全国書店新聞
             

平成28年2月1日号

宮城県合同新年会に59名/藤原理事長が新年あいさつ

平成28年度宮城県書店商業組合・出版・取次・運輸の合同新年会が1月7日午後5時から、仙台市のホテルメトロポリタン仙台3階「星雲」で開催され、出版社・取次31名、書店28名の合計59名が出席した。
初めに司会の梅津理事が開会を宣言し、続いて宮城組合・藤原直理事長が新年のあいさつ。藤原理事長は「今年は申年、株式相場の世界では『未辛抱、申酉騒ぐ』の格言があり、我が書店業界でもそれにあやかりたい」と述べたほか、「この新年会は昭和51年から41年間続く歴史のある会であり、開始当初は7時間も会が続いた思い出がある」などとエピソードを紹介した。
祝辞を述べた日本出版販売の大久保東部支社長は、年末年始の全国書店の売上状況は前年比で100%以上となり堅調に推移したことを報告。続いてトーハン・田代東北支店長の乾杯で宴が始まった。
恒例となっている各社・各書店の新年あいさつを順不同に行った後、今年の年男である小関副理事長の三本締めで幕を閉じた。
(照井貴広広報委員)

実用書増売企画「書店金賞」スリップ受付は締切りました

昨年12月で報奨金の対象販売期間を終了した日書連主催の実用書増売企画、第2回「書店金賞」の売上スリップ受付は、1月15日で締め切りました。

軽減税率実現へ不退転の決意/大阪新年互礼会で面屋理事長

大阪出版販売業界新年互礼会(主催・大阪府書店商業組合、大阪出版取次懇和会)が1月8日に大阪市のウェスティンホテル大阪で開催され、出版社、取次、書店、協力会社など129名が出席した。
新年互礼会は大阪組合・深田健治副理事長の司会で進行。開会あいさつを行った面屋龍延理事長は、与党税制改正大綱で出版物への軽減税率が先送りになったことを説明。出版物の線引きを行うための第三者機関の設立や、議員立法による法制化など、出版業界4団体で対応策を協議しており、不退転の決意で軽減税率実現を目指すことを日書連理事会で決定したと報告した。また、年末に読んだ三島由紀夫の『命売ります』の感想を紹介して、「決断をしなければならないときがある。決断が発想の転換を興し、新たな力が湧いてくる」と結び、前年を上回る出版業界となって繁栄していけるようにしたいと述べた。
続いて大阪出版取次懇和会代表幹事の大阪屋・大竹深夫社長があいさつ。大竹社長は年末年始の売上について「年始は前年比でほぼ100%に近い。昨年は90%前半と厳しかったがそれに比べるといいスタートとなった」と報告。今年はお客様が書店に戻ってくる企画を業界全体でやらなければいけない土壇場に来ていると危機感を示し、「『今日は本屋さんに行こう』というキャンペーンを考えていきたい」と述べた。
日本出版販売の竹山隆也取締役関西支社長は「全国の売上は100・4%だったが関西は101・1%。関西の書店は元気だ。リアル書店がさらに魅力あるものにする店作りをお手伝いするために、皆様の知恵とアイデアを結集していきたい」と乾杯の辞を述べた。
中締めを行った創元社・矢部敬一社長は、昨年の「帯コン」表彰式で受賞者代表となった小学6年生の女子児童のあいさつを披露し、「読書の素晴らしさを素直に語りかけたことに感動した。業界をあげて読書推進に当たりたい」とあいさつした。
昨年に比して2割増の来会者があり、盛り上がった互礼会となった。
(石尾義彦事務局長)

軽減税率適用へ運動続ける/舩坂理事長が決意新たに/東京組合新年懇親会

東京都書店商業組合は1月13日、東京・文京区の東京ドームホテルで新年懇親会を開催し、組合員、出版社、取次など総勢244名が出席。舩坂良雄理事長は年頭あいさつで組合活動や書店の経営状況を説明し、出版物への軽減税率適用に向け、出版業界4団体で継続して取り組むと新たな決意を示した。
新年懇親会は渡辺真実行委員の司会で進行し、田島敏幸実行委員長が開会の辞。年頭あいさつを行った舩坂理事長は、与党税制改正大綱で出版物への軽減税率適用が先送りされたことについて、大変残念なことだと述べ、消費税は10%になった後も税率が段階的に引き上げられていくことが想定されるとして、「出版業界4団体は何としても軽減税率適用に向けて頑張っていく」と改めて決意を示した。
書店の店頭動向については、「正月の売上は良い数字が出ており、この流れを切らないようにしたい」と述べるとともに、昨年1月から11月までの販売部数累計で、書籍が前年比3・1%減に対し雑誌が同10・2%の大幅減となったことを指摘し、「書店の売上比率の55%は雑誌。何とか雑誌の増売に力を入れなければならない」と強調。書店経営の厳しい現状に言及して、「取り組むべき問題は多々ある。正味の問題についても、違う方法での販売戦術も含め、話をしていきたい」と述べた。
また個々の書店の取り組みについて、「文具・雑貨などの第三商材を置いたり、カフェを併設するなど、お客様に満足していただけるよう、各社各様に創意工夫して販売戦術を立てている。読者が本を選ぶきっかけは書店の店頭。だからこそ書店は読者一人ひとりの声を大事にしなければならない」と提言した。
最後に、東京組合青年部、TS流通協同組合の活動に協力を要請して、「次の世代に仕事を渡すのが我々の責任だ。そのための施策を考え提案していく」と結んだ。
来賓の小学館・山岸博専務は、「正月の書店の数字は前年より少し良くなっているということで、いい兆しだ。それを大事にして皆さんと力を合わせ、いい1年にしていきたい」と祝辞。講談社の野間省伸社長は「元気を出して業界全体を盛り上げてきたい。良い出版物を出すことで皆様に貢献できればと思っている」とあいさつした。
トーハンの近藤敏貴副社長は、昨年のこの会で、公共図書館の複本問題や、日書連が提案する外商雑誌の買切制度について言及したことを振り返り、「山梨県立図書館のように、ベストセラーの複本を置かず、地元書店を通して本を購入している図書館を応援していきたい。トーハンでは雑誌配本システムの改築を進めており、予約分を確実に送るシステムを作る」と述べて乾杯の音頭を取った。
歓談の後、正副理事長と大橋信夫相談役が登壇して本間守世副理事長が閉会の辞を述べ、出席者全員による三本締めで終了した。

芥川賞は滝口氏と本谷氏、直木賞は青山氏に決まる

第154回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が1月19日、都内の料亭で開かれ、芥川賞に滝口悠生氏の「死んでいない者」(文學界12月号)と本谷有希子氏の「異類婚姻譚」(群像11月号)、直木賞に青山文平氏の『つまをめとらば』(文藝春秋)が選ばれた。副賞は各100万円。贈呈式は2月下旬、都内で開かれる。
滝口氏は82年東京生まれ、埼玉育ち。11年「楽器」で新潮新人賞を受賞してデビュー。15年『愛と人生』で野間文芸新人賞。芥川賞は2回目の候補。
本谷氏は79年石川県生まれ。00年より「劇団、本谷有希子」を主宰し、作・演出を手掛ける。07年『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を受賞。09年『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞。11年小説『ぬるい毒』で野間文芸新人賞、13年『嵐のピクニック』で大江健三郎賞、14年『自分を好きになる方法』で三島由紀夫賞。芥川賞は4回目の候補。
青山氏は48年生まれ、横浜市出身。早大政経学部卒業。経済関係の出版社を経てフリーライターに。92年『俺たちの水晶宮』で中央公論新人賞を受賞。約10年で創作活動終了。11年創作活動を再開し、初の時代小説「白樫の樹の下で」で松本清張賞を受賞した。直木賞は2回目の候補で、67歳での受賞は歴代2番目の高齢受賞となる。

出版5団体代表が年頭あいさつ/日本出版クラブ新年名刺交換会

2016年出版関係新年名刺交換会が1月6日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開催。出版5団体の代表が一堂に会し、出版社、取次、書店など出版業界関係者約480名が出席した。
主催者を代表して日本出版クラブの野間省伸会長(講談社)があいさつ。「昨年の出版業界は大きく落ち込むなど暗いニュースばかりだったが、今年は良い年にしたい。課題として軽減税率の問題、TPPに伴うフェアユースの議論があがっており、解決していかなければならない」と述べ、乾杯の音頭をとった。
5団体代表のあいさつは出版クラブ会報「出版クラブだより」に掲載され、当日配布された。このうち日書連・舩坂良雄会長のあいさつ(全文)は以下の通り。
【「書店再生の更なる推進を目指して」日本書店商業組合連合会会長・舩坂良雄】
新年あけましておめでとうございます。昨年中は格別のご高配を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
思い返してみますと、平成27年は一般のニュース報道において出版界の話題が取り上げられることが多い年でした。
ひとつには公共図書館を巡る動きがあります。佐賀県の武雄市図書館が指定管理者制度を導入して大胆なリニューアルを行ったところ、来館者が以前の3倍以上に増加するなど目に見える形で成果をあげた影響もあり、一時は全国各地で企業と行政が提携する形の図書館計画が次々と誕生しました。しかし、昨年8月になって武雄市図書館のオープン時に不適切とも取れる蔵書購入があったことが発覚、続けざまに神奈川県の海老名市立図書館でも選書目録の中に眼鏡拭きやおろし金といった付録がメインの書籍がリストアップされていたと判明したことで風向きも変わりつつある様子です。書店の立場としましては、この機会に行政担当者の皆様に、図書館の蔵書選定や購入においては地元書店の役割を改めて見直していただきたいと思っております。
そんな話題も冷めやらぬ中、10月末には「出版社・書店・作家が連名で、著者と版元が合意した新刊について一定期間の貸出し猶予を求める文書を公共図書館側に提出する動きがある」との報道があり、注目を集めました。本が売れない要因のひとつは図書館での貸出しにあるという意見は平成12年頃にも表面化しており、同14年には日本書籍出版協会と日本図書館協会が共同で公立図書館の貸出実態調査を行うなどの動きもありましたが、明確な結論が出ないまま今日に至っています。現在の深刻な出版不況下において図書館と書店が読書推進活動の普及・啓蒙という共通目的に向けてより良い関係性を築いていくためには、慎重な検討が必要なテーマと言えるでしょう。
書店に関係する事例をあげるならば、紀伊國屋書店が9月に発売した『職業としての小説家』(村上春樹/著)の初版9万部を買切って、自社店舗で販売する以外に他の書店にも卸す試みを実施し話題となりました。東京都書店商業組合では事務局を仕入窓口にして加盟書店から注文を受け、組合独自の物流システムであるティーエス流通協同組合を通じて配本・決済を行う形で対応をしました。また、11月初旬に報じられた「自由と民主主義」をテーマとするブックフェアを展開していた書店が、インターネット上での「主張が偏っている」との批判を受けて、フェアを一時中止してしまった事例は、私も新聞の取材に応えて「偏り過ぎないことが大切。但しフェアをやる、やらないは書店側に裁量がある」とコメントいたしましたが、これからの書店は時流といかに相対していくべきなのかを考えさせられる案件でした。
こうした出来事がニュースとして報道されたことによって、図らずも一般読者の目が出版界の課題に向けられる結果になっています。インターネットや新聞投稿欄などに多くの意見が寄せられている状況をみますと、出版界が従来の課題をクリアして次の段階へと再生することを期待されている様子が感じられて、心強い限りです。私たちはこうした読者の皆様の声も忖度しつつ、課題の一つ一つを精査して現在の閉塞状態を打開するための方策を何としても捻出することが肝要かと存じます。
世界でも他に類を見ないほど充実した日本の出版文化を守るために、日書連としては書店再生の施策を強化し、街の本屋を元気にしたいと考えておりますので、今後ともご理解ご協力のほどお願い申し上げます。

書店売上げ上昇へ強い決意/福岡県出版業界新年の会

平成28年福岡県出版業界新年の会が1月6日、福岡市博多区のホテルオークラ福岡で開催され、書店、出版社、取次、運輸など総勢92名が出席した。
書店を代表してあいさつした福岡県書店商業組合の安永寛副理事長(金修堂書店)は「今年は申年。『猿も木から落ちる』と言われるが、本当は猿は木から落ちない。木に駆け登る。今年は、書店の売上は絶対に落とさない。金の成る木を駆け登る」と意気込みを述べた。
次に、九州出版取次協会を代表し、多田真会長(トーハン九州支店長)は年末年始の売上動向を発表し、「天候にも恵まれ総合部門で全国平均前年比0・5%増だった。特に九州支社管内は1・6%増と、中部支社管内に次いで2番目の高い実績となった。まだまだ売れる余地はある。この好結果を1年間持続していきたい」と述べた。
続いて、出版社を代表して九州出版懇話会の古川一夫代表幹事(主婦と生活社取締役)は「古代中国の占いで『陰陽五行説』がある。今年の干支の申は『五行』では『金』に当たり、『陰陽』では『陽』になる。この占いにちなんで今年は明るく、ゴールド(金)がいっぱい入ってくる年回りになるように出席者の活躍と健勝を祈念する」とあいさつした。
乾杯の後、年男・年女の記念品の贈呈が行われ、最後に山本太一郎(福岡金文堂)、大石宏典(大石金文堂)、浅野章夫(天龍運輸)の各氏による祝い目出度が披露され、博多手一本締めで閉会した。
(加来晋也広報委員)

SNS活用した店頭展開も/情報発信を強化/愛知組合新春賀詞交歓会

愛知県書店商業組合は1月12日、名古屋市千種区のホテルルブラ王山で、平成28年新春賀詞交歓会を開催。組合員、出版社、取次など約90名が出席した。
冒頭、春井宏之理事長があいさつ。消費税軽減税率問題について、新聞は適用が決まったが、書籍・雑誌は継続検討となったと報告し、将来的に20~25%になるだろうと出版業界の危機を訴えた。続いて、今年のサン・ジョルディフェスティバルの企画紹介を行い、より多くの本を宣伝、販売するためにポスター、選書一覧などを作成し、店頭でも同時展開していきたいと抱負を述べた。また、本の情報が足りないと感じているとして、フェイスブックの「愛知県の本棚」を紹介し、もっとSNS等を活用して店頭展開と同時進行で活性化していきたいと取次、出版社、書店へ協力を求めた。
乾杯の音頭をとったトーハンの石川二三久執行役員名古屋支店長は「16年の出版業界が輝かしい1年でありますように」と述べた。
中締めは、岩崎書店の黒澤淳一名古屋営業所長が「今年は申年。申年は長い間努力したものが形になり、身になる年と言われる。良い1年にしたい」と、三本締めで締めくくった。(太田武志広報委員)

町の本屋が教育力向上のカギ/京都出版業界新年互礼会で門川京都市長

京都出版業界新年互礼会が1月7日、京都市中京区の京都ホテルオークラで開かれ、組合員、取次、出版社など総勢158名が出席した。
はじめに京都府書店商業組合の三宅久嗣理事長(久栄堂)が新年のあいさつを行い、「軽減税率適用を実現できるかどうかは、出版業界が一致団結できるかどうかにかかっている。京都の団結力の強さを頼もしく思っている。世の活字離れが年々厳しくなる中、行政による『京都はぐくみ憲章』に基づいた市民密着型の京都版ブックスタート事業にも力を入れていく。子どもたちが本を読むことに楽しみや幸せ、面白さを感じてくれる環境作りを考えていかなければならない。それこそが最も身近に存在している町の本屋の責務。皆様の知恵を拝借したい」と述べた。
多忙のなか出席した門川大作京都市長は「本を大好きな子どもを育てたい。学校の先生はすぐ感想文を書かせたがるが、感想文を書くために本を読ませると本を好きにならない。毎日好きな本をただ読むだけということを、先生も一緒に行う。しかし小学校で定着した読書の習慣も、一番多感な時期である中高校生へ上がるにつれ離れていくことが残念。専門家を交えてなんとかしたい。今後行うブックスタート事業が他都市と違うのは、今まで新生児を持つ母親へ配布していた絵本は選択肢が限られていたが、これからは数種類の中から1冊を選んでもらう形をとり、選べなかった他の本を町の本屋さんで買える仕組みをとりたい。町の本屋さんのネットワークが町の教育力向上のカギを握る」と、書店の役割の重要性を強調した。
このあと京都市の「日本酒で乾杯条例」に基づき、大阪屋の竹中繁輝営業本部長の発声で、日本酒で乾杯。歓談中は同組合の山中職員を含むオーボエトリオによる演奏で会に華を添え、中締めのあいさつを日本書籍出版協会の杉田啓三常務理事・京都支部長(ミネルヴァ書房)が述べ、盛況のうちに閉会した。
(若林久嗣広報委員)

業量減少とCVS配送が課題/今後の運行に危機感/出版物輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会(瀧澤賢治部会長)は12月8日、東京・墨田区の東武ホテルレバント東京で第37回出版物関係輸送懇談会を開催。出版物輸送を取り巻く現状と課題について荷主側と意見交換した。荷主側からは雑協、取協をはじめ印刷会社、東京都製本工業組合、日書連の各代表が出席した。
冒頭、あいさつした瀧澤部会長は「業量の平準化をお願いしてきたが、今は出版物の扱い量が減り続ける中で輸送をどうするか検討する時期に来ている。業量減少のスピードが速く改革が追いつかない。同じ船に乗って難局を乗り越えたい」と述べた。
雑協物流委員会の勝野聡委員長は「問題意識の共有化は進んだが、具体的な成果に結びつけるため、今までにない実証実験に踏み込み始めている。輸送の負担を減らし、雑誌の売上を上げるため努力したい」とあいさつした。
このあと懇談会を行い、東京都トラック協会から事業者減少や運転手不足と高齢化、非効率輸送などトラック業界が抱える課題について説明があった後、瀧澤部会長がコンビニエンスストア(CVS)向けの配送について報告。「CVSの出店増に伴い、1運行で可能な配達店舗数が増える一方、配達業量が減少しているため、1車輛当たりの売上が減少している。仕分けなど付帯作業の負担も増加している」と指摘。「収支悪化が拡大し、今後の運行が危惧される」と危機感を示した。また、CVSの時間指定配送について「前後15分までの納品に緩和されたが、受領印をもらうための待ち時間が改善されれば、もっと効率輸送ができる」とした。
雑協の勝野委員長、大山恒生副委員長は業量増加・業量平準化に向けて実施した取り組みを説明。取協輸送研究委員会の柏木祐紀委員長は「発売点数だけでなく部数、重量の平準化に取り組まねばならない。年間稼働日数を変更せずに休配日設定を行い、効果検証したい」と話した。

春の書店くじ実施要綱

▽実施期間平成28年4月20日(水)より30日(土)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数200万枚。書店には1束(500枚)3571円(税別)で頒布
▽申込方法と申込期限注文ハガキに必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日(厳守)
▽配布と請求方法くじは取引取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求
▽当せん発表5月25日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額2860万円
当せん確率は9・6本に1本
1等賞=図書カード1万円400本
2等賞=図書カード
又は図書購入時充当1千円600本
3等賞=同5百円8000本
4等賞=図書購入時に充当百円20万本
▽賞品引換え1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当
▽引換え期間読者は5月25日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えた当せん券は7月31日までに「引換当せん券・清算用紙」(発表ポスターと同送)と一緒に日書連事務局に送付
▽PR活動全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp)で宣伝。「春の書店くじ」宣伝用ポスターは日書連ホームページよりダウンロード(郵送はしません)

総合読書率、過去最低の57%/家の光協会・全国農村読書調査

家の光協会は第70回「全国農村読書調査」の結果をまとめた報告書『2015農村と読書』を発表した。全国60地点の16歳~79歳の男女1200名を対象に、昨年7月9日~26日に実施した。これによると総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合)は57%と過去最低を記録した。
■総合読書率
総合読書率は前年比1ポイント減の57%。過去最高の1989年より30ポイント低下した。60%に届かなかったのは4年連続。
性別では、男性が同3ポイント減の51%に対して、女性は同変わらずの62%となり、女性の総合読書率が28年連続で男性を上回った。
年齢別では、10代が最も高く68%、以下、50代が64%、20代が61%、40代が58%、30代が57%、70代が53%、60代が最も低く51%だった。
職業別では、学生が最も高く76%、以下、主婦が65%、自営業が59%、農業が最も低く51%だった。
■雑誌読書率
雑誌読書率(月刊誌か週刊誌を読んでいる割合)は同2ポイント減の47%。過去最高の1989年より37ポイント低下し、過去最低に沈んだ。50%を下回ったのは3年連続。
性別では、男性が同3ポイント減の44%に対して、女性が同1ポイント減の50%。総合読書率と同じく女性の雑誌読書率が28年連続で男性を上回った。
年齢別では、50代が最も高く56%、以下、30代・40代・70代が46%、60代が45%、20代が42%、10代が最も低く36%だった。
職業別では、主婦が最も高く55%、以下、自営業が53%、農業が47%、給料生活が46%、無職が42%の順で、学生が最も低く40%だった。
■月刊誌の読書状況
月刊誌読書率は同1ポイント減の34%と過去最低。4年連続して40%を下回った。
性別では、男性が同1ポイント減の30%に対して、女性が同変わらずの38%と、女性が男性を8ポイント上回った。
年齢別では、50代が最も高く40%、以下、40代・70代が36%、30代が34%、60代が30%、20代が27%、10代が最も低く23%だった。
職業別では、主婦が43%と最も高く、以下、農業が36%の順で、無職が25%と最も低かった。
毎月読む人の割合は15%。毎月ではないがときどき読む人は19%だった。
同じ月刊誌を毎号読んでいる定期読書率は同変わらずの14%だった。
■週刊誌の読書状況
週刊誌読書率は同1ポイント減の29%と過去最低となり、ついに30%を下回った。
性別では、男性が同2ポイント減の30%に対して、女性が同変わらずの28%。
年齢別では、50代が36%と最も高く、以下、70代が34%の順となり、最も低いのは40代の20%だった。
職業別では、自営業が40%と最も高く、最も低いのは給料生活の26%だった。
毎週読む人の割合は5%、毎週ではないがときどき読む人は24%だった。
同じ週刊誌を毎号読んでいる定期読書率は同1ポイント減の5%だった。
■書籍の読書状況
書籍読書率(この半年間に書籍を読んだ人の割合)は3年連続して30%。過去最低の29%は免れたものの、5年連続で30%~32%の範囲で低迷している。
性別では、男性が同1ポイント減の26%に対して、女性が同2ポイント増の34%と、女性が男性を8ポイント上回った。
年齢別では、10代が64%と最も高く、以下、20代が39%、30代が37%の順で、70代が18%と最も低く、年代が上がるにつれて低くなる傾向にある。
職業別では、学生が最も高く72%、以下、自営業が34%、主婦・無職が32%、給料生活が30%の順で、農業が19%と最も低かった。
過去1ヵ月の平均読書冊数は同0・1冊増の0・9冊だった。
■雑誌、書籍の購入先または借覧先と入手法
月刊誌は1位書店57%、2位スーパー・コンビニ32%、3位予約購読14%。週刊誌は1位スーパー・コンビニ49%、2位書店40%、3位美容院・食堂・病院38%。書籍は1位書店80%、2位図書館・公民館21%、3位インターネット14%。

心にのこる子どもの本新学期・夏休みセール

日本児童図書出版協会加盟社がお薦めする売行き良好書229点229冊を、4つのセットに分けてご用意しました。今回より「読み聞かせにふさわしい絵本」セットが、従来の各2冊から各1冊にお求め易くなりました。送本条件は、前回に引き続き7ヵ月長期です。お店の児童書コーナーにぜひご活用ください。
【絵本セット】
▽ばけねこぞろぞろ(あかね書房)▽まって/庭をつくろう!(あすなろ書房)▽さくらいろのりゅう(アリス館)▽こっちへおいで、あそぼうよ/あかにんじゃ/花さき山/だいすきほっとけーき(岩崎書店)▽おむかえまだかな(学研プラス)▽はーはのはみがき/ロールパンバス/おひさまとかくれんぼ/いちごパフェエレベーター(教育画劇)▽ももたろう/かぜのでんわ/にじいろのしまうま/しげちゃん(金の星社)▽光るいきもの海のいきもの/光るいきものキノコ(くもん出版)▽ほしいもマン/たかちゃんのはじめてのとこやさん(佼成出版社)▽せんそうしない/アントンせんせい(講談社)▽へんしんじどうしゃえんこくん/恐竜リトルホーンと巨大翼竜(小峰書店)▽町にながれるガブリエラのうた(さ・え・ら書房)▽絵本版星の王子さま(集英社)▽やめろ、スカタン!/おばけのあんみつ(小学館)▽きもち/いもうとガイドブック(少年写真新聞社)▽あめふりうさぎ/ぴょんぴょんぱんのかばんです/本、だ~いすき!(新日本出版社)▽にゃーご/たまごにいちゃん/たんぽぽねこ(鈴木出版)▽かみなりどんがやってきた/おにぎりぎゅっぎゅっ(世界文化社)▽やっちゃった…でもだいじょうぶ!(大日本絵画)▽ばけばけばけばけばけたくんおまつりの巻/おばけにてそうろう(大日本図書)▽ワニくんとパーティーにいったんだ/ちびのミイのおひっこし?ミイのおはなしえほん/アニメ絵本(36)フランダースの犬/飛行士と星の王子さまサン=テグジュペリの生涯(徳間書店)▽すいかくんがね‥/とまとさんがね‥/おしいれのぼうけん/ばななせんせい(童心社)▽ありがとまと/かたづけやさーい/ゆっくとすっくBabyころん!/ゆっくとすっくBabyあむあむ(ひかりのくに)▽はだかんぼ!(ひさかたチャイルド)▽おねがいパンダさん/あたし、うそついちゃった(評論社)▽おかおになあれ!/もういいかい(BL出版)▽はしる!新幹線「かがやき」/ふまんがあります/はずかしがりやのバナナくん(PHP研究所)▽おふろだいすき/おしゃべりなたまごやき(福音館書店)▽かいじゅうたちのいるところ(冨山房)▽ファンファンおばけやしき/こんできました/なつはひるね/びっくりおおかみ/セッセとヨッコラひみつのプレゼントさくせん(フレーベル館)▽おれさまはようかいやで(文溪堂)▽森の本やさん/カブトムシのなつ(文研出版)▽みんなであそぼ(平凡社)▽いそあそびしようよ!/アブナイかえりみち/ゆらゆらチンアナゴ(ほるぷ出版)▽なんのじゅうたい?/いのちの木(ポプラ社)▽ぼくはニコデム/白い池黒い池(光村教育図書)
【読物セット】
▽山田県立山田小学校はだかでドッキリ!?山田まつり(あかね書房)▽アーチー・グリーンと魔法図書館の謎/ディキシーと世界一の赤い車(あすなろ書房)▽くまくんとうさぎくんくもようび(アリス館)▽ルルとララのシャーベット/エレベーターは秘密のとびら/ほねほねザウルス⑫アシュラとりでのほねほねサムライ(岩崎書店)▽10歳までに読みたい世界名作⑪ふしぎの国のアリス/10歳までに読みたい世界名作⑫怪盗アルセーヌ・ルパン/10歳までに読みたい世界名作⑬ひみつの花園(学研プラス)▽キャベたまたんていゆうれいかいぞくの地図/犬たちをおくる日(金の星社)▽東京駅をつくった男/赤のはんたいは?/てんのないにっき(くもん出版)▽ふりかけの神さま/おとのさま、ひこうきにのる(佼成出版社)▽まよなかのぎゅうぎゅうネコ/はりねずみのルーチカふしぎなトラム(講談社)▽ピンコうさぎのふしぎなくすり/ジュディ・モード、未来をうらなう!/猫探偵森下サバオの事件ファイル①山猫軒の怪事件(小峰書店)/犬たちからのプレゼントショコラがくれた〝はじめの一歩〟/ストロボ・エッジ映画ノベライズみらい文庫版/絶望鬼ごっことざされた地獄小学校(集英社)▽10歳の質問箱なやみちゃんと55人の大人たち/おうだんほどうのムッシュトマーレ(小学館)▽町工場のものづくり(少年写真新聞社)▽真っ黒なおべんとう(新日本出版社)▽ダンゴムシだんごろう(鈴木出版)▽チョコちゃん(そうえん社)▽クレヨンぞうさん(大日本図書)▽ダイヤモンドより平和がほしい(汐文社)▽くろねこのロク空をとぶ/オリガミ・ヨーダの事件簿2ダース・ペーパーの逆襲(徳間書店)▽かあちゃん取扱説明書/先生、しゅくだいわすれました(童心社)▽きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……(ひさかたチャイルド)▽わすれものの森(BL出版)▽テレビのずるやすみ/どうぶつがっこう/宇宙への夢、力いっぱい!(PHP研究所)▽もりのへなそうる/くまのパディントン/みどりいろのたね(福音館書店)▽魔女の本棚②魔女のふしぎな道具(フレーベル館)▽ガリばあとなぞの石(文溪堂)▽おさんぽぐるぐる(文研出版)▽新編マキちゃんのえにっき(平凡社)▽ピッチの王様①4人の誓い/ゆうれい作家はおおいそがし③死者のコインをさがせ/カーシア国三部作②消えた王(ほるぷ出版)▽おしりたんていむらさきふじんのあんごうじけん/あなたをずっとあいしてる/プリンセス☆マジックルビー①まいごの森のおひめさま?(ポプラ社)
【あそびと学習セット】
▽おばけトリックアートたんけん!おばけじま(あかね書房)▽親子あそびのえほん(あすなろ書房)▽1年生の漢字/これでカンペキ!マンガでおぼえることわざ・慣用句(岩崎書店)▽いもむし・ようちゅう図鑑これはなんのようちゅうかな?(学研プラス)▽恐怖!おばけやしきめいろブック地獄めぐり/おてつだいの絵本(金の星社)▽戦場カメラマン渡部陽一の見た世界②家族/戦場カメラマン渡部陽一の見た世界③友だち(くもん出版)▽さがすえほんごちゃまぜ(佼成出版社)▽お米ができるまで/目の見えない子ねこ、どろっぷ(講談社)▽まちがいさがし大問題妖怪編/恐竜ABC/恐竜トリケラトプスの大ぼうけんめいろ(小峰書店)▽満点ゲットシリーズちびまる子ちゃんのかけ算わり算(集英社)▽ノグチゲラの親子/ドラえもんかがくえほんみずとくうきのふしぎ/わらうプランクトン(小学館)▽いのちのかんさつ⑤ザリガニ/みんなのチャンス/大津波のあとの生きものたち(少年写真新聞社)▽みんなワクワク水族館―お魚いっぱい編―(新日本出版社)▽子供の科学★サイエンスブック星座神話と星空観察(誠文堂新光社)▽写真でわかる図鑑えほんきょうりゅうだいはっけんずかん(世界文化社)▽水のぼうけん(大日本絵画)▽ウラワザ伝授!野球・サッカー・ドッジボール/女子力アップ←おまじないスイーツ(汐文社)▽切り紙昆虫館―ハサミで作ろう!(童心社)▽肥料と土つくりの絵本⑤いろんな資材を生かそう/肥料と土つくりの絵本①身近な有機物を生かそう/藍染の絵本(農山漁村文化協会)▽もぐもぐどうぶつえん(ひさかたチャイルド)▽おしえて、レンブラントさん(BL出版)▽からだのふしぎたんけんえほん/水の国の迷路(PHP研究所)▽むし歯の問題/地球/星空の話(福音館書店)▽いのりの石/AWORLDOFFOODもしもせかいがたべものでできていたら(フレーベル館)▽探し絵ツアー⑤古代世界を大冒険(文溪堂)▽地図で学ぶ日本の歴史人物/親子でたのしむ日本の行事(平凡社)▽看護師の一日/医師の一日(保育社)▽うんこダスマン/えんにち奇想天外/寿限無(ほるぷ出版)▽ライフタイム/人体絵本(ポプラ社)▽みんなちきゅうのなかまたち/バーナムの骨(光村教育図書)
【読み聞かせにふさわしい絵本セット】
▽ねっけつ!怪談部/ジャガーとのやくそく(あかね書房)▽だいすきなパパへ(あすなろ書房)▽きょうりゅうといぬどっちがつよい?(アリス館)▽あしにょきにょきにょき(岩崎書店)▽コロッケです。(学研プラス)▽おばけのやだもん(教育画劇)▽かえってきたへんしんトンネル/すすめ!きゅうじょたい(金の星社)▽Oneワン/パンどうぞ(講談社)▽ちゃんとたべなさい(小峰書店)▽くりちゃんのふしぎながっき/おでんしゃ(集英社)▽そらまめくんのあたらしいベッド(小学館)▽まいにちイキイキねむりのふしぎ(少年写真新聞社)▽カンカンカンでんしゃがくるよ(新日本出版社)▽しりとりのだいすきなおうさま/オオカミさん、いまなんじ?(鈴木出版)▽ようかいばぁ(そうえん社)▽ちいさなみどりのかえるさん(大日本絵画)▽マギマギのともだち(大日本図書)▽ほしをひろった?ムーミントロール/絵本星の王子さま(徳間書店)▽うまれてきてくれてありがとう/いないいないばあ(童心社)▽おばけのモジくんトイレいけるもん!/そらとぶてっぱん(ひかりのくに)▽ねこのピートだいすきなしろいくつ(ひさかたチャイルド)▽ずーっとずっとだいすきだよ(評論社)▽ミリーのすてきなぼうし(BL出版)▽いちにちむかしばなし(PHP研究所)▽いっすんぼうし(福音館書店)▽まんなかのはらのおべんとうや(フレーベル館)▽やさいだワッショイ!おいしさとどけ隊(文溪堂)▽こいぬのうんち(平凡社)▽おばけパーティ(ほるぷ出版)▽おおかみだあ!/ぴょーん(ポプラ社)▽トラさん、あばれる(光村教育図書)

雑誌配本新システム稼働へ/トーハン新春の会

2016年トーハン新春の会は1月7日に東京・文京区のホテル椿山荘東京で開かれ、書店、出版社など2322名が出席した。
冒頭であいさつした藤井武彦社長は、昨年と年末年始の書店売上動向を報告して、「堅調な書籍に対し、雑誌への対策を急ぐ必要がある。従来の実績参照配本を抜本的に見直し、6月に雑誌配本の新システムを稼働させる予定だ。また、読者の予約分を確実に書店に配本する仕組みを3月までに導入する」と述べ、書店には定期購読獲得や店頭での前号並列販売、出版社には雑誌の定価引上げの検討を呼びかけた。
書店店頭の重点施策については、①「TONETSV」「スコアV」を活用した売場改善、②客注の獲得強化、③店頭活性化プロジェクト――の成果を報告。店舗の複合化では最近の事例を紹介して、本年もより進化したコンセプトの複合売場を積極的に提案していくと述べた。また、LINEと提携したコミック試し読み実証実験や、ディズニー関連の新商材、店頭客注のさらなるスピードアップなど、新たな取り組みについて説明した。
出版業界全体の課題については、①消費税軽減税率、②図書館問題、③出版輸送の維持、④業界横断的な人材育成――の4点に言及。人材育成では、研修施設「トーハンセミナーハウス」の運用を2月から開始すると述べた。
来賓あいさつで紀伊國屋書店の高井昌史社長は、読書推進の重要性を強調し、「『朝の読書』実施率の高い県は、文部科学省の学力テストでも上位になっており、読書と学力は相関関係がある。自信をもって子どもたちに本を薦めたい。昔は1冊の本を家庭で読んで語り合う光景があった。家庭に良書が3百冊、トーハンの段ボール7箱くらいあれば、子どもが読んで必ず賢くなる」と話した。
特別ゲストの作家・湊かなえ氏のあいさつに続き、文藝春秋の松井清人社長が、『火花』が新しい読者を獲得している一方で、筒井康隆や三島由紀夫らの大家が以前出した本が地道に売れているという事例を紹介。「面白い本を読みたい人はまだたくさんいる。どうしたら読者を書店に誘導できるのか、書店、取次、版元が一丸となり、知恵を振り絞って考える1年になれば」と述べて乾杯した。

トーハン物流部門新年賀詞交歓会に135名

2016年トーハン物流部門新年賀詞交歓会が1月7日、東京・文京区の椿山荘で開かれ、関連会社など135名が出席した。
はじめにトーハンの栃木裕史常務取締役物流部門担当ロジスティックス部長があいさつ。「出版文化は我々取次の物流力が半分を担っている。まだまだやれることは残っている。活気あふれる活動の年にしたい」と述べた。
来賓を代表して中越運送の小林和男社長は「出版輸送の公共性と社会的使命は承知している。さらに輸送品質を高めたい」とあいさつし、乾杯した。
トーハンの藤井武彦社長は、セブンアンドアイホールディングスのオムニチャネルによる365日配送や3PL事業への協力に謝意を述べ、「出版業界は19年間3%の低落が続いているが、徐々に落ちるのは不況の形ではない。不況は一気に落ちるもの。3%ずつ落ちるのは不況ではなく『新しい常態』という前提で具体的な施策を考えることが大事」と指摘した。
また、取次業界のマイナス要因が顕在化していることについて「悲観していない。長い目で見て1つの調整局面」との認識を示し、「オムニチャネルや第3商材などで出版物以外の扱いを増やし、全体的な業量を確保したい。共同輸送については協業できるところは協業していく」と取り組みを説明した。

栗田との統合へ方針を説明/大阪屋おでんの会

大阪屋の「平成28年新春おでんの会」は1月9日に東大阪の本社関西ブックシティで行われ、書店、出版社など総勢1246名が出席した。
あいさつした大竹深夫社長は、最大の課題としていた返品率は大幅な改善が進められたと述べたほか、物流については、「注文物流強化に向けた拠点再編に昨年末から着手し、順調に部分稼働が始まっている。返品と新刊の協業化も出版共同流通とほぼ予定通り進捗している」と報告。新POSも予定通りリリースすると説明した。
昨年12月の債権者集会で再生計画案が承認された栗田との統合については、「4月1日の統合後の新会社作りに向けて両社で作業を進めている。栗田との関係は吸収分割を経た統合という形ではあるが、両社が対等な関係で一体となって力を結集し、大手とは異なる価値を持つ新しい出版取次を作り上げる」と説明。統合により、物流、システム、管理、仕入・配本・MDなどの各部門で人材の強化、効率化を図るとともに、人材交流による活性化に期待したいとした。また、流通のサービスレベルを維持・向上させていくために、可能なところから物流インフラの協業化を進め、業界の共通インフラ化につなげたいと述べた。
続いて竹中繁輝営業本部長が年末年始の売上状況について、全体で前年比97・6%、雑誌は同94・7%、書籍は同99・2%と報告。また大阪屋の4月~12月の売上は508億円、同101・8%で推移し、返品率は同6・0ポイント減の35・6%、雑誌が同3・2ポイント減の34・1%、書籍が同8・4ポイント減の38・0%と改善したと報告して、書店の店頭活性化支援策「メーカーズ・セレクト」「本屋フェス」や、店頭在庫を分析し商品を入れ替える「棚リフレッシュサービス」の展開、楽天のポイントサービス導入による集客効果など大阪屋の取り組みを説明した。
この後、集英社・堀内丸恵社長、日書連・面屋龍延副会長、日本書籍出版協会・矢部敬一副理事長、大阪屋友の会連合会・田村定良会長、ジュンク堂書店・工藤恭孝社長、首都圏栗田会・奥村弘志会長、大阪屋・大竹社長の7名で鏡開きを行った。

書店への支援体制を強化/日教販新春市会

第65回日教販春季展示大市会は、1月7日に東京・新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催された。
展示場では学習参考書・辞典約4千点を陳列したほか、情報コーナーでは、売れ筋商品リスト「MOST」をベースにした受発注システム「ビジュアル書店WEB」の活用例や、書籍とデジタルコンテンツを組み合わせたハイブリッドブックコーナーなどが設けられ、多くの来会者で賑わった。また、「教科書準拠版の基礎知識と教科書改訂前後の動き」をテーマに研修会が行われた。
昼過ぎに行われたセレモニーで、日教販の渡部正嗣社長があいさつ。渡部社長は前期業績について「不採算部門の撤退により減収となったが、主力分野である学習参考書・辞典は前年比1・6%増、教科書分野は同13・2%増となり、約1億円の経常利益を出すことができた」と報告。
同社の取り組みについては、「現在、特約や外商の発注を迅速、正確化するべくシステム化に力を入れている。採用品の発注から返品まで全てをシステム化した。システム利用で注文事故ゼロを目指す。書店への支援体制では、販売員増員による店売業務のサポート強化や、全営業マンへのタブレット導入を行った。商品特性に合わせた適正な補充で、売れ筋の切れない棚作りを実施する。これにより書店、出版社双方の売上と利益アップを目指していく」と語った。
日販との業務提携については、両社資産の有効活用による経費節減や、日教販の販売ノウハウを活かした日販帳合店の営業受託店舗の拡大、営業インフラの共同利用など、物流面・営業面での質的、量的拡大を図っていくと述べた。
続いて、来賓を代表して日書連の舩坂良雄会長があいさつ。舩坂会長は、消費税8%引き上げ後の厳しい売上状況について触れ、「明るい兆しは、年頭実績が前年を上回ったこと。この実績を1年続けていきたいが、出版物への軽減税率は、『有害図書』という表現でルール作りをするという問題が出てきた。『有害図書』は各都道府県の青少年健全育成条例に基づきこれまでも対応しているが、さらに一歩踏み込み、来年4月の増税時に間に合うよう、出版業界4団体で制度設計を行っていきたい」とと述べた。
この後、舩坂会長の発声で乾杯。福島日教販会の西猛会長(福島県書店商業組合理事長)から渡部社長に白河ダルマが贈呈され、来賓全員で片目を入れて新春学参・辞典商戦を祝った。

12月期は2・1%の減/書籍は児童書が2桁増続ける/日販調べ

日販営業推進室調べの12月期分類別売上調査は、雑誌・書籍・コミック合計で対前年売上増加率が2・1%減(先月4・5%減)と下げ幅が縮小した。
雑誌は5・0%減(同8・5%減)。前年に、高倉健最期の手記が掲載された『文藝春秋戦後70年記念特大号』(文藝春秋)など高倉健関連銘柄が複数発売された影響もあり、マイナスが続いた。
書籍は2・6%増(先月0・2%減)。新刊が好調だった児童書のほか、文芸書や学参も売上好調をキープしたため、プラスに転じた。児童書は13・4%増で、『きえた!?かいけつゾロリ』(ポプラ社)など、新刊を含む売上好調銘柄の影響を受け、2桁プラスが続いた。
コミックは7・3%減(同7・1%減)。青年ジャンルの売上増加率が好調に推移したが、その他のジャンルの不調が続き、マイナスが継続した。

セミナー

◇出版ビジネススクール「映画・音楽業界に学ぶ出版で生き残るために知るべきことと・学ぶべきこと」2月26日午後6時15分から東京・千代田区の岩波セミナールームで開催する。講師は前アルファベータ代表取締役編集長の中川右介氏。会費7000円。申し込み・問い合わせは出版ビジネススクール事務局まで。℡03―3234―7623

「よむよむ・わくわく広場」文京区で開催

幼児・小学校低学年を対象に絵本と出会う機会を提供する「よむよむ・わくわく広場in文京区」が12月6日、東京・文京区の文京シビックセンターで開かれ、親子連れで賑わった。
このイベントは、文字・活字文化推進機構内の「絵本・日本プロジェクト」(高橋小織会長=隆文堂)が、11年9月に第1回を東京で開催し、以降、福岡、仙台、静岡などで開催してきた人気イベント。今回は文京区、東京都書店商業組合文京支部、同・実行委員会、南天堂書房と共催。
当日は、真珠まりこさんなど絵本作家によるおはなし会やサイン会、和綴本や木版画でブックカバーとしおりを作る体験型イベント、あめ細工や和太鼓の実演などが行われたほか、絵本などを販売した。

読者謝恩「本の日」を提案/『火花』に新風賞贈呈/書店新風会新年懇親会

書店新風会(大垣守弘会長=大垣書店)は1月6日、東京・新宿区のハイアットリージェンシー東京で第50回新風賞贈賞式・新年懇親会を開き、会員書店、出版社、取次など182社・268名が出席。大垣会長は、全国の書店が読者還元する「本の日」を年1回設けることを提案した。
冒頭、あいさつした大垣会長は、今年の目標として「3つの連携の強化」を掲げ、①会員書店との連携を強め、複合商材の成功事例など様々な情報を共有しながら、新風会のネットワークを活かす、②各業界団体との交流を深め、業界あげての活動を進める、③出版社との交流を高め、各出版社の企画を新風会あげて販売強化する――とした。
年始の会員書店の店頭状況は、「初日の売上の平均は前年比15・6%増と好調で、最大40%増の書店もあった。幸先の良さを続けていきたい」と話した。
また、書店に足を運んでもらうきっかけ作りが必要と訴え、「再販制度の弾力的運用が言われる中でバーゲンブックなどをしてきたが、インパクトが弱い」と指摘。「全国の書店とともに年に1日『本の日』を作り、業界あげて謝恩価格など読者還元することで本の良さを知ってもらう機会を作ることが、起爆剤になる」と提案した。
来賓を代表して日本出版取次協会の藤井武彦会長(トーハン)は、与党税制改正大綱で出版物の消費税軽減税率適用が継続検討となったことに触れ、出版4団体が結束して実現を目指すと強調した。また、トーハンが取り組む施策として、店頭客注対応は3月までに1都6県で即日配送を開始すること、複合化については伊勢治書店の事例を報告した。
新風賞贈賞式では、受賞作の『火花』(又吉直樹、文藝春秋)を表彰。又吉氏に代わり文藝春秋の大川繁樹文芸出版局局次長兼第一文芸編集長が賞状と盾を受け取り、同社の松井清人社長が乾杯の音頭をとった。

生活実用書/注目的新刊

人間には思考や判断のクセがあって、それを脳科学では認知バイアスという。人の直感はそのクセのために、しばしば勘違いに陥ってしまう。
池谷裕二著『自分では気づかない、ココロの盲点』(講談社ブルーバックスB19511000円)はサブタイトルが、本当の自分を知る練習問題80。人間は自分のクセに無自覚であるということに無自覚という。つまり自分自身こそが最大の未知なのである。本当の自分に気づかないままいるのはもったいないので、自分の認知バイアスを知っておこうと提案している。
クイズ形式で80問。すべてに、たとえば選択盲、おとり効果、記憶錯誤などの認知バイアス用語が印される。
デパートの試食販売コーナーで①6種類のジャムを販売するブース②は24種類で、さてどちらのブースの売り上げが多かったか?これは選択肢過多効果。答えは①で②の場合より7倍も売っている。脳が同時に処理できる情報量は限られていて、許容量を超えると選ぶのをやめてしまうのである。お客の満足度も品数の少ないブースが高かった。
スーパーマーケットで売っている2種類のひき肉。ラベルには①脂身25%②赤身75%と表示されている。ではどちらを買う人が多いだろうか?実はどちらのひき肉も赤身75:脂身25で同じである。しかし脂肪成分を避けたい気持ちから②を選ぶ人が多い。表現を変えると印象も変わる。たとえば苦境に立たされた時、まだいけると思うか、もうダメだと思うかの大きな差になる。情報フレーミングだ。
アルボムッレ・スマナサーラ著『「忙しい」を捨てる』(角川新書K65 840円)は、スリランカの上座仏教の長老が語る時間にとらわれない生き方の方法である。
仏教にはそもそも時間論がない。時間は物理的に存在するのではなく、主観的な感情にすぎないという。脳科学で指摘されるように、自分という概念が自らを縛ってしまうのである。たとえば雪が降った時、狼狽える人と悠然と構える人がいる。他人の評価にこだわらず、気楽に考えればそれでいいのである。仏教が教える認知バイアスの姿で、苛立ちや不安が消えていく。
自我は錯覚にすぎず、本質的に存在しないのを知れば、煩悩もまた消滅するという。
(遊友出版斎藤一郎)

『火花』など10作品/本屋大賞候補が決定

2016年本屋大賞のノミネート10作品が1月20日、発表された。全国435書店552名が投票した。昨年、芥川賞を受賞した又吉直樹氏の『火花』、直木賞を受賞した東山彰良氏の『流』など話題作が揃った。2月29日まで2次投票を行い、4月12日に大賞を発表する。ノミネート作品は以下の通り。
▽『朝が来る』辻村深月、文藝春秋▽『王とサーカス』米澤穂信、東京創元社▽『君の膵臓をたべたい』住野よる、双葉社▽『教団X』中村文則、集英社▽『世界の果てのこどもたち』中脇初枝、講談社▽『戦場のコックたち』深緑野分、東京創元社▽『永い言い訳』西川美和、文藝春秋▽『羊と鋼の森』宮下奈都、文藝春秋▽『火花』又吉直樹、文藝春秋▽『流』東山彰良、講談社

長野まゆみ氏が受賞/野間文芸賞

野間文化財団が主催する野間文芸賞各賞の贈呈式が、12月17日午後6時から東京・千代田区の帝国ホテルで開催された。
今回受賞したのは、第68回野間文芸賞に長野まゆみ氏『冥途あり』(講談社)、第37回野間文芸新人賞に滝口悠生氏『愛と人生』(講談社)、古川日出男氏『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社)、第53回野間児童文芸賞に村上しいこ氏『うたうとは小さないのちひろいあげ』(講談社)。
贈呈式では、講談社の野間省伸社長があいさつの中で各作品の概要を紹介し、長野氏の野間文芸賞受賞作については「父の死をきっかけに娘が一族のルーツをたどっていく作品で、懐かしい昭和の原風景が印象的だった」と称賛。賞を贈呈した。
受賞者あいさつで長野氏は、「父の死によって、戸籍というものはある種の読み物であり、旅をするものなのだと感じた。戸籍の中から思いがけない地名が出てきたことで、一体どうしてそんなところでこの人たちは生きていたのかを書き留めておきたいと思った」と執筆の動機を語った。