全国書店新聞
             

令和2年9月15日号

松信裕理事長を再選/粗利益拡大の必要性訴える/神奈川組合総会

神奈川県書店商業組合は8月24日、横浜市中区の横浜市社会福祉協議会大会議室で第43回通常総会を開催し、組合員81名(委任状、書面議決書含む)が出席した。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から書面議決権を行使するよう呼びかけ、本人出席9名と少人数で開催した。出版社や取次などを交えて横浜中華街で行う恒例の懇親会も取り止めた。役員改選では松信裕理事長(有隣堂)を再選した。松信理事長は粗利益拡大の必要性を訴え、「今のままでは書店経営を続けることは難しい。書店組合には戦う姿勢も必要」と2期目の所信を述べた。
総会は天野潔理事(弘集堂本店)の司会で進行。筒井正博常務理事(伊勢治書店)の開会の辞で始まり、松信理事長があいさつ。
松信理事長は、新型コロナウイルス感染症の影響について「緊急事態宣言が発出された後、巣ごもり消費の恩恵もあって売上好調の書店も多かったが、宣言が解除されて以降は勢いが失われてきている」と懸念を示した。
日書連が重要課題として推進している、粗利益拡大で書店経営環境改善を目指す運動については、「多くの組合から『粗利益は30%必要』との主張が出ている。神奈川組合も今の粗利益では経営を続けることは難しいと考えており、取引条件を改善しなければ書店数の減少は止まらないという認識で一致している。何とかしなければお先真っ暗の状況になる」と訴えた。
また、8月12日死去した奥村弘志氏が中心となって発足した全国書店再生支援財団と日書連による、1店舗あたり5万円を支給する「新型コロナウイルス対策支援金」に言及。「厳しい状況の中で全国の書店に頑張ってもらおうと奥村さんが考えたもの。感謝する」と奥村氏の業績を称え、冥福を祈った。
引き続き村上弘一副理事長(村上書店)を議長に選出して議案審議を行い、令和1年度事業報告、決算並びに監査報告、令和2年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、松信理事長がコロナ後の世界について「今までの生活スタイルが大きく変わる。経済の落ち込みも長引くことが予想される」と指摘し、「出版業界と書店は『不況に強い業種』と言われてきた。人々はコロナ後の世界にどう対応していけばいいのか迷いと戸惑いがあるはず。買物時の接触を恐れて電子書籍に走ることはあると思うが、それでもこれからの混迷の時代に本の果たす役割は大きい。書店の苦境は基本的には続くとはいえ、自信をもって書店業の責任を果たしていきたい。書店から感染者を出さないよう対策をしっかりと立て、店内を清潔に保ち、お客様にも従業員にも安心してもらえる書店でありたい」と述べた。
各委員会報告では、増売・読書推進委員会から「ファミリー読書の日」(毎月第1日曜日)の推進、神奈川県子ども読書活動推進会議の活動、神奈川県読書推進会主催、神奈川新聞社・神奈川組合後援の「大好きな本絵画コンクール」、神奈川県住宅供給公社・神奈川新聞社主催、神奈川組合協力の「おうち絵画コンテスト」、「夏のすいせん図書読書感想文コンクール」などについて報告があった。
広報委員会は、理事会の議事録作成、理事会記事の全国書店新聞への投稿を中心に活動したことと、山本雅之理事(金文堂信濃屋書店)が全国書店新聞の連載コラム「春夏秋冬本屋です」の執筆者として年6回投稿したことを報告した。
役員改選では、選考委員の天野、山本両理事から理事21名、監事2名の推薦名簿の発表があり、全会一致で承認した。
岩下寛治副理事長(岩下書店)の閉会の辞で総会を終了した。
このあと初理事会を開き、松信理事長を再選した。副理事長と常務理事は10月定例理事会で決める。松信理事長は「厳しい時代が続いている。書店組合も戦う姿勢が必要だ」と述べ、協力を求めた。

レジ袋有料化に伴う万引増加に対処/マイバッグ使用マナー啓発で万引防止機構がポスター作成

7月1日から全国の小売店でプラスチックレジ袋の提供が有料化されたことに伴い、マイバッグを悪用した万引の増加が懸念されている。これに対処するため、全国万引犯罪防止機構(竹花豊理事長)はこのほど、マイバッグ使用マナーに関する普及啓発ポスターを作成。小売店や関連団体などに画像データを提供し、店頭に掲示するなど活用を呼びかけている。
ポスターでは、マイバッグ使用の際の店内マナーとして、①店内では備え付けの買い物カゴを使う、②マイバッグは精算が済んでから使う、③マイバッグを店内に持ち込む際は折りたたんでおく、④他店で買い物したマイバッグはバッグの口を締めて入店する――を守るよう求めている。ポスターは2種類用意した。
環境問題からマイバッグの普及が始まった2010年実施の調査に基づき、同機構は12年、「マイバッグ普及に伴う万引犯罪増加への対応に関する提言」を発表し、マイバッグ使用の店内マナー遵守を呼びかけた。以来、「環境問題に配慮しながら、万引犯罪の増加を防ぐためには、マイバッグ使用マナーの普及が必要」という基本的なスタンスに変わりはないが、レジ袋有料化で万引が増加傾向にあるとの一部小売店や警備関係者からの指摘もあることから、同機構名の啓発ポスターを作った。
要望があれば各都道府県書店商業組合にもポスターの画像データを送信する。問い合わせは同機構事務局(担当=阿部信行)まで。℡03(5244)5612

春の書店くじ立て替え金を振り込みました

今春実施した「2020春の書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等5千円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認くださいますようお願いいたします。
日書連書店くじ係

「京都本大賞」最終ノミネート作品決定

「第八回みんなで選ぶ京都本大賞」(同実行委員会主催、京都府書店商業組合後援)の最終ノミネート作品は、『手のひらの京(みやこ)』(綿矢りさ、新潮文庫)、『活動寫眞の女』(浅田次郎、双葉文庫)、『二十年目の桜疎水』(大石直紀、光文社文庫)の3作品に決まった。
京都府を舞台にした小説の中から最も地元の人々に読んでほしい作品を、書店員だけでなく読者とともに投票で決定する。投票期間は9月11日~30日。大賞の発表は10月30日。

出版女性人の会講演会/オンラインで11月20日開催/参加者を募集

出版業界に勤める女性有志による「出版女性人の会オンライン講演会」が11月20日(金)午後6時、Zoomで開催される。
この会は16年12月に第1回を開催してから今年で5回目の開催。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、初めてのオンライン開催となる。全国の書店、取次、出版社などの女性にとって、業種を問わず会社や世代を超えて「出版」「女性」をキーワードに集う仲間とのネットワーク構築に役立つ絶好の機会となる。
今回の講師は、『夫のトリセツ』『妻のトリセツ』をはじめ脳についての著書が多くある感性リサーチ代表取締役社長・人口知能研究者の黒川伊保子氏。「働く女子のトリセツ~女性脳を最大限に仕事に活かすには~」(仮)をテーマに講演する。
参加申込は、QRコードまたはアドレス(https://forms.gle/21iMty1332Ms1AVf6)の申込フォームから。参加申込者に後日URLを配布する。参加には動画視聴の推奨環境等の事前確認が必要となる。詳細は申込の際に確認可能。参加費無料(回線利用料は参加者負担)。申込締切は10月20日(火)。
発起人は、BOOKS隆文堂・高橋小織、朗月堂・須藤令子、BOOKSあんとく・安徳紀美、講談社・鶴見直子、小学館・矢崎恵里子、集英社・早乙女純子、KADOKAWA・上村裕子の各氏。
幹事は、KADOKAWA・大木絢加、青春出版社・栗生圭子、ディスカヴァー・トゥエンティワン・谷口奈緒美、筑摩書房・土屋ちひろ、宙出版・高島裕未の各氏。
問い合わせは、筑摩書房・土屋氏(