全国書店新聞
             

平成15年12月21日号

年末年始の事務局体制

年末年始の特別体制により、日書連事務局ならびに日書連共済会事務局は、年内は12月29日(月)で業務を終了し、新年は1月5日(月)より通常業務を行います。ご了承ください。

実効性ある条例検討/シンポジウムで中田横浜市長/万引き対策

青少年の明るい未来のために/STOPザ万引き横浜モデル」シンポジウムが1月14日、横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれた。書店の万引きは中高生が3分の2を占め、集団での盗みや換金化など被害金額が増加して悪質化しているといった報告をもとに、中田宏横浜市長、矢島正見中央大学教授、藤子不二雄A氏らがディスカッション。中田市長は「実効性のある条例の仕組みを考えたい。社会、学校、店、家庭がそれぞれ責任を果たしていくべきだ」と述べ、万引き防止横浜モデル協議会の取り組みに理解と協力を求めた。万引き防止横浜モデル協議会と横浜市の主催で開かれたシンポジウムは午後1時に開会。初めに主催者を代表して、浜田博信協議会会長(講談社副社長)が「地域住民、行政、学校、警察、出版業界が広範に協力することで青少年の非行防止、改善策を考える目的で開催した。来年1年かけて様々な施策を実施していく。横浜の取り組みを発表してから全国的に運動が広がってきた。多くの方の知恵で実効あるものにしていきたい」と横浜モデルへの理解と協力を訴えた。
基調講演「万引きしやすい社会とは」を行ったのは少年非行に詳しい中央大学文学部の矢島正見教授。矢島教授は「昭和30年代前半までは貧しくて買えない万引きが多く、本の万引きは好意的に受け止められていた。40年以降、マンガやタレント写真集の被害が増え、ここ数年は換金のためにごっそり持っていく。地域の人間関係の希薄さ、万引きされやすい陳列にも問題があるが、 安易に換金できる新古書店があれば、早急な制度的対策が必要だ」と指摘した。
パネルディスカッションは、21世紀のコミック作家の未来を考える会弘兼憲史氏をコーディネーターに中田市長、矢島教授、藤子不二雄A氏、市民活動家から今井嘉江さん、県立湘南高校の中村紘さん、横浜市立並木中学校の五十嵐翔太君で万引き問題を討論した。
進行役の柴田未来弁護士から経済産業省が昨年行った書店万引き調査などの結果、①万引き1件あたりの被害金額は1万円弱、②書店の年間被害額は200万円、③16、17歳の犯行がピークなどの数字が紹介され、これを受けて各パネラーが発言した。
パネラーからは「中高生が換金のために万引きしていることは驚き」「モラルの低下が恐ろしい」「新古書店で買い取ることが犯罪を助長している」「社会問題として提起し、行政、学校などが積極的に解決に乗り出そう」などの議論が行われ、会場からも「書店で万引きしにくい雰囲気づくりを心がけたい」などの発言があった。。

古川、稲垣氏らが受賞/野間賞、50年の歴史に幕引く

第51回印刷・製本・取次・書店・製紙に関する野間賞贈呈式が12月16日午後4時半から目白の椿山荘で行われた。
表彰式では野間文化財団野間佐和子理事長が「今年の10名の受賞者も各分野ですばらしい業績をあげ、業界の発展に貢献された方ばかり。心からお祝いしたい」とあいさつ。また、この野間賞について「今回をもっていったん終了する。本賞は昭和28年に創設し、昨年までに374名を顕彰してきた。昨年で50回を迎え一つの役割を果たしたことから、幕を閉じることにした。これまでの受賞者に深甚の敬意を払いたい」と述べ、受賞者一人ひとりに賞状と記念品を手渡した。
選考委員を代表してトーハン小林辰三郎社長は「受賞者はいずれもこの道一筋に研鑽を続けてこられた方で、今後も精進してますますの活躍をお願いしたい。講談社は表彰制度を通じて業界の基盤を支えてこられた。半世紀を越える功績と取り組みに深甚の感謝を申し上げる。人を育てていくことの重要性にはいささかも変わりはない。賞を創設した野間省一氏の心を肝に銘じたい。出版業界は回復への道筋が見えない現状だが、文化の核として出版業界の果たす役割は大きい。講談社とともに業界発展に励みたい」とあいさつした。
第51回印刷・製本・取次・書店・製紙に関する野間賞受賞者
▽印刷=大野仁(凸版印刷)、川村則夫(ローヤル企画)、森島毅(東京工芸大学)
▽製本=宮澤瑞夫(司製本)、西田博(大立製本)
▽取次=釼持宗平(トーハン)、福田保(日販)
▽書店=古川寿一(高島書房)、稲垣正勝(豊川堂)
▽製紙=淵田郁雄(北越紙製選)

日書連HPにPR漫画/福本堂書店「ブックス」がオープン

サン・ジョルディの日実行委員会(萬田貴久実行委員長)は、日書連のホームページ「本屋さんへ行こう!」のサイト上に、PR漫画“福本堂書店物語「ブックス」”を12月5日オープンした。
福本堂書店物語「ブックス」は、日本のどこにでもある小さな書店「Books福本堂」を舞台に、店を切り盛りする福本ときえ・みよの姉妹と周囲の人々の物語を4コマ漫画で紹介するもの。物語では、書店で起こる出来事を通して、「本屋さんに行くのが楽しい、もっと本屋さんが身近になってほしい」という思いを込め、そのためにはどうしたらいいかと姉妹が奮闘する。
この姉妹は「本屋さんへ行こう!」のホームページ上で、「Books福本堂」以外のページでも「世界本の日サン・ジョルディの日」キャンペーンの案内役を務め、キャンペーンのサポートキャラクターとして活躍する。こんな本屋さんなら来店者に親しまれるに違いないという展開になっており、楽しみながら書店関係者にも見てもらいたい内容になっている。

井狩春男の必殺まるす固め

☆「初版3千部の本を3年かかって売ろうと思ってます」。聞きちがいか?3万部のマチガイでは…。童話屋の田中さんは、さらに続けて、3千部を1冊1冊ていねいに子どもたちに届けたいみたいなことを話すのだ。
それが、「この人を見よ」シリーズの1回①「エイブ・リンカーン」と②「二宮金次郎」だった。
子どもが努力すれば手の届く存在の人物であること。武将や宗教家は外す。天才的なスポーツ選手と芸術家も。条件がこれだと、かなりの人たちがバラバラと落選してしまう。
野口英世は?若い頃に借金ばかりしていて、とても尊敬できる人物ではない、ということになるらしい。で、落選。
いろいろ思い浮かべようとするのだが、人物の名前が出てこない。エジソン?存在が遠すぎる。努力したって、とうてい届かない。
そう考えると、2回以降のラインナップに困るんですよ、と明るく笑うのだ。
「今こそ、子どもたちの手本に足る、精神の高い偉人の伝記を読ませたい。人を愛し、人を不幸せにするあらゆる敵と勇敢にたたかい、人の自由と尊厳はかち得たけれど、おごらず、死ぬまでふつうの人と同じだった、そういう偉人の伝記」。新聞広告のこのコピーはなんと立派であることか。これで初版3千部。読者が、書店が許さない。志ある書店さんから事前の申し込みが殺到した。で、それから初版の刷り数がどうなったか知らないが、3年などかからずに、3週間ぐらいで売り切れるだろうと予想する。
天は、コツコツと優れた本を出し続ける欲のない出版人に味方する。ごほうびをくださるのである(ホントにそういうものだと思う)。
このシリーズは、きっとブレークする。
☆欲のないのがもう1人。新風舎の松崎さんだ。イイ本を、出したい本を出し続けている。大売れすることなど望んでいない(たぶん)。小部数を、ていねいに売る姿がステキだ。
そこで、ごほうび。「うしろにいるのだあれ」(新風舎)が急に大売れしだした。テレビで、愛子さま2歳のお誕生日に、雅子さまが読み聞かせているご様子が放映されたからだ。「うしろにいるのだあれ」は、愛子さまの大好きな絵本だという。
愛子さまは、無条件にかわいい。子どもながらも品がある。その愛子さまお気に入りの1冊となると、ワタシもボクもオイラもと、どっと行列症候群現象が完成する。
イイ本が売れるって、とってもいい気分!

6氏の受章祝う/出版関係受章者祝賀会

栃木県教科書供給所社長の森實氏、メヂカルフレンド社会長兼社長の小倉一春氏、教育出版会長の谷口隆氏、江﨑書店会長の江﨑千萬人氏、愛知県教科書特約供給所社長の星野孝平氏、大修館書店会長の鈴木荘夫氏の6氏の叙勲を祝う出版関係受章者祝賀会が、12月15日正午から出版クラブで開かれた。
今回の祝賀会に出席したのは、昨年秋に受章した小倉一春氏(勲三等瑞宝章)、谷口隆氏(同)、今秋受章した鈴木荘夫氏(旭日小綬章)。昨年春受章の森實氏(勲四等瑞宝章)、昨年秋受章の江﨑千萬人氏(勲五等瑞宝章)、今春受章の星野孝平氏(勲五等双光旭日章)は欠席した。
祝賀会では野間佐和子発起人代表が祝辞を述べ、記念品の壺「梅一輪」を贈呈した。受章者スピーチで小倉氏は「出版界の社会的、文化的役割の重大性を感じる。今後も皆様のご指導を得て生ある限り充実したい」、谷口氏は「人材作りが私たちの役目。今後も良い教科書作りに励む」、鈴木氏は「出版界に入って50年。戦後日本の出版界を経験してきたありがたい人生だと思う」とあいさつ。小学館相賀昌宏社長の発声で乾杯した。

子ども読書推進会、実務者間協議進める/IT推進で2月に講演会企画/大阪組合

大阪府書店商業組合(今西英雄理事長)は12月6日、組合会議室で定例理事会を開いた。
まず「大阪府子ども読書推進会」の進捗状況が、担当の面屋副理事長から次のように報告された。
朝日新聞大阪本社に参加を呼びかけたところ、紙面を提供したい旨の賛同の応答があった。また、「朝日新聞社主催」の形を申し入れて了解を得た。大阪府には副知事との会談の際に協力を申し入れ、概ね同意を得て実務者レベルの話し合いに入るよう指示をいただいた。組合理事有志による準備会、朝日新聞社社会部次長・千葉氏、文研出版取締役・嵯峨氏、金の星社・磯貝氏を招いての第2回準備会を開催。事業内容として課題図書・読書ノート・読み聞かせの組み合わせが浮上している。この後、まず大阪市教育委員会・朝日新聞社・組合幹部の話し合い、次に大阪府教育委員会・組合理事による実務者レベルの話し合い、これらを受けて組合のプロジェクト編成の話し合いを年内に予定している。
このほかの審議事項は次の通り。
〔総務委員会〕
11月22・23日にOBPツイン21で開催された「こどもの本フェスティバル」の報告があった。入場者数は1万2千人、書籍売場の売上は470万円。お客さんが23日の午後に集中したので販売に混乱をきたした。今回の反省を次回に活かしたい。来年はハービス大阪で開催される予定。
〔出版販売倫理委員会〕
11月14日、大阪府警青少年担当官を招いて懇談会を持った。防犯方法・万引き犯の対処法等の懇談内容が報告されたが、警察に期待している取締りとは隔たりがあったため失望の声が上がった。
〔組織強化委員会〕
1月5日、北区ホテルモントレにて新年互礼会を開催。女性用テーブル・支部別テーブルを設けて出席者増を目論む。1月28日、同じくホテルモントレにて第3回レディースランチを開催する。
〔IT推進・書店学習委員会〕
「書店協業グループのIT戦略を聞く」と題して講演会を開催する。講師はパルネットグループ本部長・㈱松原書店専務の西浦元章氏。2月20日に北区イーストホテルにて収容人員は30名余りとの告知があった。
各出版社の初刷りが軒並み減少する中、注文品の入手が困難を極めるという声に対して、出版社・取次との付き合い方等の成功事例が開示された。後日公表する。
なお10月、11月と続いて脱退届けが6件ずつあった。年末、年度末を控えて推移が懸念される。
理事会終了後、階下の居酒屋にて忘年会を催した。
(田中順二広報委員)

新年号原稿募集

来年1月1日、11日付発行の本紙新年号に書店の皆さんからの原稿を募集します。
テーマは①私の好きな偉人、②子どもの頃読んだ印象に残る1冊の本、③2004年に期すもの、④新春雑感――のうちから一つを選んで600字以内にまとめて下さい。原稿には氏名、住所、書店名を添えて12月26日までに書店新聞編集部「新年号係」へ。

参考図書

◇『白泉社30年の歩み』
白泉社は社史『白泉社30年の歩み』を編纂した。別冊『白泉社少女まんが30年』を付する。非売品。
創業から自立への道のり/自立の証明―基礎づくりから基礎がためへ/発展期―着実な歩み/更なる発展への助走の4期に分け、社員、OB、漫画家など関係者の寄稿でたどる。初期に多くの分量が割かれており、創業当時を知るうえで貴重な証言。他に年表などを収載。別冊は側面史として、「花とゆめ」「LaLa」の2誌を中心に少女まんがの歩みをたどる。

2004年新年の出版業界行事

〈組合関係〉
〔日書連〕
◇出版販売新年懇親会=1月23日(金)午後5時半より箱根湯本「湯本富士屋ホテル」で開催。
〔北海道〕
◇北海道書店商業組合・在札取次・出版金曜会合同新年懇親会=1月8日(木)午後5時、JRタワーホテル日航札幌で開催。
〔宮城〕
◇合同新年懇親会=1月7日(水)午後4時よりホテルメトロポリタン仙台で開催。
〔福島〕
◇福島県書店商業組合新春理事会=1月28日(水)午後1時より磐梯熱海温泉四季彩一力で1月理事会。午後6時より新年懇親会。
〔東京〕
◇東京都書店商業組合新年懇親会=1月15日(木)午後5時半より千代田区紀尾井町の「ホテルニューオータニ」で開催。
◇東京組合青年部新年会
=1月29日午後6時半より港区赤坂・ベルビー赤坂9階の「橙家」で開催する。
〔神奈川〕
◇神奈川県書店商業組合9支部合同新年懇親会=1月15日(木)午後5時半より横浜中華街の「華正楼本店」で開催。同会場で午後1時より常務理事会、2時より理事会。
〔静岡〕
◇静岡県書店商業組合平成16年度新年総会=1月14日(水)午後4時より焼津市の焼津グランドホテルで開催する。
〔愛知〕
◇愛知県書店商業組合新春賀詞交歓会=1月6日(火)午後5時半より名古屋市千種区の愛知厚生年金会館で開催。
〔三重〕
◇三重県書店商業組合理事会・新年会=1月17日(土)午後3時より津市の組合事務所で理事会開催。終了後、午後5時より「天蕎麦」で新年会。
〔長野〕
◇長野県書店商業組合新年理事会=1月28日(水)午後4時より松本市浅間・ホテルおもとの湯で開催。
〔大阪〕
◇大阪出版業界新年互礼会=1月5日(月)午後4時から北区「ホテルモントレ」で開催。
〔京都〕
◇平成16年京都出版業界新年互礼会=1月6日(火)午後4時半より京都ホテルオークラで開催。
〔福岡〕
◇福岡県出版業界新年の会=1月5日(月)午後4時より福岡市天神「福新楼」で開催する。
◇福岡県新春賀詞交礼会=1月6日(火)午後4時より北九州市小倉北区「リーガロイヤルホテル小倉」で開催する。
〈取次関係〉
◇2004年栗田新春あいさつの会=1月6日(火)板橋区の本社で開催。午前9時から新物流センター3階商品管理センターでスタートアップセール。午前11時より4階大ホールで鏡開き。
◇中央社新春会=1月6日(火)午前8時半から午後1時半まで板橋区の本社で開催。正午より社長あいさつ。
◇第53回日教販春季展示大市会=1月9日(金)午前9時より午後4時まで、文京区の後楽園会館で。
◇大阪屋新春おでんの会=1月10日(土)12時半から大阪屋関西ブックシティで開催する。
◇2004年トーハン新春の会=1月9日(金)第1会場本社8階特設ホール9時半開場、第2会場文京営業所店売8時開場。近畿会場も9日、トーハン大阪支店で開催。
◇日販新春を祝う会=1月9日(金)午前10時半より本社5階特設会場で開催。鏡開き10時半。東京支店では午前9時より新春ビッグセール。

「声」/50年続けてきた書店をたたんで/静岡県・山崎書店・山崎忠男

私は今年の11月で書店を廃業いたしました。突然体調を崩してしまい、店を閉じなければならなくなったのです。ちょうど50年の長きにわたり、本という文化商品に携わってこられたことを誇りに思っています。
思い出すといろいろなことがありました。万引きした子どもに他人の物を盗るということが良いことかと諭したこともありました。よく話せばわかる子どもたちばかりでした。その子どもたちも親になり、一生懸命生活しているのを見るとあの時、小さなことで止められてよかったなと思い出します。父親、母親になって自分のしたことを思い出し、自分の子どもには物を盗ってはいけないと、しつけていると思います。
学校に配達に行った時、職員室から先生の大きな声が聞こえてきたことがあります。5、6人の生徒を前に頬を紅潮させた先生が諄々と説いていました。私たち親には、わが子を甘やかす面が多々あります。でも、良いものは良い、悪いものは悪いと教えなくてはなりません。世の中には世の中を律する掟があり、普遍の常識があります。職員室に響くその声は、私たち地域の人を勇気づけ、先生方の教育方針を見る思いがしました。
近年、社会環境は多様化し、非行が低年齢化しています。経済、政治、治安と日本社会のあり方を軌道修正していくのは私たち大人の義務で、1人ひとりが自分の生き方を変えなければならない時に来ています。
11月、ある子どもに最後の本を渡すとき、「おじさん、からだが悪くなってしまったから店を廃業する。これが最後の本だよ」と言うと、その子は「おじさん、長い間、ご苦労さまでした。元気になってください」と言ってくれました。子どもが帰った後、涙があふれました。
子どもを見ると親がわかるといいます。その子の親のしつけが目に見えるようで感心しました。このような子どもが地域にいる限りご近所との触れ合いはもっと親密になっていくでしょう。地域の人たちに支えられて生きてきた私は、この職業を50年も続けてこられて、幸せだったとつくづく思っています。

2003年年間ベストセラー

トーハン、日販調べの2003年ベストセラーが発表された。総合上位20位は以下の通りだが、ベスト5は同順位。
〔トーハン調べ〕
①「バカの壁」新潮社②「世界の中心で、愛をさけぶ」小学館③「トリビアの泉1~4」講談社④「ベラベラブック2」マガジンハウス⑤「開放区」集英社⑥「新・女性抄」潮出版社⑦「大悟の法」幸福の科学出版⑧「マンガ金正日入門」飛鳥新社⑨「ポケモンルビー・サファイア・シナリオクリアBOOK」毎日コミュニケーションズ⑩「ダイエットSHINGO」マガジンハウス⑪「ファイナルファンタジーⅩ2アルティマニア」デジキューブ⑫「ポケモンルビー・サファイア公式ぼうけんクリアガイド」メディアファクトリー⑬「嘘つき男と泣き虫女」主婦の友社⑭「祇園の教訓」幻冬舎⑮「ポケモンルビー・サファイア公式ポケモン図鑑完成ガイド」メディアファクトリー⑯「スクウェア公式ファイナルファンタジーⅩ2最速攻略本」デジキューブ⑰「ベラベラブック1〔青版〕」ぴあ⑱「学力は家庭で伸びる」小学館⑲「体を温めると病気は必ず治る」三笠書房⑳「真・三國無双3コンプリートガイド (上)(下)」コーエー
〔日販調べ〕
①「バカの壁」(新潮社)
②「世界の中心で、愛をさけぶ」(小学館)③「トリビアの泉1~4」(講談社)④「ベラベラブック 2」(マガジンハウス)⑤「開放区」(集英社)⑥「大悟の法」(幸福の科学出版)⑦「マンガ金正日入門」(飛鳥新社)⑧「ファイナルファンタジーX2アルティマニア」(デジキューブ)⑨「ダイエット SHINGO」(マガジンハウス)、⑩「ポケモンルビー」(毎日コミュニケーションズ)⑪「新・女性抄」潮出版社⑫「ポケモンルビー・サファイアシナリオクリアBOOK」メディアファクトリー⑬「嘘つき男と泣き虫女」主婦の友社⑭ファイナルファンタジーⅩ2最速攻略本」デジキューブ⑮ファイナルファンタジーⅩ2最速攻略本」デジキューブ⑯「祇園の教訓」幻冬舎⑰「DeepLoveアユの物語」スターツ出版⑱「ベラベラブック1」ぴあ⑲「体を温めると病気は必ず治る」三笠書房⑳「学力は家庭で伸びる」小学館

米国雑誌界の現状/金平氏が講演

出版科学研究所は12月3日、一ツ橋の教育会館で元・大妻女子大教授の金平聖之助氏を講師にセミナー「米雑誌界から学ぶ5つのヒント」を開催した。
ABC考査によるアメリカの今年上半期雑誌売行き上位は別表の通りだが、雑誌卸業者の吸収合併が盛んになり、かつて1千社あった地方ホールセラーが淘汰。現在は4社で95%を占める寡占状態にある。
雑誌バイタリティの尺度と言われる一部売りの部数は今年上半期で5・5%減っており、これに歩調を合わせて世界最大の量販店ウォルマートの販売シェアが増加。雑誌一部売り全体の15%を占めるまでになり、雑誌社からの直接仕入れも始まっているようだ。
また、雑誌広告はこの10年間低迷を続け、広告費に締める雑誌シェアは82年の5・8%から、2002年は4・7%にダウンした。
生き残りへ向けてアメリカの雑誌出版社は、定期購読読者の獲得、副次収入の開拓、ウェブの活用、スタッフ削減などの努力を続けるが、雑誌自体のトレンドとしては、①小部数高価格雑誌、②カスタム・マガジン、③海外のライセンス版ビジネスなどが注目されている。同氏が最近の注目雑誌として紹介したのは次の各誌。
『トランスワールド・スケートボーディング』=部数は少ないが狂信的読者がついており、副次収入が広がっている。
『バジェット・リビング』=女性向け資産運用雑誌。チープ・イズ・シックを合言葉に編集。格安のジェットブルー航空と手を組み、創刊号をインフライト・マガジンに利用した。
『エルガール』=創刊前にエルガール・ドットコムを立ち上げ、チャットルームから企画のヒントをつかみ、Eメールでモニター調査を行った。
『ラッキー』=雑誌とネット、カタログのハイブリッド雑誌。

人事

◇山と渓谷社
(11月27日付、○昇格)
出版営業本部長(出版営業副本部長)○川城明
監査役(取締役出版営業本部長)遠藤重夫

雑誌定期購読富士山と提携/来春から大阪屋

大阪屋は来春迎える55周年記念事業の一環として雑誌定期購読エージェンシー「富士山マガジンサービス」(西野伸一郎社長)と提携し、雑誌定期購読プログラムを開始する。これは大阪屋が取引書店向けに用意するインターネット・サイトならびに書店店頭から雑誌定期購読を受け付ける仕組み。読者の希望により直送と書店取り置きを選択できる。
富士山マガジンサービスは、雑誌の定期購読を中心としたマーケティング、販売、配送・梱包、カスタマーサービス、顧客管理を出版社に提供する会社で、インターネットサイトにビジネス誌、情報誌、趣味誌など9百誌を扱う定期購読サービスを展開している。大阪屋扱いの3000誌が加わることで、取り扱い雑誌が一気に拡大する。
大阪屋取引書店は、富士山マガジンの定期購読サービスを扱うことで①配送、事務処理コストの削減、②非書店ルートの直販誌が扱える、③年間定期契約による購読料割引、プレゼント特典などお客様獲得に役立つ機会提供――のメリットが考えられる。
大阪屋では2月にも同プログラムの発表会を行い、4月にもスタートさせたい意向。

上半期売上げ3.9%減/長期借入金は91%の大幅圧縮/日販

日販の第56期中間決算が発表された。これによると今年4―9月の上半期売上高は3399億2600万円で、対前年同期を3・9%下回った。内訳は書籍1135億4300万円、3・1%減、雑誌1776億3200万円、4・3%減、開発商品487億5000万円、4・6%減。返品率は書籍41・6%(0・9ポイント増)、雑誌34・1%(2・4ポイント増)、開発商品4・5%(1・0ポイント減)。
販売管理費面では、売上高減少に伴う運賃・荷造費の減少で販売費が4・2%減少。管理費も賃貸費などで0・7%減少して合計では2・4%の減少。この結果、営業利益は対前年8・4%減の56億1700万円、経常利益は19・4%減の15億1700万円となった。
柴田副社長は「売上高が138億円減少する中で、営業利益は5億円減、経常利益3億円減と最小限度の影響にとどめたのは、当社が筋肉質の体質になったため」と説明。
バランスシート面では4月に長期借入金を140億円一括返済したことにより、長期借入金は91%の大幅減。自己資本比率も1・2ポイント上昇して11%となった。
企業年金の制度改革による構成年金代行部分の返上は、来年3月に予定。積立不足分40億円程度を特別損失として償却。これを織り込んでも最終利益はプラスになる見通し。
日販の関連会社16社を加えた連結決算の売上げは1・02倍の3474億円、当期純利益は1・42倍の12億円。
中間損益計算書
(単位百万円)
売上高339、926
売上原価303、397
販売費及一般管理費
30、911
営業利益5、617
営業外収益545
受取利息87
その他457
営業外費用4、645
支払利息15
売上割引4、559
その他70
経常利益1、517
特別利益16
特別損失111
税引前中間純利益
1、423
法人税、住民税及事業税
1、993
法人税等調整額
▲1、424
中間純利益854
前期繰越利益986
土地再評価差額金取崩額
▲2
中間未処分利益1、837

本屋のうちそと

「小説トリッパー」誌に連載していた阿部和重の『シンセミア』が完結し、十月に上下巻合わせて800頁の大作として発売された。物語の舞台は作者の出身地である「神の町=神町」で、モデルになった「パンの田宮」は、県道をはさんで真向かいにあり、作者の生家でもある。
物語は「パンの田宮」の成り立ちから始まる。それは敗戦による占領軍の駐留により「基地の町」と呼ばれたこの町の戦後史、米国産小麦の過剰生産対策として進められた「パン給食」の押し付けと密接に絡み合っている。
その頃出来上がったこの町の支配構図が、2000年の夏の事件に連なっているという設定。一万人足らずの小さな田舎町の具体的な地名の上で展開されるので、生々しく臨場感を創り出す。この町の読者だけが味わえる特権のようなものだろう。
60人に及ぶ登場人物はほとんどが悪役。唯一まともらしく描かれているのが「書店主」で、向かいの本屋へのサービスか販売促進策とも受け取れる。その販促策が功を奏して、発売以来我が店のべストセラーを独走中で、昨年同時期の『ハリー・ポッター』を凌ぐ勢いだ。
阿部は94年に『アメリカの夜』で群像新人文学賞を受賞以来、『無情の世界』で野間文芸新人賞受賞。芥川賞候補に3回ノミネートされた。我が店の売上げを左右する運命共同体が、ここにきて芥川賞を上回る高い評価を得たといえる。「神町3部作」の次回作が楽しみである。(どんこ水)