全国書店新聞
             

平成23年11月1日号

傘下組合員数4854店に/半年で92店減少/組織委員会調べ

今年10月1日現在で各都道府県書店商業組合に加盟する組合員数の合計は、今年4月1日対比で92店、1・9%減って4854店になったことが、日書連組織委員会(中山寿賀雄委員長)の調べで明らかになった。
この半年間の新規加入は全国で28店だったのに対し、脱退は120店。組合員数が増えた組合は茨城、岐阜、滋賀、福岡の4組合。増減なしが北海道、群馬、山梨、愛知、鳥取、山口、福島、愛媛、高知、熊本、鹿児島の11組合。残る32組合は組合員数が減少している。

“本と本屋の力”を実感/大震災出版復興基金の記念シンポ

「大震災出版復興基金」の創設記念シンポジウムが9月30日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開かれ、被災地の復旧・復興についての報告、被災書店や作家らによるパネルディスカッションが行われた。
日本ペンクラブ子どもの本委員会の野上暁氏が「神隠しされた街」を朗読。出席者全員で黙祷を捧げた後、日本出版クラブの野間省伸会長は「被災地の復興支援は長期的展望に立って継続して行っていくことが重要。そのために基金を出版クラブ内に設立した。復興を目指す被災者の切実な声に耳を傾けてほしい」とあいさつした。
シンポジウム「被災者に寄り添う支援のありかた」は菊池明郎氏(筑摩書房会長)がコーディネーターを務め、福純渡(福島原発避難者)、角野栄子(児童文学作家)、小林益久(陸前高田市復幸センター・三重県松阪市副市長)、阿部博昭(宮城県・ヤマト屋書店社長)の4氏がそれぞれの立場から報告を行った。
ヤマト屋書店・阿部社長は「6店舗のうち1店舗しか残らず、従業員を雇用できなくなり、解雇を告げざるを得なかった時は辛かった。被害総額は10億円以上。石巻で唯一津波の被害を受けなかったあけぼの店を3月31日に再開した。お客さんはほとんど来ないだろうと思っていたが、驚くほどの人数がなだれ込んできた。本は衣食住と同じぐらい大切なもので、本屋は人々に求められている商売ということを実感した。本屋をやっていてよかった。避難所から来たお客さんは『避難所にはプライバシーがない。心のプライバシーを保つことができるから本を買う』と言う。紙の本の力を信じてやっていきたい」と語った。
作家の角野氏は「本を贈る運動で集まった膨大な量の本が子供の手に渡ったら、被災地で頑張っている本屋さんはどうなってしまうんだろうと思った。『子供と本屋の文化』がある。本屋に行って本を買う楽しみを子供たちに忘れてほしくない」と述べた。
最後に、〈大震災〉出版対策本部常任委員会の相賀昌宏委員長が「被災書店から返品がきている。出版社にとって大変な負担だが、受け入れに努めている。復興支援は5年から10年の長丁場と考えている。基金の活用は、被災地の実態に合わせて、慎重に行いたい」と述べ、協力を求めた。

身近な意見を紙面に反映/書店新聞の編集方針を討議/全国広報委員会議

日書連広報委員会は10月12日、書店会館で全国広報委員会議を開き総勢46名が出席。日書連本部広報委員、各都道府県組合の広報委員、本紙編集部員が一堂に会して1年間の広報活動を振り返り、日書連広報の在り方と全国書店新聞の編集方針を話し合った。また、京都組合の澤田直哉広報委員を昨年に続いて優秀広報委員として表彰した。
会議は東浦澄夫委員の司会で進行。光永和史委員の開会の辞に続き、大橋信夫会長があいさつ。「日書連はウェイズジャパンと手を組み書店店頭でも電子書籍を扱っていこうということになった。電子書籍を黒船のごとく考えず、活用しながら書店の売上げに結びつけていきたい」と述べた。
続いて面屋龍延委員長が「日書連広報の役割と課題」と題してあいさつ。①日書連や各都道府県組合の総会・理事会の審議内容、②諸会議における大橋会長のあいさつ内容、③テーマ別連載記事、④業界トップへのインタビュー――の4点の報道を柱に広報活動を行ってきたと説明し、③については、専門取次の活用法として書店の声を掲載する「神田村こう使っている」と、若手書店人・後継者を紹介する「次代を担う」の2つの連載をスタートしたこと、④は、面屋委員長による講談社・野間省伸副社長(当時)へのインタビュー記事「中小書店はどのようにして電子書籍と関われるか」を掲載したことを報告。また、東日本大震災の被災書店を取材し復興状況を報道したと述べた。
このほか面屋委員長は、神田村の活用事例や、注文した本が翌日入荷するドイツの流通事情に言及し、「本が次の日入れば町の本屋はつぶれない。書店新聞から流通インフラ改善のキャンペーンを展開できないかと考えている。皆さんから身近な意見を出してもらい、町の本屋を一日でも長く守っていく役割を果たしたい」と結んだ。
小泉忠男委員を座長に行われたフリー討論「拡大編集会議」では、各都道府県の広報活動報告のほか、以下の意見、提案があった。「昨年提案した企画『次代を担う』の第1回を担当した。質問項目はアンケート方式にしているので、各地区で取り組んでもらえれば」(北海道・高橋氏)、「紙の紙面立てにこだわらず、ネットを活かしたメディアミックスの広報体制がとれないか」(奈良・庫本氏)、「組合傘下書店で大きなウェイトを占める売場規模の店に合わせた情報を載せてほしい」(愛媛・松岡氏)、「元気のある小書店の情報を寄せてほしい」(福岡・西村氏)、「経営のヒントとなる事例紹介を」(鹿児島・和田氏)。
面屋委員長は「書店新聞への投稿数を増やしたいとの発言が多く、大いに期待したい。次代の書店人紹介や電子書籍の動向、日書連書店再生委員会の活動、流通インフラの整備などを紙面に取り上げていきたい」と拡大編集会議をまとめ、山口尚之委員の閉会の辞で終了した。
【全国広報委出席者】
▽日書連本部=大橋信夫会長、大川哲夫専務理事、石井和之事務局長
▽日書連広報委員会=面屋龍延委員長、小泉忠男委員、東浦澄夫委員、光永和史委員、山口尚之委員
▽各県組合広報委員=高橋千尋(北海道)伊藤篤(青森)石川信(秋田)小原玉義(岩手)五十嵐靖彦(山形)佐々木栄之(宮城)高橋雅夫(茨城)落合均(栃木)鹿沼中(群馬)石川昭(埼玉)植田榮一(千葉)小田切壽三(神奈川)小林洋(東京)小泉修(愛知)川口力(三重)熊田雅明(新潟)渋谷英史(富山)吉田良一(石川)渡辺学(長野)清水祥三(福井)石田淳(滋賀)萩原浩司(大阪)澤田直哉(京都)庫本善夫(奈良)安井唯善(兵庫)井澤尚之(鳥取)荒木健策(岡山)津川優(徳島)松岡省自(愛媛)西村勝(福岡)古賀嘉人(佐賀)古瀬寛二(長崎)宮崎容一(熊本)金光直明(大分)和田豊(鹿児島)安仁屋博一(沖縄)
▽編集部=白石隆史、土屋和彦

デジタル教材の研修会を開催/島根総会

島根県書店商業組合は7月26日、松江市の「テクノアークしまね」で通常総会を開催し、組合員27名(委任状含む)が出席した。
総会では平成22年度事業報告、決算報告、平成23年度事業計画などすべての議案を承認可決、任期満了にともなう役員改選では全役員の留任が承認された。総会後の役員会では引き続き今井直樹氏が理事長に、糸川吉彦氏と岡田豊彦氏が副理事長に選任された。
総会、役員会終了後、同会場で島根組合と島根県教科図書販売の共催でデジタル教材の研修会が開催され、組合員店の従業員を含め35名が参加。電子黒板を見ながらデジタル教材についての勉強をした。
(福田寛専務理事)

9月期は0・9%減少/雑誌・書籍ともに上向く/日販調べ

日販営業推進室調べの9月期書店分類別売上調査が発表され、売上高対前年比は0・9%減で先月の伸びを2・5ポイント上回った。
雑誌は、月刊誌のマイナスをコミックがカバーし、全体で0・8%減と先月を1・6ポイント上回った。コミックは「君に届け14」(集英社)の売上が好調だったほか、「青の祓魔師7」(集英社)が発売になり、既刊の売行きも良好だったことなどから、4・2%の増加となった。
書籍は、文庫やビジネス書のマイナスが続くものの、実用書が大幅に伸び、全体で1・0%減と先月を3・5ポイント上回った。ビジネス書は、前年にダイヤモンド社の『もしドラ』や関連書が好調だった反動が続いており、10・5%の減少となった。実用書は、テレビで紹介された影響で「タニタ」関連3銘柄の売上が伸びて8・3%増加した。

販売促進でオリジナル図書カード作成/富山総会

富山県書店商業組合は8月25日に富山市電気ビルで第24期通常総会を開催し、組合員35名(委任状含む)が出席した。
総会は丸田茂理事長を議長に選出して議案審議を行い、平成22年度事業報告・収支決算・役員改選・平成23年度事業計画・収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
役員改選では、新たに山田順悌氏(山田書店)を新理事に、松野初美氏(松野書店)を新監事に選出して承認。残りの役員は続投が決まった。平成23年度事業計画は次の通りとなった。
①組合員の販売促進のためのオリジナル図書カードの作成、販売を実施する。②出版文化産業振興財団(JPIC)の読書推進事業「20歳の20冊」に協力し、県内自治体に積極的に提案していく。
③2011年度「心にのこる子どもの本秋・冬セール」セットを積極的に展開していく。
(渋谷英史広報委員)

「孫の日キャンペーン」に取り組む/愛知組合西三河支部

支部活動活性化をめざして今年度は西三河支部独自に『孫の日キャンペーン』にチャレンジしました。
まず会員支援として、ポスター、チラシ、おじいちゃんおばあちゃんの似顔絵用紙、おすすめの絵本リスト、促進用のえんぴつなどを用意し、支部の連絡網を活用して全店に配布しました。また、「孫の日」飾りつけコンクールも行い、支部内の盛り上がりに努めました。
さらに、JPIC読書アドバイザーの永井陽子氏のご紹介で、9月18日に岡崎市の住宅展示場「ハウスプラザ岡崎」内において、読み聞かせ会に連動して絵本の販売も試みました。リビングコーナーで、家族そろって絵本を楽しむ光景は、私たちに「心はデジタルでは育たない」と実感させ、「紙の本の普及」の大切さを教えられるようでした。こうしたタイアップは、今後の組合活動に生かせることになりそうです。そして、次に取り組むのが、この秋刊行の小学館「こども大百科」です。目標3百部、全力でガンバります。
(愛知県書店商業組合西三河支部長/岡崎市・原田書店・原田一司)

中小書店生き残りへ店頭活性化勉強会/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は、9月21日午後2時半から、京都市中京区の書店会館で「第1回店頭活性化勉強会中小書店の生き残りのために!」を開催、組合員28名が参加した。
今回は3本立ての説明会となり、最初に、日書連ためほんくん部会の田江泰彦部会長が「ためほんくん」について、実績と現在の稼動状況などを報告。続いて、日本出版インフラセンター(JPO)の永井祥一専務理事が「電子書籍、ネット書店に動じない一般書店の活性化」をテーマに、JPO近刊情報センターの活用なども交えて講演。最後に弘正堂図書販売の細野寛行代表取締役社長が、取次の「神田村」について説明した。
これまで中小書店の課題とされた出版情報の入手と、消費者が求める情報の提供、また商品の仕入れ問題についても改善できる可能性があるということで、講師から提唱されるサービスの内容と契約条件などについて、出席者は熱心に耳を傾けていた。勉強会終了後は会場を近くの料亭に移し、懇親会を開催した。
この勉強会を今回担当した岡田大次郎ITサポート委員長は、「書店がITを積極的に取り入れ活用できるのか、また、消費者の要求に適応するサービスの提供ができるのかが、今後、書店が生き残る分岐点となるかもしれない。京都組合では、様々な情報やツールについて精査した上で、幅広い分野にわたる勉強会を今後も開催していきたい」としている。
(澤田直哉広報委員)

新理事長に福田健太郎氏/大分総会

大分県書店商業組合は9月26日正午より大分図書会議室において第27期通常総会を開催。組合員40名(委任状含む)が出席した。
総会は樋口文雄副理事長が司会進行、大隈劭理事長を議長に選出して事業報告、収支決算報告、東日本大震災の義援金20万円拠出などを審議。坂直繁監事より監査報告がなされ、すべて原案通り承認した。
役員の任期満了につき新理事の選出が行われ、新理事長に福田健太郎氏(福田書店)を決定した。福田理事長は「大隈前理事長は、バイタリティに富み、県下の書店への日書連マーク普及に努め、定款を変更して大手業者の進出を防いで県立図書館の納入に取り組んだ。価格競争でなく本を取り扱う書店に誇りを持って、みんなの力を借りいろいろな課題に取り組んでいきたい」と抱負を述べた。
(金光直明広報委員)
〔大分組合正副理事長〕
▽理事長=福田健太郎(福田書店)
▽副理事長=樋口文雄(ブックスプラザひぐち)二階堂衞司(二海堂書店)

【特別寄稿】全国の書店さんを回って思ったこと/神田村・東京出版物卸業組合、弘正堂図書販売社長・細野寛行

今年4月以降、全国の書店組合さんから、神田村について説明して欲しいというご依頼があり、全国を回っております。
北陸のある書店さんは、コミックの棚がガタガタでした。いつ入荷になるかと聞いたところ、分からないとのこと。この商品はセット買いされるお客様が多いと聞いています。これでは販売チャンスを逸してるなと感じました。
また、関西のある書店さんは、客注でなかなか入荷しないものは、近所の大型書店で買うそうです。そして、東北のある県では、ある出版社の売れ筋D文庫の配本は、県内5書店だけだそうです。ある書店さんは客注や補充で、取次やいろんな出版社に毎日電話をかけ、エネルギーを使い果たしてしまい、それだけで疲れたと言っていました。これらの書店さんは神田村を使い始めたことにより、FAX、メール等でまとめて注文するだけで、翌日には品物が届いております。メイン取次以外から仕入れたら、取引停止になってしまうと心配されていた書店さんもありました。しかしそんなことは有り得ません。
総量規制、指定配本等により、大型書店には山のように積まれている新刊の入荷が少なく、地元に根付いた老舗書店さんの経営が、厳しくなってきています。トーハン「23年度書店経営の実態」にも中小規模書店ほど経営が厳しいという指摘がありました。
地元の町の本屋さんは、たくさんの雑誌の定期顧客を持っています。地元の町の本屋さんが経営不振で廃業し、後から来た大型書店だけになった場合、すぐに大型書店にその代わりは出来ません。売上の約半分が雑誌といわれている大手出版社の売上がどんどん減っていくはずです。上位何百書店だけの指定配本でいいのでしょうか?
欲しい本が手に入らない、追加、補充もいつ入荷するかわからないという問題は、神田村を使う書店さんにおいては、改善されたと思っております。
神田村を使っている書店さんは皆、メイン取次に気兼ねして、神田村を使っているとは言いません。しかし、神田村を使っている書店さんはみな元気です。
新刊、客注、補充の入荷に不満を持っている書店さんは多いはずです。それなのに現状からの脱却を望んでいないのか、神田村をご紹介しても、なかなか一歩踏み出せない書店さんがいるのは残念です。
地方の書店さんの仕入先は大抵一つですが、複数の仕入チャネルをお持ちになることは今後ますます必要になってくると思います。東京及び近県の書店さんは、当たり前のように神田村を使っています。神田村を使うことにより、品揃えが良くなり、〝この書店は在庫が充実している〟とお客様に認識してもらえば、来店数が増え、お店が活気付いて売上が上がってきます。馴染みのお客様も離れていきません。
神田村は大手取次に取って代わろうなんて思っておりません。今後も大手取次に出来ないことを地道にやって大手取次と一緒になって、書店さんの魅力ある棚作りに協力していきたいと思っております。
困っている書店さんがいましたら、ぜひご連絡ください。神田村を使っている書店さんが、どのように神田村を使っているか、詳しく、ご説明させていただいております。

大杉誠三・前副理事長の受章祝賀会開く/兵庫組合

兵庫県書店商業組合の前副理事長である大杉誠三氏の黄綬褒章受章祝賀会が、9月16日にホテル日航姫路で開催された。
この会は、大杉氏の平成23年春の受章を受け、井上喜之理事長と歴代の理事長(三上一充・村田耕平・安井克典の3氏)が発起人となり兵庫県組合と準備を進めて開かれたもの。当日は、版元、取次、書店、設備・報道・運輸等の業界関係者、地元の縁故者総勢90名が参集し盛会となった。
まず、発起人代表三上氏のあいさつに始まり、日本出版販売・奥村景二取締役関西支社長、NHK出版・永尾功旦大阪支社長、兵庫県教科書・乗船高義社長ほかお二方より祝辞を頂戴した。受章者謝辞で大杉氏は「長年この仕事を続けてこられたことは関係各位のおかげ。今後も力の限り業界の発展に尽力したい」と述べた。
続いて大阪屋・南雲隆男社長の発声で乾杯、祝宴となった。和やかな時を過ごし大杉氏の功績を称えあうなか、日本出版販売・小林利夫顧問による万歳三唱によりお開きとなった。
(安井唯善広報委員)

BOOKEXPO2011/11月11日に大阪で開催

昨年、首都圏で始まった大商談会が、「BOOKEXPO2011秋の陣~集まれ!関西書店人~」と題し、関西での開催を決定しました。関西の出版社や第三商材社も出展し、商談に限らず、貴重な情報交換の場となります。本会限定の情報や特典、楽しく・役立つイベントをご用意して、130を超えるブースが売場ご担当者様の皆様の来場をお待ちしています。ぜひお越しください。
▽日時2011年11月11日(金)午前11時~午後4時半
▽会場梅田スカイビルウェストタワー10階「アウラホール」大阪府大阪市北区大淀中1―1
▽出展134社・133ブース
▽主催「BOOKEXPO2011」実行委員会
▽問い合わせ取次担当者または実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=中泉、奥℡03―5211―7282FAX03―5211―7285eメールoku@jpic.or.jp)

出版労連が被災書店に支援金

日本出版労働組合連合会(出版労連)は10月14日、東日本大震災で被災した書店への支援金として284万8222円を日書連に寄付した。

「客に合わせて変化を」1冊の本、誠意もって販売/中部トーハン会総会で高須会長

中部トーハン会は10月20日、愛知県名古屋市・名古屋国際ホテルで第44回定例総会を開き、会員書店、出版社など総勢377名が出席した。
総会の席上、高須博久会長(豊川堂)は、「とらやの羊羹」で知られる老舗和菓子店「虎屋」が日本だけでなく世界的なブランドとして成功していることを例にあげ、「虎屋の黒川社長は『伝統とは革新の連続。変えてはいけないものはあるが、お客様の好む味は変わる。これを徹底的に追及しなければ虎屋はない』と常に言っている。出版業界は変えていくことがわかっていない。変えて失敗したことを反省しない。出版社はケータイを触るより楽しいと思える本を出してほしい。トーハンは書店の悩みである客注の迅速化に取り組み、どうしたらお客様が願っていることを実現できるかとことん追求してほしい。書店には、1冊の本が客の人生を豊かにすることを心にとめて、誠意をもって1冊の本を薦めてほしい。近江商人の売り手よし、買い手よし、世間よしの『三方よし』を出版業界でも実現したい」とあいさつした。
〔オープンネットワークでためほんくんと連携も/トーハン近藤社長〕
トーハンの近藤敏貴社長は同社が取り組んでいる諸施策を説明。「TONETSVの発注商品提案メニュー『適材適書』で、あるべき商品がない欠本率が15%以下の店はすべて店頭の売上が前年比100%をクリアしている。1年間まったく動かない『非稼働銘柄』が10%以下の店もすべて100%をクリアしている。適材適書の欠本補充と非稼働銘柄の排除を週2回やっている店の売上は前年比103・1%。データに基づいた仕事を愚直に繰り返すことで、書店の売上はまだまだ上げることができる」と述べた。
来年6月グランドリリースを予定しているオープンネットワークについては「読者、書店、トーハン、出版社がつながることで様々な可能性が見えてくる。新刊・近刊情報を書店に流し、出版社にフィードバック。刷り部数、配本、内容に活かすための武器にしたい。たとえばの話だが、日書連の『ためほんくん』で試し読みしたコミックをTONETSVで発注できるような仕組みを作ることも考えられる」と話した。
図書館納品・入札の問題では「地元書店に利益が出る仕組み作りに取り組む」、電子書籍については「e‐honでデジタルと紙を併売し、書店にもフィーが落ちるようにしたい」との考えを示した。
記念講演では、中部大学現代教育学部准教授の深谷圭助氏が「辞書引き学習法」をテーマに講演した。

生活実用書/注目的新刊

目上の人を平気で批判する若手社員、飲食店や駅で威張り散らす中高年など、尊大な態度の人間があふれている。
榎本博明著『「上から目線」の構造』(日経プレミアシリーズ139850円)は、そんな現代人が抱える心の問題を、心理学者が分析する。
同僚から「その心がけで頑張れよ」と言われ、それが上から目線だとムカつく若者。上司のアドバイスも同じようにムカつくらしいが、一方で気にならない人もいる。そこには自信の有無、本物と偽物のプライド、コンプレックスなどが関係している。特に世の中を勝ち負けの基準で見る人は見下され不安がある。自分が他者より優越しているかのように振る舞う人にも、どうしても隠しておきたい劣等コンプレックスが潜む。そもそも自らの弱点を認めることができずに、そこから背を向ける時に劣等感は生まれる。自分に自信がなく、心に余裕がなくなっているのである。
トイレで弁当を食べる大学生は、一人で学食で食べていると孤独なヤツと見られるのがいやだという。60年代にエリクソンがアイデンティティ拡散の病理と論じた傾向は、今では学生の半数に現れているという。最早病理でなく、社会全体の問題なのである。
大人の権威はなぜ失墜したか、思慮浅いやさしさと真のやさしさの違いなど、病める現代人の心の構造を探る。
途方に暮れてしまう現代社会だが、そんな時には、香山リカ著『気にしない技術』(PHP新書763720円)。今こそ頑張りすぎない、気にしないことだと主張する。
「目標を立てて頑張ろう、と思っている方々の意欲を削ぐようで申し訳ないのですが人の世は災難続き、平凡になんとか生き延びるだけでも奇跡、というのが私の人生観」と語る。気になってどうしようもないないケースは、実のところ気にしても意味のないことが多く、かえって事態の悪化を招いてしまいがち。
著者は大型書店が苦手だという。それは本のあまりの多さに、自分の知識のなさ、学ぶべきことの多さにぐったり脱力感を覚えるからである。テキトー力をすすめ、人づきあいが悪くてもいいじゃないと、肩の力を抜く生き方を説く。そうなれば、徒に上から目線を振りまくことも受けることも減少するに違いない。
(遊友出版斎藤一郎)

読売KODOMO新聞/世界青少年読者賞を受賞

読売新聞東京本社が今年3月に創刊した小学生向けの「読売KODOMO新聞」(タブロイド判、16ページ、オールカラー)が、世界新聞・ニュース発行者協会(WAN―IFRA)の世界青少年読者賞(編集部門)で審査委員会栄誉賞を受賞した。
世界青少年読者賞は、世界中の新聞を対象に、「25歳以下の若い新聞読者を掘り起こす画期的なプロジェクト・活動」を表彰するもの。
読売KODOMO新聞の受賞理由は①新聞社が、小学館など他の媒体と提携するという手法が効果的だった②社会部の優秀な記者を選抜して取材に当たらせた③読売新聞の読者である祖父母が、孫のためにKODOMO新聞を購読できるよう工夫した――など。