全国書店新聞
             

平成22年7月1日号

日書連総会の主な報告事項

〔取引改善〕
送品・返品同日精算問題については、トーハン、日販の取り組みに進展が見られないことから、送品締め日と返品入帳日の開きを段階的に縮めていく形で決着を求めていく方向で粘り強く交渉を続ける方針を確認するとともに、返品入帳の現状を把握するため全国規模の実態調査を実施。16組合から回答があった。この結果、未入帳率は平均20~30%。各地域とも24日までの到着分は入帳されていることがわかった。柴﨑委員長は「書店は疲弊しており、キャッシュフローを考えると大きな問題。早期解決を図りたい」と意欲を示した。
出版業界用語統一問題の新刊委託をめぐる議論では、「出版社―取次間の新刊委託期間は6ヵ月あり、6ヵ月後の支払いだが、取次―書店間は3ヵ月の返品期間があっても、送品と同時に請求が立っており、委託とは言えない。これが早期返品につながっている」と問題点を指摘した。
〔指導教育〕
万引き対策では、昨年5月13日付で警察庁長官、警視総監に文書で「万引き受理手続きの簡素化のお願い」を送付。また、同12月に警視庁で「東京万引き防止官民合同会議」の第1回会合が書店組合も参加して開かれた。店頭での万引き対策では、全国古書籍商組合連合会、リサイクルブックストア協議会と3者合同で「万引き撲滅キャンペーン」の統一ステッカーを作成、全加盟店に配布した。返品運賃の実態を調べるため、昨年3月に実施した「返品運賃に関する調査」の結果がまとまった。「あなたの都道府県では返品運賃を負担していますか」の問いには、①全地域が負担している―38組合、②全地域が負担していない―2組合、③負担している地域、していない地域が混在している―6組合となり、「全地域が負担していない」(東京、大阪)を除くほぼすべての地域で返品運賃を負担していることが明らかになった。
新年度の計画では①電子書籍端末の開発・販売が相次ぐ中、ウェブ時代の書店環境、販売チャンネルを研究するため研修会を実施する、②児童ポルノ問題については、整然とした自主規制の下、規制強化の立法化が行われないよう注視する、③万引き防止対策のためICタグ実用化に向けて研究を進める――と鈴木委員長が説明した。
〔情報化推進〕
店頭コミック試し読みシステム「ためほんくん」は今年3月末日で5カ月間の実証実験を終了。試し読みされた作品は売上が伸びることがわかった。これを受け4月1日から9月末日までをプレ稼働期間に設定。運営体制の整備、参加出版社の拡大、端末台数の増加促進などの課題について検討し、本稼働につなげる。
また、書店が図書館から選書のアドバイスを求められたときに材料となるツールが存在しないという問題を解決するため、全国中小企業団体中央会の平成21年度組合等情報ネットワークシステム等開発事業補助金の交付を受けて、公共および学校図書館向けのネット選書システム「選書ツール」を完成させた。今後は組合員対象の研修会開催など、普及に向けたPR活動を展開する。
日書連MARCのユーザー数は全国で約3千校に達しており、山形、福島・郡山市、東京・江東区、愛知、大阪、福岡などの導入事例が紹介された。
〔流通改善〕
出版社が行う雑誌の特典付き直接販売について、藤原委員長は「近年、多くの書店より不満の声が高まっている。書店の売上が低迷している中、固定客を奪われかねない問題」と指摘し、直接定期購読と書店定期購読におけるインセンティブの同一条件徹底を要請する文書を出版社9社に提出したと報告した。
雑誌発売日励行問題では、全国同時発売の実現に向けて北海道・九州3日目地区の繰り上げなど、本部委員会に粘り強く改善を求めていくと藤原委員長が説明した。沖縄については、首都圏基準で月曜日発売の週刊誌8誌の同県への送品日付が今年4月1日から従来より1日繰り上がった。
〔再販〕
再販違反事例と思われる事例が多発し、ポイントカードやクーポン券を使った大幅な値引きが目立ってきたことから、昨年9月に書協を訪問して「再販契約を結ぶ意義再確認のお願い」と題する要望書を手渡したと岡嶋委員長が報告した。
電子書籍市場が急速に拡大する中、デジタルコンテンツの価格が問題となっている。公取委は再販制度の対象となる著作物の範囲を書籍・雑誌、新聞及びレコード盤・音楽用テープ・音楽用CDの6品目に限定し、電子出版物は再販の対象外となっている。岡嶋委員長は「電子出版問題全般にわたって議論を深めたい」と述べた。
〔読書推進〕
増売委員会が中心になって開催してきた「世界本の日サン・ジョルディの日」キャンペーンだが、今年から読書推進委員会が実施主体となった。「サン・ジョルディの日PR企画推進」の募集については、今年は「国民読書年推進企画」として募集。独自企画を提出した27組合に総額998万円の補助金を支給したと西村委員長が報告した。ユニークな企画として北海道の「高校生はこれを読め!」、青森の「青森県の読者大賞」、新潟の「にいがた文学検定」を紹介した。
このほか国民読書年記念事業として、JPICと協賛で地元書店が成人式に新成人へ本を贈る運動「20歳の20冊」を実施。茨城・大子町、千葉・袖ヶ浦市、鳥取・吉津村、島根・東出雲町の4自治体の書店が新成人1060名に884冊を贈った。
〔増売〕
サン・ジョルディの日キャンペーンについて舩坂委員長は、協賛金減額を受けて昨年3月いっぱいで実行委員会を解散し、、昨年4月6日に清算を完了したことを舩坂委員長が説明した。
児童書増売運動「心にのこる子どもの本セール」の出品条件を今秋以降、6ヵ月長期委託から7ヵ月長期委託に変更する。舩坂委員長は「新刊セール商品が返品される4月中旬から夏休みセール商品が店頭に並ぶ6月中旬まで1ヵ月半以上、店頭の棚が空いていたが、今後はブランクがなくなる。増売につなげてほしい」と述べた。
〔組織〕
今年度も組合員の減少に歯止めをかけるべく取り組みを行ったが、日書連傘下組合員数は前年より315店(5・7%)減って5187店になったと中山委員長が報告した。
1月に実施した組合加入メリットに関するアンケート調査は35組合から回答があり、「返品運賃が安い」が38%でトップ。以下、「公立・学校図書館の納入組合に加入しやすい」「独自の商品券が扱える」「入札に組合加入が要求されている」「教育関係者に助成金が出され、組合加入店で利用できる」など。
〔消費税〕
菅首相が「消費税を10%へ引き上げることを検討する」と表明した。面屋委員長は「消費税が5%に引き上げられた平成9年以降、出版販売金額は減少を続けている。消費税率引き上げが出版界にダメージを与えていることは明白。出版4団体と新聞業界で税率引き上げ反対と軽減税率を求めている」と説明。「デフレ化で消費税率を引き上げるな」と主張する、『デフレと円高の何が「悪」か』の著者・上念司氏を講師に招き研修会を開催したい考えを示した。
〔広報〕
面屋委員長は「組合組織が縮小傾向にある今、広報の役割はますます重要になっている」として、昨年1年間の重点課題として「元気な中小書店の取材を重点的にやってきた」と説明。4月から全国書店新聞の編集部が3人体制から2人体制になったこと、刊行形態が月3回刊から月2回刊に変更になったことを報告した。
〔共同購買・福利厚生〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター」の来年版は今年より1万5千部少ない7万5千部発行すると中山委員長が報告した。
読者が書店店頭でフェリカ端末に携帯電話をかざすと広告主のサイトに誘導する仕組みの書店ポータルサイト「タッチホン」の提案がブルーオーシャンセンターからあり、今年3月に業務提携覚書を交わした。フェリカ1台当たり、書店には年間3万6千円の設置料、日書連には年間6千円の手数料が支払われる。
〔財産運用〕
日書連共済会残余財産は昨年8月31日をもって正式に日書連に帰属した。残余財産確定金額は5億3446万4715円。活用法として検討中の「書店会館並びに不動産取得」について、木野村委員長は①日書連決算に基づく税金の問題、②資産として残す時の課税の問題、③購入後のビル活用問題、④出版共同ビル構想の動向などを総合的に判断して結論を出したいとした。
〔年末懇親会〕
本年度も各種委員会当日の12月16日午後6時から帝国ホテルで開催予定。

東北ブロック大会/15日に青森・三沢で

第62回書店東北ブロック大会が7月15日、16日の両日、青森県三沢市の古牧温泉青森屋で開かれる。大会事務局は青森県書店商業組合が務める。15日は午前11時から出版社、取次、書店の交流と商談の場が設けられ、午後2時からの開会式では日書連大橋会長が講和。午後3時半から木村秋則氏を講師に文化講演会。午後7時に大懇親会。翌16日はゴルフと観光。

中小書店の経営環境改善/日書連通常総会

日書連は6月24日午前11時から東京・飯田橋のホテルメトロポリタン・エドモントで第22回通常総会を開催。書籍・雑誌の販売金額が2兆円割れとなるなど出版業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、送品・返品同日精算および業界用語統一の実現、万引き防止と青少年健全育成の環境整備、読書推進と活字文化の振興など今年度の重点的取り組みを決めた。
通常総会は理事49名(委任状含む)と常任委員、オブザーバーなど合計109名が出席して開催。東浦澄夫理事(山梨)の司会、鈴木喜重副会長の開会の辞で始まり、大橋信夫会長があいさつした。
大橋会長は「経済環境が厳しい中で、日書連は全国47都道府県組合を会員とする連合体として、経産省、公取委、全国中小企業団体中央会の指導の下、中小書店の経営環境改善を図ってきた」と切り出し、この1年に日書連が重点的に取り組んだ運動を説明。
取引問題については送品・返品同日精算、出版業界用語の統一をあげ、「書店―取次間の決済方法は委託商品にもかかわらず返品条件付き買い切りになっている」と問題点を指摘。「月末一律返品入帳が不可能ならば、返品入帳締日までの送品分を請求するようにしてほしい」と述べ、早期実現に向けて要請行動を続けると意欲を示した。
万引き防止への取り組みでは、全国古書籍商組合連合会、リサイクルブックストア協議会と3者共同で統一ステッカーを作成するとともに、「青少年の万引き撲滅キャンペーン」の声明を発表したと報告した。
電子書籍については「デジタルは競争相手ではなく、本を売るための武器と発想を転換すべき。有効な活用方法を考えたい」との考えを示した(会長あいさつ要旨4面)。
議案審議は平柿宗敏理事(滋賀)を議長に選び、第1号議案の平成21年度事業報告、第3号議案の22年度事業計画案は各委員長が一括して報告・提案。質疑応答のあと、事業報告と事業計画案を拍手で承認した。
第2号議案の平成21年度収支決算報告と第4号議案の22年度収支予算案は大橋会長が説明し、収支決算報告では日書連共済会の残余財産5億3446万4715円を特別利益として計上。監査報告のあと、原案通り承認された。第5号議案の借入金最高限度額は1億円とすること、第6号議案の役員選任に関する件は、昨年の総会以降に理事交代のあった新理事として五藤栄一郎(高知)、櫻井晃二(奈良)、丸田茂(富山)、井上喜之(兵庫)、光永和史(愛媛)の5氏を承認。第7号議案では、員外役員報酬限度総額を1500万円とすることを大橋会長が提案し、承認された。

井門副会長が退任/顧問に就任

日書連は6月23日の定例理事会で井門照雄筆頭副会長の退任と顧問就任を承認した。情報化推進委員長と図書館サポート委員長は引き続き務める。なお、後任副会長は当面空席とし、副会長7名体制で組織運営にあたる。

電子書籍の調査研究、重点課題に/沖縄総会

沖縄県書店商業組合は5月24日、那覇地域職業訓練センターで第22回通常総会を開催し、組合員37名(委任状含む)が出席した。
総会は大湾喜代一事務局長の司会で進行し、小橋川篤夫理事長があいさつ。本年度の重点施策として「雑誌・書籍の発売日短縮に向けての更なる改善」「図書館納入対策の組合での取り組み強化」「電子書籍に関する調査研究」を3つの大きな柱として活動していくことを提案した。
小橋川理事長を議長に選任。第1号議案から第6号議案を審議し、いずれも原案通り承認可決した。任期満了に伴う役員改選では小橋川理事長、真栄城、大城両副理事長、安仁屋専務理事を再選した。最後に大城行治副理事長のあいさつで閉会した。
(安仁屋博一広報委員)

日帰りバス旅行満喫/京都組合

京都府書店商業組合は4月25日に「春の日帰りバス旅行」を行い、組合員103名が参加した。
京都駅前を午前8時半に出発した一行は、滋賀県日野町の「滋賀農業公園ブルーメの丘」へ。参加者は羊の放牧場や各種アミューズメント、パンやソーセージなどの加工工房などを見学、園内を約1時間散策し出発。途中、胡麻の資料館を見学した後、昼食は飛騨牛をはじめとする三大銘柄牛を食べ比べ、新緑の風薫る山間の水面を眺めながら山海の味覚を堪能した。
最終目的地の三重県長島町「ナガシマリゾート」は、遊園地やホテルなどの総合レジャー施設。なかでも注目なのは西日本最大級のアウトレットパーク「ジャズドリーム長島」で、専門店およそ180店舗が立ち並ぶ巨大ショッピングモール。参加者はお目当てのショップを見て回った。また、同じテーマパーク内にある温泉で旅の疲れを癒す参加者もいた。京都には午後7時に帰着した。
今回は京都組合で初となる、春に企画したバス旅行。書店業を営む者同士が同じ時間を共有し盛況となった。(澤田直哉広報委員)

支部再編、14→8支部に/電子書籍の勉強会開催/京都総会

京都府書店商業組合は5月26日、京都市中京区の京都ホテルオークラで第26回通常総会を開催。組合員105名(委任状含む)が出席した。
挨拶に立った中村晃造理事長は「電子書籍の話題がメディアを賑わしているが、書店、取次、出版社は業界の行く末を計りかねているのが現状。あらゆる情報を収集し、的確な情報を提供するとともに、今後も書店業が安定して継続できる道を探っていきたい」と述べた。
議長に中川勝利氏(ブックジョイ)、副議長に宮奥賢治氏(みやおく書店)を選出し議案審議。平成21年度事業報告と決算報告、平成22年度事業計画案と予算案など全ての議案を原案通り承認可決した。中村理事長は平成22年度は例年並みの収益が見込まれることから、電子書籍の勉強会を開催するほか、組合員参加の食事会や旅行などの福利厚生事業を充実させたいとの考えを示した。
組織情報委員会からは、堀江幸雄委員長(ブックスランボー)が「組合員減少対策として支部再編を検討するため設置した特別委員会で、組合員へのアンケートを実施するなどして約1年間検討を重ねた結果、現行14支部から8支部とする再編案が5月12日開催の理事会で正式決議された」と経過報告。新支部の発足は来年平成23年4月1日。
総会終了後、京都組合のマスコットキャラクター「ブックン」着ぐるみ完成のお披露目が行われた。引き続き、京都組合の「役員・従業員表彰」「小学一年生飾り付けコンクール表彰」、京都新聞社の「第39回京都新聞お話を絵にするコンクール販売促進キャンペーン表彰」、小学館の「学年誌定期・関連商品獲得コンクール表彰」が行われ、ブックンも祝福のパフォーマンスで会場に花を添えた。(澤田直哉広報委員)

電子書籍への関わり模索/群馬総会

群馬県書店商業組合は5月24日、前橋問屋センター会館で第23回通常総会を開き、組合員47名(委任状含む)が出席した。
総会は中村副理事長の開会の辞で始まり、大澤理事長が挨拶。議長に竹内理事(シロキヤ書店)を指名し議案審議に入り、平成21年度事業報告・決算報告、22年度事業計画案・予算案などを審議し、すべての議案を原案通り承認可決した。
役員改選では大澤理事長、高塚、中村、小林副理事長がそれぞれ再任された。
あいさつした大澤理事長は最近業界で話題になっている電子書籍を「黒船の襲来の如し」として、「我々書店もこれにいかに関われるか模索していきたい」と述べた。また、高崎市でのナショナルチェーン大型店のオープンに触れ、「各書店厳しいだろうが、組合活性化のために一段とご協力を」と述べた。
小林副理事長の閉会の辞で総会を終了した。
〔群馬組合役員〕▽理事長=大澤孝輝(天華堂)▽副理事長=高塚茂(正林堂)中村光雄(ナカムラヤ)小林卓郎(煥乎堂)(鹿沼中広報委員)

紙と電子の棲み分け注視/埼玉総会

埼玉県書店商業組合は5月29日、さいたま市の埼玉書籍で第26回通常総会を開き、組合員107名(委任状含む)が出席した。
総会は山口洋事務局長の司会で進行、小野太一郎副理事長の開会の辞に続いて水野兼太郎理事長があいさつ。止まらない組合員減少、iPad発売など厳しい商環境に触れ、「今後、紙の書籍と電子書籍の棲み分けがどう進むか」など様々な問題を指摘した。
続いて野沢恒雄常任理事を議長に議案審議。平成21年度事業報告、収支決算、平成22年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
また、教育情報事業の一つとして、本年度も日書連選定「心にのこる子どもの本夏休みセール」目録、埼玉県学校図書館協議会選定「夏休みすいせん図書」目録等を各学校、チラシを全児童・生徒に配布したことが報告された。
引き続き出版物小売業公正取引協議会平成21年度埼玉県支部総会が行われ、平成21年度事業報告、収支決算、平成22年度事業計画案、収支予算案を承認可決。このあと川島孝文副理事長の閉会の辞で総会を終了した。(石川昭広報委員)

地場産品発掘とコラボ/電子対応の新ビジネス必要/青森総会

青森県書店商業組合は5月13日、青森市のアラスカ会館で通常総会を開いた。
あいさつに立った鶴谷理事長は「電子書籍の攻勢で『出版社から直接読者へ』という情報の流れが出来、業界は中抜きが進みかねない。新しいステージで新しいビジネスの開発が必要とされている」との考えを示した。そして、取引改善と流通改善を取り組むべき課題に掲げ、「返品入帳問題を解決するため努力を続ける。商材開発として地元産品の研究、共同購入を今年度も進める」と話した。
平成21年度事業報告では、読書推進について2度の講演会、研修会として児童書作家による講演、東京都書店商業組合から講師を呼んで電子システムの勉強会を開催した。また「世界本の日サン・ジョルディの日」を記念して期間中に図書カード購入者へ書店くじを進呈した。
平成22年度事業計画として①青森県磁場産品の発掘とコラボ②国民読書年などの読書活動支援③委員会・部会活動の活発化④学校図書館情報化推進事業⑤万引き防止事業⑥ブックフェア・新販売システムの実施⑦組合員の増強⑧主管組合として東北ブロック大会挙行の取り組み⑨公共図書館への指定管理者制度導入の民間委託対策事業――を決議した。
役員改選では新理事に新戸部八州男(弘前市・テクラ・メディアイン)、藤村勇吉(六戸町・スノヤ書店)2氏を選任し、広報委員長は伊藤篤氏(八戸市・伊吉書院)に決定した。(伊藤篤広報委員)

中古本併売のガイドライン発表/JPO総会

日本出版インフラセンター(JPO)は6月17日午後2時から書協会議室で平成22年度定時総会を開催。
平成21年度活動報告、決算・監査報告、平成22年度活動計画、予算などすべての議案を原案通り承認可決した。
このうち中古図書販売研究委員会の報告では、「新刊書店が中古本を併売するに当たっての販売ガイドライン」を発表、広く普及を図るとした。この中では「不正返品」について、中古本を新本の仕入取引先へ返品することであり、詐欺罪に相当する犯罪であると定義。そして、不正返品防止のために書籍JANコードを判読できなくすること、中古本を販売する場所では看板等で「中古本」と表記すること、すべての買取りについて本人確認を行うことなどを盛り込んだ。
商品基本情報センターの報告では、近刊情報を充実させ新刊受注活動を強化したいというニーズが高まっていることから、データ項目やフォーマット、送信手段等の標準化を図ることを目標に、「近刊情報EDI標準化推進ワーキンググループ」を設けて検討。出版社から近刊情報を集めて書店や取次に配信する「近刊情報集配信センター(仮称)」を設置する構想を発表した。これについては、7月2日に公聴会を書協で開いて広く意見を聞く方針。

大橋会長の総会あいさつ(要旨)

経済環境は御存知の通りたいへん厳しい。その中で日書連は47都道府県書店組合の連合体として、経済産業省や公正取引委員会、上部団体である全国中小企業団体中央会の指導の下、中小書店の経営環境の整備・改善を図ってきた。
日書連がこの1年間の重点目標に掲げたのが、①日書連の活動方針の確立と組織・運営の強化、②ネットワーク化による情報・物流の改善、③再販制度下における書店の役割明確化、④取引慣行の弊害是正と新システムの構築、⑤読書推進と活字文化の振興、⑥万引き防止・青少年健全育成の周辺整備――の6項目だ。
この中で特に大きく進展したのが万引き防止だ。警視庁からお声がかかり、万引き犯罪は警察に届ける比率が低いのはどういうことなのかと質問があった。私は、本屋が万引きを捕まえても、警察に被害を届けたら供述調書作成のために店員が半日や一日拘束されるので店が人手不足になってしまうと訴えた。警視総監は私が申し上げたことを真っ向から受け止め、手続の時間短縮と簡略化を目指すと言ってくれた。それで現在は、警察官の方が店に来て、この被害届に書き込んでもらえば後はこちらで処理しますというように手続の簡略化が実施されている。
一方、なかなかうまくいかないのは万引きを減らすことだが、店頭での対策として、日書連は全国古書籍商組合連合会、リサイクルブックストア協議会と合同で万引き撲滅の共同声明を発表し、統一ステッカーを作成して店頭に貼ってもらおうということになった。古書店とリサイクル書店を交えて共同声明にこぎつけたのは、高い評価をいただけるのではないかと思う。
取引問題では、出版業界の用語統一と優越的地位の濫用の問題化について活動してきた。例えば「新刊委託」という用語があるが、これは出版社と取次の間の言葉であって、取次を通して書店に入ってくる時には全然委託ではない。すぐ月末にはお金を請求される。これは返品条件付きの買切だ。用語が業界を縦に貫いていないことに問題がある。今後さらに具体的な取り組みに入るので応援をいただきたい。
こんにち黒船のように叫ばれている書籍のデジタル化の問題だが、指摘したいのは、デジタル技術は常に競争相手というのではなくて、我々の重要な武器に使えるということだ。日書連が取り組んでいるコミックの店頭試し読みシステム「ためほんくん」は、実証実験の結果、売上げが伸びていることが分かった。もっと本を売るためにデジタルの手法も活用していくことが必要で、これまでの考え方を変えていかなければいけないのではないかと思っている。

生活実用書/注目的新刊

生命科学ばかりではないが科学は次々に謎を解明すると同時に、また新しい謎に挑んで、永久に完結しない。しかし、解析された発見を知る度に人は再び命の不思議さを見つけて、感動するのである。
池谷裕二著『脳はなにかと言い訳する』(新潮文庫い―101―2590円)は、サブタイトルが、人は幸せになるようにできていた!?。
①脳はなにかと記憶する。歳をとれば脳細胞は減るという通説は間違いなのである。神経細胞(ニューロン)は、生涯増え続けることさえできる。記憶をコントロールする部位である「海馬」の神経細胞など、特定の場所だけは増殖の力を持っているのだ。ではどうすれば記憶力が高まるかというと、①日々勉学に励む②マンネリを避け、刺激あ
る日常生活を心がける。そのほか、適度のランニング、よく噛んで食べる、社交の場に積極的に出る、ストレスを避けることなどが有利に働くという。幼児の場合は母親の愛情をふんだんに受けること。
⑤脳はなにかと理性を失うでは、ストレス解消法。重要なのは解消できる自分なりの方法を持っていること。しかし、アルコールを飲んでも脳の視床下部は活動を続けていて、体のレベルではちっともストレス発散になっていないという結論は悲しい事実だ。
池谷氏は『脳の仕組みと科学的勉強法』(ライオン社)という超ロングセラーもある。
野村進著『脳を知りたい!』(講談社文庫の5―4695円)も6月に発売された。
本書はノンフィクション作家が、現実の事件や脳科学者をインタヴューしながら、うつ病、環境ホルモン、睡眠、アルツハイマー病、意識などを探ったレポートである。
第一章は脳と早期教育。公文教育研究会の故公文公元会長やソニーの故井深大相談役などが唱えた、教育の低年齢化に疑問を呈している。いわく3歳ぐらいまでに、能力や性格が決まるのだと。これは子供への虐待や脅迫ではないかと感じて調査するのだが、結論から言えば、脳科学でははっきりしないのだ。むしろ追跡した早期教育の天才少女
は不登校になって引きこもり大学にも進学しなかった。競争でなく共生と著者は語る。
同じ月に出版された本なのだから、隣り合わせにして相乗効果を狙いたい二冊。
(遊友出版・斎藤一郎)

ホームページの拡充進める/東京青年部総会

東京都書店商業組合青年部は6月8日午後4時半からホテルメトロポリタンエドモントで第20回通常総会を開き、会員80名(委任状含む)が出席した。
総会は下向紅星氏の司会で進行し、牛房邦夫会長が「この1年間各委員会が頑張ってくれた。青年部ホームページと掘り出し選書がかなり進展した。青年部は新たな人材を求めている。若い方をぜひ誘っていただきたい」とあいさつ。正副議長に安藤弘、秋葉幸伸両氏を選任して審議を行い、平成21年度活動報告・会計報告、平成22年度活動計画・収支予算など全ての議案を承認可決した。今年度活動計画では、ホームページへの参加店募集や、他県組合との連動、書店案内の充実を推進、TS流通協同組合では入荷速度の改善等に取り組むことを決めた。
相談役の東京組合・柴﨑繁副理事長は「掘り出し選書は書店の品揃えの手助けになっている。青年部ホームページは、どれくらいアクセスがあったか分かれば各書店の関心がもっと高くなるだろう。東京組合に毎月報告書を上げてもらえれば活動を広く紹介できると思う」とあいさつした。

訃報

別所業啓氏(津市・別所書店代表取締役、元三重県書店商業組合理事長、元日書連理事)
6月15日に逝去した。80歳。通夜は16日、告別式は17日に三重県津市の彰見寺で営まれた。喪主は長男の信啓氏。昭和53年から63年まで日書連理事を務めた。

「世界文学全集」7月から第3集刊行/河出書房新社

河出書房新社は5月25日、東京・渋谷区の紀伊國屋サザンシアターで「企画説明会2010」を開き、河出文庫30周年フェア、大型翻訳企画、「世界文学全集」第3集全6巻について説明した。
若森繁男社長は「iPad、キンドル、電子書籍で活字がなくなると大騒ぎになっている。だが、当社は活字にこだわる。書店とともに未来を作る」との考えを示し、「『世界文学全集』は07年の刊行開始当時、全集は売れないと批判されたが、書店が読者をつかんでいるという確信があり、良い成績をあげることができた。このあと書店の外商力によって大型企画を続々とスタートさせた。書店と出版業界のために活字で何ができるか、これからも考えていきたい」と述べた。
「世界文学全集」については、5月刊行の『ブリキの太鼓』で1集12巻、2集12巻が完結したが、編者の池澤夏樹氏の希望で7月から来年3月まで3集6巻を刊行する。部数は9千~1万部。池澤氏は「24巻刊行できたが、旧植民地や女性作家が多く、移動をテーマにした作品が多い。一方、アラブ圏など地域的な取りこぼしがあり、短編やルポルタージュがないことに気づいた」と第3集刊行の理由を説明した。
第3集ラインナップ=フラバル『わたしは英国王に給仕した』、カプシチンスキ『黒檀』、コンラッド『ロード・ジム』、石牟礼道子『苦海浄土』、南北米・アジア・アフリカの作品を集めた『短編コレクションⅠ』、欧州を代表する作家の短篇を集めた『同Ⅱ』。

海外の出版・書店事情⑦/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔イタリアの出版・書店事情〕
イタリアの消費税率は20%である。ドイツ、スペイン16%、イギリス17・5%、フランス19・6%などのヨーロッパ諸国の中では高い。しかし北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークの各25%、フィンランド22%に比べれば低いといえる。消費税5%の国は日本、台湾、シンガポールだけである。カナダ、タイは7%である。アメリカは州によって異なるが1~7%である。しかし書籍については税率が、日本以外の国では優遇策がとられている。ドイツは7%、スペインは4%、スウェーデン6%であり、驚くなかれイギリス、ノルウェー、ポーランドは書籍の税率は0%である。アメリカは総てに税がかかる。
尚、世界中の書店で、書籍と雑誌を一緒に販売しているのは日本だけである。それでは海外の人は雑誌をどこで買うのかということである。それはスーパー、コンビニ、マガジンスタンド等である。タイ・バンコクではブッカジンという雑誌専門店、ハンガリー・ブダペストではヒルラップ(市営のマガジンスタンド)、スウェーデン・ストックホルムではインタープレス雑誌新聞店がその役をなしていた。
話しは消費税に戻るが、雑誌には優遇措置を与えない国がある。スウェーデン、ハンガリーは消費税と同じ25%、エストニアは消費税18%、書籍5%、雑誌18%、ポーランド22%、書籍0%、雑誌7%である。
イタリアの出版点数は5万3231点(05年)である。ドイツ7万8082点、フランス6万8433点、スペイン6万3551点に次いでいる。イタリアの出版社の特色は出版社経営の直営書店の多いことである。世界的に有名な美術出版社リッツォリは立派な大書店である。イタリア国内に6店、アメリカに13店のチェーンを展開している。ミラノ店は中心地ドゥオモ広場近くのガレリア通りにある。イタリアを代表する出版社モンダドーリはローマ、ミラノで書店を経営し、工学書出版社のオエプリはミラノに大書店を持つ。この書店は地下一階、地上四階の大型書店で、四階は外に出ると庭園がある書店である。
〈フェルトリネッリ書店・ローマ店〉
イタリアには超大型書店はない。また大きなチェーン店もない。チェーン店の一番店はフェルトリネッリ書店で、ローマ、フィレンツェ、シエナ、ナポリにチェーン店がある。ローマ店は共和国広場前なのでわかり易い。通りに面して二店ある。連続していないで、間にコンビニ店が挟まれている。一店はFeltrinelli(約120坪)、もう一店はFeltrinelliInternational(約100坪)の看板が出ている。つまり前者は一般書店であり、後者は地図、ガイド、海外辞書、語学、参考書、雑誌店である。ローマ店の品揃えで目にとまったのは、写真集の多いことと、各国辞書の充実、参考書の多かったことである。雑誌はインターナショナル店で約200誌陳列されていた。雑誌については市内各所の雑誌スタンドには敵わない。300~500誌が新聞と共に売られているからである。
〈フィレンツェ・マルッテリ書店〉
ドゥモから約100m先のマルッテリ通りにある書店で、フィレンツェ一番店といってよい。正面間口は4間であるが、奥行は深く、裏通りまで通じているので20間近くある。中二階にゆく階段が一階中央にあり、その階段の脇に四面総ガラスのエレベータが三階喫茶室に通じている。この部分は吹き抜けなので自然採光もあり、店内を明るく、開放的にしている。
商品構成が素晴らしい。一階は小説、推理、ホラー科学小説、紀行文学、ユーモア文学、エロティシズム、劇画・コミック、モード・流行、写真集、美術書、ペーパーバックス(小説)、クラシック、外国人のためのイタリア紹介書、会話書、辞書、英語書、フィレンツェ、トスカーナ、イタリア観光書、こどもの本となっている。競合店フェルトリネッリと棲み分けが出来ていることを感じた。それはドゥモに近いことを意識して、観光客のことも考え、イタリア紹介書、イタリア文学、写真、美術に力が入れられていた。反対にこどもの本はフェルトリネッリ書店に任せた感がある。
一階中央部から見た中二階、回廊売場は自然採光なのでまぶしいばかりである。温室売場といってよい。そこにインフォメーションがある。この店の中枢部である。
中二階売場はパソコン書、株式市場、財政、経済企業体、マネージメント、医学、薬学である。そこから左翼、右翼の二階スペシャルルームに誘導される。左翼は天文学、物理学、数学、統計学、化学、農学、植物学、動物学、獣医学、地質学、地質工学、生態学、機械工学、電子工学、建築書が陳列されていた。
右翼は法律、法典、民事法、刑法、犯罪学、労働法、商法、税法、公法、法制史、訴訟法、訴訟要約集とやたらに法律に関する本が多い。ローマ時代の法典の再来かと思ってしまう。
インデックスも明瞭であり、探しやすい売場である。競合店の品揃えの少ない部分が補完されている。専門家、研究者を満足させる書店だと感じた。

2010年上半期ベストセラー

〔日販調べ〕
①1Q84(3)(新潮社)②巻くだけダイエット(幻冬舎)③もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(ダイヤモンド社)④1Q84(1・2)(新潮社)⑤新・人間革命(21)(聖教新聞社)⑥誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール(すばる舎)⑦日本人の知らない日本語(2)(メディアファクトリー)⑧親鸞(上・下)(講談社)⑨小学館の図鑑NEO+くらべる図鑑(小学館)⑩ロスト・シンボル(上・下)(角川書店発行、角川グループパブリッシング発売)
〔トーハン調べ〕
①バンド1本でやせる!巻くだけダイエット(幻冬舎)②1Q84(3)(新潮社)③新・人間革命(21)(聖教新聞社)④もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(ダイヤモンド社)⑤日本人の知らない日本語(2)(メディアファクトリー)⑥体脂肪計タニタの社員食堂500kcalのまんぷく定食(大和書房)⑦創造の法常識を破壊し、新時代を拓く(幸福の科学出版)⑧天地明察(角川書店発行、角川グループパブリッシング発売)⑨ファイナルファンタジー13ライトニングマスターガイド(集英社)⑩知らないと恥をかく世界の大問題(角川SSコミュニケーションズ発行、角川グループパブリッシング発売)
〔大阪屋調べ〕
①バンド1本でやせる!巻くだけダイエット(幻冬舎)②1Q84BOOK310月―12月(新潮社)③新・人間革命第21巻(聖教新聞社)④もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(ダイヤモンド社)⑤知らないと恥をかく世界の大問題(角川GP)⑥日本人の知らない日本語2(メディアファクトリー)⑦1Q84BOOK14月―6月(新潮社)⑧1Q84BOOK27月―9月(新潮社)⑨日本辺境論(新潮社)⑩会話がとぎれない話し方66のルール(すばる舎)

09年下期は前年同期比93・67%/ABCレポート

日本ABC協会は2009年下半期雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載した48社156誌の前年同期比指数は週刊誌94・33%、月刊誌93・38%で、合計では93・67%となった。
総合週刊誌は、部数トップの『週刊文春』が4万7千部増の53万4千部と50万の大台を回復。2位の『週刊新潮』も2万1千部増の43万5千部と盛り返した。『週刊現代』は9万8千部増の32万5千部と大幅伸張。『週刊ポスト』も2万9千部増の29万8千部で30万部回復を目前とした。新聞社系は『週刊朝日』が1千部増の16万8千部、『サンデー毎日』が4千部減の7万4千部と小動き。
女性週刊誌は前期は3誌とも低迷したが、『女性セブン』が1万2千部増の30万部と堅調。『女性自身』は4千部減の27万1千部、『週刊女性』はほぼ横ばいの18万3千部だった。

単体売上高4・8%減/当期利益5・5%増の減収増益/トーハン

トーハンは6月10日、平成21年度(平成21年4月1日~22年3月31日)決算概況を発表した。近藤敏貴専務によると「出版市場の縮小傾向が続く中で、送返品バランスの重視、返品率の改善等、効率販売に努めた」ものの、単体の売上高は前年比95・2%の5472億3600万円にとどまった。一方、送品・返品のバランスがとれたことで、総合の返品率は0・1ポイント改善して38・0%になった。
売上総利益は売上減少と原価率上昇の影響を受けて93・2%の617億4500万円となった。また、全社的な経費削減に取り組んだものの、販売費及び一般管理費は555億4500万円の95・4%と売上伸長率を0・2ポイント上回った。その結果、営業利益は77・3%の61億9900万円、経常利益は52・1%の21億4400万円。特別損失の計上が前期比減少した要因で、当期純利益は105・5%の10億7800万円と減収増益の決算になった。
売上高の内訳は、書籍が93・4%の2156億4000万円、雑誌が97・1%の3003億8200万円、MM商品が89・7%の312億1300万円。返品率は書籍41・4%、雑誌36・9%、MM商品18・4%、合計38・0%だった。
自己資本比率は27・8%と1・2ポイント、1株当たり当期純利益は15・3円と0・9円上昇した。配当は1株6円を予定。
子会社12社との連結決算は、売上高が95・0%の5548億3000万円、経常利益が60・7%の28億7100万円、当期純利益が87・3%の15億2000万円になった。
22年度売上高目標は100・5%の5501億400万円。内訳は書籍100・2%、雑誌97・9%、コミック101・4%、MM商品120・8%。返品率目標は総合が2・9ポイント減の35・1%。内訳は書籍37・7%、雑誌37・7%、コミック23・1%、MM商品14・5%とした。

エコポイントで29億円の応募獲得/図書普及

日本図書普及は6月14日に第50期(平成21年4月~22年3月)の決算概況を発表した。
第50期の年間発行高は651億4300万円(前年比99・7%)、回収高は623億8900万円(同99・1%)といずれも前年をわずかに下回った。回収の内訳は図書券23億8300万円(同72・2%)、図書カード600億600万円(同100・6%)。
図書カードが家電エコポイントの交換商品に採用され、3月末までで29億円の応募を獲得したことから、一般カードの発行は前年を0・5%上回った。販売費及び一般管理費では、カード製作コストの削減や、読取機管理業務の社内移管等により、営業損失は大幅に改善。一方、保有する不動産投資信託の低迷による受取利息・配当金の減少や、有価証券売却損の計上等で、経常損失が大幅に増加したが、未回収収益の増加等で当期純利益1億9800万円を確保した。
図書普及では次期以降の課題について、コスト軽減を主眼とした次世代図書カードの研究を進めるほか、今年4月施行の「資金決済法」に沿って図書カードのあるべき姿を再度見つめ直していくとした。

62期連結決算は減収増益/純利益31億円、過去最高益に/日販

日販は6月9日、第62期(09年4月~10年3月)の決算概況を発表した。子会社18社との連結売上高は、MPDの取引拡大等の増収要因があったものの市況の低迷をカバーしきれず、対前年2・4%減の7514億5800万円となった。
販売費及び一般管理費は3・6%減の810億5600万円と、売上高の落ち込み以上に抑制。このうち販売費は、返品率改善や出版共同流通での返品物流処理の効率化に伴う物流コスト減少等が奏効し、317億700万円と4・9%減少。一般管理費は少数精鋭体制による人件費の抑制、グループ全体でのコストコントロールによる経常経費の抑制により、493億4900万円、2・8%減となった。
この結果、営業利益は0・1%増の156億1000万円、経常利益は0・5%増の61億600万円となった。また、固定資産除却損と不動産の減損等で特別損失は9億8200万円を計上したが、王子流通センターのリニューアルに伴う除却損及び改装費等を計上した前年に比べ半減した。これにより当期純利益は90・2%増の31億2900万円と、減収ながら純利益は過去最高を達成した。
日販単体の売上高は6130億4800万円(3・1%減)。売上内訳は書籍2361億9000万円(5・0%減)、雑誌が3248億3200万円(1・1%減)、開発商品520億2500万円(6・5%減)。返品率は書籍が0・3ポイント減、雑誌が0・2ポイント減で、合計では0・2ポイント減の35・7%と改善した。
平林彰専務は「単体は市況がマイナストレンドの中、目標の返品率まではいかなかったが、取り組みの成果が出てきており、今期はさらに進めていきたい。連結の方はグループ経営が着実に成果を上げてきている」と総括した。

本屋のうちそと

うちのような小さなお店にも出版社さんからの電話がかかってくる事がたまにあります。売れ筋の情報など、訊きたい事はたくさんあるのですがそういう時に限って(普段はずーっとヒマなのに)、「こんな本はありますか?」とメモを手にしたオバさんが入ってきたりします。たまたま一人で店番していたりするようなタイミングの悪い時にこんな電話がかかってくると困ってしまいます。
逆に年に一度か二度、上京した時などに版元さんを訪ねようにも、田舎者の哀しさ、地下鉄の乗り換えなど要領を得ないので2、3社も回ればくたくたになってしまいます。せっかく出版社の営業担当者との意思の疎通が良くなればと思って持参した売上げと在庫データのプリントさえも重たく感じる始末です。
書店組合が音頭を取って、出版社の営業の方々と北海道内の書店との商談会を開いたらどうだろうという話しがあります。北海道はとにかく広く道内各地から札幌に出てくるだけでも中々に大変です。お互いに顔も見たことがない版元と書店が一堂に会する事ができれば、こんなにイイ事はないと思うのです。年に一度くらい本に関わって生きている者同士が北国の夜を語り明かす、なんていう「夏の夜の夢」を見てみたいものだと思い続けているのです。
(広辞猿)