全国書店新聞
             

平成14年2月13日号

新年度150市町村で計画

ブックスタート支援センター(松居直理事長)は2月7日午前10時から、千代田区公会堂で第1回「ブックスタート全国大会」を開き、関係者ら456名が参加した。
ブックスタート運動の取り組み開始から1年が経過し、実施自治体が全国に広がりを見せていることから、情報・意見交換の場を設け関係者のネットワークを構築することを目的に開いたもので、シンポジウム『赤ちゃんにとっての絵本』や、東京都杉並区での試験実施の調査報告、各地の事例報告が行われた。

ブックスタート全国大会

大会はブックスタート支援センター事務局代表・白井哲氏の司会で進行。
白井氏は「ブックスタートの実施市町村自治体は現在34地域。
今年4月からの新年度に向けて実施を計画している市町村は150を超えると予想される。
支援センターも1月8日付でNPO(特定非営利活動法人)となって各地の取り組みを長期的にサポートしていくための体制を強化した。
日本で生まれて間もない運動であり、実践を通して運動自体が成長していく。
第1回全国大会が理念をさらに深める機会として、また各地域での実践に際し有益な情報を得る機会として役立つことを希望している」とあいさつした。
引き続き第1部のシンポジウム『赤ちゃんにとっての絵本』が、松居理事長をコーディネーターに、パネリストとして岡崎義子氏(梶原ピッコロ保育園前園長)、正高信男氏(京都大学霊長類研究所助教授)が出席して行われた。
松居氏は始めに自らの子育てのエピソードを披露。
「赤ん坊が2カ月くらいの時むずかりかけたので抱き上げて子守歌を歌った。
少し経ってはっと気づいたのは、どうして子守歌を知っていたのかということ。
歌ってもらったり教わったりした記憶はない。
それ以来、言葉とは一体何か、なぜ無意識のうちに受け止めて覚えているのかをずっと考えていた。
また、とても小さい子でも絵本に興味をもち、読んでやったらじっと耳を傾けていることにびっくりした。
聞いてくれると読み手には手ごたえがあり、本を巡って喜びの時間と空間があることがわかった。
子どもが絵本を読んでほしいのは、お母さん、お父さんと一緒にいられるから。
本を読んでやるということは喜びを共にすること。
これが私のブックスタート体験だ」と述べた。
岡崎氏は、自らの子育てを始めに、保育園、地域文庫、そして孫と、赤ちゃんが絵本と出会う場面を見てきた体験を述べ、「小さい赤ちゃんに絵本が受け入れられるにはそれなりの素地がある。
保育園では努めて散歩に連れ出し、心にいろいろなものを取り込んでまた絵本に帰った。
実際の体験を通して本に出会う、その積み重ねが大切で、子どもの中に種を蒔く時期と実感した。
地域文庫では、母親の膝に乗って絵本を一生懸命見ている姿に、親子が本に親しむ場が身近にある大切さを思った。
現在4カ月の孫がどういう絵本と出会っていくのか、興味をもって見つめている」と語った。
正高氏は、0歳児の言語習得を調べるために行った絵本を読む実験を紹介し、「演技したり抑揚をつけて読んでやると0歳児でもよく反応する。
読み手が母親と父親では違った感性を育んでいることもわかった。
読み聞かせには早いという意見を聞くが、語彙を蓄積して初めて自発的にしゃべるのであって、記憶がなければしゃべり出さない。
大事なのは反復すること、興味をもっているものであることと、子どもの行為に反応してやること。
それには子どもが気に入った絵本を見つけることが大切だ。
絵本の単語と情景が結び付き繰り返し読むことで意味を理解する。
絵本でコミュニケーションを円滑にし、親子が楽しく時間を過ごすことが重要だ」と述べた。

ホームページ紹介

愛知県書店商業組合(高須博久理事長)が開設したサイトで、組合活動の紹介に重点を置いている。
会合・行事などの報告事項を載せた「お知らせ情報」、月間スケジュール表の「カレンダー」が充実している。
「お知らせ情報」では、毎月の定例理事会の審議内容を詳しく紹介している。
地区別の加盟店一覧、県組合定款もあり、組合員本位のサイトとして様々な情報が手に入る。
今後は加盟店一覧に各書店のリンクを張り、書店交流の場として一層の充実を目指す。
http://www.aichi-books.jp/

ホームページ紹介

販売管理ソフト開発など、中小書店のSA化を推進する関西の書店集団「本屋の村」のサイト。
http://www.hon-shop.com/rakupro/index.htm

ホームページ紹介

建都1200年の年に京都の書店人によって作られた約1300冊の選書リスト「ブックリスト京都」、グルメ、観光・宿、時刻表、病院、地図の便利なリンク集「京都インフォメーション」など、京都府書店商業組合(中村晃造理事長)のサイトは特色あるコンテンツが揃っている。
本の検索は日書連ホームページのシステムを利用し、注文は「書店紹介」にある加盟店で。
「書店紹介」は駐車場有、CD販売店、深夜営業店、文具販売店、レンタルビデオ有の分類も明記しており、読者にはありがたい。
http://www.books.gr.jp/

ホームページ紹介

香川県書店商業組合のサイトは組合概要と活動状況の紹介が中心。
トップページに松本一雄理事長のあいさつがあり、「永年にわたり皆さま方からいただいた信用を重んじ、親しんでいただける書店を目指して努力を続けております」として、再販、客注改善、県立図書館納入、書店くじ、サン・ジョルディの日キャンペーン等への取り組みについて活動報告を載せている。
組合員名簿は地区別に掲載。
香川組合推薦図書「目で見る高松・東讃の100年」や図書券・図書カードの紹介もある。
http://www.chuokai-kagawa.or.jp/shoten/

ホームページ紹介

山形県書店商業組合(五十嵐太右衛門理事長)が運営するサイト。
トップページはブルーを基調としたシンプルなデザイン。
コンテンツも「組合概要」「組合員一覧」「掲示板」「出版社リンク集」と、基本をきっちり押さえている。
「組合員一覧」は最上、庄内、村山、置賜の地区別に整理。
ホームページをもっている書店へリンクも張られている。
「地域文化向上の一端を担う」という考えから「郷土出版物検索画面」があり、地域に根ざした情報発信をしている。
http://www.ybook-web.com/

ホームページ紹介

東京都書店商業組合青年部(鈴木康弘会長)のサイトは、書店間のコミュニケーションに重きを置いたシンプルな作り。
トップページにアクセスすると青年部会員用「青年部の掲示板」「青年部のメーリング」がある。
さらに、TS流通協同組合ホームページの二つの掲示板「書店の掲示板」「全国の本屋さんの掲示板」にリンクが貼られており、前者では東京の書店、後者では全国の書店と交流することができる。
次回理事会告知、前回理事会報告があり、情報源としても活用できる。
http://www.bookstore.gr.jp/

ホームページ紹介

神奈川県書店商業組合川崎支部加入書店で構成する「川崎市ブッククラブ」のサイト。
川崎市在住者、勤務者が市内の書店を利用しやすくするため、また市内書店の情報交換の場として開設された。
お客様用「ブックカフェ」と書店用「本屋さんの部屋」の二つのメニューに分かれており、コンテンツは市内の書店紹介と新刊案内が中心。
読者は会員登録すれば会員専用ページで本を注文することもできる。
書店用メニューには新聞記事抜粋の「情報コーナー」と掲示板がある。
http://www.k-book.gr.jp/

ホームページ紹介

小さな本屋の親父の「本吉」(ほんきち)をイメージキャラクターに、親しみやすいサイトを目指す「なにわの町の本屋さん」。
今西理事長は読者の要望を知り、読者に愛される書店になるためにホームページを活用したいとしており、おすすめ本や業界ニュースなど読者への情報発信が充実している。
本の検索・注文は、書協等のホームページにある検索システムで調べ、「加盟店案内」にある近くの書店へ申し込む。
組合員の情報交換の場「組合員会議室」では活発な議論が行われている。
http://www.osaka-books.ne.jp/

ホームページ紹介

この1月21日にリニューアルしたばかりの、日書連が運営するサイト「本屋さんへ行こう!」。
日書連関連行事の告知や新刊・ベストセラー情報、ブックランキング、推薦図書、書評、新刊本プレゼントなど多彩なコンテンツが揃う。
本の検索と注文は、メールアドレスを登録した書店に読者からのネット注文を配信するシステム。
全国組合員書店一覧は「あなたの町の本屋さん」で調べることができる。
掲示板は書店だけでなく読者からの書き込みも多い。
全国書店新聞の記事も閲覧できる。
http://www.shoten.co.jp/

ホームページ紹介

鳥取県米子市・今井書店グループが開設した出版業界人の研修の場「本の学校」のサイト。
http://www.hon-no-gakkou.com/

販売特約店を募集

あかね書房、岩崎書店、偕成社、学習研究社、金の星社、国土社、小峰書店、大日本図書、ポプラ社、理論社でつくる「児童書10社の会」は、2002年新学期の販売目標を書店同行巡回販売29億3200万円(昨年対比97・5%)、書店自主販売19億5900万円(同104・1%)、合計で前年同額の48億9140万円に設定、今年度の自主販売特約書店を募集している。
自主販売店は事前登録制で、申し込み締切りは2月28日。
販売対象期間は4月1日から8月31日まで。
対象商品は2002年度版『本を選ぶほん』掲載商品及び10社の会専用注文書掲載商品。
特典として■カラーカタログ『本を選ぶほん』1冊無料進呈、■売り上げ金額によるランク報償、■学校別購入データ提供、■3カ月延べ勘。
カラーカタログ『本を選ぶほん』は44頁増えて452頁、817シリーズを掲載。
書店渡し価格550円。
10社の会事務局は理論社。
■03−3203−5791番、FAX03−3203−2422番。

テキスト改革元年に

NHK出版は2月7日午後4時から新宿京王プラザホテルに首都圏の書店を招き、2002年度春の販売促進会を開催。
NHKテキストを中心に主要企画を説明した。
第一部の説明会でNHK出版専務の安藤営業局長は同社の昨年の業績について「語学テキストはフランス語、ハングル、中国語がよかった。
ハングルは隔月刊から月刊にして大幅増。
17点のCD化で29・6%の伸びた。
家庭誌は『きょうの料理』12月発売が実売で前年を大きく上回った。
11月創刊した生活人新書は現在18点。
『そば屋』『6番アイアン』など4点が増刷にかかり、まずまず順調なスタートだ。
2001年度の売り上げはほぼ前年並みになる」と説明。
新年度の販売計画では、英語テキストを全面リニューアル。
8年ぶりという大改訂により前年の落ち込みの回復を目指すとし、「2002年はテキスト改革元年」と位置付けた。
春の出版計画、販促計画は道川常務、吉松取締役、山田販売部専任部長から説明が行われた。
このうち、語学テキストはラジオ英語講座が模様替えするのに伴い『ラジオ基礎英語1』はじめ6点を全面刷新、『テレビスーパーえいごリアン』を含め7番組7テキストに大幅改訂する。
山田部長は「昨年、カセットをCDに変えて30%伸びた。
語学テキスト改訂は増売のチャンス」と述べ、史上最大規模の宣伝に連動して、テキスト・コーナーの盛り上げと飾り付けコンクールへの参加をお願いするとした。

本屋のうちそと

現代の怪談をひとつ。
時は巳の年、12月。
20日余りを残して暮れなんとする9日、一本の電話が入った。
受話器をとると、やさしげではあるが有無を言わせぬ調子の声が響く。
園児へのクリスマスプレゼントに、白泉社の『ないた赤おに』を24冊、必ず19日までに!と迫る。
果たして間に合うのか!?恐ろしい。
普通のスリップ発注では安心できない。
版元に直接電話をかける。
「取次搬入は13日、直送はできない」。
な、なんと。
氷のような冷たい口調にこちらの口元が凍ってしまった。
いったんは電話を切ったものの、こどもたちのうらめしそうな顔が浮かんで、こちらも怖い。
深呼吸。
気を取り直してもう一度電話をかけ、上司にかけあう。
「こどもたちが待っているんです」。
写メールではないが、必死の形相が電話線を通じて届いたらしい。
「では、10日に取次に搬入する」と言う返事。
18日。
届かない。
取次の倉庫のどこかに紛れているのか。
あちこち、何度か探してもらうが、ない。
もう怖いなどと言っていられる事態ではない。
版元から直接宅急便で送ってもらえるよう交渉する。
なんとかOK。
19日、朝。
まだ来ない。
配達は午前のはず。
果たして送ってくれたのか?白泉社にまたまた電話を入れる。
そして1時間、ようやく宅急便が届く。
ホッ。
年は明け、睦月も晦日となった今。
確かに取次に搬入したという版元の事後調査報告はまだない。
フェデックスはテレビのCMの中だけの話らしい。
24冊はいったいどこに?(如意)

顧客サービス強化へ

第14回近畿書店栗田会総会が1月25日午後2時より三井アーバンホテル大阪に会員書店、出版社など71社87名が出席して開かれた。
総会は吉田裕彦幹事(ラックス)の司会で進行。
片山修己会長(山科書店)は「競争が激化する中、自店の客に合った棚作りや客注品迅速化などの顧客サービス強化が不可欠。
栗田会もパソコンなどを活用して情報化推進を行い、信頼される店作りに取り組みたい。
研修会も売り上げに直結する速効性ある内容にしていく」とあいさつ。
石田真輔氏(石田書店)を議長に会計報告、事業報告、予算案、事業計画案を全会一致で承認した。
栗田出版郷田専務の祝辞では、「当社は注文品、客注品の365日出荷体制、KINSパート・のインターネット化など情報・物流のスピードアップを推進している。
「本気・元気・勇気」で書店の意見・要望を早く的確にとらえ、全力を上げ商品供給に努めたい」と述べた。
第2部は国分寺・BOOKS隆文堂・高橋小織社長が「雑誌POPで店頭活性化」を講義。
高橋社長の指導でPOP作成に取り組み講評を受けるなど中身の濃い研修会となった。
このあと、出版社、関連業者を交えて新春懇親会を行った。

出版社の在庫資源を活用

栗田出版販売は2月4日記者会見を行い、再販制度弾力運用のビジネスモデルとして「蔵出し新刊システム」を開発、4月1日から稼働すると発表した。
このシステムは出版業界のマイナス成長が続き、返品率が増大する中で、出版社の在庫資源を有効活用し、時限再販品として自由価格で提供、書店が自由裁量の価格で販売するという仕組み。
栗田の関連会社、富士出版管理・(岩田清社長)が出版社から自主的に仕入れるバイヤーの役割を果たし、物流とシステム業務は栗田と提携する。
富士出版管理は出版社、書店とそれぞれ契約を結んだ上で特約出版社と品目の選定、出版社提供価格を交渉。
加盟書店にはネット上で品目・価格リストを公開して受注する。
商品は出版後1年以上経過したものをメドに出品依頼、商品には「蔵出し新刊」用のISBNコード、出版社提供価格シールを貼る。
書店店頭には3カ月間展示、売れ残り品は返品を受ける。
富士出版管理は出版社から提供価格の10%、書店が返品した時は5%の手数料を徴収する。
ネットの名称は「蔵出し新刊ドット・コム」(www.kuradashi-shinkan.com)。
出品数は当初100社、3千点、加盟書店300店、初年度扱い金額4、5億円を目指す。
記者発表で栗田亀川社長は「現在の流通には読者、出版業界の双方にストレスがたまっている。
流通段階で少しでも解消する方法を考え、提案した」と述べた。

手数料上限5千円に

客注品を専門に扱うトーハンの関係会社・ブックライナーは、「本の特急便」利用に際して、書店に請求する1冊50円の読者手数料に上限を設定し、1月請求分から1店舗当り1カ月5千円(100冊分)を超える部分は無料にするサービスを開始する。
「本の特急便」は受注から出荷まで従来の物流から切り離して3日以内に店頭届けを可能にした客注専用システム。
昨年10月以降、受注冊数が急増している。
現在加盟している4千書店のうち400店以上が手数料書店負担ですべての客注を「本の特急便」で調達していることから、書店のコスト負担を緩和し、さらに利用を促進するため実施に踏み切った。
今月18日からは書店SAシステム「Web−TONETS」の画面からもブックライナーへの発注が可能になった。

父親の育児参加が必要

これまでの話を受けて松居氏は「言葉の本質は『語る・聞く』こと。
その豊かな体験が子どもにないと読書はできない。
現在の本離れは、その体験が欠けているための『言葉離れ』だと思う」と指摘し、「ブックスタートはお母さんを幸せにする運動。
そうでないと赤ちゃんも幸せではない。
孤立し不安を抱えている母親をどう手伝うか。
検診で本を渡すだけでなくその場で話ができること、支える人がいること。
それがブックスタートの大切な在り方だと思う」と述べた。
また岡崎氏は「父親がもっと育児に参加し、図書館や児童館が地域にあることが必要で、母親への周りの支えが大切。
心のゆとりがないといくらやってもだめで、その背景作りが課題だ」と述べ、正高氏は「現在の子どもを巡る問題は、父性の希薄化が大きい。
子どもに挫折を乗り越える力が備わることが必要。
子育ては経験がなければ下手で当たり前で恥ではない。
ブックスタートを契機に子育てや子どもの問題をもっとオープンにしゃべれるようになってほしい」と述べた。
第2部は、東京都杉並区で2000年11月と01年5月に実施したブックスタートパックの試験配布から、第1回のアンケート調査をもとに東京大学大学院教育学研究科助教授の秋田喜代美氏が報告を行った。
これによると、配布活動や内容について満足度が高く好意的であること、配布によって親自身の絵本に対する興味を喚起したり、家庭内でよく絵本を見るようになったという行動の変化が見られたこと、図書館や催し物など家庭外の絵本に関する環境への親の意識を喚起する効果が見られたことなどが明らかになった。
第3部事例報告会では、愛知県幡豆町、岡山県西粟倉村、北海道恵庭市の活動が紹介された。

前回上回る応募者

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)が昨年末に行った「本屋さんへ行こう!キャンペーン」の公開抽選会が2日午後2時から京都御池地下街「ゼスト御池」で催された。
抽選会は黒沢氏(アポロン書房)の司会で始まり、中村理事長が「多くの方が本屋に足を運んでいただけるよう、キャンペーンに取り組んだ。
これからも京都の本屋は一丸となって頑張る」とあいさつ。
協賛出版社を代表して主婦の友社柳沢憲販売情報室長も祝辞を述べた。
京都組合の単独開催になってから2回目。
今回は3千600以上の応募があり、前回を数百枚上回った。
特賞はデジタルカメラ3台。
ブックス賞として図書券3千円が50名、千円が200名のほか、協賛出版社10社からは東京ディズニーランドやUSJのペア招待券など豪華賞品が提供された。
ブックス賞の図書券は来場いただいた一般客に投票箱から抽選してもらい、出版社賞は各版元が抽選した。
特賞「デジタルカメラ」はトーハン、大阪屋、日販が抽選した。
最後にキャンペーンの実行委員長、辻本専務理事が「次回もこのキャンペーンを盛大に盛り上げていく」と意気込みを示した。
(梅澤マサミ広報委員)

田辺氏講師に研修会

埼玉県書店商業組合は1月21日午後2時半よりさいたま市の浦和ワシントンホテルに田辺企画の田辺聰氏を迎え、「平成14年勝ち残る書店トップの課題」をテーマに研修会を開催した。
倒産、廃業の相次ぐ中、まだまだ1、2年は景気の低迷が続くと思われるが、中小書店にとっては今が正念場。
田辺氏は、生き残りをかけるため地域における密着度をさらに深め、読者層の開拓、商品構成の見直し、売れ筋商品の確保、外商の検討、売掛金対策などを人的問題も含め総合的に組み立って直す必要性があると指摘。
「厳しい経済環境の中だが、回りのムダ、ムラ、ムリに気を配り、地道な対面販売の積み重ねで地に足のついた経営を心かけよう」と述べた。
(長谷川正夫広報委員)

注目的新刊

「話すように書くな」という章が、井上ひさし著『自家製文章読本』の中にある。
著者は書店に並ぶ文章指南書のいずれもが申し合わせたように「話すように書け」と、ページを割いているのに驚く。
言文一致を提唱してきた明治以降の作家の文例なども取り上げて論は進むのだが、簡単に言ってしまうと、話し言葉と書き言葉の「両者はよほどちがうものだというところから始めた方が、ずっと近道だろう」という結論である。
斎藤孝著『声に出して読みたい日本語』が評判だが、これは書かれた文章を音読することで、日本語の持つ美しい響きを気づかせてくれる。
しかし、日本語には話し言葉そのものが清々しい、話芸というものがある。
桂文治著・太田博編『十代文治噺家のかたち』(うなぎ書房2100円)は初の芸談半生記だが「東京・大阪で五百人を越す噺家の中で、これほど言葉にこだわる人を見たことがありません」と編者が書くように、言葉を「おろそかにしない」著者の姿勢が、隅々にまで行き届いている。
「で、べらんめえ、なんて遣えばみんな江戸っ子だと思ってる人がいますが、ちょっと違うね。
江戸言葉なんてもともとあったわけじゃねえんですから。
」と言う。
日本中から人が集まってきて、あちこちの方言が入り交じってできた新しい言葉なのだとも言う。
職人と商人でも言い方が違い、その微妙な言い回しの説明も実に奥深く面白い。
澤田一矢著『生かしておきたい江戸ことば450語』(三省堂1600円)は、あ行から、わ行まで辞書仕立ての江戸言葉集。
たとえば匕首(あいくち)=つばのない単刀。
九寸五分(くすんごぶ)ともいう。
『噺家のかたち』の巻末の文治の落語言葉にでてくるあいくち(合い口)は気の合った人のこと。
あいつとは合い口がいいから、などと使う。
ねこばば(猫糞)という文字など、最早パソコンには現われない。
猫が自分の糞を埋めて隠すことから、よからぬことをしておきながら知らん顔で隠しているたとえ。
のどかな時代である。
死語になりつつある言葉が多くて残念だが、こうして本になって蘇るうちは、まだまだ健在であるとも言える。
書店には、もっと日本語の棚を広げておいてもらいたい。
(遊友出版斎藤一郎)

学校図書館納入書店への支援策すすめる

大阪府書店商業組合は2月2日午後2時から組合会議室で定例理事会を開催、今西理事長は「組合運営の改革は順調に進んできたが、組合員に収益を還元できる事業を構築できていない。
学校図書館納入書店への支援策などが1番に取り組む課題と考えている」とあいさつした。
庶務関係では通常総代会を5月18日(土)13時30分から開くこと、大阪府官公需適格組合協議会の創立20周年記念式典で西谷健事務局長が優良職員として表彰されることが報告された。
販売倫理では大阪府青少年健全育成条例も制定後10年を経過して現状にそぐわない部分も出てきたので改定することになった。
組合でもたたき台の文案について検討することになった。
レディースランチの会は好評だったが、当初意図していた女性部立ち上げの目論見ははずれた。
しかし、初めての試みでよかったと大方の意見は一致した。
これに関連し、理事夫人などだけの慰労会があってもよいという意見も出た。
出店問題では豊中市に旭屋書店千里中央店が250坪で3月19日に開店することなどが報告された。
経営研究委員会からは大阪府商業振興センターが募集している競争力強化推進事業の助成金を申請すると報告があった。
(中島俊彦広報委員)

寒梅忌の催しに協力

時代小説の名手、藤沢周平が亡くなって5年。
郷里鶴岡市にある「藤沢周平文学愛好会」では1月20日に第3回「寒梅忌」藤沢周平をしのぶ会を催した。
作家活動の地であった練馬区大泉学園はじめ、全国各地からの藤沢ファン約百名が駆け付けた。
追悼式が営まれたあと、氏のエッセイ「冬の散歩」の朗読、「藤沢周平と大泉学園町」の対談、民謡歌手原田直之氏のギター演奏などが行われた。
山形組合鶴岡支部の書店は、藤沢作品や、ゆかりの地図を会場で出張販売し、同会の運営に協力した。
(佐藤一雄広報委員)

「声」

わが町では、広い駐車場付きの郊外型家電量販店が閉鎖されてしまった。
採算が合わなくなったためだ。
モータリゼーションの波に乗って、郊外型の大型店舗がこれまで増えてきていたが、不況が長引いて、一転してそれらの店舗は苦しくなっている。
書店業界では、はたしてどうなのだろうか。
私たちは、従来の思考から脱却すべきだ。
考えを変えればよいのだ。
デフレが進行し、物価が下がりつつある。
「価格が高い商品は、良い商品だ」という幻想が崩れ去り、「安い商品が欲しい」という消費者のマインドが今定着しようとしている。
だから、本は『安くて良い情報が載っている本』を売ればよいのだ。
また『高くても、その価格以上に読者が得をする本』をお勧めすれば、お客様にも喜んでいただける。
私の店では、今そんな方針で本を販売している。
人気のない雑誌は、自然と休刊に追い込まれ、淘汰されていく。
それは仕方がない。
要は、本を買っていただいてお客様が得をすれば、そんな本を売っている書店は伸びていくのだ。

「声」

日書連流通改善委員会藤原委員長の尽力により、書店新聞既報のとおり返品入帳の遅れ問題が正しい方向に進みつつあるのは、すばらしい事だと思います。
数年前より、私が投稿にて度々取次(当店は日販)のいいかげんさを指摘してきましたが、再度申し上げれば、昨年の3月、9月期もひどいものでした。
両月とも通常の月より約10日も早く入帳を締め切っています。
私の聞いたところでは、決算期は棚卸しが大変なために入帳処理を早めに打ち切るらしい。
当店は、現在有料の宛名シールを使う「新NOCS返品」という返品システムを使っている。
従来の方法より4〜5日入帳が早くなっている。
ところが決算期は何らかの指示で、手書き等すべての返品処理を同じ日で打ち切るらしい。
何のために日販のすすめで新NOCS返品にしたのか、あきれる。
日販も決算対策的な事はしていないと言うが、あやしい。
流通面でいくら努力しても所詮見せかけと言われても仕方ないのではないか。
藤原委員長の努力により、取次をここまで具体的な話し合いにもってこさせたのだから、「泣き寝入り」はやめよう。
送品が月末まで請求されているのだから、返品も月末までキッチリ入帳してもらおう。
私が言う完全入帳である。
彼らは言うだろう、「作業が日数的に不可能だ」。
それなら、これも以前に提案した事だが、こうしたらどうだろう。
現在月1回払いにもかかわらず、請求書が2回送られてくるが、それを月1回にしてもらう。
さらにそれを月末締切りの場合、今より10日位遅らせて、翌月15日頃に送ってもらう。
その間返品処理時間を充分にとってもらう。
そして、たとえ決算期であっても送品同様、返品も完全入帳してもらう。
当たり前の話である。
入金率云々の話は、それから始めよう。

「声」

BSfan別冊『デジビ』(版元=共同通信社、年4回発行)は返品期限の不当表示に当たります。
当店では2001年秋号、2002年冬号を返品できず廃棄処分しました。
2001年秋号はL表示が11月19日、2002年冬号は11月22日発売でL表示が1月27日、2002年春号は3月18日発売予定です。
なぜ2002年冬号を3月18日以降にL表示できないのですか?共同通信社殿。

◇2歳から

あそび相手を探していたことりが見つけたのは、キリンさん。
飛んでいって「あそぼうよ」って声をかけたのに「あそばない」って言われちゃった。
でもあきらめないよ。
どこまでも追いかけていって「あそぼうよ」ってさそうんだ!単純なくり返しが子どもに喜ばれ、クスッと笑えます。

◇4歳から

ぼくんちから犬のピーコが逃げだした。
あちこち探したら大きな庭のある家で女の子にかわいがられていた。
しかもポンちゃんって呼ばれて。
連れて帰って「ポンちゃん!」ってからかったら…。
男の子の素直な語り口から、移り変わる心の変化がしみじみと広がって、思いが深まります。

◇小学校低学年向き

自分の村のきいちごのことを書いた、楽しい絵入りの手紙が届きました。
実物大のきいちごも描かれています。
送り主は、やぎのめえこ、たぬきのたぬへいなど多彩なメンバー。
ゆっくりすみずみまで読んだり、好きな所だけ読んだりと楽しさの工夫ができそう。
物語仕立ての自然絵本。

編集部より

「声」欄では読者の皆さんからの投稿を募集しています。
原則として8百字以内で、氏名・店名・住所を明記の上、全国書店新聞編集部までお送りください。
紙上匿名可。
趣旨を変えずに文章に手を加えることがあります。
「読者の文芸」欄への俳句・短歌の投稿も歓迎します。
▽全国書店新聞編集部=〒101−0062東京都千代田区神田駿河台1−2書店会館内▽FAX=03−3295−7180▽Eメール=XLD07116@nifty.ne.jp

須原屋研修生OB会

1月10日にさいたま市の須原屋本店会議室で開かれた「須原屋研修生OB会」で、全国から集まった卒業生53名を前に講演した東洋経済新報社の浅野純次会長は、日本経済の行き詰まりを打開するには同質社会から脱却し、個の確立を図ることが必要と指摘。
書店も他と違うことへの不安とリスクを乗り越え、商品知識の蓄積と販売方法の工夫でプロとしての存在感を示したいと話した。

−無題−

(a)なぜ日本は行き詰まっているのか*政界、経済界、官界にリーダーシップが欠如して迷走が始まった日本にとってこれから一番大事なことは「個の確立」である。
日本がいま行き詰まっていることと個の確立とは、大いに関係がある。
まず言いたいのは、リーダーシップが政官財あらゆる階層において欠如しているということで、これによって日本の迷走、閉塞状況は始まった。
リーダーシップとは、個が集団に対して見識、決断、責任を明らかにすることである。
決断することがリーダーシップとよく言われるが、それだけではなく決断を前提とした高い見識がなければいけない。
リーダーシップはトップだけでなく、書店でいえば店長、売場主任などミドルにとっても大切なものである。
あらゆるレベルでリーダーシップは必要だということが、実はあまり理解されていない。
ここに大きな問題がある。
さらに言えば、一人ひとりが自分に対してリーダーシップを発揮できることが必要だ。
指示されてではなく、自分で判断し、リーダーシップを発揮出来るかどうかが非常に重要だと思う。
そのためには権限の委譲が非常に重要になってくる。
権限も委譲しないでミドルにリーダーシップを発揮しろというのは間違っている。
昨年末、ある書店におじゃまして社長と話をしたところ、そこは店長や売場主任はもちろん、普段あまり責任を持たされていない人にも本の補充について責任を与え、常に何を補充するか考えさせているという話だった。
そういう組織は大変強いと思う。
リーダーシップには義務が伴う。
フランス語でノブレス・オブリージ(noblesseoblige)という言葉があるが、「noblesse」は貴族のことで、つまり高貴な身分はそれなりの責任を伴うということ。
リーダーシップは単に決断をしてそれで終わりではなく、常に結果に対して責任を伴う。
高い権限を持つ人は高い責任を持たねばならない。
そうであればリーダーシップは本物の説得力を持つことになるだろう。
*経済発展段階論から見た日本1億総中流と言われて久しい。
かつてはこれが強みとなって大きな需要を生み出したが、いま国民は目標を喪失し、上昇志向の意欲が非常に弱まってしまった。
これが日本の活力を損なっている。
昨年、香港生まれの著名な方に会ったとき、「日本はもっと貧富の差が激しくなったほうが、国の活力のためによい」という話をされた。
それくらい日本は平等国家で、平等であるがために一人ひとりの個性が非常に弱くなってしまった。
上昇志向も弱い。
したがってベンチャーもなかなか育たない。
「兵隊一流、参謀三流」の伝統が転換期に弱点として露呈している。
いまで言えば「現場一流、経営三流」で、これが日本の産業界の活力を弱くしている。
それまでの仕組みがガラッと変わったときに日本は弱い。
今まさにそこで政官財が行き詰まり現象を起こしており、新たな発想で戦略を打ち出せるかどうかが重要になっている。
*農耕民族・日本の強みと弱み農耕民族では、個があって組織があるのではなく、組織があって個がある。
まず村があって、そこに農民がいるわけである。
田植えから収穫まですべて皆が一緒に力を出し合って努力して、収穫が終われば秋祭り。
そこでは1人だけ変わったことをするのは絶対に許されない。
村落の存在基盤にかかわることで、村八分の対象になるのだ。
その伝統がとても強い。