全国書店新聞
             

平成19年1月1日号

我が社のイチ押し企画/NHK出版/販売部テキスト雑誌課・田中伸一

2月16日発売!
別冊NHKきょうの料理「これからの『料理入門』」
人気料理番組「NHKきょうの料理」が、2007年の11月に、おかげさまで放送が始まって50年を迎えます。
「きょうの料理」放送50年の記念企画として出版するのが、本書です。
2月16日、定価2940円(税込)AB判(288ページ)ムックです。12月より、実物有代見本を使っての積極的な事前の予約販売をお願いしております。
本書の主な特徴は、第一に、ずばりこれから料理を始めるすべての人が対象ということです。また本文の活字を大きくしてわかりやすくするなど、とりわけ団塊の世代をも意識した作りになっています。
第二に、どなたにでもきちんとつくれるように、プロセスページでは、難しい料理用語を使わず、わかりやすい解説になっております。
第三に、本書で使用する調味料は、コンビニエンスストアで入手可能なもののみです。調理器や器具も、普通の家庭に常備されている用具に限られています。
そして綴じ込み付録として、切り離せて使いやすいとっても便利な「下ごしらえ百科」(カラー36ページ)が付きます。
販売の促進にあたっては、実物有代見本、チラシやパンフの拡販材料をご利用いただき、一冊でも多くの予約獲得をお願いします。販売促進費として10部以上を販売していただいた書店様(単店)に、一部あたり140円をお支払いいたします。締切りは、2007年11月末日付です。詳細につきましては、NHK出版販売部までご連絡お願いします。
また、放送開始50年という節目の年に、番組の魅力アップにともない新年度より、テキストも内容をさらに充実し、判型をB5判からAB判へ拡大します。放送50年の関連イベントやフェアなどを随時開催して、書店様にとって最適の商材になるよう努力してまいります。

我が社のイチ押し企画/ポプラ社/取締役ポプラディア局局長・飯田建

あけましておめでとうございます。おかげさまでポプラ社は、創業60周年を迎えることとなりました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
さて2006年11月、ポプラ社は、すべての学習に役だつ百科事典サイト『ポプラディアネット』をオープンいたしました。
2002年3月刊行以来、4万5千セットをご販売いただいている書籍版の『総合百科事典ポプラディア』(全13巻)をデジタル化したのが『デジタルポプラディア』シリーズで、本サービスは、それをさらにインターネット化したものです。
インターネットでありながら書店様でご販売いただくという、これまでになかった試みを本サービスでは行なっております。クレジットカードで個人のお客様に直接販売するだけではなく、『ポプラディアネット年間ライセンス1』という、書店様がご販売いただける商品としたこと、クレジットカードでの販売より低価格化することによって、商品としての魅力を高めたことなどがその試みです。
外商用には、5、10、20、30、40と、ライセンス数をまとめてご販売いただくことでさらに割安となる学校用スクールパック、公共図書館用バージョンもご用意いたしました。こどもたちの調べ学習に最適のツールとして、学校や公共図書館でも、大いにご活用いただけるものと考えております。また、これらの外商商品は、従来からある図書用予算ではなく、コンピュータ系の予算で扱われるものなので、増売に格好の商材でもあります。
本サービスを販促していただくのに、ぜひ積極的にご活用いただきたいのが無料体験システムです。個人のお客様には30日間の、学校には3カ月間の無料体験をご用意させていただきました。この無料体験で、本サービスがこどもたちの学習にいかに役だつものか、ご確認いただくことができます。ぜひお客様におすすめ下さい。
従来からご販売いただいてまいりました『デジタルポプラディア』シリーズも、同じく昨年11月、世界最高の音声認識技術を使用した『総合百科事典デジタルポプラディアプラス2VOICE』へと進化いたしました。このほかにも、テーマ別の『ポプラディア情報館』、「月刊ポプラディア」など、こどもたちの学習に欠かせないシリーズとして、ポプラディアは、今後もどんどん進化してまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/講談社/販売促進局長・重村博文

新年あけましておめでとうございます。
昨年は秋の企画「治す・防ぐ・若返る健康医学事典」につきましては、大変なお力添えをいただきまして、ありがとうございました。おかげさまで好評のうちに推移しています。
「メタボリック症候群」という言葉が昨年の流行語の一つに挙げられていますが、これにぴったりの企画で一括採用も増えてきています。08年からは企業の健康診断も義務づけられます。引き続きよろしくお願いいたします。
玉三郎のすべてがわかる
さて、今春の企画としては「五代目坂東玉三郎」写真集をおすすめいたします。豪華版ではありますが、本企画はその出版意義・長期にわたる取材など二度とできない企画でもあり、弊社創業100周年記念企画とさせていただきます。
写真家はもちろん「篠山紀信」です。氏が37年にわたり撮り続けたもので、稀代の歌舞伎役者・坂東玉三郎のすべてを網羅した写真集です。
これまでに演じた全104演目、450点以上の写真を収録。不世出の女形・舞踊家としての貴重な記録であり、日本文化の粋を集めた画期的な写真集です。
玉三郎の生い立ちから現在までのプライベート写真(タヒチ・ベネツイアなどの海外旅行も含む)はもちろん、三島由紀夫やモーリス・ベジャール、ヨーヨー・マをはじめ、世界の芸術家からのメッセージも収録されています。
貴重な資料も満載
女形の「こしらえ」(衣装・かつら・かんざし・小物など)も演目別に掲載します。文字での記録は残っていないため、大変貴重な資料ともいえます。歌舞伎界のみならず、江戸文化・日本文化の研究にもおおいに役立ちます。
歌舞伎ファン・玉三郎ファン・和服・織物関係者・デザイナー関係者・舞台関係者などにおすすめです。
「五代目坂東玉三郎」写真集
本体予定価(税別)
40000円
全2巻歌舞伎芝居編
歌舞伎舞踊編
(分売不可)
発売予定3月上旬
判型B4変形(函入)
内容案内(1月中旬出来予定)をご希望の書店様はご一報ください。
小社書籍第一販売部まで
TEL03/5395/3622
FAX03/3943/0442

我が社のイチ押し企画/小学館/小学館PS営業企画部・井上高広

明けましておめでとうございます。
2006年下期の新企画「ビジュアルNIPPON江戸時代」「にっぽん探検大図鑑」につきましては大変お世話になっております。おかげさまで発売後も多数の追加注文をいただき、順調なスタートを切る事が出来ました。あらためて御礼申し上げます。
2007年の新企画ですが、小学館と言えば「小学一年生」(入学直前号1/15発売 定価680円)です。4年連続で部数前年比アップの理由は人気のキャラクターと特別付録、そして何と言っても多くの書店様にご協力いただいている店頭陳列コンクールです。「小学一年生」の店頭陳列コンクールは、毎年約6000店の書店様にご参加いただき、業界でも最大級のイベントとなっております。子育て応援マガジン「edu(エデュー)」や「きせつの図鑑」(全1巻・2月23日・発売予定定価2940円)と合わせた賑やかな飾り付けで、春は小学館一色の店頭創りを是非ともよろしくお願いしたします。
さて、その「きせつの図鑑」ですが、幼稚園から小学校低学年向けの図鑑です。ジャンルごとの図鑑と違い、春夏秋冬それぞれの季節に添った体験の中で自然や行事を学ぼうという企画です。子供に季節を感じながら成長して欲しいと考えている親は思いの外多いようで、現在ご予約をいただいている読者の最大の購入動機となっております。
「お正月」や「ひな祭り」、「春の草を使って冠や笛を作る」「七夕祭りの飾りを作る」「朝顔やヒマワリの観察」「昆虫の飼育」「季節の遊びや折り紙」など、自分の子供時代を追体験しているようで考えただけでも楽しくなって来ると思いませんか?
もうひとつ、雑誌企画ではウイークリーブック「古寺を巡る」(全50巻・創刊号1月23日発売・創刊記念特価190円2号以降毎週火曜日発売・定価580円)が創刊になります。
大好評をいただいた6年前の「古寺をゆく」を更にもう一歩踏み込ませた、愛読者も満足間違いなしのシリーズです。
以上、新春イチ押し企画です。小学館は今年も子供から大人まで多種多様の読者に合わせた本を出していきます。ひき続きのご支援、何卒よろしくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/角川書店/第二編集部第一コミックグループ長・渡辺啓之

2007年3月、角川書店がついに青年コミック誌を創刊します。誌名は「コミックチャージ」!
角川書店初のコミック誌「月刊あすか」が創刊されてから21年、また少年漫画誌「月刊少年エース」創刊から12年が経過いたしました。約10年ごとに全く新しいジャンルのコミック誌に挑戦してきた小社が、次なるステージを切り開くために取り組むのが、初の青年コミック誌「コミックチャージ」であります。
これまで小社はコミックとアニメーションのメディアミックスを得意とし、『ファイブスター物語』『新世紀エヴァンゲリオン』『機動戦士ガンダムTHEORIGIN』そして『ケロロ軍曹』等々、特にマニア向けジャンルでヒット作品を作ってまいりました。近年では『今日からマのつく自由業』『涼宮ハルヒの憂鬱』等、ライトノベルとコミックの連動展開でも他社に先駆け成功を収めています。
我々にはさらに、『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』を始めとする角川文庫と単行本に収録された厖大な数の小説・エッセイ、また角川ヘラルド映画が保有する多数の映像資産があります。角川文庫・映画と密接に連動したコミック作品を提供することは我々にしか出来ないことです。「コミックチャージ」はこれまでにない新たな青年コミック誌のマーケットを産み出してまいります。
さらに、小社が30年前、『野性の証明』『セーラー服と機関銃』『時をかける少女』『蘇える金狼』といった〝文庫と映画〟で創り上げたメディアミックスの手法は、コミックが加わることでさらに拡大されます。活字作品をコミック化し映像化する、あるいはコミック作品を映像化し活字化する、それにWebコンテンツやタイアップといったクロスメディア展開を仕掛け原作コミックや書籍を大きく売り伸ばす、「コミックチャージ」は角川グループの総合力が最も発揮される核となる作品を掲載します!「コミックチャージ」は日本の経済を支えるサラリーマンたちに「やる気」「勇気」を与え「好奇心」を満たすコミック誌となり、出版市場を再び活性化するべく創刊されるのです。角川グループをあげての大型創刊となる「コミックチャージ」、必ず成功させたく、是非皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
【「コミックチャージ」媒体概要】
創刊は2007年3月20日、火曜日を予定しております。毎月第1、第3火曜日、月に2回発売いたします。予定価格は税込み290円、B5判中綴じ、総ページ数400ページ前後の体裁を予定しております。

我が社のイチ押し企画/三省堂/常務取締役営業局長/佐久間孝夫

今年のわが社のイチ押し企画は、なんと言っても『大辞林第三版』です。
昨年10月27日、文字・活字文化の日に発売して以来、おかげさまで大変順調なスタートを切ることができました。
発売1カ月前から様々なメディアで紹介記事が出始め、発売直前には朝日・毎日・読売に一斉に大きな紹介記事が載りました。発売後もTBSラジオの「森本毅郎のスタンバイ」、フジテレビの「めざましテレビ」、TBSテレビの「みのもんた朝ズバッ!」と矢継ぎ早に紹介されました。さらに安倍首相が渋谷で買物をしたニュースで『大辞林』が登場し、民放各局とNHKが2日間にわたって映像を流しました。文字通り「新聞・テレビで紹介続々」といわせていただいてよいと思います。
21世紀に入って刊行されていなかった1冊ものの大型「国語+百科」辞典。新しい「日本語のスタンダード」を読者の皆様が待ち望んでいたことを実感しています。また、辞書を買っていただいた方のみが、簡単な手続きでウェブ辞書「デュアル大辞林」を使える、新しい辞書出版のカタチも大きな話題を呼んでいます。「デュアル大辞林」は随時内容を更新して進化を続けるウェブ辞書。内容が更新されない従来の電子辞書や辞書検索サイトとはまったく異なるコンセプトの新しいサービスです。
事前予約の特典として試みた1冊から個人の名前を箔押しするサービスも大好評をいただきました。ご好評に応えて1冊からの個人名入れサービス第2弾を実施します。事前予約の特典とは異なりますのでルーペはつきません。またお客様への直送ではなく、通常の客注品同様書店様にお届けし、書店様からお客様にお渡しいただくシステムになります。卒業・入学・入社のシーズンを迎えるこの時期に、ご自分の記念に、大切な方へのプレゼントに、大変魅力のあるサービスになると思います。
発売から今日まで、快調に売上推移している『大辞林第三版』ですが、辞書の最大販売時期はなんといっても新学期。2007年のキーワード、教育で、社会全体で重視される「ことばの力」をささえるのは、もっとも新しい内容を持ち、信頼度抜群の『大辞林第三版』です。引き続き熱いご支援をよろしくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/双葉社/営業局販売促進部部長・中村淳

あけましておめでとうございます。旧年中は格別なるご支援、ご協力を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
さて、昨年末、スポーツ紙・週刊誌・テレビワイドショーと各メディアを席巻した、石原真理子さんの『ふぞろいな秘密』では、たいへんなご支援を賜りありがとうございました。これについては売り上げ部数もさることながら、双葉社からの情報発信でメディアが活気づいたことも成果の一つかと自負しております。
本年は年始の新聞広告で告知しましたように、1月9日搬入で、大好評の書き下ろし時代文庫、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙シリーズ』最新刊、第20巻、第21巻の2点を同時に刊行いたします。今回は日本テレビ・テレビ東京(関東1都6県)で1月12日から1週間、集中的にスポットCMを流し、全国紙、県紙等でも全5段で告知します。
また、手塚治虫文化賞や文化庁主催のメディア芸術祭大賞を受賞した、こうの史代著『夕凪の街桜の国』が映画化され7月末予定で公開されますので、これにあわせて活発に宣伝販売促進を行い、100万部を目指します。
本年は雑誌におきましても大きな飛躍の年といたしたく、まずは週刊大衆がおかげさまで4月に創刊50周年を迎えます。また漫画アクションも7月で創刊40周年となり、併せてさらなる誌面の充実を図り、増売キャンペーンを実施します。
「重曹」シリーズで好調の双葉社スーパームックシリーズでは、より一層の拡充を図り、常にトレンディーな話題を企画し、女性読者を中心にご好評にお応えする所存です。
話題のケータイ小説のコミック化もスタートします。ケータイ小説の最大手サイト「魔法のiらんど」と提携して、『コミック魔法のiらんど』を1月24日付より月刊で刊行するなど、活字離れが言われて久しい中、新たな若い読者に向けても積極的に発信し、早期のコミック化を想定しております。
どうか、本年も倍旧のご支援・ご協力を賜りたく、よろしくお願い申し上げますとともに、書店様の益々のご発展と、皆様にとって本年がより良き年でありますよう心から祈念いたします。

オーストラリア旅行同行記/和気あいあいの6日間/姫路市・三上尚文堂・三上美代子

幸運にもオーストラリア旅行の同行参加の機会が与えられ、仕事、家庭のことを一切忘れて満喫させていただきました。
広大なる大地オーストラリアは、日本の22倍の国土を有しながら人口密度は世界最低だそうで、住みやすい国のトップでしょう。
ゴールドコースト、シドニー、二大都市への観光でした。どちらも歴史と文化に彩られた大自然のあふれる近代都市で、素晴らしい空間を経験できたトラベルだったと振り返っています。
オーストラリアといえばコアラと思い浮かぶぐらいによく知られたコアラを抱いて写真をパチリ!ワイナリーでワインをいただき、夜は華やかなショーで心地よい満足感と疲労感。ゴールドコースト宿泊で眠りにつきました。シドニーではディナークルーズで湾内の素晴らしい夜景を楽しみ、自由行動では世界遺産のナチュラルブリッジの土ボタルとブルーマウンテン観光のオプショナルツアーに参加して、まさに充実した毎日でした。
そして何よりも嬉しかったのは、くじ当選で参加された皆様がよい方ばかりで、とても和やかな雰囲気で、和気あいあいのうちに無事終えることができたこと。本当に印象深い6日間でした。
ありがとうございました。

若い人に贈る読書のすすめ

読書推進運動協議会は2007年に成人の日、新社会人となる日を迎える若い人に向けてリーフレット「2007若い人に贈る読書のすすめ」を作成し、書店、図書館に配布した。掲載の書名は以下の24点。
▽『風に舞いあがるビニールシート』森絵都、文藝春秋▽『ぼくらの地球(ほし)』川北義則、PHP研究所▽『他人を見下す若者たち』速水敏彦、講談社▽『未来を変える80人』シルヴァン・ダルニル、マチュー・ルルー、日経BP社▽『プラハ日記』ハヴァ・プレスブルゲル、平凡社▽『風が強く吹いている』三浦しをん、新潮社▽『幸福写真』荒木経惟、ポプラ社▽『空は、今日も、青いか?』石田衣良、日本経済新聞社▽『マリコはたいへん!』松久淳、小学館▽『昭和のまちの物語』伊藤滋、ぎょうせい▽『政治参加で未来をまもろう』首藤信彦、岩波書店▽『いまこの国で大人になるということ』苅谷剛彦、紀伊國屋書店▽『オシムの言葉』木村元彦、集英社インターナショナル▽『草花とよばれた少女』シンシア・カドハタ、白水社▽『仕事力青版』朝日新聞社広告局(編著)、朝日新聞社▽『「無言館」にいらっしゃい』窪島誠一郎、筑摩書房▽『終末のフール』伊坂幸太郎、集英社▽『温室デイズ』瀬尾まいこ、角川書店▽『ミーナの行進』小川洋子、中央公論新社▽『「ニート」って言うな!』本田由紀、内藤朝雄、後藤和智、光文社▽『吾郎とゴロー』川渕圭一、求龍堂▽『モダンふろしき案内』佐々木ルリ子、菅原すみこ、河出書房新社▽『図書館戦争』有川浩、メディアワークス▽『陰日向に咲く』劇団ひとり、幻冬舎

本との出会い/少年、女性、そして軍師へ/足立区・小泉書店・小泉忠男

小さな本屋を兼業していた母から「マンガでも良いから本を読め」と言われて読んでいたのが“お店の雑誌”の少年、冒険王、少年画報や、怪盗ルパン、怪人二十面相、立川文庫の痛快冒険小説の類。
中学2年の時、下村湖人の「次郎物語」を読んでから変わった。何処にでもいる普通の少年が周囲の大人(父、母、祖母、乳母、叔父)の愛に悩みながら成長する次郎と、男5人、女1人兄弟の男4番目で目立たない存在であった自分。小説の中に自分が居るのを感じたからであろうか。それからは、次から次ぎへと小説にのめり込んで行き、通学のバスの中、授業中にも小説ばかり。「読み出したら、その人の全部」が癖になって、林芙美子では「うず潮」「めし」「浮雲」が心に残り、「放浪記」では数年後、尾道まで訪ねた。(数年前、新宿区中井の林芙美子記念館へ行き、昔の自分が懐かしくも可笑しくも感じた)。川端康成の強い記憶は、「女であること」や「古都」。井上靖も殆ど読んだが、好きなのは「満ちてくる潮」「憂愁平野」「あした来る人」であり、大阪船場で暖簾を誇る家の女、関西上流社会の女姉妹4人の明暗二様の生き方を描いた、谷崎潤一郎の「細雪」等々。思い出すと、十代から二十歳前後の本の記憶は、男と女、大人の女、女の生き様(よう)ばかり。
大人になってガラッと転換したのは、男の壮大な戦いと史実の面白さを見出した、吉川英治の「三国志」と山岡荘八の「徳川家康」。歴史小説では、主人公やヒーローより、陰で策略する策士、軍師と云われる男の行き様(ざま)に惹かされる。
本屋になって、本屋が面白くなるにつれて、本が読めなくなった。常に手元には数冊置くのだが、ジックリ…の時間がない。そしてお客と話を合わせるための斜め読み、読んだフリばかりが上手くなってしまった自分が情けない。だから、毎月数冊も買って読んでくれるお客は羨ましくも、本当に偉いとつくづく思う。

本との出会い/あの全集が戻ってきた/福井市・じっぷじっぷ・清水祥三

「少年少女世界文学全集」全50巻(大日本雄弁会講談社)。第1回配本の奥付は昭和33年9月10日になっているので、私が小学校3年生の時ということになる。親元から離れて高校生活を始めていた頃に、年の離れた従兄弟の子供にこの全集を譲ったと母から後で聞いた。
40年ぶりに再会するまで、私の記憶では最初の配本はジョルジュ・サンドの「愛の妖精」で小学5年生の時だったはずなのだが、蓋を開けると「ああ無情」「三銃士」「マテオ・ファルコーネ」が収められた1冊だった。しかも3年生の時ということになる。「愛の妖精」の巻は奥付が昭和34年5月20日で「家なき子」「風車小屋だより」などと一緒に収められていた。そして配本は第9回で4年生だったようだ。
この残っていたリアルな記憶は後々、時層を超えて組み立てられたもののようだ。恐らく小学4年生で異性に対する心の変化に目覚めた頃と重なったのだろう。今にして思えば、「愛の妖精」から恋心、愛、嫉妬など男女の心の表裏を学んだように、全50巻の全集は人生や戦争、平和などその後の私の生きてきたあらゆる場面に影響を与えてくれたような気がする。
国別に編集された児童文学から文学までの50冊は5年をかけて毎月本屋さんが配達してくれたものだった。もちろん後々私が本屋を始めるなどということは知るよしも無く、このお楽しみは中学まで続いたということになる。
それから40年、従兄弟の子供も結婚しその子供たちへと読み継がれた50冊が今、手元に帰ってきたのである。届けてくれたのは店で催している月2回のお話し会リーダーで県下随一のお話しおばちゃん、従兄弟の子供のお嫁さんである。間違いなく、次にこの本が移動するのは彼女に孫ができた時である。だからそれまでは皆がいろいろなことを教わったであろうこれらの本を、もう一度じっくりと読み返してみようと思っている。人生終盤なれどかなりの楽しみである。

オーストラリア旅行同行記/日本語教えて国際交流/大阪市・西坂書店・西坂淳史

今回、春の書店くじ特賞のオーストラリア旅行にご一緒させて頂きました。
ブリスベン空港に降り立ってすぐに向かったのはローンパイン・コアラ保護区。オーストラリアと言えば、やはりコアラ。ここではコアラを抱っこして写真を撮ってもらいました。ゴールドコーストでは自由時間を利用してカジノに挑戦。およそ賭け事に向いていない私ですが、何とか負けずに帰って来られたのは、くじ当選の方々から強運のおすそ分けを頂いたからでしょうか?シドニー市内では、歴史を感じさせる建物と近代的なビルが同居する町並みが美しく、ひたすら写真撮影に明け暮れました。突然の大雨に見舞われて雨宿りで立ち寄ったコンビニでは、店員さんに日本語を教えてと頼まれました。「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」だけですが、これもちょっとした国際交流。覚えて使っていてくれたらうれしいですね。私自身初めてとなる海外旅行は、ご参加の皆様のおかげもあって、とても楽しいものになりました。
年2回の書店くじですが、お一人でも多く当たりくじの引き換えにお越し頂くため、書店くじをお渡しする際には、「なくさず大事にお持ち下さい」とお声をかけるよう、これからも努めたいと思います。今回のような素晴らしい旅行を、より多くのお客様に体験して頂きたいですから。

丸岡会長新年訪問/元気の出る書店経営へ

2007年が明けた。干支のイノシシにあやかって、景気回復は「猪突猛進」といくか。出版業界は雑誌の不振、返品率増大を脱して、中小書店が一息つける年になれるのか。年頭に当たり、日書連丸岡会長に今年、書店が当面する問題点と課題について聞いてみた。(聞き手=田中編集長)――昨年の出版業界は11月で書籍が1・0%増、雑誌4・5%減、総合で2・2%減と低迷しました。
丸岡中小書店の主力である雑誌の売行きが落ちています。携帯電話やインターネットに若い人の目が行って、本に取り戻せない。雑誌はコンビニやキオスクに、書籍は大型書店に、安い本は新古書店に行って、町の本屋への流れが少なくなっている。
――昨年の書店経営実態調査で、日書連への要望のトップはマージン拡大を望む声でした。日書連の取組みを聞かせてください。
丸岡書店の実態をきちっと把握するために書店経営実態調査を実施しました。その結果、「経営が悪くなった」という回答が85%にのぼった。経営者も高齢化して、あとを継ぐ若い人が減っている。
それで、マージン拡大を望む声に応えるため取組んだのが新販売システムです。マージンを一律に下げるのは難しいので、完全買切り返品なし、正味40%、満数配本で講談社と合意ができました。
――新販売システムの評価はいかがですか?
丸岡『トットちゃん』『だいじょうぶ』の2冊とも1万部は越えています。児童書の販売は3千とか4千ですから、両方で2万部を超えたのは書店組合の力です。申込み店が少なかったのは、委託に慣れているから、完全買切りの仕組みが浸透できなかった。文字・活字文化の日の10月27日スタートと決まっていたので準備期間が短かったかもしれない。ただ、現在の出版業界は返品率が高すぎる。40%の返品率は果たして妥当か。返品に対する意識を変え、販売に責任を持つ意味で第一歩でした。
――今回は児童書でしたが、他のジャンルも考えられますか。
丸岡新しい顧客の開拓と、若い読者をということで児童書が入りやすかったと思います。今後は講談社以外にも少しずつ拡げていきたいと思います。
――実態調査では組合員から取引改善の要望も多くありましたが。
丸岡今、取組んでいるのは返品入帳改善です。書店は資金繰りが厳しくなっており、締め日まで返品入帳してもらいたい。支払いサイトの問題もありましたが、両方一緒にはできないので、返品入帳から先に取り上げました。
秋に取次各社にお願いの文書を出し、取次8社から前向きに対応すると回答いただいています。取次の請求が厳しく、請求金額を払うため在庫を返品するので棚がガラガラになり、お客様に満足を与えられない。論理的には送品を末日まで請求するなら返品も末日まで入帳するのが当然です。
――昨年の重点課題であった景品規約の改訂問題もようやく片付きました。
丸岡昨年2月に小売公取協の臨時総会を開き、改訂を承認しました。期間制限は年2回60日を90日にする、トレーディングスタンプを初年度は1%、翌年から2%認める。1年を通じての読者サービスという形を認めました。
インターネットや携帯、ゲーム、DVDなど、本以外との業態間競争も厳しくなって、読者に対するサービスが必要とされている。読者の嗜好や要求を知る努力も必要とされてくる。そういうものに対するサービスとして1、2%程度の景品提供は認めざるを得なかった。しかし、これは値引きを認めたわけではありません。あくまで景品の範囲内でのサービスですね。
――日書連共済会の問題も持ち上がりました。
丸岡保険業法の改正で対応せざるを得なくなりました。日書連共済会はこのところずっと赤字だったし、保険会社にはなりえない。分割して維持するのも難しい。これまで役員のボランティアで運営してきたから人件費もかからなかったが、採算を考えれば掛け金は上げ、給付は下げざるを得ない。解散せざるを得なかった点はご理解いただけたと思います。
共済会の残余財産は6億円弱で、給付申請の期限は3月末。財産が確定するのは4月1日以降です。それまでに日書連で有効な活用方法を議論し、最終的には日書連理事会で決めます。
共済会は日書連の求心力でもありましたから、給付水準は低くても互助会的なもの、慶弔見舞いのようなものを考えないと、日書連自体のまとまりが悪くなる気もします。
――文字・活字文化振興法が出来ました。
丸岡行政のバックアップが出来たので業界もきちんと対応していかなければならない。これからは読者開拓の努力が必要です。日書連がやっているサン・ジョルディ、書店くじをもっと効率的に魅力ある企画にしなければいけない。地方では「中学生はこれを読め」や「孫の日」などのキャンペーンを行っています。本屋が生き残るためには草の根運動も大事です。
そういう取組みをされている方には本当に敬意を表したい。各県組合が運動を吸い上げ、地元でやるならやるし、全体的な問題なら日書連がやる。そういうものを大事に育てていきたい。
日書連ホームページでは小学館に協力いただいてeラーニングをスタートさせました。従業員の質を高め、お客の要望にきちんと応えられる人間を育てていく意味で活用していただきたい。いまは入門編ですが、店長さん、経営者と少しずつステップアップも考えられる。今後はお客さんに本を薦められ、相談相手ができる書店が生き残れる。書店にとって一番の楽しみは棚を作ることです。
1つの趣向に沿って本を並べ、この本の隣にこの本をと関連づけて棚を作る。自分が仕入れたものが売れる喜びを感じていくことが書店の質を高めていきます。
――新しい年の課題をお聞かせ下さい。
丸岡昨年は景品規約改訂、経営実態調査のまとめ、新販売システム立ち上げ、共済会解散、返品未入帳と課題が5つありました。新年は返品未入帳を解決し、取引改善して資金繰りをよくすること、それから配本、流通改善、マージンと進んでいきたい。これが書店経営の根幹です。売上げが下がり、町の書店が減り続けている流れを止めるには書店経営の質を変え、システムを少しずつでも変えていかないと生き残れないと思います。(終)

出版社複数に打診中/新販売システム継続実施/12月理事会

日書連は12月21日、書店会館で定例理事会を開き新販売システムの継続的取組みや、返品入帳の改善を取次各社に求めていくことを確認した。 〔流通改善〕
講談社と実施した買切り、書店マージン40%の「新販売システム」は、12月19日に総額282万円の特別報奨金を各県組合に送金。各県組合から参加店に振り込まれることが報告された。
藤原委員長は講談社と総括座談会(4・5面)を行ったことに触れ、「大成功とは言えなかったが、今回限りでなく、今後も継続していく。出版社数社に出品を呼びかけており、手応えがある」と述べ、今後も継続的に新販売システムに取組んでいく方針を明らかにした。
〔指導教育〕
日書連ホームページでスタートした書店向けeラーニングについて大橋委員長は「インターネットを利用して、いつでもどこでもできる従業員教育のシステムだが、活用がいまひとつ。積極的な活用で現場のレベルをあげ、読者満足を高めてほしい」と訴えた。
この書店向けeラーニングは日書連加盟店なら無料で受講でき、全国書店新聞の帯封に記載された書店コードからログインして申し込む。同システムを運営するネットラーニング社では同一内容の「新入書店員の基本業務」を一般には4700円で販売する予定。〔経営実態調査〕
全国小売書店経営実態調査票の自由記入欄に書かれた意見を項目別に整理した「別冊書店経営者生の声」がまとまった。8千部製作し、組合員に各1部配布するほか、出版社、取次、業界団体に広く配布して、書店の現状を訴える。〔環境改善政策審議会〕
コミック本などの貸与権ビジネスが12月1日からスタートしたことを井門委員長が説明した。貸出に伴う使用料は定価550円未満が1冊265円、千円未満480円、千円以上は500円ごとに320円加算する仕組み。レンタルブック登録店には登録証を掲げ、本には許諾シールを貼付する。最新刊は1カ月間貸し出し禁止となる。
〔ワーキング機関〕
返品入帳について日書連は取次8社に改善要望書を出していたが、トーハン、栗田、大阪屋に次いで、日販、日教販、太洋社、中央社、協和の5社からも繰り下げの方向という回答が寄せられた。鈴木機関長は年明け以降、各社と意見交換していくと説明した。〔組織強化〕
11月期の新規加入は2店、脱退は6店で、合計4店減。組合員総数は4月から累計で224店減少して6459店となった。
〔取引改善〕
国際地学協会が会社再生法を申請し、書店の返品が入帳しない問題で、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県でアンケート調査を行った結果、書店店頭の在庫は2万7900冊、定価で3587万円にのぼることがわかった。
〔増売運動〕
心にのこる子どもの本夏休みセールは、1億7千万円の目標に対して、前年実績の86%弱にあたる1億1500万円を販売したと舩坂委員長が報告した。販売目標を達成したのは三重、福井、兵庫の3組合。一方、「新刊セール」は目標1億3千万円に対し1億4百万円販売。目標達成は10組合だった。
07年サン・ジョルディの日キャンペーンに向けては、総額3百万円の「PR企画推進費」を設け、独自のPR活動を企画・運営する組合には上限20万円の補助金を支出する。
〔読書推進〕
河出書房新社から「ハリー・ポッター」グッズの販売で提案があり、書店の粗利益40%を確保する前提で商品化に着手する。ハリー・ポッターは映画第5作「不死鳥の騎士団」が7月公開予定。4月にはグッズの販売を始めたいという。
高須委員長は東海3県の「中学生はこれを読め」キャンペーンで、朝日新聞が見開きでキャンペーンを紹介したと報告。北海道では「中学生はこれを読め」キャンペーンの第2弾で「いじめ」を取り上げたことも報告し、「各地で読書推進キャンペーンの取組みをお願いする」と呼びかけた。
〔情報化〕
12月13日に開催した全国情報化委員長会議の模様を志賀委員長が報告。図書館指定管理者制度導入をめぐり、情報交換したとした。
〔日書連共済会〕
日書連共済会は12月31日で解散することが決まっているが、解散に伴う諸手続きの手数料として1口1万円程度を各都道府県地区委員会に支払うことを決めた。以後の残務財産処理については正副会長、ブロック会長で構成する政策審議会が担当することを確認した。

再販制の現状説明/公取委寺川課長

12月21日の日書連理事会に公取委寺川取引企画課長が訪れ、最近の著作物再販制度をめぐる動きについて説明を行った。
寺川課長は今年前半の特殊指定見直しについて「出版再販は契約で維持されているが、新聞は告示で値引きが禁止されている。この特殊指定を見直そうとしたが、国会を巻き込んだ議論で当面存続となった。教科書の特殊指定は今回廃止されたが、これに変わる業界のルールが作られることになると思う」と述べた。
音楽用CDの再販については、「当初、音楽用CDの再販はなくしてもよいという議論もあったが、今、制度の見直しそのものはせず、さらに弾力化の運用を促す方針。音楽用CDの時限再販は10数年前から行われ、当初2年たてば再販の枠組みからはずされたが、現在は半年に短縮されている」という。洋楽は大半、邦楽も9割が時限再販。この背景には時限再販を積極的に導入し、期間を短くすれば業界全体にメリットがあり、大量の在庫を残すより、安くして売っていく方がよいという視点があるのではないかと分析した。
さらに寺川課長は出版再販に対して「再販制度はここ何年間かは維持されていくと思うが、制度をガチガチに守るよりは、その中でうまく運用していく方が業界全体の利益につながり、消費者利益にも結びつくのではないか」と指摘。ポイントカードの問題については「昔からクレジットカードで本を買えばポイントがたまる。出版社―取次、取次―書店の個々の契約にかかわってくるが、ポイント制を使うことが業界の利益になるか十分考えた上で、契約書に明記した方がいいかどうかも含めて議論していただきたい」と述べた。

前年割れ5カ月連続/11月期は平均98.1%に/日販調べ

日販経営相談センター調べの11月期書店分類別売上げ調査がまとまった。11月期は10月期の96・1%を2ポイント上回る98・1%となったが、5カ月連続の前年割れ。書店規模別では201坪以上店のみ2・8%増となったほかは各規模でマイナス。7月以降、この傾向が続いている。
ジャンル別ではコミック、文庫、新書の3ジャンルがいずれも4%台の伸びで前年を上回った。コミックは『NARUTO』『ONEPIECE』の最新刊が相次ぎ、『のだめカンタービレ』『DEATHNOTE』も好調を持続。文庫は『手紙』(文藝春秋)、『3日で運がよくなるそうじ力』(三笠書房)の動きがよかった。新書は1月発売以来ロングセラーの『世界の日本人ジョーク集』(中公新社)が売上げを伸ばした。
11月の平均客単価は101・2%の1114・0円。

JPOが電子タグ実験/責任販売用書籍とコミックス対象に

日本出版インフラセンター(JPО)は12月19日、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で定例記者会見を開き、平成18年度経済産業省電子タグ実証実験の概要について説明した。
今回は1月下旬から2月上旬にかけて実施し、①書き込む情報のコード化②環境問題への影響③実装技術④プライバシー保護⑤タグ装着費用負担者に対するメリット――の5つの課題解決に取り組む。
責任販売用書籍『治す・防ぐ・若返る健康医学事典』(講談社)約1万冊とコミックス『ケシカスくん(2、3巻)』(小学館)、『バーテンダー(1~3巻)』(集英社)計約10万冊に「響タグ」を装着し、実際の流通ルートに流して読者に販売する。責任販売用書籍では、メーカーメリット、返品減少、SCMによる効率化を検証する。コミックスでは、物流効率化、客注品トレーサビリティ、古紙化について検証する。購入者のプライバシー保護のため、販売時にタグの機能を無効化する。

図書館2館の指定管理者に/ブックチェーンが落札/東京・大田区

東京・大田区の書店でつくる㈱ブックチェーン(原田秀之輔社長)は、このほど多摩川図書館、六郷図書館の指定管理者に選ばれ、4月1日から2館の業務全般を請け負うことになった。大田区が区内公共図書館へ指定管理者制度を導入したことを受け、同社はTRCなど大手民間業者10数社とともに入札に参加。応募した3館のうち2館を落札したもの。3年契約。
大田区は平成15年度から3ヵ年計画で図書館窓口業務の委託を開始。同社は平成15年から多摩川図書館、平成17年から六郷図書館の窓口業務を請け負っている。今回、両図書館の指定管理者となったことで、請け負う業務は窓口業務だけでなく施設管理、清掃、庭木の剪定まで図書館運営業務全般に及ぶことになる。1館あたりのスタッフは約20名で、このうちマネージャーは館長を含めて6名。休館日はこれまでの月3日から月1日となる。同社は従業員数を40名から50名へと増員し、対応を図る。
指定管理者制度は、これまで地方公共団体やその外郭団体に限られていた公共施設の管理を民間業者にもさせることができるもの。地方自治法の一部改正で平成15年施行された。施設を所有する地方公共団体の議会の決議を経て管理者を指定する。管理者は民間の手法を用いて施設運営を行なうことが可能。施設運営面でのサービス向上と地方公共団体のコスト軽減が期待されている。
原田社長は「指定管理者として図書館業務全般を請け負うことは未知の世界。全国の先駆けとして失敗は許されない。身を引き締めて取り組む。書店人が図書館と関わるためのノウハウを蓄積し、提供していくことも当社の役割と考えている。都内他支部とのジョイントを視野に入れている。納入は各支部に任せ、業務委託の部分だけ請け負う形をとりたい。全国から要望があれば、できるかぎり応える」と意欲を語った。
湯本光尚取締役は「異業種や大手が多数参入。経験の有無、社内インフラなど指定管理者になるためのハードルはとても高い。指定管理者になってからも毎年モニタリングなどで区から厳しいチェックが入る。サービスの向上、社員研修の強化、労務管理体制の整備、学校・地域などボランティアとの連携強化、お話し会などのイベントに積極的に取り組んでいきたい」と今後の課題を話した。

埼玉組合が児童書540冊を寄贈/県こども安全課に

埼玉県書店商業組合(野澤恒雄理事長)は12月8日、埼玉県健康福祉部こども安全課に児童図書540冊を寄贈した。
当日は同組合・高野隆専務理事が埼玉県庁を訪れ、こども安全課の鈴木豊彦課長に児童図書と目録を贈呈した。寄贈本はこども安全課より県内の児童福祉施設などに配本された。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・菅原梨花

◇2歳から/『おならうた』/谷川俊太郎=原詩/飯野和好=絵/絵本館1260円/2006・6
「ぶっぼっぴっ!」思わずプッと吹き出しちゃうおならの音。リズムに乗って一緒に声に出してみよう。子供が大好きなオナラが愉快な絵本になりました。でも大人は絵を見てこっそり「あるある、こんなこと」って、ちょっと顔が赤くなったりします。
◇4歳から/『おおぐいひょうたん』/吉沢葉子=再話/斎藤隆夫=絵/福音館書店840円/2005・9
小さくてかわいい不思議なひょうたん。ペットみたいについてきたのに突然、恐い魔物に大変身「肉が食いたい肉が」って羊も牛もラクダもみんな飲み込んだ。「みんな逃げろー」ハラハラドキドキ。でもなんだかユーモラス。珍しい民族衣装や布の模様にも注目です。
◇小学校低学年向き/『寿限無』/斎藤孝=文/工藤ノリコ=絵/ほるぷ出版1260円/2004・9
さぁ、声を合わせて言ってみよう「じゅげむじゅげむ…」聞いたことあるぞ呪文かな。訳もわからず唱えていたけれど、へぇーそんな意味があったんだ!省略語がまかり通るこの時代に、どんな場面でもフルネームで呼ばれる男の子の抱腹絶倒の小噺。教室が元気になる1冊です。

コープこうべシーアを視察/兵庫組合

兵庫県書店商業組合は12月12日、神戸市東灘区民センターで本年最後の定例理事会を開催。三上理事長は冒頭あいさつで「再販、返品入帳など問題が山積している。兵庫組合として意見をまとめ、日書連に具申していきたい」と述べた。
情報化推進委員会からは、12月4日に神戸産業会館で行われた研修会について報告があった。「インターネットの状況」「POSレジ」などIT関連全般がテーマ。庫本氏(奈良県組合)、岩根氏(滋賀県組合)が講師をつとめた。実際にパソコンを触れながらの研修会に、参加者は熱心に聞き入っていた。
理事会終了後、場所を三宮さかな料理「たから」に場所を移し、雑誌発売日励行委員会の出版社、取次を交えて忘年会を行った。
また、この日は視察研修会として「生活協同組合コープこうべシーア」を訪れた。店内視察後、東灘区民センターに場所を移し、コープこうべ人事・教育部の村井氏が「サービス・ケア・アテンダント検定の導入背景と目指すもの」をテーマに、コープこうべの現状を話した。「できてあたり前」の接客・対応から、目の前の消費者に喜んで頂ける、もう一歩踏み込んだ配慮や思いやりのある言葉遣いや行動をすることを目的とし、相手の立場に立ったユニバーサルサービス(誰にとっても優しいサービス)の考え方とスキルを学ぶことによって、気づきや気配りの大切さが理解でき、消費者サービスの向上に繋がる。書店の接客についても充分使えるスキルである。また、公開経営指導協会の上野氏は「ユニバーサルサービス」とは、あらゆる人の立場に立って、公平な情報とサービスを提供すること。年齢・性別・国籍・障害の有無にかかわらず、互いの違いを認め合い尊重し共生すること。そのための「配慮」「気づき」「心配り」がポイントとなるなど、詳しく説明した。(中島良太広報委員)