全国書店新聞
             

平成27年10月1日号

出版4団体「財務省案に反対」/出版物への軽減税率適用、強く求める/日書連理事会

日書連(舩坂良雄会長)は9月17日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。財務省が、2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際の負担緩和策として、飲食料品(酒類を除く)の税率2%分をマイナンバーカードを活用して還付する案を発表したことについて、日書連、書協、雑協、取協の出版4団体は同日、連名で「財務省案に反対し、出版物への軽減税率適用を求める」とする緊急声明を発表したと報告した。
[消費税問題]
消費税率を10%に引き上げる際の負担緩和策として飲食料品(酒類を除く)の税率2%分を払い戻す財務省の還付制度案について、日書連、書協、雑協、取協の出版4団体は9月17日、連名で同案に反対する緊急声明を発表した(声明全文は後掲)。
声明では「財務省案は国民に重い負担を強いる不備の多い制度で、欧州などで導入されている軽減税率とはまったく異なる仕組み。また、対象から出版物が除外されており、とうてい容認できるものではない」と批判し、問題点として①痛税感の緩和にならず消費が落ち込む②還付金額に上限が設定されているため負担軽減の効果が減殺される③マイナンバーカードの読み取り機を全国の小売店に設置する費用が膨大④個人情報流出の危険性がある⑤制度が複雑なため高齢者に不公平――などを指摘。「諸外国で運用され機能している本来の軽減税率の制度設計に速やかに着手し、出版物への軽減税率適用を必ず実現することを強く求める」としている。
面屋龍延委員長は「書店は地域に密着した存在。出版物に軽減税率を適用する重要性を地元の読者に訴えてほしい」と述べた。
[政策委員会]
舩坂良雄委員長が常設委員会の編成案を示し、承認した。全理事から所属委員会の希望を提出してもらい、これに出来るだけ沿う形で決めた。外部団体への役員派遣は後日決定する。
2016年度理事会等日程案を承認した。理事会は16年度も年6回開催。第28回通常総会は6月23日に開催する。また、日書連役員旅費交通費規定の一部変更案を承認した(理事会等日程は題字下に)。
関東・東北地方は9月10日~11日、台風18号で記録的な豪雨に見舞われ、河川の氾濫や土砂崩れなど各地で大きな被害が発生した。舩坂委員長は「被災した組合加入書店に見舞金を給付したい」と提案。理事会は、被害状況の調査から送金までの一連の対応を舩坂委員長に一任した。
名義使用許可では、「BOOKEXPO2015」(同実行委員会主催。11月13日、大阪市北区・グランフロント大阪)の後援、取協読書推進事業「読み聞かせ会」(実施期間15年12月12日~16年2月7日)の協賛を承認した。
[雑誌買切制度研究小委員会]
外商雑誌の買切による報奨金で書店収益を改善する取り組みについて、藤原直委員長が取次、出版社との話し合いなど、これまでの経過を報告した。
[流通改善委員会]
雑誌発売日問題で、日書連の要望として以下の7項目を雑誌発売日励行本部委員会に提出すると藤原委員長が報告した。①全国同時発売を目指して、発売日格差の解消に努めていただきたい。まずは、3日目地区(北海道ならびに九州地区)を2日目地区に繰り上げるご努力を願いたい②沖縄地区の「週刊誌航空輸送」の早期実現に向けて、格段のご尽力を賜りたい③年間購読など、出版社が読者に販売する雑誌の着荷日については、該当地区の発売日に合わせた調整を願いたい④「雑誌発売日励行に関する協約」と「契約」の普及と「正しい理解」の啓蒙を促進するために、強力な指導力を発揮願いたい。特に、悪質な違反に対しては資格の取り消しを含めた厳格な対応を願いたい⑤読者目線に立って合併号を廃止し、年間を通してレギュラー発売が出来るようなシステムを構築していただきたい⑥「週刊朝日」「サンデー毎日」の同一地区、同時発売に向け、関係各位の格段のご努力を願いたい⑦休配日等の日程決定に際しては、書店側の意向も反映されるよう検討願いたい。
図書館問題では、佐賀県の武雄市図書館の指定管理者カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、図書館リニューアル開館前の準備段階で、当時グループ会社だったネットオフ等から中古本を中心に購入した1万132冊のうち2年半で一度も借りられていない本が1630冊あることが判明したとして、同じ冊数を新たに選書して寄贈することを発表したと報告。藤原委員長は武雄市のほか広島県尾道市、岡山県玉野市などの例を挙げながら、指定管理者の状況について全国各地から情報提供してほしいと呼びかけた。
また、JPO書店データマスターのクリーニングについて、藤原委員長は「組合加入促進ツールとして活用できる」として、改めて各県組合に協力を求めた。
[書店再生委員会]
「和食」「しきたり」「和の手芸」「伝統」等の実用書、小説、エッセイ、児童書、解説ガイドなど出版社19社20点のイチオシ企画を増売し、書店の収益改善を図ることを目的に実施する第2回「書店金賞『和~日本のこころ』」は7月末の受注締切までに345書店378セットの申込があったと本間守世委員長が報告した。
9月初旬、着荷した書店から順次販売を開始し、11月15日までの実売数で書店金賞を決定。同20日、書店会館で受賞作の発表会を開き、12月16日の日書連主催「出版販売年末懇親会」で贈呈式を行う。
[取引改善委員会]
村上春樹著『職業としての小説家』(スイッチ・パブリッシング)の初版10万部のうち9万部を紀伊國屋書店が買い切って全国の書店に流通させる取り組みで、東京組合が仕入窓口となって組合員書店に申込みを募り、64店から計500冊を受注した。柴﨑繁委員長は「東京組合は主にTS流通協同組合が配本と決済を担った。今後再びこうした取り組みが行われた場合、各県組合が独自の配本システムと決済システムを作るなど様々な方法論が考えられる。準備してほしい」と述べた。
また、栗田が6月26日付で民事再生手続き開始申し立てを行って以降の経緯と、来春に予定される大阪屋との経営統合について説明した。
[読書推進委員会]
独自展開の企画を提出した組合に補助金を支給する「サン・ジョルディの日PR企画推進費」の名称を平成28年度は「読書推進活動補助金」に変更したいと西村俊男委員長が提案し、承認された。これまで4月23日のサン・ジョルディの日に合わせた企画だったが、28年4月~同10月の期間の読書推進活動を対象に補助金を支給する。支給総額は300万円。1組合当たりの支給額は20万円を上限とし、提出された企画案を委員会で検討のうえ算出する。エントリーする組合は所定の申込書に企画概要と諸費用概算を記入し、27年11月30日までにファックスで申し込む。採用された組合には12月下旬に支給金額を通知する。
読売新聞東京本社と日書連のコラボレーション企画「読売新聞本屋さんへ行こう!キャンペーン」は、これまで首都圏1都8県の全組合加入書店で実施してきたが、読売新聞東京本社からの申し出で、来年以降は事前にキャンペーンへの参加希望を取り、参加を希望した書店に対してポスターおよび応募ハガキを送る参加希望制に変更することとなった。日書連から該当書店に案内を郵送し、参加希望書店は申込書を所属の都県組合にファックス。都県組合が申込書をとりまとめ、日書連に提出する。
[指導教育委員会]
全国小売書店経営実態調査は7月21日に回収を締切った。回答数は1193通、回収率は29・7%。回収率目標30%を達成した組合は佐賀組合(60・0%)を筆頭に18組合だった。鈴木喜重委員長は「調査結果と書店の声を掲載した冊子を作り、来年6月の日書連通常総会前までに配布したい」と述べた。
[組織委員会]
各都道府県組合の加入・脱退状況は、6月期が加入1店・脱退25店で前月比24店純減、7月期が加入5店・脱退14店で同9店純減、8月期が加入なし・脱退20店で同20店純減。8月末現在の日書連傘下組合加入書店数は3912店になったと中山寿賀雄委員長が報告した。
昨年から受注生産となった日書連のオリジナル手帳「ポケッター16」は8月20日の締切までに4万1800万部の申込があり、別表の通り販売価格が決定した。締切日以降の申込およびキャンセルは出来ない。11月上旬頃に取引取次より配送する。

【緊急声明】消費増税還付「財務省案」に反対し出版文化への軽減税率適用を求めます
2015年9月17日
日本書籍出版協会
理事長相賀昌宏
日本雑誌協会
理事長石﨑孟
日本出版取次協会
会長藤井武彦
日本書店商業組合連合会
会長舩坂良雄
今般、財務省は消費税率10%時の負担緩和策として、飲食料品(酒類を除く)の税率2%分を還付する案を発表しました。しかしながら、この財務省案は国民に重い負担を強いる不備の多い制度であり、欧州などで広く導入されている軽減税率とはまったく異なる仕組みです。また、負担緩和の対象からは私たちが強く求めてきた出版物が除外されており、とうてい容認できるものではありません。
財務省案の問題点は多岐にわたっています。①購入時の支払いには10%が一律にかかるため痛税感の緩和にはならず、消費の落ち込みにつながる。②還付金額には上限が設けられるので、負担軽減の効果が減殺される。③マイナンバーカードの活用が前提となっているが、カードの読み取り機を全国の小売店に設置する費用が膨大になり、買い物の際のデータを蓄積するための組織創設やシステム構築に新たな財政負担が生じるうえに、システム構築が10%引き上げ時に間に合わない。④カードの紛失や盗難などで、個人情報が流出する危険性がある。⑤還付を受けるための制度が複雑なため、高齢者などに不公平が生じる――などです。
出版界はこれまで繰り返し出版文化への軽減税率適用を求めてきました。食が「身体の糧」であるのと同様に、書籍・雑誌・新聞等の活字文化は「心の糧」であり、健全な民主社会を構成するための知的インフラとして必要不可欠だと考えるからです。豊かな読書体験は「考える力」「健全な判断力」を育み、国民の知的水準を維持・向上させ、技術力や国際競争力を強化することにつながります。出版物を容易にかつ低価格で手に入れられる環境を整備することは、子どもたちの将来のための投資でもあるのです。
ヨーロッパの先進国、アジア諸国では出版物に軽減税率が適用されています。
わが国も、根本的な不備のある制度導入のためにいたずらに時間を浪費するのではなく、諸外国で運用され機能している本来の軽減税率の制度設計に速やかに着手するべきです。そして、出版物への軽減税率適用を必ず実現することを強く求めます。
以上

2016年度日書連理事会等日程

▽16年4月=委員会20日・理事会21日▽同5月=委員会25日・理事会26日・公取協総会26日▽同6月=委員会22日・理事会23日・通常総会23日▽同7月=休会▽同8月=休会▽同9月=委員会14日・理事会15日▽同10月=休会▽同11月=休会▽同12月=委員会14日・年末懇親会14日・理事会15日▽17年1月=休会▽同2月=委員会15日・理事会16日▽同3月=休会

新会長に春井宏之氏(愛知)/活動増強へ意見交換/東海ブロック会

日書連東海ブロック会が8月24日、愛知県名古屋市内で開催され、木野村匡(岐阜)、別所信啓(三重)、江﨑直利(静岡)、古澤隆(同)、後藤雅利(山梨)、春井宏之(愛知)、谷口正和(同)の7氏が出席。木野村祐助会長(岐阜)の退任を受け、新会長に春井氏を選出した。副会長には江﨑氏が就任した。
会合では、組織のあり方、今後の活動について意見交換を行い、ブロック単位での活動を増強することを確認。次回開催に向けて発展的な一歩を踏み出した。(太田武志広報委員)

平成27年度日書連常設委員会

◇政策委員会(総務・財務・渉外全般、事業活動企画)
委員長=舩坂良雄(東京)
委員=鈴木喜重(千葉)、藤原直(宮城)、中山寿賀雄(長崎)、面屋龍延(大阪)、柴﨑繁(東京)、西村俊男(新潟)、本間守世(東京)
○雑誌買切制度研究小委員会(外商雑誌等の買切制度)
委員長=藤原直
委員=成田耕造(青森)、田島敏幸(東京)、光永和史(愛媛)、都渡正道(福岡)
○事業研究小委員会(新規事業研究)
委員長=中山寿賀雄
委員=志賀健一(北海道)、山根金造(兵庫)
◇組織委員会(加入促進、加入メリットの研究、共同購買事業、福利厚生事業)
委員長=中山寿賀雄
委員=五十嵐太右衞門(山形)、池田和雄(茨城)、竹内靖博(群馬)、吉田矩康(埼玉)、田島敏幸(東京)、吉田徳一郎(滋賀)、都渡正道
◇指導教育委員会(書店人の育成、出版倫理、調査活動、研修会、万引対策)
委員長=鈴木喜重
委員=五十嵐太右衞門、西猛(福島)、竹内靖博、天野潔(神奈川)、小林洋(東京)、江﨑直利(静岡)、岡森泰造(三重)、森井清城(石川)、戸和繁晴(大阪)、今井直樹(島根)、山本秀明(広島)、西尾文士(香川)、森松正一(福岡)、福田健太郎(大分)、田中隆次(宮崎)、楠田哲久(鹿児島)
◇広報委員会(新聞の発行、資料収集、独自調査、消費税対応)
委員長=面屋龍延
委員=小林洋、春井宏之(愛知)、木野村匡(岐阜)、塩川明人(長野)、吉田徳一郎、光永和史、森松正一、福田健太郎
◇流通改善委員会(客注迅速化、雑誌発売日、ISBN対応、JPO対応、情報化推進)
委員長=藤原直
委員=志賀健一、加賀谷龍二(秋田)、玉山哲(岩手)、西猛、池田和雄、杉山和雄(栃木)、筒井正博(神奈川)、田島敏幸、丸田茂(富山)、森井清城、三宅久嗣(京都)、林田芳幸(奈良)、宇治三郎(和歌山)、山根金造、杉嶋運一(鳥取)、小野正道(岡山)、西尾文士、五藤栄一郎(高知)、長﨑晴作(熊本)、小橋川篤夫(沖縄)
○図書館サポート部会(図書館対応)
部会長=高島瑞雄(福島)
委員=成田耕造、平野惣吉(徳島)、堤洋(佐賀)、楠田哲久
専門委員=岩瀬且敏(東京)、湯本光尚(東京)、長尾幸彦(愛知)、中尾隆一(福岡)
○「ためほんくん」部会
(「ためほんくん」対応)
部会長=深田健治(大阪)
委員=高島瑞雄
◇取引改善委員会(不公正取引問題、送品・返品同日精算、雑誌付録、適正配本)
委員長=柴﨑繁
委員=天野潔、春井宏之、木野村匡、岡森泰造、安部悟(福井)、戸和繁晴、三宅久嗣、宇治三郎、山根金造、杉嶋運一、光永和史、五藤栄一郎、堤洋、田中隆次
◇読書推進委員会
委員長=西村俊男
委員=成田耕造、加賀谷龍二、杉山和雄、吉田矩康、筒井正博、後藤雅利(山梨)、江﨑直利、丸田茂、塩川明人、安部悟、林田芳幸、今井直樹、長﨑晴作
◇書店再生委員会(書店再生研究、再販研究、ポイントカード)
委員長=本間守世
委員=志賀健一、玉山哲、後藤雅利、小野正道、山本秀明、平野惣吉、都渡正道、小橋川篤夫

こどもの本BFが盛況裏に終了/トーハン

トーハンは取引書店と共催で「2015こどもの本ブックフェア」を全国4会場で開催。今年は7月24日~26日の岡山会場(コンベックス岡山)を皮切りに、7月26日~28日に京都会場(京都市勧業館)、8月2日~4日に札幌会場(札幌総合卸センター)、8月5日~7日に福岡会場(福岡国際会議場)で行い、合計約1万7200人、約560校を動員した。
開幕セレモニーでは、協賛団体を代表して日本児童図書出版協会より、岡山会場は岩崎書店・岩崎弘明会長兼社長、京都会場はPHP研究所・清水卓智社長、札幌会場はポプラ社・奥村傳社長、福岡会場は福音館書店・小倉昇社長があいさつした。
各会場では、絵本、読みもの、児童図書や保育・教育書など出版社約320社、2万点、計5万冊を展示。企画コーナーはテーマ別に約30のブースを設け、「よみきかせ絵本人気ランキング」「朝読、うちどく」「夏の自由研究~調べようコーナー・工作コーナー」などの定番から、「戦後70周年~平和について考えよう」など多彩な企画を展開した。また、絵本作家のあんびるやすこ氏、とよたかずひこ氏、真珠まりこ氏を招き、各会場でイベントやサイン会を開催。福音館書店の協力で行ったイベント「ぐりとぐらたまごのくるまがやってくる」(岡山・福岡)では『たまごのくるま』に乗って記念撮影ができ人気を博した。

平均読書量は月3・1冊/講談社、学研が子どもの読書調査

講談社と学研ホールディングスは、小学4年生から中学3年生までを対象とする読書実態調査を共同で実施した。同調査は、今年3月13日から15日まで、各学年男女百名ずつ合計1200名の子どもに対し、保護者付添いのもとインターネット上で回答してもらう方式で実施した。
保護者の1ヵ月の読書量を0冊、1~2冊、3~5冊、6冊以上の4グループに分類し、各グループに属する子どもの読書量の関係を見てみると、親が全く本を読まない子どもの1ヵ月の読書量が平均2・1冊だったのに対し、親が1ヵ月に本を6冊以上読む子どもの読書量は平均6・9冊。親がよく読書する家庭では子どもも本をよく読む傾向にあることがわかった。
子どもの読書量と余暇時間の過ごし方の関連性については、子どもの1ヵ月の読書量を0冊、1~2冊、3~5冊、6冊以上の4グループに分類。各グループに属する子どもが、余暇時間の過ごし方として「家族との会話・団らん」を選んだ割合を調べると、読書量が増えるほど、「家族との会話・団らん」を選ぶ割合が増える傾向がみられた。
また、子どもに「いま熱中していること」を最大5つまで自由記述方式で挙げてもらい、熱中していることの数によって、「ない」から「5つ」までの6グループに分類。各グループに属する子どもの1ヵ月の読書量を調べると、熱中していることの数が多い子どもほど読書量も多い傾向がうかがえた。
子どもの1ヵ月の平均読書量(雑誌・漫画含まず)は、全体では3・1冊。最も多かったのは「まったく読まない(0冊)」という子どもで全体の27・1%を占めた。男子より女子の方が読書量が多い傾向と、学齢が上がるにつれて読書量が減る傾向がみられ、最も読書量が多かったのが小学4年女子の月6・5冊、最も少なかったのが中学3年男子の月1・6冊だった。
1ヵ月の本の平均購入量を聞くと、全体では月0・9冊。1ヵ月に1冊も購入しない子どもが55・1%にのぼった。男女別では、読書量と同様に男子より女子の方が購入量が多い傾向が見られた。一方、学齢ごとの分析では、学齢が上がるにつれて購入量が若干ながら増える傾向がうかがわれた。なお、全学年で最も購入量が多かったのは、小学5年女子の月1・3冊だった。購入量より読書量が多いのは、図書館の利用や、友だち間での貸し借りがあるためとみられる。

10月19日に書店大商談会/東京ドーム・プリズムホールで

第6回「書店大商談会」が10月19日に東京・文京区の東京ドーム「プリズムホール」で開催されます。出展は、過去最多となる244社・250ブース。一般書、ビジネス書、児童書、コミック、第三商材のコーナーを設置し、各社オリジナルの拡材、特別受注条件などの特典が満載です。著者サイン会、サイン本受注コーナー、勉強会など多彩なイベントも行われます。来場者には、店頭で役に立つ「出展社営業担当一覧」冊子をプレゼントします。皆様ぜひご来場ください。
▽日時平成27年10月19日(月)午前11時~午後5時半
▽会場東京ドーム「プリズムホール」(JR総武線・都営三田線水道橋駅から徒歩5分、都営大江戸線・三田線春日駅から徒歩10分、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩10分)
▽主催「書店大商談会」実行委員会
▽後援日本書店商業組合連合会、東京都書店商業組合ほか
▽問い合わせ帳合の取次担当者または「書店大商談会」実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=JPIC)まで。℡03―5211―7282

「読書キャンプ」に小学生百人が参加/文字・活字機構

文字・活字文化推進機構と国立青少年教育振興機構は、7月30日から8月2日までの3泊4日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで「読書と体験の子どもキャンプ」を開催した。
8回目の今年は、全国34都県の読書活動優秀実践校など54校の小学5・6年生100人が参加。2日目に印刷博物館を見学、グループ別にKADOKAWA、講談社、集英社、小学館、新潮社を訪問した。3日目は代々木公園で読書を楽しみ、絵本作家・宮西達也氏の講演を聴講。最終日は、「本の良さを伝えよう」をテーマに発表会を行った。

10月27日から読書週間/日書連は「書店くじ」を実施

恒例の秋の行事「読書週間」(読書推進運動協議会主催)が10月27日から始まる。今回のポスターのイラストは、応募総数460点の中から選ばれた、かずきにをさん(大阪府、学生)の作品。標語は同3386点の中から、賀澤隆一さん(東京都)の「いつだって、読書日和」が選ばれた。
また、日書連は読書週間に合わせて「読書週間書店くじ」を実施するに当たり、店頭掲示用ポスターを作成した。1等賞として図書カード1万円分が4百本当たり、1等賞から4等賞まで賞品総額2860万円、合計20万9千本、9・6本に1本が当せんする。ポスターは、日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)からファイルをダウンロードして印刷する。
※書店くじの申込みは8月20日で締め切っています。締切日以降の申込みはできません。

山形・名古屋でこどもワールド/日販

日販は、「本と遊ぼうこどもワールド2015第37回優良児童図書展示会」を、山形会場(山形ビッグウイング、8月7日~9日)、名古屋会場(名古屋市公会堂、8月8日~10日)の2会場で開催した。
山形会場では、オープニングセレモニーで日販・吉川英作専務、日本児童図書出版協会の講談社・森武文専務があいさつ。山形県と山形市への図書贈呈を行った。会場には、年齢別ブックガイド「いくつのえほんコーナー」を始め、「戦後70年コーナー」「YBC(山形放送)指定図書コーナー」などを設置。日替わりで、柏野和佳子、スギヤマカナヨ、いしかわこうじ各氏によるクラフト体験、ワークショップや、クイズラリー等を行い、多くの親子連れで賑わった。来場者は3日間で4649名。
名古屋会場は、1979年から連続37回目の開催。オープニングセレモニーでは日販・加藤哲朗専務、日本児童図書出版協会の小峰書店・小峰紀雄社長があいさつし、児童福祉施設への図書贈呈を行った。今回はサブテーマを「きて!みて!だいすき!」とし、会場全体をアウトドアをイメージして装飾。名古屋会場オリジナル企画「書店員が選んだおススメの絵本」コーナー展示のほか、日替わりで蟹江篤子氏のトークライブ、深谷圭助氏の辞書引き学習、くぼたまさと氏の「工作ショウ」などのイベントを実施した。来場者は3日間で5593人。

呉勝浩氏の『道徳の時間』/江戸川乱歩賞

ミステリー作家の登竜門、第61回江戸川乱歩賞(日本推理作家協会主催、講談社・フジテレビジョン後援)の贈呈式が、9月10日に東京・千代田区の帝国ホテルで開催された。
今回受賞したのは、呉勝浩氏の『道徳の時間』。贈呈式では、日本推理作家協会の今野敏代表理事、講談社の野間省伸社長、フジテレビの亀山千広社長があいさつ。今野代表理事から呉氏に正賞の江戸川乱歩像と副賞が贈られた後、選考委員を代表して辻村深月氏が選考経過を報告した。辻村氏は受賞作について「読み始めると、賞の選考だということを忘れて読みふけった。作内に現れる謎がきわめて見事。過去と現在の事件について次々と新しい真相が明らかになり、読者を最後まで引きつける、リーダビリティにあふれた作品だ」と述べた。
受賞者あいさつで呉氏は「大変な世界に飛び込んでしまったというのが実感だが、この場所を目指したのは私自身の意思。こうなった以上は絶対に生き残ってやると思っている。2作目は、皆様の予想を少しでも超える作品をできるだけ早く発表したい。この先は自分の力で切り開いていくほかないと覚悟し、いつまでも挑戦を続けていきたい」と抱負を語った。

ノンフィクション賞に眞並恭介氏/講談社3賞の贈呈式

平成27年度講談社ノンフィクション賞、講談社エッセイ賞、講談社科学出版賞の贈呈式が9月17日、東京・千代田区の如水会館で行われた。
受賞したのは、第37回講談社ノンフィクション賞に眞並恭介氏『牛と土福島、3・11その後。』(集英社)、第31回講談社エッセイ賞にジェーン・スー氏『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)、第31回講談社科学出版賞に宮原ひろ子氏『地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来』(化学同人)。
贈呈式では、講談社・野間省伸社長があいさつを述べたのち、受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。受賞者あいさつで、ノンフィクション賞を受賞した眞並氏は「原発事故とは何であったのかを今の段階で考え尽くすことはできないし、十分に表現することもできないが、放射能に汚染された大地に立って、そこで何を見るか、何を感じるか、何を考えるかということだと思う。賞の選評で、中沢新一さんが『動物の弁護士』と言ってくださった。これは自分に大きな目標を示していただいたと思っている。この受賞を励みに、牛やいろんな動物と一緒に原発事故後の世界を見つめ、自分なりに表現していきたい」と述べた。

売上高3・1%減/総資本対経常利益率は改善/日販『書店経営指標』

日販は全国83企業508店舗の経営関連データを収集分析した2015年版『書店経営指標』を発行した。店舗全体の売上高は前年比3・1%減と18年連続の前年割れになった。総合的な収益性を示す総資本対経常利益率は0・51%で、同0・06ポイント改善。交差主義比率は148・70%で同0・99ポイント減少した。また、労働分配率は44・29%と同2・36ポイント改善した。
2014年の売上高は、売上構成比別にみて、Bookが前年比3・1%減、レンタルが同2・3%減、セルが同3・8%減、ゲーム・トレカが同2・1%減と減少傾向の中で、文具は同3・2%増、飲食料品・雑貨は同8・9%増と前年を上回った。店舗全体では同3・1%減と18年連続のマイナスになった。
立地別にみると、商店街の落ち込みが最も大きく前年比6・1%減。以下、郊外同3・4%減、駅ビル2・9%減、駅前2・0%減で、SC内は同0・4%増と唯一前年よりプラスになった。
売上総利益率は前年比0・84ポイント増の28・82%。営業利益率は同0・31ポイント減少し0・21%になったが、経常利益率は同0・25ポイント増の0・75%と改善した。
売上構成比別にみると、BOOKの売上が80%以上を占める「専業」は、売上総利益率が前年比0・36ポイント減の23・61%、営業利益率は同0・99ポイント減のマイナス0・91%、経常利益率は同0・04ポイント減の0・52%といずれも低下。一方、BOOK売上50%未満の「複合店」は、売上総利益率は同1・19ポイント減の31・48%と低下したものの、営業利益率は同0・29ポイント増の1・28%、経常利益率は同1・02ポイント増の1・47%といずれも改善した。
収益性の総合指標である総資本対経常利益率は、前年比0・06ポイント改善して0・51%になった。平均在庫が一定期間に何回転するかで仕入れから販売までの効率性を示す商品回転率は、同0・19回減の5・16回となった。商品回転率の減少により、商品在庫が効率よく利益を生み出しているかを測る交差主義比率は、同0・99ポイント減の148・70%になった。
短期支払能力を測る指標である当座比率は、前年比4・32ポイント悪化して46・46%。返済義務のない自己資本の割合を表す総資本対自己資本比率は、同3・67ポイント改善して19・29%になった。
従業員1人当たりの売上総利益を表す労働生産性は前年比14万1千円減少して477万5千円。1時間当たりの売上総利益を表す人時生産性は、同522円改善して3897円となった。売上総利益に占める人件費の割合を見る労働分配率は40%以下が望まれるが、同2・36ポイント減の44・29%と改善した。
正規従業員の年間勤務日数は前年比1日増の269日。年間総実労働時間は同120時間増の2324時間。一方、パート・アルバイトの年間総実労働時間は同199時間増の1345時間となった。また、正規従業員の平均月給は同5千円増の26万7千円、パート・アルバイトの時給は同11円増の820円だった。
『書店経営指標』2015年版(B5判45頁、頒価税込1620円)に関する問い合わせは、日販営業推進室店舗サービスグループ書店サポートチームまで。℡03(3233)4790
〔調査店の内訳〕
〈Book売上構成比別〉
Book売上構成比80%以上32・1%
同50%以上80%未満
22・6%
同50%未満45・3%
〈収益(経常利益率)別〉
3%以上11・4%
1%以上3%未満
22・6%
0%以上1%未満
26・4%
0%未満39・6%
〈売上規模別〉
10億円以上54・7%
5億円以上10億円未満
9・4%
3億円以上5億円未満
5・7%
3億円未満30・2%

連続テレビ小説「まれ」の写真集/NHK出版

NHK出版は、連続テレビ小説「まれ」の世界観をビジュアルでまとめた『NHK連続テレビ小説まれ写真集』を9月16日に発売した。B5横(B4変型判)並製96頁、オールカラー、定価本体1800円。
今回発売したのは、番組のポスター写真や、毎回ドラマの最後に放送されるヒロインの人物・風景写真を撮影した、写真家の市橋織江氏による写真集。番組素材用に舞台地の能登と横浜で撮影したヒロイン・津村希を演じた土屋太鳳さんと風景の写真は約1600点にのぼり、その中からこの写真集のために市橋氏がセレクトした未公開のものを含む、貴重な写真をまとめた。土屋さんと「まれ」のファンにとって必携の写真集となっている。

世界で人気のキャラクター「プシーン」を共同展開

トーハンと早川書房は、世界的な人気を集める猫のキャラクター「プシーン(Pusheen)」の書籍などを共同で展開する。
プシーンは、2013年頃からインターネットを中心に話題になっている、アメリカ発のキャラクター。Facebookのアプリ、メッセンジャーのスタンプは毎日1千万人以上の人が利用しており、プシーンの公式Facebookは、880万件の「いいね!」を獲得している。共同展開では初めに、キャラクターブック『ねこのプシーンバイリンガル・キャラブック』(クレア・ベルトン著、A5判変型192頁、本体価格1300円)を9月18日に発売、トーハン独占販売のMVPブランド商品として全国書店で販売する。
原書は13年にアメリカで刊行され、キャラクターブックとしては異例の10万部を突破、ドイツ語・フランス語・中国語版など世界各国で翻訳出版されている。今回のキャラクターブックは、イラストを豊富に収録し、1冊でプシーンの魅力がわかる内容で、英語と日本語を併記しており、対訳の読み比べも楽しめる。同書の発売に合わせ、ぬいぐるみ、ポーチなどのグッズ(発売・田畑㈱)も同時に書店で展開する。

講談社『ママがおばけになっちゃった!』、2か月で15万部に

講談社の絵本『ママがおばけになっちゃった!』(のぶみ著、B5変型判32頁、定価本体1200円)が7月の刊行後2ヵ月あまりで15万部に到達、全国の読者から続々と感動の声が届いているという。
ママが交通事故で死んでしまう衝撃的な場面から始まるこの作品は、「死」という子どもには難しいと思われるテーマを扱いながら、おばけになったママと息子のかんたろうのやり取りが微笑ましく、思わず笑ってしまう場面も。しかし物語が進むにつれて、親子がお互いを思うかけがえのない絆が描かれ、涙なしには読めない絵本だ。

算数・国語を伸ばすパズルの『上級編』/小学館から刊行

小学館は、大好評シリーズ『算数と国語を同時に伸ばすパズル』の『上級編』を9月16日に刊行した。宮本哲也著、B5判64頁、定価本体6百円。
同シリーズは、宮本氏が主宰する算数教室で使われている問題をアレンジしたもの。ページの表に推理・論理パズル、裏に足し算パズルを掲載し、イラストや級位認定証で楽しく取り組めるようになっており、パズルを解いていくうちに、「文章を正確に読み取る力」「示された条件を整理する力」「考えを組み立て、正解にたどり着く力」が身に付くようになっている。『上級編』は手応えのある問題を揃え、子どもの挑戦意欲を引き出す内容にしている。

生活実用書/注目的新刊

和田美代子著/高橋俊成監修『日本酒の科学』(講談社ブルーバックスB19351080円)は副題が「水・米・麹の伝統の技」。
1973(昭和48)年をピークに下降線をたどってきた日本酒だが、近年はその人気を取り戻してきている。本書は酒造りの技から、原材料、麹と酵母、日本酒のバラエティー、ラベルの読み方やおいしい飲み方まで、あらゆる角度で酒を飲みつくす。
もともと糖分の多いブドウに酵母を加えて作るワインが単発酵なのに対し、米と米麹を用いて、米のデンプンの糖化と、酵母によるアルコール発酵を同時に一つのタンクで行う日本酒の醸造法は平行複発酵という。世界の醸造酒と比べ、日本酒は抜きん出て高度な技術が必要なのである。常温の酒を普通冷やというが、これは20~25度。かつての土間の温度が基準だ。冷酒にも雪冷え、花冷えなどがあり、燗酒にも熱燗、人肌、ぬる燗とさまざまな温度で飲める懐の深さを持っている。
日本酒にはアルギニン、ロイシン、バリンなどアミノ酸、ミネラル、ビタミン類が多く含まれる。一方蒸留酒は成分がゼロ。同じ醸造酒のワインやビールをも圧倒している。死亡リスクを減らし、発がん予防効果、善玉コレステロールも増やすなど、良いことずくめなのだが、一つ問題がある。純アルコールに換算して一日約20グラム。日本酒なら1・5合、多くても2合が目安。左党に叱られそうな数字だが、やはり飲み過ぎは注意しようということである。空腹で飲まない、合間に水を飲む、も上手な飲み方である。
横田渉著『男子厨房居酒屋料理』(成美堂出版1000円)は、おいしいつまみとお酒さえあれば、わが家が至福の居酒屋空間に、というコンセプト。とりあえず、揚げる、焼く、煮るなど全五章。メニューは約100種類あって、男性御用達のためか解説もシンプルである。奈良漬けのクリームチーズあえは、奈良漬け、クリームチーズ各60
グラム。ボウルでチーズをクリーム状にしたら、奈良漬けを7ミリ角に切って混ぜる。鱈の紙包み蒸し、油淋鶏など本格メニューもある。巻末には料理の下ごしらえ法も紹介されている。オールカラー。ここは結局、どうしても日本酒で一杯なのであろうか。
(遊友出版・斎藤一郎)

8月期は4・0%減少/ムックが5ヵ月ぶりに2桁減/日販調べ

日販営業推進室調べの8月期分類別売上調査は、雑誌・書籍・コミック合計で対前年売上増加率が4・0%減(先月1・0%減)と下げ幅が拡大した。
雑誌は8・3%減(同6・6%減)。ムックは「芥川龍之介追悼号」復刻版を付けた『文藝春秋2015年9月号特装版』(文藝春秋)が好調だったが、前年の妖怪ウォッチ関連銘柄を始めとする売上良好銘柄の影響を受け、16・3%減と5ヵ月ぶりに2桁割れした。
書籍は2・6%減(同2・1%増)。文庫は、前年に『マスカレード・ホテル』(集英社)が継続して売上を牽引していたことに加え、新刊銘柄の売上が良好だったため、10・7%減とマイナス幅が拡大した。
コミックは1・2%減(同1・1%増)とマイナスに転じた。今月は『ファイブスター物語13』(KADOKAWA)などの新刊銘柄が売上を牽引したが、前年には届かなかった。

美女読書フェア第2弾を1千書店で展開/日販

日販は、美女が話題のビジネス書を紹介する書評サイト「美女読書」と、出版ニュースポータルサイト「新刊JP」と共同で、美女読書フェア第2弾を9月1日から全国約1千書店で開催している。
第1弾フェアは6月8日から全国約4百書店で開催され、5人の美女が「生き方を変える自己啓発書」全5タイトルを紹介。拡材を用いて魅力的な売場作りを展開した書店が多く、三笠書房の『自助論』は企画開始直後に売上を約5倍伸長させるなど、大きな効果を上げた。
この好評を受けて、第2弾では開催店が約1千店に拡大。対象書籍も、『ポジティブの教科書』(主婦の友社)『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)など、ビジネス書棚以外でも展開可能な、より幅広いラインナップにしている。
フェア実施店では、「美女読書」のポスター、POPを掲示して店頭を華やかに演出。ネットとリアル店舗を連動させたプロモーションとして、「新刊JP」内の「美女読書」特設サイトで、美女が各書籍を紹介する動画を用意。フェア展開する書店を美女モデルが訪問し、書店レポートを行う模様を公開するなど、リアル店舗への来店を促進し、購買につなげていく。

合弁会社設立、タイ進出へ/出版4社とアニメイト

KADOKAWA、講談社、集英社、小学館の出版4社とアニメイトは9月1日、海外で日本のマンガ・アニメの正規商品を流通させるためのインフラ整備に取り組む合弁会社「ジャパンマンガアライアンス」(JMA)を設立した。
資本金は4億9600万円、代表取締役にはアニメイトの國枝信吾取締役が就任し、本社も東京・板橋区のアニメイト本社内に置かれる。KADOKAWAの塚本進常務執行役員、講談社の峰岸延也取締役、集英社の隅野叙雄販売部長、小学館の相賀信宏取締役の4氏が取締役に就いた。
まず、今秋にJMA100%出資の現地法人をタイ・バンコクに設立し、来春を目途に日本のマンガ・アニメショップを出店する。本物のマンガ・アニメ関連商品をファンが実際に手に取って購入できる実店舗を運営し、海外での海賊版対策を強化。日本のマンガ・アニメの海外展開をオールジャパンで促進する。また、最新情報の発信と現地リサーチを行い、インバウンドの拠点を作ることも目指す。
ショップにはマンガ、アニメ、キャラクターグッズ、映像ソフト、フィギュアなど関連商品を幅広く展開するとともに、イベントスペースも設ける。
タイのマンガ・アニメ関連市場は全体で150億~190億円と想定されている。今後さらに成長する可能性が強いと見て、1号店として選んだ。
同日、東京・新宿区の日本出版クラブで開いた記者発表会で、JMAの國枝代表取締役は「各社一丸となって取り組むことで、本物の良さを世界に届けたい」と話した。

『新・人間革命』第27巻/11月18日に発売/聖教新聞社

聖教新聞社は9月15日、東京・文京区の東京ドームホテルで、同社と潮出版社、第三文明社、鳳書院の4社が刊行する創価学会関連出版物の説明会を開催。首都圏の書店や取次が多数出席した。
書店組合からは、日書連の舩坂良雄会長(東京組合理事長)、東京組合の柴﨑繁副理事長、本間守世副理事長、田島敏幸副理事長、小林洋副理事長、神奈川組合の筒井正博理事長、千葉組合の植田栄一専務理事が来賓として出席した。
最初に、聖教新聞社の上田康郎出版局長、潮出版社の南晋三社長、第三文明社の大島光明社長、鳳書院の大塚春樹取締役営業部長が各社の企画を説明した。
聖教新聞社は、11月18日に『新・人間革命』第27巻(本体1238円)を刊行する。上田出版局長は「本書は、1978年春の東京創価小学校の開校から始まり、同年6月の創価学会会長の北海道訪問までを描いている。人間の偉大さと尊さが随所に折り込まれた感動の書」と説明した。
潮出版社は、9月5日に『データで学ぶvol.2「新・人間革命」』(本体1000円)、古川智映子氏の文庫『小説・土佐堀川広岡浅子の生涯』(本体680円)を刊行した。同書はNHK朝ドラ「あさが来た」の原案。
第三文明社は、10月初旬に創価学会インタナショナル会長の池田大作氏と香港中文大学元学長の劉遵義氏の対談集『新たなグローバル社会の指標――平和と経済と教育を語る』(本体1600円)、11月下旬に作家の佐藤優氏と東日本国際大学教授の松岡幹夫氏の対談集『創価学会を語る』(本体1000円)を刊行する。
鳳書院は、来年1月に創価学会名誉会長の池田大作氏が全国各紙に寄せた随筆集の第4弾、10月下旬に遠位型ミオパチー患者会「PADM」代表の織田友理子氏の『ひとりじゃないから、大丈夫』(本体1200円)を刊行する。
来賓を代表して、日書連の舩坂会長は「池田名誉会長には、永年にわたり文字・活字文化振興に対し深いご理解とご尽力を賜り、街の書店を大事にしていただいている。『新・人間革命』に描かれている根本の思想は、1人の人間をどこまでも大切にするということで、書店業界にとっても忘れてはならない大事な視座。書店が長く営業できる体制作りを急ぎたい」とあいさつした。
聖教新聞社の原田光治代表理事は「小説『新・人間革命』の発行部数は17年で累計2150万部。『人間革命』全12巻と文庫版、ワイド文庫版を加えると合計5060万部を数える。書店、取次各社の支援に感謝する」とあいさつ。最後に創価学会の原田稔会長があいさつした。

太洋社、10期連続の減収決算/当期純損失8億2337万円

太洋社は9月14日、第62期(平成26年7月1日~平成27年6月30日)の決算概況を発表した。
売上高は前期比30・1%減の171億2100万円で10期連続の減収となった。ゲオ、図書館流通センター(TRC)が同業他社に帳合変更したことが響いた。内訳は、雑誌が同27・7%減の90億5800万円、書籍が同34・7%減の73億7200万円、その他が同0・9%増の6億9000万円。
返品率は同6・5ポイント増の47・0%。内訳は、雑誌が43・0%、書籍が51・6%、その他が33・9%。
利益面では、営業損失7億1514万円(前期1億7509万円の損失)、経常損失7億909万円(同7301万円の損失)となり、営業ベースで5期連続、経常ベースで6期連続の赤字。固定資産売却益3億1496万円などを特別利益に計上したが、貸倒引当金繰入損3億9600万円などを特別損失に計上したため、当期純損失は8億2337万円(同1億5247万円の黒字)と厳しい内容になった。
役員人事では大神田博取締役が退任する。6月30日現在の従業員数は同23名減の96名。
今期の売上高目標は同15・8%減の144億800万円とし、収益性改善に取り組む。

新星出版社と主婦の友社が受賞/料理レシピ本大賞決まる

第2回「料理レシピ本大賞」の発表会が9月11日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開かれ、料理部門の大賞作品に瀬尾幸子『ほんとに旨い。ぜったい失敗しない。ラクうまごはんのコツ』(新星出版社)、お菓子部門の大賞作品に『作りおきスイーツ』(主婦の友社)が決まった。
2014年にスタートしたこの賞は、料理レシピ本の魅力を広くアピールしたいとの思いから、書店が中心となって創設したもの。実行委員会は書店と取次の有志で組織している。第2回の今年は74社150点がエントリーされ、大賞作品を含め料理部門10点、お菓子部門2点の入賞作品を選んだ。9月12日以降、全国一斉に店頭フェアを始め、拡販を図っている。
発表会の冒頭、加藤勤実行委員長(ブックスタマ)は「忙しい世相を反映して、簡単に美味しい料理が作れる本のエントリーが多かった」とあいさつした。
続いて同賞の特別アンバサダーを務めるお笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆきさんが登壇し、受賞作品の著者と出版社に表彰状と盾を手渡した。
受賞作品は以下の通り。
【料理部門】
▽大賞=『ほんとに旨い。ぜったい失敗しない。ラクうまごはんのコツ』(新星出版社)▽準大賞=『はじめてでもおいしく作れる和食永久保存レシピ』(家の光協会)、『クックパッドのおいしい厳選!野菜レシピ』(新星出版社)▽入賞=『決定版!「朝つめるだけ」で簡単!作りおきのラクうま弁当350』(ナツメ社)、『ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ』(講談社)、『冷凍保存ですぐできる絶品おかず』(家の光協会)、『白崎茶会のかんたんパンレシピ』(学研)、『残業ごはん』(オレンジページ)、『そうざいサラダ』(主婦と生活社)、『「使い切る。」レシピ有元洋子の”しまつ”な台所術』(講談社)
【お菓子部門】
▽大賞=『作りおきスイーツ』(主婦の友社)▽準大賞=『アトリエ・タタンのチーズケーキ』(文化出版局)