全国書店新聞
             

平成16年11月11日号

ネット検索無料体験

日書連は㈱ネットアドバンスの協力で来年12月まで1年間、インターネット上に構築した百科空間「ジャパンナレッジ」の無料体験キャンペーンを実施します。日本大百科全書、ランダムハウス英和大辞典、東洋文庫はじめ内外の辞書、事典、データベース百万項目が検索可能。希望書店は各県組合に申込みを。ネットアドバンスからID、パスワードが発行されます。
事前トライアルとして、本年12月15日まで、下記のトライアルIDとパスワードで試用が可能です。
サイトURL=www.japanknowledge.com
トライアルID=jk_shoten1
パスワード=nisshoren

出版業界秋の叙勲

3日の文化の日に出版関係で次の方々が受章した。▽旭日小綬章=佐藤政次(オーム社社長)
▽黄綬褒章=茨城県・鴻野善造(こうの書店)、埼玉県・川嶋英文(川島書店)、高知県・島内幹之(島内書店)

初の読書フェスタ/秋田県教育委主催で

読書活動をより活発にしようと、秋田県教育委員会の主催で初の「読書フェスタ」が10月31日午前10時から秋田拠点センター・アルヴェで開かれた。
子どもの本評論家・赤木かん子さんが「子どもに喜ばれる本、教えます」と題して講演を行ったほか、県教委が「絵本リサイクル事業」、県立図書館が仕掛け絵本や大型絵本展示、折り紙教室などのコーナーを設けた。「広げよう読書活動の扉」をテーマに県内8グループによるお話し会やパネルディスカッションも行われた。
討論会のパネラーはボランティア・グループ「みんなで楽しむ絵本の会」(横手市)の和泉ひろみさん(金喜書店)や高校生、教諭などで、児童文化研究家・金田昭三さんの助言も得ながら子どもたちが読書に親しめる環境を作ろうと意見交換を行った。
(木村和一広報委員)

雨天で日曜だけの開催/185社、269台で販売/神保町BF

読書週間の行事としてすっかり定着した第14回神保町ブックフェスティバルだが、10月30日は開会式後に雨脚が強くなりワゴン販売の多くが中止。天候が回復した31日、日曜日だけの「本の得々市」となった。売上額は前年の約半分、1700万円。
フェスティバルはすずらん通りを中心に、出版社、東京組合千代田支部、地元商店など185社が昨年より多い269台のワゴンで汚損本、自由価格本、文具、ビデオなどを定価の2割引から半額で販売。
白山通りに面した小学館・集英社前広場では、子供ランドとして児童図書出協加盟20社のワゴンと、講談社「本とあそぼうおはなし隊」のキャラバンカーが設置され、ドラえもんシールラリー、人形劇、けん玉などの催しが行われた。
小学館ビルのロビーでは上海市新聞出版局主催で上海ブックフェア。出版社20社が地図、観光ガイド、辞典、実用書など2900点を展示即売した。

中越地震で14万円募金

東京都書店商業組合は11月2日開催の理事会で新潟中越地震の被災者にとして義援金を募集し、14万4千円を集めた。

訂正

11月1日付、第1511号2面10月理事会の記事のうち、情報化委員会が見学した深沢小学校は深草小学校の誤り。専任職員とパートで運営しているのは右京図書館の誤りでした。訂正し、関係者にご迷惑をおかけしたことをお詫びします。

出版社訪問はなお継続/ポイント制で当面の方針/東京組合

東京都書店商業組合は11月2日開催した定例理事会で膠着状態にあるポイントカード問題の対応を検討。①出版社の理解を深める行動をなお継続していく、②改めて大脇弁護士の講演会を企画する、③出版4団体として公取委の見解を聞く――とする当面の方針を確認した。理事会で経過報告を行った岡嶋委員長は、文化通信11月1日号に掲載された公取委野口文雄取引企画課長のインタビュー「ポイント阻止要求は独禁法違反」について触れ、「著作物再販制度は平成13年3月に当面存置の結論が出た。民―民契約の精神を曲げている。大変な干渉で、不当介入に当たるのではないか」とする考え方を明らかにした。
さらに、10月から続けている出版社訪問の感触について質問された岡嶋委員長は「再販制度の必要性については一致したが、ポイントカードに対する認識では、7割方は理解しているが、書店の問題ではないかという考えの出版社も1、2社あった」と説明した。
また、下向副理事長は「公取委野口課長のインタビューは取次、書店の役割を無視している。野口課長の認識不足と理解している。出版社への働きかけは継続すべきだ」と述べた。
理事会では、公取委の各団体に対する発言にズレがあるのではないかとして、場合によっては出版4団体で一緒に公取委と意見交換の機会を持つことも検討していく。
このほか、11月理事会では、共産党清水ひで子都議が9月都議会本会議で質問したのをきっかけに、10月18日に東京都産業労働局を下向副理事長らが訪問。京王電鉄系列の啓文堂書店出店とポイント・サービスの関連で東京組合として商調法の適用を申し入れたこと、同局市原商工部長から「研究したい」という回答を引き出したことが報告になった。

「声」/パソコン活用して迅速な広報活動を/長野県・文成堂書店・高嶋雄一

書店新聞の原点は組合員の機関紙だが、世論に訴える弾丸でもあった。かつて取次から荷造諸掛運賃を請求され、わずかな利益で経営が苦しい時代があった。全国規模での闘争運動が東京に全国地方組合の代表を集めて行われ、新聞の1面に写真付で記事が掲載された。最高正味八掛制の要求、運賃諸掛撤廃の要求、月1回支払い制確立を目指した取次との交渉など、地方書店の苦悩をどんどん通信せよと命令をいただいたものだった。
10月8日の全国広報委員会議で、時代の流れであるインターネット利用、POSレジによる統計について講演があったが、我が長野県においてEメール・アドレスを持っているお店は10%ぐらいしかない。パソコンによる請求書の作成、在庫管理、顧客整理、インターネットによる書籍検索、新刊書の紹介等、活用価値は高い。パソコンが経営の担い手になればと考える。広報もEメール配信で迅速な対応ができる。パソコンなしでは仕事が出来ない時代。1店1台備えよう。

催し

◇子どもの本フェスティバルinおおさか
活字文化推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団などが主催、読売新聞が主管となる「第2回子どもの本フェスティバルinおおさか」が11月13日、14日、大阪ビジネスパークツインタワー21Fギャラリーと20F会議室で開かれる。
それに先立ち9月22日に打ち合わせ会が行われ、東京から活字文化推進会議事務局長・新山豊氏、同ディレクター・重田浩資氏(いずれも読売新聞東京本社)、また大阪屋企画調整部部長・阿部修嘉氏、同第一営業部第一課長・西山慶司氏が出席し、大阪組合からは春江健三事業委員長、坂口昇広報委員長、金田喜徳郎事務局長が対応した。
今年は絵本・児童書中心に昨年の1万冊から1万5千冊用意し、売上げも1・5倍を目標とする。絵本作家のあさのあつこ氏、あまんきみこ氏、酒井駒子氏、長谷川義史氏、中川ひろたか氏などがサイン会などを開催する。またキッチン・クッカーズ音楽隊によるイベントなど盛りだくさんの内容を計画している。
(坂口昇広報委員

新理事長に古沢隆氏/東海地震への備え呼びかけ/静岡総代会

静岡県書店商業組合の第17回定時総代会が10月25日午後4時より静岡市クーポール会館で開催され、総代51名が出席した。
総代会は中野弘道常務理事の進行で始まり、冒頭あいさつで斉藤行雄理事長は新潟中越地震に触れ、予想される東海地震に対して経営体として被害を最小限にするための施策を各書店が準備しておくべきと提案。組合員減少に対しては財務構成を見直しつつ現組合員へのメリット還元を実施していることと、今後も継続していくことを強調。ポイントカード問題解決には日書連が重点的に取り組んでいる。版元にも強く訴えているが膠着状態にあり、来年も継続して交渉すると報告。万引き問題については、換金のための万引きが多発していて、青少年健全育成の立場から撲滅運動をさらに強化する。それに合わせて県組合では静岡県警後援の万引き防止ポスターを製作したので、店頭で活用してほしいと要請した。
次に沼田渉副理事長を議長に選び審議を開始。組合員減少に鑑み、まず理事と総代の定数を変更するための定款一部変更議案を審議。その後選考委員の指名推薦で理事を選任し、理事の互選で古沢隆氏を新理事長に選出した。今後の組合運営方針について、古沢新理事長は来年1月の理事会で発表すると述べた。(白松猛広報委員)
〔静岡組合新役員〕
▽理事長=古沢隆(マルサン書店)▽副理事長=斉藤行雄(谷島屋書店)中野弘道(焼津谷島屋)

生活実用書・注目的新刊

タイトルに「文章教室」とつけられた2冊の本の奥付を見たらば、共に2004年10月20日と、発行日がぴたり同じだった。出版社の企画というのは往々にして重なる。しかも両方新書判なために、はからずも近くに並んでいる。
清水義範著『大人のための文章教室』(講談社現代新書1738720円)は、世間一般の普通の大人が文章を書く時に、どうすれば上手く書けるかを考察したもの。ただし、ここでは日記と、小説の文章は取りあげない。日記は原則として人に読ませることは考えないし、小説は個性的で、一般人のお手本にならないからだ。パスティーシュという、文章の模倣によってユーモアや皮肉の味つけをした小説でデビューした作家らしく、例文は自前。
第一講は打つか、書くか。苦もなく漢字に変換できるために、ワープロ文では漢字が多くなる傾向がある。ワープロに文章が引きずられがちになるので、ちゃんと意識していないといけない。
第五講しゃべくり文ですのでは、最近の女性が書く、上手くくだけた調子の文章を取りあげる。ごく普通の文章の中に、不意に「しかしなあ」などとしゃべり言葉を入れてくる。漫才のようにツッコミの入る感じで、読み手を観察者の視点に引き下ろす。
また、一般の人が近寄ってはいけないのが学者の論文。公用文書。それと、意外にも新聞の文章。それは「書いた人のそのことへの思いがまったくない」からなのである。
そして、読み合う仲間を持つ。読み手を意識することで上手くなるのは、カラオケと同様なのだ。さらに大いに楽しんで、たくさん書くのが文章の上達法であると結ぶ。
小関智弘著『働きながら書く人の文章教室』(岩波新書916740円)は『大森界隈職人往来』など、町工場にテーマを取った作品を書き続ける作家の体験的文章論。
1959年、東京大田区で働く四人が始めた同人誌『塩分』が原点である。活動は今も続く。読書術、編集者との出会い、小説やノンフィクションの取材、町工場巡礼の旅などの各章に、著者の熱い感動の物語が語られる。「民衆のなかには無数の事実が散乱しているが、それらの事実、民衆あるいは庶民と呼ばれる人びとが経験したものの蓄積は埋もれてしまう」。それをどう表現するかが、書き手の役割と語る。いずれも、たくさん書くことが文章を上手くするコツだと言っている。
(遊友出版・斎藤一郎)

収入増やす事業展開を/組合員数減少対策で/兵庫総代会

兵庫県書店商業組合は10月19日午後3時より神戸シーガル会館で平成16年度定時総代会を開催、総代50名(委任状含む)が出席した。
森井専務理事の司会で進行、大杉副理事長の開会に続き、三上理事長は「今年の夏は猛暑やオリンピック、最近では地震や台風の被害もあり、来店客数減少から業界全体も右肩下がりの状態。明るい材料が少なく、反省することの多い1年だった。ハリー・ポッター第5巻は話題にはなったが、在庫がダブついている。まだ2巻続くので、条件面その他について、今後も組合として静山社に申し入れをしていく。組合員数減少は組合財政にも影響を及ぼす。今後は収入を増やせるような事業を展開したい。その意味で今年で3回目となる『絵本ワールドinひょうご』(11月5日~6日、神戸市・原田の森ギャラリー)をなんとしても成功させたいので、是非協力を」とあいさつした。
安井執行理事を議長に議案審議に移り、平成15年度事業報告と収支決算報告、平成16年度事業計画案と収支予算案の第1~4号議案を原案通り承認。第5号議案では、収支決算で報告された当期損失から次年度も予測される財政難の緩和策として、各支部への次年度助成金をカットすることが承認された。
大会スローガン宣言後、総代会を終了。場所を三宮神仙閣に移し、出版社、取次など来賓23名とともに懇親会を開催した。
(中島良太広報委員)

懸賞論文入選作「熱血指導の下でコツコツ努力」岩国市・富永書店・山本信一

まずもって「全国書店新聞」1500号の永き歩みに心から敬意を表します。
現下の書店は全国的に疲弊気味で、残念ながら元気さに欠ける様な気がしてなりません。いつの頃からこういう事になってしまったのでしょう。節操に欠ける取次間戦争?バブル崩壊後の景気低迷による消費マインド減退?いやいや、自戒の念をもって考えると書店自体がその本質を見失い、スケール・メリットをいい事に、取次にあおられつつ乱出店に奔走した挙句が本来のバランスを失い、片肺飛行のもと、肝心な店売・外売のノウハウすら忘れている事に他ならぬと感じます。
当店での私の仕事は、昼間外商・夜は店頭・閉店後は返品業務等々、リストラによる減少社員の補充もない為、かつての3人前の仕事を強いられています。良く言えば、書店全般の仕事をやらざるを得ない為、1部門に特化する事なく大系的に書店全体の仕事が体得できます。但し当店のリーダーである専務が、ことのほか仕事に対して厳しい為、外商でただ単純な配達・集金だけしたり、店頭でファーストフード的、いや風呂屋の番台的な安易な仕事をしていると、顔面から血が吹き出る程ブン殴られる始末です。恥ずかしながら今年に入って43歳の20年選手の私が既に4度殴られた次第です(その多くが地獄の新学期時期)。
とにかく店頭においても外売においても「種を蒔いたら、即刈り取れ」が恐い恐い専務(実質は社長)のモットーのようです。しかし、その恐い専務も私共社員同様、あるいはそれ以上に現場のあらゆる仕事を共に汗をかいて範を垂れて下さっているので、いくら厳しくても私自身心の底から尊敬しています。
今時はあらゆる世界で真のリーダー不在の世の中ですが、本物のリーダー・名伯楽と一緒に仕事をして20年。指導も、売る事に関しても甚だ厳しいけど、良い本をご購入頂き、むしろお客様の方から「本当に良い本をすすめてくれて有難う。お陰で重宝しています」と言われた時には辛さも吹き飛び、書店人としての喜びを痛感する瞬間です。我々小売業は地方交付税も補助金もないわけですから、頭と身体を使って書籍の1冊、雑誌の1冊を、経営者サイドと社員が一丸となって汗をかいて、恥を恐れずその上で血へどを吐いて売り上げる事だと思います。
私は不器用な人間ですので、例えばイソップ童話の「うさぎとかめ」で言えば、まさしく「かめさん」そのものだと思います。人様が10人当たって3つ予約が取れるとすれば、私は30人で1つくらいしか取れないほどですが、それでも5人や10人に断られた位では諦めず、かめさんのようにコツコツ努力しています。こんな私でもそれを積み重ねていけば、時間と手間はかかるものの、それなりの実績は上げられるのです。
全国には、私以上に頑張っておられる書店経営者、社員、パートの皆さん方も多くいらっしゃると思いますが、うだつがあがらなくて殴られようと蹴られようと、負けずに懸命に頑張ってまいりましょう。全国書店新聞がさらに我々の励みになるよう、ご期待申し上げます。

懸賞論文入選作「お客様の目を引く棚を工夫」山梨県・ブックスアマノ・志村明美

アルバイトとしてお店で働くようになり、正社員になってから早1年が過ぎようとしています。レジ対応が主な仕事だったところから、仕入れ・陳列・企画など今まで経験したことのないことばかりで、はじめは戸惑ってばかりでした。
しかし、客層、立地条件、地域性、店舗規模などそれぞれお店に与えられた条件が違うからこそ、同じ商品を売るにしても魅力的な個性を出して他店とは違う書店にしていこうと思い、自分なりに色々試してみました。
私が担当しているのは文芸書・児童書です。児童書はコーナーを拡大し、お客様の目線に止まりやすいように表紙を見せ、網掛けにすることで手に取りやすく、そして興味を引きやすくしてみました。また、読み聞かせが出来るように軽く腰掛けられるスペースも作りました。
文芸書の棚は、思い切って面陳列をいたるところに展開していきました。その分、在庫の種類は少なくなってしまいますが、1冊の本を同じ棚に大量面陳するだけでその本の主張がかなり表現できるものだと実感しました。
また、当店では、30~40代の女性のお客様が目立ちます。そこで女性を対象としたミニフェアを開催してみたりして、最近では恋愛小説の売上げが伸びているように思えます。
現代は、様々な情報が私たちに与えられています。テレビ、新聞、雑誌、広告、インターネット等、これらの情報によって本のランキングや注目の本などと紹介されれば、たちまちお客様に尋ねられたり、今まで反応の薄かった商品も売れ始めたりします。そういった情報に現代の人たちは流されやすいのかもしれません。
そこで、週報、インターネット、各出版社さんより送られてくるFAXなどを活用し、事前に発売されるシリーズものの本の発売日や、人気作家の最新刊の告知をしてみました。そうすることで自分たちも情報を把握することができ、お客様にも目的を持って購入してもらえるという利点があることに気が付きました。
ここであげたのは担当しているところの一部の例でしたが、その他にも接客、朝礼など、いい書店を作っていくうえで、店員同士のコミュニケーションをはかることはとても重要だと思います。それぞれの担当の情報を交換したり、レジでお客様から問い合わせがあった商品はどのようなものがあったかなどを聞いたり、店内を常に清潔な状態に保つよう心掛けたりと、お客様の立場になって考え、居心地の良いお店作りをしていけば、常連客を増やす1つのポイントになると思います。
この仕事を始めて、自分の並べた商品を喜んで購入していただける瞬間が何よりの喜びであり、やりがいであることを感じました。まだ1年という短い期間ですが、これからも、様々な情報を吸収し、経験を重ね、日々努力していきたいと思います。

浜口親子らにまんがの日大賞

情熱、夢、感動を与えてくれた人、モノに贈る2004年「まんがの日大賞」の受賞式が、2日、一ツ橋の如水会館で行なわれ、アテネ・オリンピックで日本中を沸かせた浜口京子、アニマル浜口父子と、映画『キューティーハニー』に主演した佐藤江梨子さんが表彰された。
まんが文化の振興発展に寄与した「文化大賞」にはNHKおはよう日本「おはようコラム」の制作スタッフが選ばれた。

講談社、僻地校図書寄贈2700校超える

講談社の「僻地の学校図書館等への図書寄贈」が今年で2700校を超えた。同事業は平成元年の同社80周年事業でスタート。僻地指定校を中心に児童図書を寄贈してきた。今年から「朝の読書」に積極的に取り組む学校にも寄贈することになり、教師も児童も大喜び。今年は葛飾区立上平井小、和歌山市立野崎小、西条市立西条小の3校に122冊ずつが贈られた。
なお、朝の読書実践校は1万7500校。

三洋堂加藤社長が中経出版から万引き防止本

万引き防止に精力的な取り組みをみせる名古屋・三洋堂書店の加藤和裕社長が中経出版から『書店経営者が書いた万引き防止の完全対策』を刊行した。四六判並製・208頁、本体1300円。
どういう店が万引き犯に好まれるか。どういう場所で起こるのか。万引きの起こるメカニズムから、三洋堂書店における万引き防止の取り組み、導入・実施・成果について、自店のとった対策を公開し、具体的に紹介する。セキュリティ・コンサルタント、豊川奈帆氏との共著。
書店、レコード店、小売店のマニュアルのほか、警察、学校、PTA、青少年団体のテキストとしても最適。各章の内容は、商品ロスの実態を知ろう/万引きを防ぐ方法/万引き犯を捕捉する/内引きによるロスをなくそう/よりいっそうの防犯のために。

小学館PS移転

小学館パブリッシング・サービスは小学館すずらん通りビル竣工に伴い、11月15日より現在の祥宏ビルから新本社に移転する。新住所は〒101―0051千代田区神田神保町1―15小学館すずらん通りビル。電話はいずれも03・5281局で、首都圏支社1633、中部支社1651、東部支社1637、特販支社1655、営業企画部1627。注文センター、問合せコールセンターの電話、FAXは従来通り。

祥伝社オンステージ大賞6店を選考

祥伝社の秋の書籍フェア「祥伝社オン・ステージ」飾り付けコンペ審査会が10月29日に行われ、飾り付け大賞に堺市・書院バンブーハウス、広島市・サントーク廣文館、さいたま市・一清堂栄和店、POP大賞に福岡県・Aブック飯塚店、下関市・明林堂書店新下関
店、四国中央市・大久保書店の各3店が選ばれた。
今年のオン・ステージは文庫セット1163、黄金セット840、ノベルス555の計2558セットと受注数は昨年並みだったが、コンペ応募は59店で昨年を下回った。
審査会で竹内和芳社長は
「おかげさまで19回目。書店の評価もよく、とくに黄金文庫はよく回転した。飾り付けコンペは『ハリポタ』と重なり、平台を取られた面もある。ただ、応募作は力作揃いだった。
祥伝社は10月末で34期を終える。この1年、話題の本も多い。『郵貯崩壊』はいきなり初版の倍の重版。
本田孝好の『FINEDAYS』が発売1年半で10万部を越えた。佐伯康英の時代小説も百万部を突破した。雑誌では12月16日に美容と健康をテーマにした生活情報誌『からだにいいこと』を創刊する。ファッション誌以外の祥伝社のもう一本の柱に育てたい」とあいさつした。

新会長に松信裕氏/副会長4名も全員新任/神奈川日販会

神奈川日販会は11月2日午後2時半から横浜市のメルパルク横浜で第34回総会を開き、会員書店、出版社、日販から菅徹夫会長、鶴田尚正社長など、総勢193名が出席した。
総会は関昭典氏(ブックスサガ)の司会、長谷川義剛副会長(長谷川書店)の開会の辞で進行。篠﨑孝子会長(有隣堂)が「ひしひしと感じるのは不景気の波。こんなときこそ力をあわせて頑張らねば。今日は皆でいろいろなことを話し合える稀有な会。有意義な日になることを願っている」とあいさつした。
篠﨑会長を議長に行った議案審議では、活動報告、会計・監査報告、第34期事業計画・予算案を原案通り承認。増売銘柄に小学館『くらしの法律百科』、主婦の友社『新版家庭の医学』『365日きょうのおかず大百科』を決めた。役員改選では正副会長が全員退任。新会長に松信裕氏(有隣堂)、副会長に深瀬昭次(青馬堂)、片桐和彦(住吉書房)、増田隆史(浜書房)、石村哲也(石村集文堂)の各氏を選出した。
松信新会長は「この業界に来てまだ10年で、業務も分からず迷ったが、微力ながら務めさせていただこうと引き受けた。会員181社が日販を冠として栄えるよう活動したい。業界は非常に多難で、電子書籍の増加など市場が激しく変化する時代を迎える。どう対処するか会員と一緒に研究していきたい。日販にお願いしたいのは、取引の中で手を携え一店一店を大事にしてほしい。知恵と力をいただきながら、本屋が利益をきちんと出し、仲間を増やしていきたい」と述べた。
来賓あいさつで日販・鶴田社長は「9月の日銀短観は全産業合計でプラスと発表されたが、小売ベースはマイナス5、神奈川はマイナス28という驚くべき数字で、逆風の中戦う皆さんは頑張っている。日販の首都圏の売上げで横浜支店が一番落ち込んでいるが、どん底まで下がれば、来年は浮上すると楽観的にとらえている。ベーシックなことと共に新しいことに取り組み、多方面でやっていく必要がある」と述べ、日販の進める中期経営計画「ビー・イノベーター」の進捗状況について説明した。

田辺氏の出版祝う会/『大人の少年の夢』

書店新風会顧問、出版評論家として活躍する田辺聰氏のエッセイ集『大人の少年の夢』(秀明出版会)の刊行を記念して「田辺聰氏の出版を祝う会」が10月28日夕、千代田区のグランドアーク半蔵門で開かれた。
発起人代表で上智大学植田康夫教授は「『新風』の連載では田辺さんに迷惑のかけどおし。エッセー集は多様な語り口と滋味あふれる文章で(作家の)血筋は争えない」とあいさつ。
煥乎堂小林二郎相談役、中央経済社山本時男社長、博文館新社大橋一弘社長、講談社浜田博信取締役、小学館相賀昌宏社長らが次々にマルチ出版人、田辺さんにお祝いの言葉を述べたあと、仙台・金港堂藤原直社長の発声で乾杯した。
田辺氏は「出版界は湿りに湿った時代で、何でもいいから花火をと、手だれの仕掛け人が出版記念会を企画したようだ。ようやくほのかな明かりが見えてきたところ。努力してまた元の活力ある出版界にしていきたい」と、お礼の言葉を述べた。

本屋のうちそと

身近に定年組みが多くなってきた。友達の旦那さん、定年でしばらくの間のんびりしたいと、朝も一緒に起きない。結婚して独立した息子たちから「そんなにごろごろしていると早く呆けるぞ」と脅かされ、また働く気になったらしい。
いざ働くとなると働き口がない。最初のうちは職場も吟味して好き嫌いなど言っているが、そのうちには、働き口があればよし、なくて当然。定年組みの働き口はマンションの管理人が多いそうです。
それほど大きくないが高齢者が多いマンション。大きな敷地に三棟建っている。オートロックではないから、いつ知らない人が入ってくるかわからない。働いているという気持ちが楽しいらしい。金の問題でなく、心の支えとして働くのでしょう。
人によってはコミセン(集会場)などの活動にアルバイトに行く人も多く、その中で、パソコン教室、お花の教室と、高齢者が元気に働いている。みんな会社の定年組みです。
昔、定年のころはもう年寄りだった。いまはまだまだ働けるが、嘱託だの別会社の働き口も今は難しいようだ。配達に行くと「商売している人は良いねえ、いつまでも働けて」と言われるが。
昼間の繁華街は高齢者が多い。暇に飽かしてぶらぶら、何を買うでもなく、高齢者の談話室になってしまったところもある。駅前の花壇の周りに腰掛け話し込んでいる。冬場、雀が一本の木に集まるのと同じで、ピーチクパーチク騒がしい。平和なのでしょう。
(とんぼ)