全国書店新聞
             

平成24年11月1日号

『ためほんくん絵本版』の導入店を募集/13年3月まで試験運用

日書連は店頭試し読みシステム『ためほんくん絵本版』の試験運用を10月1日から開始。2013年3月31日まで「お試し期間」として導入店を募集する。
利用料は月額1千円(1台、本体価格)。導入初期費用、保証金不要。当面の稼動台数は50台を予定している。問い合わせは日書連事務局まで。

傘下組合員数4621店に/半年で97店減少/組織委員会調べ

今年10月1日現在で各都道府県書店商業組合に加盟する組合員数の合計は今年4月1日対比で97店、2・1%減の4621店になったことが、日書連組織委員会(中山寿賀雄委員長)の調べで明らかになった。
この半年間の新規加入は全国で14店に対し、脱退は111店。組合員数が増えた組合はゼロで、増減なしが青森、秋田、山形、福島、栃木、山梨、奈良、鳥取、岡山、広島、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、沖縄の16組合。残る30組合は組合員数が減少している。

紙面を組合活動紹介の場に/広報活動のあり方をパネル討議/全国広報委員会議

日書連広報委員会は10月17日午後1時から東京・神田駿河台の書店会館で全国広報委員会議を開き、日書連本部委員、各都道府県広報委員、本紙編集部員の総勢41名が出席。1年間の広報活動を振り返り、全国書店新聞の編集方針を話し合った。今回は初の試みとして「日書連広報活動のあり方」と題し、投稿本数の多い広報委員を中心にパネルディスカッションを行った。
会議は東浦澄夫委員の司会、光永和史委員の開会の辞で始まり、面屋龍延委員長があいさつ。面屋委員長は、送品・返品同日精算問題で日書連が公正取引委員会に申告書を提出した件を題材に、書店新聞と業界紙の報道の仕方の違いを解説し、「書店新聞は、日書連が4年間にわたって大手取次に同日精算実現の要請を行ってきたことや、出版物公取協の元永顧問が作成した『同日精算問題等の考え方』の文書の内容、独禁法の優越的濫用についての規定など、この問題の全貌を報道している。日書連と組合員の利益を守ることが第一義であり、それに反する報道はしないというのが機関紙の役割だ」と述べた。
兵庫組合広報委員の安井唯善氏を優秀広報委員として表彰したのち、パネルディスカッション「日書連広報活動のあり方」を行った。パネリストは、北海道・高橋千尋氏、宮城・佐々木栄之氏、京都・澤田直哉氏、兵庫・安井唯善氏、福岡・西村勝氏。コーディネーターを小泉忠男委員が担当し、書店新聞への投稿や、組合独自の広報活動の取り組みを話し合った。
書店新聞に記事を投稿する際に心掛けている点では、以下の指摘があった。「『兵庫組合はこういう活動をしているので、自店に取り入れられることがあったらやってください』という思いで書いている」(安井氏)、「会議後に理事長にインタビューしたり、あいさつ原稿を確認して、意向が記事に反映されるようにしている」(高橋氏)、「その店が参加していないイベントでも、組合が頑張っていることを知ってもらえるのは、投稿する大きな理由になる」(澤田氏)。
新企画については、「いろいろな書店にリレー方式でエッセイを書いてもらっては」(西村氏)、広報活動による被災地支援では、「被災地に図書を寄付する『げんきプロジェクト』を、もっと地元書店が受注できるように盛り上げてもらえたら」(佐々木氏)との意見が出された。
組合独自の広報紙誌については、「FAX通信はネタがなくても用紙いっぱいに書くようにしている」(澤田氏)、「予算が5万円しかなかったので両面コピーの新聞を発行した」(西村氏)などの取り組みを紹介。その他、「山形県の地方出版物が出たらホームページですぐ紹介している」(山形・五十嵐氏)、「『こういうことをしよう』という報道が少ない。ある県が実施するイベントに周りの県が参加できるようなお誘いがあれば」(滋賀・石田氏)などの意見が出た。
会議をまとめて面屋委員長は、「多くの内容ある話をうかがった。共通しているのは、書店新聞を通して組合活動を自県の組合員に紹介することが、広報委員の大きな役割であるということだ。各組合のホームページに催しを掲載する告知板のページを作ってもらい、日書連ホームページでも載せていけば、多くの人に利用してもらえるのではないか」と話した。
日書連大橋信夫会長は、「広報委員の皆さんの熱い思いとともに、各地域でいろいろ抱えている問題があると感じられた。日書連はそれを集める能力が問われている。組織を運営するにあたってもう一度基本に戻ろうと、定款について勉強会を行った。もう少し時間をいただきたい」とあいさつ。吉田徳一郎委員の閉会の辞で会議を終了した。

「京の七夕」に京都組合マスコットキャラ登場

8月4日から13日まで京都市内で開催された「京の七夕」との連携企画として、京都市内商店街・小売市場「京の七夕」統一セールが行われた。国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金を受けて市観光局が実施したもの。
4日午後6時から行われた開幕イベントには、京都府書店商業組合のマスコットキャラクター「ブックン」をはじめ、ゆるキャラと呼ばれるマスコットの着ぐるみ総勢9体が参加。ステージ上でキャンペーン曲「きょうもKYOTOでお買いもの」に合わせて踊って会場を盛り上げ、配布物を手渡しながら商店街を練り歩いた。ブックンは京都組合の襷をかけて手を振るなど、会場を訪れた買い物客や観光客に「京の本屋」をアピールした。
「京の七夕」は京都の新たな風物詩となるイベントで、今年で3回目の開催。期間中、様々な催しが行われた。(澤田直哉広報委員)

書店714名が来場/成約金額大幅増加9147万円に/第3回書店大商談会

「書店大商談会」実行委員会(奥村弘志委員長=南天堂書房)は10月11日、東京・新宿区のベルサール新宿グランドで第3回「書店大商談会」を開いた。日書連、東京組合が後援。
来場書店は未登録者を含め前年比68%増の714名と大幅に伸びた。また、取次来場者148名、出展者スタッフや書店人以外の来場者を含めると1700名を超える盛況になった。成立した商談も、件数が同65%増の3521件、金額が同73%増の9147万2378円と、昨年を大きく上回った。前年の1・5倍となる1500㎡の会場に147社・152ブース(前年96社・100ブース)が出展し、いずれも過去最大規模での開催になった。
会場は「一般書」「ビジネス書」「児童書」「コミック」「その他(第3商材・取次など)」の各コーナーに分かれ、来場者が効率的にブース訪問・商談をできるようになった。
「コミック」コーナーは10社が出展したが、各社別のブースではなくサロン形式で運営。また、「売上げが絶対伸びる!!コミック増売勉強会」を開くなど、出版社と書店が情報交換を行う場にもなった。
「児童書」コーナーは21社が出展し、おはなし会の講習会と相談デスクを設け、ラッピング講習会、コーナー内でのスタンプラリーを実施した。
今回初めて設けられた「その他」コーナーにはトーハン、日販、太洋社、八木書店、ユアーズなど9社が出展し、出版物以外の第三商材を書店に提案した。
2階会場では、『脳を創る読書』の著者で東京大学教授、酒井邦嘉氏のトークイベント「それでも『紙の本』は生き残る!」を開催した。

組合に青年部設立へ/次世代の経営者育成/大分組合

大分県書店商業組合(福田健太郎理事長)は9月25日、大分図書会議室で第28期通常総会を開催し、組合員32名(委任状含む)が出席した。
総会は二階堂衞司副理事長の司会で進行。福田理事長を議長に選出し、事業報告、収支決算報告、予算案などを審議。すべての議案を原案通り承認した。
福田理事長は「環境が変化する中、人との関わりを重視したい。書店組合の将来を見据え、本年度は青年部を設立し、次世代の書店経営者の育成を考えていきたい」と述べた。
総会終了後、理事会を開催した。送品・返品同日精算問題の上申書を作ることを提案し、理事全員が承認。大分組合として文書を提出することを決定した。
(金光直光広報委員)

生活実用書/注目的新刊

医食同源を辞書で引くと、病気をなおすのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同じだということ(広辞苑)とある。
飯塚律子著『体が元気になる症状別「食べ合わせ」88』(実業之日本社じっぴコンパクト新書102762円)は不調を改善、美容に効果、未病に働く、老化を防ぐ、の4章に88種のお料理レシピが紹介されている。
たとえばストレスに強くなる、にはキャベツ+玉ねぎ+パルメザンチーズ。神経過敏を防ぐビタミンB1、B12、C、U、ナイアシン、クエン酸などの多いチーズ風味の野菜たっぷりスープがお勧め。
シミを防ぐにはパセリ+小松菜+すだちで作るグリーンジュース。二日酔いになりやすい人は生ゆば+生うに+生わさびが良く、生ゆばのうにかさね、べっこうあんかけ。
糖尿病を防ぐためにはカロリーオーバーの体重管理、不規則な食事の改善など8つの注意点を挙げたうえで、あじ+菜の花+酢を使ったあじと菜の花の昆布じめである。中年太りには、まいたけ+木綿豆腐+赤とうがらしで豆腐とまいたけのピリ辛炒め。
症状別の食生活アドバイスと食材、日々の生活に取り入れて欲しい料理を紹介して、生涯現役を目指してもらいたいと、著者は提案する。
関宏美著『365日「蒸し野菜生活」健康法』(講談社+α新書595-1B838円)は年々少なくなっている日本人の野菜摂取量を改善するために、蒸し野菜の食べ方を解説する。20歳以上の一日の野菜摂取量350グラムの目標値に対し、現代人の平均値は281・7グラムという。
蒸し料理ならカサが減るのでたくさん食べられるうえに低カロリー、冷えから守るなど、その魅力の10ヵ条や、野菜別の保存方法、効能などが詳しく語られる。
野菜の「五色」赤、黄、青(緑)、白、黒を取り入れるのも大切で、青は肝の血液循環を促進し、代謝を助け、疲労回復、免疫力アップの効果があり、白は肺機能の強化と胃腸機能の改善を促すというように色にも意味がある。
ドレッシング代わりにかける「野菜あん」レシピも13種紹介されている。
いずれも食べ物を見直して健康で元気な体を取り戻そうとする医食同源の本である。
(遊友出版斎藤一郎)

訃報

高野嗣男氏(たかの・つぎお=日本書店商業組合連合会相談役、埼玉県書店商業組合相談役、須原屋相談役)
10月21日午前6時40分、誤嚥性肺炎で死去。88歳。通夜は27日午後6時から、告別式は28日午前11時半からさいたま市浦和区の蓮昌寺会館で営まれた。須原屋、埼玉県教科書供給所、埼玉書籍、高野家の合同葬。喪主は須原屋社長の高野隆氏。
昭和54年から58年、昭和63年から平成7年まで日書連副会長。流通対策委員長として書店経営合理化16項目を策定するなど、全国書店の経営改善のために活躍した。また、須原屋研修所で全国から多数の研修生を預かり、後進の育成に尽力した。

BOOKEXPO2012/11月9日に大阪で大商談会

昨年、大阪で初めて行われた大商談会が、「BOOKEXPO2012秋の陣~極めろ!書店力~」と題し、今年も梅田スカイビル「アウラホール」を会場に開催されます。関西の出版社や第三商材社も出展し、商談に限らず、貴重な情報交換の場となります。本会限定の情報や特典、楽しく・役立つイベントをご用意して、売場ご担当者様の皆様の来場をお待ちしています。ぜひお越しください。
▽日時2012年11月9日(金)午前11時~午後5時
▽会場梅田スカイビル10階「アウラホール」大阪府大阪市北区大淀中1―1
▽出展141社・136ブース
▽問い合わせ「BOOKEXPO2012」実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=JPIC)まで。℡03―5211―7282FAX03―5211―7285

ポケッター2013残部僅少です

薄型でハンディサイズが好評な日書連のオリジナル手帳『ポケッター2013年版』の注文はお済みでしょうか。売切れが迫っておりますので、直接、日書連「ポケッター係」までご注文ください。店名なし1セット(100部)本体8650円です。
日書連組織委員会

江戸川乱歩賞

日本推理作家協会主催、講談社・フジテレビジョン後援の第58回江戸川乱歩賞の贈呈式が、9月13日に東京・千代田区の帝国ホテルで行われた。
今回受賞したのは、高野史緒氏の『カラマーゾフの妹』。贈呈式では、日本推理作家協会の東野圭吾理事長、講談社の野間省伸社長、フジテレビの大多亮常務があいさつ。東野理事長から高野氏に正賞の江戸川乱歩像と副賞が贈られた後、選考委員の桐野夏生氏が選評。受賞者の高野氏は「この作品は最初から乱歩賞に応募しようと書き始めたものではない。震災の時、人間いつ死ぬか分からないと強く実感し、やろうと思えばできたことをやらないで死ぬのは嫌だと思った。それまで心の中に引っかかっていた乱歩賞もその一つで、乱歩賞に応募してから死にたいと思い、今まで書いてきたものをコンパクトにまとめて応募した」とあいさつした。

講談社ノンフィクション賞・エッセイ賞・科学出版賞

第34回講談社ノンフィクション賞に大鹿靖明氏『メルトダウンドキュメント福島第一原発事故』(講談社)、安田浩一氏『ネットと愛国在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)、第28回講談社エッセイ賞に平松洋子氏『野蛮な読書』(集英社)、第28回講談社科学出版賞に大須賀健氏『ゼロからわかるブラックホール時空を歪める暗黒天体が吸い込み、輝き、噴出するメカニズム』(講談社)が決まり、9月21日に千代田区の東京會館で贈呈式が行われた。
贈呈式では、講談社・野間省伸社長があいさつを述べた後、受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。ノンフィクション賞を受賞した大鹿氏は「取材で知りえた情報は驚くような内容が多く、真相に迫る努力をもっとしなければいけないと思った。今回の受賞にうぬぼれず、期待に応えて新しい作品を作りたい」、安田氏は「在特会の集会に足を運んで、そのパワー、憎悪に圧倒された。そしてある種の羨望に近い感情も僕の中にあった。しかし、そうした人々の言説が当たり前となっていくような社会にはしたくない。そのために何をしなければいけないか、一生懸命考えていきたい」と述べた。

「芸術新潮」がグランプリ/雑誌大賞

2012年上半期(1月~6月)に刊行された雑誌の中から「この1冊は凄かった」という雑誌を雑誌編集長と書店員が選ぶ「第4回雑誌大賞」(雑誌大賞実行委員会主催)は、グランプリに「芸術新潮4月号『大友克洋の衝撃』」(新潮社)が決まり、9月25日に東京・港区の電通ホールで贈賞式が開かれた。
グランプリに選ばれた同号は、漫画家・大友克洋氏のイラストによる表紙のインパクトとともに、描きおろしSF短篇やロングインタビュー、全点撮りおろしの特別誌上GENGA展と内容が充実していたことが評価された。特に書店からは、雑誌、コミック、芸術と売場も多面展開でき、多くの読者を取り込めたことが高く評価された。
贈賞式では、日本雑誌協会の石﨑孟理事長から芸術新潮の米谷一志編集長に記念のトロフィーが贈られた。米谷編集長は「仕事柄、撮影で国宝に間近で接することが多いが、大友氏の原画を見たときが編集者生活の中で一番感激した」とあいさつした。
その他の受賞雑誌は以下の通り。
▽準グランプリ=「Domani6月号『バッグサイズ』」(小学館)▽TRENDMAKEMAGAZINE賞=「FYTTE『カーヴィーダンス/樫木裕実』」(学研パブリッシング)▽雑誌新人賞=「Richesse」(ハースト婦人画報社)▽POWERFULMAGAZINE賞=「週刊文春」(文藝春秋)

人事

★栗田出版販売
(10月1日付)
代表取締役郷田照雄
取締役河本正美
同山本高秀
同下村賢一
監査役米沢明男
〈執行役員担当業務の一部変更〉
社長郷田照雄
専務執行役員河本正美
常務執行役員(管理部門統括)山本高秀
同(営業部門統括)
下村賢一
執行役員(営業第一部・営業第五部・営業推進部担当)高梨秀一郎
同(営業第二部担当)
塩沢衛
同(営業第三部・営業第四部・営業第六部担当)
森孝弘
同(書籍仕入部長・雑誌仕入部担当)森岡忠弘
同(ブックサービス担当)
川窪克誌
同(黒木書店担当)
大内浩幸

9月期は5・4%の減/実用書・書籍コミックが不振/日販調べ

日販営業推進室調べの9月期書店分類別売上調査は、対前年売上増加率が5・4%減と先月を1・4ポイント上回った。
雑誌は全体で5・7%減と先月より2・7ポイント上昇した。週刊誌は6・3%減で、前年に分冊百科が創刊され売上を牽引していたことなどが影響した。コミックは5・7%減。前年は『君に届け14』(集英社)が好調だったほか、今年発売のなかった講談社銘柄も売上良好だったため、マイナスが続いた。
書籍は全体で5・1%減と、先月を0・2ポイント下回った。実用書は19・1%減で、前年にメディア影響によりタニタ関連銘柄が売上を伸ばしていた反動で落ち込んだ。書籍コミックは、約9ヵ月ぶりに発売された『テルマエ・ロマエ5』(エンターブレイン)が売上を牽引したものの、前年に良好だった角川書店新刊銘柄の売上には届かず、11・2%の減少となった。

「ワンピース」の限定版図書カードを発売/日本図書普及

日本図書普及は、大人気コミック「ワンピース」の限定版図書カードを11月22日に発売する。
限定版「ワンピース」図書カードは、新作映画『ワンピースフィルムゼット』の公開に先立って発売される限定デザインの図書カード。絵柄は〈ワンピースフィルムゼット〉と〈ONEPIECE展〉の1千円カード2種類。特製の台紙・外袋付き。

キンドルついに日本上陸/価格8480円から/アマゾン

米アマゾン・ドット・コムは10月24日、電子書籍端末「キンドル・ペーパーホワイト」を11月19日に日本市場で発売すると発表し、同日から予約受付を開始した。タブレット端末「キンドル・ファイア」も12月19日に日本で発売する。また、電子書籍を販売する「キンドル・ストア」を10月25日にオープンした。
発売する電子書籍端末「キンドル・ペーパーホワイト」は、高解像度、高コントラストのタッチスクリーンに内蔵型ライトと8週間使えるバッテリーを搭載している。内蔵のWi―Fiで本をダウンロードすることができ、1000冊以上保存できる。価格は8480円。国内無料3G接続に対応した機種は1万2980円。音楽やゲームも楽しめるタブレット端末「キンドル・ファイア」は1万2800円。「キンドル・ファイアHD」は16Gモデルが1万5800円、32Gモデルが1万9800円。
キンドル・ストアでは、オリコン週間ランキング入りしている書籍・文庫・漫画など、5万冊を超える日本語書籍を販売する。『光圀伝』(角川グループパブリッシング)、『ツナグ』(新潮社)、『テルマエロマエ』シリーズ(エンターブレイン)、人気作家の大沢在昌、貴志祐介の本も取り揃える。夏目漱石、太宰治、宮沢賢治をはじめとする文豪の名作など1万冊以上の日本語書籍も楽しむことができる。世界的ヒット作を含む英語・その他の言語の書籍も140万冊以上提供する。

読書週間に合わせブックリスト作成/トーハン

トーハンは読書週間(10月27日~11月9日)に合わせてブックリストを作成した。書店のレジ等でのサービスツールとしての配布や、店頭でのブックフェア展開の選書リストとしての活用などを目的に作成したもの。今年の標語「ホントノキズナ」にちなんで、「本」「家族」「友人」「動物」との“キズナ”を4つのカテゴリーに分けて、合計23点掲載している。体裁はA4判四つ折りのコンパクトサイズ。

ドワンゴが電子書籍配信開始/出版社124社と提携

ドワンゴとニワンゴは10月24日、電子書籍配信サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」で電子書籍約3万2000冊の配信を開始した。
集英社、講談社、小学館、角川グループなど124社と提携し、コミックを中心にライトノベルや写真集などを揃える。配信コンテンツは「ONEPIECE」(集英社)、「宇宙兄弟」(講談社)、「名探偵コナン」(小学館)、「図書館戦争」(角川書店)など。このうち8000冊以上はレンタル(期限付き配信)機能に対応し、気軽に閲覧できる。価格は出版社が決定し、書籍によって異なる。
配信開始に合わせて、iOSアプリ「ニコニコ静画(電子書籍)」をアップデートし、ユーザーインターフェイスの刷新、アプリ内課金に対応したほか、公式ストア第1弾として集英社「ジャンプコミックストア」がオープン。アプリ内課金採用の電子書籍アプリとしては最多のコミック数を誇るという。
10月17日、東京・港区のニコファーレで行われた発表会で、ドワンゴの伴龍一郎企画開発部長は「11年のオリコン年間ランキングの上位25冊中、23冊を配信できることになった。電子化されていない作品がまだたくさんある。自分が営業をかけてでもタイトル数を増やしたい」と話した。

講談社文庫、電子書籍を定期配信/書店店頭と相乗効果

講談社は10月12日から講談社文庫の電子書籍の定期配信を開始した。同社は今年6月に新刊と電子書籍を同時配信する体制を整え、最多で月200点の電子書籍を配信してきたが、これまで文庫は対象になっていなかった。今後は文庫の新刊を約1ヵ月遅れの翌月第2金曜日に電子書籍で定期配信する。
文庫の定期配信により「紙と電子の相乗効果で読書市場を広げる」施策を展開し、①電子書店への定期的な来店に結び付ける②文庫から約1ヵ月遅れの配信で書籍本体と宣伝を連動する③リアル書店店頭と連動する――ことを目指す。
10月12日に配信されたのは『sex』(石田衣良)、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』(辻村深月)、『煙か土か食い物』(舞城王太郎)、『女薫の旅』シリーズ(神崎京介)など73点。これに先がけ9月14日27点、21日30点、28日44点をプレ配信し、好調。定期配信開始後は売上がさらに伸長した。同社は「今後はその他の電子書籍書目についても定期配信を開始し、市場の充実、拡大、読者の利便性向上と信頼を高めることに注力する」としている。

神田村こう使っている

〔新刊が注文通り配本/売上げ、利益率とも伸長〕
書店はこれからどうすればいいのか。田舎で書店を経営し、ずっと悩んでいるテーマであり、おそらく全国の書店の皆様も同様の悩みを抱いているものだと思います。本が売れなくなったと長いこと言われ、アマゾンなどのネット販売の台頭で、書店、特に田舎の小さな書店はもう必要ないとも言われています。実際に必要のなくなった人もいるでしょう。けれど書店がないから仕方なくネットで買うという層も含め、書店で買いたいと思っているお客様がいる限り、私達は書店員であり続けるべきだと思います。特にネット販売があるがゆえに、実際に手で触れ、中を見て買える事の意味も見直されています。
現在の書店業界の流れのように規模のみを追求しなければ書店はやっていけないのか。その疑問に自信を持って「NO」と言える書店のあり方を、私は神田村との取引で学ぶ事が出来ました。お客様はまだまだ本を求めています。そして町の小さな書店もなくては困るお客様がまだまだ沢山いらっしゃるのです。電子書籍やネット販売はあくまで販売チャンネルの一つであり、小さな書店が閉店せざるを得なくなる原因のすべてではないのです。本を売っても利益が出ない体質こそ大きな問題なのです。
中小書店にとって最も頭の痛いのは新刊配本問題です。中小書店も取次のお客様であるはずなのに、当然のように「おたくには配本ありません」という対応。書店で、お客様に「貴方には売れませんよ」と言っているようなものです。しかも、その後のフォローもありません。ほしければ手数料のかかる高い仕入れ方法を利用して下さいと言わんばかり。同じ本を売っても大手書店と中小書店の利益に大きな差が生まれる原因の一つです。
私はそのような状況の中で書店を経営してきました。最初の頃は何度も大手取次営業にかけあい、なんとかしてほしいと懇願しました。けれど、いっこうに改善されることはありませんでした。そしていつの間にか「新刊を確保する」事が一番の仕事になっていました。高い手数料を払って仕入れた本をようやく店に出して一息、そしてまた次をどう確保しようかと考える。売れても利益は少なく、そしてそもそも数も少ない。このようなスパイラルに陥り、いつしかもう書店に未来はないと本気で悩むようになっていました。
そんな時「書店新聞」で神田村の記事に出会いました。神田村との取引の衝撃は大きなものでした。新刊を頼むと、きちんと送ってくれたのです。特にずっと配本の無かった新刊文庫本が普通に注文通り配本された時は嬉しさのあまり涙したものです。この時「やっと『本当の書店』になれた!スタート地点に立てた!」と実感しました。
神田村はそれぞれの取次によって取引している出版社が違います。けれど、横の繋がりが非常に強く、扱っていない出版社の本を注文しても、「うちでは扱ってないけどねー、ちょっと別の所に聞いてみるよ」と、快く神田村の別の取次から探し出して来てくれます。決して大手取次に劣っている事はありません。いや、むしろ中小書店にとっては優っている所ばかりなのではないでしょうか。
現在、神田村のお陰で「本を売る」事に力を注ぐ営業が出来るようになり、売上げも伸びています。本の売場も新刊のお陰で色々と回転し常に新しい売り場を作れるようになりました。そして何よりも商売を続ける上で大事な利益率も上がり、「まだまだ本を売る仕事が出来るんだ!」という前向きな気持ちを与えてくれています。
神田村の存在は、これからも諦めずに頑張ろうと思っている中小書店にとって、とても大きな助けになる事は間違いありません。純粋に読者と本を結びつける手助けをしたいと願う私たちのような書店と神田村の間には、同じ願いを持ち続ける「同志」としての絆が存在しているのではないでしょうか。
(東北地方・A書店)