全国書店新聞
             

平成17年11月21日号

京都組合が京都市功労者表彰

京都府書店商業組合は10月26日に本年度の「京都市教育功労者表彰」を受賞した。「教育功労者表彰」は京都市の教育、学術及び文化の振興発展に貢献した個人・団体に対し京都市教育委員会が昭和24年以来行っているもの。57回目となる本年度は40名、10校・園、21団体が表彰を受けた。
11月理事会において中村理事長は受賞を報告したあと、「この栄誉ある受賞は日頃の組合員の多大なるご支援、ご協力の賜物である」と組合員への感謝の意を表すとともに、今後も組合員の団結のもと、京都府書店商業組合の更なる発展を推し進める決意を語った。表彰状は以下の通り。
「貴団体は永年にわたり地域に密着した読書文化の育成推進に尽力するとともに学校図書館と連携した図書案内システムへの支援や「子ども読書の日」記念事業の運営協力を通じて子どもの読書活動を推進するなど本市教育の充実発展に多大の貢献をされました。よってここに教育委員会表彰規則により表彰します」(山名達哉広報委員)

月額1万円に改訂/共有書店マスタユーザー会会費

共有書店マスタユーザー会(世話人会代表=筑摩書房田中達治取締役)は11月7日、蔵前の筑摩書房で記者会見を行い、会員が順調に増加していることから今年4月にさかのぼり会費を一律月額1万円に改訂すると発表した。
共有書店マスタは出版業界で行われている様々なデータ交換を、6ケタの書店コードで統一するもの。平成11年に出版社52社で発足した。15年4月には日書連と「書店データベース(S―DB)」の協同作成で合意。ビジネスの基本ツールとして活用が拡大している。会員数は11日現在で222社。
従来の会費は定額の基本負担金8千円と規模に応じた運営負担金(最低2千円)でまかなってきたが、大手出版社数社が、月額30万円を越す負担となっていた。

九州で図書カード詐欺

最近、大分県はじめ福岡、佐賀、長崎と九州各地で市役所職員を装った図書カードの詐欺事件が相次いでいます。
11月15日に起きた佐伯市の書店では身長160㌢、中肉中背の男が役所名の入った顔写真入り名札などで信用させ、10万円分の図書カードを求め、あとで市役所に請求してという手口。役所に電話で確認するか、必ず現金と引き換えにするなどで、詐欺に合わないようお気をつけ下さい。

半月でアクセス760/福岡組合のホームページ/福岡総会

福岡県書店商業組合(山口尚之理事長)は11月15日午後4時から福岡市中央区のセントラルホテルフクオカで第27期通常総会を開催。10月に開設したホームページは半月で760アクセスがあったと報告があり、ホームページの利用や研修会を重ねて学校図書館の納入を進めていくなどの取り組みを決めた。
石橋誠一総務委員長(石橋書店)の司会、河合正行副理事長(宗文堂)の司会で始まった総会は、冒頭、山口理事長が「商業組合も27期となり、順調に推移している。この間の組合活動への協力に感謝したい。福岡県は全国の商業組合の範となる組合を目指したい。のちほど各委員会から活動を報告するが、この1年間の活動を検証しながら次期も一致団結して、よりよい組合を築きたい」とあいさつした。
筑豊支部石川真一支部長(石川書店)を議長に議案審議を行い、各委員会委員長が事業活動を報告。流通委員会では山本太一郎委員長(福岡金文堂)が「取次、運輸、福岡組合で雑誌早売りなど流通問題を話し合う会を持った。今後も連絡会を年に数回行い、情報を共有していく。組織委員会とともにアウトサイダーの加入促進も図っていく」と述べた。
倫理問題は武藤和義委員長(武藤三正堂)が万引き防止キャンペーンを福岡、北九州、筑後、筑豊の4支部全てで実施したことを報告。「STOPザ万引き」のポスターを警察署、派出所に掲示したのに続いて、公立学校100校、私立中・高86校にも掲示していることを紹介した。
情報化推進については中尾隆一委員長(中尾書店)が①日書連マークの普及は福岡地区が動き出し、全県に指導員を配置できた、②10月に県組合のホームページを開設。11月1日からの2週間で760件のアクセスがあった、③最近は高校からも日書連マークが注目されており、研修会を重ね学校図書館に日書連マークを導入していく――と、今後の方針を説明した。
質疑応答では「一昨年31店、昨年47店の廃業がある一方、超弩級の書店が組合に加入しない」という指摘に、山口理事長は「組織強化は日書連でも大きなテーマであり、今後も組合加入の努力を続ける」とした。
大石宏典常務理事(大石金光堂)からは福岡県警、県青少年課、小売業界で取り組む万引防止連絡協議会の取り組みについて報告があった。
総会終了後、出版社、取次、輸送など33名を交えて懇親会を行った。

兵庫組合は県知事表彰

兵庫県中小企業団体中央会の創立50周年記念大会が11月8日、神戸ポートピアホテルで開催され、兵庫県書店商業組合が兵庫県知事表彰を受賞した。
表彰式は各種団体関係者など400名余りが出席するなか、井戸敏三兵庫県知事より優良組合として三上
一充理事長(三上尚文堂)が表彰状を受け取り、出席した執行部全員で喜びを分かち合った。
村田耕平執行理事・事務局長(三宮ブックス)は「受賞は歴代理事長はじめ関係各位のご努力の賜物。この受賞を励みとして活字文化の興隆と、書店経営の支援に組合の活性化を図っていきたい」と述べた。(中島良太広報委員)

05年上半期ABCレポート/総合週刊誌の低迷続く

日本ABC協会は05年上半期の雑誌発行社レポートを発表した。今回の掲載は51社140誌。前年同期と比較した販売指数は週刊誌96・51、月刊誌94・50で、合計95・19となった。主要52誌の販売部数をまとめたのが別表。
総合週刊誌は低調で、軒並み部数を落とした。「週刊文春」は58万1千部でトップの座を守ったものの9千部減。2位「週刊新潮」も5千部減だった。一方、3位の「週刊現代」は8千部増で50万部台に回復した。また、「サンデー毎日」も1万1千部増と健闘した。
女性週刊誌も3誌とも部数を落とし、「女性セブン」が2万5千部減、「週刊女性」1万7千部減、「女性自身」9千部減だった。女性ファッション誌では「CanCam」が前期比4万6千部、前年同期比10万6千部増で54万7千部と好調。逆に「non・no」は4万4千部減。
タウン情報誌の低落傾向にも歯止めがかからず、東京、関西、東海、九州、横浜の各ウォーカーが軒並み部数を減らした。

まんがの日大賞/欽ちゃんと長澤まさみさんが受賞

まんがは日本を代表する文化の1つと広く訴えるため制定された「まんがの日」を記念して作られた「まんがの日大賞」「同・文化大賞」の授賞式が10月31日午後2時から東京・一ツ橋の如水会館で開かれた。
第4回となる今回の大賞は茨城ゴールデンゴールズ監督でタレントの萩本欽一さんと女優の長澤まさみさん、第3回文化大賞はさいたま市が選ばれた。
授賞式の冒頭、「まんがの日」委員会のやなせたかし委員長は「萩本さんは社会人野球球団を設立して日本中に勇気と元気を与えた」「映画とまんがは密接な関係にある。長澤さんは映画・ドラマで今、最も輝いている女優」「さいたま市は日本初の公立漫画美術館である漫画会館の運営やまんがコンテストの実施など、多彩なまんが文化事業を展開している」と選考理由を説明した。
続いて受賞者を表彰。賞状、まんが家サイン入りはっぴ、副賞(まんが1千冊)などが贈られた。萩本さんは「ゴールデンゴールズは優勝できなかったが、こんなに素晴らしい賞をいただくことができた」と受賞の喜びを語った。

鹿児島組合がソフトボール大会

鹿児島県書店商業組合は10月12日、5チームによるソフトボール大会を開催。優勝は鹿児島書籍、準優勝は南九州出版会、3位はトーハン、4位は日販会、5位はテジマだった。
(濱田晴樹広報委員)

高品質・高効率輸送実現を/出版物輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会は11月10日午後3時半から四谷の東京都トラック総合会館で第27回出版物関係輸送懇談会を開き、トラック協会15名、版元16名、印刷3名、製本2名、取次7名、日書連から流通改善委員会の梅木秀孝委員が出席した。今回は「出版物輸送を取り巻く現状と課題について」をテーマに、暴騰を続ける燃料価格問題が及ぼす輸送業界への影響や荷主側の業界動向などについて話し合った。
懇談会の席上、荷主側を代表して日本雑誌協会物流委員会の藤原卓委員長があいさつ。「出版業界は昨年、8年ぶりにプラス成長を記録した。今年は雑誌が低迷しており、全体的に厳しい状況が続いている。雑誌発売日が首都圏と比べて2日遅れだった山陰3県で、3月から1日遅れに改善することができたのは、輸送業界の努力と協力の賜物。出版社も業量平準化に努めたい」と述べた。
続いて瀧澤賢司部会長が出版物輸送を取り巻く現状について「排出ガス規制など行政の規制強化、納品時間指定など荷主の要請強化によって、コスト負担が増加。さらに昨春以降の軽油価格暴騰と車両購入価格の上昇が加わって、輸送事業者の自助努力は限界に来ている。このままコストの価格転嫁が進まなければ小規模零細業者が多数を占める輸送業界は危機的状況を迎える」と報告。車両・燃料価格の値上がり分も吸収できず、荷主の信頼と安全輸送の確保に支障を来たす低廉な運賃水準を是正すべきと訴え、「高品質・高効率輸送の実現に向け、荷主との共同作業で輸送・運賃体系を構築することが今後の課題」とした。
日書連流通改善委員会の梅木委員は「書店業界はほとんどが中小零細。輸送業界と共通点が多い。最近は納品時間指定が厳しくなっており、運転手さんの健康問題、人身事故の危険性を考えると改善の必要がある」との見解を述べた。

子ども読書フォーラム、盛況の報告/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合は11月7日、トーハン神奈川支店で定例理事会を開いた。主な議題は以下の通り。
1、「子ども読書活動推進フォーラム」は10月29日、横浜市神奈川区のかながわ県民センターで開かれ、関係各方面の協力により盛況だった。
2、CD「サァー本屋さんへ行こう!」は組合員全員に配布、活用してほしい。
3、新年理事会は来年1月13日(金)、横浜中華街「華正楼」で行なう。
4、出席理事から「福島県で大型出店を調整する条例『福島県商業まちづくり推進条例』が制定されたが、神奈川県でも何らかの規制が必要な時にきているのではないかとの発言があり、活発な議論が行なわれた。(平井弘一広報委員)

帯コン優秀作9点を印刷/定款改定案12月に提示へ/大阪理事会

大阪府書店商業組合は11月5日午後2時から組合会議室で定例理事会を開いた。各種委員会からの報告は以下の通り。
〔読書推進委員会〕
10月27日、28日、29日に「本の帯・創作コンクール」展示会・表彰式を開催。表彰関係者の出席は約380名、来賓・業界関係者などを含めた出席者総数は約450名だった。多くの人に喜んでもらいイベントは成功だった。いくつかの反省点は次に生かしたい。優秀作9点の帯を印刷、12月商戦に間に合うように手配している。また、すでに次回の課題図書の選考作業もスタートしている。「読書ノート」50冊読了者約1500名の氏名が11月1日、2日付の朝日新聞紙上で発表された。
〔定款等改定委員会〕
11月15日委員会で素案作成、12月理事会で素案提示する予定。
〔経営活性化委員会〕
活性化策を検討中。元気に経営努力している店の情報を収集したい。「付録付き雑誌が増えているが、出版社は書店現場を知らない。書店の手間に対して何らかの対応を要求すべき」「カーセンサーなど安くて分厚い雑誌の扱いに困っている」などの要望があったので、委員会で対応を検討することにした。
(中島俊彦広報委員)

子どもの頃に読んだ本/文化庁シンポで河合隼雄長官が講演

文化庁が10月27日に開いた「文字・活字文化の日シンポジウム」で、河合隼雄長官が基調講演。自らの読書体験を披露し、子ども時代に本を読むことの大切さを語った。
私の子どもの頃は読みたいのに本がなかった。だから我々の世代の人は自分の子に読ませてやりたくて、どんどん本を買ってやる。これが失敗のもとで、あまり本があると読む気になれないものだ。ある人から「自分が好きだったドリトル先生の全集を買って『面白いから読め』と子どもに言っても全然読まない。どうすればよいか」と相談を受けた。そこで私は「親が読んだらいい」と言った。
親が面白そうに読んでいると子どもが「お父さん、何読んでんねん」と必ず来る。でも「やかましい、寄るな。外で遊んで来い」と言って、本棚に鍵をかけて読めないようにしておく。子どもに読みたいなあと思わせておいて、ある日曜日に鍵をかけるのを忘れて外出すると、子どもは絶対読んでいる。1冊読んで面白いと思わせたら勝ちだ。
子どもの頃、少年倶楽部の本が大好きだったが、そういう話と全く違うものがあるということが分かったのは、山本有三さんが編集した『世界名作選』ではなかったかと思う。
感激したのがケストナーの『点子ちゃんとアントン』だった。この中で、アントンが点子ちゃんにいたずらする奴を殴る。私は腕力が弱かったので、「アントンはかっこいいけど僕は駄目だな」と思った。ところがケストナーはその章で「本当の勇気とはどういうことかを述べます」という。そして「できないことをできないとはっきり言うのが勇気である」と書いている。殴り合いをしなくても勇気が出せるんだと、ものすごくうれしかった。
中学3年の時、海軍兵学校に推薦入学できると言われ、先生も親父も喜んだ。僕は愛国精神はものすごくあったけれど、軍人にはなりたくないなあと思った。ここで勇気を出さなきゃいかんと、手紙を書いて寝ている父の枕元に置いた。父は学校に断りに行ったが、父も勇気があったと思う。
兄に薦められて中学2年生頃に読んだ『モンテ・クリスト伯』がとても好きだった。細かいセリフを一つ一つ覚えて、何かあるとそのセリフを言ったりして、兄に「おまえはモンクリ党やな」と言われたくらいだ。この中の「待て、しかして希望せよ」という言葉がすごく好きになった。
私の本職は臨床心理学で、人の相談を受ける仕事だ。心理療法の仕事の根本は、この言葉だと思う。よく誤解されるが、来た人に助言をするのだと思っている方が多い。だが助言や指導をすることはほとんどない。なぜなら、しても仕方のないことが多いからだ。シンナーを吸ってる学生や酒飲みの人にやめるように言っても、「わかってる」と答えるだけだ。
私はひたすら話を聞いて「また来週会いましょう」と言う。私が何もしないので、その人は自分で解決し自分で変わっていくのだ。人の話をひたすら聞くだけというのはものすごくエネルギーがいる。なぜ聞けるかというと、希望があるからだ。心理療法は「待て、しかして希望せよ」さえできればいい。希望を持って待ち続けるというのはものすごく大変だけれど、今でもモンクリ党をやっているな、とうれしくなる。
もうひとつ、子どもの頃から好きなのが昔話だ。読んでいて不思議に思うことがたくさん出てくる。『浦島太郎』などは本当に疑問だらけだった。グリム童話も好きでたくさん読んだが、一番疑問に思ったのは、西洋の話はハッピーエンドが多いのに、日本の昔話にはなぜハッピーエンドが少ないんだろうかということだ。西洋では苦労して、最後は結婚して幸せに終わる。日本は結婚して、別れが来て終わりだ。
スイスのユング研究所で心理学を勉強したとき、「昔話の心理学」という講義を聴き、子どもの頃に思った疑問がいろいろ解けた。そして『浦島太郎』について、何で西洋とこんなに違うのだろうかというレポートを書いた。その後、日本の昔話に日本人の心がいかに示されているかということで『昔話と日本人の心』という本を書いた。子どもの頃に読んで感激したり関心を持ったことが、そこまで連なっている。
子どもに本を読んでもらうというのは本当に素晴らしいことで、朝の10分間読書を始めた人は、本当にえらいと思う。文化庁でやろうかな、と思ったが、私は朝行ったりしてないので。冗談でなく会社でもやったらどうかと思う。
みんなが集まって泊りがけで本を読むだけという「読書ツアー」をやってみたらどうだろうか。実際にやってみて色々面白いことがあった。川上弘美さんと私が本を10冊を選び、その中で好きな本を1冊を持って来てもらう。名札には名前と読んでる本とを書いて、本のことを話し合ってもいいけど、他人の読書の邪魔をしてはいけない。
最後に、読んだ本の中で一番好きなところ、他人に聞かせたいところを順番に読んでもらった。ツアーには小学6年生の子もいたがとても上手く読んだ。自分の好きなところだから、読んでるだけで伝わってくる。40人が参加して、同じところを読んだ人がいて面白かった。皆さんもいっぺん読書ツアーを企画してみてはどうでしょう

「声」/似た名前の書店が近隣にオープン/阪南市・尾崎ブックセンター・辻本キクヨ

私どもの書店は私鉄駅前で営業しております。この度15㍍程の近隣に、店名をひらがなに変えた同じような名前の「おざき書店」がオープンしました。書店組合からの事前連絡では「宮井平安堂○駅前店」と新規出店の案内を受けており、家人一同驚きです。
取次の日販さんに電話をすると、「店名は急に決まった。本日荷物を搬入してオープンする。看板も袋も作ってしまっているから、今さらどうすることもできない」との返事。
同じような店名では、今後混同するのは目に見えている。どうして、「30年以上も取引している店があるから、その名称ではダメです」と言ってくれなかったのかと抗議しましても、ただ「すみません」を繰り返すのみで埒が明かない。その後、大阪書店組合からも抗議していただき、大阪日販会の役員さんにも連絡し、名称を変えてもらうようにお願いしております。
和歌山の地域一番店を名乗る書店のすることとも思われない出来事に、心が寒くなりました。日販さんは、売場面積の増大を図り、経営規模の大きい書店と提携して、地域密着型の「町の本屋」さんを次々弱らせていく。これでは読者の本離れが叫ばれてもしょうがないと思いました。

日書連/万引犯からのお詫び金10万円を全国万引犯罪防止機構に寄付

かつて万引をしたことへの謝罪の手紙とともに現金10万円が日書連に送られ、日書連では全国万引犯罪防止機構に寄付することを決定。「万引お詫び金受入れ式」が11月8日に四谷の高千穂交易で行われた。
式典には、日書連から丸岡義博会長、大橋信夫副会長、大川哲夫専務理事、全国万引犯罪防止機構から河上和雄理事長、山村秀彦理事、若松修理事、佐藤聖理事、福井昂事務局長が出席した。
日書連丸岡会長は「万引被害の増加に書店は悪戦苦闘している。換金目的の万引が増えているため、未成年者からの買取について青少年条例の改正を求めたり、万引防止キャンペーンを展開するなど各組合で取り組んでいる。7月30日付で万引をした人からお詫びの手紙と10万円が送られてきた。理事会で話し合い、万引防止機構で活用していただくことを決めた。万引犯罪をなくすためぜひ頑張っていただきたい」と述べ、現金10万円を河上理事長に手渡した。
大橋副会長は「良心の呵責に耐えかねてこうした形でお金を送ってきたのだと思う。万引についての考え方や社会的状況が変化しており、書店では万引犯への対応に苦慮している。今回の出来事が少しでも社会の役に立つよう伝えてほしい」と述べた。
河上理事長は「万引がこの人の心に傷として残っていることや、日書連がお金を万引防止機構に渡し、これからの万引防止に役立てるということを、本人を含め広く社会に知らせたいと思った。お金は有効に使いたい」と述べ、防犯ポスターやパンフレットの製作費用に充てることを検討していると話した。

大賞に一清堂栄和店など/第20回祥伝社飾り付けコンペ

2005年第20回祥伝社オン・ステージ飾りつけコンペの大賞3店と優秀賞が決まり、11月14日に東京九段のホテル・グランドパレスで報告会が行われた。
大賞はさいたま市・一清堂栄和店、原町市・おおうち書店=写真、豊岡市・喜久屋書店豊岡店。優秀賞は春日市・明屋書店春日店など26店。今年の祥伝社オン・ステージには2100店が参加、飾り付けコンペには128店が応募した。
報告会であいさつした祥伝社竹内社長は「祥伝社はこの11月で創立35周年を迎えた。10月末締めの今期決算は増収増益の見込み。書籍部門が頑張り、佐伯泰英、藤原緋沙子の歴史ものに引きずられて文庫が好調だ。雑誌は既存誌の建て直しが急務だが、男性ファッション誌『キャサディ』、『ジッパー』世代の上を狙う『ニーナズ』を仕掛ける。コミックも『パラダイス・キッス』がフジTVのアニメ化で収益に寄与した」などと近況を報告。
鈴木営業部長は首都圏120店にオンステージの評価を聞き取り調査した結果、35%が「満足」、40%が「まあ満足」という結果だったことを報告。オン・ステージの参加店は減っていないが、飾り付けコンペ
の応募が減ったこと、首都圏からの応募が少ないことなどを反省点にあげた。

大修館書店が第2弾『続弾!問題な日本語』

72万部のベストセラー『問題な日本語』の第2弾として、大修館書店は『続弾!問題な日本語』(四六判・定価840円)を刊行した。
「1000円からお預かりします」「普通においしい」「間違ってるっぽい」など、前作刊行後に寄せられた全国の読者からの気になる日本語の疑問に、『明鏡国語辞典』の編集委員が真正面から回答している。
言葉の常識がわかるコラム「使うのはどっち?」、4コマ漫画を配して読みやすい編集。嶋崎藤村、与謝野晶子から、スポーツ新聞、八百屋の表記まで具体例を多数引用しているのが親切で、読み応えがある。
『問題な日本語』編者の北原保雄編で、10月からTBSが放送しているクイズ番組をまとめた『クイズ!日本語王』(四六変型判・定価840円)も好評発売中。

電撃大賞小説部門に『お留守バンシー』

メディアワークスが主催する第12回電撃大賞贈呈式が11月9日午後4時から、東京・九段下のホテルグランドパレスで行われた。
今回は小説大賞に3022作品、イラスト大賞に520作品の応募があり、小説部門大賞の小河正岳氏『お留守バンシー』など計8作品が受賞した。
贈呈式で久木敏行社長は「電撃大賞は、受賞してデビューした作家の作品にインスパイアされて読者が応募するというサイクルができている。粒揃いの作品ばかりだが、受賞はあくまで出発点。私たちには世に問うて大きく育てる使命がある。皆様もぜひご協力をお願いする」とあいさつ。
続いて賞の贈呈と選評が行われ、小説大賞の深沢美潮選考委員は「バラエティに富んだ作品ばかりで、これほど選考を楽しめた年はなかった。大賞の作品はティム・バートンやアダムス・ファミリーを髣髴とさせる。皆さんには本を書くこと以外にもいろいろやってみてほしい」と述べた。

藤原会長、責販制を提起/副会長に赤澤、佐藤両氏選ぶ/東北日販会

昨年、東北6県日販会が統合して誕生した「東北日販会」の第1回総会が11月10日、秋保温泉ホテル佐勘で開かれ、書店75名、出版社116名など208名が出席した。
商談会、研修会に続いて午後4時半から行われた総会は、東北日販会藤原直会長が「出版業界は昨年マイナス成長を脱したが、今年に入ってマイナスが続いている。一番の問題は書店が年々減っていることで、宮城組合は平成元年に365店あった組合員が178店と半分以下になった。もう少し利益を分け合わなければやっていけない。書店が責任を持って販売し、出版社もマージンで応じる仕組みが必要ではないか。取次も書店の窮状を理解いただき、出版業界がどうすれば良くなるか、ともに考えていきたい」とあいさつ。
藤原会長を議長に16年度事業・会計報告、17年度事業計画・予算案を承認。①仕入販売研究会、②企画商品勉強会、③会報発行などの事業を通じ会員の親睦と向上発展を図ることを明確にした。また、東北日販会規約を制定し、空席だった副会長に赤澤桂一郎(岩手・さわや書店)、佐藤一雄(山形・鶴岡書店)の両氏を決めた。
祝辞を述べた日販鶴田社長は出版業界の当面する課題として①8年間のマイナス成長、②雑誌販売の低迷、③慢性的返品増加をあげ、「社内で返品コストを3百億円と試算したが、書店の手間、版元倉敷料、償却ロスなどを考えると業界全体で2千億円ぐらいになるのではないか。日販のトリプル・ウインは書店1千店、出版社2百社がデータを交換している。日販で20%、流通全体では10%を占め、新しい業界スタンダードになりつつある。協業5社による無伝返品システムも書店の省力化につながってくる」と日販の施策を述べた。また、同社の上期決算については売上げ、経常利益ともマイナスになる見通しと説明した。
総会に先立ち行われた研修会は「あのお店は何故売れるのか」として、仙台市・八文字屋書店、同・興文堂書店、名取市・テンコードー、宮古市・かんの書店、鶴岡市・佐藤書店、郡山市・みどり書房の6店がマガジン・エクスプレス拡売成功例、従業員によるディスプレー・コンテスト、企画商品の取り組み事例などを報告した。

農文協から食のライフスタイル

「食べることは暮らすこと」をコンセプトに新しい「食」のライフスタイル誌『うかたま』(季刊)が農文協から12月5日に創刊される。定価780円。以後、3・6・9・12月刊。
「うかたま」は穀物、食べ物の神様を意味する「うかのみたまのかみ」の略称。12月発売の冬号は、特集「おもちはエライ!」「100人の朝ごはん」ほか、地域独特の郷土料理を民宿や食堂のメニューから紹介する、野菜まるごと食べきり術、子どものごはん、週末農園日記の連載など、地域の食文化を現代に生かし、作って食べて楽しむ雑誌を目指す。創刊号5万部発行を予定。

本屋のうちそと

今月初めの金曜日から日曜日にかけて一年ぶりの東京出張。どこへ行っても人、人、人でさすが人口密度57倍、公共交通機関の便利さを実感して帰ってきました。
私の町は今年度いっぱいでバス事業をすべて民間事業者に移管することになり、公共交通機関など益々当てにならないのが現状です。
郊外店までの移動には30分おき発車のバスで乗車時間30分。駅を起点にしての移動ですから取次や版元の方の出張でも車で移動しないことには一日に数件しか訪問できないと言います。
車に頼るしかない町、となれば駐車場の確保が必要です。ここの商店街でも悩みのタネです。広すぎる幅の歩道に点字プレートをまたいでの二重の駐車。交差点でもお構いなしで商店自身の車でさえ遠慮なしの歩道上駐車にもうあきれるばかりです。
たまに巡回するパトカーのマイクには反応してくれるけれどほとんど無法地帯の状況に、先日交番からの広報が回覧板で回ってきました。「オレオレ詐欺に遭わないお年寄りの心得」や「自転車のマナー」「防犯について」などの内容でしたが、月一回発行しているとのこと。交番からの広報なら効果があるかもしれないと直感し、早速交番に電話をしました。歩道上の違法駐車について注意を載せてほしいと話したら快諾してくれました。
歩道に駐車しないまでも駐車場を持たない喫茶店や囲碁クラブの常連さんが占領してしまうありさまに近所の銀行はついに駐車場を有料化しました。人の流れを期待して歩道を広くしたはずなのに駐車場と化していいのでしょうか。 (あかり)