸社・西沢宗治、日本放送出版協会・荒井正之、農山漁村文化協会・阿部伸介、白泉社・佐藤将、博文館新社・大橋一弘、ぴあ・川口純、PHP研究所・北村民雄、福音館書店・塚田和敏、扶桑社・川庄篤史、双葉社・谷ヶ城五郎、二見書房・吉池茂、ブティック社・志村昌也、文藝春秋・浅井淳、平凡社・土岐和義、ベストセラーズ・狩野恭司、芳文社・伊東朋視、ポプラ社・森猛、三笠書房・押鐘冨士雄、有斐閣・大場章正、リイド社・新納英也、リクルート・川瀬昭男
〔取次会社〕
トーハン・小林辰三郎、同・藤井武彦、日販・鶴田尚正、同・阿部洋一郎、同・大野隆樹、大阪屋・高橋茂、栗田出版販売・亀川正猷、中央社・秋山秀俊、日教販・磯部検四郎、太洋社・國弘晴睦、協和出版販売・雨谷正巳、日本地図共販・伊藤聡
〔業界関係〕
日本図書普及・倉園夏樹、文化産業信用組合・白鳥義胤、出版輸送・手島寛、AIU保険会社・佐藤護、出版ニュース社・清田義昭、新聞之新聞社・片山昂士、文化通信社・近藤晃治、新文化通信社・白本朋求

「声」/消費税アップで生き残るのは大型店のみ/北海道・高野名書店・高野名正治

新しい年を迎えましたが、私たち零細書店は一昨年の廃業店を上回る千店以上が店を閉めたと言われます。
今年はどうでしょうか。
恐らく去年より売上が伸びる要素はほとんどありません。同僚店が弱肉強食の犠牲になってシャッターを閉める店が少なくなることを願います。
少子高齢化に不況で財布のひもは固くなるのに加え、24時間営業店などに週刊誌、コミックは食われていますが、寝ずに営業することなど出来ないのです。
今まで取次ルートでの仕入販売が主でしたが、今は大きな広告を出して直接販売やインターネット販売など多様化する変化に対応して売上げを伸ばすことなど至難といえるでしょう。
一番恐ろしいのは消費税アップして2ケタになった場合、営業していける店は残念ながら大型店だけになる運命でしょうか。
消費税アップを決めるのは国会であり、私たちは生き残るためにはこれに賛成する政党には投票せず、これを許さないこと以外にないことを自覚して、書店組合員はお互いに結束しましょう。

新春企画・心に残る本/「性に目覚めた頃」/久留米市・尚文堂・鹿子島慶正

本屋のオヤジが読んだ本のことを書くなど面映ゆい。一応の本は読んだつもりでいる。しかし、そんな本はほとんど頭に残っていない。小学3、4年頃に読んだ(イヤ、見た)雑誌の「りべらる」や「夫婦生活」などが今でも印象に残っている。自分の部屋へ持ってきて1人で興奮して挿絵や写真を見ていた。
小野佐世男という漫画家の絵は子供ながら色気のある挿絵だと思っていた。グラマーな女性ばかりであった。杉浦さんの絵も色気の多い挿絵だと子供ながら感心していた。
まだ外国のヌード写真の少なかった頃(昭和25年)見た外人女性の豊満で乳房の巨大さに子供ながら目が眩んだ。中学生になると辞典片手に相変わらずエロ雑誌を読み耽っていた。友人から教わった太宰治の『人間失格』や『グッドバイ』などの文学の中の性描写や性の告白などには成人としての興奮があった。中学2年のときの『太陽の季節』には本、映画と悩まされた。……彼は勃起したペニスを外から障子に突きたてた。障子は乾いた音をたてて破れ、それを見た英子は読んでいた本を力一杯障子にぶつけた。本は見事、的に当って畳に落ちた……。何回か真似てやってみたけど、そう簡単に破れるものではなかった。
今まで随分と男と女の営みの本は読んできたが、昨今は『日本書記』や『万葉集』などを再読している。何とおおらかな日本の性典だろう。この時代は無道徳の時代だから不倫というものもない。性愛はかくあるべきと、上も下もおおらかであった。還暦を過ぎてみるとこんなことを考えてしまう。

「声」/買い物の際の言葉遣いに疑問/松原市・文潮堂書店・勝田冨士夫

私がレジにいると、小学生の男の子が雑誌を買いに来て、「どうもありがとうございました」と言って帰って行った。それは、私が言うべきセリフである。
また別の日、若い奥さんが本を買って、私に「どうもありがとうございます」と言い、帰って行った。それも私が言うべきセリフである。いったいどうなっているのだろう。東京や九州でもこんな言葉の使い方をしているのだろうか。
時代の移り変わりとともに、言葉の意味は、誤用されたり、変化していく。たとえば「あいつは、気の置けない奴だ」という言い方がある。この意味を若い人に次の2つのうちどれであるかを問うとする。
①あいつは、油断のならない奴だ②あいつは、気楽につきあえる奴だ
すると、若い人の大多数は①が正しいと答える。正解は②である。この例は言葉を誤解している例である。
5年たち10年たてば、お客さんが店の者に「ありがとうございます」と言う時代が来るのであろうか。
敬語の使い方のまちがいは、今に始まったことではないが、買い物をする時の双方の言葉の使い方まで逆になれば、私は困惑するしかないのである。

新春企画・心に残る本/「本はいつまでも」/福井市・じっぷじっぷ・清水祥三

昭和30年代、力道山の空手チョップを写し出すテレビを求めて、街頭から近所の歯医者の自宅へと町内の子どもたちは移動した。年を追うごとに普及していったテレビという新しいメディアは、当然のようにこの頃の僕たちの遊びや生活を変えていった。しかし、昭和34年小学校高学年の時、それと並行するように活字の世界を広げてくれた本が届けられるようになった。講談社刊『少年少女世界文学全集』。各巻国別に編集された全50巻の本は、毎月1冊ずつの配本だった。あやふやな僕の記憶では、第1回目がジョルジュ・サンド作『愛の妖精』。魔女と噂される祖母と2人暮らしのファデット。色の黒い男勝りでお転婆な彼女が、村八分的な環境の中、地主の長男との恋愛を通して、蛹から蝶に変わるように美しくしとやかに変身していく姿に、それまでのSFや冒険小説では味わえなかった感動を覚えた。ちなみに店名(じっぷじっぷ)の由来となったスチーラー『ジップジップと空とぶ円ばん』(講談社)は、その2年前に学校の図書室で出会っていた。
児童文学と文学、子どもと大人の世界が交差したようなこの全集は、それまで知らなかった戦争や差別、自由と平和、そして愛など、人間のもつ内面的なものや行動を、毎月心の中に届けてくれたような気がする。何度も読み返したこれらの本と別れて暮らすようになり、父の便りで全集が年の離れた従兄弟の息子の手元に渡ったことを知ったのは高校生の時だった。なつかしさを感じながらも、また人の手に触れることがうれしかった。あれから40年、時々読み返してみたいと思っていた全集はもう成人した従兄弟の孫にも愛され、次の子どもたちを待っているようである。

読み聞かせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・石嶋純子

◇2歳から/『コップちゃん』/中川ひろたか=文/100%ORANGE=絵/ブロンズ新社850円/2003・8
2才頃になると、そろそろ哺乳瓶ともさようなら。そこで毎日大活躍のコップが主人公のこの絵本。シンプルでユーモラスな顔のコップちゃんが「こんにちは」と語りかけ、「いない、いないばぁ」も。トクトクトクと入ってくるジュースのオレンジ色が、たまらなくおいしそう!
◇4歳から/『せんろはつづく』/竹下文子=文/鈴木まもる=絵/金の星社1200円/2003・10
線路を作ろう、どんどん作ろう。山があったよ。川も流れている。道も池もある。さぁ、どうしよう?でも平気。皆で考えて線路は続く。やったあ、つながった!来たぞ、列車が来たぞ。まばゆい絵の中から、ぐんぐん広がる遊びの世界。♪線路はつづくよ、どこまでも♪の歌声が…。
◇小学校低学年向き/『だんだんやまのそりすべり』/あまんきみこ=作/西村繁夫=絵/福音館書店1100円/2002・11
寒い冬、子どもたちは元気にだんだん山でそりすべり。でも、いっちゃんは恐くて滑れません。どこからかやってきたこぎつねのいっちゃんもやっぱり…。さあ滑れるようになれるかな?2人のやりとりが何とも暖かく、のびのびした冬山の絵が、ぐんとお話を引き立てています。

日書連のうごき

12月1日全国中小小売商団体連絡会主催「中小小売商サミット」へ萬田会長他出席。
12月2日出版再販研究委小委員会へ岡嶋委員長他出席。
12月3日雑誌発売日本部・同実行合同委員会。出版クラブ定例理事会・評議員会へ萬田会長。共通雑誌コード説明会へ井門委員出席。
12月4日JPIC万引対策委員会へ丸岡委員他出席。井門副会長他、昭和図書物流センター見学。
12月5日情報化推進委員会。文春忘年会へ日書連幹部出席。
12月10日JPO運営委員会へ志賀委員他、S―DB運営準備会へ井門委員、中小小売商連絡会税制研究会へ下向委員長他、岩手県組合情報化研修会へ長尾専門委員出席。
12月12日公正取引協会会員懇談会へ岡嶋再販委員長他出席。
12月15日出版関係受章者祝賀会へ萬田会長他出席。
12月16日野間文化財団「野間賞」贈呈式典へ萬田会長他出席。
12月17日読書推進、増売、指導教育、流通改善、共済会運営、共同購買、組織強化、消費税問題、再販研究、広報、情報化推進、新年懇親実行委、各種委員会。第4土曜日は子どもの本の日実行委員会。
12月18日日書連、公取協、共済会理事会。
12月19日出版再販研究委小委員会。再販ラウンドテーブル会議へ岡嶋委員長他出席。
12月25日消費税問題で下向委員長他、財務省主税局を訪問。小売連絡会幹事会へ丸岡委員出席。
12月26日再販問題で萬田会長他、トーハン小林社長を訪問。
12月29日事務局仕事納めの会。
1月5日仕事始め。
1月7日出版クラブ主催名刺交換会。
1月8日S―DB運営打合会。
1月9日日販市会、トーハン市会、日教販図書展示大市会。書店新風会新年会へ萬田会長出席。
1月10日悠々会新年会へ萬田会長出席。
1月14日情報化推進委員会。出版倫理協議会へ丸岡委員他出席。
1月15日東京都書店組合新年会。
1月16日TIBF・出展者特別説明会へ萬田会長出席。
1月19日SJ・文化講演会開催で舩坂委員長、出版社訪問。
1月21日S―DB運営打合会へ井門委員出席。
1月22日「日書連マーク」問題で公取委相談指導室を志賀委員長他訪問。JPO運営委員会へ志賀委員出席。JTB講演会へ萬田会長出席。
1月23日日書連、同共済会、公取協理事会。日書連主催出版販売新年懇親会開催(湯本富士屋ホテル)。
1月26日税制対策特別委員会へ萬田会長、下向委員長他出席。
1月28日読売新聞社新年会、図書普及㈱役員会、出版再販研究委員会・同懇親会へ萬田会長他出席。読進協常務理事会へ白幡専務。公取協事務局長会議へ影山専務。日書連定款見直し問題で鈴木委員長他、全国中央会を訪問。
1月29日埼玉県組合情報化推進研修会へ志賀委員長他出席。「まちづくり条例によるまちなか再生を考える」セミナーへ丸岡委員長出席。東京組合青年部新年会へ萬田会長出席。
1月31日活字文化推進会議フォーラムへ萬田会長出席。

山陰地区「完全図書カード化」レポート①/「付加価値見込めるカード、贈答用以外の利用拡大を」/鳥取県米子市・杉島書店・杉嶋運一

図書券流通上の種々の問題点の解消策として、日本図書普及㈱が全面図書カード化を提案されました。第一段階として昨年11月より、カードシェア度全国1、2位の私ども鳥取、島根の両県を「先行地区」として、図書カード販売への一元化が行われてまいりました。
実施前に、当地区書店の声として500円カードの発行が出てきました。お客様に対しては単に券からカードへの切替えだけでなく、使用上の利便性の向上や、デザインの多様化による愛着心の増大などが見込まれます。以後のキャンペーン活動の中に盛り込んでいただくことを組合の要望として提案し、受け入れていただきました。
そのような過程を経て当店もカード化に取り組んできましたが、切替え後現在までたいした混乱もなくスムーズに移行し運営しております。当初は圧倒的に500円カードの販売が多く、図書券がそのまま移行した感がありましたが、現在ではその他価格カードとの比率が半々くらいになっております。
また、お年寄りの中にはお釣りが出ないのではないかと不安がられる方もいらっしゃいましたが、良く説明申し上げ、現在ではほとんどなくなりました。切替え時に図書券での精算額が倍近く増えたことを除いては、図書売上への寄与度、図書券発行額との比較等、データ上の変化は今のところございませんが、今後の可能性という点ではカードの方が付加価値ははるかに高いと思われます。オリジナルカードの製作、デザインの多様化、贈答用だけでなく自家使用としての購入のお勧め等を業界全体で取り組むことが、活性化の一つになると思います。

豊島・練馬支部思い出の記①/元豊島区・大岡書店・大岡辰弥

〔書店開業〕
私は昭和29年4月、人事院を辞職し、豊島区要町3丁目の貸店舗(8坪)に書店を開業した。当時は近隣書店2軒の承認を得ないと組合に加入出来なかった。組合員でないと大取次の東販・日販と取引出来ない。雑誌・書籍の配送が無いから、神田の取次まで取りに行かねばならぬハンディがあった。
私の場合は日販の又取次の扶蓉書房と契約した。全て現金取引。月に3回幼年誌、少年誌、婦人誌の日だけ、部数が多いので発売日前日の夜配達を目こぼしされていた。自転車でお茶の水の日販店売まで新刊図書を見に行き、客注品を仕入れ、扶蓉書房に回ってその日発売の雑誌を取ってくる毎日だった。但し1日早く渡してくれて、翌朝組合員の書店と同じ条件で販売出来る仕組みになっていた。
通称千川の奥の向原に住宅公社の大きな団地が建ち、宅地造成が始められ、人口が増加した。組合加入が認められて日販と取引可能になったのは1年半経ってからだった。この間の苦労は並み大抵ではなかった。当時は自動車も少なく道も混んでなかったが、雨の日も雪の日も自転車で神田に通った。客数が少ないので縁故を頼って古巣の人事院、都議会図書館や丸紅飯田、農林中央金融公庫、十条製紙総務課等自転車で都心を走り回り、外売に力を入れた。当時40才の若さと捕虜で培ったバイタリティで出来たのだと思う。
人事院を辞めた動機が、当時公務員の人員削減の方法として待命制度(辞めてから向こう1年間俸給を支給、退職金を倍額支払う)で退職を奨励していて、生活費は1年間保証されていた。焦って売上げを伸ばす必要はなく、気楽だったはずが大違い。仕入資金が莫大に入り用で、在庫も増える一方だった。その年の秋、自転車屋の勧めで原付自転車に改造し、往復は楽になったが、ある日追突され転倒し肩を骨折、お茶の水の名倉病院に入院する羽目になった。
昭和31年、野上さんが支部長の時やっと組合加入が認められた。日販との取引が始まり毎日配送があり、仕入れに神田まで行かずに済むようになった。一方、売上げも折りから神武景気の到来で出版界も活況を呈し始め、女性週刊誌が創刊、「週刊新潮」がこれに続いた。婦人誌も「主婦の友」が145円で大型化、団地で50近く定期読者が出来た。文庫も各社が発刊、昭和36年高度成長期に入るや岩波の「広辞苑」を皮切りに百科事典、河出の「日本文学全集」が続いて、美術全集なども続々刊行され、売上げも安定して来た。配達は代々店員を家内の里、岡山から中学卒を呼びよせ、豊島高校の定時制に通わせ育成した。
昭和31年2月16日、兄昇平と三島由紀夫さん二人のサイン会を芳林堂の斎藤さんと企画、新潮社にチラシを作らせ実施した。ちくま書房から二人が一冊の文学全集が出たばかりで、タイミングも良かった。この日のことは店頭で写した写真を飾り、長らく宣伝に利用した。この年、小学校に図書館の図書納入が始まり参加した。
〔東京組合理事になる〕
昭和37年5月、前全連会長大曽根さん、理事の吉田さん、松原さんが来店し、豊島・練馬支部選出の組合理事を引き受けてくれと頼まれた。それまでも当時の支部長、スミレ書店の野津手さんが勤め人だったことから、総務部長の名前をもらい会合通知など書記をやっていたので引き受けた。支部長には練馬の文雄堂の中島さんがなったが、会合通知などは私が代行した。組合本部の理事長は大川さん、副理事長は中川さん、芳根さんの時代である。
その頃の支部活動は活発で、新年会、総会、春か秋には旅行会、忘年会と多彩だったし、参加者も常に30名近かった。組合役員になっての初仕事は、昭和37年2月の幼年誌の付録問題だった。小学館から「幼稚園」、「小学一年生」から「六年生」、講談社からも「たのしい幼椎園」と「小学四年生」まで出ていて、付録がそれぞれ3、4点付く。これを本誌に挟む手間が大変だった。
新聞のチラシ折り込みは有料。書店にも折り込み科を出すべきであると、練馬青山堂の伊藤さんと計らい、申し入れ書を作り陳情に各社を回った。小学館では相賀社長が会ってくれ「もっともの言い分だ」と理解を示し、数ヶ月後、子供向け雑誌の正味2歩下げが実現した。
組合では広報委員会に属し、組合月報にしばしば投稿した。7・8月合併号「岩波の特権に灯が付いた」と題し、岩波書店の高正味を批判した。折しも東京組合は36年、任意組合から協同組合に移行し、適正利潤獲得運動を始めていて、大方の雑誌は二分下げに応じた。岩波の「世界」は依然高正味を維持。そこで不買運動を展開、支部では「支部だより」を発行し、伊藤さんと二人で各店を回り主旨を説明した。大方の店は実施してくれたが、東口の新栄堂の柳内社長は商人道に反するとの信念で応じない。逆に店頭に「世界あります」と張り紙を出す始末。次の理事会で除名せよとの意見が出された。議長は紀伊國屋の田辺さんで、賛否の決を取る前に「支部長の意見を」と聞かれた。私は「組合の決議に応じないのは遺憾だが、彼は大型店であるから、支部運営の上で組合に留め置くのが得策だと思う」と除名に反対した。支部長が反対ならと決を取るのを免れ、終わって田辺さんから「ありがとう」と礼を言われた。議長として除名の決は取りたくなかったに違いない。
紆余曲折を経て雑誌は7・7掛、書籍は8掛以下に下げられた。しかし正味引き下げで他業界からの進出を懸念する声もあり、事実はその通りになってしまった。豊島区では50年春、西武デパートが増築を機に書籍売場を300坪に拡大すると発表した。しかも12階が美術館、11階が書店と文化の殿堂を目指すという発想だった。46年、西口東武デパートに当初は横浜の有隣堂が出るとの噂だったが、大阪の旭屋が250坪で出店、既存の芳林堂はビルを建て450坪で対抗。東口では44年、丸物百貨店から変わった西武パルコに出店した三省堂が200坪に拡張し、新栄堂は東口地下街ショッピングパークに出店した。池袋ターミナルのブック戦争も終ったかに見えた矢先の出来事であった。
(つづく)

ふるさとネットワーク/東海ブロック編

〔山梨〕
いま山梨では観光立県ということで、各地域でその土地に合った特色づくりに懸命である。その代表は富士山の美化運動。世界遺産から外されて、「きれいな富士山」をと周辺の芥拾いが始まっている。裾野に入ると想像できないような物が捨ててある。登山者にも芥を捨てないよう呼びかけている。近く日本一きれいな山になると期待される。どうしてそんな芥だらけの山になったのか考えると、教育の欠陥が露見する。9年の義務教育でなにを教えたのか。本を読まなくなったことも原因の1つである。「朝の読書」が少しずつ読書の役割を変えつつあるが、読書の本質を明確にして、読書運動は本を読まずにいられない心を育てる運動でなければならない。組合はその切り口で書店のあり方を模索している。観光立県もその一翼を担うものである。(青柳和人理事長)
〔静岡〕
バブル崩壊後の現在でも、静岡県各地で日帰りの温泉施設ができています。私の近くでは遠州灘に面した町営の「大東温泉シートピア」があります。休憩施設、食堂、地場産品の売店を備え、開業以来たいへんな人気で、4年間に140万人訪れました。最近では3千円で2時間楽しめるゲームを買うよりカラオケで2時間楽しむほうがいいという、時間当たりコストの考えも出ていますが、一方で静岡から2時間かけて長野の日帰り温泉に出かけるという、楽しみというよりいわば「癒し」の考えの流れもあります。振り返って書店業界を考えると、昔「本は人生のためになる」といわれたのが、コミックを代表とする「楽しみの道具」になりました。これからはお客様にとっての「本と癒し」も考えて商売をする時代かもしれません。(白松猛広報委員)
〔愛知〕
去年10月25日に愛知県書店組合主催による「わくわく絵本まつり」が知立市の「セントピア・ホテル」にて開催されました。
行政はじめ学校、中学生ボランティア、出版社、取次等、多くの方々のご協力をいただきました。特に組合書店が主体となって企画、運営をし、各地読み聞かせグループの出演も書店が窓口を担当。広報活動もオリジナルチラシ、号外瓦版(5回発行)、地域新聞に記事取り上げなど、組合員の知恵を結集し、特にNHKテレビ「サラサラサラダ」では絵本の題材の衣裳をアピールして生出演をし、反響をいただきました。
手づくりの会場の雰囲気に来場者も大満足。今後「朝の読書」「ブックスタート」「孫に本を贈ろうキャンペーン」等につなげていく「流れ」ができたと思います。
(榊原壮一広報委員)
〔岐阜〕
関の孫六で名の知れた岐阜関市で、「日本刀打ち始め式」が正月2日にあった。刃物生産では日本一とうたわれた街で、古来より日本刀を製作している。
時代は鎌倉、室町時代にさかのぼるが、九州地方から来た刀鍛冶師が、鉄に焼入する良質な水、火力の強い炭が手に入るこの土地で刀を作ったのが始まりである。その後「兼元」等名工が出現して一躍この地が刀作りの中心になり、ここで腕を上げた人々が戦国時代に全国に分散し刀鍛冶を始めたと言われている。
打ち始め式の行われた関伝承館には、多くの人々が見学に集まった。刀鍛冶が火加減を調節しながら、炉から出した真っ赤になった鉄の塊を、3人の別の刀工が鉄槌で繊細に叩く、その躍動感、その技に伝統工芸の域を感じた。
(司馬豪久広報委員)
〔三重〕
鈴鹿墨の発祥は延暦年間といわれる。室町以降、特に江戸時代になると白子を根拠地として紀州藩の保護のもとに発展。伊勢型紙の文様などに高級な墨が求められ、製墨業が確立していった。
鈴鹿墨の特色はサラッとして粘らず、光沢が優れていること。柔らかな感じと深みは鈴鹿の風土と水質と墨の成分がよく適合しているからだといわれる。白子地区は全国の生産量の30%を占め、奈良県に次いで第2位である。以前は奈良県への出荷や出稼ぎが多かったが、戦後「鈴鹿墨」の名で販売に努力した結果、昭和55年10月に国の伝統工芸品に指定され、6名の熟練した伝統工芸士も擁し、売上も上昇中である。鈴鹿市白子町は伊勢型紙と並んで、鈴鹿墨で日本における最も有名で重要な墨の生産地として位置づけられている。(藤田忠男広報委員)

セミナー

◇2004年新学期学参・辞典勉強会
学習書協会・辞典協会共催により大阪、名古屋の2会場で開催する。大阪会場は2月19日午後1時半より西区新町の大阪厚生年金会館、名古屋会場は2月20日午後2時より中区錦のパレロワイヤル・シャンテ。各会場とも講師は能勢仁氏。「新学期販売の活性化」がテーマ。申込みは学習書協会。℡03―3292―8281

謝恩全集セール2467万販売/河出

河出書房新社が昨年10月1日から12月15日まで2カ月半実施した「謝恩価格全集セール」の総販売金額は本体金額ベースで2467万円となった。
この謝恩セールは完全買い切り、書店出し正味55%、時限再販として販売されたもので販売額上位から順に①『日本色彩大鑑』(本体価格67万5千円)、10セット、675万円、②『須賀敦子全集』(4万5900円)、86セット、394万円、③『日夏耿之助全集』(18万583円)、21セット、379万円、④『澁澤龍彦全集』(13万7086円)、26セット、356万円、⑤『澁澤龍彦翻訳全集』(11万1500円)、30セット、334万円、⑥『怪異の民俗学』(3万1200円)、89セット、277万円、⑦『松下竜一その仕事第1期』(2万4千円)21セット、50万円。
販売店別ではネット14%、公共図書館23%、大学購買部10%、ナショナルチェーン16%、その他35%。

機構改革

◇マガジンハウス
マガジンハウスは2月1日より大阪支社営業部販売課の業務を東京本社営業局販売部、販売企画部に移管する。

楽しいエジプト文字/吉村教授書下ろし/荒地出版社

荒地出版社は、エジプト考古学者としておなじみの早稲田大学教授・吉村作治氏の著書『ヒエログリフで学ぼう!』を2月5日に刊行する。A5変形上製・160頁、本体1500円。
「ヒエログリフ」は古代エジプトで使用されていた文字。同書は、吉村教授の監修で翔泳社から刊行され、古代文字ブームに火をつけた『ヒエログリフを書こう!』の続編にあたる。今回は吉村教授の書き下ろしで、古代エジプト3千年の歴史を楽しく理解できるよう書かれている。ファラオの遺跡の紹介など旅行ガイドにもなっている。
1月21日の説明会で吉村教授は「前作は難しい原著の中身を大きく変えて若い女性に評判になった。今回も楽しみながらエジプト史に引き込まれる。ヨーロッパ人の解釈で作り上げられた今までのエジプト史とは違うものを書いた」と語った。初版は1万2千部。

人事

◇主婦の友社
取締役(出版部・製作部担当)斉藤民樹
同(販売部担当)依田俊之
販売部部長兼書籍ムック課課長藤井孝行
◇日本実業出版社
取締役営業部長兼広告部長吉渓慎太郎

マグネット戦略を展開/雑誌、ネットの連携で/日経BP

日経BP社は1月20日午後3時半から千代田区永田町の本社で記者会見を行い、昨年度の業績と新年度創刊媒体などについて報告を行った。
記者会見で河村社長は、「昨年は悪戦苦闘し、減収減益の決算だったが、今年は雑誌媒体、インターネット、イベントを有機的に連携させたマグネット(MAG―NET)戦略でイノベーションをキーワードに専門技術情報を生かした展開をしていく。次代の旗艦媒体も育てていきたい。若いPCユーザーに向けたパソコン誌は読者ニーズに合わせてリフレッシュする」と説明した。
雑誌創刊は『日経キャラクターズ』(3月25日創刊、880円)、『賢者のリフォーム』(4月15日発売、日経ヘルス臨時増刊、880円)など7月までに4誌を予定。『日経ベストPC』は4月号から『日経ベストPC+デジタル』に改題、新装刊する。
2003年の売上高は549億円(前年比93%)、税引前利益11億6千万円(同75%)で減収減益。内訳は広告256億円(93%)、販売248億円(93%)、その他45億円(94%)。売上げシェアは直販(30誌)72%、市販(11誌)17%、書籍5%など。

創立50周年で報奨1部50円/日本ヴォーグ社

日本ヴォーグ社は創立50周年を記念して4月1日から12月31日まで実施する「創立50周年販売企画」の参加書店を募集している。期間中、参加書店は同社がリストアップした編物、ハンドクラフト関連の基本書籍・ムック100点を販売すると、定価にかかわりなく1部50円の報奨金が支払われる。
指定図書の選択は自由だが、20点20冊の手軽なセットも用意。手芸入門者向けAセット(本体価格計1万7026円)、編物中心のBセット(同2万2719円)、編物以外の手芸のCセット(2万5098円)で、20冊以上の注文は2カ月延勘、40冊以上は3カ月延勘となる。
スリップは通常スリップと見分けがつくように50周年記念用の特別仕様で、POSデータによる集計も可。参加店の第1次申込み締め切りは2月27日、搬入は4月初旬。最終締め切りは4月末日。

所沢に文庫センター開設/雑誌、コミックに続き無伝化/出版共同流通

日販、大阪屋、栗田、日教販、太洋社の取次5社と講談社、小学館の共同出資でつくる出版共同流通㈱は埼玉県所沢市に所沢文庫センターを開設、1月21日に出版社など250名を招いて文庫FAシステム稼動式を行った。
同社では昨年4月から蓮田センターで雑誌無伝票返品システムを稼動させ、11月からコミックも開始。今回、所沢で文庫の無伝票返品システムをスタートさせたもの。書店から到着した返品は出版社別、定価別に仕分けされ、折り畳み式コンテナで返品される。
無伝票返品が文庫に拡大されることで、書店店頭での返品作業が軽減されるほか、返品処理スピードも短縮。雑誌、コミックに続いて文庫も単店・単品別に返品データが収集され、業界SCM体制の基盤が整備される。
稼動式であいさつした出版共同流通菅社長は「準備を進めてきた文庫の無伝返品を本格稼動させる。1年間で雑誌、コミック、文庫と3つのシステムを計画通り稼動させることができた。今後、所沢を増築し、書籍返品の拠点とする。今までとらえられなかった書籍返品の単店別、単品別データを取ることで効率販売と業界の省力化が進む。業界SCMの完成に向けて取り組んでいきたい」と述べ、取次5社の代表らとともにテープカットを行った。

本屋のうちそと

先日、久しぶりに里帰りした同級生が店に寄っていってくれた。学校勤めで東京近郊に住んでいるのだが、友人「実はさーこの前、住んでいる家の近くにあった本屋と、毎日電車の乗り降りに使っている駅の傍にあった本屋が相次いで閉店しちってね」どうやら自宅から車で10分程のところに出来た大型書店の影響で閉店したらしい。
友人「子供たちも(娘が二人いる)学校の帰りに歩いて寄れる本屋が無くなって困っているし、僕も仕事帰りにちょっとバス待ちで寄って覗く本屋が無くなってね」「娘二人(まだ小学生と中学生)だけでそんな遠くの本屋まで平日行かせられないし、休みの日にわざわざ車で毎週その大きな本屋まで連れて行くのもめんどうだし」
僕「で、どうしてるの?」友人「ウン、結局家族で休みの日に車でそのおっきな本屋へ行くんだけど、でも月に一、二回かな。あと、自分の本でどうしても欲しい本はパソコンのネットでね、近くのセブンイレブンで受け取るようにしている。慣れるとマア便利と言えば便利だし」
便利になればなった分、僕らはその代わりの何かを失ってゆく。それは街の中の、何かの匂いだったり、人と人とのなんてことの無い話し声だったりする。便利になった代わりに失ったものを、少し前なら思い出せたりもしたのだと思うのだが、「便利」のスピードが加速度的に速くなりすぎ、新しい便利さによって一体何を失ったのかさえ、考えるヒマさえ無く今日も生きて行く。(海人)