全国書店新聞
             

令和5年8月1日号

「読者還元祭」で店頭活性化/加賀谷書店、谷島屋の取り組み

「書店くじ」に替わる店頭活性化・販売促進事業「読者還元祭」が始まって今年で3年目。しおりとポスターに印刷されたQRコードを読み取るだけでくじを引くことができる手軽さも受けて、着実に認知度を上げている。読者還元祭を自店の売上・来店客数アップにつなげている事例として加賀谷書店(秋田)と谷島屋(静岡)の取り組みを紹介する。
【「当選確率の高さ」アピール/加賀谷書店代表取締役社長・加賀谷龍二】
読者還元祭の実施要項が発表されると、当社では課長会で「昨年に引き続き実施する」旨を報告する。到着したしおりとポスターは、本社朝礼時に外商員、各店舗に配布する。「昨年も当社では30人が当たっています」「応募すれば当たる確率が高いです」といったセールストークを従業員間で共有し、できるだけ多くのお客様に声掛けするよう伝えている。
キャンペーン期間中、店頭ではレジの後ろにポスターを掲示し、お客様に声掛けをしている。昨年は同時期に秋田県書店商業組合の秋田市支部で「本が好き本屋さんが好き図書カードが当たる」キャンペーンを実施していたため相乗効果が生まれ、お客様の反応はとても良かった。
年配のお客様の中にはスマホを持っていない方もいらっしゃるので、「ご家族で応募してください」と声掛けするなど対応を工夫するようにしている。
当選者からは喜びの声を多数いただいている。1校で2人の先生が当たった学校では、職員室で話題になったそうだ。他のキャンペーンを勧めたお客様は、以前、読者還元祭で当選したことがあるそうで、「また応募します」と言っていただいた。図書カードネットギフトを使って本を買っていただいたお客様は「読者還元祭」で当選したものです」と、とてもうれしそうな様子だった。接客時に「あなたからすすめてもらって当選した」と感謝され、会話のきっかけになったこともあった。親しみやすい店と感じていただけたようだ。
今後は当選者をもっと増やしてほしい。
【しおり配布の好事例スタッフで共有/谷島屋営業本部副部長・丸林篤史】
春と秋の2回開催される読者還元祭前の店長会では、キャンペーン期間を確認し、しおりの配布もれがないように周知徹底している。本部は全店舗使用分を前回配布枚数を踏まえて一括で申し込んでいる。
しおりは店着するとすぐに開封し、レジでどのようにお客様に声掛けして渡すか、店頭オペレーションをスタッフと共有している。しおり配布開始日の朝礼では、前回行った配布方法の好事例をスタッフが披露し、誰でもスマートに渡せる雰囲気作りを意識している。ツイッターなどSNSによる情報発信も来店動機の一つとして活用している。
本を購入していただいたお客様には、本にしおりを挟み込みながらキャンペーンの説明をしている。お客様とのコミュニケーションでも使用できるので、定期購読をすすめるなどの会話のきっかけにも活用している。
「こういうくじに応募して初めて当たった」と喜び、その場で当選した図書カードネットギフトを使って本を買ったお客様がいた。いつも来店してくださる常連客とのコミュニケーションツールとして「読者還元祭」があるということを実感した瞬間だった。
「書店くじ」が行われていた頃、楽しみにしてくださるお客様がたくさんいたことを思い出す。当選番号の発表を楽しみに再来店するお客様との会話もいい思い出だ。少額当選の場合は、本を購入する際にレジで充当することができ、再来店の動機づけや本の購入につながっていると売場で実感することができた。
QRコードという新しい技術を取り入れて時代に合わせていくことも大切だが、多少アナログでも来店、再来店してもらえる動機となるようなキャンペーンを実施してほしい。

「秋の読者還元祭2023」実施要項

▽名称日書連主催「秋の読者還元祭2023」
▽期間10月27日(金)より11月23日(木)まで受付(28日間)〈「BOOKMEETSNEXT」と同期間〉
▽対象書店日書連傘下組合加盟書店及び図書カードリーダー端末設置書店、その他全国の希望する書店
▽実施方法期間中に来店したお客様、外商先などにキャンペーンサイトを案内。参加にはお客様自身による専用サイトへの応募が必要
▽販促物日本図書普及の定期案内物にキャンペーンポスターを同送
①応募用ポスター2種(A2/A3サイズ)各1部(10月下旬店着予定)
②「キャンペーンしおり」1束(500枚)3630円(税込)で頒布。書籍、雑誌を購入したお客様(税込500円を目安)に進呈。
「しおり」と「ポスター」のQRコードは同じ応募サイトへ誘導
▽申込方法「しおり」は自主申込制。注文書に申込セット数と実施書店名を記入の上、所属の都道府県組合宛にFAXで申し込む。申込締切は8月15日(火)
▽納品と請求方法取引取次経由で10月中旬に納品。代金は取引取次より請求
▽賞品総額300万円
 ・図書カードネットギフト1万円  100本
 ・同3千円            200本
 ・同1千円           1400本
当選者には日本図書普及より直接、図書カードネットギフトメールを12月下旬頃送信の予定
▽報奨金「しおり」を有料購入して応募者を150件以上集めた組合加盟書店に報奨金2860円(税込)を支給(支給する報奨金は購入数に関わらず2860円(税込)とする)
▽その他販促活動への助成として、組合加盟書店に「しおり」20枚を無料進呈。キャンペーン開始までに全店に直送

紙+電子3・7%減の8024億円/23年上半期の出版市場

出版科学研究所は7月25日、今年上半期の紙と電子を合算した出版市場規模(推定販売金額)が前年同期比3・7%減の8024億円だったと発表した。
紙の出版物は同8・0%減の5482億円。内訳は、書籍が同6・9%減の3284億円、雑誌が同9・7%減の2197億円だった。
電子出版は同7・1%増の2542億円。

「BOOKEXPO」11月7日開催

BOOKEXPO実行委員会(大垣全央実行委員長)は11月7日午前11時~午後6時、大阪市北区のグランフロント大阪地下2階「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」で、「BOOKEXPO2023秋の陣~さあ、ここからだ!書店人~」を開催する。日書連など後援(予定)。今年は10月27日から始まる読書推進月間「BOOKMEETSNEXT2023」と連携した出版業界関連イベントとして実施する。
会場には一般、児童書、コミック、第3商材の計250ブースが出展する。目標は来場書店1000人、商談成立金額1億円。
昨年は感染防止対策を徹底して3年ぶりに開催し、出展者204社、来場書店584人、総勢1193人が集まった。
開催要項は出版文化産業振興財団(JPIC)ホームページに掲載している。

公共・学校図書館改革を決議/活字文化議連と学校図書館議連が合同総会/職員の待遇改善など訴える

活字文化議員連盟、学校図書館議員連盟は6月15日、東京・千代田区の参議院議員会館で合同総会を開催。文字・活字文化推進機構がまとめた「公共図書館の改革に関する要望書」「学校図書館の改革に関する要望書」を審議し、それぞれ各議連の議員方針として決議した。
文字・活字文化推進機構は公共図書館、学校図書館の改革を促進するため、この1年、図書館友の会全国連絡会、図書館と地域をむすぶ協議会、学校図書館整備推進会議などと論議を進めてきた。その成果を要望書にまとめ、活字文化議員連盟、学校図書館議員連盟に宛てて、同機構または学校図書館整備推進会議等の名義で提出した。両議連はこの要望内容を審議するため、合同総会を招集した。
両要望書は、長い間「官製ワーキングプア」といわれるほどの劣悪な雇用状況に放置されてきた図書館司書・学校司書の抜本的な処遇改革を促進することなどを求めている。また、公共図書館改革に関する要望書では、地域書店からの図書購入を優先することが記載されている。
合同総会で、活字文化議員連盟の上川陽子会長(自民党、衆議院議員)は「公共図書館はデジタル社会の進展の中で大きな転換点を迎えている。デジタルの社会的有用性は誰もが認め健全な発展が期待されているが、同時に活字文化は人間の情緒や創造力、思考力を培う上で欠かせない」と強調。差し迫った課題は図書館の業務・運営にあたる職員の社会的地位を引き上げることと指摘し、「正規・非正規に関わらず現場では同一の業務に携わっているので、政府が進める同一労働・同一賃金のあり方が問われている。議連としても、図書館職員が誇りを持ち、安心して仕事ができる環境整備にしっかりと心を寄せて活動していきたい」と話した。
学校図書館議員連盟の塩谷立会長(自民党、衆議院議員)は「今年は学校図書館法が出来て70周年。30年にわたる学校図書館図書整備等5か年計画で予算をしっかりと確保し、昨年からの5か年で2400億円を確保しているので、各都道府県で使ってもらいたい」と述べ、議連として学校司書の配置や待遇改善を進めると説明した。
また、「書籍を含む文字・活字文化の振興」が骨太の方針に盛り込まれたことを報告。「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)の会長も務める塩谷会長は、「書店が学校図書館と連携しながら文字・活字文化の拠点となることが必要。一番大事なのは、子どもたちが未来に向かって何かを得られるような学校図書館、書店にすること。そこに行けば新しいものを見つけたいという気持ちになる、ワクワクする場であり続けてほしい。新しい時代で障害も出てくるが、一つ一つ解決しながら努力したい」と語った。
学校図書館議員連盟の前会長で、現在は顧問の河村建夫氏は、デジタル技術と文字・活字のベストミックスに向けて学校図書館の役割はますます大きくなっていくと指摘。「学校図書館法70年の節目を契機に、学校図書館を真ん中に置いて、子どもたちのたまり場になるような場所を作ってほしい」と求めた。
文字・活字文化推進機構の山口寿一理事長(読売新聞グループ本社社長)は「両要望書のポイントは共通し、主に3つある」として、第1の「職員の処遇改善」について「図書館司書も学校司書も非正規雇用が多く、官製ワーキングプアと呼ばれるほど厳しい労働環境に置かれている。司書に就く人がいなくなってしまう事態は避けなければならない」と危機感を表明。
第2の「読書バリアフリーへの対応」については、「誰も取り残さない読書環境を整える必要がある」と述べた。
第3の「社会の急激な変化への対応」では、「デジタル化に伴って各地の書店が姿を消している。公共図書館には地域の書店から図書を優先的に購入するなど、公共図書館と書店が共存していく配慮が求められている」と強調した。また、「学校図書館は、チャットGPTなどの利用が瞬く間に広がる中で、子どもの健全なリテラシーを育てるためのいっそうの充実・強化が求められる」と述べた。
最後に山口理事長は「公共図書館も学校図書館も効率的な運用と質の向上の両方をバランスよく満たしていく視点が、教育と文化を高めていく上で重要。本日の審議を踏まえ、公共図書館と学校図書館の実態把握に取り組み、改革が着実に進むようモニタリングなどの作業に努める」と話した。
〈公共図書館改革に関する決議〉
活字文化議員連盟は、公共図書館のあり方を検討するため、2019年2月、公共図書館プロジェクトを設立して、関係団体からヒアリングを実施し、その結果は、プロジェクト答申としてまとめられた。コロナ禍のあと、プロジェクト事務局は、答申内容の具現化について協議し、このほど「公共図書館改革に関する要望書」として活字文化議員連盟に提出された。
われわれは、この要望内容を次の5項目に整理し、議連方針として決議し、政官民の協力のもとで、その実現に取り組むこととする。

(制度の検証と将来像の検討)
(1)公共図書館における市民サービスの向上に資するため、会計年度任用職員制度、指定管理者制度の運用の効果と課題を検証するとともに、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の見直しなど、公共図書館の将来を考える「公共図書館のあり方に関する協力者会議」を設置すること。
(図書館職員の待遇改善)
(2)図書館職員の非正規雇用率を大幅に改善するなど、雇用の安定にとりくみ、同一労働・同一賃金の実現に努め、国・自治体の責務で司書研修等への参加を促すこと。
(誰も取り残さない読書環境を整える)
(3)司書養成課程で読書バリアフリーに関する講義の機会を増やし、障害者サービスのエキスパートを育て、その知識と技術のノウハウを蓄積し、継承すること。
(4)全国の公共図書館に読書バリアフリー法が求めるアクセシブルな書籍の紹介コーナーを設置し、子どもたちが日常的に、多様な読書媒体と出合える機会を整えること。
(公共図書館の図書購入は地域の書店から)
(5)公共図書館は、地域書店からの図書購入を優先し、装備作業は地域の福祉施設と連携して障害者の雇用拡大など循環型地域経済の施策を進めること。
〈学校図書館改革に関する決議〉
学校図書館議員連盟は、2014年の設立以来、学校図書館法改正による学校司書の法制化の実現をはじめ、学校図書館図書整備等5か年計画の継承・発展に努めてきました。しかし、いまなお道半ばにあり、わけても学校図書館運営の中心的な役割を担う学校司書の処遇改善は緊急な課題となっています。6月9日には、民間諸団体の連名で、当議連に対し、「学校図書館改革に関する要望書」が提出されました。私たちは、下記の6項目にわたる要望内容の実現に向けて、関係省庁と自治体に働きかけるとともに、国会で審議するなど、必要な手立てを講じて、その実現に努めることを、ここに決議します。

(1)1校専任の学校司書配置に必要な財政措置を実施するとともに、学校司書は教職員の一員であるという共通理解を深め、職員会議や研修への参加をうながすこと。
(2)各自治体は、学校図書館図書整備等5か年計画に基づく地方財政措置(図書資料購入費、新聞購入費、学校司書配置費、図書資料更新費)の予算化を促進し、学校図書館の質的向上を図ること。また、各地方議会においては、図書整備費等に関する予算化の状況を的確に把握し、積極的にその活用を促すこと。
(3)非正規の学校司書は、短期雇用の契約、低い賃金、雇い止めなど不安定な勤務状態のもとにあり、その労働条件の抜本的改革に資するため、現状調査を実施すること。
(4)対話型AI「チャットGPT」の急速な普及など、情報環境の激変に対応して、子どもの情報リテラシーを育てるため、新たな図書資料の拡充を促進すること。
(5)全国の小・中・高校の図書館に、バリアフリー図書の展示コーナーを設置するほか、特別支援学校の図書資料の整備・充実を促進すること。
(6)特別支援学校の図書資料の不足は、障害者サービスに対する知識やノウハウの未熟にあり、読書バリアフリーに必要な知識と技術を習得した学校司書の養成を図ること。

「春夏秋冬本屋です」/「違う言い方出来ないの」/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

臍の位置が人様の正しい場所とは違うと見え、流行りものを我先に追い求めたりしたことがなかった。それでも、お国から年金を頂戴する齢になり、会のまとめ役なども仰せつかり、だいぶ正位置に近くなったと自分では良く解釈している。
ただ今時、テレビなどのマスコミや日常の会話の中でも極めて頻繁に使用されている言葉で「めちゃ」という語は、馴染めず使用に相当抵抗がある。テレビ番組のタイトルに使われてから、頻度がかなり増したように思えるが、最近の会話に矢鱈と使われる。流行に無頓着なひねくれ者が思いつく同義語は、「激しく」「酷く」「猛烈に」「途轍もなく」「法外に」等々、凄いを表す日本語は随分沢山あるようだ。「めちゃ」をよく聞いていると激しい意味合いで使っていないこともある。
口癖は誰にもある。学生時代「就中(なかんずく)」を講義に多用する教授がいた。また、「何言うの」を年中使う同級生がいて、仲間とよく茶化して2人の真似をした。今の風潮は言葉も没個性化だらけで、誰でも画一的な話振りだ。
御常連のお客さんからの電話が声質だけでなく、話しぶりでその人を特定できることがある。背・顔・姿形が違うように、話し方でも見極められる。もっと本との触れ合いを増やし、語彙力の貧困をなくしたい。これもおやじの戯言かな。

日書連のうごき

6月2日 JPIC理事会に矢幡会長他が出席。
6月6日 日本出版学会55周年記念委員会に矢幡会長が出席。
6月9日 出版クラブ理事会に矢幡会長が出席。文字・活字文化推進機構理事会に矢幡会長が出席。
6月12日 活字文化推進会議に矢幡会長が出席。
6月13日 全国万引犯罪防止機構総会に矢幡会長が出席。
6月15日 JPO運営委員会に事務局が出席(Web)。活字文化議連・学校図書館議連合同総会に矢幡会長、春井副会長が出席。図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。
6月16日 読書推進運動協議会総会・理事会に矢幡会長が出席。
6月19日 公取協連合会総会に事務局が出席。本の日実行委員会委員長会議に春井副会長が出席(Web)。
6月21日 流通改善、取引改善、図書館各委員会でPubteX見学。各常設委員会開催。
6月22日 定例理事会。通常総会、臨時理事会。小売公取協臨時総会、臨時理事会。
6月27日 定期会計監査。
6月28日 出版ゾーニング委員会に事務局が出席。日本図書普及株主総会に矢幡会長他が出席。JPO総会に事務局が出席。JPO20周年式典に矢幡会長、藤原、柴﨑両副会長が出席。
6月29日 学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。
6月30日 全国中小企業団体中央会理事会、通常総会に矢幡会長が出席。

柳澤輝久理事長を再選/組合活動で希望の持てる業界に/長野総会

長野県商店商業組合は6月17日、茅野市の横谷温泉旅館で第39期通常総会を開き、組合員45名(委任状含む)が出席した。任期満了に伴う役員改選では、理事長に柳澤輝久氏(西澤書店)を再選、副理事長には西沢佳夫(グリーンブックス・タカギ)、前澤芳美(前澤書店)、奈良井功(興文堂)、唐澤宏彰(ニシザワ)各氏の選任を承認した。理事長の柳澤氏は3期目となる。
冒頭のあいさつで柳澤理事長は、諸物価や人件費の高騰など経営環境の悪化を受けての売上減や、紙媒体からデジタルへの移行による来店客数の減少を憂慮。少子化による学校の統廃合が進み、外商も売上げ維持が厳しいと危機感をあらわにした。一方、書店議連に県内選出の自民党国会議員4名が参加したことに言及して、組合員の協力に感謝を表し、今後の議連の活動に大きな期待を寄せた。
また、県組合を窓口とした県立図書館の電子書籍納入により100万円超の手数料が得られ、それを原資に全組合員に還元できたこと、書店活性化委員会による子どもたちに本を贈る「ブックサンタ」活動参加への呼びかけ、拡販委員会の無料WEBサイト「信州の本屋さん」の活用促進など、組合と委員会の活発な活動に触れ、「我々書店組合の活動は、社会に貢献することが必ずできる。廃業による組合員の減少も続いているが、全組合員で知恵を出し合い、組合活動を更に盛り上げ、夢と希望の持てる業界にしていきたい」と力強く訴えた。
総会は、前澤芳美総務委員長の司会で進行、矢崎正典副理事長(矢崎書店)を議長に議案審議を行い、第39期事業報告、収支決算報告、第40期活動計画案、予算案など全ての議案を原案通り承認可決した。
総会後の懇親会には多くの組合員が参加。塩原義夫氏(塩原書店)の、長い経験と豊富な業界知識を元にした心に残る乾杯の発声に始まり、日ごろの労苦をねぎらいつつ組合員の結束を図る有意義な場となった。(笠原新太郎広報委員)

新会長に越石功氏/「熱い情熱で活動進める」/東京組合青年部総会

東京都書店商業組合青年部(田島英治会長)は6月8日、東京・中央区の中小企業会館で第33回通常総会を開催、会員28名(委任状含む)が出席した。
総会では、令和4年度活動報告、収支決算報告、令和5年度活動計画、収支予算の全ての議案を原案通り承認可決。新年度は、①書店の利益向上対策②書店アプリの活用③組織力の強化――の3点を活動方針として取り組むことを決めた。任期満了に伴う役員改選では新会長に越石功氏(甲文堂書店)を選出。副会長は黒田英揮氏(黒田書店)を再任、萬納嶺氏(山陽堂書店)を新任した。
総会終了後、会場を移して懇親会を開催。あいさつした越石新会長は、今話題の対話型AI(人工知能)「チャットGPT」に「書店を続けるべきかどうか」と尋ねたところ「それは自己判断だが一番大事なことは情熱とビジョンだ」との回答があったと紹介して、「AIが精神論を掲げてくるとは思わなかったが、何事も情熱がなければ続かない。我々青年部は皆熱い情熱を持っている。ぜひお力添えを」と呼びかけた。
相談役の東京組合・矢幡秀治理事長は、「青年部はいつも新しいことに取り組み、親会の東京組合に上げてくれている。さらに、青年部で活躍した人が親会を支えてくれる素晴らしい構図になっている。出版社の方々には親会、青年部の両方にご協力をお願いする」とあいさつした。

書店議連の政策具体化を働きかけ/RFIDの活用に期待/北海道総会で志賀理事長

北海道書店商業組合は、6月19日、札幌市中央区の北海道建設会館で第47回通常総会を開催し、組合員41名(委任状を含む)が出席した。
総会は寺下徹副理事長(図書館ネットワークサービス)の司会で進行し、志賀健一理事長(ジュンク堂書店旭川店)があいさつ。日書連所属員数や北海道組合加盟店数の減少に危機感を示し、「日書連としても矢幡会長を先頭に書店再生を模索し活動している」として、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)の動きに言及。「先日閣議決定された『骨太の方針』の中でも、書店業への支援が明記されており、様々な働きかけを強くお願いしていく」と述べた。また、小学館・集英社・講談社と丸紅が設立したPubtexのRFID事業について、「RFIDが装着されれば、棚卸も在庫管理も返品も箱ごと読むことができる。書店の仕事が一変してしまうような時期が数年後に来ると考えている」と期待を示した。
続いて志賀理事長を議長に議案審議し、令和4年度事業報告、収支決算報告及び令和5年度事業計画案、収支予算案など第1号議案から7号議案まですべての議案を原案通り承認可決した。
(事務局・髙橋牧子)

心にのこる子どもの本秋・冬セール/日書連増売運動

2023年「心にのこる子どもの本秋・冬セール」は、「絵本この1冊」(41点41冊)、「読み物この1冊」(38点38冊)、「教科書に出てくる本」(56点56冊)、「子どもの本・棚ベスト」(121点121冊)の4セットをご用意しました。送本条件は7ヵ月長期委託。お店の児童書コーナーの充実に是非ご活用ください。インターネットでもご注文いただけます。日書連ホームページのバナーからお入りください。
※改定により、セット価格が変更となる場合がございます。ご了承のうえ、お申し込みください。
【絵本この1冊セット】
▽にだんべっど(あかね書房)▽戦争をやめた人たち…1914年のクリスマス休戦…(あすなろ書房)▽いろいろのりもののりたいな(アリス館)▽あぶないときはいやです、だめです、いきません子どもの身をまもるための本(岩崎書店)▽キツネ命はめぐる(化学同人)▽たんぽぽのちいさいたねこちゃん(Gakken)▽れいぞうこのそこのそこりんごのまほう(教育画劇)▽ほんとだもん!(金の星社)▽見て聞いてまねして楽しむ歌舞伎絵本茶壺(くもん出版)▽た(佼成出版社)▽タコとだいこん(講談社)▽いつまでいっしょ?(国土社)▽恐竜トリケラトプスとウミトカゲデイノケイルスをたすけるまき(小峰書店)▽アフガニスタンのひみつの学校ほんとうにあったおはなし(さ・え・ら書房)▽いつかあなたをわすれても(集英社)▽だれのほね?②ぼくたちきょうりゅう(出版ワークス)▽大ピンチずかん(小学館)▽給食室のいちにち(少年写真新聞社)▽ぼくんちのおべんとう(新日本出版社)▽マイロのスケッチブック(鈴木出版)▽スカイブック空にひろがるいろいろなふしぎ体験えほん(誠文堂新光社)▽きょうりゅうとおおむかしのいきもの(大日本絵画)▽おばあちゃんスプーン(大日本図書)▽きょうは選挙の日(汐文社)▽ハムおじさん(徳間書店)▽なきむしせいとく沖縄戦にまきこまれた少年の物語(童心社)▽おいしいみず(農山漁村文化協会)▽にらめっこだいこん(ひかりのくに)▽けしごむぽんいぬがわん(ひさかたチャイルド)▽地政学でわかるわたしたちの世界12の地図が語る国際情勢(評論社)▽にんにんにんじゃ(BL出版)▽パンしろくま(PHP研究所)▽あんぱんまん(フレーベル館)▽つきをなくしたクマくん(文溪堂)▽おいらはちびのとうちゃんだい!(文研出版)▽たぬき(平凡社)▽おいしゃさんがこどもだったとき(保育社)▽なみのいちにち(ほるぷ出版)▽とうもろこしぬぐぞう(ポプラ社)▽クロべぇ(光村教育図書)▽おてがみであいましょう(理論社)
【読み物この1冊セット】
▽ティゲルファルその夜、森で何が起こったか(あかね書房)▽妖怪コンビニ店長はイケメンねこ!(あすなろ書房)▽忘れもの遊園地(アリス館)▽ひみつの犬(岩崎書店)▽元素のふるさと図鑑(化学同人)▽大人も気づいていない48の大切なことキミの心をラクにするかんたんなヒント(Gakken)▽生まれかわりのポオ(金の星社)▽牧野富太郎植物の神様といわれた男(くもん出版)▽命を救う心を救う途上国医療に人生をかける小児科医「ジャパンハート」吉岡秀人(佼成出版社)▽たぶんみんなは知らないこと(講談社)▽おかあちゃんにきんメダル!(国土社)▽ひろしまの満月(小峰書店)▽母の国、父の国(さ・え・ら書房)▽ふたごの恋の事情そっくり姉妹が似てない兄弟に恋してる!?(集英社)▽はじめまして、茶道部!(出版ワークス)▽ロドリゴ・ラウバインと従者クニルプス(小学館)▽もしもトイレがなかったら(少年写真新聞社)▽救助犬の弟子(新日本出版社)▽海を見た日(鈴木出版)▽10歳から使ってほしいみんなのお金とサービス大事典格差社会の不安にそなえるお守りBOOK(誠文堂新光社)▽あくたれラルフコンテストにでる(大日本図書)▽あしたへの翼(汐文社)▽バンダビーカー一家は5人きょうだい引っ越しなんてしたくない!(徳間書店)▽ちいさな宇宙の扉のまえで続・糸子の体重計(童心社)▽うんこでつながる世界とわたしうんこがにぎる未来社会(農山漁村文化協会)▽きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……(ひさかたチャイルド)▽プーさんの戦争世界一有名なクマのお話(評論社)▽奉還町ラプソディ(BL出版)▽魔女だったかもしれないわたし(PHP研究所)▽リメイク!(フレーベル館)▽アーマのうそ(文溪堂)▽水辺のワンダー~世界を旅して未来を考えた~(文研出版)▽夜ふけに読みたいはじまりのイソップ物語(平凡社)▽にじ姫さまのいるところ(保育社)▽かわいい子ランキング(ほるぷ出版)▽トムと3時の小人(ポプラ社)▽びんからだしてごらん(光村教育図書)▽少年時代~飛行機雲はるか~(理論社)
【教科書に出てくる本セット】
▽吉四六さん(あかね書房)▽とのさま1ねんせい/数え方のえほん(あすなろ書房)▽きらきら(アリス館)▽ことわざ絵本/花さき山/宇宙への秘密の鍵/きたかぜとたいよう(岩崎書店)▽たんたのたんけん改訂版/どんぐりむらのほんやさん/学研の図鑑LIVE動物/にたものずかんどっちがどっち!?新装版(Gakken)▽十二支のはじまり(教育画劇)▽しらゆきひめ/武器より一冊の本をください少女マララ・ユスフザイの祈り(金の星社)▽100円たんけん(くもん出版)▽いなばの白ウサギ(佼成出版社)▽窓ぎわのトットちゃん(講談社)▽ちびドラゴンのおくりもの(国土社)▽ビワの実(小峰書店)▽ジュニア版ファーブル昆虫記1ふしぎなスカラベ/学習まんが世界の伝記NEXTナイチンゲール(集英社)▽かぶきわらし(出版ワークス)▽大人も読みたいこども歳時記/学習まんが人物館藤子・F・不二雄(小学館)▽ロゼットのたんけん(少年写真新聞社)▽みんなわくわく水族館海の動物いっぱい編(新日本出版社)▽にゃーご(鈴木出版)▽でんでんむしのかなしみ/きえた犬のえ/ハリーとうたうおとなりさん(大日本図書)▽夢はどうしてかなわないの(汐文社)▽かようびのよる(徳間書店)▽へいわってどんなこと?/かあちゃん取扱説明書/おおきくなるっていうことは(童心社)▽塩の絵本(農山漁村文化協会)▽わんぱくだんのひみつきち(ひさかたチャイルド)▽わすれられないおくりもの/火曜日のごちそうはヒキガエル(評論社)▽ヘンゼルとグレーテルのおはなし(BL出版)▽何のために生まれてきたの?(PHP研究所)▽たいせつなこと/はがぬけたらどうするの?/勇気の花がひらくときやなせたかしとアンパンマンの物語(フレーベル館)▽ココロ屋(文研出版)▽牧野富太郎(平凡社)▽クレヨンからおねがい!(ほるぷ出版)▽くまの子ウーフ/新装版車のいろは空のいろ白いぼうし/おにたのぼうし/スパゲッティがたべたいよう(ポプラ社)▽とらとほしがき(光村教育図書)▽すき/ぞうのたまごのたまごやき/ふしぎな木の実の料理法(理論社)
【子どもの本・棚ベストセット】
▽おばけのはなし①/きいろいばけつ/ふらいぱんじいさん/一休さん(あかね書房)▽はみがきれっしゃしゅっぱつしんこう!/みえるとかみえないとか(アリス館)▽いつつごうさぎのきっさてん/だいすきぎゅっぎゅっ/はじめてのおるすばん/モチモチの木/ほねほねザウルス26さがせ!まのうみの大かいりゅう/ほねほねザウルス27かみの山のソード&ドラゴン/ルルとララのアニバーサリー・サンド/ルルとララのおまじないクッキー/ルルとララのティラミス(岩崎書店)▽くだものさん/やさいさん/しましまぐるぐる/ぐるぐるうごくしましまぐるぐる/日本の昔ばなし20話/10分で読めるお話1年生増補改訂版/10分で読めるお話2年生増補改訂版/5分後に意外な結末exアクアマリンからあふれる涙/5分後に意外な結末exエメラルドに輝く風景/5分後に意外な結末ex白銀の世界に消えゆく記憶(Gakken)▽いちばんしあわせなおくりもの/おばけのやだもん/ちいさなちいさなうみのおさんぽ/ちいさなちいさなこねこをさがして/ちいさなちいさなほしのあかり(教育画劇)▽あいうえおのえほん/おとのでる♪てあそびうたえほん/せんろはつづく/ねこのジョン改訂版/まいにちがプレゼント/まほうのじどうはんばいき/かえってきたまほうのじどうはんばいき/まほうのゆうびんポスト/昔話法廷/昔話法廷Season2(金の星社)▽きらきら/しゃかしゃか(くもん出版)▽100万回生きたねこ/2歳のえほん百科改訂版/ホタルのアダムとほしぞらパーティー/えんそくのおばけずかんおいてけバスカイド/ちいさいモモちゃん/びょういんのおばけずかんおばけきゅうきゅうしゃ/都会のトム&ソーヤ15エアポケット/都会のトム&ソーヤ16スパイシティ(講談社)▽あしたあさってしあさって/きつねのしっぽ/ふたりはとっても本がすき!(小峰書店)▽おしりダンディザ・ヤングおたからはおれにまかせろ!/おしりダンディザ・ヤングくものおうこく/ちびまる子ちゃんのことわざ教室/ちびまる子ちゃんの時間の使いかた/ちびまる子ちゃんの話しかたと発表(集英社)▽898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑上/898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑下/すみっコぐらしひみつじてん/パウ・パトロールだいじてん/ドラえもんのことわざ辞典/宇宙の不思議ドラえもん科学ワールド/日本語のひみつドラえもん探究ワールド/日本の歴史1社会科おもしろ攻略/日本の歴史2社会科おもしろ攻略(小学館)▽算数好きな子に育つたのしいお話365/本当の「頭のよさ」ってなんだろう?/理科好きな子に育つふしぎのお話365(誠文堂新光社)▽よこながきしゃぽっぽ(大日本絵画)▽14ひきのあさごはん/14ひきのひっこし/おしいれのぼうけん/くれよんのくろくん/くろくんとちいさいしろくん/先生、しゅくだいわすれました(童心社)▽辞書びきえほん世界地図改訂新版/辞書びきえほん日本地図改訂新版(ひかりのくに)▽おべんとうバス/おべんとうバスのかくれんぼ/どうぞのいす(ひさかたチャイルド)▽ずーっとずっとだいすきだよ/どんなにきみがすきだかあててごらん/チョコレート工場の秘密/小さなバイキングビッケ/魔女がいっぱい(評論社)▽10かいだてのおひめさまのおしろ/10かいだてのまほうつかいのおしろ/おしっこちょっぴりもれたろう/なつみはなんにでもなれる/わたしのわごむはわたさない(PHP研究所)▽NEWウォーリーハリウッドへいく/NEWウォーリーのふしぎなたび/アンパンマンとげんきにあいさつ/アンパンマンをさがせ!ミニ①/ぼく、アンパンマン!(フレーベル館)▽バムとケロのおかいもの/バムとケロのさむいあさ/バムとケロのそらのたび/バムとケロのにちようび(文溪堂)▽ころりん・ぱ!/ころりん・ぽい!/ころりん123/ぴったん・こ!/へんしん!おばけちゃん/ワンダー/もうひとつのワンダー(ほるぷ出版)▽おばけのてんぷら/きかんしゃトーマスキャラクターコレクションともだちだいしゅうごう/どうぶついろいろかくれんぼ/ねずみくんのチョッキ/のりものいろいろかくれんぼ/おしりたんていやみよにきえるきょじん/おしりたんていラッキーキャットはだれのてに?/かいけつゾロリきょうふのダンジョン/かいけつゾロリにんじゃおばけあらわる!/かいけつゾロリきょうりゅうママをすくえ!(ポプラ社)▽チョコレート戦争/本屋さんのルビねこ/本屋さんのルビねこ②ルビとしっぽの秘密(理論社)

ABC雑誌発行社レポート2022年下半期雑誌販売部数

日本ABC協会は2022年下半期(7~12月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは31社103誌。販売部数は週刊誌(23誌)が198万4737部、月刊誌(80誌)が492万9116部の合計691万3853部。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は、週刊誌93・14%、月刊誌85・82%、合計87・46%となった。
報告誌の状況は、朝日新聞出版『週刊朝日』、オレンジページ『オレンジページ』、KADOKAWA『ザテレビジョン』、講談社『with』は報告を中止。東京ニュース通信社『TVガイド』は『週刊TVガイド』に誌名を変更。中央公論新社『婦人公論』の雑誌ジャンル・カテゴリ区分が「女性ミドルエイジ誌」から「女性シニア誌」へ変更。宝島社『&ROSY』『MonoMaster』は月刊から隔月刊に変更した。
一般週刊誌のトップは『週刊文春』の22万8728部で前年同期比9・4%減となった。2位の『週刊現代』は同19・7%減の14万5172部、3位の『週刊新潮』は同9・7%減の13万5407部、4位の『週刊ポスト』は同12・2%減の12万3742部と、それぞれ部数を落とした。
ビジネス・マネー誌は、『週刊ダイヤモンド』が同5・4%増の8万5701部と伸長。『週刊東洋経済』は同9・3%減の4万2130部。『日経ビジネス』はほぼ横ばいの14万8928部、『プレジデント』は同2・4%増の11万1部だった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が同5・8%減の15万1743部、『女性自身』が同4・9%減の14万3074部、『週刊女性』が同12・2%減の6万6419部と減少傾向が続く。
女性月刊誌は、女性シニア誌の『ハルメク』が同34・0%増の49万4193部と50万部の大台をうかがう勢い。ビューティ・コスメ誌の『VOCE』は同48・4%増の9万6331部と大きく伸長した。女性ヤングアダルト誌の『リンネル』は同39・2%減の8万737部、『sweet』は同44・0%減の6万6394部、『otonaMUSE』は同43・8%減の5万8249部といずれも大きく落ち込んだ。

4月期販売額は12・8%減/返品大幅増加で2桁マイナス/出版科研調べ

出版科学研究所調べの4月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比12・8%減となった。内訳は、書籍が同11・6%減、雑誌が同14・2%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同15・1%減、週刊誌が同8・9%減。書籍は、村上春樹6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』(新潮社)や本屋大賞受賞の凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)など文芸のヒットがあったが、返品率が大きく上昇し、全体では2桁のマイナス。販売部数も同14・7%減と落ち込んでいる。雑誌は、前年同月にコミックス『呪術廻戦』『ONEPIECE』(いずれも集英社)、『東京卍リベンジャーズ』(講談社)など大物新刊があった反動で、大幅減となった。
書店店頭の売れ行きは、書籍が約2%減。文芸は約16%増。『汝、星のごとく』は累計40万部、『街とその不確かな壁』は累計35万部で、西加奈子『くもをさがす』(河出書房新社)も好調だった。雑誌は定期誌が約7%減、ムックがほぼ前年並み、コミックスが約16%減。ムックは『WBC2023メモリアルフォトブック』(世界文化社)が発売2週間で累計22万部突破と絶好調だった。

太宰治賞に西村亨氏『自分以外全員他人』

第39回太宰治賞(筑摩書房、三鷹市共同主催)の贈呈式が6月16日、東京・千代田区の如水会館で開かれ、『自分以外全員他人』で受賞した西村亨氏に記念品と副賞100万円が贈られた。
西村氏は鹿児島県出身、東京都在住の46歳。受賞作は、マッサージ業界でフリーランスとして働く主人公が、人とうまく関係を築くことができず、唯一心の拠り所だったサイクリングでもトラブルに見舞われ、日常が怒りに染まっていく中年男性の破滅の物語。
贈呈式で西村氏は「昔から早く死にたいと思いながら生きてきたが、最終候補に残ったという連絡をもらってから、生きるのもそんなに悪くないと考えるようになった。受賞した時は、うれしいというより、助かったという思いだった」と胸中を吐露。18歳で初めて『人間失格』を読んだ時の衝撃に触れ、「自分もいくつになっても生きるのが下手で、でもだからこそ、誰かのみっともない恥が、誰かの心の支えになることがあることを、身をもって知っている。その気持ちを忘れずにこれからも書いていきたい」と語った。
受賞作を含む最終候補に残った4作は『太宰治賞2023』(筑摩書房)に収録されている。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

藤井淑禎著『「東京文学散歩」を歩く』(ちくま新書940円)は、野田宇太郎(1909~84)が、『日本読書新聞』に連載し、50年代にロングセラーとなった『新東京文学散歩』を携帯しながら、現在の東京を歩く。著者は冒頭に今の読者には野田宇太郎も『東京文学散歩』もピンとこないかも知れないと書き始めている。
第一章は浅草から向島だが、これも著者が再編成のコース。島崎藤村の旧居跡、浅草ゆかりの山田美妙、啄木、久保田万太郎、川端康成、北斎、広重、樋口一葉碑。隅田川に沿って白髭橋、今は幸田露伴児童遊園になっている。さらに高輪、日本橋川、番町、本郷、麻布、佃島など全八章のコースが纏められている。現在は荒川線しか残っていないが、巻頭に東京都電案内図がついている。西村健著『東京路線バス文豪もののけ巡り旅』も東京をバスで歩く。
第一章は永井荷風『日和下駄』を歩く。〈上58〉のバスに乗り換え団子坂下下車。森鴎外記念館にも足を延ばす。次は鬼平の墓と家を探せ、で四谷から目白台。長谷川平蔵は実在の人物で、池波正太郎が鬼平と書いたのである。続いて『四谷怪談』のお岩さんの墓。東京は思いがけない場所に石碑や塚が立ち並ぶ。

三輪会長「紙の本の価値見直される」/読書のきっかけ作りが重要/東海日販会総会

東海日販会は6月29日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルで第67回通常総会を開き、愛知、岐阜、三重3県の会員書店、出版社、日販関係者など220名が出席した。リアル開催は4年ぶり。
総会では、令和4年度事業報告、会計報告・監査報告、令和5年度事業計画及び予算案、令和5年度役員改選について、会員に事前に議案書を送付して審議し、すべての議案を原案通り承認した。令和5年度は書店社員セミナー、拡販企画、グルメの会、図書普及・社会貢献活動などの実施を予定。役員改選では三輪明邦会長(泰文堂)はじめ全員重任となった。
あいさつした三輪会長は「コロナ禍の数年でデジタル化が進み、効率化や時短を求める声も高まって、ゆっくり本を読むという行為がますます隅に追いやられる流れになっている」と懸念を示したが、一方で読書の大切さや書店の価値が各方面で見直され始めていると指摘。その例として書店議連による提言のとりまとめや脳科学者による読書の効能に関する研究に言及し、「読書は記憶力や集中力を向上させる。幼少期に読書を習慣づけることで創造力、読解力、忍耐力に直結し、人としての基礎を作る。ヨガや瞑想よりもストレスを低下させるという報告もある。デジタル化が進めば進むほど、紙の本の価値や読書の大切さが見直されていく」と強調した。
そして、書店人が読書のきっかけ作りを積極的に行わなければならないと訴え、「まず私たちが読書の面白さや大切さを感じなければならない。データに縛られ、店頭で効率や実績を重視するあまり、読者に本を押し付けるような商売になっては意味がない。出版社や日販ともっと本について語り合い、一緒に売場を作り、出版業界全体で読書推進の士気を高める。私たち自身が楽しんで仕事し、毎日笑顔でお客様を迎え入れられるようになりたい。流れを変えるために東海日販会も様々な提案・企画をしていく」と述べ、会の活動に積極的に参加してほしいと呼びかけた。
来賓あいさつで日本出版販売の奥村景二社長は「書店店頭は来店客数が大きく落ち込み、特にライトユーザーが減っている。若年層は約30%が書店離れし、他娯楽に時間とお金を消費している」と指摘。一方、アニメやマンガ、ゲームキャラクターなど書店や本と関連が深いコンテンツは根強い人気があると分析し、「これからの日販は、読者を書店に呼び込み、生活者を読者に変えるため、あらゆるものを縦横無尽に取り次ぐ」との方針を示した。
また、書籍・雑誌の粗利改善施策や店舗運営コストを軽減するソリューションの提案に力を入れるとして、「書店が利益を上げ勝ち残っていけるよう、出版流通改革をやり遂げる」と決意を語った。
記念講演では、将棋の藤井聡太7冠の師匠で、6月に『師匠はつらいよ藤井聡太のいる日常』(文藝春秋)を上梓した杉本昌隆8段が、「師匠が語る藤井聡太という才能」をテーマに話した。また、社会貢献活動の表彰で、一般社団法人「こどもがセンター」に目録を授与した。