全国書店新聞
             

平成20年12月11日号

出版社も対象に/緊急保証枠の業種指定

中小企業の資金繰り対策として政府が緊急保証枠30兆円を設定した問題で、出版社が指定618業種からはずれて問題になっている。書協は4日の会員説明会の席で、山下専務理事がこの間の経緯を説明。出版社がセーフティ・ネットから外れることのないよう、経済産業省に陳情し、回答を待っているところだと説明した。山下専務理事の発言要旨は次の通り。
「朝日新聞に掲載されたことで出版社から書協事務局にも問い合わせが来ている。不況業種に入れてくれと言うのも変な話だが、多くの出版関連業種が対象になっている中で、出版社が入っていないのは問題だ。経済産業省と交渉して、出版社も適用できるようにと要請した。経済産業省も好意的で手続きは終わっている。今週、財務省で新たに認めるかどうかの判断になる。時期がずれて遅くなったが、1日も早く結果が出ることを期待している」

モニター11店で開始/携帯でコミック試し読み

書店店頭で携帯電話を使ってコミックの一部を試し読みする「ためほん」の実験が東京と鳥取・島根の書店11店で12月末からスタートすることになった。
従来、書店ではコミックをビニール袋に入れて売る場合が多く、読者は購入前に本の内容を確かめることができにくかった。このため出版社では試し読み用の小冊子を一部書店に配布していたが、携帯電話を使うことで多くの書店店頭でコミック増売が可能になる。
このシステムでは、書店店頭に掲示したQRコードを携帯電話で読み取ることで、試し読み用のサイトからコミック作品の一部が読めるようになる。同時に特定の作品に対し、どの書店からどのくらいアクセスがあったかもわかり、出版社、書店双方でマーケティングに活用ができる。
12月1日に行われた書店説明会では、①小学館、集英社、講談社の3社が実験に参加、②第1期少女コミック、第2期少年コミック、第3期青年コミックを取り上げ、③各ジャンル5作品ずつ第1巻の冒頭16ページ分を提供することを確認した。第1期の少女コミックは12月24日から来年1月下旬にかけて実施する。
実験書店11店は以下の通り。
ためほんモニター店
千代田区・三省堂神保町本店、同・書泉グランデ、中央区・教文館和書部、渋谷区・大盛堂書店駅前店、立川市・オリオン書房ノルテ店、鳥取市・今井書店湖山メディア館、同・今井書店吉成店サウンドスタジアム、米子市・本の学校メディア館、同・今井書店錦町店、松江市・今井書店グループセンター店、出雲市・今井書店出雲店

時限再販柔軟に適用も/『08年流通白書』で説明会

出版4団体で組織する出版流通改善協議会は、12月4日午後2時から東京・神楽坂の日本出版会館で「再販関連」会員説明会を実施。同協議会がまとめた「2008年出版再販・流通白書」の内容について報告を行った。、菊池明郎書協副理事長は発行後一定期間が過ぎた本はバーゲンになどの柔軟な発想を提起した。
説明会の冒頭、流通改善協議会相賀昌宏委員長(書協・雑協副理事長、小学館)は、再販制度の運用をフォローアップする場として著作物再販協議会を設け8回の懇談を行っていることを前提に「経済が激変し、出版業界も大変なところにいる。公正取引委員会が流通改善など是正6項目を示していることは、出版業界がこれまで当り前だと思い、これ以外やってはいけないと思っていたことに対し、もっと別な工夫があると問題を投げかけており、今回のレポートにも刷新の取組み、業界用語の見直しなど重要な示唆、アイデアが含まれている。そこからビジネスのヒントをつかんでいただきたい。守るべきものは守るが、一方で新しいものも生み出していかないといけない。行き過ぎには批判をいただきたいが、新しいものにも挑戦していきたい」と述べた。
出版流通改善協議会大竹靖夫委員(昭和図書)から「2008年出版再販・流通白書」の概要説明があったあと、菊池明郎書協副理事長(筑摩書房)は「出版業界の今年の売上げはピークの96年に比べ25%ぐらい落ちるのではないか」という予測を示してから「そういう中で書店がまっ先にやられている。小売業が衰退していく産業は衰える。出版社は危機的状態にある書店支援が必要」という認識を示した。
菊池副理事長はさらに「返品が高止まりしているのは委託の問題。買切りは所有権が移転しているから最終的処分権は小売にあり、売れ残ったものはバーゲンにという意見がある。買切りだからマージンも多くなければいけない。再販制度の中の時限再販を活用して、1年間は定価で売ってもらう。それが過ぎればバーゲンをしてもよいとして、売れ残りを防止していく。それが書店のマージン確保にもなり、苦しむ書店への具体的な提案にもなる。(商品に)RFIDをつけるのはまだ高額本しかできないし、システムとしても整っていない。その手前の段階で出来ることとして、(時限再販の方法を)考えてもよいのではないか。あるいは最初から非再販でやる部分再販という選択肢もある。書店と相談し、うまく利用して出版業界が蘇ることを来年の課題にしたい」と述べた。

「工夫次第で売上増大は可能」/宮城総会で藤原理事長

宮城県書店商業組合は、11月9日午後1時より仙台市太白区秋保の「ホテルニュー水戸屋」で通常総会を開催した。
小関真助副理事長による開会の辞に続き、藤原直理事長があいさつ。藤原理事長は、昨今の深刻な売上減少について触れ、厳しい経営を強いられている組合員の苦労をねぎらった。また、不景気の影響で消費者の財布のヒモが固くなり、そのしわ寄せが日常の雑誌・書籍の買い控えにつながることを懸念。年末商戦に向けて、危機感を持って臨む体制づくりを強調した。その一方、さまざまな事例を挙げながら、新たな販売発想や工夫次第では、まだまだ売上の確保やさらなる増大は十分可能だとし、組合員の士気を高めた。
また、小学館の家庭医学大辞典『ホームメディカ』の責任販売制と通常委託について説明。この試みの成果如何では書店にも有利な新たな取引条件を創出できるとし、組合員一丸となって成功を目指す方針を確認した。導入が取り沙汰されている万引き防止用のタグについても、諸問題が解決されて本格導入となれば、組合員共通の悩みである万引きによる損失も大幅に解消され、効率的な営業が実現できると期待を込めた。
審議・報告では、組合としての新たな事業展開の必要についても討議。他の組合の成功事例から学び、積極的な姿勢で売上拡大に結び付けることで、組合に加盟することの魅力をアピールして組合員数増につなげたいとの意見が出された。
(柴修広報委員)

景気対策の早期実現を/第13回中小小売商サミット

日書連など小売10団体による第13回全国中小小売商サミット(全国中小小売商団体連絡会主催)が12月3日、東京・平河町の都市センターホテルで開かれ、中小企業の景気対策の早期実現や、商店街活性化施策の抜本的な拡充などを求める宣言を採択した。
サミットは午後4時から代表者会議を行ない、桑島俊彦・サミット実行委員長(全国商店街振興組合連合会理事長)のあいさつに続き、全国共同店舗連盟・岡本紘一理事長、全国小売市場総連合会・左海勝会長、全国水産物商業協同組合連合会・永井良和会長、全国青果物商業協同組合連合会・井口幸吉会長、全日本紳士服専門店組合連合会・森和夫会長、日本商店連盟・穴口昭三会長、日本書店商業組合連合会・大橋信夫会長、日本専門店会連盟・岡本勝副理事長、日本ボランタリーチェーン協会・宮下正房会長の小売10団体代表が意見を述べた。
このうち日書連・大橋会長は、「全国の書店は経営環境の厳しさと売上低迷のため、大変厳しい状況で悲鳴を上げている。最盛期の書店数の半分をあっという間に割り込み、まだ減少が続いている。書店の減少は、文化国家である我が国の大変な損失だ。高所大所からの国家的なご支援をお願いしたい」と話した。
この後、①中小企業向け緊急対策の速やかな実施②商店街活性化施策の抜本的な拡充③拙速な消費税率の引き上げ反対④事業承継税制の確実な実施――の4つをスローガンに掲げる宣言を採択した。
午後5時から中小企業庁長官との意見交換会を行ない、長谷川榮一長官が「父母がともに商売をやっていたので、中小企業者の大変さは良く分かる。モータリゼーションや通信販売の拡大でライバルが増える中、購買力が減少している。商売が苦しくなるのは当たり前だが、それをただ困ったというだけでは商店街の幹部の名が廃るだろう。活力・魅力をどう発信するかがこれからの知恵の出しどころになる。皆さんと一緒に考えていきたい」とあいさつ。3団体が中小企業庁への要望事項を陳述し、日書連・大橋会長は、消費力回復のための経済政策の実現、全国中小書店の振興の拡充強化、税制問題への対応等を要望するとともに、中小書店の倒産続出は文化国家たる日本の損失であると訴えた。
最後に桑島実行委員長が長谷川長官に宣言文を手渡して意見交換会を終了し、引き続き別室で懇親パーティーを行なった。

生活実用書/注目的新刊

師走になると、一年てあっという間ですねえなどという会話があちこちで聞かれる。
一歳の子が一分の一に感じる一年は、たとえば二十歳では1/20、50歳では1/50に感じるのだと、かつて聞かされたことがある。
竹内薫著『一年は、なぜ年々速くなるのか』(青春新書P1―218750円)は誰もが感じる時間の不思議に挑戦している。サイエンス・ライターを自称する著者は、「上から目線の科学書」にならぬよう、一般読者にわかりやすく語っている。
まず仮設を立て検証するのだが、それは科学の方法、次第に確証に近づくのである。
体積や力などの物理量がスケールによってどう変わるかを考えるのをスケーリングという。仮に人間が十円玉の直径くらいになると、体の密度はそのままだから、身長の何十倍もジャンプできるようになる。つまり、小さな子供の時間がチクタクなのに対し、大人はチークタークという時の刻み方を感じるのである。
なんだやっぱり歳のせいと思うのはまだ早い。「心の持ちようを変えることにより」時間の経ち方は劇的に変化するのだ。自分の時間を取り戻すことが肝心なのである。
本書が理系からとすれば、文系のアプローチもある。
一川誠著『大人の時間はなぜ短いのか』(集英社新書0460G700円)は実験心理学からの検証である。
こちらも、物理学的時間と心理学的時間の比較から始まる。科学の世界ではそもそも過去から未来に進行する時間は想定されていない。時間そのものの本質より、人間の感じる特性にその答えが潜んでいるようである。
歳を取るほど時間の経つのが速く感じる要因の一つに、代謝の低下が上げられる。たとえば発熱すると代謝は激しくなり、横になっている時間はいつもより長く感じてしまうのは誰もが経験している。
我々は外界をどう知覚しているか、時間に関わる知覚はどう処理されるか、また人間が体験する時間の特性はと、論は進んでいく。
殊に現代はコンピュータの発達や、都市化に伴い、高速な情報と無個性化する時間のただ中にいる。だからこそ、道具としての時間を使いこなそうと本書は結ぶ。やっぱり時は金なりなのである。
(遊友出版・斎藤一郎)

読者謝恩図書カードの第2次販売を開始/東京理事会

東京都書店商業組合は12月2日に書店会館で定例理事会を開催した。主な審議事項は以下の通り。
〔電子サイト運営推進委員会〕
10月30日オープンした携帯電話用電子書籍サイト「Booker’s」は、書店店頭でのプロモーション活動を展開。出版社からのコラボレート企画の問い合わせや、NHKニュースや日本経済新聞で報道されアクセス数が増加するなど反響を呼んでいると報告があった。
〔流通改善委員会〕
TS流通協同組合の11月期の売上げは960万1920円(前年比115・1%)、発注件数は8489件(97・6%)、書店数は66書店(100・0%)と報告された。
〔事業・増売委員会〕
読者謝恩図書カードは、1店当たりの申込み枚数の上限を百枚に拡大して第2次販売の受付をスタート。PRポスター(写真)を作製して参加店に配布する。

日本の作家51人の短篇収める/ポプラ社『百年小説』

ポプラ社は森鴎外から太宰治まで日本の作家51人の傑作短篇を1冊に収録した『百年小説』を12月12日に刊行する。同社ではこの2月に世界の文豪の傑作小説21篇を1冊にまとめた『諸国物語』を刊行しており、今回の『百年小説』はその「日本近代文学版」となる。A5変形判・化粧箱入り、1336頁、定価6930円(税込)。
12月4日に東京・四谷のポプラ社本社で開かれた記者発表会の席上、坂井宏先社長は「今年2月に『諸国物語』を出したとき、売れるかどうか危惧していた。しかし3万5千部売ることができ、業界の常識を覆したと多くの方々からお褒めの言葉をいただいた。こうした本がまだ読まれるという事実に、日本人の中に良識というものが十分に残っているという手応えを感じた。今回『百年小説』を刊行するにあたり全国を回ってきた。『諸国物語』の成功もあるが、世界の文豪よりも親しみを感じる日本の作家たちの短篇を是非読んでみたいと、書店からの受けが大変よかった。出版不況のため手軽で簡単に売れそうな本ばかり出版される傾向にあるが、今こそ志のある出版物を版元各社が競って出すべき。それが今後の日本文化の発展に貢献する。『百年小説』が売れることはポプラ社だけの問題ではなく、広く出版業界の利益に資するもの。皆様と力を合わせて出版不況を脱したい」と話した。
記者発表会終了後、同書編集長のポプラクリエイティブネットワーク・野村浩介社長を司会進行役にパネルディスカッションを行い、同書の制作に携わった秋山稔(金沢学院大学文学部教授)、緒方修一(装丁家)、安井寿磨子(画家)に新井敏記(「coyote」編集長)、石田千(小説家・エッセイスト)を加えた5氏が日本近代文学について語り合った。

「ミリオンぶっく」の第3弾を製作/トーハン

トーハンは累計販売部数が100万冊を超えて読み継がれている絵本を「ミリオンぶっく」として、対象絵本を紹介したパンフレットを取引先書店を通じて無料配布するなど促進活動を行っている。このほど第3弾となる2009年度版が完成し、全国約2000書店で展開を始めた。
「ミリオンぶっく2009年度版」は30万部作成。巻頭に松谷みよ子さんのエッセイを掲載し、いちばん読まれている絵本『いないいないばあ』(童心社、423万冊)が誕生するまでのエピソードを披露している。また、08年度版から累計部数を更新し、新規に9点の絵本を追加。90万冊以上の幼年童話15点も掲載している。掲載点数は合計116点で、発行年代別に初版年月、累計販売部数、対象年齢とともに紹介している。また、巻末には一目で絵本の歴史がわかる年表を付した。
開催書店にはパンフレットのほか、店頭用ポスター、フェアパネル、カード型POP、書店発注用台帳などのツールを提供し、コーナー展開をサポートする。

新年号の原稿募集

本紙では1月1日、11日・21日合併号の新年企画として、皆様からの原稿を募集します。テーマは以下の通りです。いずれかを選んでご投稿ください
①年男・年女新年の抱負
②全国いいものうまいもの(ご当地の名産品・特産品等の紹介と自慢)
③印象に残ったお客様
④笑える失敗談、思い返すと冷や汗ものの失敗談
⑤最近感動したこと
⑥私のリラックスタイム
⑦自由題(新春にふさわしいテーマを)
原稿は800字以内。住所、店名、氏名を明記してください。主旨を変えずに文章を直すことがあります。採用分には記念品を進呈します。原稿締切は12月19日(金)。

コスト削減と高効率輸送実現めざす/出版物輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会は12月5日、四谷の東京都トラック総合会館で第30回出版物関係輸送懇談会を開催。トラック、出版社、印刷、製本、書店各業界の代表者ら総勢60名が出版物輸送を取り巻く現状と課題について話し合った。日書連からは梅木秀孝流通改善委員が出席した。
懇談会の冒頭、瀧澤賢司部会長が開会あいさつ。「日本経済の先行きは不透明な状況。従来のように、輸送業者が荷主の皆様に対して諸々の案件についてお願いする形の会合を行っても意味がない。出版に関わる業界全体で、出版物の輸送をどうしていくか、共通のテーマを持って話し合う必要がある」として、懇談会の位置づけを変えていく意向を示した。また、荷主側を代表して雑協物流委員会・藤原卓委員長は「毎年、各業界から厳しい現状報告が行われるが、相互理解を深めることで雑誌業界を盛り上げていきたい」とあいさつした。
このあと東洋経済新報社「週刊東洋経済」の鈴木雅幸編集長が「日本経済の現状と今後の展望について」と題して講演。米国発の金融危機や景気後退に対する各国の対応、および日本の現状と今後進むべき道などについて語った。
講演終了後懇談に移り、まず瀧澤部会長が出版物輸送を取り巻く現状と課題について報告。輸送業界が抱える問題として①燃料の高騰②物量の減少③運賃が上がらない④環境問題への対応とそれに伴うコスト増⑤ドライバーの確保難――の5点をあげ、「輸送量が減少し続けており、車両一両当たりの積載効率が悪化の一途を辿っている。配送コースの見直し、再構築などによって効率アップを図り、経費削減を図るべき」と指摘。輸送コストの削減と高効率輸送の実現で困難を乗り切っていきたいとした。続いて出版社、取次、書店、印刷、製本各業界の代表者がそれぞれの業界動向を報告した。

人事

◇有隣堂
11月25日開催の定時株主総会並びに取締役会で以下の通り役員を選任した。○印は新任。
代表取締役社長松信裕
常務取締役(管理本部長・労務担当)桑原康高
同(店舗事業本部担当)
渡辺康
取締役(官需営業部・書籍外商部担当、株式会社マルタン代表取締役社長)
宮出幸夫
同(オフィス営業部担当)
高木明郎
常勤監査役猿渡二三夫
監査役○遠山悌二郎
同吉川晋平
執行役員(管理本部副本部長)堀和人
同(管理本部人事総務部長)進藤哲夫
同(店舗事業本部長)
○小沢真二
同(店舗事業本部店売事業部長)池田洋子
同(オフィス営業部長)
藤本和伸
※任期満了につき監査役・清水信行氏は退任した。

朝の読書実践校に図書寄贈/講談社など

講談社(講談社創業90周年記念事業「へき地の学校図書館等への図書寄贈」運営委員会)、フォア文庫の会、ヤングアダルト出版会の3団体は、今年も秋の読書週間にあわせて「朝の読書」実践校への図書寄贈を行った。
「朝の読書」は1988年に千葉県の高等学校で2人の教師によって提唱され、今年で20周年を迎えた。朝の読書推進協議会によると、10月31日現在、2万5千校を超える小・中・高校で実践され、約950万人の児童・生徒の取り組みとなっている。
一方、学校図書館の蔵書数について現場の教師から寄せられたアンケートによると、「充分である」19・4%、「どちらともいえない」29・1%、「不足している」47・9%、「無回答」3・6%と、朝の読書を実践している学校でも図書環境に満足している学校は2割にも満たない状況となっている。
こうした現状を踏まえ、上記3団体が5年前から学校での朝の読書を応援するために「朝の読書応援ブック」と称した図書寄贈運動を行っている。
今年の図書寄贈校は以下の通り。各校に100冊以上の「応援ブック」が贈呈された。
[講談社]
北海道・函館市立千代田小学校、佐賀県・伊万里市立伊万里小学校、大分県・玖珠町立北山田小学校
[フォア文庫の会]
千葉県・佐倉市立根郷小学校、東京都・豊島区立文成小学校、大阪府・堺市立東三国丘小学校
[ヤングアダルト出版会]
愛知県・美浜町立野間中学校

日書連のうごき

11月4日コミック試し読みシステム出版社向け説明会。活字文化振興出版会議運営委員会に石井総務部長が出席。
11月5日第17期九州雑誌センター第2回取締役会に大橋会長ほか役員が出席。出版クラブ平成20年度第2回運営委員会に大川専務理事が出席。
11月6日出版平和堂委員会に大川専務理事出席。11月7日図書館サポート委員会。第38回野間読書推進賞贈呈式に石井総務部長が出席。
11月8日「バンコク・アユタヤ遺跡巡り5日の旅」に杉山理事を団長に26名が参加。
11月11日再販レポート打合せに石井総務部長が出席。
11月12日公取協11月度月例懇談会に柴﨑副会長ほか役員が出席。出版ゾーニング委員会に鈴木副会長が出席。
11月13日第1回アジア太平洋デジタル雑誌国際会議に田江理事が出席。
11月18日出版流通改善協議会に面屋副会長ほか役員が出席。文字・活字文化推進機構第3回定例評議員会並びに国民読書年推進会議に大橋会長が出席。出版倫理協議会に鈴木副会長ほか役員が出席。
11月19日版元3社と試し読みシステム打合せ。日書連共済会清算人運営委員会。各種委員会(指導教育、共同購買・福利厚生、書店経営健全化、増売、読書推進、取引改善、流通改善、再販研究、広報、消費税問題、環境改善政策、出版販売年末懇親会実行)、出版物公取協専門委員会。
11月20日「S・Jの日」実行委員会に大橋会長ほか役員が出席。日書連11月定例理事会。日本図書コードマネジメント委員会に柴﨑副会長が出席。
11月21日第17回山本七平賞贈呈式に大橋会長が出席。中小小売商連絡会並びに第10回出版RFIDコード管理研究委員会に大川専務理事が出席。
11月26日日本図書普及役員会に大橋会長ほか役員が出席。文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。
11月27日雑誌発売日励行本部・同実行合同委員会に藤原副会長ほか役員が出席。「子どもの読書推進会議」平成20年度下半期運営幹事会に大川専務理事が出席。
11月28日日本出版クラブ理事会並びに朝日新聞社出版懇親の夕べに大橋会長が出席。

330施設に児童書寄贈/日販よい本いっぱい文庫

全国の養護施設、各種学校などに児童書を寄贈する「第44回日販よい本いっぱい文庫」の贈呈式が12月5日午前11時半から日販本社ビルの銀座アスターで開催された。今年の贈呈施設は日本おもちゃ図書館財団96カ所、児童養護施設67カ所、肢体不自由児施設36カ所をはじめ330カ所。
贈呈式の冒頭、日販の古屋文明社長は「この事業は昭和39年、日販創立15周年を記念して社会福祉事業の一環としてスタートした。本年も12月20日頃、クリスマス・プレゼントとしてお届けできるよう準備を進めている。昨今、文字・活字文化の復活が言われている。小中学生の読書率は増加しているものの、高校・大学生になると数字が落ちてしまうという課題がある。2010年は国民読書年。これを契機に文字・活字の普及、読書推進に幅広く取り組んでいきたい」とあいさつした。
古屋社長から施設代表に目録が手渡されたあと、来賓を代表して厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課の都甲太課長補佐があいさつ。「今国会で成立した児童福祉法改正案は、子供たちの権利擁護を中心としたもの。今後も皆様と協力しながら子供たちの福祉推進に努めていきたい」と述べた。
施設を代表して、れんげ学園の佐々木晶堂統括学園長は「児童福祉施設には親に本の読み聞かせをしてもらえなかった子供たちがたくさんいる。寄贈された本を読んで、施設職員と子供たち、あるいは子供たち同士で話をするなど、コミュニケーションのために役立っており大変ありがたい。今後もご支援を」と感謝の言葉を述べた。
児童出協の竹下晴信会長は「日販のトップは連綿として『よい本いっぱい文庫』を続けてきた。出版文化に関わる会社として、子供たちに広く本を伝えていくこと、贈っていくこと、読んでもらうことが大事であるという考えが根本にある」と話した。

売上げ前年比92.5%に/トーハンの上半期中間決算

トーハンの平成20年度中間決算(4月1日~9月30日)概況が発表された。厳しい出版市場の影響を受けて売上高は2737億7500万円、前年比92・5%にとどまり、営業利益82・4%、経常利益97・0%。さらに有価証券評価損、桶川計画に伴う人員調整による退職加算金で16億2700万円の特別損失を計上したため、今年上期は中間純損失1700万円、平成12年度以来の減収赤字決算となった。
子会社12社の連結決算は売上高2779億4500万円(92・9%)、経常利益16億2600万円(111・4%)、中間純利益1億1800万円(15・4%)。
売上高の内訳は書籍1054億3100万円(96・4%)、返品率43・9%、雑誌1523億8000万円(94・7%)、返品率38・6%、NM商品159億6300万円(62・2%)、返品率17・1%。返品率は総合で前年同期より2・3ポイント高い39・9%。
売上高が大きく減少したことから、売上総利益は93・8%にとどまり、販売管理費は全社的な経費削減で95・2%となったが、売上伸長率を2・7ポイント上回った。返品増による返品運賃増加、原油高による資材費値上がりが全体を押し上げた。この結果、営業利益は32億3300万円で前年比82・4%に。
特別損益では投資有価証券評価損が8億円、桶川計画に伴う社員121名の退職加算金が5億8千万円。風間副社長は「下期は送返品のバランスを取り戻し、効率販売を徹底する。書籍は責任販売制を強化して契約販売を、雑誌は棚診断による返品改善に取り組みたい」と述べた。
中間損益(単位百万円)
売上高273、775
売上原価240、773
売上総利益33、001
販売費及び一般管理費
29、767
営業利益3、233
営業外収益2、263
受取利息501
その他の営業外収益
1、762
営業外費用3、889
支払利息29
売上割引3、859
経常利益1、607
特別利益80
特別損失1、627
税引前中間純利益60
法人税等78
中間純損失17

移転

◇自然科学書協会
〒101―0051千代田区神田神保町1-101神保町101ビル1階に移転。℡03―5577―6301、FAX03―5577―6302

宮尾登美子氏らが受賞/菊池寛賞

第56回菊池寛賞が宮尾登美子、安野光雅、かこさとし、羽生善治の4氏と北九州市立松本清張記念館に決まり、12月5日午後5時より虎ノ門のホテルオークラで贈呈式が行われた。
日本文学振興会上野徹理事長より正賞の置時計と副賞の目録が各受賞者に手渡されたあと、選考顧問の半藤一利氏が祝辞。
半藤氏が文藝春秋に入社した昭和28年から始まった菊池寛賞は第1回受賞者が吉川英治、水木洋子、岩波写真文庫、読売新聞と幅広かったのが印象的だったとした半藤氏は、「菊池寛の活動が幅広かったため多士済々の受賞者がいる。今回もすぐれた受賞者が選ばれた。宮尾、安野、かこの3氏は大正14年生まれで遅きに失したかもしれない。賞を受けてもらい、ありがたい」と祝辞を述べた。
各受賞者あいさつのあと、日本文学振興会上野理事長は「毎回、受賞者のあいさつを楽しみにしている。菊地寛と羽生名人の将棋対局を見てみたかった」とあいさつした。

大賞にアディダス他/講談社広告賞

第30回「読者が選ぶ講談社広告大賞」表彰式が3日午後5時からホテルニューオータニで開かれ、広告大賞男性誌・情報誌部門に『KING』4月号のアディダスジャパン、女性誌部門は『Grazia』5月号のエルメスジャポンが受賞した。
表彰式で講談社野間佐和子社長は「米国発の金融危機がもたらした景気悪化と市場混乱で、日本経済全般はもとより出版界も長期低迷から脱却できません。講談社の業績も11月決算で書籍、雑誌とも売上げ減少に歯止めがかからず、広告収入も前年を下回る結果になりました。利益面はこれまでに例のない不本意な成績になる見通しです。私どもは09年12月に創業百周年を迎えます。この大きな節目をチャンスととらえ読者ニーズ多様化やデジタル化に的確に対応しながら、多角的な出版活動と事業展開で社業の回復を目指します」とあいさつした。
巴広告局長から審査経過が報告されたあと、野間副社長から各誌最優秀賞と優秀賞、最後に2つの広告大賞に賞状が贈られた。

参考図書

◇『ロンロンの本屋さん』
11月30日に閉店した武蔵野市・弘栄堂書店吉祥寺店の記憶を残そうと『ロンロンの本屋さん/吉祥寺に弘栄堂書店があった』という小冊子がまとめられた。
「ロンロン」は同店の入っていた吉祥寺のショッピングセンター名。冊子には客で込み合う夕方の店内、レジ風景、棚を整理する店員、座り込んでコミックを読みふける子どもたち、平台、POP、新旧の包装紙など40数葉のカラー写真を掲載。相川店長や里見営業課長が同店の思い出を語っている。
小冊子をまとめたのは、客としても仕事でも同店に長く出入りしてきた出版社勤務の木村匡志さん。「雑誌『Hanako』吉祥寺特集を2万5千部完売など、大変な販売力を持つユニークな書店で、40年にわたって地元の人に愛されてきた。どんな店だったか多少なりとも伝えたかった」と言う。
*第4回太洋会総会、来年9月9日に開催
隔年で開催される来年の太洋会総会は9月9日、東京・飯田橋のホテルグランドパレスで開催されることが決まった。

本屋のうちそと

先日、組合青年部リーダーのメーリングリストでの報告。ちょっとソッチ系(どっち系?って○暴系)の人が本の注文に。双葉社の本で直接電話をしたら「お近くの書店でご注文下さい」とISBNコードを伝えられ来店したとのこと。
WEBの取次注文サイトはどこも在庫無しということで電話注文すると搬入日を教えてくれたが、お客さんには3日ほどサバを読んで伝えたそうな。そして、版元から取次へはとっくに搬入されているはずなのに、お伝えした週半ばになっても入荷せず、恐れていた通りキレテしまったお客は怒鳴り込みに。
ひたすら頭を下げ、お怒りの言葉を全部聞いてからこちらの状況、出版社から取次そして書店という本の流通の流れを説明すると「その○○とやらいう取次の電話番号を教えろ」と。もちろん番線担当の番号を正確にお伝えしたところ、しばらくして取次から電話が。それも3回も。
版元からも電話があり結果、翌日入荷。双葉社が搬入してくれた日以降の客注品と一緒に。それとやはりその日以降に版元FAXの補充品が1梱包、3日前に出した常備品1冊で1梱包。どう考えても、直接出版社へ発注した客注分をおろそかにしてますね。という彼は締めに「最近どの出版社も直接販売の機会を増やしてますが、双葉社みたいに『本屋で』って言ってくれる出版社ってありがたいですね!」
これには青年部の各書店からは同感、賞賛の意見が続々。
双葉社\(~o~)/。 (理)