全国書店新聞
             

平成21年6月1日号

出版社と個別契約も/フリー入帳版元破綻に対応

長引く不況から雄鶏社、一橋出版と出版社の経営破綻が相次ぎ、通常ならフリー入帳になるはずの実用書、地図などの返品が宙に浮いて、書店が一方的に被害をこうむるケースが起きている。5月22日に開かれた日書連理事会では、「取次にフリー入帳という考えがないなら、出版社個々と契約する必要があるのではないか」と、問題の打開を図っていくことになった。
〔取引改善〕
手芸本などの雄鶏社が4月17日、資格試験本の一橋出版が5月2日に自己破産を申請と、出版社の経営破綻が相次いでいる問題で、山本理事(神奈川)は「両社ともフリー入帳として、書店は在庫を持ち、自由に返品していた。今後も出版社の破綻が続くようだと、これからは委託期間内に返品するしかない」と問題提起した。
これに対し、柴﨑委員長は「出版社が有事の場合の覚書を用意しているが、取次がテーブルにつこうとしない」と発言。面屋副会長は「返品フリー入帳という言葉がないなら実用書、文庫、地図等は自由に返品できなくなる。取次がやらないなら出版社と協議して個々に契約し、発表してはどうか。組織強化にもつながる」と提案した。
一橋出版の倒産で長期委託を返品したが、入帳しないという福島組合からの訴えには、柴﨑委員長が「出版社が倒産しても、新刊委託、長期委託、常備については全部返品を取る。返品して逆送されるようであれば問題だ」と説明した。
今年3月末の取次返品入帳の実態について、柴﨑委員長は「都内日販3店、トーハン10店の調査を行ったところ、日販は3月25日返品分まで入帳、トーハンは24日まで入帳していた」と報告した。
また、①3月1日から31日までに取次から送品された金額と、返品入帳した金額の差は約70%だった、②日販は多い店で85%入帳、トーハンで81%であり、平均すると約30%が未入帳だった、③昨年の出版販売額から類推してトーハン、日販の未入帳金額は248億円にのぼる、④大手書店の場合、返品入帳はEDIで同日処理されていることから、大手書店分を除いた未入帳金額は毎月2百億円、⑤トーハン、日販2社で毎月百億円ずつ財テクしていることになると指摘した。
一方、書店に4月1日に入荷した書籍新刊は4月末に取次から請求され、5月末支払いになるものの、取次が出版社に支払うのは6カ月後の10月。この間、資金は取次にあり、こうした矛盾も「取引用語の統一」の中で解決していきたいとした。
〔再販研究〕
早稲田大学が学生・教職員と早稲田カードを持つ卒業生にアマゾンジャパンと提携して本の割引販売を行う問題で、出版業界の早大卒業生で組織する「出版稲門会」(小峰紀雄会長)が5月21日、早稲田大学に見直しを求める申し入れを行い、大学側も検討を約束したことが報告された。
出版稲門会は小峰会長(小峰書店)、村松邦彦副会長(主婦の友社)、近藤晃治副会長(文化通信)、谷口正明副会長(正文館書店)、冨永靖弘事務局長(新星出版社)、で早稲田大学堀口副総長に面会、別掲の申し入れを渡した。大学側は「早大は卒業時に10年分の校友会費をとり、卒業生からサービスを求める声があがった」という。早稲田カードの会員は6万人、割引き対象となるのは2万人という。
岡嶋再販委員長は、その後、ソフトバンクもアマゾンジャパンと携帯電話の「ホワイト学割」を利用する学生に書籍を10%引きで販売するキャンペーンを開始したことを報告。「景品表示法の10%までのサービスだ」としていることについて、岡嶋委員長は「値引きと景品を混同しているのではないか」と指摘した。
岡嶋委員長はアマゾン・ジャパンならびに同社と取引する日販、大阪屋と意見交換したいと述べた。
また、愛知組合・佐藤理事からヤマダ電器に書籍売場があり、店に入るだけで10ポイントつき、週刊誌など700円の購入で3%、21ポイント、200円以上の購入で90ポイントと、実態を報告した。

【アマゾンとの業務提携について/出版稲門会が早大に申し入れ】
早稲田大学総長
白井克彦様
(前文略)
さて、昨年貴大学は校友会カードのサービスの一貫として、ネット書店のアマゾンとの業務提携を発表しし、書籍の割引販売を実践されたと伺っております。もとより出版物は「独占禁止法」の適用除外として、定価販売が認められています。活字文化を守る視点から、新聞、書籍、雑誌は、1953年9月独禁法の改正により「著作物再販制度」として施行され今日にいたっています。新聞、書籍、雑誌の定価販売は、日本の隅々まで同時発売、同一定価を守り、国民等しく享受し文化の源泉として、その発展に寄与することを念願として法律で定められました。
アマゾンと貴大学の提携による割引販売は、まさにこの行為を逸脱するものであります。出版界に働く卒業生として、この問題を看過する訳にまいりません。貴大学は、サービスの一貫
として実施されたと思われますが、是非ご再考いただき現在の契約が終了、更新される時点で、継続を中止いただければ幸甚でございます。
出版稲門会は、出版社、出版取次各社、書店で働く早稲田大学卒業の人々で構成されている有志の集まりであります。例年総会には、副総長始め事務局の方々など多くご参加いただき貴大学との友好を深めてまいりました。また、キャリアセンターの協力のもと、出版業界就職セミナー等も行ってまいりました。
貴大学は、125周年の伝統のなか、多くのジャーナリストを輩出し、日本のジャーナリズムの担い手として活躍されていることは、衆目の一致しているところであります。ジャーナリズムの根源としての活字文化は、高度情報化社会の今日と言えど決して後退するものではなく、ますます重要な位置付けとなっています。この活字文化を守るためにも「著作物再販制度」は欠くことの出来ないものです。
是非ご賢察くださいますようお願い申しあげます。
出版稲門会一同
平成21年5月21日

選書システムを開発/書店くじ特賞100本に/5月理事会

日書連5月理事会は5月22日午前11時から書店会館で開かれ、取引問題、再販問題のほか来月の日書連定時総会に向けて各委員会が現在の課題と取り組みについて報告を行った。
〔情報化推進〕
中学生向けの読書案内『ティーンズBOOKGUIDE』を2万部作成し、書店に1セット(100部)7千円で斡旋していることを井門委員長が報告。日書連マークを採用する学校図書館3千館にも配布する。
青森組合からは「同書で中学生向けの棚作りをしてはどうかという提案があった。中学生向けのセットを検討してほしい」と注文があった。
日書連マークをもとにした「選書ツール」は全国中央会の補助金により、在庫情報、表紙情報、試し読みなどができる選書システムを開発中で、7月9日に東京ビッグサイトで開く全国情報化委員長会議の場で概要を説明したいとした。
携帯電話でコミックを試し読みできる「ため本」の実験については、店頭のパソコンにデジタル・データを提供していく仕組みを小学館、講談社、集英社、白泉社、秋田書店のコミック出版社5社とともに委員会を作り、検討していくことになった。
〔財務〕
日書連の平成20年度決算について当期純損失は4万円、前期繰越金が684万円あり、次期繰越剰余金は680万円となった。影山監事が監査報告を行い、理事会はこれを承認。平成21年度収支予算案は井門財務委員長が提案説明し、総額2億2415万8千円の新年度予算案を承認した。
〔指導教育〕
指導教育委員会は全国書店の返品運賃負担の実態について調査をまとめているところだが、この調査の中で仙台支店から青森の書店に荷物を送る場合、九州支店から九州各県の書店に送る場合など、取次支店から転送運賃がかかる事例が報告された。
鈴木委員長は「取次支社からの転送運賃の実態を調査して、あまりに不公平であれば対策を考えていく」と、今後の対応を述べた。万引きの事件処理簡略化については、日書連が警視庁、警察庁に申し入れを行ったところ、刑事課から詳しい説明を聞きたいと打診があったことが報告された。
〔流通改善〕
藤原委員長は5月26日に開かれる発売本部員会に日書連からの要望として①全国同日発売の実現、②早売り対策、③週刊誌合併号の廃止などを申し入れたいとした。現在、北海道と九州に3日目地区があり、このうち九州の「週刊文春」「週刊新潮」は金曜発売になった。「女性セブン」も同様に金曜発売を求めたいとした。
出版社が読者に直接販売する定期割引については、「また増えているのではないか」という声があるため、藤原委員長は具体的な情報があれば連絡してほしいとした。
〔政策審議会〕
6月25日に開かれる日書連定時総会のスローガンを承認するとともに、日書連監事の任期を変更し、理事と監事の改選期を合わせることになった。
〔増売〕
10月27日から11月9日の秋の読書週間に実施される「読書週間書店くじ」の実施要領を承認した。特賞は「図書カード10万円50本」から「図書カード5万円100本」と特賞の本数を倍増した。
日書連ホームページで募集していた「本の川柳」には1万211本の応募があり、審査の結果、グランプリに「パパ読んで/あぐらの中の/子の重み」が選ばれ、3万円分の図書カードを贈られる。このほか、入選者15名には5千円の図書カードを進呈する。発表は6月20日、日書連ホームページで。
〔共同購買・福利厚生〕
ソニー損保の自動車保険契約斡旋について、中山委員長は神奈川、埼玉2組合で書店店頭でのチラシ設置を進めるとした。
書店に置かれたチラシで客が自動車保険の見積もりを取ると、見積もり1件に対して定額の手数料が支払われるほか、チラシ配布店にはソニー損保から雑誌用のビニール袋が提供される。
〔書店経営健全化〕
各都道府県組合の4月期新規加入は1店、脱退は36店だった。4月末現在の組合員総数は5467店となったことを中山委員長が報告した。
〔消費税〕
消費税率の値上げについては、与野党ともに総選挙の争点にしない雰囲気が強いが、面屋委員長は「消費税率が上がれば出版業界は大きな打撃を受ける」として、出版物に軽減税率を求めるための理論構築を進めること、日書連ホームページで学者に協力を呼びかけていくことなどの運動を提起した。
〔広報〕
各県組合のうち、昨年、書店新聞に総会記事を未掲載だった組合については重点的働きかけを行うことになっており、5月は石川、山口の2組合、6月は山梨、岐阜、鳥取、徳島の4組合、7月は高知、広島、宮崎、岩手、島根の5組合に総会記事出稿をお願いしていく方針を面屋委員長が説明した。

ティーンズBOOKGUIDE斡旋

日書連はこのほど中学生を対象にした読書ガイド『ティーンズBOOKGUIDE』(A5判中綴じ80頁)を製作しました。熊本組合の「本はよかばい」掲載図書をベースに、ヤングアダルト出版会の協力で推薦図書を入れ替えました。掲載図書138点。巻末に北海道組合の中学生向け推薦図書リスト500点収録。学校図書館の選書などに利用できます。頒布希望の書店には1セット百部単位で斡旋いたします。セット本体価格7千円。送料は日書連負担。支払いは後日郵送する請求書に基づいて代金を振込んでください。申込みは日書連「ブックガイド係」へ。

出版産業シンポ2009東京/取引・流通・販売テーマに

本の学校運営委員会は7月11日、東京国際ブックフェアが開かれている東京ビッグサイト会議棟で「出版産業シンポジウムinTIBF」を開催する。
シンポジウムは午前10時から11時40分まで第1部のメインセッション「出版産業の課題解決に向けて―これからの取引・流通・販売のあり方とは」。文化通信社星野渉編集長をコーディネーターに菊池明郎(筑摩書房)、近藤敏貴(トーハン)、安西浩和(日販)、小城武彦(丸善)、田中淳一郎(NET21)の5氏によるパネルディスカッションを行う。
第2部分科会は以下の4分科会を行う。
◇第1分科会「デジタル出版時代におけるインフラ・流通の担い手を考える」(12時40分~14時10分)
コーディネーター=東京電機大学・植村八潮、パネリスト=柳与志夫(国立国会図書館)、大久保徹也(集英社)、佐々木隆一(モバイル・ブック・ジェーピー)
◇第2分科会「デジタル時代のリアル書店」(12時40分~14時10分)
コーディネーター=ライター・永江朗、パネリスト=井原万見子(イハラハートショップ)、射場敏明(早大生協)
◇第3分科会「リメインダ―(自由価格本)は書店に利益をもたらすか」(14時30分~16時)
コーディネーター=星野渉、パネリスト=八木唯貴(八木書店)ほか
◇第4分科会「出版社からの時限再販提案」(14時30分~16時)
コーディネーター=青灯社・野崎保志、パネリスト=奥村弘志(南天堂書店)ほか
分科会終了後、午後6時からイベントプラザで懇親会。シンポジウムは参加費無料。分科会のみ2千円、懇親会のみ5千円、分科会+懇親会出席は6千円。申し込みは本の学校郁文塾まで、FAX0859・31・9231番。

エドモントを解約/日書連共済会

山本裕一清算人(神奈川)から日書連共済会の現状について、概要以下のような報告が行われた。
①会員の宿泊施設、飯田橋・ホテルエドモントとの契約は5月12日に脱退届を提出し、6月30日付で脱退することになった。エドモントの宿泊利用は6月末までとなる。
②これにより日書連共済会が同ホテルに差入れていた保証金630万円は7月31日に返金される見通し。③4月末現在の日書連共済会の資産残高は5億3431万円になった。

面屋龍延理事長が続投/危機打開へ政策的支援も/第27回大阪組合総代会

大阪府書店商業組合は5月20日午後1時半から大阪市北区のホテルモントレ大阪で第27回通常総代会を開き、総代79名(委任状含む)が出席。役員改選で面屋龍延理事長(清風堂書店)を再選した。
総代会は戸和繁晴副理事長(トーワブックス)の司会、開会宣言で始まり、面屋理事長があいさつ。「10年以上マイナス成長を続けている産業は、日本では出版業界だけ。出版文化が日々、危機にさらされている」と深刻な状況を訴え、「業界の自助努力だけでは現況の閉塞状況は打破できない。たとえばドイツでは政府が書店員を養成する学校を開くなど、国ぐるみで中小書店を守っている。日本でも政府による政策的な支援も必要ではないか」と提起した。
一方で、「ただ手をこまねいているわけにはいかない」として、①書店マージンアップへ雑誌配達手当の実現、②IT化促進による学校、公共図書館市場の確保、③読書推進運動、④近畿ブロックを中心とした学習会、⑤女性理事の登用と活躍、⑥組織強化、⑦組合財政強化の独自追求――など大阪組合の取り組みを説明した。
議長に猿田一男理事(ブックス新)、副議長に中島俊彦常務理事(BOOKS愛らんど)、家村英嗣総代(家村書店)を選出し、平成20年度事業報告、同・収支決算書、平成21年度事業計画案、同・収支予算書案、定款改正案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、大阪府青少年健全育成条例で有害図書の包括指定基準が強化されたこと、本の帯創作コンクールや読書ノートなどの読書推進運動で大きな成果をあげたことなどが報告された。また、新年度事業計画では①マージンアップなどによる書店経営健全化、②学校市場を守る、③読書推進、④再販制度維持、⑤請求と返品入帳の同日精算、⑥日書連の組織拡大――などの活動方針を了承した。
役員改選では理事40名、監事3名の候補者を一括承認。総代会終了後に初理事会を開き、面屋理事長が選挙で3選された。昨年の総代会で定款改定により4名枠となった副理事長には面屋理事長の指名により戸和氏、藤田彰氏(ブックプラザ)が就任。残り2名は次回理事会で決める。また、日書連理事に面屋理事長、戸和副理事長、同・常任委員に藤田副理事長が就任した。
なお、例年、総代会終了後に行っている永年勤続優良従業員表彰式並びに懇親会は、大阪府をはじめ関西地区で新型インフルエンザが流行している状況を踏まえ延期とした。

大橋信夫理事長を再選/松原治氏ら4氏、理事会推薦枠で理事に/東京総代会

東京都書店商業組合は5月20日午後1時半から神楽坂の出版クラブ会館で第33回通常総代会を開催。任期満了に伴う役員改選で各エリア選出の理事41名と、理事会推薦として松原治(紀伊国屋書店)、渡辺泰(有隣堂)、小城武彦(丸善)、鹿島光一(八重洲ブックセンター)の4理事を選出した。新理事による役員選挙では満票で大橋信夫理事長を再選した。
総代会は本間守世組織委員長の司会、柴﨑副理事長の開会の辞で始まり、大橋理事長があいさつ。この1年間の主な取り組みとして①出版社の有事対応、②国民読書年決議、③送品・返品同日精算、④取引用語の統一などをあげ、「同日精算は取次8社に申し入れを行い、取次によっては今年3月末に月末まで返品入帳してくれた。大手の取次はまだ解決に遠く、引き続きお願いしていきたい。用語統一は取次と話しているが出版社を巻き込んだ運動にしていきたい。組織改革では都内を4エリアに分け、理事を45名に減らした。一方、理事会推薦で有力書店から理事4名をお願いする」と述べた。
議長に武田初男(芳進堂)、鈴木康弘(優文堂書店)両氏を選び議案審議を行い、平成20年度事業報告については柴崎繁、岡嶋成夫、船坂良雄、小泉忠男の4副理事長が担当委員会の取り組みを一括して報告した。
このうち送返品同日精算の問題では、柴﨑副理事長が「今年3月末でトーハン、日販の返品入帳は21日から25日程度。大阪屋、栗田は31日まで入帳している。トーハン、日販の未入帳は2百億円ぐらいになるのではないか」と指摘した。
また、取引用語の統一については取次と書店の委託期間に開きがあるとして「委託期間をきちんと適用すれば書店の棚に長く置かれ、読者の目にも触れやすくなる」と意義を強調した。
東京組合が進める電子サイト運営ではコミックの取扱い開始やドコモ、ソフトバンクのアクセスが始まるとして、携帯サイトからリアル書店への誘導を推進していくとした。
決算報告では、賦課金収入の大幅な減少と借入金返済のため商工中金から2920万円を借り入れたこと、21年度も収入の大幅な減少が見込まれるため減収対策引当金791万円を計上、借入金返済と日書連共済会の預り保証金返済で2900万円弱を必要としているなどの報告があった。
組合財政の今後の見通しについて質問された大橋理事長は①書店会館の土地87坪を昭和60年に8370万円で購入し、8500万円を借り入れた、②借入金は一時1500万円に減ったが、組合員減少に歩調を合わせ平成10年代は借金を返済できなかった、③現在は長短合わせ借入れが4千万円あると報告。今後の計画については「これ以上、土地・建物資産を持ち続けられない。土地を売却して手持資金を持ちたい」と提案し、理事会に会館処分を委ねる方針を了承した。
議事終了後、組合功労者2名と支部功労者8名を表彰した。
〔東京組合役員〕
▽理事長=大橋信夫(東京堂書店)
▽副理事長=柴﨑繁(王様書房)、舩坂良雄(大盛堂書店)、岡嶋成夫(ブックロード)、小泉忠男(小泉書店)
▽常務理事=梅木秀孝(梅木書店)、本間守世(本間書店)、片岡隆(ブックスページワン)、越石武史(甲文堂書店)、岩瀬且敏(大谷書店)、渋谷眞(四季書房)、小橋琢己(教文館)、秋葉幸伸(ブックタウン)、小林洋(烏山書房)、渡辺真(ワタナベ書店)
◇組合功労者
永井博(末広堂書店)、比留間邦昭(比留間書店)
◇支部功労者
宍戸哲郎(八重洲ブックセンター)、山崎照雄(山崎書店)、高橋哲(宗文堂書店)、三好淳一(ブックチェーン)、鈴木康弘(優文堂)、奥川礼三(みどり書房)、保坂貴祥(かっぱ堂書店)、川原慎一(神代書店)

規約現状維持求める/現行規約の定着進む/出版物小売公取協総会

出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)は5月22日午後1時から、書店会館で2009年度総会を開催。規約の見直しについては、現状維持を求める方針を改めて確認した。またこの席上で、公正取引委員会消費者取引課・笠原宏課長は、ポイントによる割引類似行為への出版社の措置は、再販契約書に基づいて措置することができると明言した。
総会は梅木秀孝代表会員の司会で進行。あいさつを行なった井門会長は「平成18年に景品規約を改訂してから3年が経った。まだ景品と値引きが混同される傾向が続いてはいるが、この規約が出版業界の中でご理解いただけてきたかなと思う。消費者のためにどうしていくかということを考えた上でぎりぎりの選択をしたわけだが、トレーディングスタンプの規定を導入してよかったなというのが実感だ。皆様のご協力により、(総付景品提供は)年2回90日、通年のトレーディングスタンプは2%というルールがやっと定着し、消費者との接点として、出版業界の中でそういうサービスが行なわれつつある。今これをさらに拡大するのは難しいということで、規約の現状維持をお願いしている。書店の原資の中でどういった読者サービスができるのかということを、景品を通じて考えていきたい。忌憚のないご意見をお願いする」と述べた。
続いて来賓の公正取引委員会消費者取引課・笠原宏課長が祝辞。笠原課長は「消費者庁関連法案は一部修正をして衆議院で4月17日に全会一致で可決し、現在参議院で大詰めに入っている。これに伴って、景品表示法は公正競争規約の制度ともども消費者庁に移管されることになる。消費者の適正な選択の確保と公正な競争の確保は表裏一体の関係であり、消費者庁でもその考えに基づいて運用がなされていくと思う。社会情勢が変化する中で、書店でもいろいろな流通形態が出てきたり、他業態との間でいろいろなプロモーションがされている。これらが消費者をだますということになってしまってはいけないが、こういった前向きな努力の道を抑えてしまうというのは、目の前では激変緩和のように見えても、結局後で困ったことになるだろう。そういった観点から景品規約についても見直し規定が設けられている。いろいろあって今日に至るまで私どもの方からも具体的な話が十分できず3年の期間が過ぎたが、しっかりとした議論をさせていただき、あり方を共に考えていきたい」とあいさつした。
このあと井門会長を議長に議案審議を行い、平成20年度事業報告、収支決算報告、平成21年度事業計画案、収支予算案をいずれも原案通り承認可決した。
事業報告を行なった影山稔専務理事は「規約の見直しを行なうことが付則に定められており、20年度はこの作業に取り掛かった。これまでの規約の制限の推移について表を作成し、皆さんからご意見をいただいた。規約が書店だけでなく出版業界全体にようやく定着し始めており、取次を始めとして、規約を基にしたいろいろなシステムが構築されている状況にある。そこで規約の現状維持を1月理事会で承認いただき、それをもって消費者取引課にお願いに上がったという次第だ。規約の主旨徹底に関しては、何が景品で何が値引きに当たるかを取り違える事例がかなりあることから、改めて景品と値引きの判断について資料をまとめて理事会で説明し、各会員に徹底していただくことをお願いした」と報告した。
平成21年度事業計画案については、以下の計画案を承認した。1.出版物小売公取協の「公正競争規約」に対する理解と検討。そして正しい運用、普及のための活動、研修会等の開催。
2.景品表示法をはじめ、関係法令の研究並びに規約違反の防止。3.一般消費者、消費者団体及び出版業界団体との連絡。4.関係官庁との連絡。①公正取引委員会並びに各地方事務所との連絡。②各都道府県の景品表示主管課との連絡。③全国公正取引協議会連合会との連絡。5.広報活動。全国書店新聞での広報活動を推進し、業界関係団体、会員への趣旨啓蒙、宣伝、支援、協力等の要請。
【再販違反措置は可能/ポイントの割引類似行為/公取委見解】
小売公取協総会の質疑応答では、岡嶋理事から公取委へ「通年のポイントを付与するという方式が始まって、危惧していた通り景品と割引を混同している例が多く、対処に苦慮しているところだ。割引類似行為という再販契約に違反する行為をした場合、出版社がこれを注意するということは違法なのか」との質問があった。
これについて公取委消費者取引課笠原課長は、「一般的にはメーカーが小売業者の販売価格を拘束する行為は独占禁止法に違反するが、書籍については適用除外が設けられ、一定の範囲で認められている。従って、その割引類似行為が、契約当事者間の合意の範囲内なのかどうかが問題になる。これは当事者の意思の問題であり、出版社が、再販契約を書店が守っていないと考えるのであれば、供給を止めたり、損害賠償請求をすることができる。必要があれば司法の場を通じて解決することになる。公正取引委員会は、その契約が独禁法の適用除外の範囲内に入っているかどうかを見るべき立場にあるということだ」とする考え方を明らかにした。

協業化・共同化事業の推進図る/青森組合総会

青森県書店商業組合(鶴谷祿郎理事長)は5月14日午後3時から青森市アラスカ会館で通常総会を開催、組合員27名(委任状含む)が出席した。
20年度事業報告は、商材開発・共同販売として講演会「あおもりを愛する人づくり戦略」「読書活動推進県民大会」での協賛ブックフェアを2回実施した。研修会として、「公共図書館民営化の指定管理者制度導入問題(講師大隈氏)」「最新読書動向とその対策について(講師大川氏)」の2回を行った。サン・ジョルディの日の協賛としてポスター・図書カード台紙を作成し、図書カード購入者に書店くじを進呈した――と報告。このほか、20年度は会員数8名減となり収支決算でも厳しい年となったこと、図書装備センターを運用しての収入が大きな割合を占めるようになったとの報告があった。
21年度の事業計画は、以下の計画案を承認した。①協業化・共同化事業の推進。②太宰治生誕100年記念事業の準備活動。③学校図書館情報化推進事業…日書連MARC採用校の増加策、図書装備センターでの装備の迅速化、八戸地域においてTRC‐MARCに対抗し日書連MARCの優れた点をPRする。④公共図書館への指定管理者制度導入の民間委託対策事業…青森市立図書館の指定管理者制度導入では地域書店に組合も協力し、組合バックアップの体制をつくる。⑤その他…万引き防止・組合員の増強・読書推進・ブックフェア・責任販売制の研究などの事業を行う。会員数の急激な減少により財政的には非常に厳しいが、役員日当の廃止など経費削減に努め各事業を進める。
閉会後、関連団体の来賓を招き懇親会を開催した。
(黒滝恭一広報委員)

西猛理事長以下三役を留任/福島組合総会

福島県書店商業組合は5月24日、いわき市スパリゾート・ハワイアンズで平成21年度総会を開催。総勢33名が出席した。
西猛理事長は開会あいさつで在職2期4年を振り返り、特に県組合の財務健全化と強化に奔走、何とか目標を達成できたのは組合員の協力と団結力のおかげと感謝の言葉を述べた。
県中央会伊藤氏より祝辞をいただいた後、議長に古川芳洋(河内屋書店)、副議長に櫻田徳忠(水野書店)両氏を選出して議事を進行。恒例の「各支部提出議案」では、再販制度の維持活動(県北・県南・相双)、取次の有料サービスに近い通常流通のスピード化と希望配本(県北・いわき)、大型店問題(県北・県中)、有事出版社の書店在庫問題(県中・いわき)、公共図書館の予算増額(会津・県南)、消費税問題/組合費の減額(相双)が提出された。これらの議案は精査され来月の日書連総会に提出される。
役員改選では4年の実績が評価され、理事長以下三役の留任が決まり、今年度の体制がスタートした。この後、来賓あいさつや新企画説明会が行なわれて総会を終了。会場をホテル内の宴会場に移して懇親会を開催した。出席者全員がハワイアンセンターならではのアロハ姿に着替えて会食、ポリネシアンショーを観劇して締めくくった。
(大内一俊広報委員)

移動理事会は川西市・能勢温泉で開催/兵庫組合理事会

兵庫県書店商業組合(三上一充理事長)は、5月12日にエスカル神戸で5月定例理事会を開催した。
冒頭で井上専務理事より日書連報告。6月総会の役員改選に関し、愛知組合理事長の谷口正明氏が会長へ立候補を表明しマニフェストが配布されたこと、業界取引用語の件、返品運賃負担の調査報告の件、返品入帳の現状等を報告したほか、日本図書普及から日書連書店くじへの支援金のめどが立たないため「秋の書店くじ」分を中止したいと申し出があったことが報告された。
支部報告では、第1支部から山口支部長の辞職に伴い大橋洋子氏(流泉書房)が支部長に就任したと報告があり、「突然の拝命で戸惑いますが、支部の組合員の役に立つよう一生懸命努力したい」と述べた。県組合において初の女性支部長が誕生した。第2支部からは7月の移動理事会について川西市の能勢温泉での開催が決まったと報告があり、6月理事会には出席者を取りまとめたいと協力の要請があった。第3支部では、定額給付金の支給に伴い、尼崎市商店連盟が購買促進のため豪華賞品が当たる抽選券を作成したので、書店組合でも販売促進に役立ててもらおうと応募券を購入し各書店に配布する。第5支部からは、JR姫路駅内に新規出店を予定しているブックスタジオ・キオスクが組合加盟の申し入れがあり、早速手続きに入ったことの報告があった。
委員会報告では、出店問題委員会からチェーン展開の大型新規出店を含む5店舗の出店報告があった。事務局からは、組合相談役の小川恵一郎氏が2009年春の黄綬褒章を受章されたこと、高井忠明理事が2009年兵庫県商工功労者表彰を受賞されたことが報告された。また、組合員数減少に伴う定款改定の案件は、総代数および理事数について慎重な判断のもと7月理事会までに決定する旨報告された。
(中島良太広報委員)

前年同期比で96・30%/08年下期ABCレポート

日本ABC協会は2008年下半期雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載した52社157誌の前年同期比指数は週刊誌92・23%、月刊誌98・16%で、合計では96・30%となった。このうち主要52誌の販売部数を一覧にしたのが別表。
総合週刊誌は、部数トップの『週刊文春』が1万6千部増の51万9千部、2位の『週刊新潮』が2千部増の44万6千部と部数を伸ばした。一方、『週刊ポスト』は8千部減の29万7千部と、30万部の大台を割った。『週刊現代』も1万4千部減の24万9千部と減少が止まらない。新聞社系も『週刊朝日』が4千部減の17万4千部、『サンデー毎日』が9千部減の6万8千部と低迷した。
ビジネス誌は『週刊ダイヤモンド』が6千部増の12万部、『週刊東洋経済』が3千部増の9万3千部と堅調に推移。『プレジデント』は7千部減の20万1千部、『日経ビジネスアソシエ』は4千部減の6万9千部だった。
女性週刊誌は、前期は3誌揃って部数を減らしたが、今期は『女性セブン』が7千部増の30万3千部、『女性自身』が6千部増の28万6千部、『週刊女性』が横ばいの19万5千部と底堅い動きを見せた。
女性月刊誌では、前期に5万7千部減らした『CanCam』の減少が止まらず、5万3千部減の34万6千部となった。『non・no』も3万部減の25万8千部。『JJ』もマイナス基調に歯止めがかからず、1万7千部減の10万9千部で、10万部の大台をかろうじて守った。『ESSE』は3万3千部増の44万6千部、『サンキュ!』は2万5千部増の34万9千部と部数を伸ばした。

『書店の英会話ハンドブック』を発行/ベレ出版

ベレ出版は『書店の英会話ハンドブック』第2版を発行。希望書店に無料で配布する。横山真澄著、新書判112頁。
外国人のお客様が書店に来た場合を想定して、あいさつから注文応対、レジでの支払い、電話のやり取り、道案内まで基本フレーズを紹介する。英語が話せなくても、フレーズを指させばコミュニケーションがとれるなど、かゆいところに手が届く行き届いた編集。巻末には韓国語と中国語の基本表現も掲載。
問い合わせはベレ出版まで。電話03・5225・4790番、Fax03・5225・4795番。

第48回全出版人大会大会声明

昨年世界中が「一〇〇年に一度」といわれる金融危機に陥りました。わが国の経済も有力企業が軒並み赤字決算になるなど、実体経済も大きく打撃を受け、世界同時不況の只中であえいでいます。この大きな荒波の影響は確実に出版界にも押し寄せており、先行きが見えない不安感に覆われています。
このような状況の下、出版界においても企業の存続をかけた、新たな動きが目立ってきました。業務提携、あるいはグループ化、M&Aなど様々な出来事が立て続けに起こっています。出版界は従来通りの方法では、厳しい現実を乗り越えられないという認識で、新たな取り組みを模索しているのだといえます。
現在多くの書店の廃業に加え、高止まりする返品率の課題を打開するために、「責任販売」等の方策が提案されています。また、広告収入が激減する中、伝統ある雑誌の休刊が増加していますが、こうした事態の解決を目指して雑誌増売の「マニュアル」が作成され、実践に移されました。出版界はこの危機に立ち向かうために、必死の努力と工夫を開始しているのです。
暗い話題が蔓延する中にあって、人々はどうしてこのような時代に至ったかを知るために、本を求めてくれます。「格差社会」の歪みが大きくなるにつれ、若者たちが小林多喜二の『蟹工船』を貪るように読むなど、昔の本が大きく注目されるような現象がいくつか起こっています。また、書店で「世界同時不況」をテーマにブックフェアを開催すると、多くの読者が反応を示してくれました。生起している事象を分析する、あるいは過去の出来事に学ぶなど、本というメディアこそが幅広く、そして深く考えるきっかけを与えてくれるのです。
私たち出版界で仕事をする者にとって、厳しい事態が立ち現れている現在、それでもなお多くの人たちが「読書」に向かってくれることを大事にするべきです。出版市場はピーク時に比べると、四分の三程度に縮まりました。大変な事態には違いありません。しかし、潜在読者の数を思い浮かべるとき、出版界はまだまだ、十分に希望が持てます。
来年は衆参両院で決議された「国民読書年」を迎えます。決議文では、「文字・活字は人類が生み出した文明の根源をなす崇高な資産」と位置づけた上で、「政官民協力のもと、国をあげてあらゆる努力を重ねる」としています。
今、出版界では、この「国民読書年」を社会・経済の持続的な発展と、知的人材育成の基盤となる文字・活字文化の啓発・普及の絶好の機会として受け止め、様々な運動に取り組もうとしています。日本全体を「読書」を通じて蘇らせるという気宇壮大な心で、出版界は前進していくことを決意し、大会声明といたします。
平成二十一年五月十一日
第四十八回全出版人大会

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・久地井寿美子

◇2歳から/『あめぽぽぽ』/ひがしなおこ=作/きうちたつろう=絵/くもん出版840円/2009・5
6月の読み聞かせにぴったりでおすすめの絵本。東直子さんの詩人らしいリズミカルで光った言葉が素敵です。雨の日、ぼくはママと公園にでかけます。ぽぽぽさあさあぴとぴとじゃくじゃくきらきら雨粒は自由自在に語りかけます。雨の日がなんだかとても楽しくなりそうです。
◇4歳から/『いつもいっしょに』/こんのひとみ=作/いもとようこ=絵/金の星社1470円/2008・2
ひとりぼっちのくまの家にうさぎがやってきます。くまは毎日料理を作り世話をします。いつもいっしょにいることそれだけで幸せでした。ところが…大切な人といっしょにいられる幸せを気づかせてくれるお話です。動物達のやさしい表情の絵とマッチして子どもにもおとなにも好評です。
◇小学校低学年向き/『ほんとのおおきさ動物園』/小宮輝之=監修/福田豊文=写真/学習研究社1575円/2008・3
大迫力の実物大の動物写真絵本です。時にはこんな本も読み聞かせに取り入れてはいかがでしょう。大きなぞうやとら、小さなねずみなど毛の生え方や顔などの細部まで見ることができ動物の質感を感じることができます。まるで目の前にその動物がいるような感覚で大きさが実感できます。

「価格」表示は37%/3・5ポイント改善/複合雑誌

CD・DVD等雑誌付録付き複合雑誌の第7回価格調査の結果がまとまった。これによると、「定価」の表記を改め「価格」と変更した改善比率は前回調査した昨年10月よりも3・5ポイント上昇した。
雑誌協会、出版共同流通、昭和図書が5月11日、蓮田の出版共同流通で出版社107社・506点を調査したもの。DVD付き商品は415誌、CD付き商品は91誌。ジャンル別内訳はアダルト253誌、パソコン44誌、ギャンブル24誌、その他185誌。「定価」表示のままの雑誌は74社・318点で、62・9%を占めた。一方、「価格」表示に変更した雑誌は37社・188点で、37・1%だった。なお、「定価」誌と「価格」誌の混在が4社あった。
調査対象となった雑誌協会の会員社27社・131誌に限って集計すると「定価」表示が40誌、「価格」表示に変えた雑誌が91誌と、「価格」表示が浸透していることがうかがえる。ジャンル別内訳で半数を占めるアダルト誌253点のうち「価格」表示は75点で、29・6%にとどまった。
公正取引委員会は再販対象商品の限定明確化の観点から再販商品と非再販商品とのセット販売の場合に「定価」との表示は不適切であるとの見解を表明している。この調査は実態把握のため06年5月に初めて実施。以後、毎年5月と10月の年2回実施しており、今回は7回目。「価格」表示は第1回調査の13・1%から今回37・1%へと増加、浸透してきている。

4月期は平均94・2%/SC内の落ち込み大きく/日販調べ

日販経営相談センター調べの4月期書店分類別売上調査がまとまった。4月期は平均94・2%で、前年同月を5・8ポイント下回った。売上高が前年を下回ったのは34カ月連続。定額給付金などの経済対策の効果で消費が持ち直す動きもあったが、消費者の購買動向は食品など生活必需品に特化した傾向にあるようだ。特にSC内の落ち込みが大きく、90・0%と2桁のマイナスとなった。
ジャンル別で下げ幅2桁台は、児童書88・2%、文芸書88・4%、専門書89・4%、辞典89・7%。文庫は99・9%と5カ月連続前年を下回ったものの、下げ幅はごく僅かだった。『余命1ヶ月の花嫁』など映画化作品が好調だったことが寄与した。
客単価は平均1137・4円、99・3%と、前年を0・7ポイント下回った。客単価が前年を下回ったのは4カ月ぶり。
※今回の調査より、規模と立地の区分が変更となった。

募集/読書アドバイザー養成講座が7月開講/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)主催の第17期JPIC読書アドバイザー養成講座が7月24日~10年2月1日の日程で開講する。
通信教育とスクーリングの組み合わせで、、「本の歴史」「印刷と製本」「出版と流通」「情報収集と検索」「読書推進運動」など、読書や出版について体系的に学ぶ。
講師は児玉清(俳優)、永江朗(ライター)、紀田順一郎(評論家・作家)、小峰紀雄(小峰書店社長)、津野海太郎(編集者・評論家)、松田哲夫(筑摩書房専務)、八木壮一(八木書店社長)、柳田邦男(ノンフィクション作家)の各氏ら、様々な分野の第一人者がつとめる。
開講スケジュールは以下の通り。
〔第1回〕
▽7月24日=スクーリング①開講式、総論(本・読書の魅力と本講座のねらい)、読みきかせやブックトークのポイント、JPIC概要について、グループディスカッション
▽7月25日=スクーリング②本の歴史、出版流通について、グループディスカッション、懇親会
〔第2回〕
▽9月5日=スクーリング③印刷の歴史と現在、古書の世界の奥深さ、グループ・ディスカッション
▽9月6日=スクーリング④書籍編集、出版情報、書評、グループディスカッション
〔第3回〕
▽10月31日=スクーリング⑤身近な古本の楽しみ方、図書館の役割、国内外の図書館の具体例、児童文学とは?、グループディスカッション
▽11月1日=スクーリング⑥製本・装丁について、グループディスカッション、製本実習、読みきかせ実習
〔第4回〕
▽10年1月31日=スクーリング⑦YA文学の魅力、発達と読書~乳幼児~児童期の読書傾向、グループディスカッション
▽2月1日=スクーリング⑧グループディスカッション、文字・活字文化の振興策、講座のまとめ、記念講演、修了式、懇親茶話会
〔オプショナルツアー〕
▽7月26日、9月4日、10月30日=印刷会社・流通会社・国立国会図書館・印刷博物館見学や講師の引率による書店ツアー(予定、いずれかを選択。無料、自由参加)
募集人員100名。受講費用は一般6万円、JPIC賛助会員5万5千円。応募締切は6月22日。問い合わせ・申し込みは出版文化産業振興財団まで。℡03―5211―7282

文化の基本は「活字」/日書連萬田貴久相談役が謝辞/全出版人大会

日書連の萬田貴久相談役は5月11日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開かれた第48回全出版人大会で、表彰された長寿者39名を代表して謝辞を述べた。内容は以下の通り。
「本日はご来賓のご臨席のもと、諸先輩をはじめ多くの皆様に私ども39名の長寿をお祝いただき、この上ない喜びであり衷心より感謝申し上げます。
戦後の混乱と貧しさの中で6・3制への学制改革が行われ、昭和22年に設置された新制中学第1期生として入学しました。私より先輩の中には終戦のショックから立ち直るのに時間がかかった方もいましたが、私たちの年代はギアチェンジが早く、新しいものごとの吸収に夢中でした。英語の授業が珍しく、野球に夢中になり、図書委員の女生徒に憧れた時代が始まりました。
オリオン書房の創業は昭和23年12月。闇取引が横行していた時代に定価で正しく売れるものをと考えて母が開いた店の名前は、厳しい冬の時代にも星のごとく輝けるようにとオリオン座から取りました。創業当時、母は毎日のように立川から神田の取次に通い、注文品、補充品の調達をしていました。地域とともに、お客様第一、開店閉店時間厳守をモットーに、お客様とともに店を育んだ時代でした。
昭和37年、私は5年間勤務した三井物産を退社し、オリオン書房に入りました。昭和42年にはオリオン書房を法人に組織変更しました。駅ビルが完成した57年には7階に200坪の店を出店。商品をより早くお届けするためにオンラインシステムを導入しました。そこで培ったノウハウが、その後の多店化経営に大きく役立ちました。立川駅ビル店(現ルミネ店)が全員20代の若手従業員でスタートしたことも懐かしく思い起こされます。
昨年12月にオリオン書房は創業60周年を迎えることができました。この間、昭和52年に東京都書店商業組合理事を皮切りに書店組合の仕事に関わり、平成9年から4期8年間、日書連会長をつとめさせていただきました。著作物の再販制度、読書推進などの問題に取り組めたことは終世忘れることができません。
西暦2000年のミレニアムを前にIT化が急激に進みました。ペーパーレスの時代になると騒がれたこともありました。しかし、私たちは、今なおここにおります。それは本の持つ独特の性質によると考えています。インターネット販売に適する本とそうでない本があり、株の取引のようにはいかない。書店に足を運び、その場で手に取って表紙を眺めたりページをめくったりして選ぶ。そんな体感的な要素が本にはあるわけです。店頭で本を選ぶ楽しみ、本の持つ温もりを忘れてはいけないと思います。
お客様が本に接する窓口としてインターネットを利用したとしても、最終的には書店に足を運んでもらえるようにするのが私どもの課題と考えています。端的に言えば、本との直接的な出会いをどう演出するかにかかっています。個人的な思いではありますが、やはり文化の基本は活字だと考えます。読書という1人の世界の静謐な時間を持つことが、人には必要なのではないでしょうか。
書店の話ばかりでお聞き苦しいところも多々あったと思いますが、私どもが今日あるのも出版業界に関わる多くの皆さん方のご理解とご支援をいただいたからにほかなりません。ここに皆様方に深く感謝申し上げるとともに、出版界のますますの発展を祈念申し上げ、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました」

人事

☆人文会
5月14日の年次総会で新役員と各委員長を決定した。今年度より委員会構成を変更し、「販売・企画委員会」「調査・研修委員会」「広報委員会」の3委員会体制とした。
▽会長=菊池明郎(筑摩書房)
▽代表幹事=鎌内宣之(春秋社)
▽会計幹事=平石修(御茶の水書房)
▽書記幹事=新保卓夫(誠信書房)
▽幹事=橋元博樹(東京大学出版会/販売・企画委員会委員長)田﨑洋幸(みすず書房/調査・研修委員会委員長)吉武創(勁草書房/広報委員会委員長)

第2弾は「衝撃の小説」/大阪屋と栗田の増売企画

大阪屋と栗田出版販売は包括的業務提携の一環として始めた共同増売企画について、2月に実施した雑誌企画「春の女性誌フェア」(10社10誌)に続き、第2弾企画として書籍の増売企画を5月28日からスタートした。
企画名は、「映像化はぜったい無理!本でしか味わえない衝撃の小説」。従来の取次、出版社発信型の推薦・仕掛け商品ではなく、書店も選書段階から参加する企画として、右のテーマで書店アンケートを行ない、これを基に選定した商品を取り上げて店頭活性化を図る。オリジナルポスター・POPを提供し、コーナー作り、店頭装飾方法を提案していくほか、増売コンクールも実施する。この企画には、雑誌企画参加店641社を上回る約7百店が参加する。
選定商品は以下の文庫3点各5冊。①講談社『殺戮にいたる病』我孫子武丸、②文藝春秋『イニシエーション・ラブ』乾くるみ、③光文社『魚舟・獣舟』上田早夕里
なお、両社での共同企画は、O・K・P(大阪屋・栗田・パートナーズプランの略)の名称で定期的に実施していく。