全国書店新聞
             

平成17年5月1日号

低率ポイントカード研究、5月理事会で再検討/日書連

3月が休会だったため2カ月ぶりに開催した4月理事会では、岡嶋再販研究委員長がポイントカードをめぐる内外の動きについて経過報告を行った。
この中で委員長は「業界紙等の伝える情報に勇み足があった。低率のポイントカードを認めるか否かは再販の根幹に関わる問題で、即導入とはならない。低率のポイントカードを認めるのであれば、再販制度の主体である出版社に説明する義務がある。日書連が出版社を訪問することが独禁法に違反するかどうかは、改めて検証する必要がある」などと述べた。
これに対して兵庫、大阪、青森、東京などの各組合から「1月理事会と2月では運動方針に落差がある。戦術を転換したのなら、精しく説明してほしい」「低率のポイントでも再販崩壊の引き金になることを懸念している」「ポイントカードで出版社は痛みを感じない。無責任な態度」「東京理事会では出版社の責任を追求する意見が続出した」などの発言があった。
萬田会長は「1月の日書連理事会で出版社訪問を続けること、国会議員への働きかけを決めたが、それが引き金で書協朝倉理事長が公取委に呼ばれ、再販研究委員会のありかたなどが問題視された。今後、研究委員会は別々に開催しようという意見も出ており、同委員会は機能不全になって開かれていない。公取委は準立法・司法的性格を持つ独立行政機関。公取委山木部長とは3月に会い、5月の日書連総会まで猶予してもらうよう伝えた。日書連総会には方向性を決めたい。低率のポイントカードについては大手の出方を懸念していた。書店だけの負担ではない仕組みも考えている。来月まで皆さんの意見を聞いていきたい」と、考え方を説明した。
岡嶋委員長は重ねて「出版社が毅然とした態度を取らず、議論を避けたことに責任がある」と強調。その上で「しかし、低率のポイントカードは読者サービスとして要求されている面もあり、研究することは問題ないのではないか。できるかできないか委員会を立ち上げて研究してはどうか」と委員長提案を行った。
これを受けて、日書連は4月理事会の報告を各県に持ち帰り、5月理事会で意見集約。今後の方向を定めていく方針を確認した。

日書連新年度予算は2億3743万円

平成16年度日書連決算案と17年度予算案が4月理事会で承認された。16年度決算では当期利益152万円を計上した。新年度予算額は前年より1164万円、4・67%少ない2億3743万円。調査研究事業費として「書店経営実態調査費」に5百万円を予算化している。

5月26日に第17回日書連通常総会

日書連は5月26日午前11時から台東区の池の端文化センターで第17回通常総会を開催する。
平成16年度事業報告、同決算報告、17年度事業計画、同予算案の審議のほか任期満了に伴う役員改選を行う。前日、26日は午後4時から書店会館で出版物小売業公正取引協議会の総会を開催する。

本の帯創作コンクール/大阪府で小学生に呼びかけ

大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社の主催で4月から大阪こども「本の帯創作コンクール」が始まった。
小学校低・中・高学年別に課題図書各6点(合計18冊)を決め、本を読んで内容を伝える「帯」を創作してもらおうというもの。
良書普及と、こどもたちの学力向上、情操教育の拡充を狙う趣旨に大阪府、大阪市はじめ34の自治体、教育委員会が賛同して後援団体に名を連ね、府内1100小学校に別掲のポスターを配布した。書店では応募作品の受付書店を申込み制で登録し、416店が受付窓口になっている。
大阪読書推進会ではこのコンクールと平行して「読書ノート」運動も展開しており、昨年7月に1万6千冊を配布した。1年間に30冊以上呼んだ小学生は朝日新聞に氏名を掲載することになっており、昨秋903名を掲載、今春は4月21日付朝刊に一挙2500名を掲載した。
日書連4月理事会で、大阪読書推進会の取り組みを説明した面屋理事は「昨年7月にスタートして、1年たたないうちに、最高で630冊読んだこどもがいる。帯コンも47自治体の大半が後援してくれており、徐々に成果があがっている」と報告した。
帯コン課題図書
◇低学年=『1ねん1くみ1ばんわがまま』ポプラ社、『子ぎつねのおくりもの』(国土社)、『おばけいちねんぶん』(小学館)、『白いのはらのこどもたち』(理論社)、『しらないいぬがついてきた』(鈴木出版)、『くまのこうちょうせんせい』(金の星社)
◇中学年=『いえでででんしゃはこしょうちゅう』(新日本出版社)、『まんじゅうこわい』(あかね書房)、『なんででんねん天満はん天神祭』(童心社)、『江戸っ子ガラス』(くもん出版)、『なんでも魔女商会お洋服リフォーム支店』(岩崎書店)、『ジャンポールという名の魚』(文研出版)
◇高学年=『天と地を測った男伊能忠敬』(くもん出版)、『おっちゃんの長い夏休み』(金の星社)、『竜退治の騎士になる方法』(偕成社)、『スピリット島の少女』(福音館書店)、『空ゆく舟』(小峰書店)、『トゥー・ブラザーズ』(評論社)

書店用にQ&Aを製作/個人情報保護法の取扱いで/4月理事会

〔指導教育〕
個人情報保護法案が4月1日から施行された。丸岡委員長は「5千件以上のデータを扱えば個人情報取扱い事業者となるが、客注注文票は読者の住所、氏名、電話などが記載されており、個人情報の共同利用に当たる。書協、雑協、取協と話し合い、業界的な整備を行いたい」と今後の対応を説明。具体的には①出版4団体連名で個人情報取扱いに関するポスターを製作する、②書店レジ周りに貼るシールを製作する、③書店用のQ&Aをつくり発表するなどの取り組みを明らかにした。
万引き対策の件では、青森組合鶴谷理事長が、岩手、秋田と3組合合同で万引き防止ポスターを製作したことが報告された。青森県、県警、教育委員会も後援しており、6月から8月まで万引防止キャンペーンが行われる。
〔組織強化〕
書店経営の現状を把握するため「書店経営実態調査」の実施が決まっているが、鈴木委員長は5月の日書連総会後、組織強化委員会、流通改善委員会、スタートアップ21委員会を中心に特別委員会を編成すると説明。実態調査は7月頃、全店を対象に行い、調査結果をもとに業界に改善を提言していくことになった。
〔流通改善〕
「ハリー・ポッター」第5巻の取扱いについて、藤原委員長が静山社と話し合った結果を報告。静山社は5%の返品期限9カ月が終了する今年5月以降に販売結果をまとめ、報告するとしたという。
ベネッセの『犬のきもち』『ネコのきもち』を書店では買えませんと宣伝している問題では、ベネッセ側は「独立採算の別部門で販売しているので、市販部門からは何ともいえない。しかし、取次からも話があるので、紹介手数料のような仕組みを考えてみたい」と回答してきたという。
発売日の関係では、ゴールデンウイークの配送は暦通り行い、夏休みの輸送統一休暇は8月13日(土)、14日(日)、15日(月)の3日間に決まったことが報告された。
〔スタートアップ〕
各県組合IT化支援のため、3月に上限20万円で34組合に補助金を支出したことが報告された。申請内容を審査した井門委員長は「活性化支援のパソコン取得も新規購入ではなくバージョンアップしてホームページ、ネットワークに活用したいという理由が多かった。3年間にわたる補助金で各県のIT環境が充実してきた」と述べた。
責任販売制の問題では、主婦の友社が業界紙上で「雑誌返品率を5%下げれば、書店正味を3・5%下げる」と問題提起した件で、井門委員長が主婦の友社村松社長と意見交換したことが報告された。
これによれば、同社は4月から規模の異なる5法人で半年間テストを行い、その結果を公表する。複数の出版社からも打診があり、来春から全国で実施したい意向という。
〔情報化〕
日書連マークによる学校図書館への納入が全国で進んでいるが、志賀委員長は「TRCマークの件名の代わりに国立情報学研究所が開発した連想検索、あいまい検索ができる検索エンジンを加えたい」と説明した。
京都組合中村理事長からは、京都市の公立小・中・高校270校のネットワーク化のため日書連マークが採用され、今年も50校程度を京都組合が装備して納入することになったと報告があった。
〔増売運動〕
4月20日から春の読書週間として「4月23日は世界本の日=サン・ジョルディの日キャンペーン」が始まったが、神奈川新聞がトップで運動を大きく取り上げていることを舩坂委員長が報告した。
春の書店くじはサン・ジョルディ・キャンペーン20周年を記念して特賞はスペイン8日間の旅ご招待。5月9日に出版クラブで雑誌共同懸賞と合同の抽選会を実施する。
北海道組合からは十勝支部が角田光代講演会を独自開催すると報告があったほか、札幌支部では4月23日のサン・ジョルディの日当日、有志書店10店で来店客にバラの花をプレゼントする。また、5月28日には札幌の道新ホールでプロ・スキーヤー三浦雄一郎の文化講演会とサイン会(小学館協賛)を開催。兵庫組合は5月21日に神戸市の兵庫県私学会館で柳田邦男氏の講演会「IT時代と心の危機」を開催する(日本児童図書出版協会協賛)。
また、ポプラ社のDVD百科事典ポプラディア増売では、新年度にあたり各学校に働きかけてほしいと舩坂委員長から販売協力の呼びかけがあった。
〔読書推進〕
4月23日から3週間実施される「こどもの読書週間」について、高須委員長からポスター掲示などで特段の協力をお願いすると要請があった。
また、「第4土曜日はこどもの本の日キャンペーン」が今年度で全国を一巡することから、今後どういう運動を展開していくか検討していきたいとした。

共済会給付

(17・3・17~17・4・20)
▼病気傷害旭川市3条通右2旭川冨貴堂志賀玲子殿10口
杉並区天沼3―10―1共栄堂書店真々田栄一殿
1口
高槻市北園町19―17吉川書店吉川昭殿1口
北九州市小倉南区守恒1―11―20精文堂有馬精一郎殿5口
▼病気傷害・死亡弔慰
岐阜市長良校前町4―18文洋堂小川春一殿3口
▼死亡弔慰豊島区長崎1―2―2福室書店福室金作殿1口
京都市中京区西ノ京中保町37クルマ書房冨永徳一郎殿2口
京都市東山区五条通大橋東2―9都堂書店三宅千代蔵殿4口
▼前名義人死亡(西川竹次郎)北区岸町1―1―7西川書店西川寛殿1口

3月は0.2%増加/10月以来5ヵ月ぶりプラス/日販調べ

日販調べの3月期書店分類別売上げがまとまった。3月期は平均0・2%増で昨年10月以来5カ月ぶりに前年同月をクリアしたが、規模別で見ると、前年をクリアしたのは121坪以上だけで、40坪未満、41~80坪、81~120坪店はいずれも前年を下回った。
ジャンル別では、雑誌、コミック、児童書、文庫、新書、専門書の6ジャンルが前年をクリア。6ジャンルがクリアしたのは11カ月ぶりのこと。
新書の前年クリアは8カ
月ぶり。『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP研究所)、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』(光文社)が健闘した。文芸書は3カ月連続で前年割れ。専門書は個人情報保護法関連本の動きがよい。
客単価は平均1135・7円で前年比106・6%と各規模とも大きく伸びている。

サン・ジョルディ名古屋2005/1万冊をチャリティ販売/「愛と知の祭典」20回目迎える

「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2005」が4月22日、23日の両日、名古屋市東区のOASIS21銀河の広場で開催され、本と花の展示販売を中心にさまざまなイベントが行われた。2日間の来場者数は2万人にのぼった。
第20回を迎えた今年は「愛を伝える、本。愛を込める、花」をテーマに開催。愛知県書店商業組合はイベントの目玉である本のチャリティバザーを実施した。読者から読み終えた本を寄贈してもらい、定価の1割以上で販売するもので、売上金全額を中日新聞社会事業団を通じて各種福祉事業・施設などに寄付する。文庫、新書、文芸書、実用書、児童書など約1万冊を陳列し、70万5506円を売り上げた。
「愛を伝える本と花」をテーマに、似合うと思う組み合わせの本と花を選んでその理由を書いてもらう「本と花ベストカップル」は476点の応募があり、最優秀賞に『きみに読む物語』(アーティストハウスパブリッシャーズ刊)と赤いバラの組み合わせが選ばれた。
22日午後4時半からメインステージで行われたオープニングセレモニーでは、日本・カタルーニャ友好親善協会の西川俊男理事長が「このイベントは人で言えば成人式。今年は愛・地球博も開催され、タイムリーな年になった。これを大きな節目に皆様の協力を得ながら一層大きく育てていきたい」とあいさつ。サン・ジョルディ名古屋実行委員会の高須博久委員長(愛知県書店商業組合理事長)は「愛知万博に併せて外国語による読み聞かせも企画した。子どものときから本に親しんでもらい、日本を立派な国にしてほしい。この名古屋から日本へ向けて愛と知のお祭を広めていきたい」と述べた。
来賓の日書連萬田貴久会長は「名古屋のイベントはサン・ジョルディの主要会場として開かれ、以来20年間継続されてきた。関係者のご努力にお礼を申し上げる。この行事がこれからも続くよう私どもも一緒に進めてまいりたい」とあいさつした。
メインステージではフラメンコショーや、バラに関するトークとクイズ、四ヶ国語を織り交ぜた読み聞かせイベント「世界の言葉で絵本の読みがたり」などが行われ、来場者を楽しませた。また愛・地球博のささしまサテライト会場にはサン・ジョルディのPRコーナーが設けられた。

出版ポータルサイト「ほんつな」開設/大阪屋

大阪屋は4月18日、出版物の総合ポータルサイト「ほんつな」を開設した。ウェブ上で読者・書店・出版社・作者が集まり情報交換できるコミュニティ機能や、新感覚の書誌検索サービスを読者に提供することで、出版業界全体の活性化を目指す。
「ほんつな」はブログ(日記風の簡易型ホームページ)形式で書店や出版社の情報、読者の意見などを掲載。本に関する情報発信や意見交換が簡単かつ自由にできる。また、キーワードや思い浮かんだ文章を入力することで、思いがけない本に出会える検索システムを導入している。書店はブログの活用で自店のサイトを簡単に開設・更新することが可能。利用料は年間1万円で、大阪屋では取引帳合を越えた幅広い参加を呼びかけている。「ほんつな」のURLはhttp://www.hontsuna.com/

十勝支部SJ講演会/角田光代氏講演に3百名が来場

北海道書店商業組合十勝支部は4月22日、サン・ジョルディの日記念講演会を帯広市のとかちプラザで開催した。
16回目となる今回は、今年1月『対岸の彼女』で第132回直木賞を受賞した小説家の角田光代氏が「旅の言葉、日々のことば」と題して講演。会場が満員となる300名のお客様が来場した。
講演で角田氏は、自身の生い立ちから小説家を志すまでを語った後、相手と分かり合おうとする道具としての言葉の素晴らしさと、一瞬にして人間関係を崩すこともある言葉を使う難しさ等、言葉に対する思いを語った。
質問コーナーもあり、旅好きで世界中を旅した角田氏の旅先でのエピソードや、小説家としての日常等、貴重な話も語られた。
講演終了後、サイン本・花束・図書カードのプレゼント抽選会、そしてサイン会を実施し、盛況のうちに講演会を終了した。(有田光秀)

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・平川聡子

◇2歳から/『スプーンさん』中川ひろたか=文/100%ORANGE=絵/ブロンズ新社850円/2003・8
ごはんの時、いつも側にいてお手伝いをしてくれるスプーン。とことこ歩いたり、時には止まったり、遊んだりしながら美味しいものを口に運んでくれるお話。言葉は簡潔でリズム感がある。テンポのよいスプーンの動きが、食べるって楽しいねというメッセージをそっと添えている。
◇4歳から/『ぴよちゃんのおともだち』いりやまさとし=作・絵/学習研究社780円/2003・10
温かみのある絵と楽しいしかけで、いつの間にかワクワクした世界に入ってしまっている。ぴよちゃんが、お友達のガーコちゃんと一緒にガーコちゃんのおうちへ行くまでの間、小さな冒険がいっぱい。お友達に対しての優しい気遣いもあり、周りへ目を向ける心が育めそう。
◇小学校低学年向き/『トゲトゲぼうや』今村葦子=作
/西村繁男=絵/金の星社1200円/2004・10
ハリネズミのトゲトゲぼうやは、いつもひとりぼっち。でも本当は、お友達を沢山作って一緒に遊びたい気持ちでいっぱい。ぼうやはお友達をさがしに森へ出かけるのだが…。ぼうやのひたむきな行動が読み手の心をつかみ、ジンワリ温かいものがこみ上げてくるホンワカするお話。

ふるさとネットワーク/北信越ブロック編

〔新潟〕
今年の1月1日に14市町村が合併して、新しい上越市が誕生しました。全国で一番大規模な合併です。大きな新潟県に小さな新潟県ができたような感じです。
海があり山があり、そして米どころとして知られる頸城平野は、おいしいコシヒカリはもちろんのこと、米菓の名産地でもあります。また、新潟県の日本酒のおいしさは全国にも知られていますが、上越産の日本酒のうまさはそのなかでも格別です。米・水・自然そして人、それらが相互に作用して初めて高品質の酒が生まれます。
「酒の博士」として知られる故坂口謹一郎博士の功績や、頸城杜氏の酒造り文化を伝える「坂口記念館」と16の蔵元が勢揃いしています。そして海や山に点在する12の温泉で憩いの一時を過ごしてみませんか。
(熊田雅明広報委員)
〔富山〕
北アルプスを貫き富山、長野を結ぶ立山黒部アルペンルートは、4月10日、弥陀ヶ原(標高1930メートル)―室堂(同2450メートル)間の8キロを残して部分開通した。富山側から240人の観光客が入り、快晴の下、眼前に迫る峰々の深雪が春の日差しにキラキラ光る雄大な景観に浸った。このとき開通したのは富山側の立山駅―美女平駅間の立山ケーブルカー1・3キロと美女平駅―弥陀ヶ原間の高原バス15キロ区間と長野県大町市扇沢からトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェーで室堂に至る12・3キロ。そして積雪20メートルの室堂に近い「雪の大谷」では除雪作業が進められ、昨年と同じ4月17日に全線開通した。積雪は美女平2・4メートル、弥陀ヶ原4メートル。観光客は約30分の雪の回廊を縫って走る車窓からの景色に歓声をあげた。弥陀ヶ原では雪上の散策や写真撮影を楽しむ家族連れや若者のグループ連れが春山スキーを満喫した。(渋谷恵一広報委員)
〔石川〕
金沢駅が新しく増築され、先日盛大な祝賀式が行われた。これは国内最大級のガラス・アルミ合金製の近代的なドーム型で、古都金沢にはちょっと不釣合いかと思われたが、玄関は能楽の盛んな地にちなみ鼓をかたどったもので素敵な感じだ。近々開通する新幹線に合わせ作られたものだが、東京まで現在4時間以上かかるのが2時間半に短縮されるため、観光客や人の出入りも増えるためだろう。
一方、去る3月末で能登線(穴水―蛸島間)が廃止された。奥能登で40年間活躍したが、3月27日には「ありがとう能登線号」の特別列車が運行され、穴水、宇出津、珠洲の各駅では、さよならセレモニーが行われ、大勢の住民や鉄道マニアの人が別れを惜しんだといわれる。同じ石川県内でも違いの激しさに今更ながら感じている次第である。(横野浩広報委員)
〔長野〕
明治12年、穂高町に5人兄弟の末っ子として生まれた荻原碌山(守衛)は高等小学校を卒業後、家業の農業を手伝っていたが、後の新宿「中村屋」の創設者相馬愛蔵の奥さん、良(黒光)によって芸術の目を開かされたのだった。時に18歳。自分の才能への苦闘が始まり上京、「不同舎」という美術学校に学んだが飽き足らず、ニューヨークに渡り、さらにパリで勉学したのだった。パリでは高村光太郎との出会いでロダンを紹介してもらい、師と仰ぐことになる。アルバイトをしながらの学の末、28歳の春、帰国後、中村屋の奥にアトリエを造り、中村屋の手伝いをしながらの創作活動だったが、30歳の若さで喀血急逝。絶作の「女」は日本近代彫刻史上最高傑作と評され、作品の顔は黒光そのものと言われる。碌山の柩が安曇野に旅立つ時、黒光は我を忘れて取りすがり号泣したという。写真は碌山美術館。
(高嶋雄一広報委員)
〔福井〕
4月18日JR福井駅が高架駅に生まれ変わり新しい県都の玄関として開業した。将来の北陸新幹線開通に備えてのJR線高架と新駅舎である。
外観は白を基調とし、屋根の上には東尋坊の柱状節理をイメージした箱型採光口38箇所を設け明るさを演出、内部の斜めに走るむき出しの骨組みは、福井の冬の風物詩、雪つりを表現した。昭和23年の福井震災後長く鉄道で表、裏と分断されていた市街地東西地域の交通円滑化が図られるようになった。県内JR駅初のホームから改札口へのエスカレータ設置など、没バリアフリーから一転、都会のような駅だとの素直な声も。
新たなショッピングゾーンとして食品スーパーや土産物店、ドラッグストアなど44の専門店が入った「プリズム福井」も同時に開業。しかし、残念なことに書店の姿は見当たらず中小地方都市の商業ドーナッツ化現象を食い止めるまでの力にはならなかったようだ。
(清水祥三広報委員)

日販オープンネットWINに新機能

日販はトリプルウィンプロジェクトのインフラである「オープンネットワークWIN」(出版社向け情報開示システム)に新たな機能を追加し、4月18日からサービスを開始した。
追加された機能は①市中在庫分布表示機能、②チェーン店別実績の表示機能、③SCM店・データ開示店の集計機能の3つ。
市中在庫分布は特定銘柄の書店店頭在庫状況について、冊数別に軒数の分布を表示するもので、在庫切れ・在庫僅少店舗数が認識できる。チェーン店別実績
は、これまでの店舗毎の表示機能に加え、取引先チェーンで総合して表示できる機能。
2005年3月時点でオープンネットワークWINに参加している出版社は178社。SCM参加店は576店舗。店頭実績開示店は817店舗。

桶川計画で業界革新/販売コンクール、沖縄が総合1位に/トーハン

トーハン会全国代表者会議が4月25日午後2時から目白の椿山荘で開かれ、全国から38トーハン会と青年部20会の代表、出版社195社が出席した。
第1部本会議であいさつしたトーハン小林社長は「この形になり12回目。この間、業界は様々な変化に直面したが、トーハン会は増売に力を置いた販売集団として成果をあげてきた。現在、親会が41会、2054名、青年部は21会、305名でトーハン全体の売上げの42・3%を占める。書店に限れば6割近く、最も重要なパートナーだ。今年のバリューアップは目標12億4200万円に対し、実績は10億9400万円で目標は達成できなかったが、6年連続で10億の大台を越える成績を収めた。新年度は20億の目標を掲げスタートしている」と、販売コンクールの成果をまとめた。
また、17年度基本方針の概略について「16年度は7年続いた前年割れに何とか歯止めをかけ、少しでも売上げ増を確保した。17年度は反転上昇の流れを一層確かにしていく。取引店1店ずつの売上げを伸ばし、各エリアでの占有率をあげていく。桶川は今秋から本格稼動する。桶川計画を通して業界の革新に力を尽くしていきたい。店頭の在庫、販売状況を把握して商品を供給していく。契約販売など売り切る仕組みも対案拡大していく。戦後60年。市場変化のスピードは早まっており、時代の変化に対応しなければ、市場の支持を失う」などと述べた。
各地のトーハン会を代表して岡山トーハン会山田次郎会長が、児童書ブックフェアの開催、支店在庫の活用、四国トーハン会への訪問研修会などの事例を報告。午前中行われた青年部の「雑誌定期便」講演会、図書館取引推進連絡協議会の報告に続いて、昨年度バリューアップ販売コンクールの表彰を行った。
総合第1位になった沖縄トーハン会山田親夫会長は「去年のコンクールで前期2位になり、賞金を利用してトーハンのアンテナショップの成果を本にして会員に配布した。童心社の協力で保育士、教員、司書を対象に紙芝居講習会を行い、大盛況だった。会員書店が現場の方と接触できたことがプラスだった」と受賞スピーチを行った。
第2部・桶川計画の説明会では、改革推進本部池田副本部長、情報システム部中村部長が、同計画の概要とサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の全体像、出版社・書店の具体的活用例を説明した。
04バリューアップ販売コンクール表彰
〔総合〕①沖縄、②岡山、③四国、④岩手、⑤京都、⑥熊本
〔前期〕①大阪、②京都、③熊本、④山陰、⑤岡山、⑥福岡、⑦兵庫
〔後期〕①岡山、②沖縄、③四国、④岩手、⑤熊本、⑥福岡、⑦山陰、⑧青森、⑨静岡
〔貢献賞〕①中部、②神奈川、③福岡

『anan』の創刊35周年祝う/マガジンハウス

マガジンハウス『anan』創刊35周年パーティーが4月25日午後6時から六本木のグランド・ハイアット東京で開かれた。
『anan』編集部育ちという石崎社長は、「創刊した1970年は大阪万博が開かれ、高度成長が軌道に乗った年。『anan』は化粧品、ヘアケア、インテリア、旅行、雑貨の市場を作り出した大型女性誌のパイオニアだった。大判雑誌の印刷機械が国内にはなく、印刷会社と共同で開発した思い出がある。本日を新たな創刊の日ととらえ、スタッフ一同さらに努力していく」とあいさつ。
第17代となる現編集長の堀木恵子氏は「『anan』は3月6日生まれで、35周年を迎えられたのは皆さんのご支援のおかげ。今後も面白く、明るい、サービス精神あふれる20代女性の雑誌を作っていく」と宣言した。
乾杯は同誌に長く連載を続けている作家・林真理子氏。「創刊時は山梨の高校生で、キャラクターの愛称募集に応募してポシェットをもらった。当時から都会のおしゃれな雑誌だった」と述べて、乾杯の音頭をとった。
司会の中井美穂はじめ、米倉涼子、長谷川理恵、ユーミン、木村拓哉、香取慎吾など『anan』になじみ深い芸能人が多数訪れて創刊35周年を祝福した。

催し

◇セミナー「65歳までの雇用義務化」
日本出版クラブは6月1日午前10時よりセミナー「65歳までの雇用義務化に企業はどう対応するか」を開催する。改正された高齢者雇用安定法の改正に際し、社会保険労務士事務所長の川端重夫氏が同法の内容、高年齢者の就業意欲、雇用延長のパターン、賃金の決め方などを紹介する。受講料3500円、会員外4千円。申込みは出版クラブセミナー係03・3260・5271番。

出版販売の基礎知識』改訂版

トーハンはこのほど『出版販売の基礎知識書店実務マニュアル』の改訂版を発行した。A5判2色刷188頁、頒価1050円。
出版物の流通や販売システム、商慣習、書店実務、商品知識、接客とサービスなどの基本を体系的にわかりやすく解説する。巻末資料として業界用語集、月別販売ガイド、雑誌増売期カレンダーを掲載。
注文・問合せはトーハン営業担当者かトーハン・コンサルティング(電話03・3267・8686番)まで。

全国262店で読み聞かせキャンペーン

日販は4月23日から5月12日までの「こどもの読書週間」に合わせ、全国262店で読み聞かせキャンペーンを展開中。
このキャンペーン、日販の「おはなしマラソン」をきっかけに読み聞かせ会をスタートした書店を中心に2001年秋から毎年春と秋の2回展開しているもので、今回は昨秋の235店を大きく上回る262店で実施することになった。
キャンペーン参加書店には、開催支援キットとして店頭告知用ポスター、子どもへのおみやげ(自由帳)、保護者向け小冊子(絵本ガイドブック55)、スタンプラリーカードなどを提供している。
おはなしマラソンは1999年10月、日販創立50周年記念事業としてスタート。今年3月末までに全国486書店で2188回開催。参加者数は延べ5万5189名にのぼっている。

本屋のうちそと

店の売上げは相変らず悪いが、いまさらその理由など一々考えたくも無い。せいぜい取次の担当者に「なんでこんなに次々と大型店が出るんだよ!」と八つ当たりする位のものである。売上げが悪いので私の小遣いは無くなり「年中無休・365日戦います!」の人生からは「夜遊び」の文字が消えてしまった。ここ一年以上私は外で酒を飲んだことが無い。これは私にとって大変な事である。
私が飲みに行けないものだから近所のスナックもヒマそうで、ついに昼間「ランチ定食」を始めた。で、久々に行ってみる。マスターが言う「この前、23歳くらいの男の子がサー、マスター今日つけといて、ばっちゃ(祖母)の年金出たら小遣い貰って払いに来るからッて」当然の如く彼は今、無職である。田舎町に良い仕事は無いのだろう。しかし彼は日本政府に対して「俺達に仕事をよこせ-、俺達から仕事を奪った中国製品は買わないぞー」などとデモったりはしない。
職が無くとも、あっても給料が安くとも、なんとかこの国の国民が日々暮らしてゆけるのは、安い中国からの輸入品のおかげである。経済のグローバル化とはそう言うことだろう。ライブドア/堀江氏は瞬く間に400億円も稼いだ。私は残念ながらそのような特別な人間では無い。お客様の求める本を今日もしこしこと売ってゆくだけである。日書連HPの掲示板に良い言葉が書かれてあった。「その一冊を売る努力」『阿Q正伝/魯迅』でも売ろうかしらん。 (海人)