全国書店新聞
             

令和4年7月1日号

店頭盛り上げるキャンペーン展開/「本の日」(11月1日)企画説明会

日書連が事務局を務める「本の日」実行委員会(矢幡秀治代表=日書連会長)は、11月1日の「本の日」に合わせて10月1日~11月30日の2ヵ月間、全国の書店で各種キャンペーンを展開。「図書カードプレゼントキャンペーン」「ブックカバー大賞」「イベント助成金獲得企画」の三本柱で店頭を盛り上げる。また、日書連「秋の読者還元祭」、出版文化産業振興財団(JPIC)「秋の読書推進月間」と連携し、認知度向上を図る。6月20日にオンラインで開いた出版社向け説明会で、矢幡代表は書店活性化に向けキャンペーンに協力してほしいと呼びかけた。
開会あいさつした矢幡代表は、「本の日」の設立趣旨について「11月1日を中心に全国書店に足を運んでいただき、各書店の魅力を発信して優良な顧客基盤を築き上げ、書店ごとのコミュニティを作る契機となること。書店の現状や存在意義について周知を図りたい」と説明し、協力を呼びかけた。
JPICの近藤敏貴理事長は、22年度の新規事業として実施を決めた「秋の読書推進月間」について説明し、「本の日」実行委員会や読書推進運動協議会、日本図書普及と協力して業界横断型の読書推進キャンペーンを成功させたいと語った。
大垣守弘財務委員長(大垣書店)は「今年はJPICの協力を得て業界全体のコンセンサスのとれた運営体制を構築し、認知度向上を図る」として、出版社に対して期間中の有力新刊・販促施策の投入、拡材や広告への「本の日」ロゴの掲載、自社媒体でのキャンペーン告知、実行委員会への販促情報提供、協賛金の協力を要請した。
図書カードキャンペーン委員会の井之上健浩委員長(久美堂)は図書カードプレゼントキャンペーン、店頭活性化委員会の奥野康作委員長(ブックエース)はブックカバー大賞とイベント助成金獲得企画について説明した。また、双葉社の提案で実施する店頭飾り付けコンクールについて、川庄篤史専務取締役らが概要を説明した。
各キャンペーンの内容は以下の通り。
■図書カードプレゼントキャンペーン10月27日~11月11日の期間中(応募受付は18日まで)、来店した客に総額500万円の図書カードネットギフトを抽選で2200名にプレゼントする。対象は図書カード取扱の全国書店。日本図書普及の協力で作成したキャンペーンポスターを店頭に掲示し、記載されたQRコードを読み取り応募する。今回も日書連「秋の読者還元祭」と共催で実施するため、応募しおりに記載のQRコードから応募することもできる。賞品は、昨年は図書カードネットギフト1000円分が5000名に当たる企画だったが、今年は1万円分×200名、3000円分×500名、1000円分×1500名に変更した。
■ブックカバー大賞文庫本のブックカバーデザインを一般公募する。今年のテーマは「本を持って出かけたくなる」。7月15日~8月31日まで応募を受け付け、参加書店の投票と審査委員の選考で、10月下旬に大賞を発表する。大賞作品は文庫用ブックカバーにして、11月1日から全国の書店で配布する。書店参加の受付は7月1日~8月31日。先着300店舗に実行委員会から1店舗につき3000円を補助する。
■イベント助成金獲得企画期間中の来店促進やキャンペーン認知度向上を目的としたイベントを助成する。オンラインを活用したイベントも対象。10月1日~11月30日開催のイベントを対象に、1店舗5万円を上限に助成する。1法人1店舗のみ。限定30法人。受付期間は8月1日~同31日。12月11日までにイベント報告書を提出し、確認後に助成金を振り込む。
■店頭飾り付けコンクール双葉社は、湊かなえ『告白』の文庫が300万部突破したことを記念し、『告白』『未来』でダブルカバー企画を予定。この2点を中心に湊氏の作品を店頭で展開し、あわせて来春発売予定の同氏デビュー15周年を記念した『告白限定特装版』の告知ポスターの掲出で、店頭飾り付けコンクールを実施する。7月から専用注文書で参加店を募集し、10月20日~11月30日の期間内にTwitterで展開写真を募集する。全国6ブロックごとに選出した優秀店舗で、『告白限定特装版』発売に合わせ来春に湊氏のサイン会を行う。
※キャンペーンの詳細は「本の日」ホームページに掲載。

「秋の読者還元祭2022」実施要項

▽名称「読書週間×本の日秋の読者還元祭2022」(主催=日書連、共催=「本の日」実行委員会)
▽実施期間10月27日(木)より11月11日(金)まで〈11月18日(金)まで応募受付〉
▽対象書店日書連傘下組合加盟書店及び図書カードリーダー端末設置書店、その他全国の希望する書店
▽実施方法期間中に来店した読者にキャンペーンサイトを案内する。読者による応募が必要(1日の応募上限は1回とし、最大23回応募可能、同日内の重複応募はできない)
▽販促物日本図書普及の定期案内物にキャンペーンポスターを同送
①事前告知ポスター=9月中旬に2部送付(日書連及び「本の日」ホームページよりダウンロード可)
②応募用(QRコード掲載)ポスター=10月下旬に2部送付
③QRコード付きしおり=1束(500枚)を3300円(税込)で希望書店に頒布。書籍・雑誌を一定金額(目安は税込500円)購入した読者に進呈し、キャンペーンを案内
しおりとポスターのQRコードは同じ応募サイトにつながる
▽申込方法と締切書店の自主的な申し込み制。書店は注文ハガキに申込束数(1束500枚単位)と実施書店名を記入し、所属の都道府県組合宛に申し込む。しおり配布書店を告知するため、複数店舗分を申込の場合はそれぞれの書店名を記入。複数店舗分を一括申込する書店で各店舗への搬入を希望する場合は、一覧注文書を書店組合に送る。申込締切は7月29日(金)
▽納品と請求方法取引取次経由で10月中旬に納品。代金は取引取次より請求
▽賞品総額500万円
・図書カードネットギフト1万円200本
・同3千円500本
・同1千円1500本
当選者には日本図書普及より直接、図書カードネットギフトをメールで送信。賞品の発送は12月下旬頃の予定
▽報奨金制度しおりを購入して150件以上応募者を集めた組合加盟書店に報奨金3300円(税込)を支払う(購入束数に関わらず上限3300円。同日内の重複応募はできない)
▽しおり無料配布販促活動の一環として、全組合加盟書店にキャンペーンしおり20枚を無料配布。10月中旬に直送
▽広報活動全国書店新聞に実施要項を掲載。日書連及び「本の日」のホームページ、日書連及び「本の日」の公式Twitterで告知

BooksPRO説明会/7月6日、大阪で

「BooksPRO説明会」が7月6日午後2時~3時40分、大阪市北区の大阪市中央公会堂で開催される。日書連近畿ブロック会など主催。会費無料。
JPRO・田中敏隆管理委員長と勝野聡センター長がBooksPROの活用法などを説明。書店を代表して奈良組合・庫本善夫氏が困っていることや疑問点について話し、JPRO―書店―出版社の鼎談では兵庫組合・森忠延理事長が登壇する。

読書推進運動を積極展開/「なごやっ子読書イベント」「孫の日」に資源投入/愛知総会

愛知県書店商業組合は6月9日、名古屋市千種区のホテルルブラ王山で第39回通常総会を開き、組合員98名(委任状、書面議決書含む)が出席した。春井宏之理事長(正文館書店)は、読書推進運動では県民に作家のことを知ってもらう取り組みが重要として、「なごやっ子読書イベント」と「孫の日」キャンペーンに重点的に予算を投入する方針を説明した。
総会は武藤哲哉理事(武藤清洲店)の司会で進行。冒頭あいさつした春井理事長は、デジタルと読書の関係について「将来デジタル化がさらに進んだ時、今より2倍から3倍の人が読書するようになれば成功だが、読書人口が減るようなことがあれば邪魔されただけということになる」と述べ、「『デジタルは便利』と言うだけで、実際に本を読まない人の意見は聞く必要がない。ちゃんと本を読む人たちが望むことを形にしていくのが本質。それを進めていく運動を展開しなければいけない」と訴えた。
また、愛知組合はLINEグループやホームページで組合加盟書店に直接情報を伝えるシステムを構築していることを説明し、「書店間の情報共有でデジタル技術を有効活用したい。待っていれば環境が良くなるという時代ではない。必要なことには自分から積極的に参加し、こうしたほうがいいと提案もしていただきたい」と協力を呼びかけた。
続いて佐藤光弘氏(光書店)を議長に選出して議案審議を行い、令和3年度事業報告、収支決算報告並びに監査報告、令和4年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告は各部会の担当副理事長が説明。読書推進については小原永幸副理事長(文昌堂書店)が、第16回「中学生はこれを読め!」を7月17日~8月31日に13店で実施したと報告。これまで100冊の選書リストは男性のみで選んでいたが、「今年実施する第17回は図書館司書の協力で女性の視点も採り入れて選書した」として積極的な参加を呼びかけた。
また、第60回「青少年によい本をすすめる県民運動」に協賛し、出版社21社から寄贈された児童図書1810冊を70校に届けた。このうち6校には小原委員長、近藤五三六副理事長(近藤商店)らが直接訪問した。
このほか、「孫の日」キャンペーンは9月21日~11月9日に約20店で実施し、出版社15社のおすすめ本15点を拡販した。サン・ジョルディフェスティバル名古屋2021、なごやっ子読書イベントはコロナ禍で中止した。
事業計画を説明した春井理事長は、引き続き読書推進運動を積極的に展開していくとして、「なごやっ子読書イベントと孫の日キャンペーンに予算を投入し、愛知県民に作家を知ってもらうための取り組みを進めたい」と方針を説明した。また、情報提供のあり方について、有益な内容が掲載された冊子などがあれば全組合員に配布していくことを考えたいとした。
最後に、佐藤氏がダーウィンの言葉「生き残る種は最も強い者や最も知的な者ではない。変化に最もよく対応できる者だ」を引用。「私たち書店もそうありたい」と述べ、閉会した。
総会終了後、来年放送予定のNHK大河ドラマ「どうする家康」で愛知県にスポットが当たり、関連書籍についても注目されることから、おかざき塾歴史教室の市橋章男氏を講師に招き、徳川家康をテーマに勉強会を開催した。
埼玉県書店商業組合は5月19日、さいたま市浦和区の埼玉書籍で第38回通常総会を開催。組合員80名(委任状含む)が出席した。
総会は江原宏信事務局長の司会で進行。あいさつした奈良俊一理事長(ならいち)は、ウクライナ情勢の長期化で物価の高騰が続き、コロナ禍と合わせ書店

学校図書館図書整備費の予算化働きかけに役立つパンフ、希望する組合に送付します

文字・活字文化推進機構は全国学校図書館協議会、日本新聞協会、学校図書館整備推進会議とともに、パンフレット「心と考える力を育むために―学校図書館の出番です―」(A4判、16ページ)を作成した。
このパンフレットは、2022年度からスタートした「第6次学校図書館図書整備等5か年計画」の策定に合わせ作成された。「なぜ学校図書館が重要なのか」「予算化のために何をすればよいのか」を分かりやすく紹介している。
このほか、文字・活字文化推進機構は全国学校図書館協議会、学校図書館整備推進会議とともに、2022年度「学校図書館基本図書更新参考リスト」(A4判、20ページ)を作成した。
学校図書館を学習センターや情報センターとして活用し、子どもたちの豊かな心を育むため、最近刊行された0類~8類の図書や、長年親しまれている読み物を含む9類の図書の中から、学校図書館の基本となる図書の候補を集めた。
5か年計画を周知し、各市区町村で予算化されるよう働きかけるため、これらのパンフレットを役立てていただきたい。送付を希望する組合は日書連事務局まで必要部数をお知らせください。

物価高騰が書店経営直撃/奈良理事長「支援策打ち出す」/埼玉総会

埼玉県書店商業組合は5月19日、さいたま市浦和区の埼玉書籍で第38回通常総会を開催。組合員80名(委任状含む)が出席した。
総会は江原宏信事務局長の司会で進行。あいさつした奈良俊一理事長(ならいち)は、ウクライナ情勢の長期化で物価の高騰が続き、コロナ禍と合わせ書店経営に大きな影響を与えていることを懸念。前年に続き書店への支援策を打ち出し、全組合加盟書店が力を合わせて難局を乗り切っていきたいと述べた。
続いて水野兼太郎氏(水野書店)を議長に選出して議案審議を行い、令和3年度事業報告、収支決算、令和4年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
最後に、来賓の埼玉県中小企業団体中央会組合支援部調査役の竹内政美氏が「私は若き日に埼玉県書店商業組合の設立総会に立ち会っており、当時の奈良次男理事長(故人。現理事長の父)の姿を今でも覚えている。長く活動を続けている貴組合のさらなる発展を祈っている」とあいさつした。(水野兼太郎広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「大きくなったら」/兵庫・オクショウ代表・田村恵子

記憶の中にある一番古い「大きくなったら」は本屋さんだった。一人っ子の私はきっと祖母にそう言い聞かせられてきたのだと思う。次に古いのは恐れ多くもタカラジェンヌ。小学校の卒業文集に残っているが、何故だったか今ではわからない。中学生になり関西人にはお馴染みの「林先生」こと林繁和氏に憧れ調理師、高校生では音の面白さと出会い音響エンジニアを目指し、専門学校へ進学した。
学生の間はレコーディングスタジオや舞台などでお手伝いをし、道頓堀にあった小劇団に就職。音響や人を飛ばすワイヤーアクションなどのオペレーターをしていた。その後紆余曲折あり、大手レコードショップで販売業に就き販売の楽しさを知り、結局は家業の本屋になった。
今になって考えると、タカラジェンヌにはなれなかったが、音響エンジニアの端くれとして宝塚歌劇団とお仕事をし、調理師ではないが現在ブックカフェとしてお客様へお食事をお出ししている。こじつけかもしれないが、どれも少しずつ夢を叶えていると過大評価をするのは私の楽観的な性格のせいだろうか。
大人になってから「実家は書店」と言うと、羨ましいと言われることがよくあった。最近では書店を開くことがこれまでよりもハードルが低くなり、小さなセレクト系書店が増えてきたように思う。新しい世代に「本屋さんを開きたい」と思ってもらえるのはいつまでだろうか。これは現在書店を営んでいる私達の大切な使命ではないかと思っている。

ムック返品現地古紙化が実現/小橋川理事長が感謝「念願かなった」/沖縄組合総会

沖縄県書店商業組合は5月23日、那覇市の同組合会議室で第34回通常総会を開催し、組合員26名(委任状含む)が出席した。感染症対策を講じて、2年ぶりの通常開催となった。
総会は竹田祐規事務局長の司会進行で始まり、小橋川篤夫理事長があいさつ。昨年10月21日到着分よりムック返品の現地古紙化がスタートしたことについて、「念願がかなった。出版社や取次各社、関係各位の多大な理解と協力に対して心から感謝申し上げる」と謝意を述べた。
続いて小橋川理事長を議長に議案審議に入り、令和3年度事業報告、収支決算報告、令和4年度事業計画案、収支予算案など、第1号議案から第6号議案まですべての議案を原案通り承認可決した。
令和4年度の取り組みとして、①返品輸送費高騰に伴う返品事業維持に向けた調査・研究、②雑誌・書籍の発売日短縮に向けてのさらなる改善の継続、③書店活性化に向けた取り組み、④新規組合員の加入促進・研究、⑤日書連が取り組んでいる「書店の粗利益拡大」の早期実現に対して当組合も昨年同様に協力していく――と提案した。
任期満了に伴う役員改選では、小橋川理事長以下、現役員が引き続き再任となった。
最後に、大城行治副理事長が「不安定な世界情勢の煽りを受け、原油価格の高騰、円安などの影響が日常生活の中に現れている。いまだ終息しないコロナの影響も相まって書店経営もますます厳しい状況だが、組合員で情報を共有し、力を合わせて県内の出版文化を守るという気概をもって取り組みたい」とあいさつし、散開となった。
[沖縄組合役員体制]
▽理事長=小橋川篤夫(いしだ文栄堂)
▽副理事長=大城行治(大城書店)、真栄城久尚(首里書房)
(竹田祐規事務局長)

コードレス掃除機、組合員に配布/書店活性化事業で/石川総会

石川県書店商業組合は5月20日、金沢市の金沢勤労者プラザで第34期通常総会を開き、組合員34名(委任状含む)が出席した。
冒頭あいさつした宮本秀夫理事長(ブック宮丸)は「34期は書店活性化事業としてコードレス掃除機を組合員に配布した。来店したお客様が気持ちよく選書できるようクリーンネスに努めていただきたい」と述べ、本年も引き続き書店活性化やお客様に還元できる事業を実施すると活動方針を説明した。
続いて宮本理事長を議長に議案審議を行い、第34期事業報告、収支決算、第35期事業計画、収支予算などすべての議案を原案の通り決定した。
また、退会した忠谷久志氏(忠谷書店)に代わる専務理事に堀吉裕理事(堀吉書店)が就任することを決定した。(上村洋事務局長)

訂正

6月15日号1面に掲載した「秋の読者還元祭」実施要項決定に関する記事のリード文で、読者還元祭は今回で3回目とあるのは4回目の誤りです。お詫びして訂正します。

北支部、粗利改善で要望書/正味改訂問題WGで検討へ/東京理事会

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は6月3日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
理事会に先立ち、小学館から『小学館版学習まんが日本の歴史』(全20巻、12月1日発売予定)など同社100周年企画商品の説明があった。『学習まんが日本の歴史』は、累計2090万部超のベストセラー学習まんが『少年少女日本の歴史』を全面リニューアルしたもので、日本史教科書で絶大な実績を持つ山川出版社が編集協力。事業・増売委員会では増売商品として取り上げることを提案し、承認した。
総務・財務委員会では、北支部の片岡隆支部長から書店の粗利改善に関する要望書が届いたと報告。矢幡理事長は「正味改訂問題に関するワーキンググループ」で要望書の内容を検討していきたいと述べた。
再販・発売日・取引改善委員会からは、「雑誌作成上の留意事項2021年改訂版」が「付録のかさ高制限」を撤廃したことから、配達業務等に支障が発生する厚さの付録が出ている問題で、日本雑誌協会が東京組合との意見交換により同留意事項を一部改訂したと報告。付録に関しては厚さが7・5㎝ある雑誌の事例が報告され、引き続き問題事例を収集していくとして、組合事務局まで連絡をと呼びかけた。
理事会終了後、メディアドゥより、書籍のゲラを電子データで閲覧し、仕入れや選書などに活用できるサービス「NetGalley」の登録キャンペーンについて説明があった。

SJの日キャンペーン抽選会/当選者にバラのオブジェ/奈良組合

奈良県書店商業組合は5月20日、大和郡山市のディーズブックスで第6回理事会を開いた。
開会にあたり、林田芳幸理事長(啓林堂書店)は「コロナ禍も緩和の傾向が見られるようだ。頑張って地域に根差した書店を続けよう」とあいさつした。
このあと、4月1日~5月15日に実施した「サン・ジョルディの日」キャンペーンの抽選会を行い、バラのオブジェ(プリザーブドフラワー)10名、500円図書カード200名の当選者を決めた。
また、障碍者作業所に図書装備を依頼する組合事業が試験的にスタートを切ったことが報告された。書店から依頼を受ける価格は、「ラベル1枚・全面装備」の標準装備では組合員書店144円、非組合員書店180円などとなる。総会で発表の予定。
令和4年度総会は8月4日、橿原市の橿原オークホテルで開催することを決めた。昨年と一昨年は組合員の書面出席も可とし、取次や出版社などの来賓は招待せず、懇親会も開いていなかった。
(靏井忠義広報委員)

歌い聞かせやワークショップで絵本楽しむ/福井組合が絵本展

福井県書店商業組合(安部悟理事長)は5月7日、福井市のショッピングセンター(SC)ラブリーパートナーエルパで、絵本展「親子で楽しむ絵本の世界」を開催した。
福音館書店、こぐま社、偕成社の協力を得て、「山本忠敬『とべ!ちいさいプロペラき』パネル展示」「11ぴきのねこのキーワードを見つけよう!」「はらぺこあおむしになって写真を撮ろう」が行われた。
また、安部理事長の娘のシンガーソングライターあべさとえさんが絵本の歌い聞かせを行い、「しかけ絵本ワークショップ」では人気絵本キャラクターのPOPカードを作るなど盛りだくさんの内容で、多くの親子連れに喜ばれた。
また、会場に県教育庁生涯学習課が発行した「『絵本のある子育て』子どもの成長段階に応じた推奨図書幼児編」に掲載された絵本を並べ、抽選で33名に絵本をプレゼントした。
(清水祥三広報委員)

組合加盟書店後押しする事業推進/「親子で楽しむ絵本の世界」開催/福井総会

福井県書店商業組合は5月30日、芦原温泉の灰屋で令和3年度通常総会を開催し、組合員27名(委任状含む)が出席した。
総会は京藤敏実副理事長(ひしだい書店)の司会で進行。冒頭あいさつした安部悟理事長(安部書店)は、3年ぶりに組合員参加のリアル総会が開催できたことを喜び、全国的な組合員数の減少という現実を受け止めて組合加盟書店の後押しができるよう組合事業を展開推進していくとアピール。今年5月7日に福井市のショッピングセンター(SC)エルパで「親子で楽しむ絵本の世界」を開催したことを報告した。
続いて安部理事長を議長に議事に入り、清水祥三副理事長(じっぷじっぷ)が事業報告と決算報告、鈴木英雄監事(鈴木万屋書店)が監査報告を行い、予算案も含め可決した。この後、来賓のトーハン・川本克則北陸支店長、日本出版販売・藤井竜太北陸支店長、聖教新聞社・新井正人関西書籍部長、創価学会・河上和浩福井県事務局長(元聖教新聞社福井支局長)、聖教新聞社・加藤幸治福井支局長があいさつした。
総会終了後、懇親会を催した。(清水祥三広報委員)

紙の出版販売金額1・3%減少/紙と電子合算の販売額は3年連続増加/出版指標年報

全国出版協会・出版科学研究所が発行した『出版指標年報2022年版』によると、2021年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比1・3%減の1兆2080億円となった。内訳は、書籍が同2・1%増の6804億円、雑誌が同5・4%減の5276億円。電子出版は同18・6%増の4662億円と大きく伸長し、紙と電子を合算した販売金額は同3・6%増の1兆6742億円と、3年連続でプラスになった。
〔販売金額が15年ぶりに前年越え/書籍〕
書籍の推定販売金額は6804億円、前年比2・1%増で、書籍市場がプラスとなったのは06年以来15年ぶり。ベストセラーが多かった文芸書が約6%増、教科書改訂で多くの新刊が出た中学学参が約7%増、学校での授業の変則化や子どもたちの在宅時間増が売行きに結び付いた児童書が4%増となるなど、好調なジャンルが多かった。
また、出回り平均価格が前年比3・3%(40円)増の1238円、新刊平均価格が同2・8%(34円)増の1241円といずれも上昇したことに加え、『総合百科事典ポプラディア第三版』(ポプラ社、全18巻セット)が本体価格12万円で発売され、金額ベースの上昇に影響した。
返品率改善も書籍市場のプラスに寄与した。金額返品率は32・5%で同0・5ポイント減。長年にわたる地道な送品適正化の取り組みによって返品率は90年代前半の水準まで回復した。
21年の上半期(1~6月期)は、前年に新型コロナウイルス感染症拡大による書店休業などの影響で落ち込んだ反動と、巣ごもり需要の継続で、前年同期比4・8%増とプラスに推移。しかし感染状況が落ち着いた秋以降は売行きが鈍化。7月期以降は『ポプラディア』刊行の11月期を除き全てマイナスだった。
新刊点数は6万9052点で、前年比0・6%(444点)増と上向いたものの2年連続で7万点を下回った。内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が同0・4%(195点)減の4万7394点、注文扱いの新刊が同3・0%(639点)増の2万1658点。前年はコロナ禍で制作中止や延期が多く、点数が大幅に減少。21年は微減にとどまったが、19年との比較では2千点強減っており、減少傾向が続く。新刊推定発行部数は同0・1%減の2億7836万冊。
21年の単行本総合ベスト10は次の通り。①スマホ脳/アンデシュ・ハンセン/新潮社②推し、燃ゆ/宇佐見りん/河出書房新社③52ヘルツのクジラたち/町田そのこ/中央公論新社④人は話し方が9割/永松茂久/すばる舎⑤秘密の法/大川隆法/幸福の科学出版⑥本当の自由を手に入れるお金の大学/両@リベ大学長/朝日新聞出版⑦よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑/大野萌子/サンマーク出版⑧呪術廻戦逝く夏と還る秋/芥見下々・原作、北國ばらっど・ノベライズ/集英社⑨呪術廻戦夜明けのいばら道/芥見下々・原作、北國ばらっど・ノベライズ/集英社⑩人新世の「資本論」/斎藤幸平/集英社
〔週刊誌が低迷もコミックス健闘/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は5276億円、同5・4%減。内訳は月刊誌が同4・5%減の4451億円、週刊誌が同9・7%減の825億円。月刊誌の内訳は、定期誌が同6・7%減、ムックが同6・1%減、コミックス(単行本、雑誌扱い)が同1・4%減だった。定期誌は、前年はコロナ禍の影響で合併号や刊行延期が続出したが、21年は多くの雑誌が通常刊行に復帰。しかし単号当たりの部数は減少し、メジャーな雑誌の休刊や定期刊行の終了、刊行回数減少などの動きが相次いだ。
20年のコミックス市場は『鬼滅の刃』(集英社)の記録的ヒットで19年比24・9%増と大幅に拡大。21年も、テレビアニメが放映された『呪術廻戦』(集英社)や『東京卍リベンジャーズ』(講談社)がブレイクしたのを始め好調な作品が多く、巣ごもり需要が一巡した夏以降は売行きが落ち着いたものの、年間では前年比1・4%減と微減にとどまる健闘を見せた。
金額返品率は同1・2ポイント増の41・2%。19年、20年とコミックスの好調で改善傾向にあったが再び悪化した。内訳は、月刊誌が同1・0ポイント増の40・5%、週刊誌が同2・3ポイント増の44・6%。推定発行部数は同5・7%減の14億8369万冊で、内訳は月刊誌が同4・5%減の11億1141万冊、週刊誌が同8・9%減の3億7228万冊。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同22点減の2953点、ムックは同413点減の6048点。付録つき雑誌の点数は同469点減の9833点だった。創復刊点数は同10点減の33点と過去最少を更新した。休刊点数は同8点減の90点。『JJ』(光文社)、『Seventeen』(集英社)などの若年層向けから、『ミセス』(文化出版局)、『日本カメラ』(日本カメラ社)など中高年向けまでメジャー誌が相次いで休刊あるいは定期刊行を終了した。
〔コミック2割増で大幅伸長続く/電子出版〕
電子出版の市場規模は4662億円で、同18・6%増と大幅伸長が続いた。内訳は、電子コミック(コミック誌含む)が同20・3%増の4114億円、電子書籍が同12・0%増の449億円、電子雑誌が同10・1%減の99億円。コミックは、前年に巣ごもり需要で拡大したユーザーが定着した上に新規ユーザーも増加。映像化作品のヒットもあり2割増となった。書籍も新規ユーザーの拡大が続く中、セールやキャンペーンでの販売が好調。紙書籍発売と同時の配信など電子化率が高まり、電子化を解禁する作家も増加した。雑誌は、NTTドコモの定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数が減少を続け、4年連続の2桁減。

『人は話し方が9割』好調続く/『同志少女よ、敵を撃て』両社で2位/取次大手2社・22年上半期ベストセラー

トーハン、日本出版販売(日販)は2022年上半期ベストセラー(集計期間=21年11月22日~22年5月21日)を発表した。
総合1位は、トーハンが『WORLDSEIKYOvol.2』(聖教新聞社)、日販が『人は話し方が9割』(すばる舎)となった。2位は両社とも『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)だった。
『人は話し方が9割』は2019年9月に発行し、6月1日現在、30刷105万部を突破している。人と話すことが楽になり会話がうまくいくエッセンスを紹介し、発売当初より売行きが好調だったが、コロナ禍で第1回目の緊急事態宣言が始まった20年4月から、在宅時間が増えたことをきっかけに加速。コミュニケーションの機会が減り、人との関わり方への関心が高まる中、ロングセラーを続けている。日販では21年の年間ベストセラーに続き第1位となった。トーハンでは、『人は聞き方が9割』との合計で総合4位。『話し方』はビジネス書部門において、21年上半期・年間・22年上半期の3回連続でトップを獲得した。
両社とも2位にランクした『同志少女よ、敵を撃て』は、第2次世界大戦の独ソ戦を舞台に、母親を殺されたソ連の少女が復讐のため狙撃兵となり、過酷な戦場を生き抜く姿を描いた作品。第11回アガサ・クリスティー賞では史上初めて選考委員全員が満点を与えて授賞を決めた逢坂冬馬氏のデビュー作で、第166回直木賞の候補となり、今年4月には2022年本屋大賞を受賞した。
[トーハン調べ]
①『WORLDSEIKYOvol.2』聖教新聞社②『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬、早川書房③『メシアの法「愛」に始まり「愛」に終わる』大川隆法、幸福の科学出版④『人は話し方が9割』『人は聞き方が9割』永松茂久、すばる舎⑤『ジェイソン流お金の増やし方』厚切りジェイソン、ぴあ⑥『898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑(上・下)』小学館⑦『コムドット写真集TRACE』コムドット、講談社⑧『聖域』コムドットやまと、KADOKAWA⑨『私が見た未来完全版』たつき諒、飛鳥新社⑩『70歳が老化の分かれ道若さを持続する人、一気に衰える人の違い』和田秀樹、詩想社
[日販調べ]
①『人は話し方が9割』永松茂久、すばる舎②『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬、早川書房③『ジェイソン流お金の増やし方』厚切りジェイソン、ぴあ④『WORLDSEIKYOvol.2』聖教新聞社⑤『メシアの法』大川隆法、幸福の科学出版⑥『私が見た未来完全版』たつき諒、飛鳥新社⑦『聖域』コムドットやまと、KADOKAWA⑧『898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑(上・下)』小学館⑨『本当の自由を手に入れるお金の大学』両@リベ大学長、朝日新聞出版⑩『20代で得た知見』F、KADOKAWA

単体・連結とも増収も最終赤字/株式評価損などで特別損失を計上/トーハン

トーハンは5月31日、2021年度決算(21年4月1日~22年3月31日)を発表。単体・連結とも増収となったが、資本業務提携するメディアドゥ株式の評価損と、旧本社・旧大阪支店の固定資産除却損を特別損失に計上したため最終赤字となった。
決算は、当期から収益認識に関する会計基準を適用しており、従来は営業外費用だった売上割引を、売上高から差し引くなどの変更がある。単体売上高は前年比0・5%増の4013億900万円、営業利益は同98・1%減の6800万円、経常利益は同172・6%増の8億3600万円、当期純損失は17億2900万円(前期は2700万円の黒字)。
単体売上高の内訳は、書籍が同10・6%増の1878億8800万円、雑誌が同3・4%減の1153億6000万円、コミックが同12・6%減の543億2200万円、MM商品が同5・5%減の459億6600万円で、書籍のみ増収となった。
返品率は、前年比0・3ポイント増の36・5%。内訳は、書籍が同2・1ポイント減の34・1%、雑誌が同1・0ポイント増の47・8%、コミックが同2・8ポイント増の22・5%、MM商品が同4・2ポイント増の22・3%。
同日の記者会見で小野晴輝専務は「経常ベースでは増益と堅調だったが、当期はコロナ禍の特需がほぼ一巡し、21年5月以降の店頭POS売上は11ヵ月連続で100%を割っており、市場環境は非常に厳しい1年だった。丸善ジュンク堂書店、宮脇書店の楽天ブックスネットワークからの取引変更があり、特に書籍売上に大きく寄与し、増収を確保することができた」と説明した。
単体の事業別経常損益では、出版流通事業(取次事業)が4億7600万円の損失となったが、前期8億5900万円の損失から、3億8300万円改善した。不動産事業は堅調に推移し、前期から9400万円プラスして14億2000万円の黒字。フィットネスとコワーキングスペースの新規事業はコロナ禍の影響を受け1億700万円の損失となったが、前期から5200万円改善し、赤字幅は縮小している。
出版流通事業の改善について小野専務は、取引変更による増収効果、会計基準変更の影響と、販管費の削減を要因に挙げ、「運賃単価や業務委託料といった物流経費の上昇を、効率販売による返品減少、業量の圧縮や、出版社の協力による運賃協力金によって、ある程度計画的にコントロールできている。人件費削減の効果も大きかった」と述べた。
出版社に要請している運賃協力金では、雑誌の超過運賃負担金の制度改定は、3月末現在で704社中392社、書籍の物流・運賃協力金については1580社中1051社から協力するとの回答を得た。今後も未回答社と協議を継続していく。
特別損失は34億1800万円を計上し、このうち投資有価証券評価損が16億8500万円、固定資産除却損が11億2100万円。投資有価証券評価損の大部分を占めるのは、21年3月に資本業務提携したメディアドゥの株式評価損だが、小野専務は「今回の損失計上は会計上の処理で、キャッシュ面のロスは一切ない。メディアドゥは先期に過去最高益を上げており、現在当社との間でデジタル分野を中心に複数の事業を共同展開し、今後も重要なパートナー。経営上の大きな課題とは認識していない」と説明。固定資産除却損については、旧本社・旧大阪支店の移転などに伴う費用で中期計画に基づくものであり、それぞれ収益物件へと工事を進めていると語った。
連結決算は、売上高が同0・8%増の4281億5100万円、営業利益が同68・3%減の12億7900万円、経常利益が同30・0%減の11億7700万円、親会社株主に帰属する当期純損失が16億4800万円(前期は5億7600万円の黒字)だった。
当期対象の連結子会社は1社増2社減で27社に。持分法適用会社は1社減の11社。
事業セグメント別の経常損益を見ると、物流系は前期とほぼ同水準。書店系は、前期はコロナ特需で特に地方では2桁成長が続いたが、当期は需要が一巡し、コミックが堅調だったものの前期の水準には届かなかった。書店事業は8法人中、最終赤字が3社、黒字が5社。
役員人事は、齊藤貴取締役が常務取締役に昇任、青木亮二執行役員が取締役に新任。また監査役は山下康治執行役員が新任、本川幸史監査役は退任と発表。6月29日開催の株主総会、取締役会で承認された。

日販GHD決算、減収減益に/巣ごもり需要の反動で取次、小売事業が減収

日販グループホールディングス(日販GHD)は6月2日、2021年度決算(21年4月~22年3月)を発表した。海外、雑貨、コンテンツ事業は好調だったものの、取次、小売事業の減収が響き、連結子会社34社を含む連結経営成績は減収減益となった。
日販GHDの売上高は5049億9300万円(前年比3・1%減)、営業利益は28億4000万円(同31・6%減)、経常利益は36億4000万円(同17・5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億9000万円(同43・0%減)となった。
事業別では、取次事業は前年の巣ごもり需要の影響を受け、売上高4605億2400万円(同3・9%減)、営業利益10億3900万円(同11・6%減)、経常利益13億3600万円(同2・7%減)で減収減益となった。書籍は増収となったものの、雑誌、コミック、開発品が減収だった。
小売事業は売上高616億1400万円(同0・8%減)、営業損失2億4600万円(前年は3億2800万円の黒字)、経常損失800万円(前年は3億3600万円の黒字)で減収減益となった。郊外ロードサイド店など前年巣ごもり需要で好調だった店舗が大きく影響を受けた。前年大ヒットしたコミックが反動減となったほか、主要アイテムすべてで減収となった。グループ書店の新規出店は8店舗、閉店は19店舗で、22年3月末時点の店舗数は234店舗となった。
海外事業は売上高70億9600万円(同12・8%増)、営業利益2億2600万円(同33・8%増)、経常利益2億2700万円(同34・5%増)。海外駐在員向け物資送付サービス事業「CLUBJAPAN」の好調で、売上高、営業利益ともに過去最高となった。
雑貨事業は売上高31億9100万円(同27・9%増)、営業利益2億2400万円(同104・4%増)、経常利益2億7200万円(同68・5%増)。こちらも売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。ダルトンの既存店10店舗中9店舗が増収となり、当期新規店の名古屋、大宮も好調だった。
コンテンツ事業は売上高28億7000万円(同47・5%増)、営業利益5億2500万円(同4・4%減)、経常利益5億3100万円(同3・9%減)。海外コミックの国内配信事業「Rush!」が伸長し増収を達成した。減益は事業拡大に伴う人員増強やWebtoon作品制作への投資影響による。
エンタメ事業は検定・イベントに一部中止・延期があったものの、コロナ対策することで46の検定・イベントを開催。売上高14億7300万円(同15・1%増)、営業損失400万円(前年は1500万円の赤字)、経常損失400万円(前年は1600万円の赤字)で赤字幅が縮小した。
不動産事業は新お茶の水ビルディングおよび仙台、名古屋、大阪に所有する各オフィスビルで空室率が1%を切る水準で堅調に推移し、売上高30億9600万円(同0・2%増)、営業利益11億7100万円(同4・3%増)、経常利益10億9500万円(同4・7%増)となった。
ESG(環境・社会・企業統治)を重視した経営の推進について、吉川英作社長は「日販グループにとって最も注力しなければならない概念。日販が取り組む出版流通改革と表裏一体」と強調。返品率を2030年までに15%に削減することで、CO2排出量を26%、2万1000トン削減したいと目標を掲げ、「返品削減はプロフィットを生み出すだけでなく、地球環境への配慮と労働環境改善のどちらにも資する」と社会貢献を重視する姿勢を明確にした。
日本出版販売(日販)単体の売上高は4074億6300万円(同3・0%減)、営業利益7億3400万円(同27・6%減)、経常利益9億3400万円(同19・1%減)、当期純利益4億8500万円(同22・5%増)だった。
商品別売上高は、書籍2118億4300万円(同3・6%増)、雑誌1004億2000万円(同8・0%減)、コミックス717億7400万円(同18・5%減)、開発品249億9300万円(同7・9%減)。書籍は取引先拡大で増収となったが、雑誌は売上げ減に歯止めがかからず減収、コミックスは前期のメガヒットの反動で大幅減となった。
返品率は、書籍27・0%(同1・7ポイント減)、雑誌48・4%(同1・3ポイント増)、コミックス24・4%(同4・7ポイント増)、開発品44・1%(同8・1ポイント増)で、合計34・5%(同0・9ポイント増)と悪化した。書籍返品率は出版流通改革の粗利改善施策などの効果によって着実に改善している。
出版社に求めている運賃協力金は、書籍で約450社、雑誌で約360社から協力を得ているとした。
取引書店数は2526店(同70店減)。

ABSC準備会レポートを発行/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)のアクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)準備会は、アクセシブル・ブックや、ABSCの取り組みについて出版業界内外へ理解促進を図るため、「ABSC準備会レポート」を6月23日に発行した。
ABSCは、読書バリアフリー法の制定を受け、障害者団体からの要望の取次ぎや各出版社の窓口担当者の情報整備などを行う組織で、23年度の設立を予定する。レポートでは、販売書籍の一部について活字で利用できない人にテキストデータを提供している現代書館の菊地泰博社長のインタビューや、オーディオブック配信サービス最大手のオトバンク・上田渉会長のインタビュー、専修大学・野口武悟教授の解説「読書バリアフリー法と出版のかかわり」、点字図書の製作現場風景などを掲載。出版情報登録センター(JPRO)に登録している出版社や障害者団体などに配布した。

新副理事長に文藝春秋・中部嘉人氏/雑協

日本雑誌協会(雑協)は5月31日開催の第67回定時総会で役員改選を行い、以下の通り就任した。○印新任。
▽理事長=堀内丸惠(集英社)
▽副理事長=宮原博昭(学研ホールディングス)、○中部嘉人(文藝春秋)
▽専務理事=鈴木宣幸(日本雑誌協会)
▽理事=石﨑孟(マガジンハウス)、相賀昌宏(小学館)、久保田榮一(扶桑社)、○駒橋憲一(東洋経済新報社)、佐藤隆信(新潮社)、鹿谷史明(ダイヤモンド社)、鈴木美奈子(世界文化ホールディングス)、武田真士男(光文社)、土井成紀(NHK出版)、夏野剛(KADOKAWA)、野間省伸(講談社)、矢﨑謙三(主婦の友社)、矢内廣(ぴあ)、吉田直人(日経BP)
▽監事=青木康晋(朝日新聞出版)、髙納勝寿(主婦と生活社)、山川洋一郎(弁護士)
山縣裕一郎副理事長(東洋経済新報社)は退任した。

日販・奥村景二氏が副会長に就任/取協

日本出版取次協会(取協)は5月26日開催の臨時総会で、今年度の事業計画における重点・推進テーマ「出版関連団体との連携強化」を強力に推進していくため、体制の強化を図ることを目的に副会長を置くことを決議。副会長に日本出版販売(日販)の奥村景二常務理事が就任した。

「秋の読書推進月間」実施へ/推進委員長に紀伊國屋書店・高井昌史氏/JPIC・読進協・図書普及・本の日実行委

出版文化産業振興財団(JPIC)は6月7日に第129回理事会を開催し、2021年度事業及び決算報告、22年度事業収支計画等を承認。22年度の新規事業として、読者を増やし書店への来店を促進する「秋の読書推進月間(仮称)」の推進を承認した。
同事業は業界挙げて行う新たな〝本のお祭り期間〟として、10月27日の「文字・活字文化の日」にスタートし11月1日「本の日」を挟んで展開する「読書週間」を経て、11月30日の「絵本の日」に至るまでの35日間を「秋の読書推進月間」と位置づけ、各種イベントやプロモーション施策を展開するもの。JPICは事務局を担う。
併せて、業界各所で取り組まれてきた読書推進活動についても連携を強化し、一層大きな活動へ進化を図る。これまでリーチできていなかった人々も含め、様々なメディアを通じて本の面白さ、書店の楽しさを伝えることを主眼に進めていく。
この事業を具体的な企画立案で強力に推進し、全国規模で成功させ定着を図っていくため、業界を横断した「推進委員会」を立ち上げ、推進委員長に紀伊國屋書店の高井昌史会長兼社長が就任する。施策の企画検討と活動の実施には、読書推進運動協議会(読進協)、日本図書普及、本の日実行委員会とJPIC専門委員会が協力し行う。詳細は7月に発表する予定。

常任理事に村上和夫氏、曽根良介氏/書協

日本書籍出版協会(書協)は6月16日開催の2022年度定時総会、臨時理事会で、令和4・5年度の役員体制を決定した。○印新任。
▽理事長=小野寺優(河出書房新社)
▽副理事長=井村寿人(勁草書房)、野間省伸(講談社)、相賀昌宏(小学館)、山本憲央(中央経済社ホールディングス)、成瀬雅人(原書房)
▽専務理事=樋口清一(事務局長)
▽常任理事=金原優(医学書院)、○村上和夫(オーム社)、○曽根良介(化学同人)、南條光章(共立出版)、斎藤健司(金の星社)、富永靖弘(新星出版社)、佐藤隆信(新潮社)、岡本功(ひかりのくに)、千葉均(ポプラ社)、江草貞治(有斐閣)
▽理事=筑紫和男(建帛社)、小峰広一郎(小峰書店)、鶴巻謙介(サンクチュアリ・パブリッシング)、太田泰弘(晶文社)、佐藤諭史(新興出版社啓林館)、矢部敬一(創元社)、佐藤歩武(大学書林)、鈴木一行(大修館書店)、喜入冬子(筑摩書房)、○谷口奈緒美(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、黒田拓也(東京大学出版会)、梅澤俊彦(日本医事新報社)、佐藤潤一(福音館書店)、下中美都(平凡社)、内田真介(ベレ出版)、○西村明高(法藏館)、池田和博(丸善出版)、○片岡敦(臨川書店)
▽監事=安部英行(学事出版)、風間敬子(風間書房)、飯塚尚彦(産業図書)、中部嘉人(文藝春秋)、室中道雄(公認会計士)

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

山岸良二著『ここまで解けた縄文・弥生という時代』(KAWADE夢新書890円)は、時として発掘調査が解消に追い込まれながらも、目覚ましく進展をとげる考古学の最新報告である。その前に2001年、アフリカで発見された直立二足歩行していたサヘラントロプスが現在では約700万年前の最古人と考えられている。日本列島の旧石器時代は後とは言え、数万年前である。
縄文像を変革した青森三内丸山遺跡は舟による交易、栗、ゴボウなどの栽培跡もあり、約1500年定住の痕跡がある。
弥生時代の水田、集落や方形周溝墓群が発見された大阪安満遺跡では、今も発掘が続いている。土偶は女性をかたどっていて、仮面の女神、縄文のビーナスと名づけられた国宝もある。北海道垣ノ島遺跡には3歳くらいまでの子供の足形を押した土製品が出土した。
藤尾慎一郎著『日本の先史時代』(中公新書940円)は副題に、旧石器・縄文・弥生・古墳時代を読み直すとある。
3万7000年前に人が日本列島に現れて以来旧石器から縄文、弥生、古墳の各時代と積み重ねてきた。年表、遺跡分布図、土器出現の時代区分など、図表と写真を駆使して分かりやすい。想像力の膨らむ2冊である。

文藝春秋役員人事

文藝春秋は6月23日開催の株主総会、取締役会で以下の役員人事を決定した。○印新任。
代表取締役社長〔経理局統括〕中部嘉人
専務取締役〔社長補佐文藝春秋編集局、週刊文春編集局、コミック編集局、営業局統括〕飯窪成幸
常務取締役〔総務局、デジタル戦略事業局、メディア事業局統括、関連会社(ナンバー編集局、資材製作局担当)〕石井潤一郎
取締役〔宣伝プロモーション局、新規事業開発局統括(メディア事業局担当)〕
小濱千丈
同〔文藝出版局、ライツビジネス局、文春文庫局、ノンフィクション・新書出版局統括〕○大川繁樹
同(総務局、クレア編集局、編集総務局担当)
○河野一郎
執行役員(ライツビジネス局、週刊文春編集局、ノンフィクション・新書出版局、コミック編集局、note担当)島田真
同(文藝出版局、文春文庫局担当)花田朋子
同(文藝春秋編集局担当)新谷学
同(営業局担当)
伊藤健治
同(経理局担当)
船越博貴
同(宣伝プロモーション局、新規事業開発局担当)
○向坊健
同(デジタル戦略事業局、BunshunTechZERO担当)
○吉永龍太
常任監査役○鈴木洋嗣
濵宏行常務取締役は退任、羽鳥好之監査役は辞任した。