全国書店新聞
             

平成18年4月11日号

4月20日に日書連共済会緊急理事会

4月1日から施行される改正保険業法への対応をめぐって、日書連共済会は4月20日午前9時半より書店会館で緊急理事会を開催する。
同法は無認可共済事業に対する規制を意図しており、20日の理事会には中小企業団体中央会中澤善美主管を招いて、日書連共済会の今後の運営を検討する。

『ダ・ヴィンチ・コード』文庫版、「初版配本ゼロ」が多数/東京組合が調査

角川書店が3月10日、『ダ・ヴィンチ・コード』文庫版(上・中・下)を初版各60万部、合計180万部発行し、書店223法人・4500店舗で責任販売制を20年ぶりに導入。500万部を目指す――との新聞報道を受けて、東京都書店商業組合は3月20日、全組合員を対象に初版配本状況について緊急アンケート調査を実施。この結果、配本ゼロの書店が多数にのぼったことが明らかになった。
4月4日午後2時から開かれた定例理事会で、経営・取引委員会の越石委員長は「3月15日、組合員から初回配本が少なく困っているので実態を調査してほしいと依頼があった。3月20日に全組合員にアンケート調査票を送付した」と、調査実施に至った経緯を説明した。
アンケート調査は「角川書店版”ダ・ヴィンチ・コード”文庫の初版配本調査」のタイトルで上・中・下それぞれの初版配本部数を訊ねたもの。この結果、配本ゼロの書店が多数にのぼることが明らかになった。配本部数ゼロの書店からは「あきらめている」「角川のパターン配本はランク外のため注文のみ」「条件を平等に提示せず、特定の大型店にのみ配布しての半独占販売方式は平等の原理に反する」「お客様から多数の問い合わせがあり、版元に注文しても届かず、たいへん困っている」などの声があがっている。
同組合幹部は理事会当日の午前、書店会館に角川書店担当者を呼び、今回の経緯について話を聞いた。理事会では責任販売制や情報開示のあり方など様々な問題について議論を深め、今後の方針をとりまとめていくことで意見集約した。
このほか理事会では、柴崎副理事長が「読者謝恩図書カード」について「3月29日に完売した」と報告、組合員の協力に感謝した。同カードは3万枚制作し、昨年11月から販売を開始。書店にできる読者サービスとして組合あげて取り組んできたもの。支部一括購入等により年度内完売の目標を達成した。
組織強化委員会の鳥井委員長からは組合員異動状況について報告があった。3月期の新規加入は、2月10日にオープンした時代小説専門新刊書店「時代屋」(千代田区)の1店のみ。一方、脱退は18店にのぼった。また、4月1日現在の東京組合加入書店数は前年より39店少ない760店になった。年間の新規加入は7店、脱退は46店。
万引き問題では、小林委員長が、中3生6人が昨年11月に武蔵野市のマンガ専門書店でわずか2日の間にマンガ本209冊を万引きした、と読売新聞3月2日付夕刊の記事を引用して報告。少年らは「マンガが読みたかった。売って小遣いも欲しかった」と供述しているという。また、警視庁から3月10日付で「万引き防止対策の推進について(依頼)」との文書が東京組合に届いたと報告した。同文書は青少年健全育成の観点からも早急な対策が求められるとして、防犯設備の設置、防犯責任者の指定等の工夫で「万引きを寄せ付けない店舗」の普及に協力してほしいと求めている。
第30回通常総代会は5月18日午後2時から台東区の池之端文化センターで開く。これまで総代会終了後に行なっていた永年勤続従業員表彰および組合・支部功労者表彰の式典は今回取り止める。質疑応答と委員会報告の時間を増やし、徹底審議を行なうため。組合・支部功労者表彰は総代会で行い、従業員表彰は賞状等を勤務先に送付する。
〔久我山駅舎内出店差止め申立て却下で、出版社員から激励の声〕
東京・杉並区の久我山書店と板橋書店が、京王書籍販売(啓文堂書店)による京王井の頭線久我山駅舎内への出店に対して出店差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てたが、昨年12月6日、却下された。
中小企業者の生存権を守るため提訴に踏み切った2書店だが、仮処分申請却下後、板橋書店は廃業。残る久我山書店は当初、売上げがダウンしたが、地域住民等の応援もあり営業を続けている。また、山田社長の主張が朝日新聞、出版ニュース、文化通信で取り上げられ、同書店には出版業界関係者から励ましの声が多数寄せられている。
ある出版社の社員からは「読者を支えているのは地域の書店さん。今回の問題は小売店間の商売ということだけではなく文化を守るという意味が大きく、マスコミはもっと大きく取り上げるべき」との手紙が届いたという。

本屋大賞に『東京タワー』/全国書店員が投票

全国の書店員がいちばん売りたい本を投票で選ぶ「本屋大賞」の第3回受賞作品がリリー・フランキー氏の『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社)に決まり、4月5日、東京・港区の明治記念館で授賞式が開かれた。
同作品は人気イラストレーターのリリー・フランキー氏初の長編小説。母と子、父と子、友情などの普遍的なテーマを描いて話題となり、130万部のベストセラーとなっている。テレビドラマ化も決定している。
授賞式では主催者を代表して「NPО法人本屋大賞実行委員会」浜本茂理事長があいさつ。「有志団体だった実行委員会は昨年12月、NPО法人の認可を受けた。過去2回の受賞作品はいずれも受賞後に売上げを伸ばしてベストセラーになっている。本日これからが勝負の気持ちで売っていただきたい」と述べた。
リリー・フランキー氏は「賞には無縁と思っていた。この賞は始まったときから素敵な賞と思っていたので、いただくことができてうれしい。書店員の皆さんが本を読者に届けてくれていることに感謝している」と受賞の喜びを語った。
この賞は「売場からベストセラーをつくる!」をキャッチフレーズにスタート。第1回は「博士の愛した数式」(小川洋子著)、第2回は「夜のピクニック」(恩田陸著)が受賞。今年は04年12月1日~05年11月30日に刊行された日本の小説の中から、286書店368名の書店員が3作品を選んで、上位11作品をノミネート。2次投票は239書店290名の書店員がベスト3を投票して大賞を決めた。

生活実用書/注目的新刊

工藤隆雄著『カラー版山歩き12か月』(中公新書1839980円)は、帯に大人の遠足読本とあるように、難しくない山歩き48コースが季節ごとに紹介されている。
4月の項のトップはJR中央本線上野原駅から行く、奥多摩エリア最南端の生藤山。「きっとさん」と呼ぶのが正しいが「しょうとうさん」と言う人の方が多いようだ。登山口から杉林の間を登る中級コースで約4時間半の行程。4月上旬には桜が咲き、富士山まで見える眺望が美しい。
5月の玉原湿原は群馬県。関東一のブナ林を始め、ミズバショウ、ショウジョウバカマなどの花々が楽しめる。
本書は樹林のきれいな山や季節の花が豊かな山など、ゆっくり歩いて自然をもっと堪能しようと提案する。著者が病から回復した時、山歩き講座を持って、60歳過ぎの男性や子育てを終えた女性などの受講生に、喜んでもらいたいと考えたコースだった。内心では物足りなさを感じるのだが、やがてスローな分だけ自然の姿に惹かれるようになっ
て、ハードなばかりが登山ではないと気づくのである。
そのせいか、山の写真のほかに実に野の花がカラーで数多く掲載されている。コースガイドと共に、花図鑑としても役立ちそうである。巻末には山歩きの鉄則12箇条と、山の本50冊も紹介されている。
柳宗民著『カラー新書日本の花』(ちくま新書584950円)は園芸研究家が語る四季の花観賞記である。春夏秋冬の4章に構成され、たとえば春はすみれ類、さくらそう、あやめ、じんちょうげ、さくら、ふじなど12種。中でも、かたくりは早春の山野に見られる美しい花。古くは球根が片栗粉として食用にされてきたが、現在市販され
ているのはジャガイモの澱粉である。北半球温帯域に広く分布し、北米では黄花や白花種もあるという。球根は意外に深いため、園芸用には底の深い腰高鉢を用いる。
ガーデニングブームは一千年も前に始まっていて、大陸との交易の中で、薬用植物として渡来した花がたくさんある。菊も奈良時代に不老長寿の薬草として中国から輸入されたものなのである。
48種の花の来歴に、相田あずみ氏の挿画も添えられる。
いずれも自然を楽しみ、愛でるカラー新書である。
(遊友出版斎藤一郎)

750社の出展見込む/第13回東京国際ブックフェア

「東京国際ブックフェア(TIBF)2006特別説明会」が4月4日午後2時から東京・有明の東京ビッグサイト「レセプションホール」で開かれ、出版社、報道関係者など約6百名が出席した。
はじめにTIBF実行委員会の朝倉邦造実行委員長が「展示会をフルに利用して商売に役立ててほしい」とあいさつ。出版関連8団体と共同で主催するリードエグジビションジャパンからブックフェアの概要や併催イベント、前回来場者の分析、来場者動員活動などの説明があった。
第13回となる今回は、7月6日から9日までの4日間、東京ビッグサイトで開催。出展社は昨年の638社を上回って過去最高となる750社、このうち国内580社(昨年498社)、海外170社(昨年140社)となる見通し。また、来場者も昨年の4万8412名から、今年は5万3千人に拡大することが見込まれている。リードエグジビションジャパンでは、「2009年に出展社1千社、来場者7万人を目指す」としている。
TIBFには、仕入れなどの商談の場として来場する真剣な業界人が年々増えており、書店と出版社の商談が活発に行なわれたほか、海外出版社との著作権取引が増加している。書店来場者は昨年の4364人から今年は4600人、海外来場者も昨年の1030人から今年は1200人に増える見通しで、さらに大きなビジネスの場となることが期待される。
専門書コーナーでは、自然科学書、人文・社会科学書、児童書、編集制作プロダクション、学習書・教育ソフト、デジタルパブリッシングの各フェアを行なう。特設コーナーでは、書店向け店舗管理システム、語学教育の各コーナーのほか、さまざまなアート書籍を一堂に集めた「アートブックスクエア」を新設する。
また、会期中は各種のイベントを実施。7月6日は開会式と、VIPのためのレセプションパーティー。7日は国内外の版権担当者・編集者のための情報交換パーティー、8日は「2006年本の学校出版産業シンポジウムin東京」が行なわれる。
お茶の水女子大学教授の藤原正彦氏が6日に基調講演「国語が祖国を救う」を行なうほか、出版業界関係者を対象とした専門セミナー(7月6日、7日)の書店員コースでは、①書店の最新動向②売上アップにつながる児童書売場作り③複合商材で店頭活性④ディスプレイをテーマに講演が行なわれる。

日書連のうごき

3月1日共有書店マスタ・ユーザ会全体報告会に丸岡、井門、志賀、大川各役員が出席。
3月2日平成17年度全国団体事務局代表者会議に大川専務理事が出席。
3月6日読書推進運動協議会全体事業委員会に大川専務理事が出席。
3月7日環境改善検討ワーキング機関。丸岡会長など4名の役員が、CVS向け付録問題で集英社を訪問。
3月8日第11回JPO運営委員会に志賀副会長と大川専務理事が出席。日本図書普及との二者会談、井門、志賀両副会長と大川専務理事が訪問。ICタグ標準化委員会に小林委員など3名が出席。
3月10日JPIC第31回定例評議員会、第75回定例理事会に丸岡会長ほか担当役員が出席。ハリー・ポッター第6巻の配本問題で、藤原副会長と大川専務理事が静山社を訪問。旺文社主催第49回全国学芸科学コンクール表彰式に丸岡会長が出席。
3月13日3・13重税反対全国統一行動中央集会。
3月14日JPO派遣委員&情報化推進専門委員合同会議でICタグ標準化モデルを検討。
3月15日第45回全出版人大会協賛団体事務局会議に大川専務理事が出席。
3月16日光文シエラザード文化財団第9回光文三賞贈呈式に丸岡会長と大川専務理事が出席。第3回「文字・活字文化の日」出版連絡会に大川専務理事が出席。「本の学校」東京運営委員会。
3月17日取協書籍進行委員会と「春の書店くじ」二者会談。
3月19日大阪府立高校図書館システム説明会に長尾専門委員が出席。
3月20日日本出版クラブ理事会・評議員会に丸岡会長が出席。
3月22日第4回次世代メディアコンテンツ店舗活性化研究会に、川崎、岩瀬両専門委員が出席。志賀副会長と大川専務理事が大阪屋を訪れ、日書連情報化推進問題で意見交換。
3月23日出版倫理協議会に大橋副会長ほか担当役員が出席。日書連共済会運営委員会で、改正保険業法問題で今後のあり方を検討。
3月24日九州雑誌センター第3回取締役会、全国中小企業団体中央会第184回理事会、箱根芦ノ湖国際聖道場新評議員会、「日本絵本賞」表彰式等々、いずれも丸岡会長が出席。出版平和堂維持会役員会に大川専務理事が出席。大阪府立高校IT化問題で長尾専門委員が出席。
3月27日出版ゾーニング委員会に大橋副会長が出席。
3月28日日本図書普及との二者会談に、井門、志賀、大川各役員が出席。
3月29日日本図書普及役員会に丸岡会長ほか担当役員が出席。活字文化推進会議に高須副会長と大川専務理事が出席。井門副会長と大川専務理事が主婦の友社と雑誌返品問題で懇談。
3月30日大阪府立高校図書館問題で長尾専門委員が出席。
3月31日日書連情報化推進で、志賀副会長と大川専務理事が、小学館、集英社、講談社を訪問。

返品7%下げ、売上げ10%増/主婦の友社・雑誌返品減少企画で、低減目標達成した豊中・毛利書店

主婦の友社の雑誌返品減少企画で、返品率を7・3%下げ、実売率を10・79%と2ケタアップさせたのが豊中市の毛利書店。毛利元治社長(60歳)に同店が取組んだ返品減少の実践を聞いてみた。
大阪ミナミの黒門市場と並び称されるのが、梅田から阪急宝塚線で11分、「庄内」駅前の豊南市場。生鮮食料品を中心に50数軒が軒を連ね、人と自転車があふれている。毛利書店は豊南市場の先、国道176号線に面して東町店(14坪)、駅をはさんだ西口には本店(13坪)とサンパティオ店(75坪)がある。
阪神大震災で豊中は大きな被害を受け、豊南市場は5カ月にわたり閉鎖した。不景気が長引くこともあって、以前の賑わいは取り戻せない。「大阪から電車で10分足らずの距離なのに物価は安いし、典型的な下町です。住民は建設関係のブルーカラーが多いので、景気の波をもろに受けますね」と毛利社長は土地柄を説明する。
主婦の友社の返品減少企画は大阪屋に声をかけられた。参加した5法人の中では、自分の店が一番規模が小さい。雑誌主体で経営している町の本屋の代表として、結果を出したいと考えた。大阪屋との企画窓口になったサン・パティオ店田辺店長には「うちだけできんと、カッコ悪いで」と対策を練った。
主婦の友社の対象誌は別掲の18誌。誌名を徹底するためレジ台に対象誌を書き出して従業員への徹底を図った。社員、パート社員が8人集まる月曜の朝礼ごとに中間集計を発表した。陳列場所は競合誌より目立つ場所に、月刊誌なら次号発売まで並べるよう気を配った。立ち読み客は雑誌を元の場所に戻すとは限らず、他誌の上に放り出していくことも多い。平台や棚に隠れる雑誌がないように、整理整頓を心がけた。かつて書店大学の研修会に通っていた毛利社長は、棚の整理や商品管理などパート社員やアルバイトにOJTの手法で意識付けができたと振り返る。
対象誌18誌は半年間、毎週在庫調査を行って次号の発注に生かした。本支店は2百メートル以内にあるので、店舗間で商品をローリングして品切れを防いだ。大阪屋は毎月、18誌の返品率を報告してきた。
主婦の友社の今回の企画は前年の仕入数を下回らないという条件が付いていた。毛利書店の仕入数は前年同期比1部増。「仕入数をいじらずに仕上がり率をいかに上げるかということで、最後の2カ月は週2、3回在庫調査をかけ、細かく部数調整した」という。
こうした努力の結果、前年4―9月期に18誌計で31・6%あった返品率は24・3%に低下した。売上げが増加したのは『Ray』『mina』『Cawaii!』『Pre―mo』『HANACHU』『ZAKKAカタログ』の6誌。
月2回刊誌の『mina』は前年の販売部数207部を300部に売り伸ばし、返品率は30・1%から18・7%に低下した。若い女性向けの勢いがある雑誌があったので、全体でも2ケタ増になったと毛利社長は分析する。
毛利書店の売上げは一昨年が96・7、昨年が95・2。18誌の売上げは店の平均を上回った。「マメに作業したのでよい数字が出せたが、半年間だから出来た。今後続けるとなると、いろいろな工夫が必要だと思う」と毛利社長は言う。「返品率を下げて書店の利益率を高めようという主婦の友社の意向はうれしかった。現状では粗利が少なすぎて、社員に仕事に見合った給料が出せない。これでは先行き人材難になる。それと中小書店への新刊配本がなくなっている。梅田まで行かなくてもベストセラーが手に入れば、お客様は喜んでくれる。それが町の本屋の使命なんだが」と表情が翳った。
〔返品減少対象18誌〕
『主婦の友』『Pre―mo』『Como』『プラスワンリビング』『ZAKKAカタログ』『ef』『声優グランプリ』『SCawaii!』『ゆうゆう』『My40s』『Baby―mo』『健康』『園芸ガイド』『Ray』『mina』『Cawaii!』『HANACHU』『ロト・ナンバーズ超的中法』
【雑誌返品率低減企画報告/主婦の友社】
〔企画趣旨〕業界全体の課題である雑誌返品率低減に向けてのテスト。返品率の低減から生まれる出版社の利益を書店とシェアすることで、雑誌返品率と書店の営業利益率の両方の改善を目標とする。
〔実施内容〕大阪屋帳合でPOSを導入している書店5法人を対象に、主婦の友社指定18誌の返品率を、昨年の仕入数を下回らずに5%削減すれば、対象雑誌売上額の3・5%をバックマージンとして支払う。
〔企画実施期間〕平成17年4月~9月発売雑誌。
〔検証方法〕前年同期間の参加書店の実績を対象数値とし、本年度の同期間の送品・返品の実数確認。
〔企画に関しての意見〕
書店
☆収支のプラスを目標に、仕入を調整し返品の減少を目指す作業は、非常に楽しかった。
☆通常業務の中で、残念ながら返品に関する意識が希薄であったが、今回のこの企画に取り組むことによって、以前よりも-層、返品に対しての意識が出た。
☆店員が返品を意識し、雑誌を売る為には基本的なことだが、雑誌は重なって陳列されていないか?店内をまめに整理してまわっているか?などの社員教育・商品管理の向上にも繋がった。
☆18誌を良い所に陳列するなどの現場指示が非常に難しかった。(管理アイテムが多い)
☆途中、販売会社との配本に関する連携が上手くいかなかった点も見られた。
☆書店マージン増だけでなく、返品滅という双方にメリットが出る形を目指したい。
☆半年間限定での返品滅は可能だが、今回と同様の条件で継続するとなると書店は大変厳しい。毎回返品率5%ダウンは不可能。
☆雑誌に勢いがあるものがあったから、達成することが可能だった。すべて厳しい雑誌では達成はおぽつかない。
販売会社
☆今回の実施はテストとして位置付けられていたので、対象書店様の実践データの取り出しから集計作業に至るまでが、実際には手作業によらざるを得なかった。こういった企画は集計単位が法人単位になるが、法人内で廃業店が発生した場合や、商品の発売本数に変更があった場合などを考慮に入れたシステム構築が必要と考える。
〔問題点・要望点〕
書店
☆18誌に関してだけならば、現場の意識徹底も可能であったが、企画参加版元が増え、管理アイテムがより増えるとなると、取り組みは難しい。それぐらい、現場指示の徹底が難しい。
☆書店によって取り組む雑誌を選び、立地状況などを勘案して企画に参加する方式も検討してほしい。
☆仕入数滅でも実売増ならば達成としてもらうことも検討してほしい。
☆継続するなら、書店利益の向上のためにも、この企画の雑誌に関しては時限再販商品としていただき、企画達成の為の書店の販売手段を広げてほしい。
☆毎回返品率を下げることは不可能なので、一定の返品率を設定して、企画を継続させることを検討してほしい。

取次各社で一斉に新入社員入社式

取次各社は新入社員を迎え1日と3日に入社式を行った。新入社員数はトーハンが3名増の49名、日販6名減の49名、栗田1名増の5名だった。
■トーハン新入社員は49名(男子23名、女子26名)。1日午前9時半より本社8階大ホールで入社式を行い、小林辰三郎社長が次のように訓示した。
「現代の企業はビジネス上の競争に勝ち抜くだけでなく、社会に貢献し、人々に必要とされる企業であり続け、顧客ニーズに応え企業価値を高める変革のスピードアップが求められる。出版業界も大きな転換期を迎えている。トーハンはリーディングカンパニーとして、本を読者の手まで確実に届ける使命を果たそうとしている。そのため社を挙げて取組んでいるのが桶川計画であり、皆さんにも参画してもらいたい。トーハンの一員として、企業人として視野を拡げる努力を怠らず、困難に挑戦する気持ちを持ち続けることを期待する。日々の仕事を丁寧に積み重ねつつ、チャンスが訪れたら全力で結果を出し、信頼を勝ち取ってほしい。一人ひとりが地道に努力する社風を受け継ぎ、守り続けてほしいと念願している」
■日販3日、本社5階会議室で入社式を開催。今年度新入社員は49名(男子34名、女子15名)だった。式典は鶴田社長あいさつ、新入社員答辞に続き、社歌を斉唱した。鶴田社長のあいさつ要旨は以下。
「9月で創業満57年を迎える日販はメディアの進展に伴い様々な挑戦をしてきた。ネット流通では本やタウンの仕組みを開発し、ネット書店との取引もある。出版物以外の商材では、7月にCCCと新会社MPDを設立。DVD・CD等の商物流を一本化し、他の追随を許さないナンバーワン戦略を展開する。雑誌の定期購読者を囲い込む戦略として、マガジンエキスプレスサービスも開発した。新しい分野に先見性を持って取り組むのは日販の企業風土。一方で出版流通の基本型はきちんと構築しており、その上で新時代に先駆けていこうとしている。これから研修を受け、色々な職場に配属されるが、まず配属先の仕事を完全にマスターしてほしい。そこには必ず新しい発見があり、次の新しい発想も見えてくる。仕事を通じ日販と社会を見つめてほしい。日販はみなさんに人生の舞台を提供する。何を考え、ものにするかは、みなさん個々の成長に委ねる。有意義な会社人生を過ごされることを願っている」
■栗田栗田出版販売は3日午前8時半より本社3階会議室で新入社員入社式を挙行。その後新入社員5名(男子1名、女子4名)を紹介する全社朝礼を開催した。郷田社長あいさつ要旨は以下。
「当社は大正7年に創業し88年を迎える歴史ある会社だ。この間は厳しい時代もあり、先輩諸氏が知恵と工夫で乗り切って今日がある。一昨年創業家から株式を買取り、従業員持株会を中心とした新しい会社になって3年。皆さんの若々しい力を会社の中で存分に発揮していただきたい。これから言う3つをキチンとやれば、社会人として一人前になれる。ひとつは仕事を道楽でしなさい。仕事は厳しいものだが、楽しむ気持ちを持つと新しい感性でものが見える。二つ目は人と付き合うときは長所を見る。学生時代と違い、社会人になると年齢も、境遇も、立場も違う人たちと付き合うことになる。そのときは相手の良いところを見つけ、理解するよう努力してほしい。3つ目は必ずメモを取りなさい。以上を念頭に誇りを持った仕事をしてほしい。最後に、出版業界の一翼を担う出版販売会社の社員として、ぜひ本を読んでいただきたい。なぜ自分が栗田を選んだのか、どういう仕事をしたいのか、志を持ち、大きく成長することを期待する」

人事

◇日本文芸社
(3月29日付、○新任)
取締役会長稲垣正夫
代表取締役社長西澤宗治
代表取締役専務小高敏元
専務取締役大内都紀夫
取締役友田満
同東道郎
同○北野弘志
同○菅俊英
阿部林一郎、荒井清、窪田寅男の3取締役は退任し、阿部氏は相談役に、窪田氏は顧問に就任。

支社長に代わりCOO/全国を5地域制で営業/日販

日販は4月1日付で第59期組織機構の一部改訂と職制の人事異動を発令した。組織改訂では営業本部、支社を廃止。全国を首都圏、東部、名古屋・中部、関西・岡山、広島・四国・九州の5地域に分けるとともに、各地域に支社長に代わるエリア経営の責任者として地域COO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)を置いた。
各支店には支店長の代わりに地区COOを置き、一定の決済権限と責任を委譲。意思決定の迅速化を図る。特販支社は特販営業部に名称を変更した。
4月に設立する新会社「MPD」に関しては、事業戦略部を中心としたTSUTAYA向けの営業窓口、物流機能を新会社に移管した。役員待遇、部長級の人事異動は以下の通り。○印昇任。
【人事】(役員待遇)
経営戦略室長・関連企業担当・役員待遇(経営戦略室長・関連企業担当)
○三浦正一
不動産事業部長・役員待遇(不動産事業部長)
○石田正樹
雑誌部長・役員待遇兼週刊誌課長(雑誌部長・役員待遇)市川賢一
取引部長・役員待遇(取引部長)○兼子信之営業推進室長・役員待遇(事業戦略部長・役員待遇兼国際課長)加藤哲朗
名古屋・中部地域COO・役員待遇(名古屋支社長・役員待遇)吉島哲夫
大阪支店地区COO・役員待遇(大阪支店長・役員待遇)福田保
広島・四国・九州地域COO・役員待遇(中国・四国支社長)○根岸真
【人事】(部長級)
▽経営戦略室部長(経営相談室長)松本敏明▽経営戦略室部長出向(経理部財務課長)○久保朗▽経営戦略室部長出向(名古屋支社課長出向)○高橋敏明▽経営戦略室部長出向(経営戦略室長・ライツ事業担当)小松賢志▽経理部長(経理部ビジネスサポートセンター長)○酒井和彦▽システム部部長出向(システム部課長出向)○萩原篤▽ネット事業部長(営業推進室長)大河内充▽経営相談室長(人事総務部MBO推進課長)○藤原博文▽事業戦略部長(事業戦略部仕入課長)○露木洋一▽WWW推進部長(東部支社長)鈴木敏夫▽東京支店地区COO(東京支店長)杉本滋樹▽東部地域COO兼東北支店地区COO(東北支店長兼東北支店営業第二課長)○高瀬伸英▽九州支店地区COO(九州支社長)南雲勉
▽流通計画室長兼流通計画室FAシステム課長(流通計画室流通計画課長)○椿辰雄▽流通管理部長(流通管理部調達課長)○吉川浩
▽CVS流通センター所長(流通管理部長兼流通管理部サービスセンター長)森山正道▽新座返品センター部長(物流部門担当付勤務)星野逸郎▽物流部門担当付部長出向(CVS流通センター所長)飯田哲夫▽
CVS部勤務(名古屋支店長)平居俊一▽首都圏地域勤務出向(首都圏支社部長)谷譲二▽物流部門担当付勤務出向(事業戦略部部長兼本所メディアセンター長)上田繁樹▽物流部門担当付勤務出向(中部支社長)宇田川拡

本屋のうちそと

4月は残酷極まる月で、最後の2日間が土日である。当店の取次は月末の28日には今月の請求金額を全額振り込むように言うだろう。しかし当店が請求される金額を支払うには最後の土日の売上げを待たなくてはならない。勝手に5月1日の支払いにしたら「送品停止」だろうか。最近私はそれでも良いと思っている。業界からすれば今や小型店の我が店、二、三日荷物が止まった所で売上げに左程影響はないだろう。
取次の昨年9月の中間決算は貸倒引当金が大幅なマイナスだった。私はこの数字が未だに信じられない。当店のような小型店には「担保を出せ、保証を付けろ」と言うのに、大型店からは何も取らずに出店させ続けていたのだろうか。取次は大型店を次々に出店させては、売上げの下がった当店に対しては「潰れそうな店は閉店するか他の取次へ行ってくれ」と言う。大切な大型店の売上確保に当店は邪魔なのだろう。
今、日本国は年収700万円以上の国民の税収で動いている。国からすれば年収300万円以下の国民は税収効率上、居ても居なくても良いのかも知れない。それと同じく月商300万円以下の書店を取次は要らないのだろう。取次の役員の方々はハッキリと言えばいい「我々の20代・30代、青春や結婚の時期に取次の売上げを稼いでいた中小の書店を我々は今や必要としない」と。
時は春、今宵は満月、浮世の嫌な事はしばし忘れて夜桜でも見に行こうか「行く春の恋とも呼べぬ一夜かな」(海人)