全国書店新聞
             

平成19年10月21日号

「町の本屋を元気に」/読まれる新聞目指す/全国広報委員会議

日書連広報委員会は10月11日午後1時から東京・神田駿河台の書店会館で「全国広報委員会議」を開き、総勢41名が出席。日書連広報委員会と各都道府県の広報委員、本紙編集部が一堂に会し、この1年間の広報活動を総括、今後の全国書店新聞の編集方針を話し合った。今回は面屋広報委員長体制になって最初の全国広報委員会議。面屋広報委員長は全国小売書店経営実態調査の結果に基づいて書店が疲弊している原因を明らかにするとともに、元気に商売している書店の事例も紹介していきたいとして、「読まれる新聞を目指す」と今後の方針を話した。
会議は小泉副委員長の司会で進行。谷口委員の開会の辞で始まり、大橋会長があいさつ。「日書連は各県組合の集合体で、各県の活動がなければ成り立たない。各県広報委員皆さんが担う役割は重要。出版業界は10年以上逆風が吹いており、こんなときこそ文字・活字文化の重要性を大いに唱えねばならない。読書普及、読者を増やす記事を書いていただきたい」と話した。
面屋広報委員長は、広報の役割について①日書連および各県組合の動きを組合員に伝えること、②組合員の声を新聞に掲載すること――と指摘。今後の書店新聞の編集方針として①実態調査の結果に基づいて、町の本屋が疲弊している原因を明らかにする、②元気に頑張っている書店から学ぶための記事を掲載する、③各県組合の活動を紹介し、交流を図る、④出版業界の動きについてポイントを絞って紹介する、⑤書店だけではなく、書店に来るお客様も興味を持って読むことができる紙面作りをする――の5点に言及した。
中島俊彦(大阪)、中島良太(兵庫)両広報委員を優秀広報委員として紹介したあと、小泉副委員長を座長にフリー討論「拡大編集会議」を実施。「組合員減少を嘆くばかりではなく、地域密着の活動をきちんとやる。組合活動に参加したいと思わせる広報を」(北海道・高橋氏)、「頑張っている書店の生の声を掲載したい。テーマを決めて組合員から記事を集めては」(山形・五十嵐氏)、「情報発信のスピードをもっと速く。即時性の高い情報はメールを活用して広報してはどうか」(京都・澤田氏)などの提案があった。
また、広報活性化の方策について「1面に大型出店など1つのテーマを掘り下げた記事を掲載してほしい、各県の取り組みの成功事例を紹介してほしい、などの意見がある」(青森・黒滝氏)、「組合員には諦めの気持ちがある。この気持ちをどう掘り起こし声欄に投稿していただくか、工夫が必要」(茨城・舘野氏)などの意見があった。
編集部からは各県組合の読書推進の取り組み、および身近な面白い書店の紹介記事を書いてほしいと提案。小泉副委員長は「書店を紹介するコーナーを続けるには各県からの情報提供が必要。いくつかの連載が終了したが、新しい企画を積極的に提案していただきたい」と求めた。
最後に面屋委員長が「読まれる新聞作りをどう進めるかが最大のテーマ。読者のほしい情報が載っていること、読者の交流する場ができていることが重要。組合員の声を代弁するスタンスを大切にしたい」と締めくくった。
〔全国広報委出席者〕
▽日書連本部=大橋信夫会長、大川哲夫専務理事、面屋龍延広報委員長、小泉忠男同副委員長、谷口正明同委員
▽各都道府県広報委員=高橋千尋(北海道)黒滝恭一(青森)栗原秀郎(岩手県)五十嵐靖彦(山形)佐々木栄之(宮城)大内一俊(福島)舘野弘(茨城)長谷川正夫(埼玉)植田榮一(千葉)平井弘一(神奈川)小橋琢己、小林洋(東京)榊原壮一(愛知)藤田忠男(三重)熊田雅明(新潟)渋谷恵一(富山)高嶋雄一(長野)清水祥三(福井)宇野壽晃(滋賀)中島俊彦(大阪)澤田直哉(京都)庫本善夫(奈良)中島良太(兵庫)加藤幸典(鳥取)桑原利夫(島根)荒木健策(岡山)光永和史(愛媛)近藤甲平(佐賀)古瀬寛二(長崎)宮崎容一(熊本)金光直明(大分)浜田晴樹(鹿児島)安仁屋博一(沖縄)
▽全国書店新聞編集部=田中徹、白石隆史、土屋和彦

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

グレゴリ青山さんの新刊『グ印関西めぐり濃口』(メディアファクトリー)が出ました。関西各地の濃い魔境を「にゅるにゅる」紹介するイラスト&エッセイです。神戸では海文堂も訪問くださいました。64~65ページです。最後のコマ、「いいですよ~」と言っているのが店長で、横で「あはあは」しているのが何を隠そう私です。皆様の店頭にございましたら確認くださいませ。買って、とは申しません。それは後ほど。
商売屋にとっての一大イベント「棚卸し」でのことです。臨時休業して、取次会社から応援もいただき、当日のみのアルバイトさんも20名募集しての作業。私のパートナーは当日のバイト女性。着々と進行して、昼食休憩の前にちょっと私語。
私もう少し進んで昼メシです。
女性「慣れてはりますねえ、こういう仕事ようしてはるんですか?」
ずっとここで働いてます。
「ほな、いろんな仕事かけもちでしてはる?」
いえ、ここだけです。
「ほんなら年金もらいながら」
(絶句)……。
ザックバランな方で、私をか
なりの年配者と思われたようです。確かに髪は薄い、姿勢は悪いし、顔色も悪い、痩せこけて貧相。私、ショックで午後からは半死状態でした。考えてみると、体中ムシさされでかゆみ止めを塗りたくっておりました。いわゆる加齢臭+ムヒ臭で相当な「オッサン臭」を放っておったと推理する次第です。
しかし、「オッサンの香り」がプラスに働くこともあるようです。当店の雑誌「ほんまに」の執筆陣、おっさんたちの中に、まさに「掃き溜めの鶴」の如く美女たちが加わっております。さらに最新第4号では、ゲストに岩波書店のKさん、創元社のNさんと、東西の営業担当美女を迎えております。全出版人・書店員必読の書です。ご両人の特大ポートレート付、これは嘘ですが、売り切れ必至です。プレミア価格で売り出す不届き者がいるやもしれません。お早めに当店にお申し込みいただくか、書肆アクセスでお求めください。あー、そのアクセスが11月でなくなってしまう。税込500円、送料・振込手数料別途。1冊買って廻し読みとか、おふたりのページだけコピーとか厳禁です。ぜひ買って読んでください。別の話。拙著の売れ行きが芳しくないと思ったら、職場で廻し読みという証言があります。弱小版元を助けると思って何卒。私はいい、かけもちの仕事もあるし、年金も……、ショック引きずっております。

現状では重い費用負担/電子マネーEdy説明会/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は9月28日、京都市の書店会館で電子マネーEdyの説明会を開催した。高まる電子マネー需要を受けた説明会で、Edy運営会社の担当者を招き、電子マネーの仕組みから市場と将来性、具体的導入などが示された。
Edyは前払い方式を採用し、電子マネー全体の利用率、加盟店舗数、カード発行枚数ともに現在トップシェア。また、電子マネー専門の運営会社であることから、クレジット系はじめ、各種カードとの提携の幅広さに加え、携帯電話のおサイフケータイにも全社対応しているのが特長。
セキュリティーの高さでも定評があり、チャージ(前払いにて入金)できる金額の上限が五万円であること、また、Edyが採用しているFeliCa(フェリカ)という非接触ICカード技術は、偽造・変造が困難とされている。
通信面ではEdy端末に蓄積されたデータを締め日(例えば月一回)に片道送信を行うのみで、毎回カード情報を照会するクレジットカード端末と異なり、電話回線使用料はわずか。
一方、説明会の質疑では、Edyを含む電子マネー全体に共通する諸事情も露呈。①電子マネーのブランドが乱立し、互換性が難しい、②顧客が電子マネーを利用した場合、ポイントが付与されるイメージが強いが、顧客が使用するカードの種類によって、ポイント対象か否か別れる。ポイント付与の対象は、ほとんどカード会社傘下、または提携店舗の場合、③カードを紛失した場合、第三者からチャージ(前払い)残高の利用を防ぐことはできない、④純利益が実質1~2%と言われる書店経営で、負担費用の数%を支出するのは非現実的、⑤書店により有益な電子マネーシステムが取次から提示される見通しが不透明な状況に加え、電子マネーを選択し見極めるのは困難――などの意見があがった。
しかし、電子マネーは大型店舗を中心に急速に利用環境の整備が図られており、書店にも広がりを見せているのは事実。まずは存在を認識し、市場の動向を把握した上で、今、自店の経営に必要か否かの判断が迫られている。
(澤田直哉広報委員)

2万5千校超える/朝の読書実施校

朝の読書推進協議会(大塚笑子理事長)の発表によると、『朝の読書』運動は19年目を迎え、実施校が9月26日現在で2万5003校となった。
内訳は小学校1万5763校、中学校7446校、高校1794校で、実施率はそれぞれ70%、68%、36%。取り組んでいる児童・生徒総数は約925万人。小・中・高校を合わせた総合実施率上位の都道府県は、佐賀県92%、鳥取県89%、福井県88%、島根県85%、秋田県・長野県84%となっている。
近年はお隣の韓国や台湾でも『朝の読書』が子どもの教育、成長に効果があるとして大きなブームになって、アジアへの拡がりを見せている。

道組合、楽々ほんやさんで勉強会/北海道組合

北海道書店商業組合は9月11日午後2時からホテル札幌ガーデンパレスで「楽々ほんやさん」勉強会を開催した。本年6月の通常総会に発表された指導教育活動の一環として「インターネットを活用した書店経営―本屋の村の先駆的取組み」を研修するため開催されたもの。
参加者は全道各地(遠軽町、日高町、中標津町、函館市他)からと、遠くは青森県から特別参加した書店もあり、パソコン持参で29名が集まった。講師として奈良県より「本屋の村」代表の庫本善夫氏(庫書房)と西本清右氏(ジャパンブックス郡山店)の2名が出席した。
勉強会は「インターネットの世界は現在どのようになっているのか?」をGoogleを中心として概略説明よりスタートし、書店経営ソフト「ラクプロⅡ」を活用した書店業務の改善事例が紹介された。
両講師は、このソフトを使用しながら参加者からの質問、疑問に答え、一歩進んだ使い方で、大型書店に負けない情報検索の方法、携帯電話やネットを使っての定期購読者への入荷案内通知方法など顧客へのサービス向上について丁寧な説明がなされ、予定時間をオーバーする大盛況となった。
(村上正人広報委員)

姉妹で守る文化の灯/愛知県足助町・マンリン書店

愛知県足助(あすけ)は三河と信州を結ぶ中馬街道の宿場町として江戸後期から大正時代に栄えた町だが、中央本線の開通により経済の発展から取り残されてしまった。しかし、近年、白壁の土蔵が美しい観光スポットとして注目を集めるようになった。名古屋から50キロという山間の町で書店とギャラリーを営むマンリン書店に深見寿美子さん、冨佐子さん姉妹を訪ねた。(田中徹編集長)
マンリン書店の創業は昭和5年。前身は萬林呉服店と名乗る在郷の百貨店だった。当主は代々「林右衛門」を名乗り、明治時代には郡内の教科書や郷土史を発行するほどの名望があった。その後、町が寂れていくとともに、書籍部だけを残して呉服店は廃業。姉妹の父、朝之助が書籍部を引継ぎ、新しい時代にあった店をと本と文具、レコードの店「マンリン書店」の看板を掲げた。
父の朝之助も文人の血を引く人物で、終戦後、荒廃した世の中をなんとかしたいと、本屋のかたわら演劇の脚本を書き、宝塚を呼び、映画祭を催し、カメラをやり、文化サークルの中心的役割を担った。「昭和25年から35年ぐらいまで、文化活動を盛んにやって、昭和40年に57歳で亡くなりました」と寿美子さん。
「父は私たちよりずっと文化人で、足助は将来、観光的に脚光を浴びるよと予言していました。ディスカバー・ジャパンのキャンペーンで古い町並みが見直され始めたのがその頃で、足助も町並みを整備して徐々に観光に力を入れていくようになりました」。
父親が亡くなって、書店は母と姉妹が継いだ。マンリン書店は昔の文書蔵をそのまま書店に利用している。間口4間、奥行き4間の16坪。店の奥まで進むと、坪庭のようなサロンがあり、椅子とテーブルが配置されている。さらに奥の綿蔵だったところがギャラリーになっている。
ギャラリーを始めたのは12年前。足助町は平成17年に豊田市に合併したが、旧足助町の人口は1万人を切り9800人ほど。教科書は小学校5校、高校1校を持つが、小学校の全校生徒で350名、高校も3百名ほどで、利益が出ない。集客に役に立てばと始めたのがギャラリーだった。名古屋、岡崎、豊橋と中部全域からお客さんが来る。
訪問した時、ギャラリーで展示していたのは「アジアの美しい布・衣展」。展示品で一番高価な布は150万円というので、思わず手を引っ込めた。ギャラリーを担当する冨紗子さんによると、「企画展次第では一人の作家でかなりの金額を売ったこともあるが、愛知の景気にもかげりが出て、売上げはだいぶ落ちてきた」という。書店の品揃えはコミックがない。雑誌棚に並ぶのも生活・ファッション誌が少々。衣食住を中心とした実用書、美術書、児童書が多い。陶芸や染色などのムックも棚に無造作に並ぶ。
正面ウインドウには大正時代のマッチのラベル・コレクションが飾りつけてあった。東京堂出版の『民家町並み事典』はマンリン書店を取上げているので表紙をディスプレイし、その隣には深見姉妹が監修して自費出版した『足助の昔話』を並べた。
書店担当の寿美子さんは「父は世の中に貢献したいと足助で本屋を始めたのです。コンビニに置いてあるような本や雑誌はもういいだろうと配本を止めてもらいました。仕入れたいのは野の花、器、古民具、美術、旅行、料理といったジャンル。新聞書評や雑誌の書評、DMは気をつけますが、好きな本は目に飛び込んできます。名古屋に行くと、つい大型書店の売り場をのぞいてしまいます」。
ちなみに、これまで手応えを感じた本は『室礼(しつらい)』(山本三千子、叢文社、1575円)。1997年の初版以来累計1000部販売して現在も売れている。『古器と野の花』(京都・マリア書房、3689円)は5百部販売し、出版社始まって以来の販売部数を記録した。直で交渉したところ、6掛で卸してくれた。マンリン書店を紹介した『別冊太陽/住み継ぐ家』(平凡社、2400円)は100部注文すると、10冊献本があった。
妹の冨美子さんは、「ギャラリーで仕入れると掛け率は様々です。本も現金で100部仕入れるから掛け率をいくらにという仕組みがあってもいい。そうすればもっと業界は活性化する。正味が8掛では、都会の人口が多いところならいいが、田舎ではやっていけません」と厳しい意見。
2月上旬から3月上旬にかけて足助では「中馬のおひなさん」という雛祭りのイベントがあり、何万人もの観光客が訪れる。この時に大量に本を買っていく客がいる。気に入った本を仕入れて、それを喜んで買ってくれるお客さんがいれば、こんなに楽しい商売はない。ただ、そういう客が減っているのではないかというのが二人の気がかりなところだ。

ポプラ社社長に小沼氏/坂井氏は傘下4社の社長も退く/ポプラHD

ポプラホールディングス(ポプラHD)は10月1日に臨時取締役会を行い、グループ会社の役員改選を行った。坂井宏先社長がポプラHDのCEOを兼任し、ポプラ社は小沼保衛氏が取締役社長に就任。このほか坂井氏が社長を務めていたポプラコミュニケーションズ、ジャイブ、そうえん社、北京蒲蒲蘭文化発展有限公司の4社の社長を交代し、奥村傳、石川順惠、矢ヶ部博、東谷典尚の各氏がそれぞれ就任した。
10日に新宿区の本社で記者発表が行われ、坂井社長兼CEOは「ポプラHDを中心に今後の継続的な発展に向かうため、私がCEOを兼任し、グループ会社4社の社長を交代して各社に権限を与えた。65歳で引退するまでの3年半の間に後継者を育てるのが狙いだ」と説明した。
ポプラ社の小沼社長は「ズッコケ三人組や、かいけつゾロリなど2、30年やっているものだけに頼るのではなく、新しいキャラクターを一丸となって作り上げたい」と述べた。
◇㈱ポプラホールディングス
代表取締役社長兼CEO
坂井宏先
取締役小沼保衛
同齊藤幸司
同前田茂実
同白土育代
同飯田建
監査役蜂須優二
顧問○臼田浩義
◇㈱ポプラ社
代表取締役坂井宏先
取締役社長○小沼保衛
専務取締役〔総務生産管理局担当〕○齊藤幸司
常務取締役〔総務生産管理局局長〕◎前田茂実
同〔ポプラディア局局長〕
◎飯田建
取締役〔販売局副局長〕
白土育代
同〔販売局局長〕
○遠藤正夫
同〔販売局副局長兼宣伝広報担当〕○奥村傳
同○大熊悟
同○野村浩介
執行役員〔児童書編集局副局長〕井澤みよ子
同〔販売局部長〕
矢ヶ部博
同〔児童書編集局編集長〕小原解子
同〔総務生産管理局海外事業部長兼ポプラディアネット担当〕東谷典尚
同〔販売局部長〕
○笠井信寿
同〔総務生産管理局製作部長〕○武井隆明
同〔販売局関西出張所所長〕○田中俊彦
同〔総務生産管理局人事総務部長兼物流部長〕
○近藤隆史
監査役○蜂須優二
◇ポプラコミュニケーションズ㈱
代表取締役社長◎奥村傳
取締役小沼保衛
同石川順惠
同○野村浩介
監査役○蜂須優二
◇ジャイブ㈱
代表取締役社長◎石川順惠
取締役佐藤秀
同荻野民夫
同奥村傳
同○矢ヶ部博
同○近藤隆史
監査役○蜂須優二
◇㈱そうえん社
代表取締役社長◎矢ヶ部博
取締役遠藤正夫
同福島清
同○田中俊彦
監査役○蜂須優二
◇ポプラクリエイティブネットワーク㈱
代表取締役社長野村浩介
取締役奥村傳
同前田茂実
◇㈱ポプラエディトリアルカンパニー
代表取締役社長大熊悟
取締役井澤みよ子
同笠井信寿
監査役○蜂須優二
◇北京蒲蒲蘭文化発展有限公司
董事長○東谷典尚
董事石川郁子
同盛明(◎昇任、○新任)

催し

◇トーハン書店大学「VMD売場改善セミナー」
11月15日午後1時から、新宿区のトーハン本社大ホールで開催。VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは、お客様の視覚に訴える売場演出により、商品の価値や魅力を高めて購買意欲を図る手法。セミナーでは陳列の基本テクニックや商品レイアウトのポイント、カラーバランス等のVMDノウハウを実践を通し学習する。
講師は㈱カスタマーズアイ・チーフコンサルタントの木村玲華氏。受講料は書店共助会加入店が5千円、非加入店が1万3千円(テキスト代、資料代、消費税含む)。
問い合わせ、申込みはトーハン・コンサルティング教育事業部まで(℡03―3267―8686)。

人事

★東邦書籍
代表取締役社長
杉山利淳
専務取締役前田鋭
※吉見壽文代表取締役会長は退任した

「声」/「下り宮」で有名な一ノ宮貫前神社/桐生市・シロキヤ書店・竹内靖博

群馬県内にある神社仏閣の初詣の客数でトップは一ノ宮貫前神社である。今年は11万5千人と報道されている。この神社は富岡市一ノ宮町にあり、社伝によると鷺宮(現在の安中市)に物部姓礒部氏が、氏神である経津主神(ふつぬしのかみ)を祀り、その南方蓬ヶ丘綾女谷に社を定めたのが安閑天皇の元年(531年)といわれている。
現在の社殿は、徳川三代将軍家光公の命により寛永12年(1635年)に建立されたものである。普通、神社の境内で社殿は参道や門から石段を上がったところにあるが、この神社は正面参道をいったん石段を上がり、総門を潜るとさらに石段を下ったところにある、いわゆる下り宮となる珍しい形式である。
日本三大下り宮として、当社と草部吉見神社、宮崎の鵜戸神社が有名である。華麗な造りの貫前神社は武の神、建国の神として信仰され、本殿、拝殿、楼門は国の重要文化財に指定されている。

第44回文藝賞に磯﨑、丹下両氏/河出書房新社

河出書房新社が主催する第44回文藝賞は、磯﨑憲一郎氏「肝心の子供」、丹下健太氏「青色讃歌」に決定し、10月16日午後6時から山の上ホテルで贈呈式が行われた。
式典では、保坂和志、藤沢周、高橋源一郎、角田光代の各選考委員が選評。このうち高橋氏は「2人ともうますぎて、スタート時に完成度が高くてどうするんだと思った。この先に来る壁をどのように乗り越えるかだが、どんなことがあってもやめないで書き続けることが重要。次の作品と出会う日を楽しみにしている」と激励した。
受賞者のあいさつに続き、河出書房新社・若森繁男社長は「選考会は中身の濃い議論となった。年間で千軒もの書店が閉店したり、返品が増えたりと出版業界にいい流れがない中で、元気な新人が出るのはよいこと。今回の作品は非常に読み応えがあるので皆さん期待して読んでいただきたい。単行本は11月中旬に出る予定だ」と述べた。

本屋のうちそと

第2回新販売システムが中止になったことから、この場を借りて私見を述べさせて戴きます。
日書連の経営実態調査報告書によれば、9割近い書店の規模は100坪以下だ。雑誌と書籍の販売比率は小書店ほど雑誌の占める比率が高くなる。雑誌について40坪以下のお店の約75%が希望通りの入荷がないと回答している。概括すると、圧倒的多数の書店の経営改善ポイントは、雑誌の配本適正化といえよう。
解決策のヒントは、昨年の書店新聞8月1日号で紹介されたパネルディスカッション「書店からみた責任販売制」での主婦の友社・村松社長の発言にある。「業界全体で雑誌の返品率が1%下がれば200億円の利益が上がるはずだ」と断言されて、「大阪屋と組んで5店舗で雑誌の返品率低減のテスト販売を実施した。5%返品を下げていただければ、3・5%のマージンを支払いますと言うものだ。返品分はすべて書店に還元するということで半年実験したが、思った以上に返品が下がった」と述べておられる。
再販制度と委託販売制で成り立っている現状で、書店の粗利益率の拡大要求は出版社・取次・書店の利益分配率の変更となり、問題をこじらせるだけだ。むしろ返品コスト削減によって生まれる業界全体の経常利益を書店に分配する事がポイントではないか。
返品を出せば次回配本を減数するという慣行は縮小再生産を引き起こし、雑誌の販売不振の原因となっている。
希望数を満数配本することを前提に3・5%の正味の引き下げをする、返品を出した書店は現行正味に3・5%の返品コストを自己責任として負担するという考え方はどうだろうか。書店は希望配本を満数売りきれば経常利益は増大し、返品をすれば経常利益は減少する。出版社も取次も返品減に伴う費用の削減によって経常利益は増える。
全体最適化の視点から、こだわりを乗り越えて考えてみるべきだと思う。(井蛙堂)