全国書店新聞
             

平成16年11月21日号

ポイント問題要請続く/文春、新潮、児童書版元へ

膠着状態にあるポイントカード問題の早期決着を図るため、日書連は精力的に出版社を訪問。「ポイントカードは値引きで再販契約違反」とする要請行動を、10月4日の筑摩書房を皮切りに続けている。10月下旬から11月中旬にかけては文藝春秋、新潮社や児童書出版社数社を訪問し、早期解決に向けて意思表明してほしいと求めた。訪問した出版社はこれで25社となった。
日書連は第4次要請行動として10月19日、岡嶋成夫再販研究委員長、下向磐理事、白幡義博専務理事、大川哲夫事務局長の4名で文藝春秋(白石勝会長、白川浩司常務、名女川勝彦取締役)、新潮社(木島秀夫営業部長、鈴木藤男宣伝部長)、ポプラ社(小沼保衛常務、岳野保情報システム部長代理)を訪問した。
このうち文藝春秋の白石会長は「日書連が全国書店の怒りを代弁して行動していることを理解する。守るべきは再販。ポイントカードは深く複雑に浸透しており難しい問題だが、手をこまねいていてはいけない」と話した。これに対し、岡嶋委員長は「解決の方法を再販契約主体である出版社、また雑協理事長として考えていただきたい」と要請した。
続いて、同メンバーで10月26日に金の星社(斎藤健司社長、笠原則男販売部副部長、磯貝毅特販部副部長)、11月4日に岩崎書店(岩崎弘明社長)、偕成社(今村正樹社長、井上恭洋専務)、同11日に理論社(下向実社長)を訪問。出版社側から「子どもたちを守るためにも再販制度は必要だ」(岩崎書店)、「再販制度を遵守する立場に変わりはない」(金の星社)等の発言があった。

北海道札幌支部/28書店で中学生はこれを読めフェア

中学生へのおすすめ本を集めた「本屋のおやじのおせっかい中学生はこれを読め!」フェアが札幌と近郊の28書店が参加して10月27日に始まった。北海道書店商業組合札幌支部(久住邦晴支部長)、北海道新聞社主催。北海道アルバイト情報社協賛。札幌市PTA協議会後援。
この企画は7月の札幌支部総会懇親会で、活字離れ対策と店頭活性化を図るために話題にあがり企画されたもの。選書は組合員有志が483点をリストアップ。参加書店がその中から本を選び、特設コーナーを設けるなどしている。
主催者側は宣伝のためPOP、帯、ポスター、チラシ、「本の虫スタンプカード」を準備。本を購入してくれた方にスタンプカードを発行し、スタンプの数によって各種景品がもらえる仕組みを持った本格的な企画。新聞、テレビ、ラジオでも取り上げられて社会的反響も生まれ、店頭での動きも出てきた。
なにわ書房では選書メンバー社員を棚の担当者にして取り組み、『トムは真夜中の庭で』(岩波少年文庫)などが売れている。買ってくれる人は父母の方も多く、お母さんから「息子に薦める本がわかってうれしい」との声も。
ホームページも開設し、選書リスト、参加店を見ることができる。http://www.k2.dion.ne.jp/~sa-shibu/home.html
(松山雄洋広報委員)

読書普及に貢献の3団体/第34回野間読書推進賞を贈呈

地域や職場などで読書普及に尽力し、読書推進運動に貢献した団体、個人を顕彰する「第34回野間読書推進賞」の贈呈式が11月5日午前11時から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、団体の部は「ひこね児童図書研究グループ」(滋賀)、「堺市子ども文庫連絡会」(大阪)、「おはなしひろば・ひまわり」(徳島)、奨励賞として「哲西町立矢神小学校愛育会」(岡山)、「常石読書会」(愛媛)が表彰された。個人の部は該当なし。
贈呈式で読書推進運動協議会の野間佐和子会長は「読書普及の重要性を理解している方々の努力の賜物で、第34回を迎えることができた。本年受賞の方々も各地域で長年にわたり教育、文化の発展を支えてこられた。ここ数年、読書推進運動は拡大している。大きな流れをますます発展させることが大切。価値ある運動にいっそうのお力添えを」とあいさつした。
選考委員を代表して日本図書館協会の栗原均顧問が選考経過を報告。野間会長から各受賞者に賞状、賞牌、副賞が手渡されたあと、文部科学省生涯学習政策局社会教育官の山本裕一氏が「すべての子どもたちがあらゆる場所、機会において読書することができるよう、文部科学省は読書環境整備に引き続き取り組んでいく」と祝辞を述べた。
受賞者あいさつでは「子どもたちと本とをつなぐ架け橋にと願い結成して、25年がたった。今後も読み聞かせを通じて、本の楽しさを広く伝えていきたい」(ひこね児童図書研究グループ)、「堺市のすべての子どもたちに良い読書環境を作ることが活動の中心。心をこめて子どもたちに本を手渡していきたい」(堺市子ども文庫連絡会)、「子どもたちの健やかな成長を願い、22年間、地道に読み聞かせを続けてきた」(おはなしひろば・ひまわり)との発言があり、暖かい拍手を受けていた。

必殺まるす固め

☆帯文を書いたので、紹介するのもうしろ髪をひかれる(こんな時に使う言葉でないけれど)のだが、腰痛に苦しまれている書店さんもおられるのではないかと、おすすめします。
長谷川淳史著『「腰痛」は終わる!』(WAVE出版)は、腰痛は治る!と書いてある。それも、この本を読むだけで。この段階で、あきれてそっぽを向かないでいただきたい。なぜ腰痛になるのか、ホントーの原因を知れば納得いかれると思います。
日本の医者は、腰痛になると、安静に寝ていなさいと言ったりします。いまや、安静を強いるのは日本ぐらいだそうです。牽引も注射もコルセットも体操も、必要ありません。ましてや、手術などとんでもないことなのです。
ご存知でしょうか。ガンの痛みを和らげるモルヒネが腰痛に効かないことを。地球上でもっとも強力な消炎剤のステロイドも腰痛には無力です。患部に炎症が存在しないから効くはずがないのです。
腰痛の原因は他にあります。腰痛の原因は、「不安や恐怖心」です。原因が心の問題ですから注射も薬も効くわけがないのです。
1991年世界の医学界に「現時点でもっとも信頼のおける科学的根拠に基づいて診療する」という概念が誕生してから各国でさまざまな診療ガイドラインが作成されるようになりました。アメリカやイギリスが発表した「腰痛診療ガイドライン」では、「ほとんどの腰痛疾患は物理的・構造的・生物学的損傷ではない。そして、その症状の回復には、安静の排除と不安や恐怖心の除去が重要だ」としています。
アメリカやイギリスでは、腰痛で病院へ行くと治療はしません。する必要がないからです。かわりに小冊子をくれます。これを読んで実行してください、で終わりです。小冊子には安静などしないで、いつもどおりに生活してください、などといったことが書かれているそうです。
世界のある町では、指一本ふれることなく腰痛患者が一人もいなくなっています。このことからして、腰痛に治療を必要としないことがおわかりかと思います。
歩けないほどの痛みが完全に消えた。外に出られなかった地獄の日々から生還した。すべて試してヘトヘトだった自分が治した……。
みなさん、この本で治してます。お試しください。

在庫過多の書店目立つ/書店診断のまとめ報告/山形県

山形県書店商業組合は、県中小企業中央会の後援で「商売繁盛のための10の提案」とした書店コンサルティング事業を7月30日から10月13日まで延べ8日間18店で実施したが、コンサルタントを担当したノセ事務所能勢仁先生から次のようなまとめが報告された。
「8月29日の県組合総会で『成長するための条件』をテーマに講演し、組合員各位に臨店の留意点を理解してもらえたと思う。
経営者には資金繰りを、店長、担当者には商品を中心とした仕入れ、発注、陳列、販売、回転率、催事等について、店内の棚の前でOJTで行った。現場教育は待ったなしである。
臨店目的を経営者以下全員に徹底、売上げを上げるためお邪魔した旨を話す。どうしたら売上を作ることが出来るかの指導である。監督は経営者であり、プレイヤーは店長、担当者である。監督に申し上げたことは、在庫10%減、売上3~5%増である。プレイヤーに言ったことはこの売り場でいくら売る、この催事の販売目標はいくらである。
7月30日から10月13日まで4ヵ月間に15書店を訪問した。臨店して受けた印象を記してみよう。
①雑誌売り場が乱雑な店が多かった、②ムックの陳列期間に悩む店が多かった、③コミックの巻数欠巻が多かった、④実用書のオーダーベスト、定番依存の店が多かった、⑤文庫の各社別の回転率に無頓着で、ミスマッチの商品構成がみられた、⑥教養新書偏重で、ノベルズがお留守の店が多かった、⑦ビジネス書の鮮度管理が出来ていない、⑧辞書のマンネリ陳列が目立ち、日韓、日中辞典の切れが多かった、⑨中途半端な学参売場が見られた、⑩児童書売場はよい店、わるい店の二極分化である、⑪文芸書の充実している店はロングセラーがよく揃えられている、⑫資格試験書は時期対応の出来ている店はお客様を集めていた、⑬地図ガイド「るるぶ」「まっぷる」は売り上げ比率以上に一等地を占有していた。
総体的に在庫過多の店が多い。棚卸し金額を経営者は社員に教え、ジャンル別在庫コントロールをすべきである。在庫意識の教育が必要。店舗管理意識が経営者、店長にない。店内、棚、平台、通路、バックヤードのクリーンネスに配慮して欲しい」
この他、各書店ごとに感想や提案書が届けられ、非常に好評な組合事業であった。(五十嵐靖彦)

秋の叙勲

11月3日に発表された秋の叙勲で岡山県から2名の授章が報告になった。
瑞宝双光章=岡山県・山田次郎(玉野市・山田快進堂)、同・福島悠紀雄(岡山市・福島かねつき堂)

来年も合同新年会/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合は11月4日、トーハン会議室で理事会を開催した。
①新年度の賦課金ランク表を確認し、特級は今後審査する、②読書ノートは大阪、愛知でも取り上げられており、今後も運動を継続していく、③有害図書取締りで神奈川県は条例改正の意向はなく、現条例の徹底をめざすとのこと、④第6回図書館総合展が11月24日~26日、パシフィコ横浜で行われる、⑤文教堂が相模原と大船、有隣堂が小田原駅ビルに各2百坪で出店するため支部で対応する。横浜市都筑区に1万2千坪の大型SC計画があり、くまざわ書店の名前があるため、支部で調査する、⑥来年は1月14日に合同新年会を中華街・華正楼で行う。
理事会後、平成17年の完全カード化について日本図書普及の説明会が行われた。(平井弘一広報委員)

石川組合三者懇20年振りに開催

石川県書店商業組合(森井清城理事長)は11月8日午後2時半から片山津温泉「佳水郷」で20年ぶりになる出版・取次・小売三者の合同懇談会を開催。組合員20数名と出版社、取次10数名の出席で盛り上がった。
懇談会に先立ち開かれた臨時総会では、賦課金見直しの要望のもと、一律2万円だった賦課金を、1万6千円から2万5千円までの店舗面積による5段階ランク制にすることを決めた。
懇談会は西川理事の司会の下、雑誌発売日では首都圏と同一発売の切実な要望が出された。万引き問題では「小売だけの一方的被害だ」という書店の発言に、「出版社も部数減、コスト高で頭を痛めている」とするやりとりがあり、山守理事が「三者がお互いの痛みを感じあえる業界にしていこう」とまとめた。午後6時半からは懇親会で盛り上がった。(横野浩広報委員)

万引防止ポスター大阪組合を製作へ

大阪府書店商業組合は11月6日、組合事務所で理事会を開催。冒頭に水害・地震等の被災書店に対し義援活動を行うとし、具体案をたてることとした。
出版販売倫理では大阪府警が万引きは店外へ出て初めて犯罪行為が発生するとしている。カバンに商品を入れるなどの不審行為に声をかけ易くするためポスター作製を委員会で検討することにした。
読書推進では「本の帯・創作コンクール」課題図書選定を学校図書館協議会の先生9人に依頼した。年内に支部会を通して説明に行く。事業活動では12月3日発売の小学館『世界の国ぐに探検大図鑑』申込みは目標3千部が現在2千部近く、『名探偵コナン世界地図カレンダー』は4万6千枚受注した。
会議に先だちポプラ社販売部山中彩氏が、音の出る絵本、かるた、トランプ、キャラクター商品と、年末クリスマスの展開について説明。これから児童書が一番売れる時期なので、大阪組合も全面的に販売協力する。(坂口昇広報委員)

筑後支部が万引防止で街頭キャンペーン

福岡組合筑後支部は10月27日午後4時から西鉄バスターミナルで万引防止キャンペーンを行った。
江藤守國久留米市長はじめ県議2名、市議20名、県警少年課、久留米署課長、補導員、久留米市青少年育成市民会議など50名と、県組合から山口理事長以下20名が参加。10箇所に分かれ、そろいのジャンバー、たすきで下校時の高校生らにチラシとティッシュペーパー1500部を配布した。(鹿子島慶正広報委員)

「声」/図書カードは絵柄を統一して/門真市・ブックスサトウ・佐藤明司

来秋から、全国的に図書カードのみを販売するようになるとのこと。図書券引き受け時の釣銭のわずらわしさがなくなり、私はカード化は好ましいことと考えています。ただ、今の図書カードのように絵柄が多いのは余計なことです。
テレホンカードは絵柄が多いけれども金種は少ないです。1枚のカードを繰り返し使うので絵柄に愛着を持ち、コレクションすることもあるようです。しかし、コレクションも現在はどれほど行われているのでしょうか。図書カードは1枚を1回から3、4回程度で使い切ってしまうので、それほど絵柄にこだわりはないでしょう。
今春、人気キャラクターの絵柄の図書カードを販売しましたが、お客様の反応は今ひとつでした。図書カードは買った人が誰かに贈るため、絵柄についてのこだわりは少ないのです。
図書カードの絵柄が多いのは、お客様の要望があるからとも言われています。しかし、始めからいくつもの絵柄を揃えて選んでもらうから、お客様も特定の絵柄にこだわるのです。絵柄が始めから1つだけであれば、こだわりはなくなります。現に図書券はずっと1つの絵柄でやってきて、特に不都合があったわけではないでしょう。
ただでさえ金種が多いのに、さらに絵柄が多いと、カードの種類が増え、管理が煩雑になります。在庫の資金も、図書券に比べて大きく増えます。これらの障害をあえて克服してまで、図書カードの絵柄を多くする値打ちはありません。図書カードは1つの絵柄で統一していただきたいと思います。

「声」/多様なニーズに応え売上5割増/松原市・文潮堂書店・勝田冨士夫

わが店の10月中旬からの売上げは、前年同月比5割増である。その理由は、次のものである。
①雑誌の在庫を4倍にした。
②スポーツ新聞を置いた。
③株札・花札を復活させて置いた。
④お客さんから注文をいただいたら、すぐ納品するようにした。
⑤1冊でも、配達するようにした。
⑥朝、運送会社から雑誌が届いたら、すぐ配達するようにした。
これらの理由をよくよく考えてみると、当たり前のことだ。わかり切ったことを、これまでやらないでいた訳である。ガソリン代がかかってもよい。とにかくお客さんのニーズに応えるのが先決である。極論すれば、最初損をしてもよいのだ。他の書店がやらないことをやっていく。利益は後回しである。
日本人は、ヨーロッパ流の個人主義に突入している。そんな多様性に応えたいと思う。

懸賞論文入選作「小書店は雑誌の配本が命」船橋市・次郎書店・斉藤雪子

必要以上に出店しすぎた書店の淘汰が、坂道を転げ落ちる勢いで始まっている現状を、明日は我が身の心境で見守っている今日この頃です。
私は現在60歳。前の書店を含めると現在書店歴27年になります。22年前に、郊外の15坪程の店を社長と2人で開店させました。近くに同じ規模の書店が2軒あり、開店当初より競争の毎日でした。
世の中の景気は良く、世はまさにコミック時代。キン肉マンの仕入れに取次の玄関に朝早くから並びました。大手の出版社の、ホテルを借りての説明会。面白い程に予約が取れて、企画本が次から次へと売れました。
その内、外売に一生懸命力を入れ頑張っていた近所の書店が身体を壊して閉店しました。間もなく5百㍍先の大型スーパーに並んで、大型書店が参入。これを機会に客数が減っていく毎日でした。バブルが弾け、消費が落ち込み、店を借りて経営している商店街の仲間が持ちこたえられなくて閉店を余儀なくされていきました。当店も青息吐息の状態で、何度も店を閉じる夢を見ました。
身体を壊し、半年間店を休みました。その間社長が1人で何とか頑張ってくれました。仕事に復帰してからも、お客の数が日に日に減っていき、店番をしていて1時間も2時間も1人も入店してこない日もありました。
時折立ち寄る大型書店の本の多さに圧倒され、同じ業種でありながら、こうまで品揃えが違うのかとめげることもありました。
それでも固定客や友達が、他で見てきては本を注文してくれ、日々訪れてくれる馴染みのお客さんに支えられて、何とか今日まで生きのびてきました。
先月、同じ商店街で競争してきたもう1軒の書店が突然閉店しました。地域にも貢献し、年に数える程の休みしか取らずに頑張ってきたのにショックでした。
取次に事情を話し、急遽雑誌の送りを当面増やしてもらえるよう交渉しました。日に日に雑誌の種類と冊数が増え、客数が増え、定期購読数が増え、お店の本来の活気が戻ってきました。
開店当初より感じていましたが、全国書店新聞の1500号記念の論文で訴えたいことがあります。それは、取次の配本についての疑問です。書籍、文庫、コミックの売れ行きが低迷している今日、特殊な雑誌以外はせめて最低1冊は配本してもらえないでしょうか。売れないから送りが少なくなっていくのか。送りがないから売れる本も売れないのか。本がなければ店頭の接客にいくら笑顔で対応しても限界があります。
私どものような小さな書店が、細々でも生き残っていくには、雑誌の配本数と、客注品の速やかな送りが命なのです。
本が好きで、お客さんが好きで、日々汗にまみれて働いている日常を、どうぞ、コンピュータ上のデータだけで判断しないでください。取次の努力と協力を願ってやみません。

「声」/『ハリポタ』の返品受入れを/杉並区・文彰堂書店・能一彦

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』が発売になった。不況に悩む書店にとって干天の慈雨ともいえる大型ベストセラー小説として、買切制度は十分理解していたが、かなりの量を仕入れて売上げアップを図った書店も多い。第4巻発売の時は初版が不足気味で仕入れるのに苦労した記憶があり、各書店も在庫が不足するのを恐れて多少の余裕を持って仕入れたのかもしれない。
しかし蓋を開けてみると、その売行きは必ずしも予期した通りに行かず、文藝春秋や週刊朝日が報じている通り大失速となった。このため長期にわたって、店頭に積み上げるわけにもいかず、倉庫に在庫せざるを得なくなっている書店も多いのではないか。このまま推移すれば、倉庫にある在庫品は、遂には不良在庫となって書店経営を苦しめるのではないか。
そこで静山社松岡社長にお願いしたい。本商品は委託制ではなく、買切制であるが、例えば仕入れ価格からある割合を割り引いてでも返品を受け入れていただけないだろうか。キャベツなどの農作物でも、豊作が過ぎて価格が暴落した場合破棄処分にしている。書籍でも作りすぎてしまった場合、調整が必要なのではないか。ハリポタでは書店も取次も版元も今まで利益を頂戴しているのである。三方一両損の譬えもある。この際三者がある程度涙を飲んで不良在庫の一掃を期すのが正解ではないか。松岡社長のご英断をお願いしたい。

いろは歌留多100種を展示

岩波書店は『岩波いろはカルタ辞典』(時田昌瑞著、定価2940円)の刊行を記念して11月10日から17日まで神田神保町の岩波書店一ツ橋ビル1Fホールで開催した。
江戸末期、上方から起こり全国に広まったカルタは義太夫、愛国、花嫁、幼稚園、南極大陸、寅さんと多岐にわたり、時代風俗と息吹を伝える貴重なコレクション4百種の中から100余点を展示。

売上げ231億円、株式公開も視野に/三洋堂書店

三洋堂書店は11月12日、8月末締め第27期決算を発表した。売上高は前年比9・7%増の231億4100万円、経常利益も169・1%増の8億9300万円となり、過去最高の増収増益。前期9店、今期7店の大型複合店が売上げに貢献した。既存店ベースの売上増加率は2・1%。店舗数は前期から7店増加、小型専業書店1店を撤退したため、期末現在75店舗。
内訳は書店155億4600万円(67・1%増)、文具9億4100万円(4・1%増)、レンタル38億6700万円(16・7%増)、セルCD26億4600万円(11・4%増)、リサイクル1億400万円(0・5%増)。複合比率が徐々に高まっている。
12日に記者発表を行った加藤和裕社長は「2000年7月に先代社長が亡くなり、社長を継いだ。今期で新しい会社のベースが整ったと思う。将来に備え、来期は決算期を変更。3月末決算にする」と述べた。4年後には売上げ300億円、株式公開もある時期に視野に入れているという。

人事

◇中央社次期社長に土屋博向氏
中央社顧問に11月1日付
でトーハン元取締役、トーハン・メディア・ウェイブ社長だった土屋博向(ひろのり)氏が就任した。来年2月予定する臨時株主総会で取締役に就任後、経営トップに就任の予定。
土屋氏は長野県出身、昭和16年生まれ63歳。昭和35年に東京出版販売入社後、特販第3部長、中部支社長、九州支社長、近畿支
社長を歴任。平成15年からトーハン・メディア・ウェイブ社長。
◇ブティック社
(○新任)
代表取締役志村司郎
代表取締役会長
○志村昌也
代表取締役社長
○内藤朗
取締役(編集担当)
○志村悟
同(販売部部長)
○楢原和人
同志村和子
監査役○和賀三津男
◇トーハン
〔役員人事〕
企画推進部長兼任
上席執行役員阿部好美
〔人事異動〕
企画推進部GM(営業本部M)岩田新治
同部GM(書籍部M)関口晴生
解休職、命開発営業部長(休職・DPS出向)
鈴木仁
開発営業部GM(同首都圏営業部担当)宮澤達
同部GM(開発営業部長)
関川立男
同部GM(同首都圏営業部担当)豊田広宣
同部GM(特販第3部長)
石川二三久
特販第3部長(書籍MD部長)貝沼安則
任職員、命休職DPS出向
(SCM推進本部GM)
佐藤俊之
解休職、命桶川計画推進室SM(休職他社出向)
嗔木荘一郎
解休職、命営業本部SM(休職TCS出向)
大槻一雄

メディアワークス電撃3大賞贈呈式

メディアワークスの「電撃3大賞」贈呈式が11月9日、東京・九段下のホテルグランドパレスで行われた。小説、イラスト、コミック各賞応募3316作品から、電撃小説大賞の七飯宏隆氏『少女禁猟区・世界で最後の1人+8』、電撃イラスト大賞の池田陽介氏など12作品が入賞した。
贈呈式で佐藤辰男社長は「電撃文庫は11年で1000タイトル、年間150点、1000万部近い部数が出ている。ヤングアダルト小説が活況を呈する一翼を担えた。受賞した皆さんの活躍を期待している」とあいさつ。コミック部門の永井豪氏は「歴史を重ね、これから出る人はハードルが高くなっている。挑戦しないと21世紀を担うコミックは誕生しない。先人に追従せず自分なりの新しい作品を作って」と激励した。
コミック部門は『電撃コミックグランプリ』として独立。今年から年2回募集する。これにより「電撃3大賞」は第12回から「電撃大賞」に改称、『電撃小説大賞』『電撃イラスト大賞』2部門となる。

日販、葛西に千坪の首都圏店売

日販は来年2月、江戸川区西葛西に業界最大規模、千坪の新店売を開設する。これにより水道橋の首都圏店売は閉鎖する。
新店売を開設するのは「西葛西3丁目ビル」の4階と5階で、1フロア500坪。在庫は現在の45万冊から60万冊に拡充される。主要児童書版元の在庫全点を揃え、教育書、人文書、法経書など学校図書館向け商品の充実を図る。
現行の首都圏店売の閉鎖に伴い、水道橋にあった特販3部、東京支店、甲信支店は本社ビルに移転。お茶の水商事も神田小川町の自社ビルに移る。

Dr.コパの風水大開運/12月7日に誕生月別ムック12冊/日本文芸社

日本文芸社は12月7日に「にちぶんDrコパムック」として『誕生月でわかるDrコパの風水大開運』12点を刊行する。新書判116頁、4色16頁、2色96頁、定価550円。
1月生れ、2月生れなど誕生月別に2005年の本命星別風水がわかるのがミソ。各月ごとにラッキーカラー、アイテム、ファッション、方位を風水で占い、2005年を幸せに導く。月別に12点各8冊の入った書店専用面陳用ラックを用意し、セット価格は5万2800円。
11日に行われた記者説明会で同社西沢社長は「春先は順調だったが、夏以降は業界同様に雑誌部門が厳しい。雑誌本部で新しい企画を考える中でDrコパにお願いした。実は20年前先生の持ち込んだ原稿を断っており、リベンジのつもりで引き受けようと言ってくれた」と出版に至った経緯を説明した。
販売対象は20代から40代の女性で、全国紙はじめ交通機関は東京メトロ全線、JR、大阪地下鉄などに中吊りを予定。1点平均12万

本屋のうちそと

いよいよ第6師団を中核とする自衛隊の第4次
イラク復興支援隊第1陣がサマワ入りした。総勢5百人の内、市内の駐屯地から330人が参加する。当然顔見知りの隊員もかなり含まれている。
隊内で出発式が行われた11月13日、上空には朝から県警のヘリコプターが旋回し、周辺の道路には警備のパトカーがひっきりなしに走り回っていた。右翼の街宣車も20数台押しかけ、近くの公園では派遣反対の集会が開かれた。それらを取り締まるために5百人の機動隊が投入され、人口1万人足らずの小さな町は、終日物々しい空気に包まれた。
いまさら書くまでもないことだが、米国がイラク侵略の大義とした大量破壊兵器の存在が自らの調査で否定された今、日本がイラクに行く大義は何か。論拠を失った評論家は、米国の言うことをきかない不利益を言い立てる。「国益」のために行かなければならないのだと言う。これって「お国のために」と国民を戦争に駆り立てた60年前の蒸し返しではないのか。
「サマワは安全」ということで、派遣隊員のほとんどが志願者。選ばれた誇りもあり昇格にもつながるという。ますます悪化するイラク情勢への不安を、見送る家族の涙が代弁する。
店の前を30人足らずのデモ隊が通り過ぎる。沿道で見守る市民はみな無表情だ。彼らの目にはどう映っているのだろうか。圧倒的無関心の中で日本は大きく変ろうとしている。と書いているお前はいったいどうなんだい。(どんこ水)

洋販、2期連続の増益決算

洋販はこのほど第51期(平成16年8月期)の決算を発表。売上高は48億3648万円、売上総利益17億5090万円、営業利益2億7359万円、経常利益1億595万円、当期利益9934万円の増収増益となった。
タトル商会と日本洋書販売配給が合併して日本洋書販売になったのが昨年6月。合併前、49期(平成14年9月期)時点の4期連続赤字から、財務、営業体質の大幅な変革により2期連続の増益となった。
賀川社長は「今後、洋販独自の商品開発と価格、流通、営業面でサービス向上に取り組む。今回経営ラインに加えた青山ブックセンターの再生で、洋販グループのシナジー効果を創造したい」とコメントした。