全国書店新聞
             

平成16年9月1日号

行政と一体で読書推進/新理事長に長谷川氏選ぶ/神奈川総会

神奈川県書店商業組合は8月20日午後1時半から横浜市の神奈川平和会館で第27回通常総会を開催。書店活性化のため「読書ノート」など読書推進運動の積極展開を意思統一した。役員改選では6月から理事長代行を務めていた長谷川義剛氏(茅ヶ崎市・長谷川書店)を理事長に選んだ。総会は岩下寛二副理事長(岩下書店)の司会で始まり、あいさつした長谷川理事長代行は「神奈川図書の倒産から歯車が狂った感じがある。事務局は神奈川教科書にお願いし、理事会はトーハン神奈川支店の会議室を利用させてもらった。2000年の読書年を機に組合として読書振興に努めており、少なからず盛り上がってきた。これを自店の利益にどう結びつけるかが課題だろう。組合未加入店の加入と若い力を借りて、組合の活性化を図りたい」と、今後の課題を述べた。
山本裕一常務理事(信濃屋)を議長に進めた議案審議では、各委員長が1年間の取り組みを報告。読書推進運動については長谷川理事長代行が「読書ノート」運動を中心に経過報告。「第4土曜日は子どもの本の日運動は相模原支部の取り組みが先鞭をつけ、小学館相賀社長の理解で読書ノートを立ち上げた。児童書販売には明るい兆しが見える。日書連の心に残る子どもの本のセールも積極的に活用して棚づくりに生かしてほしい」と報告。
増売・読書推進委員会からは井上俊夫委員長(井上書房)が神奈川新聞社とともに発足させた神奈川県読書推進会の活動を紹介。同会が中心になり、読書ノート運動、神奈川県夏の読書感想文コンクール、店頭読み聞かせ運動などを展開しているとした。今年からは県児童福祉審議会により「神奈川県優良図書」が選ばれ、注文書を配布した。10月23日には「子ども読書活動推進フォーラム」が開催され、行政、民間が一体となって読書活動に取り組む。県の夏休み推薦図書の販売は前年比10%の伸びだった。
万引き問題では村上弘一委員長(村上書店)が「横浜市万引き防止協議会のもとに、万引きしにくい店づくりを進める」とした。
事業報告、事業計画、決算、予算案を原案通り承認したあと、役員改選を行い、理事45名、監事3名を承認。初理事会で長谷川氏を新理事長に選んだ。副理事長以下の人事は9月7日の理事会で決める。
総会終了後、版元63名をまじえ中華街「華正楼」で永年勤続表彰と、偕成社『花よりも小さく』の増売表彰、懇親会が行われた。
◇永年勤続者
15年=関智子(大野屋書店)、10年=丸山公子(岩下書店)、加藤よしの(大野屋書店)
◇増売表彰
横浜キリスト教書店、有隣堂藤沢店、同西口店、長谷川書店ネスパ店、サクラ書店駅ビル店
〈長谷川義剛氏略歴〉
昭和9年2月生まれ、70歳。昭和32年明治学院大学卒、長谷川書店入社。60年代表取締役。61年神奈川県書店商業組合理事、62年湘南支部長、今年6月理事長代行。日書連では平成8年から常任理事、14年8月から理事

青山ブックセンター9月29日に営業再開

日本洋書販売は民事再生中の青山ブックセンター本店と六本木店の営業を9月29日(水)に再開する準備に入った。半年以内に各店月商7千万円を目指す。
正式オープンに先立って、六本木店は8月30日から9月11日まで洋書を中心に「青山ブックセンター再開支援フェア」を行い、書店営業再開に向けてアピールする。
また、青山ブックセンター広尾店は9月11日より流水書房広尾店として新たにオープン。新店長には元広尾店の渋谷店長が就任し、青山ブックセンターの店員により運営される。

段階別正味を提起/神奈川で萬田会長

日書連萬田会長は20日の神奈川組合総会で祝辞を述べ、この中で販売にインセンティブを与えるため、米国で行われているような段階別正味を導入すべきだとする考え方を提起した。
「書店環境はいぜん厳しく、7月には独自な品揃えで注目されていた青山ブックセンターが倒産、民事再生法が適用された。書店経営が成り立たない要因には不況、環境変化、後継者難などがあるが、書店の場合中小が70%近くを占め、メディアとの競合、時間の奪い合いもある。苦しい時代を乗り切り、営業が継続できる状態になるよう努力を重ねていきたい。
営業の目的は投下した資本が利益として還元できることにあり、資本利益率を高めることが経営基盤の強化になる。経営健全化運動は出来なくなったが、いままでのような正味でよいのか、業界発展のために話をすることには何ら問題はない。企画商品には特別報奨がある。一般商品にも段階別正味でインセンティブをつくり、刺激を与えることが必要ではないか。アメリカには再販制がないが、ABAが(数量別正味を)公表している。これをFTCがモニタリングしている。
資本利益率を高めるためには、粗利益が変らないとすれば資本回転率で効率化を図るしかない。リニューアルと企画商品の販売で回転率は変えられる。中小企業として、変化を先取りした対応、中小でなければ発揮できない機動力を発揮してもらいたい。もう一つはコラボレーション取引で、適正な商品と数量を仕入れて双方に利益をもたらすSCMを進めることが欠かせないと思う」

共済会給付

(16・7・22~8・16)
▼病気傷害水戸市泉町2―2―31川又書店川又銀蔵殿8口
東京都板橋区赤塚2―1―12野田書店野田一雄殿1口
京都市中京区西ノ京中保町37クルマ書房富永徳一郎殿2口
▼死亡弔意京都市中京区淀本町173―24淀書房植村革次殿1口

催し

◇トーハン総研カルチャーフォーラム
トーハン総研は10月5日午後2時から、日本出版クラブ会館で作家の志茂田景樹氏を講師に招き、カルチャーフォーラム「我らがやらずに誰がやる!」を開催する。
志茂田氏は1999年に「よい子に読み聞かせ隊」を結成、全国で延べ650回にわたって絵本の読み聞かせを行っている。活動を始めたきっかけや、子どもの反応、効果など、現場の生の声を熱く語ってもらう。受講料5千円(税込)。問い合わせはトーハン総研セミナー事務局(℡03―3268―0731、FAX03―3268―0756)まで。
◇講談社野間記念館「四季礼讃『秋景』展」
東京文京区の野間記念館では9月4日から10月17日まで、秋を主題とした作品をそろえた「四季礼讃『秋景』展」を開催する。
近代日本画家たちが、さまざまなアプローチにより日本の秋を切り取った作品を厳選した。主な展示作品は、荒木十畝「残照」、速水御舟「菊花」、平福百穂「草むら」、横山大観「千与四郎」など。
同時開催の「創刊90年記念『少年倶楽部』の付録展」では、少年たちに熱狂的に受け入れられ、同誌の人気の原動力ともなった「大模型」や「組み立て物」などの付録を展示する。

雑協、会員社に改善求める/雑誌付録問題で3項目について

雑協は「『雑誌作成上の留意事項』に関連する事項についてのお願い」として、付録問題で改善すべき点や配慮が望ましい点をまとめ、7月末に会員社に送付した。
東京都書店商業組合青年部が「付録の実態調査」の結果をもとに問題の改善を要請しており、雑協は①「雑誌作成上の留意事項」に明記されている改善すべき点②同事項には逸脱していないが配慮が望ましい点③書店着荷時に付録が足りないことを確認した場合など――の3項目にまとめて、会員社に協力を求めている。〔「雑誌作成上の留意事項」に関連する事項についてのお願い〕
日ごろは、販売委員会の活動にご理解、ご協力賜り感謝申し上げます。
「雑誌作成上の留意事項」(雑誌基準運営委員会編)は、2001年5月の全面改訂から3年が経過し、会員各社で有効に活用していただいている、と存じます。
一方では、この間、日書連からの要望および東京都書店組合での書店店頭の付録の実状を詳細に調査した「付録レポート」について、雑誌基準運営委員会で報告を受け検討した結果、取次協会とも相談のうえ、次のような留意点をまとめました。
〈雑誌作成上の留意事項に明記されている改善すべき点〉
①雑誌のタイトル名そのものがわかりにくい。(とくにコミック誌等)
②別添付録が付いているのに、付録付き等の表記がされていない。
③別冊付録とされていて、いわゆる広告カタログ類である例が見受けられる。
標記留意事項には、①では「雑誌名は表紙1面の上部に他の文字と混同しないよう明瞭に識別できる形で表示する」②では「別添付録をつける場合は、表紙にその旨を表示する」③では「付録は本誌を補完するもので、景品・広告的なものにならないよう注意する」となっています。①②は書店での販売機会の損失にもつながりかねない、とされており、③は取次協会からも、これまでに要望が出されています。
〈留意事項には逸脱していないものの、配慮が望ましい点〉
書店からは①本誌と付録のかさ高が厚すぎて店頭陳列に問題が起きる場合②付録を本誌に挟み込むと付録が大きくはみ出してしまう事例も指摘されています。
書店店頭事情によっては、付録の破損等により早期返品の対象になる可能性もあると思われますので、そうした事情を勘案して配慮をお願いできれば幸いに存じます。
〈書店店頭着荷時に付録が足りないことを確認した場合など〉
付録が足りないと確認された場合、書店は必ず取引の取次会社に連絡することが大原則であることを確認しました。また、搬入日、発売日等で不測の事態が生じる及び予測される場合には、取次会社が付録の予備を確保することがあります。こうした事態を認識していただき、会員各社で協力をお願いします。
その他、増刊の返品期日の表記(いわゆるL表示)については、明瞭に書店現場で識別、確認できるように明記していただきますよう、お願いします。
「雑誌作成上の留意事項」は、取次会社での円滑な流通および小売店での陳列等の状況を十分に把握、考慮したうえでの自主基準です。
雑誌「付録」の効果、意義は取次、書店でも十分認識されています。実際の運用にあたっては、信頼関係を前提にしているだけに、会員出版社の一層のご理解ご協力をお願いいたします。

日書連のうごき

8月4日JPIC定例理事会、出版再販研究委員会へ萬田会長他、読進協事業委員会へ舩坂委員出席。
8月5日再販問題で岡嶋委員長他で日販橋専務を訪問。
8月6日JPO在庫情報研究委へ柴崎委員他出席。
8月12日出版倉庫流通協議会総会へ井門委員。中小小売商連絡会幹事会へ丸岡委員他出席。
8月17日沖縄県組合で情報化研究会開催。
8月18日JPIC万引対策打合会へ大橋委員他出席。
8月20日神奈川県組合総会へ萬田会長他出席。
8月24日JPO・ISBN規格改定WGへ柴崎委員他出席。
8月26日出版平和堂合祀実行委員会へ萬田会長他、出版クラブ総務運営委員会へ萬田会長、JPO・出版電子タグ実証実験委へ山口委員出席。
8月27日子どもの読書推進会議へ高須委員、熊本県組合情報化研修会へ志賀委員他出席。SJ関連で萬田会長、舩坂委員長他で㈱リクルート本社を訪問。

7月は2.9%の減/今年最大の下げ幅を記録/日販調べ

日販経営相談センター調べによる7月期書店売上げは、前年同月比2・9%減と今年最大の下げ幅を記録、3ヵ月連続の前年割れとなった。
規模別に見ると、41~80坪店が8・5%減と前月に続き落ち込みが目立つ。そのほかは40坪以下店が0・2%減、81~120坪店が3・2%減、121坪以上店が1・2%減だった。
ジャンル別では、前年を上回ったのが文芸書、新書の2つのみ。文芸書のプラスは7ヵ月連続。新書は前年同月に18%増と『バカの壁』効果で高い伸びを示したが、今年も好調を維持。『百器徒然袋―風』(講談社)など単価の高いノベルス作品にヒット作があったことが要因と見られる。文庫は1・8%減で連続前年クリアは10ヵ月でストップした。
客単価は1056・4円と0・9%減少した。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・中村びわ

◇2歳から『うさぎのおうち』M・W・ブラウン=文/G・ウィリアムズ=絵/松井るり子=訳/ほるぷ出版1365円/2004・2
うさぎの毛の1本1本まで丁寧に描かれた美しい絵本。こうさぎが自分の家をさがして歩きますが、コマドリの巣でもカエルの沼でも「違うよ」と言われます。仲間に出会い居場所を見つける、シンプルですが温かさあふれるお話。場面ごとに野花が違い楽しめます。
◇4歳から『ぷらぷら』もも=作・絵/岩崎書店 840円/2003・3
「ぷらぷら」「ぶらんぶらん」「ぎゅいーん」と見開きごとに出てくる擬音の面白さが特徴です。風にゆれて冬眠し、脱皮して幼虫になるミノムシの生態を、印象の強い絵と物語で説明します。最後にミノムシがなにものだったのかわかり、子どもたちは自然の不思議を感じることでしょう。
◇小学校低学年向き『ジェフィのパーティー』J・ジオン=文/M・B・グレアム=絵/わたなべしげお=訳/新風舎1365円/2004・6
絵本の定番『どろんこハリー』のスタッフによる愉快な作品です。みんなが初めて経験する仮装パーティー。ジェフィーと仲間たちは、お面や衣装でいざ化けると、いつもと違う気分、違う自分になって行動します。お互いに個性や魅力を再発見する結末が素敵です。

米国の書店支援プログラム

全米独立系書店組織、ABAがすすめる書店活性化支援プログラム「ブック・センス」運動が5周年を迎えた。5月初めに発表された最新の調査結果では、長期にわたる低落傾向にあった独立系・小規模チェーンのシェアは、過去4年間14~15%で横ばい状態を続けたが、2003年は16%と上昇に転じた。『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌5月31日号から「ブック・センス」運動の現状を紹介する。
90年代、チェーン店、オンライン書店、非専業書店の進出で、アメリカ独立系書店のシェアは縮小の一途をたどった。ところが今年5月に発表されたイプソス・ブックトレンドの調査結果によると、過去4年間販売冊数ベースで14~15%に低迷していた独立系書店のマーケットシェアは2003年に16%に拡大。金額ベースでは18%を超えた。
ABAが1999年に始めた全米マーケティング・キャンペーン「ブック・センス」は①ベストセラー・リスト、②会員書店の推薦図書「ブック・センス76」、③ギフト・カード、④ウェブサイト「ブックセンス・ドットコム」――の4本柱のほか、年次アワード、全米広告、企業・メディアとのジョイントなどのプログラムがある。
ブックセンス・ドットコムを除き、プログラムの大半は無料。会員は好きなプログラムを取捨選択できる。会員書店の要求に柔軟で、ブッフェ方式に例えられる。
★ベストセラー・リスト
全米500店の報告に基づベストセラー・リストは
小規模店のナンバー1が大型店のナンバー1と同じ価値を持つよう調整されている。毎週、125のメディアが紹介。専門分野別、地域別リストも作られる。
ブック・センスのリストは「ニューヨーク・タイムス」より実際的だと評価は高い。ブック・センスとニューヨーク・タイムスでは50~60%書名が異なり、独立書店でいち早く火が付くこともしばしばある。
この1年間に専門分野別リストで取り上げた対象は、伝記、詩集などの定番ジャンルに加え、アメリカ西部、ホロコースト、野球など。ABAのドムニッツ会長は「これこそが専門書店の必要性を訴えるブック・センス運動のひとつの狙いだ」と指摘する。
★ギフト・カード
昨年始まった電子ギフト・カードのプログラムに参加している書店は200店を突破した。
ドムニッツ会長は「歴史的に独立系書店は、テクノロジーの分野で大波が来て危うくならなければ動こうとしない。独立書店は小額の資金で新しい機器を導入できる。他店の経験談を聞けば、劇的に増加するだろう」と見通しを述べる。
★推薦図書リスト
当初、「ブック・センス76」(アメリカ独立の1976年にちなむ)と名づけられた推薦図書リストは最近、大幅に刷新された。隔月で点数が多すぎる、内容が古くなってしまうと考えられた。今月から「ブック・センス・ピックス」のリストはチラシで20冊、オンラインで20冊を取り上げる。加盟書店は書評付きで候補作をノミネートする。推薦図書にリストアップされた出版社は「ニューヨーカー」誌に広告を出すなどのサポートが可能だ。
★ブックセンス・ドットコム
手軽にネット販売を可能にしたブックセンス・ドットコムの書誌情報は、イングラム社のⅰページを利用している。販売管理は販売会社のイングラムとベイカー&テイラー。書店は7種類のテンプレートからカスタム化が可能。
初期費用350ドル、月額175ドルと売上金額の4・5%を販売会社に支払う。加入書店は200店強で、4ヶ月の無料試用の仕組みを提供する。
ドットコムの売上げは少なすぎるという苦情もあるが、ドムニッツ会長は「ドットコム販売の価値はコミュニケーションとマーケティングの効率的手段にある」と強調する。
★ABAアワード
年間最優秀図書賞「ブック・オブ・ザ・イヤー」は5部門からなり、旧ABBY賞から発展した。全加盟書店の投票で選ばれる。今年はブック・センス5周年を記念して、過去5年間の最優秀賞も選ぶ。ブック・センス運動の知名度アップにより、同賞はより重要度を増している。
★出版社の支援
出版社は広告とマーケティング面でブック・センスをサポートし、その効果は年間180万ドルから200万ドルに及ぶ。
毎月届く「白箱」には、ゲラ刷り、販促材料、出版目録、伝票、ハガキ、棚差しパネル、「赤箱」には時期に応じたマーケティング素材が入っている。
出版社は50ドルから100ドルの料金でブック・センス加盟店にeメールを一括送付できる。本の紹介や、校正刷りの試読希望を募ることもできる。出版社は1200以上の書店に一度に働きかけられる。
近々、電子ギフト・カードに広告を載せることを予定している。ブック・センス・ピックスのチラシにも広告スペースがある。ブック・センスの大部分を無料で提供するためには収入源の確保が必要だ。
ブック・センスは出版社に独立書店の重要性を印象づける役割も担っている。これまで、出版社の売上データ分析で独立系書店は過小評価されてきた。ABAは会員社の売上データ合計を出版社に提供するべく準備を進めている。独立系書店の8割を占める470店の情報である。
★ブランド・イメージ
最終ゴールは独立系書店の存在価値を消費者に印象づけること。このメッセージはポスターやしおり、包装袋などを通じて伝えられる。引越しする顧客に、転居先の優良書店を紹介する書店もある。別の書店主は「出版社と協力して地域の作家ツアーの宣伝や、出版社情報の提供、注文条件改善につながる流通プログラムの開発を」と要望する。
オハイオ州のラーンド・オウル・ブックス店主は「ブック・センスの良いところは、小さな書店以上の存在、全体の一部でいられることです。私たちにはアイデンティティがあり、共同体なのです。消費者も何かが始まっていることに気づくでしょう」と言う。

参考図書

◇『白書出版産業データとチャートで読む日本の出版』
日本出版学会員63人が、1990年代以降の日本の出版産業のデータを、産業構造、規模、取引制度、事業者などの項目別に図版やグラフを用いて分かりやすく解説。日本出版学会編・文化通信社刊、B5判182頁、税込2625円。
原稿の執筆、編集、製作、流通、購読という出版のプロセスの中から、出版という行為や産業を理解するために必要な事項79項目をピックアップ。出版以外のメディアの動向についても目配りがされている。
◇『小学館の80年』
B5判448頁、上製箱入り、DVD―ROM版「小学館80年の出版史」付。
1922年(大正11年)8月、『小学5年生』『小学6年生』の発行でスタートした小学館の社史。同社の社史としては『小学館50年史年表』の発刊以来、30年ぶり。
波瀾万丈の草創期、疾風怒濤の成長期、混沌打開の変革期と3部16章からなる本編は創業者・相賀武夫、前社長・徹夫、現社長・昌宏の時代に区切って小学館の発展をたどる。
資料として小学館文学賞など各賞受賞作一覧、年度別雑誌・書籍発行実績、各年次入社者名簿、口絵多数が付く。DVD―ROMは年表と3万8千点の図書総目録、ドラえもんムービー、小学1年生のテレビCMなどを収録。
◇『先生、いっしょに本を読もうよ』
東京都葛飾区立上平井小学校の吉田法子元校長が、全校を挙げた読書活動の取組みで、荒れた小学校を再生させた実践をまとめたもの。メディアパル刊、A5判並製111頁、税込1050円。
上平井小学校では、学校再生を読書教育に求めようと教職員全員で「朝の読書」導入を決定。学校中を本で満たす読書環境作りから始め、「朝の読書」の実践や、親と地域の協力のもと、読み聞かせ運動に全校で取り組んだ。子どもたちが自主的に本を読むようになり、心の落ち着きを取り戻していった様子が、校長と教師たちの奮闘記とともにつづられている。
◇『棚の生理学―人件費をベースに考えた書店の動態的商品構成』
1970年に刊行された同題書の新装版。下村彦四郎著、出版メディアパル刊、A5判並製296頁、税込3150円。
オーム社書店の営業部長だった下村氏は、1965年から70年にかけて出版マーケティングに関する本3冊を著したが、そのシリーズの完結編となったのがオリジナルの『棚の生理学』。第1部「3尺棚一段から昨日よりも一冊たくさん売ったら」第2部「ラッシュ商法〈人海戦術からシステムへの転向〉」第3部「書店の明日を目指して〈書店の未来像〉」という売場入門書と、その他の論文で構成している。書店実務のパイオニア的作品であり、出版状況が激変した現在、改めて販売手法を見つめなおす大きな助けとなる1冊。
◇『走る!漫画家漫画原稿流出事件』
漫画家の生原稿が大量流出し、古書店で売りさばかれた「さくら出版漫画原稿流出事件」。第一発見者であり、事件に中心となって対応し「漫画原稿を守る会」事務局長を務めるレディスコミック作家・渡辺やよいがつづった手記。創出版刊、四六判並製272頁、税込1575円。
発端から「守る会」の結成と活動まで、漫画界を騒然とさせた事件の展開を語るとともに、解決へ悪戦苦闘しながら漫画執筆や子育て、家事に追われる日常をユーモラスに描写する。

売上高伸び率6.6%の減/マイナス成長9年連続に/トーハン平成16年『書店経営の実態』

トーハンが発行した平成16年度『書店経営の実態』によると、調査を行った全国の145企業350店舗の平均売上高伸長率は、前年比5・2ポイント減のマイナス6・6%。この5年間で最も低い数値で、マイナス成長は9年連続となった。収益面では、売上高対営業利益率がマイナス0・69%(前年マイナス0・40%)、売上高対経常利益率が0・15%(同0・22%)で、ともに低下した。
〈損益状況〉
『書店経営の実態』では分析の基準として収益性に重点を置き、売上高対経常利益率がプラスの企業を「健全企業」、マイナスの企業を「欠損企業」に分け、比較対照している。
売上高伸長率をみると、健全企業が5・6ポイント減のマイナス5・7%、欠損企業が4・3ポイント減のマイナス7・9%、総平均ではマイナス6・6%となり、前年を5・2ポイント下回った。約85%の企業で伸長率がマイナスとなっており、減収要因として売上低迷に加え、不採算店舗・部門の撤退や縮小によるものが多く見られた。
粗利益対経費率は総平均は104・0%で前年より1・7ポイント改善したが、5年連続で100%を上回った。健全企業は95・6%であるのに対し、欠損企業は117・0%だった。粗利益対人件費率は50%以内が目標とされるが、健全企業が51・9%、欠損企業が64・8%、総平均では前年より1・5ポイント悪化して57・5%になった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は、総平均でマイナス0・7%と5年連続の欠損。健全企業は1・0%で利益を確保したが、欠損企業はマイナス2・6%だった。
複合型書店の調査では、AVレンタル、セルCD、TVゲーム、文具それぞれの売上構成比が20%を超える店舗を「複合店」、また書籍・雑誌の売上構成比が80%を超える店舗を「本専業店」に分類した。
売上高伸長率をみると、AVレンタルが3・9%と唯一のプラス。TVゲームはマイナス12・2%と、前年のマイナス13・5%に続き大きく落ち込んだ。このほかセルCDがマイナス0・3%、文具がマイナス5・8%。本専業店はマイナス5・6%だった。
粗利益率は本専業店22・4%に対し、AVレンタル32・8%、セルCD27・0%、TVゲーム20・6%、文具複合店22・6%で、テレビゲーム複合店の収益悪化が目立つ。
地域別の売上高伸長率は全地域でマイナスに。近畿はマイナス8・0%と大きく落ち込んだ。立地環境別では住宅街(マイナス9・1%)、商店街(マイナス8・8%)の不振が目立った。売場規模別では201坪以上(0・7%)以外はすべてマイナス。20坪以下でマイナス9・4%と小規模店の厳しい状況が続いている。
〈販売効率〉
従事者1人当たりの月間売上高は、健全企業199万8千円、欠損企業160万9千円でともに前年より減少し、総平均では186万3千円と8万円減少した。従事者1人当たりの月間粗利益高をみると、健全企業44万3千円に対し欠損企業は31万9千円。総平均では前年比1万8千円減の40万3千円となった。
商品回転率は健全企業5・3回、欠損企業5・0回で、総平均は前年比0・2回減の5・2回。売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標。健全企業118・0%、欠損企業103・1%で、総平均では前年より7・3ポイント減って114・3%となった。
〈財務状況〉
総資本に占める自己資本の割合を示す自己資本比率は、欠損企業が9・9%と5・5ポイント増加したものの、健全企業は1・9ポイント減少し16・7%。総平均は12・8%で0・7ポイント減少した。
流動比率は1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスを見ることで短期支払能力を表す指標で、130%以上の確保が望まれる。健全企業149・3%に対し欠損企業は139・3%で、総平均では15・1ポイント増の144・8%となった。
固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は7・7ポイント増の222・8%、欠損企業は30・1ポイント増の406・1%でともに悪化し、総平均は45・3ポイント増の301・6%になった。
全店平均の借入金を見ると短期借入金は15・2%で前年比4・8ポイント減、長期借入金は41・8%で5・4ポイント増加した。

ふるさとネットワーク・北信越ブロック編

〈新潟〉
第6回城下町・高田花ロードが10月9日から11日までの3日間にわたり開催されます。城下町高田の街並みが花で彩られる3日間です。市内外から出展を募り、生け花、押し花、鉢植え、フラワーアレンジメントなど花をテーマにしたアート作品が町中に並べられます。毎年大好評の行事のため、回を重ねるごとに出展数が増加しています。出展された作品の中から審査員により優秀作品が選ばれます。
歩いて楽しく体験できる環境作りをテーマにJR高田駅周辺の高田本町商店街が歩行者天国(10月9日)となり、様々なイベントとともに作品鑑賞を楽しめます。花と緑の芸術で埋め尽くされた城下町高田を訪ねてみてはいかがでしょうか。
(熊田雅明広報委員)
〈富山〉
富山県砺波市の4大花イベントの1つ「2004カンナフェスティバル」が8月6日、砺波チューリップ公園で開幕した。9月5日までの1ヵ月、赤や黄色の花をつけた1万株のカンナが夏を鮮やかに彩る。
「カンナの大迷路」はとりわけ子どもたちから毎年大人気。高さ2メートル余りに伸びたカンナが植えられた花壇の間を縫ってゴールを目指す。途中に設けられたチェックポイントのスタンプを集めると景品がもらえる。特に期間中5日間(8月4日、12日、21日、28日、9月4日)は午後9時までカンナをライトアップする「ナイトウォッチング」を開催、夕涼みがてら幻想的なカンナを楽しむのも見ごたえがある。春の愛くるしいチューリップから夏の壮大なカンナに替わると、また一段と雄大な雰囲気になる。(渋谷恵一広報委員)
〈石川〉
江戸時代、日本海の波をけたてて白帆に風をはらんで進む北前船の雄姿。男のロマンを湧かす当時の豪商の中でも傑出している銭屋五兵衛の伝記は舟橋聖一著「海の百万石」で特に知られています。
現在金沢市の金石街道に銭五記念館がありますが、北前船の模型など海の豪商のドラマチックな生涯を追体験できる。小生も一度訪れたことがあるが、当時海をかけ廻った千五百石積の1/4模型に乗ってみて感無量だったことを憶えています。銭五の活躍は当地の産業財政にも大いに寄与するところもあったが、加賀藩からにらまれるところとなり、罰せられて、晩年は不遇の中に亡くなったといわれています。いま彼の生誕地金石町の海岸の松林の中で、日本海に首を廻らしてぐっとにらんでいる銭五の銅像を見て、感慨ひとしおなものがあります。(横野浩広報委員)
〈長野〉
木曽路はすべて山の中である。島崎藤村の「夜明け前」で最初の行りだ。中仙道妻籠宿は江戸時代の宿場の姿を色濃く残す街並みが見直され、重要伝統的建造物群保存地区として、ここで生活しながら江戸時代の街並みという貴重な財産を後世に伝えている。
妻籠宿本陣で「妻籠の島崎家の人々」を開催している(12月28日まで)。妻籠宿本陣、最後の当主の島崎広助(島崎藤村の兄)やその子供のこま子(藤村の小説「新生」のモデル)を中心に、藤村と本陣を取り巻く明治から昭和にかけての人間模様や小説の舞台裏を手紙や写真で紹介。文学とロマンが書店人として見学に値する。
帰りには馬籠宿「藤村記念館」にお立ち寄りを。処女詩集「若菜集」から絶筆「東方の門」までを展示。一巡すると藤村の生涯をたどることができる。(高嶋雄一広報委員)
〈福井〉
7月18日、福井市に6時に80ミリ、8時に110ミリ、9時に70ミリという驚異的な降雨。床下、床上浸水家屋続出。福井市災害対策本部設置。足羽川左岸みのり1丁目の書店主は午前中あまりの激しい雨が店内に道路から溢れ出て浸水、壁棚下段の本を雑誌中棚に移動。そして様子を見に水嵩ひざ位までの通りへ出たところに茶色に濁った濁流が直線にして約700メートル先の決壊場所から何本かの路地や交差点を越えて流れ込んできた。雑誌棚は横転し、壁棚は60センチまで水没した。災害時避難場所の公民館も小学校も浸水。県警のゴムボートで日赤病院へ避難。翌日には水は引いたものの、2台の車は廃車。泥の溜まった道路や店内の清掃には何日も要した。福井県内での被害総額は約1000億円といわれている。
(清水祥三広報委員)

4会場に2万1207人/こどもの本BFが閉幕/トーハン

トーハンは取引書店と共催で「2004こどもの本ブックフェア」を京都会場と岡山会場で開催し、盛況裏に終了した。京都会場は7月25日から7月27日まで京都市・京都産業会館、岡山会場は7月30日から8月1日まで岡山市・コンベックス岡山で開催し、会期中の入場者数は京都会場5684名、岡山会場3211名だった。
同ブックフェアは岡山会場をもって今年度のスケジュールをすべて終了。4会場の合計入場者数は2万1207名だった。
〔京都会場〕
16年連続、通算21回目の開催となった京都会場では、昨年と会場が変更になったにもかかわらず、初日から多くの来場者が詰め掛けた(写真)。
会場では近年の読書推進運動の高まりを反映して、0歳~3歳児までの絵本コーナーやヤングアダルト関連商品、「かいけつゾロリ」コーナー、「なかやみわそらまめくんシリーズ」コーナーなどに人気が集まった。読み聞かせ会は地元ボランティアを中心に行われ、さらに「おしいれのぼうけん」の作者・たばたせいいち氏による新作「ひ・み・つ」のスライドを用いたものや、声優・関俊彦氏による読み聞かせ会「おひさまおはなしコンサート」など多様な読み聞かせが行われた。また、三重の絵本と童話専門店「みやがわ書店」の橋村孝子氏による「絵本と紙芝居はどうちがう」と題した紙芝居講習会では、紙芝居を実演したあと絵本と紙芝居の読み聞かせの違いを説明し、参加者から多くの質問が寄せられた。
〔岡山会場〕
昨年に引き続き2年連続の開催となった岡山会場では、台風の接近という悪天候にもかかわらず3000名以上の来場者が訪れた。
会場では3万点の児童書・教育書をはじめ、地元ボランティアによる年齢別読み聞かせ絵本コーナーや各種自由研究コーナーなどが展示され、多くの親子連れが一緒に本を選ぶ姿が目立った。
読み聞かせ会への関心は高く、地元ボランティアによるものから、学校の司書による実演、京都会場に引き続きたばたせいいち氏による「ひ・み・つ」のスライド上映&読み聞かせ会などが実施され、多くの子どもたちが参加した。特に沖縄の真栄城栄子氏による紙芝居の講演は、沖縄の踊り「カチャーシー」を採り入れた独特なもので、参加した親子を巻き込んで好評だった。読み聞かせ以外にも牛乳パックを用いた工作や、「押し花はがき体験コーナー」など多彩な参加型イベントが開催され、会場内では親子で楽しむ光景が随所で見られた。

移転

◇みずうみ書房
左記の新事務所に移転した。
〒113―0033東京都文京区本郷3―40―11柏屋ビル7階
℡03(3814)6213FAX03(3814)6978

桶川事業所の地鎮祭/トーハン

トーハンは8月9日午前10時半から埼玉・桶川事業所の地鎮祭を執り行った。当日はトーハンの上瀧博正会長、小林辰三郎社長をはじめ来賓として桶川市の岩﨑正男市長、朝倉書店の朝倉邦造社長など関係者123名が出席して、鍬入之儀や玉串奉奠などの神事が厳かに執り行われた。同事業所は来年5月建築竣工、同10月稼動の予定。

名古屋で過去最高の来場者/日販本と遊ぼうこどもワールド

日販は「本と遊ぼうこどもワールド 2004児童図書展示会」を福島、鹿児島、名古屋の3会場で開催した。同展示会は78年以来、毎年夏休み期間に全国で開催している。
各会場では「赤ちゃんがはじめて出会う本ファーストブック」「子どもとおとなの絵本の『わ』(話・和・輪)」などのテーマごとにコーナーが設けられ、約5万点の図書が展示された。この他、児童書作家による講演会・サイン会など会場ごとのオリジナルイベントや、日販の読書推進活動の柱である「おはなしマラソン」についても関連コーナーや読み聞かせイベントが展開された。さらに、地域の児童施設などへの図書贈呈式も行われた。
〔福島会場〕
7月17日から19日まで福島市・エスパル福島で開催。2900名の来場者で賑わった。福島県では3回目の開催。
会場では「ハリー・ポッター」コーナー、「オリンピック年世界の国々とその絵本」コーナーなどのテーマ別展示のほか、「本と遊ぼうおはなしのへや」と題して3日間にわたり図書ボランティアの会による読み聞かせ会などが行われた。また、17日には絵本作家・なかえよしを氏の「『ねずみくん』30周年記念」と題した講演会・サイン会、18日には絵本作家・川端誠氏による講演会・サイン会と「絵本ライブ」が開催され、多くの親子連れで賑わった。
〔鹿児島会場〕
7月30日から8月1日まで鹿児島市・鹿児島総合卸
商業団地共同組合会館で開催した。期間中の来場者数は3380名。
会場では「椋鳩十児童文学コーナー」「宇宙天文コーナー」「赤ちゃんがはじめて出会う本ファーストブックコーナー」などのテーマ別展示のほか、展示会場内に設けられた読み聞かせコーナー「ちびっこ広場」では「かごしま文庫の会」など地域ボランティアによる読み聞かせ会が3日間にわたり合計7回開催された。7月31日には絵本作家・あきやまただし氏、8月1日には絵本作家・宮西達也氏による講演会・サイン会が行われた。
〔名古屋会場〕
8月6日から8月8日まで名古屋市・名古屋市公会堂で開催し、過去最高の8586名の来場者で賑わった。地元ラジオ局などメディアとの連携や告知宣伝により、前年比約2千名の来場者増につながった。名古屋は全国で唯一、26年連続で開催(写真)。
初日のオープニングセレモニーであいさつした日販・鶴田尚正社長は「読書推進は日販の『もうひとつの本業』と位置づけており、今後とも充実させていく」との考えを述べた。
会場では中日新聞生活情報紙「ショッパー」と連携した「子どもに読ませたい本はこれ!ショッパー掲載特設コーナー」「東海ラジオ『絵本の時間おはなしマラソン』コーナー」などの地域に密着したオリジナル展示コーナーが人気を集めたほか、子育てと関わりの深いテーマ別の展示が注目を集めた。地域ボランティアによる読み聞かせ会も多くの参加者で賑わった。7日には作家・木村裕一氏による講演会・サイン会、8日には東海ラジオ「絵本の時間おはなしマラソン」の蟹江篤子アナウンサーによる読み聞かせ&トークライブが行われた。

本屋のうちそと

青山BC一時閉店に際し、田中編集長より「ブックストア・ニューヨークで最も愛された書店」(晶文社)を薦められたのだがまだ読んでいない。なにせ、書店が閉店する話なので、読んでいる間にもし自分が閉店しちゃったら…。あいかわらずの大書店やコンビニの出店続きの中、少しでも前向きになろうかと青田恵一氏の第2弾「書店ルネッサンス」(八潮出版社)を替わりに読み始めた。
さて、ここ1、2年、店の棚から売れた本の戻りがどうも良くない。本来常備・長期共々、売れて補充発注した本が又、棚に戻って来て「アタシ帰ってきたからね」と売れるのを待っていて欲しいのだがそのまま空いている。「そりゃ、ひょっとしてお前さんトコの支払いが悪いからではナイカイネ」と言われると、少々思い当たらない訳でもないのだが、それでも払えるものは払っている。大体、補充スリップが品切れで戻ってはこない。「あまりに大量すぎて選別して戻せません。客注のみ戻しています」と取次担当者は言う。なので、今年から発注1月後に再チェックする事にした。結構、未入荷が多い。10点発注かけて、入荷6点位かな。
黙っていても勝手に棚から売れて行ってくれる本ほどありがたいものは無い。売れた本が補充されなければ、棚に残った本は言っちゃ悪いが売れない本ばかりになる。高返品率の問題もあるのだろう。大書店の出店続きで在庫が無いのかも知れない。ブックメイトも来てくれないし。(海人)