全国書店新聞
             

平成14年7月21日号

委員長に朝倉邦造氏

出版再販研究委員会は7月9日の会合で役員改選を行い、新委員長に書協理事長の朝倉邦造氏(朝倉書店)を選出した。
副委員長の前田完治(三修社)、大竹靖夫(小学館)、高橋茂(大阪屋)、中村宣勝(中村書店)各氏と再販小委員長の上野幹夫氏(東京布井出版)は留任。
渡邊隆男前委員長は相談役に就任した。

−無題−

神奈川県書店商業組合は「世界本の日=サン・ジョルディの日」記念文化講演会を7月16日午後2時から、横浜市のはまぎんホール・ヴィアマーレで開催。
作家の童門冬二氏が「〜激動の時代のリーダーシップ〜歴史に学ぶ変革期の指導者と民衆」をテーマに講演した。
徳間書店が協賛、神奈川新聞社、神奈川県商工会議所連合会、横浜商工会議所が後援した。
当日は台風通過の悪天候となったが約380名が来場した。
冒頭で中村宣勝理事長は「日本社会は大きな変革期を迎えている。
これまでの変革期も指導者と民衆にはその時代を乗り越える原動力があったと思う。
本日の講演会がよい時間となることを祈っています」とあいさつした。
講演で童門氏は『水は方円の器に随う』の言葉を引用して、「水は民衆を、器は指導者の構想を指すが、現在は水一滴一滴が意思をもち大きな川の流れになった。
小泉首相の出現は、組織のルールにとらわれない人々の産物だ」と述べ、情報の収集・分析・選択を容易にするITの浸透がその要因となったと指摘。
そして指導者の条件と戦国武将に言及し、「兵農分離や楽市楽座、流通自由化を進めた織田信長はITの達人だ。
若い時城下町を歩き民衆の願望を探った経験が生きた。
今川義元を破った戦いでは勝因となった情報をもたらした家臣を勲功一位とした。
その情報は地域に密着し人心をつかんで得たものだったからだ。
民衆と無縁な政治勢力は結局は滅びてしまう」と述べた。

第54回書店東北ブロック大会

第54回書店東北ブロック大会は7月11日、12日の両日、山形市・蔵王温泉「ホテル樹林」で開かれ、東北6県の書店をはじめ出版社、取次、輸送会社など総勢206名が出席した。
今回の当番県は山形県書店商業組合(五十嵐太右●門理事長)。
大会第1部では、組合員減少による組織崩壊への危機感から、東北6県組合が新規加入促進に強力に取り組む方針を決議した。
11日午後2時から始まった大会第1部は高橋穣実行委員の司会で進行し、書店東北ブロック会の藤原直会長があいさつ。
「景気は底を打ったとの報道もあるが、6月はワールドカップのせいで惨敗だったという書店が多い。
バブルが弾けて10年、出版業界がマイナス成長になって5年たった。
今までの取引形態、良かれと思ってやってきたことが金属疲労を起こしている。
日書連は新しい仕組みを模索しなければとの考えから、責任販売制について検討を重ねている。
この大会が、業界三者が手を携えて新しいやり方を考える糸口になれば」と述べた。
続いて日書連の萬田貴久会長があいさつ。
再販、景品規約、ポイントカード等の問題について報告したあと、「スタートアップ21特別委員会で掲げたアクションプラン15項目の検討を進めている。
情報化推進については7月3日に全国研修会を開き、学校図書館納入の武器としての日書連マークなど日書連の取り組みを説明した。
中小書店の経営基盤を強化するには、パソコンで情報検索・受発注を行い、POSで販売情報を収集分析することが必要。
需要予測を立てた上で政策立案と仕入を行うという一貫した流れの中で仕事ができる環境を整備したい。
出版業界全体で情報共有化を図るとともに読者からの情報を出版活動に反映し、読者第一主義のサービスを提供していくことが重要だ。
大きな枠組みを変えていかねば業界の再生はない。
責任販売制を具体化し、業界に定着させたい」と日書連の諸施策を説明し、東北各県の支援と協力を求めた。
藤原会長を議長に進められた議事では、平成13年度会計報告、一般報告を承認したあと、福島組合の高島季雄理事長が6月13日に開かれた「第23回東北ブロック発売日・輸送問題連絡協議会」について報告。
続いて、青森組合の鶴谷禄郎理事長が「脱退者の増加で、組合組織は今まさに崩壊しかねない状況にある。
大会スローガンに掲げた『書店の組合加入を促進し、組織強化と財政健全化を図ろう』を喫緊の課題として取り上げてほしい」と提案し、満場一致でこれを決議した。
次年度当番県を秋田県に決め、議事を終了した。
出版社、取次などをまじえた第2部では、ノセ事務所・能勢仁代表をコーディネーターに特別シンポジウム「東北の書店今そして未来」を実施。
小原書店(岩手県大東町)の小原玉義店長、鶴岡書店(山形県鶴岡市)の佐藤一雄社長、八文字屋(山形市)の野村昌生営業本部ゼネラルマネージャーが書店現場発のメッセージを発表し、講談社の重村博文販売部促進局長、小学館PSの国近紘一社長、新星出版社の富永裕之常務が版元の立場から書店への提言を行った。

井狩春男の必殺まるす固め

☆高校生の次男が、バイクに乗ってしまい、校則違反だということで、学校に親として呼び出されたことがあった。
校長先生はじめ、教頭先生ら5〜6人の前で頭を下げなければならなかった。
それは仕方ないとしても、その後担任の先生に思いもよらぬことをいわれ、ビックリした。
「お宅のお子さんが授業に出ていると、他の生徒がおどおどしている。
休みだと、ホッとしたような表情になる……」いないほうがいい、というのだ。
こんなわけのわからない先生が公立高校にいたのか!教師ならば、ダメな子をなんとかしようと思わないのか。
『輝ける子−−100メートルを10秒で走れと言われてもさ、いっくら努力しても走れない奴っているじゃん』を読んだ時、なんてスバラシイ本だと思ったのと、あの先生に送りつけて読ませようと考えた。
同時に、この本に出てくるように、あの先生は、「人を大切にできない子どもは、たいてい、その子自身が、大切にされた経験がないからだ」であり、「10歳までは、徹底的に甘えさせる。
そうすることで、子どもはいい子に育つ」という育てられかたをされなかった気の毒な人なのだろうとも思ったのだった。
浜崎あゆみの歌の話も、つらいが、よくよくわかる。
「決してキレイな人間にはなれないけれどねいびつに輝くよ」早くも、下半期一番の収穫だと思う。
☆取次人を辞めて、出版界の片隅でなんとなく生かさせていただいていると、出版社によっては、変わらずの扱いをしてくださる。
ありがたい限りである。
その1社、角川書店は、単行本のこれは、というものと、角川文庫の売れ筋を送ってくださる。
最近の文庫では、内田春菊の『物陰に足拍子』一、二にハマッてしまった。
「じめじめじめじめじめじめ」「今日はからだからきのこがはえてきた」。
全裸のみどりのカラダの、ほほ、にのうで、左の乳房、おしり、ふともも、あそこからもきのこがはえてくる。
かくさなければ…、とみどりは食べまくる。
きのこを抜いたあとは穴だらけになり、血が流れる。
「穴だらけで血だらけのあたしは淋しい淋しい」内田春菊は、漫画で文学を書ける人だ。
コミックをバカにする人の気がしれない。
タレント本もしかり。
読者のいない本より、大勢に読まれる本の方がエライ。

取引契約書問題で勉強会

日書連、東京組合合同の経営・取引委員会が7月12日に開かれ、取次との取引契約書問題について東京組合顧問の榎本弁護士を招き勉強会を行った。
榎本弁護士は、「出版物の取引は売買契約と販売委託契約を重ねた複雑な形態をとっているため解釈の相違が出てくる。
また長期・継続的な契約が多い特徴がある」と概要を説明し、従来の取引約定書について、取次が支配的立場であることや、委託制度下において所有権が明確でない点などを指摘。
「書店の立場としては客の意向が第一であり求める本に取次が速やかに対応することが重要。
これが満たされなければ取次から十分なサービスを受けたことにはならない。
また継続取引であるから信頼関係がなくては書店としては不満が残る」と述べた。
日書連下向委員長は「取引約定書は取次の債権確保のための一方的な取り決めになっている。
書店から相談が寄せられており、検討を行っていく。
疑問点をあぶりだしたい」と述べて質疑応答を行った。
この中で「有事の際書店の利益を確保する取り決めを入れるべき」「担保設定が厳しすぎる」「客のニーズに合った供給について触れていない」などの意見、疑問点が挙げられ、日書連経営・取引委員会として理事会に諮ることにした。

区分陳列の徹底図る

神奈川県書店商業組合の7月定例理事会が4日、トーハン神奈川支店で開催された。
7月16日開催の童門冬二氏の文化講演会について当日の作業分担を決定、講演会は参加応募者が定員に達し一応のめどが立った。
県条例による有害図書規制への対応は、袋づめ・紐かけをして出すか、棚を区分するか、どちらかで宜しいと報告があり今後徹底することにした。
読書ノートについては、熱心な支部とそうでない支部の差が出ていると報告があった。
増売企画の主婦の友社「新実用ブックス」、小学館の新学習図鑑はかなりの反応があると報告された。
また、7月31日〜8月2日に行われる「絵本ワールド」について人員の割り当てを行った。
(平井弘一広報委員)

前渡し承認受けた駅売店の好評求める

大阪府書店商業組合は7月理事会を13日午後2時から組合会議室で開催した。
審議事項は次の通り。
▽総務委員会「組合員より組合分担金引き下げの要望があった件は、業界情勢の激変もあり全体的な見直しが必要と思われ、慎重に審議することにした」▽出版販売倫理委員会「万引き問題解決のため大阪府警に意見交換の場の設営を要請する」▽広報委員会「特集記事として各取次の提言『業界発展のために組合と共栄できる方策』を企画。
書店インタビュー記事は好評につき2ページに拡充した」▽事業委員会「学校図書館納入支援で開発された日書連マークは、費用負担等の面で分かり難いところがあり、しばらく研究する」▽共同受注委員会「大阪市中央図書館受注書店の後継は旭屋書店を推薦する」▽再販・公取協委員会「ハリーポッター第4巻をおまけ付きで予約募集している店があり、どうなっているのか日書連に問い合わせることにした」▽雑誌発売日委員会「地区委員会に前渡し承認された駅売店の店名の公表を求める。
阪急上新庄駅で発売日前日に週刊誌が陳列されたが、近畿ブロック会での確認事項として陳列=販売となっているので前渡し停止を求めて追求していく」(中島俊彦広報委員)

学校図書館整備重点に

長崎県書店商業組合は6月25日正午より諌早市「水月楼」で理事会を開いた。
中山理事長あいさつのあと議事に入り、平成13年度決算報告、平成14年度事業計画および収支予算案を全員一致で承認した。
昨年度は組合員の退会が6件、入会が2件の結果になり、相変わらず厳しい状態が続いているとの報告があった。
昨年10月に発刊された平凡社の郷土歴史大事典『長崎県の地名』を長崎県組合として推薦し、販売で一応の成果が見られたと報告があり、本年度は「学校図書館図書整備費」予算化運動を組合として重点事項にして活動を行うことを確認した。
(古瀬寛二広報委員)

発売日繰上げ申入れ

北信越ブロック会(森井清城会長)は7月7日、金沢市・湯涌温泉「秀峰閣」で総会を開き、各県から15名の幹部が出席した。
発売日問題では北信越5県組合の理事長名で東京と同時発売になるよう申し入れる方針を確認したほか、■地方紙に書籍広告が減少しており売上減につながっている、■図書カード読取機の保守料を無料にしてもらいたい−−などの議論が行われた。
長野県からは須坂の流通団地構想の経過報告が行われた。
総会後、加賀百万石博、東茶屋街を見学、料亭「久連波」で昼食をとり、歴史をタイムスリップした。
(高嶋雄一広報委員)

トーハン関係会社人事

(○新任、△重任)◇東販自動車・代表取締役社長渡邊光常務取締役柳田武男取締役○金田万寿人同宮下洋二監査役△藤井武彦◇東販商事・代表取締役社長田沼義貞取締役吉葉光夫同小島俊一監査役△藤井武彦◇・レブセン代表取締役社長取締役△正能康成同△小島俊一監査役藤井武彦◇・メディア・パル代表取締役社長△金田万寿人取締役△小柳貴史同△阿部信行監査役星野安弘◇・トーハン・システム・エンジニアリング代表取締役社長△小林辰三郎常務取締役○嶋田豊秋取締役○行徳信夫同△上瀧博正同△中村勉監査役藤井武彦◇・トーハン・コンピュータ・サービス代表取締役社長小林辰三郎取締役土田武同中村勉同大槻一雄監査役△藤井武彦◇・ジャパン・メディア・サービス代表取締役社長小倉桂一郎取締役西本博紀同高野仁同小島俊一同近藤隆一監査役△藤井武彦◇・トーハン・ロジテム代表取締役社長△小林辰三郎取締役△中林剛同△池田禮監査役△藤井武彦◇・トーハン・インターメディア代表取締役社長△橋本優取締役△中村勉同△小島俊一監査役藤井武彦◇・トーハン・コンサルティング代表取締役社長△鈴木光雄取締役△渡辺勝也同△正能康成監査役本田和美

−無題−

◇扶桑社(6月25日付、○は新任)代表取締役社長中村守取締役(編集総務・制作進行・雑誌第2編集担当)井瀬賢二同(販売・販売企画・販売事業・宣伝・関西支社担当・教科書事業室長)奥村傳同(広告・広告推進・デジタルメディア担当)藤田敬二同(雑誌第1編集担当、雑誌第1編集部長兼LUCi編集長)鈴木伸子同(書籍第1・第2編集担当)平田静子同(総務担当、総務部長)溝賀主水同(ニッポン放送常務)○宮本幸一同(FCG総研常務)○奥田祥子常勤監査役○江渡宗行監査役(フジテレビジョン常勤監査役)木下信親役員待遇(経営管理・情報システム担当)植田成紀◇筑摩書房(6月28日付、○は昇任)代表取締役社長菊池明郎専務取締役(編集部長)松田哲夫常務取締役(総務部長)○岡本格取締役(営業部長・サービスセンター担当)田中達治同(製作部長)宮園功夫同(第3編集室部長)熊沢敏之監査役浅田弘

当店のレジには2年前から次のような小さな目立たない張り紙を出している。
「読者無視の幻冬舎の新刊本は、当分の間取り寄せを中止します」7月2日の朝日新聞に石原慎太郎の『老いてこそ人生』の大広告が出て、夕方までに2人の客注があった。
幻冬舎に電話すると「品切れ重版未定です。
保留可ならお受けします」と判で押したような、いつもの返事。
「じゃあ、結構です」と電話を切った。
いつ重版されるか、わからない状態でお客様に待っていただくわけにはいかない。
書店人としてあまりに無責任である。
本日も新刊『ネコはなぜ生きる』の切抜きを持ったお客様が来られた。
ダメモトと思い電話をすると、人は違えど前日と同じ答。
怒りを殺して説明を求めると別の営業担当が「大量の流通在庫があり、どれだけ返品があるかわからないため重版を決められない」という返事。
同社のホームページGOBSの直売サイトでは「在庫あり」になっているがと聞くと、「読者のための別枠です」と言う。
冗談ではない。
書店の注文の後ろには本をお待ちになっている大切な読者がいる。
どれくらい返ってくるか予想がつかない大書店中心の傾斜配本システムにあぐらをかき、大型広告後の客注対応すらできない販売方針の裏には、零細書店はあるものを売ってくれとの書店無視、ひいては読者無視の姿勢が透けて見える。

最近のうちの悩みは、帆船や飛行機などの「模型入り週刊誌」の存在です。
辞書や図鑑並みにかさばるし、なかなか売れません。
だけど、版元では無料配送をしている。
思い当たる版元さんは、何とかやめてのらえないだろうか。
やめないまでも、地位規制を考えてほしい。
狭い店の中で圧倒的な場所を取る商品が、実は直接、客先に届いてしまっているとなると、本屋はメリットがなくなる。
なまじ週刊誌だから、週を追うごとに嵩は増え、売り場を圧倒し、返品だけでも困りものだ。
こういったことを意見する書店は過去にもあったが、版元は一向に動いてくれる気配がない。
ディアゴステーィーニさん、扶桑社さんはじめ、ぜひ早急な検討をお願いします。

中央社人事異動

中央社は7月4日付けで人事異動を発令した。
販売機能の融合化、組織のスリム化、在庫戦略が狙い。
〔役員人事〕解・委嘱業務部長兼任取締役渡邊裕解・委嘱商品管理部長兼任取締役外山義朗解・委嘱総務人事部長兼任取締役鈴木修〔機構変更〕1、営業推進部を新設し、事務管理部、取引管理部、販売部、市場開発部を廃止する。
2、総務人事部に広報課を新設する。
3、経理部に事務管理課を新設する。
4、雑誌部に雑誌販売課を新設する。
5、書籍部に書籍販売課を新設し、商品センター課、オーダーセンター課を廃止する。
6、商品管理部に商品センター課を新設する。
7、営業推進部に取引審査課、取引管理課、営業推進課、書店開発課を置く。
8、関西支社に営業課を新設し、営業1課、営業2課を廃止する。
9、名古屋支社に営業課を新設し、営業1課、営業2課を廃止する。
〔人事異動〕営業推進部長・役員待遇(市場開発部長)佐藤誠三総務人事部長(雑誌部長)佐塚徳雄経理部付部長(事務管理部長)田口留男雑誌部長(北海道支店長)大谷敏夫コミック・メディア販売課長兼任(コミック・メディア部長)斉藤進書籍部長(販売部長)小暮豊博営業推進部付部長(取引管理部長付)谷本巌商品管理部長(書籍部長)宗原徳久任・委嘱命・業務部長(中央ブックセンター社長)柴田二三雄経理部経理課長兼任(経理部次長)岡田益男書籍部次長(書籍仕入課長)荒木耕治業務部次長(書籍部次長)真瀬忠雄書籍部次長(業務部輸送課長)持田信広

平成12年11月17日、東京組合、同青年部による「11・17出版再販を守るつどい」が開かれ、神奈川組合の役員とともに参加した。
集会は全電通会館いっぱいの参加者で盛り上がっていた。
当日、会場からの「真の消費者利益とは」の質問に公取委消費者取引課の山田課長は「消費者にとって選択の幅が広がれば、それは消費者利益になる」と答えられた。
選択の幅が広がるためには、豊富な情報が提供されることが必要だ。
出版界でも、委託制のもとで書店店頭に多くの本を並べ、定価販売が許されるもとで出版社も安心して多用な本を出版し、豊富な情報を消費者に提供する一翼を担っている。
このような観点から再販制を当分の間存置するとした公取委の判断は、正しかったと思う。
再販制は中小書店の経営を価格競争から守り、多くの商店街の中で書店が頑張れる余地を残しており、消費者利益に繋がっていると思う。
この情報を盛った出版物をできるだけ長く店頭に置いておければ良いのだが、取次の取り立てが厳しく、早期返品につながり、再販制による委託販売の良いところを生かし切れていないのはいかにも残念。
消費者が的確に判断し、選択するためには正確な情報提供が前提になる。
最近の規制緩和・競争社会の中ではともすると品質保持、向上の競争より、価格破壊などの名による価格競争が全面に出過ぎている。
競争が強まるあまり、社会を欺くような商法がまかり通っていることに、所管する役所や公取委はもっと目を光らせる必要がある。
最近の狂牛病問題では、ヨーロッパで肉骨粉などの配合飼料の危険性が指摘されていたにもかかわらず、農水省が判断を誤り、的確な行政を怠って、消費者ばかりでなく、生産者や流通業者にも莫大な損害を与えた。
偽りの表示がまかり通っていることは、輸入肉、国内肉の操作や雪印食品など数えきれない。
経済評論家の内橋克人氏が、かつて「自覚された消費者をつくることが大切」と述べられた。
目先の価格の安さに目を奪われず、大局的にあらゆる角度から物を見る必要があり、そういう習慣をつけたい。
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能勢氏講師に書店経営実務セミナー

アスカビジネスカレッジは8月3日から来年1月まで、6回に分けて「書店経営実務セミナー」を開催する。
講師はノセ事務所の能勢仁氏。
セミナーは参加者全員で考え、意見を交換しながら進める。
開催日は原則として第一土曜日の午後1時半から4時まで。
会費は1回6千円、6回通しで3万円。
定員30名になり次第、締め切る。
申込み、問い合わせは■03−3513−0281、FAX03−3513−0282番へ。
講座内容は以下の通り。
■8月3日「これから生き残る書店の条件」、■9月7日「儲かる書店は雑誌の売り方がうまい」、■10月5日「店頭・レジ接客と顧客満足」、■11月2日「万引き防止とロス管理」、■12月7日「お客様を固定客にする」、■1月11日「店長の仕事、社員の仕事、パート・アルバイトの仕事」

本屋のうちそと

フェイエノールトの小野の出演しているCFがとても気に入ってる。
ボールを転がしながらスーパーで買い物をする小野を、小さな女の子が果敢に攻める。
陳列棚の間からスライディングしてボールを奪りにいく。
両手をいっぱいに広げて、シュートを阻止すべく立ちはだかる。
もちろん小野はプロだから、余裕の笑みを浮かべて「もっと練習しろよ!」と言う。
女の子は、きっと顔を上げて「おまえもな!」と言い返す。
もうひとつのバージョンは「サッカーは手を使っちゃいけないんだよ」と小野が言い、女の子は「キーパーだもん」と反撃する。
車のコマーシャルだから、小野は車に乗り、女の子は自転車にまたがっている。
しかも、自転車は、車一台分の駐車スペースのど真ん中に止まっているときている。
そのなまいきな存在の主張の仕方がおもしろくて、何度も見ているのにどうしても笑ってしまう。
サッカーを素材にしたCFに女の子が登場するのは、これしか知らない。
女の子の風体はといえば、髪の毛を頭の上にふたつ結んで、長めのスカートをはいている。
パンツでないところがミソで、これがサッカーのユニフォームだったりしたら興ざめだ。
女性が男性に限りなく近づくことを是とするような、浅薄なジェンダー・フリーになってしまう。
北欧を舞台にしているからか、女の子は、ファッションもなまいきな口調や表情も、リンドグレーンのピッピを彷彿とさせる。
CFの作り手がピッピを読んでいたかどうか知りたいものだ。
(如意)

冒険ファンタジー

オーストラリアとアメリカでブームになっている冒険ファンタジー「デルトラ・クエスト」(全8巻)が8月下旬、岩崎書店より発売になる。
第1回配本は『沈黙の森』『嘆きの湖』の2点。
以後10月、12月、来年2月に2点ずつ刊行する予定。
初版は4万部。
ストーリーはデルトラ王国に伝わる7つの宝石を取り戻し、王国を救う謎解きと冒険のファンタジーで、小学校高学年向き。
四六判ソフトカバー、平均200頁、定価本体800円。
著者エミリー・ロッダは「ローワンと魔法の地図」(あすなろ書房)でオーストラリア最優秀児童図書賞を受賞している。
岩崎書店では「冒険小説はいつの時代にも児童書の主流。
ファンタジー・ブームを『ハリー・ポッター』『指輪物語』で終わらせてはいけない。
男の子にはゲーム感覚が受けるのではないか」とし、抽選で4千名に「デル・クエ」特製図書カードをプレゼントする。

角川ブックサービスを設立

角川書店は7月1日付で100%出資の子会社「・角川ブックサービス」(資本金3千万円、田中樹生社長)を設立した。
角川書店、富士見書房、メディアワークス、ローカス、SSコミュニケーションズのグループ各社の書店向け販売促進を担当。
平成14年度は40〜50名の訪問スタッフを採用して、首都圏・関西圏を中心とする約1500書店の訪問を開始。
順次、他の大都市圏に対象を拡大していく。
役員構成では、角川書店田中樹生販売促進部長がブックサービスの社長を兼務するほか、角川から井上泰一営業局長、貴志学営業統括部長が非常勤取締役に、関谷幸一、室田弘之両氏が常勤取締役に入る。
住所は千代田区富士見1−7−10パリスビル3F、■03−3238−8446番、FAX03−3238−8634番。

映像作品も製作支援

出版関連ベンチャー企業や出版社を支援する「角川出版事業振興基金信託」は、出資対象に新たに映像プロデュース事業を加え、「コンテンツビジネス出資プロジェクト」を創設した。
このプロジェクトは、製作・配給・宣伝・資金調達を含めた映像コンテンツのビジネスプランを審査対象とし、合格したコンテンツ製作に出資するもの。
新人プロデューサーや国際的に通用する映像コンテンツ製作支援を目的にしており、劇場用映画、テレビ番組、ゲームその他のブロードバンドコンテンツ等も対象となる。
出資は総額3億円を上限に、製作総予算の50%未満の範囲内で行われる。
さらにプロジェクトの一環として、劇場公開用の脚本・ストーリーを募集する「日本映画エンジェル大賞」を創設した。
第1回は今年9月末日締切、12月下旬に大賞を発表する。
賞金は100万円(4編程度)。
受賞者にはビジネスプラン策定費用として500万円の範囲内で資金を提供。
アドバイザー会社の支援のもとでプランを作成し、コンテンツビジネス出資プロジェクトに応募できる。
10日に行われた説明会で同基金の羽佐間重彰運営委員長(フジサンケイグループ代表)は「これまで25社に総額15億2600万円を出資した。
角川社長の意見から映像コンテンツにも出資することにした。
出版文化の一層の高揚を願っている」、角川書店角川歴彦社長は「新しいコンテンツの会社に投資したいと思っていた。
“エンジェル”には援助の意を込めている。
提案が花開くようご支援をお願いする」と述べた。
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いきいきライフ健康書フェア