全国書店新聞
             

令和5年2月1日号

大阪出版販売業界新年互例会/書店存続へ利益率改善求める/深田理事長「組合が役割担う」

大阪出版販売業界新年互例会(主催=大阪府書店商業組合、大阪出版取次懇和会、後援=大阪出版協会)が1月10日、大阪市中央区の大阪城内「ザランドマークスクエアオオサカ」で開かれ、出版社、取次、書店、協力会社など総勢100名が出席した。大阪組合の深田健治理事長(ブックスふかだ)は、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)を通じて書店の声を国政に反映させる活動や利益率改善を目指す運動に力を注ぎ、書店存続に向けた態勢作りで書店組合が役割を担うと決意を語った。
司会は大阪組合の虎谷健司副理事長(虎谷誠々堂書店)が務め、はじめに深田理事長があいさつ。「3年ぶりとなる行動制限のない年末年始で繁華街は賑わいを見せているものの、書店は相変わらず厳しい。コロナ禍の巣ごもり需要で店頭が賑わった時期もあったが、その後は苦しいトンネルから抜け出せない状況が続いている」と、コロナ特需終息で落ち込む業界の現状に危機感を示した。
一方、出版業界の各所で活動再開の動きも見られるようになったと指摘し、大阪組合が取り組みを続けている読書ノートと本の帯創作コンクール(帯コン)を紹介。昨年、読書ノートは約5万部の応募があったこと、また帯コンは約9800作品の応募があり質量ともにコロナ前に匹敵する作品が集まったことを報告し、「読書教育の重要性が指摘される中、書店も読書人口を増やす活動の一端を担い、読書推進運動を継続して進めていく」と意気込みを語った。
日書連関係の活動報告では、書店議連、春と秋の読者還元祭、粗利30%以上獲得を目指す書店経営環境改善運動に言及した。
7年前に40名で発足した書店議連は、全国の書店が地元議員に声掛けを行ったことが大きな力になり、現在はメンバー150名を超える自民党で最大規模の議連に拡大したと経緯を報告。「日書連は議連の会合に毎回出席し、意見を述べている。書店の厳しい状況を打破するため、書店の声を国政に反映できるよう全力を尽くす。期待してほしい」と述べた。
また、出版文化産業振興財団(JPIC)の調査で、地域に書店が1店舗もない無書店自治体は全国で26・2%、大阪でも4自治体が無書店と説明。「書店を増やすことは難しいが、いま営業している書店が継続していけるよう、ある程度の利益をあげることができる態勢を作っていくことが日書連と大阪組合の役割」と強調し、大阪組合では、出版社や取次の協力でBooksPRO説明会、府中小企業団体中央会の協力でインボイス講習会を開催したと報告した。
読者還元祭ついては「昨秋は応募者が大きく増えた。今春も実施するので積極的に参加してほしい」と呼びかけた。また、粗利30%以上獲得を目指す運動は、全体の動きと連動して大阪組合としても取り組んでいくと方針を説明した。
最後に「卯年にあやかり、商売繁盛の十日戎に業界全体の飛躍を祈念する」と締め括った。
大阪取次懇和会の豊田広宣幹事(トーハン専務取締役東海近畿支社長)は、トーハン取引書店のPOSデータ集計による年末年始店頭売上動向を紹介し、「コミックは前年比14・5%減と苦戦したが、書籍は0・3%増、雑誌は0・6%増と前年を維持でき、若干安堵している。総合は2・9%減だった。客単価は価格上昇という要因もあり4・2%増と大きな伸びになった」と説明した。
近藤敏貴トーハン社長が出版文化産業振興財団(JPIC)の理事長に就任して取り組んだ秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT」については、「業界一丸となって取り組んだキャンペーン。間違いなく店頭活性化に寄与した」と評価した。
書店議連については、「各都道府県組合の真摯な声掛けで、自民党で最大規模の議連に拡大した。街の書店の灯を消してはいけない。公正な競争原理の働く環境作りに取り組んでいきたい」と述べ、乾杯の音頭をとった。
歓談の途中、出版社、取次、各県組合が今年の抱負や一押し商品の紹介など1分スピーチを行った。
大阪出版協会の矢部敬一理事長(創元社社長)は「書店、取次、出版社が協力し、卯年にあやかって飛躍したい」と中締めのあいさつを行い、三本締めで閉会した。
(石尾義彦事務局長)

22年の出版市場、紙+電子は2・6%減/4年ぶりの前年割れ

出版科学研究所は「出版月報」1月号(1月25日発売)で、2022年の出版市場規模を発表した。
紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は前年比2・6%減の1兆6305億円と4年ぶりのマイナス成長になった。内訳は紙が同6・5%減、電子出版が同7・5%増。紙は1兆1292億円と1兆2000億円を下回った。また、電子は前年までの2割前後の伸びから1桁台と急速に鈍化した。

「春の読者還元祭2023」実施要項

▽名称日書連主催「春の読者還元祭2023」
▽期間2023年4月20日(木)より5月12日(金)まで
▽参加資格組合加盟書店及び希望する書店
▽実施方法期間中に来店したお客様、外商先などにキャンペーンサイトを案内。参加にはお客様自身による専用サイトへの応募が必要(応募上限は1日1回、キャンペーン期間中に最大23回の応募が可能)
▽販促物
①キャンペーンしおり(1種類150枚。図案は名画を予定)、②雑誌カード(A5サイズ130枚)、③店頭用A3ポスター1枚
1セット予価3630円(税込)で頒布。書籍、雑誌を購入したお客様(税込500円を目安)に進呈。店頭用A3ポスターは告知用。日書連ホームページからもダウンロード可能(今回はQRコード付き応募ポスターの作成なし)
▽申込方法自主申込制。注文ハガキに申込セット数と実施書店名を記入の上、所属の都道府県組合宛に申し込む。申込締切は3月1日(水)
▽納品と請求方法 取引取次経由で4月中旬に納品。代金は取引取次から請求
▽賞品 総額300万円
図書カードネットギフト1万円   100本
同3千円             200本
同1千円            1400本
当選者には日本図書普及より直接、図書カードネットギフトメールを6月末頃送信の予定
▽報奨金しおりを購入して応募者を150件以上集めた組合加盟書店に報奨金を支給(支給する報奨金は購入数に関わらず1セット分だけとする)
▽その他販促活動への助成として、組合加盟全店にしおり20枚を無料進呈(雑誌カードは付かない)。キャンペーン開始までに全店に直送

岩手読書感想文コンクール表彰式/菊池雄星投手、読書の大切さ説く

読書家として知られる岩手県出身のメジャーリーガー菊池雄星投手が全面協力する「菊池雄星文化プロジェクト第55回岩手読書感想文コンクール」の表彰式が12月17日、盛岡市のサンセール盛岡で開かれた。出席した受賞者や保護者らに、米国からオンラインで出席した菊池投手は「今でも毎日、本を手放さず、移動時間や練習の合間にも読んでいる」と述べ、子どもたちに本を読む楽しさや大切さを説いた。
このコンクールは岩手日報社、日報岩手書店会が毎年開催。課題図書各出版社、岩手県書店商業組合が協賛。審査員は、今年も岩手県出身の絵本作家・エッセイストの澤口たまみ氏、作家の平谷美樹氏をはじめ、日報岩手書店会代表幹事で岩手県書店商業組合理事長の玉山哲氏(東山堂)ら8名が務めた。
今回は小学校99校、中学校44校、高校20校が参加し、計7491点から校内審査を経た535点の応募があった。
 表彰式では小学生から高校生まで受賞した40名に賞状などを贈った。また、優れた取り組みの学校に贈られる「菊池雄星文庫賞」には4校が選ばれた。
 募集期間中、会員書店は特設コーナーを設け、店内にポスター掲示などを行い、参加呼びかけに協力した。 
   (小原玉義広報委員)

「文化の発信元」京都の魅力高める/京都府出版業界「新春を祝う会」

京都府出版業界新春を祝う会が1月10日、京都市中央区のホテルオークラ京都で開催され、書店21名、取次6名、出版社・業界関係者52名、総勢79名が出席した。新型コロナウイルス感染症の関係で3年ぶりの開催となった。
 所用のため欠席した京都府書店商業組合の犬石吉洋理事長(犬石書店)に代わってあいさつした大垣全央副理事長(大垣書店)は、「年末年始の店頭はあまり盛り上がらず、昨年を上回ることができなかった。お客様にとってより魅力的な商材を揃え店作りをしないと、これからますます厳しくなるだろう。『街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟』(書店議連)などの力を借りながら、ニーズに合わせて変わっていく必要がある」と述べた。
 また、3月に京都で業務を開始する文化庁京都移転について「京都がいろいろな文化を発信している地だからではないか」と指摘し、「書店も文化の発信元として京都の魅力をますます高めていけるよう努力したい。うまく世代交代しながら新しい一歩を踏み出す年にしよう」と呼びかけた。
 淡交社の伊住公一朗社長は「版元と書店が一体となって業界を盛り上げる必要がある。昨年始まった秋の読書推進月間『BOOK MEETS NEXT』などを活用し、書店に人が来てもらえるよう皆が連携しながら協力していきたい」と祝辞を述べた。
 トーハンの豊田広宣専務取締役東海近畿支社長は「年末年始の書店店頭売上は、全体では前年割れとなったが、書籍と雑誌は前年をクリアした。可能性を追求し、良いところを伸ばしていきたい」と述べた。
 また、昨年12月に発表された書店議連の中間とりまとめで、不公正な競争の是正に加え、遅れているDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応、時代の変化に合わせて収益構造を見直すことなどが盛り込まれたことを説明し、「地域の書店の灯を消さないよう、不公正な競争環境の是正を進めてもらいたい。業界の維持・発展のためにやらなければならないこと、出来ることはまだいくつもある。未来に向けて飛躍するための1年にしたい」と述べ、乾杯の発声を行った。
 歓談はコロナ感染予防のため十分な間隔を取って着座で行った。
 中締めのあいさつで京都組合の森武紀明副理事長(山城書店)は「コロナはまだまだ収束していないが、負けないように頑張りたい」と力強く述べ、一丁締めで閉会した。
   (服部義禰広報委員)

「春夏秋冬 本屋です」/「先人の足跡を学ぶ」/埼玉・水野書店代表取締役・水野兼太郎

昨年夏の五街道完歩で一段落した歩き旅だったが、テレビの旅番組を観てもう一度、街道歩きをしたくなった。選んだ街道は、将軍家の日光社参の道で、地元さいたま市岩槻区を通る「日光御成街道」。江戸を出て中仙道と別れる本郷追分より埼玉県の幸手市で日光街道と合流する約50キロの街道だ。
 スタートは東大キャンパスが広がる本郷追分。そして東京の名所である六義園、旧古河庭園、渋沢栄一で有名になった飛鳥山から王子へと続く。最近は、グーグルの旧道マップに沿ってしっかり案内してくれるのでありがたい。
 荒川を渡り埼玉県の川口宿、そして鳩ケ谷宿へ。街道には説明版やポケットパークもあり、旧宿場町の雰囲気が感じられる。今では車がひっきりなしにスピードを上げて通る。時折、面影の残る旧本陣跡の長屋門が見えると、映画や時代小説の世界とリンクする。こんな調子で街道歩きをしている。
 年齢とともに足腰は弱る。学生時代、共に歩いた仲間が黄泉の国に旅立ち、年賀状の枚数も減ってくる。人生の終着駅が近づいてきている。しかし、歩くことで見えてくるものも多い。若い人のようにYouTubeやSNSにあげることは苦手だが、カメラに収めて楽しんでいる。
 街道歩きには先人たちの足跡を学ぶ機会も多い。次は「山の辺の道」に挑戦したいと思う。古代ロマンを求めて歩いてみたい。

「出版界総親和」で課題解決を/新年名刺交換会で出版クラブ野間会長

日本出版クラブは1月6日、東京・千代田区の出版クラブビルで出版関係新年名刺交換会を開き、出版社、取次、書店など関係者約200名が出席した。新型コロナウイルス感染症の影響でリアル開催は3年ぶりとなる。
 年頭あいさつを行った野間省伸会長(講談社)は、「出版界の総親和」という出版クラブ創設の精神に立ち返り課題解決に立ち向かっていく時だとして、一致団結を呼びかけた。
 野間会長のあいさつの要旨は以下の通り。
 「3年ぶりにこうした会を開くことができ、うれしく思っている。皆さんにお目にかかると、改めてリアルで会うことの大切さを実感する。とりわけ出版というものはフェイストゥフェイスのコミュニケーションの中から新しい企画を生み出してきたからこそ、読者の心を揺さぶり続けることができたのではないか。
 今年、日本出版クラブは創設70周年を迎える。昭和28年9月に『出版界の総親和』という精神のもと創設された。現在、出版業界には流通改革、海賊版対策、著作権問題などの様々な難問が山積している。どれも個社の努力だけでは解決し切れない大きなテーマだ。数多くの課題に直面している今こそ、『出版界の総親和』という創設の精神に立ち返って、各社、各団体が垣根を乗り越えて課題解決に立ち向かっていく時だ。
 昨年秋には多くの団体が一つになって新しい読書推進月間『BOOK MEETS NEXT』にチャレンジした。こうした一致団結した動きが出版界に新しいムーブメントを起こすことを期待している。
 2023年、出版界がワンチームとなって新しい歴史を作る1年にしていこう」

季刊誌「八文字屋plus+」創刊/店頭売上向上へ優良顧客に配布

山形市を中心に書店10店舗を展開する八文字屋(五十嵐太右衛門社長)は12月、「八文字屋plus+」(はちもんじやぷらす)を創刊した。
 書店店頭の売上を向上させる施策の一環として制作した、「本と書店が、よりいっそう楽しくなる」季刊誌。八文字屋で販売する多彩な商品の情報や、魅力あふれる様々な人たちの本・文具や書店との関わり方を紹介する。
 創刊号では、山形在住の作家柚月裕子氏のインタビュー「書店は宝探しの場所」、「角川の集める図鑑GET!」大解剖、日本画家・イラストレーター鬼頭祈氏のインタビュー「クリエイターと本屋」などを掲載している。
 同社は「人口減が進む社会で、お客様1人1人と向き合い、関係を深化させ、顧客ロイヤリティを高めていくことは小売店存続のための必須課題。会員の中から本・文具の購入金額上位7000名の顧客をセグメントし、店頭で配布する。来店機会の創出と掲載書籍の増売を促したい」と創刊の意図を説明する。
 次号は3月刊行を予定。

物流効率化、「集約」「共有」が課題/東京都トラック協会「出版物関係輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会(瀧澤賢治部会長)は11月24日、東京・新宿区の東京都トラック総合会館で出版物関係輸送懇談会を開催し、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書籍出版協会、印刷工業会、東京都製本工業組合、日書連と意見交換を行った。
 部会からの報告では、配車権の荷主への移行で労働時間管理が難しくなっていること、運賃が出来高制から時間制に変わったことによる収入減、業量減少による実車率の低下、トラック運転手の時間外労働の規制が強化される「物流2024年問題」などの課題が挙げられた。瀧澤部会長は「出版物の輸送を継続するにはどうすればいいか。皆が同じ方向に進んでいきたい」と協力を求めた。
 これに対し、雑誌協会の隅野叙雄物流委員長(集英社)は「休配日を増やすことでドライバーに休んでもらい、これが雇用に結びつくとありがたい。あとは出版社が売れるものを作って業量を増やすしかない」と強調した。
 取次協会のトーハン・田仲幹弘副社長は物流効率化のキーワードとして「集約化」「共有化」を挙げ、トーハンと日販の物流協業の取り組みを説明した。

大河ドラマ「どうする家康」関連書/静岡組合が販売促進講演会/日書連・春井副会長を講師に

静岡県書店商業組合は11月24日、静岡市駿河区の静岡県男女共同参画センターあざれあで、徳川家康生誕の地である愛知県岡崎市の正文館書店・春井宏之社長(日書連副会長、愛知県書店商業組合理事長)を講師に招き、NHK大河ドラマ「どうする家康」関連本販売促進講演会を開催。県内の書店21名、出版社・取次14名の計35名が出席した。
 講演会に先立ち、吉見光太郎理事長(吉見書店)は「このような厳しい状況だからこそ、大河ドラマ関連本を拡売する大きなチャンスを活かしてほしい。今回は組合に加盟していない書店にも協力してもらった。静岡県の書店業界をみんなで盛り上げていきたい」と語った。
 第1部では春井氏がおすすめの家康本を紹介し、売り方の具体例を披露した。春井氏は「今は何もしないでも本が売れるということはなく、何らかの仕掛けをしなければならない。自分たちの本屋の色を付けるには地元色の濃い本を置くのが手っ取り早い」として、「今こそ家康を売りたい。今度の大河ドラマは新しい家康像が描かれている。そこを意識した棚作りをしてほしい」と熱く語った。
 第2部では、NHK出版が大河ドラマ関連本、静岡新聞社がこれまで発行した家康本の紹介を行った。この中で12月28日発売の『徳川家康 知られざる実像』(静岡新聞社)は、大河ドラマの歴史考証を務める小和田哲男氏の著書ということもあり、「新しい家康像」が描かれた1冊。
 県内の各書店では「どれ読む家康」をスローガンにトーハン、日販の協力で独自にコーナー展開を行う。
   (佐塚慎己広報委員)

11月期は前年比4・4%減/コミック、21年9月以来のプラス/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの11月期店頭売上は前年比4・4%減だった。コミックは人気作品発売などの影響があり、21年9月以来の前年比100%超え。雑誌は前年比マイナスだったものの、今年度最高値となった。
 雑誌は同2・7%減。週刊誌は、FIFAワールドカップカタール2022を特集した商品が売上を伸ばし、同6・0%増になった。月刊誌は「すてきな奥さん2023年新春1月号」(主婦と生活社)、ムックは「『SLAM DUNK』ジャンプ」(集英社)などが好調だった。
 書籍は同9・6%減。新書は、22年の年間ベストセラー総合1位『80歳の壁』(幻冬舎)などが売上を伸ばした。
 コミックは同4・7%増。雑誌扱いコミックは「ONE PIECE 104」(集英社)や約4年ぶりの新刊発売となった「HUNTER×HUNTER 37」(集英社)、書籍扱いコミックは『北北西に曇と往け 6』(KADOKAWA)や『営繕かるかや怪異譚』(集英社)などが売上を牽引し、ともに前年比100%を超えた。

野間文芸賞の松浦理英子氏らあいさつ/野間4賞贈呈式

野間文化財団が主催する令和4年度の野間4賞の贈呈式が12月16日、都内のホテルで開かれ、各受賞者が登壇、喜びを語った。
 今回受賞したのは、第75回野間文芸賞が松浦理英子氏の『ヒカリ文集』(講談社)、第44回野間文芸新人賞が町屋良平氏の『ほんのこども』(講談社)、第60回野間児童文芸賞が福田隆浩氏の『たぶんみんなは知らないこと』(講談社)、第4回野間出版文化賞が林真理子氏、「YAMAHA VOCALOID開発チーム」、同・特別賞が江北図書館。
 野間文芸賞を受賞した松浦氏は「野間文芸賞という大きな賞をいただけたことに深い喜びを抱いている。『ヒカリ文集』は『良き通俗』であることを目指し、楽しく書けたが、職人芸であり過ぎたのではないかという不安もあった。しかし野間文芸賞という形で認められたことで力づけられ、これからも書いていく勇気をもらえた」と述べた。

日書連増売運動/心にのこる子どもの本 新学期・夏休みセール

2023年「心にのこる子どもの本 新学期・夏休みセール」は、「絵本この1冊」(41点41冊)、「読み物この1冊」(38点38冊)、「教科書に出てくる本」(53点53冊)、「子どもの本・棚ベスト」(133点133冊)の4セットをご用意しました。送本条件は7ヵ月長期委託。お店の児童書コーナーの充実に是非ご活用ください。インターネットでもご注文いただけます。日書連ホームページのバナーからお入りください。
 ※改定により、セット価格が変更となる場合がございます。ご了承のうえ、お申し込みください。
 【絵本この1冊セット】
 ▽いただきますのおやくそくだもの(あかね書房)▽戦争をやめた人たち―1914年のクリスマス休戦―(あすなろ書房)▽いろいろのりもののりたいな(アリス館)▽おばけのしかえし(岩崎書店)▽ことりのメル おっこちる(化学同人)▽おとうさん のぼり(Gakken)▽れいぞうこのそこのそこ りんごのまほう(教育画劇)▽ほんとだもん!(金の星社)▽ちちんぷいぷい(くもん出版)▽あげる(佼成出版社)▽はるかぜさんぽ(講談社)▽いつまで いっしょ?(国土社)▽恐竜トリケラトプスとウミトカゲ(小峰書店)▽アフガニスタンのひみつの学校 ほんとうにあったおはなし(さ・え・ら書房)▽いつか あなたを わすれても(集英社)▽牧野富太郎ものがたり 草木とみた夢(出版ワークス)▽あるひ くじらが やってきた(小学館)▽給食室のいちにち(少年写真新聞社)▽ぼくんちのおべんとう(新日本出版社)▽せんそうがやってきた日(鈴木出版)▽スカイブック(誠文堂新光社)▽あかちゃんは どこから くるの?(大日本絵画)▽プララのとんねるぶっぶー(大日本図書)▽とつきとおか(汐文社)▽おとうとが おおきくなったら(徳間書店)▽なきむしせいとく(童心社)▽じめんがふるえる だいちがゆれる(農山漁村文化協会)▽だいじょうぶかな いちねんせい(ひかりのくに)▽しんかんせんでいこう 日本列島北から南へ 日本列島南から北へ(ひさかたチャイルド)▽ごきげんななめなおさるさん(評論社)▽エルマーのたんじょうび?(BL出版)▽パンしろくま(PHP研究所)▽やさしいライオン(新装版)(フレーベル館)▽なつのおうじゃ おにやんま(文溪堂)▽さかさしりとり しりとりしながら回文あそび(文研出版)▽たぬき(平凡社)▽おいしゃさんがこどもだったとき(保育社)▽ぼくらはもりのダンゴムシ(ほるぷ出版)▽ゆびたこ(ポプラ社)▽イードのおくりもの(光村教育図書)▽だじゃれむかしむかし(理論社)
 【読み物この1冊セット】
 ▽3分間サバイバル 絶体絶命! 危険生物の世界(あかね書房)▽妖怪コンビニ 店長はイケメンねこ!(あすなろ書房)▽忘れもの遊園地(アリス館)▽ニャンの日に まいります!(岩崎書店)▽こうしてヒトになった(化学同人)▽地球ときみをつなぐ SDGsのお話(Gakken)▽生まれかわりのポオ(金の星社)▽空と大地に出会う夏(くもん出版)▽レッツ キャンプ(佼成出版社)▽たぶんみんなは知らないこと(講談社)▽東京タワーに住む少年(国土社)▽あやしの保健室Ⅱ① 九年に一度の誕生年(小峰書店)▽タブレット・チルドレン(さ・え・ら書房)▽海色ダイアリー ~おとなりさんは、五つ子アイドル!?~(集英社)▽はじめまして、茶道部!(出版ワークス)▽おとなになるのび太たちへ(小学館)▽「いただきます」を考える ~大切なごはんと田んぼの話~(少年写真新聞社)▽みちのく妖怪ツアー オンラインゲーム編(新日本出版社)▽5番レーン(鈴木出版)▽10歳から使ってほしい みんなのお金とサービス大事典(誠文堂新光社)▽いろんなたまご(大日本絵画)▽きれいずきのマグスおばさん(大日本図書)▽咲む(汐文社)▽黄色い竜(徳間書店)▽ちいさな宇宙の扉のまえで(童心社)▽食べものがたりのすすめ 「食」から広がるワークショップ入門(農山漁村文化協会)▽きのうの夜、おとうさんがおそく帰ったそのわけは……(ひさかたチャイルド)▽ぼくたちのスープ運動 小さな思いやりが世界を変える!(評論社)▽キダマッチ先生!⑤ 息子、ナマズになる!?(BL出版)▽54字の物語 Q(キュー)(PHP研究所)▽じいちゃんの島は宝島(フレーベル館)▽空飛ぶのらネコ探険隊 さいごのマンモス(文溪堂)▽どたばたへなちょこ探偵団 きえた!クリスタルドクロ(文研出版)▽魔法ものがたり(上) 禁じられた魔法の世界(平凡社)▽あしってエラい!(保育社)▽ひみつの地下図書館① クモの巣で大さわぎ?!(ほるぷ出版)▽かいけつゾロリのドラゴンたいじ(ポプラ社)▽ぼくは王さま おしごとコレクション(理論社)
 【教科書に出てくる本セット】
 ▽つりばしゆらゆら/きいろいばけつ/流れ星キャンプ(あかね書房)▽数え方のえほん/木を植えた男(あすなろ書房)▽森のお店やさん(アリス館)▽モチモチの木/としょかんライオン(岩崎書店)▽たんたのたんけん(改訂版)/学研の図鑑LIVE(ライブ)動物(Gakken)▽十二支のはじまり(教育画劇)▽しらゆきひめ/ひまわり(金の星社)▽天と地を測った男 伊能忠敬/100円たんけん(くもん出版)▽生きものたちのわすれもの ②森(佼成出版社)▽せんそうしない/100万回生きたねこ/霧のむこうのふしぎな町(新装版)(講談社)▽ドラゴンはスーパーマン(国土社)▽ちきゅうはメリーゴーラウンド/あしたのことば(小峰書店)▽学習漫画 世界の伝記NEXT オードリー・ヘプバーン(集英社)▽かぶきわらし(出版ワークス)▽チューリップ/鉄は魔法つかい(小学館)▽ネットで見たけどこれってホント? ②食のメディアリテラシー(少年写真新聞社)▽みんなわくわく水族館 海の動物いっぱい編(新日本出版社)▽イクバルの闘い(新装版)(鈴木出版)▽イヌとネコの体の不思議(誠文堂新光社)▽でんでんむしのかなしみ(大日本図書)▽夢はどうしてかなわないの?(汐文社)▽夏の庭 ―The Friends―(徳間書店)▽しっぱいにかんぱい!/雨ふる本屋(童心社)▽塩の絵本(農山漁村文化協会)▽わんぱくだんのひみつきち(ひさかたチャイルド)▽せかいのひとびと/マチルダは小さな大天才(評論社)▽ミリーのすてきなぼうし/アンジュール ある犬の物語(BL出版)▽伝説の迷路 ヤマタノオロチの世界から神話と物語の旅へ(PHP研究所)▽たいせつなこと(フレーベル館)▽ココロ屋(文研出版)▽こども文様ずかん(平凡社)▽クレヨンからのおねがい!(ほるぷ出版)▽かわいいこねこをもらってください/珍獣ドクターのドタバタ診察日記/スパゲッティがたべたいよう(ポプラ社)▽せかいで いちばん つよい国/1つぶの おこめ(光村教育図書)▽すき 谷川俊太郎詩集/ふしぎな木の実の料理法(理論社)
 【子どもの本・棚ベストセット】
 ▽オバケたんてい/ふしぎ町のふしぎレストラン③ しあわせのホットケーキ(あかね書房)▽あるヘラジカの物語(あすなろ書房)▽はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!/みえるとかみえないとか(アリス館)▽だいすきぎゅっぎゅっ/ほねほねザウルス(22) ふっかつ!でんせつのファイヤーティラノ 後編/ほねほねザウルス(24) マヨイの森のステゴサウルス/ほねほねザウルス(25) ティラノ・ベビー、うちゅうにいく!?/ほねほねザウルス(26) さがせ! まのうみの大かいりゅう/いつつごうさぎとうみのほうせき/いつつごうさぎのきっさてん/はれときどきぶた/妖怪捕物帖乙⑮ 冥界彷徨篇参 焦熱地獄で婆山燃ゆ/しずくちゃん(38) うるおいちゃん、けっこんする!?/おばけのきもだめし(岩崎書店)▽すてきで偉大な女性たちが世界を変えた(化学同人)▽あかあかくろくろ/しましまぐるぐる/ぐるぐるうごくしましまぐるぐる/やさいさん/くだものさん/こどもずかん777 英語つき しゃしんバージョン/なぜ僕らは働くのか/世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本 ハンディ版/5分後に意外な結末ex 琥珀にとじこめられた未来/5分後に意外な結末ex 白銀の世界に消えゆく記憶/5分後に意外な結末 赤い悪夢(増補改訂版)(Gakken)▽ちいさなちいさなこねこをさがして/ちいさなちいさなうみのおさんぽ/おばけのやだもんこわーいおばけやしき/おばけのやだもん/きみにありがとうのおくりもの/いちばんしあわせなおくりもの(教育画劇)▽へんしんトンネル/せんろはつづく/せんろはつづくにほんいっしゅう/せんろはつづくどこまでつづく/まほうのじどうはんばいき/まほうのゆうびんポスト/たなばたさま/あいうえおのえほん/友だちは図書館のゆうれい(金の星社)▽しゃかしゃか/きらきら(くもん出版)▽ピヨピヨ スーパーマーケット(佼成出版社)▽まちのおばけずかん おばけコンテスト/がっこうのおばけずかん げたげたばこ/がっこうのおばけずかん おばけいいんかい/おまつりのおばけずかん じんめんわたあめ/びょうきとたたかう! はたらく細胞 ワクチン&おくすり図鑑/からだのしくみを学べる! はたらく細胞 人体のふしぎ図鑑/感染症を正しく学べる! はたらく細胞 ウイルス&細菌図鑑/にじいろのさかな/おなまえ いえるかな? はじめてのずかん555 英語つき(講談社)▽7年目のランドセル ランドセルは海を越えて、アフガニスタンで始まる新学期(国土社)▽なまえのないねこ/恐竜あいうえお(小峰書店)▽ポリぶくろ、1まい、すてた(さ・え・ら書房)▽おしりダンディ ザ・ヤング ドラゴンへのみち!/おしりダンディ ザ・ヤング くものおうこく/ちびまる子ちゃんの友だちづき合い/ちびまる子ちゃんの読書感想文教室/ちびまる子ちゃんのことわざ教室/ちびまる子ちゃんの慣用句教室(集英社)▽主人公はきみだ ライツのランプをともそうよ(出版ワークス)▽ポケモンをさがせ!あたらしいぼうけん/大ピンチずかん/キャラクター超ひゃっか すみっコぐらしひみつじてん/ドラえもん科学ワールドspecial みんなのための医学入門/ドラえもん探究ワールドspecial SDGsでつくるわたしたちの未来/ドラえもん社会ワールド お金のひみつ/ドラえもんの国語おもしろ攻略 ことわざ辞典/ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける/ドラえもん科学ワールド 宇宙の不思議(小学館)▽学校プールのヤゴのなぞ(少年写真新聞社)▽帰り道(新日本出版社)▽にゃーご(鈴木出版)▽本当の「心の強さ」ってなんだろう?(誠文堂新光社)▽よこながきしゃぽっぽ(大日本絵画)▽世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ(汐文社)▽のはらひめ(徳間書店)▽いないいないばあ/ベッドのなかはきょうりゅうのくに/くれよんのくろくん/くろくんとちいさいしろくん/くろくんとなぞのおばけ/おしいれのぼうけん(童心社)▽うちは精肉店(農山漁村文化協会)▽おべんとうバス/おべんとうバスのかくれんぼ/どうぞのいす/あめふりくまのこ/おべんとうばこのうた(ひさかたチャイルド)▽ずーっと ずっと だいすきだよ/コロちゃんはどこ?/チョコレート工場の秘密(評論社)▽おへそのあな(BL出版)▽おしっこちょっぴりもれたろう/あきらがあけてあげるから/りゆうがあります/なつみはなんにでもなれる/わたしのわごむはわたさない/ふまんがあります/10かいだてのおひめさまのおしろ/10かいだてのまほうつかいのおしろ(PHP研究所)▽どんないろがすき/アンパンマンをさがせ!ミニ ①/できたよ!アンパンマン トイレ/アンパンマンはじめてのことばえほん わくわく/アンパンマンのたべものあいうえお/できたよ!アンパンマン はみがき/アンパンマン大図鑑プラス 公式キャラクターブック/できたよ!アンパンマン あいさつ/NEWウォーリーをさがせ!(フレーベル館)▽バムとケロのおかいもの/バムとケロのそらのたび(文溪堂)▽どこかいきのバス(文研出版)▽世界一ばかなわたしのネコ(平凡社)▽ぼくの手 わたしの手(保育社)▽ねこはるすばん(ほるぷ出版)▽かいけつゾロリ にんじゃおばけあらわる!/かいけつゾロリ きょうふのダンジョン/おばけなんてないさ/おばけのてんぷら/おしりたんてい おしりたんていのこい!?/おしりたんてい むらさきふじんのあんごうじけん/おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ(ポプラ社)▽せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子(光村教育図書)▽3分後にゾッとする話 47都道府県の怖い話/チョコレート戦争/きまぐれロボット/星新一ショートショートセレクション① ねらわれた星(理論社)

4月から刊行物の変更と頒価改定/出版科研

全国出版協会・出版科学研究所は、4月から各刊行物の変更と頒価の改定を行う。
 『出版月報』は、名称を『季刊 出版指標』に変更し、4月、7月、10月、1月の25日刊行とする。ページ数は現在の50ページから、約80ページとする予定。頒価は現在の税込2200円から同4400円となる。『ニュースの索引』は2023年3月号(3月24日刊行)をもって休刊する。『出版指標 年報』は従来通り年1回(23年版は5月末)刊行。頒価は現在の同1万4850円から同1万9800円とする。『出版月報 増刊号』は休刊する。
 年間購読コースと料金は、「全誌購読コース」が27冊で同5万284円から、5冊(『季刊 出版指標』4冊、『年報』1冊)で同3万7400円に、「出版月報コース」が12冊で同2万4088円から、『季刊 出版指標』4冊で同1万7600円となる。
 「全誌購読コース」「季刊 出版指標コース」の定期購読者には、特典として販売指標などの月次統計データをまとめた「出版指標マンスリーレポート」PDF版を無料で毎月メールにて提供する。
 現在の定期購読者には、別途あらためて個別に連絡するとしている。

「ドラえもん」で本の歴史や職業を学習/小学館

小学館は11月16日、ドラえもんのまんがと記事で探究学習をする人気シリーズの15点目として『ドラえもん探究ワールド 本の歴史と未来』を刊行した。B6判196ページ、定価税込935円。
 今回は、本にまつわるまんがとともに、記事では本の歴史と本に関わる職業を紹介。5000年前の粘土板の時代から、紙の誕生、印刷技術の登場と続く本と人類の文化をはじめ、本の仕組みや装丁、現代の本作りの仕事(漫画家、編集者、デザイナー、印刷会社)、本を届ける仕事(書店、図書館)、海賊版への警鐘まで、本について幅広く取り上げた内容となっている。「まんが原稿のつくられ方」では、ドラえもんの著者、藤子・F・不二雄が残した貴重なネームや下描きも掲載。藤子プロ、印刷博物館、日本書籍出版協会が監修を務める。

日販、出版社向け新プラットフォーム「BookEntry」を稼働/搬入情報や部数契約などオンライン化

日本出版販売(日販)は12月26日、出版業界の業務DXの一環として、出版社向けの新たなプラットフォーム「BookEntry(ブックエントリー)」を開発、運用を開始した。
 日販では、日本出版インフラセンターの出版情報登録センター(JPRO)に登録される情報をベースに、新刊送品から在庫・物流・ECに至るまで活用してきたが、実際に日販の物流倉庫に商品が搬入されるまでは、出版社と日販の間で、メール・FAX・電話によるアナログなやりとりが発生していた。今回開発した新プラットフォーム「BookEntry」は、JPROデータを起点に出版社の搬入情報の登録や部数契約など、一連の業務すべてをオンラインで完結させるもの。
 「BookEntry」のサービス内容は、①搬入連絡表・指定データ・指数データのアップロード、登録ファイル確認・ダウンロードが可能に。連絡手段が1つになり作業が簡略化するほか、作業が単純・定型化されることで業務の属人化を防止できる、作業状況が一覧で確認できるなどのメリットが得られる。②「BookEntry」に登録された商品はオンライン上で部数確認、部数契約承認が可能となる。PCだけでなく、スマートフォンやタブレット上でも部数確認・部数契約承認ができる。
 「BookEntry」は、書籍・開発品から一部出版社で先行稼働し、今年3月までに取引先全社へと拡大、今夏に雑誌・コミックのメニューを稼働する予定としている。

日販『出版物販売額の実態 2022』/書店ルートは2・1%減、8343億円

日本出版販売(日販)は12月5日、ストアソリューション課編『出版物販売額の実態 2022』を発行した。
 同書は、出版物がどのような販売経路(ルート)をたどって読者のもとに届いているかを調査したルート別の販売額等を推定算出した資料で、1973年から毎年発行している。
 これによると、21年度の出版物販売額は1兆4474億円(前年比1・0%減)。販売ルート別では、「書店」が8343億円(同2・1%減)、「CVS」が1173億円(同4・7%減)、「インターネット」が2808億円(同6・5%増)、「その他取次経由」が372億円(同12・5%減)、「出版社直販」が1779億円(同1・7%減)だった。構成比は、「書店」57・6%(同0・7ポイント減)、「CVS」8・1%(同0・3ポイント減)、「インターネット」19・4%(同1・4ポイント増)、「その他取次経由」2・6%(同0・3ポイント減)、「出版社直販」12・3%(同0・1ポイント減)。なお、書店店舗数は前年から1・7%減の8642店となっている。
 読者と本の接点であるタッチポイント別に市場規模をまとめ構成比を見ると、「書店」8343億円(構成比38・5%)、「電子出版物」5696億円(同26・3%)、「インターネット」2808億円(同12・9%)、「出版社直販」1779億円(同8・2%)、「CVS」1173億円(同5・4%)、「教科書」828億円(同3・8%)、「図書館」689億円(同3・2%)、「その他店舗」372億円(同1・7%)となった。「電子出版物」の販売額は前年比20・1%増加している。タッチポイント別に人口1人あたり購入額を上位5位まで見ると、「書店」6771円(前年比1・6%減)、「電子出版物」4622円(同20・7%増)、「インターネット」2279円(同7・1%増)、「出版社直販」1444円(同1・2%減)、「CVS」952円(同4・2%減)だった。
 『出版物販売額の実態 2022』は46ページ、頒価税込1540円、電子版(PDF版)のみ。購入はHonya Club.comで(URL=https://www.honyaclub.com/shop/c/c09N0/)。

売上高前年比9・0%の減/売上総利益は6・2%減/日販『書店経営指標』

日本出版販売(日販)は12月5日、ストアソリューション課編『書店経営指標』2022年版を発行した。全国51企業568店舗のアンケート調査をもとに書店の経営関連データを分析したもの。企業ベースの主な実績を見ると、売上高は前年比9・0%減、売上総利益は同6・2%減。店舗ベースでは売上高は同2・2%減で、収益性では売上総利益率が28・3%、営業利益率は2・2%となった。
 『書店経営指標』22年版は、企業編では売上規模区分において「10億円未満」は回答企業がないため区分を削除した。「書店事業比率別」については、従来は「企業売上に占めるBookの売上構成比」で区分していたが、様々な事業を展開している企業の中でBookだけの売上高を計測することが困難になっているため、21年度版より「企業の全事業活動に占める、Bookを取り扱う店舗事業の売上構成比」で区分している。なお、店舗編では「店舗売上に占めるBookの売上構成比」として「Book売上構成比別」で区分している。
 ◆企業編
 企業ベースの売上高は全体平均で前年比9・0%減、売上総利益は同6・2%減だった。売上高を書店事業比率別にみると、80%以上が同8・7%減、50~80%未満が同8・5%減、50%未満が同10・2%減。
 資産の前年比は、総資産額が全体平均で同2・5%減、商品在庫額が同3・2%減、短期借入金が同6・2%増、長期借入金が同4・2%減。
 収益性関係比率は、総資本対経常利益率がマイナス1・01%で同1・18ポイント減少。自己資本対経常利益率は0・13%で同0・99ポイント減少した。売上総利益率は30・29%で同3・01ポイント増加。経常利益率はマイナス0・26%で同0・57ポイント減少した。
 活動性関係比率は、総資本回転率が1・66回で同0・05回減少、固定資産回転率は5・57回で同0・97回減少、商品投下資本粗利益率は139・03%で同7・81ポイント増加、商品回転率は4・59回で同0・22回減少した。
 安全性関係比率は、総資本対自己資本比率が22・48%で、同3・66ポイント増加、売上高対純借入金比率が45・97%で同20・85ポイント増加、流動比率が124・48%で同6・91ポイント減少、当座比率が36・87%で同4・61ポイント減少した。
 生産性関係比率は、労働生産性が514万1千円で同92万円増加、労働分配率は43・97%で同1・37ポイント増加した。
 ◆店舗編
 店舗ベースの売上高は全体平均で同2・2%減。Book売上構成比別では、80%以上が同5・4%減、50~80%未満が同4・8%増、50%未満が同7・5%減だった。立地別では、最も高い立地はSC内で同0・8%増。最も低かったのは駅前と郊外でともに12・5%減。また、客数は同11・2%減、客単価は同1・1%増だった。売上総利益率が前年より増加した店舗の割合は31・7%で、平均で同1・1ポイント増加。営業利益率では13・5%の店舗が前年より増加し、増加ポイントは平均で2・7ポイントだった。
 ◆商材編
 商材別の売上高は、全体平均でBookが同3・9%減、文具が同1・4%減、雑貨が同4・5%増、セルが同3・0%減、ゲーム・トレカが同11・7%増、中古が同0・1%増、レンタルが同17・1%減だった。
    
    *
 『書店経営指標』2022年版(B5判52ページ、頒価税込1650円、紙版とPDF版あり)に関する問合せは、日販マーケティング推進部ストアソリューション課まで。℡03(3233)4791
 〔調査企業の内訳〕
 ▽書店事業比率別=「80%以上」46・6%、「50~80%未満」26・7%、「50%未満」26・7%
 ▽収益(経常利益率)別=「1%以上」13・3%、「0~1%未満」40・0%、「0%未満」46・7%
 ▽売上規模別=「50億円以上」53・3%、「10~50億円未満」46・7%

トーハン、埼玉県に2つの物流センター新設/新たな物流高度化計画をスタート

トーハンは1月16日、新規物流センター「トーハン三芳センター」(埼玉県入間郡)、「トーハン川口センター」(仮称、埼玉県川口市)の開設を軸とした新たな物流高度化計画をスタートすると発表した。
 トーハンは中期経営計画「REBORN」において、物流機能の品質改善と業界全体の流通効率化に取り組み、和光センターの新設や、日本出版販売との雑誌返品協業化、大日本印刷との協業による桶川書籍流通センター構築などの計画を実現してきた。
 今回物流ネットワーク整備の第2ステージとして、雑誌返品協業化により主たる役割を終えた「東京ロジスティックスセンター」(埼玉県加須市)を売却し、残存していた倉庫機能を新たな拠点に移管する。また、経年劣化が進んでいた雑誌の発送拠点「西台雑誌センター」(東京都板橋区)と「戸田センター」(埼玉県戸田市)の2拠点を廃止し、西台社用地の収益化を図ると同時に、新たな雑誌発送拠点を開設することとした。
 「三芳センター」の所在地は埼玉県入間郡三芳町大字藤久保1124―1。延床面積は3374坪(2階建)。7月に稼働予定。採用品業務、マルチメディア商品の在庫管理などを主要業務とする。この取次事業での使用に加え、トーハングループのトーハンロジテックスが進めているサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)事業の物流拠点としても活用し、グループの物流事業全体の高付加価値化を進める。
 「川口センター」(仮称)は24年12月に稼働予定で、雑誌(週刊誌を含む)の発送業務などを主要業務とする。西台・戸田に代わる新たな雑誌発送拠点としてスタートするが、雑誌流通量の推移を踏まえ、書籍や雑貨など様々なパッケージ型商材にも対応できるフレキシブルな物流拠点として構築する。なお、同センターの立地は凸版印刷の「川口工場」と隣接しているため、雑誌製造・流通の効率化に向けた連携について2社間で検討を進めている。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

山元正博著『発酵食品はおいしいクスリ』(ポプラ新書 920円)は発酵食品の効用を分かりやすく解説している。
 日本の2大発酵食品は調味料と漬物。醤油、みりん、酢、味噌等に加え日本酒、焼酎や糠漬け、浅漬、鰹節も発酵食品。
 メタボ対策、免疫力向上、アンチエイジング、病気予防にも力を発揮する。中でも麹菌は唯一無二の日本産なのである。麹は酒を造る黄麹、沖縄の黒麹と白麹がある。外食や居酒屋メニューも発酵食品は多いし、酢をかけるのも一工夫である。また白麹エキスを塗布すると発毛を促すという。
 SDGsにも威力があり、麹入り飼料で、家畜の成育が高まり肉質が良くなって、糞尿の臭いも弱まるのだからすごい。巻末に発酵学の小泉武夫氏と対談。発酵の未来を語る。
 小泉武夫著『発酵―ミクロの巨人たちの神秘』(中公新書 660円)は太古から現在までの微生物と、それを応用した人の知恵と発想を解説。
 微生物の発見以来、発酵の基礎が築かれていったが、100年ほど前には発酵技術がニトログリセリンの発明、ビタミンやステロイドホルモン、ペニシリンを作り出す。発酵は新たな医薬品をも次々と生んでいる。発酵は人体ばかりか、社会に有益な技術なのである。

教育図書販売流通の向上図る/日教販、春季展示大市会を動画配信

日教販は、第72回「日教販春季展示大市会」の動画を1月11日から31日まで配信した。同社の渡部正嗣社長や日書連・矢幡秀治会長、学習参考書協会・志村直人理事長、辞典協会・鈴木一行理事長のあいさつ、福島日教販会寄贈のダルマの目入れ式、特別講師による書店向け研修会や出版社&メーカーの主力商品紹介動画、日教販ミニセミナー等のプログラムを同社ホームページの特設サイトで配信した。
 日教販の渡部社長はあいさつの中で、2022年度9月期の業績を説明。売上高は前期比1・4%減の268億7600万円で、書籍部門は店頭の伸び悩みと一部学校採用品の刊行時期変更等の影響で減収となったが、教科書部門は教科書改訂に伴う定価アップ等により増収。デジタル・配送部門は、デジタル教科書・教材導入の鈍化等により減収、不動産部門も減収になった。従来、営業外費用に計上していた売上歩引を売上高から差し引くなどの会計基準の変更を行ったことも減収の要因となった。
 経費面は、運賃を含めた諸経費の削減により販売費及び一般管理費は同0・9%減の24億2700万円に抑制した。営業利益は同28・4%減となったが、会計基準変更の影響があり、前期と同条件で比較すると4・2%の減益だった。経常利益は同8・3%増で、最終利益は遊休不動産売却による特別利益計上もあって同27・7%増の2億8700万円になった。繰越利益剰余金は目標としていた10億円を上回る12億6500万円となり、15期ぶりに配当を実施する。
 また、今年は高校2年生向けの教科書改訂年度にあたり、引き続き変化が見込まれる年になるとして、同社が取り組む施策を説明。書店店頭部門では、講談社と連携し、学習参考書業界を舞台にしたコミックと学参との販促活動を展開。学参版元とのコラボ企画も実施し、棚の充実を図った。「日教販プロモチャンネル」はYouTubeでエンドユーザー向け動画を配信し、来店を働きかけた。特約外商部門では、学校採用品や学校図書専用の便利な発注ツールとして「採用WEB」を提案。物流部門は、各種連絡便のルート見直しにより配送効率が向上した。デジタル事業部門は、NECと連携し、学習eポータル「OPE」の推進を強化。OPEは申込ID数が約230万ユーザーに達し、利用できる連携教材を増強中で、引き続き出版社、教材メーカーと協力してラインナップの充実を図る。日教販主導でOPEの利活用研修を教育委員会や学校向けに実施しており、さらにOPE活用のロールモデルとなる自治体を選定、その成功体験を展開して普及を促進する。
 また日教販では、システムの老朽化対策、インボイス制度の法令対応、業務改革の実現へ、基幹システムの再構築に取り組んでいると説明。システム再構築プロジェクト「NK―ONEs」と銘打ち、マスタ・データの一元化・標準化を図り、書店、出版社をよりサポートできるシステムの構築を目指すとし、教育図書の販売流通をより良いものにしていくと述べた。
 各団体代表のあいさつで日書連の矢幡会長は、「コロナに加えて、天候不順、円安、物価高騰と様々な原因で書店への足が遠のき、全国的に厳しい経営状況が続くが、児童書、学参の売上は堅調。昨年4月施行の高校学習指導要領の大幅改訂で、指導書などの売上を大きく伸ばすことができた。今年も高校2年生の改訂で売上増を期待している」と展望を語った。
 さらに教育のデジタル化について言及。紙の出版物による勉強は学習の記憶が残りやすいと指摘し、「何から何までデジタル化する必要はなく、デジタル化の適性を検討し、慎重な対応を」と要請。デジタル教材の取引は、学校とのつながりや集金の観点からこれまでと同様に書店を通じて注文してほしいと求めた。
 そして、「辞典や学参をはじめとする出版物の身近な販売拠点である街の中小書店が、生業として経営を継続できるよう、一層のご支援、ご協力をお願いする。我々も、子どもたちに引き続き良書を届け、教育の一助を担えるよう、販売に精励してお応えする」と結んだ。