全国書店新聞
             

平成18年3月11日号

POSで販売条件識別/複合店舗でICタグ実証実験

出版/音楽・映像ソフト業界における電子タグ活用実証実験が3月2日、千代田区のブックハウス神保町で報道関係者に公開された。この日のデモはマルチコンテンツ対応型KIOSK端末、スマートシェルフ、携帯電話を活用した付加価値情報提供、同一アイテムにおける販売条件識別実験、購入特典実験など。
マルチコンテンツ対応型POSレジシステムの実験では、書籍、CD、DVDの販売に併用でき、バーコードと電子タグの双方に対応できるPOSレジシステムが初公開された。このほか、電子タグが装着されることで同一タイトルでも委託・買切り、再販・非再販の取引条件別、仕入れ販売会社別の識別が可能になり、返品期限や在庫管理の適正化に応用できそう。
また、KIOSK端末では、パックされて立ち読みできないコミック本の試読、手書きPOP表示などのデモが行われた。
出版インフラセンター本間常務理事は「電子タグの実験は3年目。今年は経産省から他産業との連携をテーマに与えられ、レコード業界等との共同実験になった」と、複合店舗3店で行われた経緯を説明した。

「魔法の国へのパスポート」/こどもの読書週間標語

社団法人読書推進運動協議会が主催する「第48回こどもの読書週間」のマークと標語が決まった。今年の標語は「魔法の国へのパスポート」。4月23日の「子ども読書の日」から、5月5日の「こどもの日」をはさんで3週間、各種行事が実施される。

「業界標準」のコード/共有書店マスタ利用224社に

共有書店マスタ・ユーザー会(代表=筑摩書房・田中達治取締役)は3月1日午後3時半から東京・飯田橋のホテル・メトロポリタン・エドモントで全体報告会を開催。日書連と協業化してオーソライズされたことで会員社が224社に拡大、信頼性ある「業界標準コード」となったことが報告された。今後の運営は、公的機関への委嘱または法人化を視野においている。報告会では田中代表が共有書店マスタを作成してきた経緯として「正確な書店台帳を持っている出版社がほとんどない中で、情報基盤整備とコスト削減のため固有の書店マスタを作ろうと有志52社でデータベース構築、メンテナンス、配信を行ってきた。当初、大手出版社からの申し出を受け、6年間にわたって資金負担をいただいてきた。この2年間で会員が拡大し、現在224社となったため、計画していた一律月額1万円の会費が実現した。昨年4月にさかのぼって会費一元化ができた」と報告した。
さらに今後の予定として、①会員社が250~260社になれば会費月額8千円が可能、②早期に有志の会から公的機関に委嘱するか法人格を持ちたい、③ネットなどを利用した広報活動を考えていると、運営面での課題を示した。
小学館・田宮氏からは「2004年4月に日書連とS‐DB作成を協業化したことで、共有書店マスタがデファクト・スタンダードとして便利さと信頼性を得た」と説明し、現在も各都道府県書店組合
ごとに共有書店マスタを点検して廃業店をチェックしている事情を紹介した。
このあと、共有書店マスタを利用したFAX同報サービス「出版ゴールドサービス」の仕組みと運用が紹介され、出版社109社で利用されているとした。
報告会後の懇親会であいさつした日書連井門副会長は、共有書店マスタの整備状況について、「輸送業者などを利用して22組合でチェックを終え、うち17組合では完全に点検が終わっている」と報告した。

60名が参加してレディスランチの会/大阪書店組合

大阪府書店商業組合は2月21日、大阪府下を見下ろす大林ビル30階の「ル・ボンドシェル」でレディースランチの会を開催。60名がフランス人シェフによる料理を楽しんだ。今年は組合の財政逼迫から
開催を見送ってはという意見もあったが、組合員の強い要望があり、参加者から一部負担をしていただいての開催。
会は坂口昇組織委員長の司会で始まり、面屋龍延理事長が開会あいさつ。続いて有本美佐子(ホリーアリモト)、森千鶴子(オリオン書房)、高松美佐子(高松書店)の大阪組合女性部チーフ紹介があり、松原満佐子世話人代表が病気のため新理事になった松田和子さん(松田書店)が新チーフになることを了承した。
松田理事は「組合が行っている読書推進運動は今は書店利益に直接結びついていなくても遠い将来必ず実を結ぶと信じています。ぜひご協力を」と訴えた。
高松理事の乾杯の音頭でスタート。楽しく食事をすすめる中、組合事務局の木下礼子チーフ、寺西美佳さん、藤森憲子さんの紹介があり、金田喜徳郎事務局長が会場設営のいきさつを披露。2時過ぎに
閉会した。
(坂口昇広報委員)

紀伊國屋、640坪で出店/「組合加入、前向きに検討」/大分

大分県書店商業組合は2月24日午前11時から大分図書会議室で臨時理事会を開催。紀伊國屋書店の大分市出店説明会を行なった。
臨時理事会は理事8名が出席。最初にトーハン北九州支店松井支店長があいさつし、本年4月末に紀伊國屋書店が大分市に640坪で開店の運びになったことを報告した。場所は大分市明野アクロスタウン2番街。
続いて、紀伊國屋書店・長田店長より「取次はトーハン、金文図書、地図教販等。110坪はCD、DVD売場。洋書20坪、雑誌40坪で、残りは書籍売場。営業時間は午前10時から午後8時まで。専門書は社会科学、自然科学、医学看護専門書などを充実して置く。年間売上げ目標は12億円」と説明があった。
このあと質疑応答が行なわれ、「書店組合加入については各都道府県同様、前向きに検討する」「仲
間卸は掛率15%割引、レジで現金とする」「駐車場は2300台」「国内では59店舗目となる」「休日はテナント入居なので年間5日」「正社員6名とパート・アルバイト33名」「大分店もインターネットに対応し、書籍検索が可能となる」などの回答があった。
(金光直明広報委員)

生活実用書/注目的新刊

『般若心経』は古代インドの仏教経典『般若経』の要旨を簡潔に説いたもので、7種の漢訳が伝えられている。中でも玄奘(げんじょう)訳の266文字の経文が日本で広まった。これが現在我々の目にする『般若心経』である。
柳澤桂子・文/堀文子・画『生きて死ぬ智慧』(小学館1143円)は、命をテーマにした絵と現代語でつづる『般若心経』の訳本である。ちなみに「不生不滅」は「宇宙は一つづきですから生じたということもなくなくなるということもありません」と語られる。経文の根幹とも言うべき「空」の概念なのだが、それは実にむずかしい。
しかし、生命科学者、歌人でもあり、35年にも及ぶ闘病をされている1938年生まれの柳澤桂子氏と、独自の日本画の世界を展開し続ける1918年の堀文子氏とのコラボレーションは、説得力に満ちている。本書は柳澤氏の解釈であって絶対ではなく、読者にもそれぞれの理解の仕方があるのだと結んでいる。
1年間に10刷りを重ねて、なお人気なのは、今の時代を反映しているからである。本書は心で訳したという「心訳」と書かれているが、自由訳と記された本もある。新井満著『自由訳般若心経』(朝日新聞社1000円)である。
水上勉著『「般若心経」を読む―「色即是空、空即是色」愚かさを見すえ、人間の真実に迫る』(ビジネス社B選書952円)は、2年前に逝去された作家の自伝的般若心経行脚。20数年ぶりに復刊されたことを喜びたい。
石坂洋次郎著『陽のあたる坂道』(角川文庫)も復刊されて、陽が当たることになった。先人の知恵があって、それに抵抗したり、思考を深めながら新しいものは登場するのだから、古いからただ切り捨てるような風潮には、時に
歯止めがかからなければならない、と突然思うのである。
水上氏は9歳半で寺に預けられ、そこで口伝えによっていわばひらがなの音で般若心経を覚えた。摩訶般若波羅蜜多心経の1行目は「まあーか」と始まるのである。そうして自己を語りながら、正眼国師と一休禅師の解釈をなぞって読み進めていく。しかし「菩薩はお叱りになろう」と言いながら、色に迷い、理解できても承伏できないという生身の人間の姿はとても暖かい。(遊友出版・斎藤一郎)

東京青年部『区分地図』/年度内完売目指し拡販策

東京都書店商業組合青年部は同・地図事業部発行『区分地図』の拡販策として、このほど再販を外し
て一括販売を可能にした。本年度内完売を目指すための措置。さらに国際地学協会の新刊本(『東京23区東京案内人』文庫判など)の拡販を併せて行なうことで、相乗効果による売上増を目指す。
『区分地図』は現在8区(世田谷、目黒、杉並、中野、品川、大田、板橋、練馬)を発行。散策路、バス路線、避難場所など生活に役立つ地域情報を満載したエリアマップ。店頭や外商で地域住民と接する機会の多い地元書店がお客様の声を聞いて作った地域密着型の地図で、「使いやすい」「見やすい」と好評。問い合わせは東京都書店商業組合(℡03‐3291‐0853)まで。

4ヵ月で2万6千枚販売/読者謝恩図書カード/東京組合

東京都書店商業組合は3月2日、定例理事会を開催。「読者謝恩図書カード」は残枚数4千枚と順調に推移しているとの報告があり、3月末までの完売を目指して支部単位での一括購入促進を申し合わせた。
同カードは3万枚制作し、昨年11月から販売を開始。書店にできる読者サービスを具体化したものとして組合あげて取り組んできた。2月28日現在の販売枚数は2万6千枚で、残枚数は4千枚。柴崎副理事長は「完売目前まできた。年度内に完売し、読者の方々に喜んでいただくという目的を達成したい」として、各支部に協力を求めた。
図書館入札については各支部から受注が難しくなっているとの発言が相次ぎ、対策を検討していくことになった。また、TS流通協同組合の2月期売上げは950万6911円(対前年同月比28・5%増)と報告があった。
同日開かれた出版物小売業公正取引協議会東京支部の理事会では、2月10日の出版物小売業公正取引
協議会臨時総会でトレーディングスタンプ等による景品提供を1年目1%、2年目2%などとする景品規約改訂案が賛成多数で承認されたことが報告され、「東京組合の立場は『読者には景品と値引きの区別はつかない。トレーディングスタンプによるサービスを認めれば再販制度は崩壊する』というもの。今回、改訂案が承認されたことで、再販擁護運動は大きな転機を迎えた」「景表法のトレーディングスタンプと再販のポイントカードの見極めについて、今後、公取委としっかり詰めていく必要がある」などの意見が出た。

成功事例、販売手法を学ぶ/兵庫で経営セミナー

兵庫県書店商業組合は2月14日、定例理事会をエスカル神戸で開催した。
理事会に先立ち、中小企業人材確保推進事業の一環で行なわれた「雇用管理に関するアンケート調査」を踏まえ、総合経営研究所㈱アリエシステム代表取締役の松寿高一氏を講師に「書店経営の展望と、そのすすむべき道とは」と題して経営セミナーを実施した。
同氏は書店の複合化も今までの価値観を打破し、再構築する経営が必要になってきているとし、突飛なこと、ミスマッチを考える時期に来ていると述べた。また、小売業の成功事例を「メンバーシップ」「新事業展開」「多店舗化」「新チャンネル」「顧客ソリューション対応」「地域密着」「ブランド」といったキーワードで括り、紹介したあと、販売手法として熟知すべき「店頭販売」「訪問販売」「媒体販売」「配置販売」「展示販売」の5点の戦略と戦術について説明した。
理事会では、昨年10月から取り組んできた「女性・子どもを守る110番の店」について、インショップの3階以上の店舗を除く県下全店に、対応マニュアルとステッカー2枚を郵送、2月20日から実施する体制で兵庫県警と連携していくことを決めた。
(中島良太広報委員)

「声」/組合員のための新聞編集を/江別市・本のカナリヤ・松山雄洋

当店は全道エリアで療育、保育、教育書を販売している本屋?。絵画展示スペースもあり、ギャラリーは地域で絵を描いている人、プロの画家、ネパール人画家、ロシア人画家など国際色豊かな多くの方々が展覧会を開いてくれます。
素人でも最初に無心で描いた絵には力があります。お客さんと同行して某画伯の家を訪れ、飾られている絵を見て譲り受けることを申し出る。が、画伯は「これと同じ物を描くのでそれで如何」と持ちかける。お客さんは「それではその絵を貴方が飾り、ここにあるものを譲って欲しい」と受け、画伯は脱帽し絵を譲ったことがあります。
紙面もある意味では絵と同じだと思うのです。新聞関係者の前でその話をしたらギョッとした顔をしていました。何万個の目玉で見られているのも知らないで、日々に流されそれで「よし」としている
編集者がいたらそれこそ噴飯ものです。
以前、室蘭BM社長が「お客さんの苦情は神の声」を社訓としていることを紹介したことがあります。ここ数年商業組合・振興組合が解散し激減しているといいますが、組合員の「神の声」を畏れなかったのも大きな要因だと関係者から聞いたことがあります。
私は一昨年から去年にかけて有志の方々と市立小樽美術館と協力し「生誕100年大月源二展」を成功させました。また、30年間にわたり多くの方々の夢であった「画家大月源二の世界」(画集・大月書店発売)刊行に編集の一員として携わりました。大月源二は小林多喜二の盟友で、戦前労農党代議士山本宣冶がテロに倒れその葬儀「告別」を描いて一躍画壇にデビューし、社会に警鐘を鳴らしたひとりです。
テロ対策を名目に言論出版の自由が封殺されようとしている現在、その要とも言うべき新聞編集者が
「神の声」を畏れないのであれば、これを乗り越えて書店組合運動を進めなければならないと考えています。

人事

☆河出書房新社
(2月27日付)
代表取締役社長
若森繁男
常務取締役総務部長兼製作部長吉田正夫
取締役営業本部長
野澤慎一郎
同編集本部長山本濱賜
監査役野村智夫
☆アシェット婦人画報社
3月1日付で、広告本部、マーケティング・事業開発本部、販売部、宣伝部を、広告営業&マーケティング本部(マーケティング部、広告営業部)、販売部、宣伝部、ウェブパブリッシング課に再編。
3月13日付で上坂真人氏がセールス&マーケティングディビジョンマネージングディレクターとして入社し、再編部署全体を統括する。また、3月1日付で、下鶴英輔氏が広告営業&マーケティング本部長兼広告営業部長、伴戸靖子氏が
広告営業&マーケティング本部マーケティング部長兼国際広告課長として入社した。

日書連のうごき

2月2日出版物小売公取協規約改訂問題で、井門会長と大川事務局長が公取消費者取引課を訪問し、1月理事会の結果を報告。学校図書館における「日書連マーク」の現状視察レポートのため、志賀副
会長が山形県を訪問。
2月3日毎日新聞社第51回青少年読書感想文全国コンクール表彰式に丸岡会長が出席。
2月8日近畿ブロック会に志賀副会長が講師として出席。出版関連業界電子タグ標準化委員会に小林委員ら3名が出席。
2月10日出版物小売公取協臨時総会にて修正案を可決。同日、井門会長ら3名が公取消費者取引課を訪れ、臨時総会の結果を報告する。第4回出版平和堂委員会。
2月14日青少年育成国民会議平成17年度「青少年と社会環境に関する中央大会」に大橋副会長が出席。
2月15日出版物小売公取協として規約施行規則の修正案を正式申請する。
2月16日読進協事業委員会に舩坂増売委員長と大川専務理事が出席。第3回次世代メディアコンテンツ店舗活性化研究会に、鈴木専門委員と大川専務理事が出席。
2月17日JPO日書連派遣委員・情報化推進専門委員会合同委員会。芥川賞・直木賞贈呈式に丸岡会長と大川専務理事が出席。
2月21日日書連共済会監査会。雑誌発売日励行本部実行合同委員会に、藤原副会長はじめ担当委員が出席。
2月22日日書連各種委員会(増売、読書推進、書店経営実態調査、組織強化、共同購買・福利厚生、
流通改善、取引改善、再販研究、環境改善検討ワーキング、消費税問題、指導教育、広報)。児童図書増売「夏休みセール」三者会談に舩坂増売委員長ほか担当委員が出席。日書連共済会運営委員会。
日本図書コード管理センターマネジメント委員会に井門副会長が出席。
2月23日日書連2月定例理事会。日書連共済会理事会。出版物小売業公正取引協議会理事会。
2月24日「本のある風景」審査会。「サン・ジョルディの日」実行委員会。読書感想画中央コンクール表彰式に丸岡会長が出席。日本出版クラブ運営委員会に丸岡会長が出席。JPIC読書アドバイザークラブ修了式に丸岡会長が出席。
2月28日出版サロン会に丸岡会長と大川専務理事が出席。

文庫5百万部販売へ/ダ・ヴィンチ・コード

映画『ダ・ヴィンチ・コード』が5月20日、全世界同時公開されるのを前に、角川書店とソニー・ピクチャーズエンターテインメントの共同プロモーションが発表された。『ダ・ヴィンチ・コード』原作は単行本で220万部出ているが、3月10日には文庫本(上中下、各巻税込み580円)を発売。コンビニのローソンと組んで、文庫、前売りチケット、スペシャル映像DVDの入ったコンプリートBOXを販売する。前売り券1枚付き3040円、ペアチケット付き4140円。
3月6日、六本木・グランドハイアットで行われた記者会見で角川書店角川歴彦会長は「文庫本は初版から各60万部発行。20年ぶりに責任販売制度で出す。最終的には500万部販売したい」と述べ、
ソニー・ピクチャーズ宗方謙社長は「興行収入100億円、800万人動員を目指す」と強気な意気込みを見せた。

団塊の世代に向け個人全集カタログ

昭和の発展期を企業戦士として担い、家庭でも大黒柱として生きてきた団塊世代もあと数年で定年退職を迎える。ようやく余暇の持てるそんな世代に、改めて個人文学全集を読んでもらおうと全国割賦販売書店協同組合(略称=割販協、事務局=トーハン内)が『個人文学全集カタログ』を作成した。
A5判50頁、オールカラー、頒価税込み105円。掲載している個人全集は岩波書店、角川書店、講談社、集英社、小学館、新潮社、筑摩書房、中央公
論新社、文藝春秋の9出版社から出されている作家40人、42全集。
割販協吉村浩二理事長の提言で作成したもので、加盟会員6百法人に配布。来店客に配布したり、店頭展開、巡回販売で受注を促進する。

『KING』9月創刊/新雑誌&広告発表会で説明/講談社

講談社は3月3日午前11時から六本木のグランドハイアット東京に広告関係者を集めて「2006新雑誌&広告企画発表会」を開催。9月に20代後半から30代前半に向けた男性誌『KING』を創刊すると発表した。A4変型判中綴じ、予価580円、創刊号は20万部を発行予定。
発表会で野間副社長は「講談社は2月決算で今期は売上高1545億円、当期純利益52億円で減収増益になった。雑誌は前年比95%で、販売、広告とも前年実績をクリアできなかった。しかし昨年創刊した『グラマラス』『クーリエジャポン』は順調に推移している。2009年に当社は創業100周年を迎える。雑誌の社会的存在感と収益力の回復をめざしたい。6月のワールドカップに向けては公認ガイドブック刊行はじめ関連プロモーションを展開していく」とあいさつした。
女性7誌の最新動向、タイアップ企画、交通広告連動企画などの説明に続いて、『KING』原田隆編集長が読者特性、新雑誌の性格などを説明。9月創刊に向けて雑誌、ウェブ、イベントによるメイキング・ニュー・キング・プロジェクトを展開すると述べ、ゲストのサイバーエージェント藤田社長、楽天野球団島田社長、ドリームステージ榊原社長を交えてトークショーを行った。

大藪賞にヒキタ氏/徳間文芸3賞

徳間文芸3賞の贈賞式が3月3日午後6時より丸の内の東京會舘で開かれ、第8回大藪春彦賞はヒキタクニオ氏『遠くて浅い海』(文藝春秋)、第26回日本SF大賞は飛浩隆氏『象られた力』(早川書房)、第7回日本SF新人賞はタタツシンイチ氏『マーダー・アイアン万聖節前夜祭』の各氏に賞が贈られた。
大藪賞の選考報告で逢坂剛氏は「受賞作は殺伐とした内容だが、うまく小説的に処理され残酷感がない。沖縄の色やにおいが感じられる。主人公も大藪的な人物で、強く推す決意を固めた」と選評。日本SF大賞選考委員の小谷真理氏は『象られた力』について「1980年代から95年にかけて書かれた4つの中篇を収めているが、時の変化を受けつけない、読まれるべき未来の古典だと思った」と述べた。

実用書販売が下支え/日販オートマセール研修会

第41回日販オートマチックセール記念研修会が3月2日、伊香保温泉「福一」で開かれ、書店145名、版元31名、日販46名など222名が出席した。
懇親会であいさつした日販鶴田社長は「実用書はシェアが11%で一番安定した部分として売上げを支えている。細木数子の占星術は5年ものロングセラーで安定した売上げとなっている。日販は名古屋、九州、北海道と各地で商談会を実施しているが、顔を合わせて話し合うのが商売の原点。ハート・ツー・ハートの原点はオートマ研修会にある。今後も実用書ジャンルを確固たるものにしていきたい」と述べた。
書店を代表して紀伊国屋書店松原CEOは「オートマ研修会は出版界でも類例のない会で、私も24回出席している。42年前、日販社員の提案で実現した。求めるところに必然性もある。日販の温かい配慮に御礼したい。出版業界の景気は厳しい。この9年で13・32%も売上げが落ちた。その中で実用書は昨年も0・3%減にとどまり、下支えしている。売上げのうち雑誌が34・6%、コミックが18・9%で、残る45・6%のうち11・1%を実用書が占める。本年も叡智を結集して内容の濃い企画商品を送ってもらいたい」とあいさつした。
40周年記念で実施した実用書販売コンクールではA・B各セット上位5書店と支社別にエリア賞を表彰。入賞書店を代表してAセット最優秀賞=紀伊国屋書店新宿本店、Bセット最優秀賞=有隣堂横浜駅西口店、エリア賞九州支社=ブックスあんとく荒尾店をそれぞれ表彰した。
乾杯は主婦と生活社村山社長が「インターネットに対抗できるコンテンツビジネスを確立していきたい。出版社として独自性を持った企画を送り出していくのが課題だ」と述べ、乾杯の音頭をとった。

本屋のうちそと

「紙」の新聞を取るのを止めてしまった。経費節減の意味もあるのだが、夜、ヒマな我が店の店番をしながらパソコンでインターネットの各新聞をチェックする習慣が付いてしまい、その日の夜の内には知っているニュースをわざわざ翌朝の「紙」の新聞で確認する必要が無くなった。
と、いうわけで私は最近「紙」の新聞をあまり見たことが無い。無論、新聞広告も見ていない。2月21日のニュースによるとテレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ主要4媒体向けの広告費は前年よりも減少したが、インターネットの広告費は前年より約55%も伸びたという。来年にはインターネットの広告費が雑誌の広告費を追い抜くかもしれないという。出版社の雑誌売り上げ収入は書店・コンビニ等での販売収入と広告収入から成りたっている訳なのだが、書店員が毎朝「この雑誌、厚いし重いしヨー」とついブーブー言ってしまう雑誌の中には、販売
される前に既に広告収入でペイしているものもあるだろう。しかし今まで雑誌広告の消費者への対費用効率は半ば?なものだった。日本雑誌協会が実際の印刷部数に基づく発行部数を初めて公開したのも04年、それまでは自己申告だった。
広告収入が減った雑誌はこの先どうなるのだろう、経営が成り立つのだろうか? JALの記事を載せた週刊誌各位様、その後の広告収入は大丈夫でしたでしょうか?いっそ「ビンボーでも自由」と言ってみませんか、私達弱小書店のように。(海人)

難易度別に洋書紹介

洋販はペーパーバック全88タイトルを書籍の難易度で分類し紹介した『TOEICスコアレベル別ペーパーバック特集2006』を発行した。総ページ数44ページ。全国の洋書取扱い書店約3千点で配布。入門レベル、470点レベルなど4段階に分け、画像と内容紹介を付す。NHK教育の講師、大
西泰斗さんらのインタビューも掲載。