全国書店新聞
             

平成24年10月1日号

補助金総額300万円拠出へ/SJの日組合独自企画を支援

〔読書推進〕
独自展開の企画を提出してきた組合に補助金を拠出する「サン・ジョルディの日PR企画推進費」の募集を来年度も引き続き行うと西村委員長が報告した。拠出金額は総額300万円。1組合当たりの支給額は20万円を上限とし、提出された企画案を委員会で検討の上で算出する。エントリーする組合は所定の申込書に企画概要と諸費用概算を記入し、11月30日までにFAXで申し込む。採用された組合には12月下旬に支給金額を通知する。
〔書店くじ〕
春の書店くじのダブルチャンス賞は7月19日に抽選会を行い、200名が当選した。また、今秋の読書週間書店くじ申込状況は207万5500枚で対前年比90・18%。
なお、経費削減のため、これまで年2回ホテルなどの会場を借りて行ってきた書店くじ抽選会を、今秋から書店会館で行うことにした。また、今秋からダブルチャンス賞を取り止めることにした。
〔指導教育〕
鈴木委員長は「昔、書店に本を買いに来るお客様は、本に対する憧憬の念、書店に対する尊敬の念を持っていた。今や本はコンビニや駅の売店でも並んでいる」と述べ、本の社会的重要性を読者に再認識してもらうことをテーマに勉強会を開きたい意向を示した。
〔電子書籍対応〕
ウェイズジャパンと提携して進めている書店店頭での電子書籍販売事業について、より良いサービスを提供するため引き続きウェイズ社と協議していると鶴谷部会長が報告した。
また、山本裕一氏(神奈川)に代わり井上俊夫氏(同)が部会員、中島浩氏(千葉)がオブザーバーに新たに就任することを決めた。
〔広報〕
10月17日に開催する全国広報委員会議で「日書連広報のあり方」をテーマにパネルディスカッションを行うと面屋委員長が報告した。パネリストは高橋千尋(北海道)、佐々木栄之(宮城)、澤田直哉(京都)、安井唯善(兵庫)、西村勝(福岡)の広報委員5氏。
〔消費税問題〕
消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案が成立したことを受け、面屋委員長は「消費増税に反対してきたが、今後は出版物への軽減税率適用を求めていく」との方針を示した。

実用書セットを増売/日書連理事会

日書連は9月20日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。書店再生委員会が検討していた実用書セットの増売企画を、11月から来年2月まで実施することを決めた。「食と健康」をテーマに出版社5社の売行良好書やロングセラー合計50点75冊を増売し、書店再生と書店収益改善に結びつける考えだ。
〔書店再生〕
「2012年度第1回日書連企画書店再生のためのロングセラー、実用書増売」実施要項の内容を舩坂委員長が説明した。「書店さんが選んだ『食と健康』」セットの内容は、池田書店、NHK出版、主婦の友社、新星出版社、日本文芸社5社の実用書各社10点15冊の合計50点75冊(定価8万7757円)。テーマは「食と健康」で、実績のある人気商品を中心に選書した。POPや棚差しプレートなど拡材を同梱する。条件は4ヵ月長期委託。販売実績に応じた報奨金が出版社から支払われる。実施期間は11月から来年2月まで。専用注文書や実施要項などを9月24日に日書連から傘下組合加入書店約4600店に郵送し、注文は各都道府県組合で集約する。申込締切は10月5日。取次搬入は11月7日。
舩坂委員長は「傘下組合加入書店が大変厳しい経営環境の下で生き残りをかける中、日書連は書店を取り巻く環境の改善策を検討してきた。その結果、書店収益改善に向けた5項目の提案を採用することを決め、書店再生のための実用書増売を実施して既刊本の掘り起こしを行うことにした。この企画に参加する書店は、書店再生の提案主旨の1つである責任仕入、責任販売で増売と返品減少に取り組む。書店の使命は本を売ること。まず我々が一生懸命本を売る姿勢を示し、増売の実績を作る。その上で出版社や取次に『書店収益改善に向けた5項目の提案』へ協力をお願いしたい」と企画趣旨を説明。予約獲得と販売促進に全力で取り組むと意気込みを示した。
【書店再生のためのロングセラー、実用書増売実施要項】
▽実施期間2012年11月~2013年2月
▽参加資格日書連会員所属組合員
▽出品条件4ヵ月長期委託
▽報奨販売実績に応じた報奨(都道府県組合ごとに精算)
▽セット内容5社の実用書セットで各社10点15冊(売行良好書は2冊)の計50点、75冊、定価8万7757円。書名は別掲
▽拡材POP「本良(ホンリョウ)発揮コーナー食パワーで元気力アップ!―街の本屋さんが選んだ1冊―」、棚差しプレート「―本屋さんが選んだ『食と健康』―」
▽申込方法専用申込書に必要事項を記入の上、所属都道府県組合宛に申し込む。申込締切は2012年10月5日(金)
▽スケジュール予定2012年10月5日…注文締切、11月7日…各取次搬入
【書店さんが選んだ「食と健康」セット】
※書名の後ろに○印付の書籍・ムックはセット内2冊
〔池田書店〕
『からだによく効く食材&食べあわせ手帖』○『体温を上げて、免疫力を高める食べあわせレシピ』『からだに「いいこと」たくさん麹のレシピ』○『毎日がたのしくなる塩麹のおかず』○『太陽の恵みを美味しくいただく乾物のレシピ』『3つの食材から選べる!血糖値を下げる毎日の献立』『手作りジュース353レシピ』『ハーブティー事典』『早引きたれ・ソース・味付け便利帖』○『節約&かんたん冷凍保存大事典』○
〔NHK出版〕
『簡単!おいしい!ビューティーアップ薬膳レシピ』『サラダ&スープ』『シニアの楽々元気レシピ』『しょうがみょうがにんにく青じそ薬味の力』『免疫力アップ楽々レシピ』『野菜たっぷりシンプルレシピ』○『使える!広がる!塩麹&麹レシピ』○『フライパン1つで100レシピ』○『野菜料理のABC教えます』○『血圧・血糖・コレステロールを下げる!野菜のパワーまるごと健康レシピ』○
〔主婦の友社〕
『決定版ケンタロウ絶品!おかず』○『朝から晩まで!シリコンスチームなべフル活用レシピ』『おいしい&ヘルシー感動お酢レシピ』○『デトックス・ベジフルジュース』○『デトックス・ベジスープ』○『基本のおかずBest125』『デトックス・ベジ事典』○『ごちそうスープと煮込み』『保存版たれソースドレッシング』『毒出し脂肪燃焼ダイエットスープ』
〔新星出版社〕
『決定版塩麹レシピ100』○『手づくりしぼりたて生ジュース』『いちばん詳しくて、わかりやすい!栄養の教科書』○『一番かんたんキレイにやせる!カロリー事典』○『カロリーひかえめ夜9時ごはん』○『シリコンスチーマーで楽チン!ダイエットごはん』『お医者さんがすすめる食べる順番変えるだけダイエット』『速効図解!薬はイラナイ!生姜の力で、病気を治す症状別33の処方箋』『1食500kcalダイエットごはんビギナーズ』○『しょうゆ麹レシピ100』
〔日本文芸社〕
『石原結實の元気になるしょうがレシピ』『体を強くするサラダジュース』○『みるみる免疫力がアップする食べ物』○『深夜に食べても太らない50の法則』『野菜を干せば、こんなにおいしい!』『朝に効くスープ夜に効くスープ』○『ひと目でわかるホントによく効くリンパとツボ』○『100歳まで病気にならないスーパー免疫力』『ゆる薬膳。』『1日1500kcalをしっかり食べてきれいになるやせごはん』○

全国広報委員会議17日に開催

日書連広報委員会(面屋龍延委員長)は10月17日(水)午後1時から東京・千代田区の書店会館で「全国広報委員会議」を開催する。日書連本部広報委員、各都道府県組合の広報委員、本紙編集部員が一堂に会し、この1年間の広報活動を振り返り、今後の方針を話し合う。また、今回は新たな試みとしてパネルディスカッション「日書連広報活動のあり方」を行う。

8月成人式は6町村で実施/JPIC「20歳の20冊」

出版文化産業振興財団(JPIC)は8月23日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で定例理事会を開き、平成24年度事業報告、今後の平成24年度事業について報告した。
成人式に本を贈る「20歳の20冊」事業については、8月に成人式が実施される福島県南会津郡南会津町、群馬県多野郡上野村、長野県南佐久郡南相木村、同下伊那郡平谷村、鳥取県日野郡日野町、広島県神石郡神石高原町の6町村で採用された。このうち3町村で初の実施。日野町では新成人1人当たり3冊贈呈した。
JPICは各県の書店商業組合で説明会と意見交換会を実施し、書店からの実施促進の協力を依頼。また、平成25年1月実施の成人式での採用促進のため、7月末~8月初旬に全国すべての基礎自治体1915市区町村、全国の高等専門学校58校にダイレクトメールを送付した。
このほか理事会では、「JPIC読書アドバイザー養成講座」、「書店大商談会」、「子どもたちへ〈あしたの本〉プロジェクト」など東日本大震災被災地支援のための各事業について報告があった。

来年3月までプレ稼働/「ためほんくん」絵本版

〔流通改善〕
日書連のコミック店頭試し読みシステム「ためほんくん」の端末を使って、フューチャー・ブックストア・フォーラムが絵本の試し読みの実証実験を実施、一定の成果が上がったことから、日書連は4月理事会で絵本の試し読みに取り組むことを決定した。「ためほんくん」絵本版の今後の取り組みについて、藤原委員長は「来年3月までプレ稼働したい」と提案し、了承された。
佐賀県武雄市がカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を市立図書館の指定管理者とし、運営を委託することを決めたことについて、藤原委員長は「次にどの自治体に飛び火するかわからない。注意深く見ていかないと、指定管理者制度が新たに様々な局面に入っていく恐れがある」と問題点を指摘した。
〔組織〕
各県組合加入・脱退状況は、7月期が新規加入2店、脱退16店、差し引き14店減、8月期が新規加入5店、脱退23店、差し引き18店減となり、全国の日書連傘下組合加入書店数は4598店になった。
〔共同購買〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター2013年版」は7万部製作し、9月18日までに5万9200部の申し込みがあった。残部は1万600部。
賃貸スペース仲介サイト運営「軒先」が日書連と業務提携して行っている書店空きスペース紹介事業について、空きスペースを利用しての野菜・果物販売などの実例を中山委員長が説明した。また、軒先が各県組合を訪れて行っている説明会を取り止め、今後は希望組合に資料を送付して事業の周知を図りたいとした。
〔取引改善〕
送品・返品同日精算問題への取り組みについて柴﨑委員長が報告。5月14日に取次2社が独禁法で規定される優越的地位にある者として濫用行為を行っていないか調査依頼する申告書を公取委に提出してから現在までの経過を説明した。

生活実用書/注目的新刊

最近特にマスメディアから正しい情報が伝えられてこない感じを強く持つ。たとえば福島の原発が相変わらず危険なままだというのに、もう大丈夫だという報道があったりして、とても信用できない。
マーティン・ファクラー著『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書044800円)は、ニューヨーク・タイムズ東京支局長が実感する新聞不信の事実だ。
3・11のあの日、著者は有楽町を歩いていた。衛星携帯電話で本社に第一報はニューヨーク・タイムズのウェブサイトで報道された。ただちに現場へ取材に向かうものの、道路は麻痺していて、なかなか着くことができなかった。しかし、様々な被害の取材をし、見て、発信し続ける。その取材の中で「福島第一原発に関して、日本の記者クラブメディアがまったくというほど触れていない重大な事実が隠されて」いるのに驚く。
第2章のタイトルは「情報寡占組織・記者クラブ」。明治23年に始まったというこの制度は、日本人ですらあまり知らない。各官庁にも必ずあって、その発表だけを書く。「これでは大本営発表と一緒ではないか」。官僚制度の番犬であり、大企業の重役とベッタリつき合う記者がいて、政治家の誕生日まで祝うという。大手新聞社はアメリカのジャーナリストの3倍も4倍もの給料をもらい、しかも終身雇用、いつしか市民の目線
を失ってしまうのだろう。
優しく書かれているが、大新聞ジャーナリズムの異様さ
や特殊さがよく理解できる。
ではもう一方の巨大メディア、テレビはどうだろうか。
和田秀樹著『テレビの金持ち目線』(KKベストセラーズ新書384781円)もどうやら「広告主や権力に甘く、弱者に冷たい」と書かれていて、同じ穴の狢らしい。サブタイトルは「生活保護を叩いて得をするのは誰か」。
精神科医の中でも老年精神医学の専門医が語る、テレビの生活保護バッシングに潜む日本人の病理の考察である。生活保護受給者は悪者であるかのように報道する一方、外国では規制される、アルコール依存を産み生活保護者を産む種にもなる酒類、パチンコのCMは無配慮に流す。テレビへの痛烈な批判と同時に、日本人の助け合いの精神、優しさを取り戻そうと説く。
(遊友出版斎藤一郎)

平成25年度定例理事会日程決まる/通常総会は来年6月20日

〔政策〕
平成25年度までの日書連定例理事会日程案を承認した。日程は以下の通り。
平成24年度=▽平成24年12月19日(水)委員会・年末懇親会、20日(木)理事会▽平成25年1月休会▽同2月20日(水)委員会、21日(木)理事会▽同3月休会
平成25年度=▽平成25年4月17日(水)委員会、18日(木)理事会▽同5月15日(水)委員会、16日(木)理事会・公取協総会▽同6月19日(水)委員会、20日(木)理事会・通常総会▽同7月17日(水)委員会、18日(木)理事会▽同8月休会▽同9月18日(水)委員会、19日(木)理事会▽同10月休会▽同11月休会▽同12月18日(水)委員会・年末懇親会、19日(木)理事会▽平成26年1月休会▽同2月19日(水)委員会、20日(木)理事会▽同3月休会
また、日書連関東ブロック会(鈴木喜重会長=日書連副会長、千葉県書店商業組合理事長)から日書連通常総会のあり方について要望書が提出された。同会が7月19日の総会で決議したもの。日書連は平成23年度、24年度の通常総会を定款通りに「会員の半数以上が出席して行う」団体法に基づく方式で開催したが、これを「従来の各都道府県組合の構成員書店が自由に発言できる開かれた総会に戻すべき」と求めている。
〔理事交代〕
◇新理事
神奈川=井上俊夫(井上書房)、岡山=小野正道(小野書店)
◇退任理事
神奈川=山本裕一(信濃屋書店)、岡山=吉田達史(研文館吉田書店)

九州選書市が盛況/福岡県組合主催

「第1回九州選書市2012(大商談会)」が9月12日、福岡県書店商業組合主催により、福岡市の西日本新聞会館内、福岡国際ホールにて開催された。
選書市の時間は午前10時半から午後2時半までであったが、出展出版社数は104社、来場書店人は300名を越え、会場が熱気に包まれた。前日の11日に九州合同トーハン会が行われ、当日12日午後4時から九州日販会が開催されるという二大取次の会の協力をいただいた事が成功の一因と考えられる。
福岡県組合は、沖縄県を除く九州各県の書店約1400店へ開催案内文をまず届け、出展出版社紹介の冊子が出来た折に、再度全書店へ送り来場を促した。トーハン・日販以外の取次の取引書店、また組合員店、非組合員店の区別なく来場していただき、こういう催しには初めて来たという書店も沢山おられて大変好評であった。長谷川澄男理事長からは、「思いがけないことには案内状を出していなかった山口県、広島県、沖縄県からの出席者もおられ、主催者としては驚いている次第だ。沢山の方からアンケートを書いていただき、結果を見て来年も継続事業としていければ良いと考えている」と充実感のある談話があった。
(西村勝広報委員)

参考図書

◇『復興の書店』(稲泉連著、小学館刊)
東日本大震災以降『週刊ポスト』で連載された「復興の書店」が、新たな取材によって大幅に加筆して単行本として刊行された。四六判、199ページ、定価本体1400円。
大宅壮一ノンフィクション賞作家の稲泉連氏が、岩手、宮城、福島の被災3県を取材し、津波や原発事故の被害から店を復旧しようと行動する書店人の姿を1年間にわたり描いたもの。書店だけでなく、地元の出版社や新聞社、製紙工場などで働く人たちも取材し、1冊の本や雑誌が作られ1人の読者の手に届けられるまでの道程もコラムとして掲載した。被災地で本はただの「情報」ではなく「生活必需品」だったという事実が語られていく。
なお、本書の収益の一部は、被災者の方々への義援金として「大震災出版復興基金」に寄付される。

「知の地域づくり」シンポの運営に協力/山梨組合

全国リレーシンポジウム「知の地域づくりを考える」in甲府(主催=文字・活字文化推進機構)が7月21日に甲府市県立文学館で開催された。
横内正明山梨県知事が歓迎のあいさつを述べ、片山善博元総務大臣が「知の地域づくりと図書館への期待」と題して基調講演を行った。この後、毎日新聞社主筆の岸井成格氏がコーディネーター、片山氏、作家で山梨県立図書館長の阿刀田高氏、横内知事、文字・活字文化推進機構理事長の肥田美代子氏の4人がパネリストを務めてパネルディスカッションを開催。「知の財産」である書籍は、値引きを競争する入札制度にはなじまない点や、地元書店がなくなっては「地産地消」が成り立たないことなどを強くアピール、約5百人が熱心に耳を傾けた。山梨県書店商業組合も、資料の配布作業や受付など会の運営に協力した。
講演終了後、東浦理事長、後藤専務理事は文学館の小石川学芸課長、松野学芸員と、秋に開催される「飯田蛇笏展」への山梨組合の協力について会談した。展示会では協力書店名のチラシ掲載なども予定しており、関係書籍の店頭販売に協力できると期待される。今後、各組合員にも協力要請が行われる予定。

「書店大商談会」に参加を呼び掛け/山梨理事会

山梨県書店商業組合は、7月21日のシンポジウム「知の地域づくりを考える」in甲府の開催に先立ち、県立文学館で理事会を開催した。
冒頭で東浦理事長は「知の財産である書籍は、入札制度になじまないという点について、パネリストである知事がシンポジウムの中でどこまで言及するか期待したい」と述べた。
また、日書連7月理事会の諸報告の中から、ウェイズジャパンの電子書籍について、今後はプリペイドカードの販売に重点を置く必要があると指摘した。続いて、10月11日に開催予定の第3回「書店大商談会」について、多くの書店の参加をお願いしたいと呼び掛けた。また7月5~8日に開催された「東京国際ブックフェア」について、時代を反映してデジタル商品が増えてきている等の現状報告があった。出席した理事は、各自の近況や活発な情報交換をした後、シンポジウムに全員参加した。
(牛奥正己事務局長)

書店環境の向上に努める/滋賀県組合総会で吉田理事長

滋賀県書店商業組合は、8月28日に滋賀県守山市のRiseVille都賀山にて第29回通常総会を開催、組合員50名(委任状含む)が出席した。
総会は、細江弘人氏(天晨堂)の司会で進行し、吉田徳一郎理事長があいさつ。「書店が置かれている現状は、とても厳しいものがあるが、組合の目的である『親睦と情報交換、書店の環境の向上』に努めたい。また、読書活動の推進と販売や、注文品の迅速化、新型書店構想、デジタル本の書店への取り込み方などを日書連でも頑張って進めているので、各書店も努力してほしい」と激励した。
来賓の中央会・城山氏より祝辞をいただき、平成23年度事業報告、収支決算報告、平成24年度事業計画、収支予算などの議案もすべて承認され無事総会を終了した。
その後、JPIC矢作孝志専務理事による「20歳の20冊」キャンペーンの説明会があり、活発な質疑応答がなされた。
(石田淳広報委員)

8月期は6・8%減少/コミック・ムックが大幅減/日販調べ

日販営業推進室調べの8月期書店分類別売上調査は、対前年売上増加率が6・8%減と先月を0・2ポイント上回った。
雑誌は全体で8・4%減と先月より2・4ポイント減少した。コミックは、前年売上が良好だった銘柄と同じ銘柄の発売が今年はなかったことから、10・2%の大幅減。ムックは10・6%減で、前年はカーヴィーダンス関連銘柄をはじめ「家庭/生活」ジャンルが売上を伸ばしており、マイナス幅が拡大した。
書籍は全体で4・9%減と、先月から3・1ポイント上昇。文芸書は13・3%減で、『神様のカルテ3』(小学館)など新刊銘柄が伸びたものの、『謎解きはディナーのあとで』(小学館)など前年に売上が良好だった銘柄をカバーできず。新書も前年に『官僚の責任』などPHP研究所銘柄の売上が良好だった反動で、13・7%減とマイナスが続いた。

売上げ伸び率3・2%の減/マイナス成長は17年連続/トーハン書店経営の実態

トーハンが発行した平成24年度版『書店経営の実態』によると、調査を行った全国の123企業379店舗の平均売上高伸長率はマイナス3・2%で、前年を0・6ポイント下回り、17年連続でマイナス成長となった。収益面では、売上高対営業利益率がマイナス0・1%(前年と同率)、売上高対経常利益率が0・8%(前年0・4%)となった。
〔損益状況〕
『書店経営の実態』は、売上高対経常利益率が0・0%以上の企業を「健全企業」、0・0%未満の企業を「欠損企業」として分析しているのが特徴。売上高伸長率をみると、健全企業が前年比2・0ポイント減のマイナス1・8%、欠損企業が同0・9ポイント増のマイナス7・2%で、総平均では0・6ポイント減のマイナス3・2%となり、17年続けてマイナス成長になった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は、総平均で前年度と同率のマイナス0・1%だった。健全企業は1・2%だったが、欠損企業はマイナス3・8%。売上高対経常利益率は健全企業が2・3%、欠損企業がマイナス3・6%で、総平均は前年比0・4ポイント増の0・8%になった。
売上高対販売費・管理費率は総平均で前年比0・1ポイント減の22・3%。健全企業は21・5%、欠損企業は24・6%だった。また、売上高対人件費率は総平均で同0・1ポイント減の11・1%。健全企業は11・0%、欠損企業は11・4%となった。
粗利益対経費率は、販売費及び一般管理費が粗利益に占める割合をみるもので、収益が厳しい低成長期には特に重要になる。総平均では前年より0・7ポイント改善して101・5%となったが、13年連続で100%を上回った。健全企業が98・6%に対し、欠損企業は110・2%。労働分配率は50%以下が目標とされるが、健全企業が48・6%、欠損企業が55・3%。総平均では0・3ポイント改善して51・0%になった。
売上高伸長率を売場規模別にみると、今年は全ての規模でマイナスに。151~200坪がマイナス4・6%と低迷。前年3・7%と好調だった301坪以上もマイナス2・8%と落ち込んだ。立地環境別でも全ての立地で前年を割り込み、商店街がマイナス6・4%、住宅地がマイナス5・1%と不振だった。
売上規模別の売上高伸長率は、前年プラスだった5億円以上と2億~3億円未満がマイナス転換し、全規模で前年割れ。最も下げ幅が大きかったのは、1億~1億5千万円未満のマイナス5・5%だった。地域別でも、全ての地域でマイナスと振るわず。東海はマイナス6・0%と、前年より1・1ポイント上向いたものの厳しい状況が続いた。前年唯一プラスだった九州・沖縄は、前年比7・8ポイント減のマイナス4・9%と落ち込んだ。
複合型書店の調査では、書籍・雑誌以外の売上構成比が20%以上の店舗を複合型書店、それ以外を本専業店に分類した。複合型書店の売上高伸長率を部門別にみると、文具が3・9%増と唯一のプラス。このほか、書籍マイナス2・6%、雑誌マイナス4・2%、AVレンタルマイナス6・5%、セルCDマイナス7・4%で、総平均はマイナス1・4%。本専業店は総平均がマイナス4・4%。内訳は書籍マイナス4・3%、雑誌マイナス4・7%、複合品目0・2%だった。
従事者数の平均は6・9人で、内訳は社員2・5人、パート・アルバイト4・4人となり、パート・アルバイト比率は63・8%となった。
〔販売効率〕
従事者1人当りの月間売上高は、健全企業が214万4千円、欠損企業が136万円で、総平均では175万2千円と前年比2千円増加した。従事者1人当りの月間粗利益高を見ると、健全企業49万2千円に対し欠損企業29万5千円。総平均では前年比6万円増の39万円だった。
商品回転率は健全企業が5・0回、欠損企業3・5回で、総平均は前年比0・3回増の4・6回。売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標。健全企業113・6%、欠損企業73・1%で、総平均では前年と同じ102・9%となった。
〔財務状況〕
総資本に占める純資産(自己資本)の割合を示す自己資本比率は、健全企業が17・4%、欠損企業が9・5%で、総平均は前年比0・9ポイント減の16・1%だった。
事業に投下された資本総額の回転速度を著す総資本回転率は、書店経営では約2回転が目安。総平均は0・1ポイント減の1・9回。健全企業2・0回、欠損企業1・6回だった。
流動比率は1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスを見ることで短期支払能力を表す指標で、130%以上の確保が望ましい。健全企業は前年より1・7ポイント増の131・5%、欠損企業は33・0ポイント増の173・4%で、総平均は11・4ポイント増の145・4%となった。
固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は31・8ポイント増の213・8%、欠損企業は21・4ポイント増の317・9%で、総平均は5・8ポイント増加し219・9%だった。

雑誌販売の低迷が影響/日経流通新聞「卸売業調査」

日経流通新聞(日経MJ)は8月1日付で2011年度「第41回日本の卸売業調査」(有効回答630社)を発表した。
これによると、全14業種の売上高は10年度の実績を3・1%上回った。営業利益も18・3%増と2年続けて2ケタ伸長を記録し、2年連続の増収増益となった。東日本大震災後の備蓄重要などが売上高を押し上げ、物流網の見直しなどコスト削減によって利益も確保したと同紙では分析している。
全14業種のうち増収を達成したのは11業種で、前回調査の9業種を上回った。減収だったのは、文具・事務機、書籍・CD・ビデオ・楽器、その他の3業種。また営業利益は10業種で前年の水準を上回った。特に医薬品卸は、大手が物流センターのIT化により生産性の改善を進めて大幅増益を記録。一方で文具・事務機は、回復基調だったオフィス機器などの法人需要が東日本大震災後に低迷したことが響き、62・2%減と大きく落ち込んだ。
「書籍・CD・ビデオ・楽器」卸の売上高は1・7%減で、書籍・雑誌や音楽CDの市場縮小が影響したが、一方で経常利益は14・8%増加した。このうち出版卸売業だけをまとめたのが別表。日販、トーハン、日教販は連結決算。売上首位の日販は物流コストが雑誌に比べて高い書籍の返品率を改善するなどして過去最高益を達成した。しかし27年ぶりに1兆円の大台を割った雑誌の販売低迷が響いており、日販単体の雑誌販売は4・7%減、売上高2位のトーハン単体も5・5%減となった。書籍の販売では両社とも単体で増収を確保したものの、雑誌の落ち込みは補えなかった。
売上高経常利益率は①日販1・1%、②トーハン0・7%、③日教販0・3%の順。売上高販売管理費率は①大阪屋7・2%、②日教販9・1%、③太洋社10・3%の順。1人当たり売上高は①大阪屋2億6361万1千円、②トーハン2億3420万3千円、③栗田2億2147万5千円の順だった。

電子書籍流通サービスを開始/12月から3千書店で展開/トーハン

トーハンは、読者が書店店頭で電子書籍を購入できるサービスを12月から開始すると発表した。デジタルコンテンツの店頭販売システム「c―shelf」(シーシェルフ)を取引先書店に提供するもので、スタート時のコンテンツは7万点を揃え、年度内に10万点に拡大する予定。
このシステムは、「c―shelf」のWeb上の仮想棚に格納するデジタルコンテンツを、書店店頭で選書、現金決済できる売場環境を整備するというもので、読者は店頭に用意された「陳列用買い物カード」や紙の本による実物見本、検索端末を使って電子書籍を選び、レジで代金を決済。この際に引換券(バウチャーシート)を発行し、読者は記載されたナンバーを電子書店サイトで入力することで、スマートフォン等の端末に電子書籍をダウンロードする仕組みとなっている。
「c―shelf」は、バウチャーシートの発行管理を行い、コンテンツをダウンロードする配信会社側のサイトとリアルタイムで連携する店頭決済管理機能、陳列用買い物カードの作成や紙の本に貼る電子書籍販売シールの出力といった店頭販促ツール作成機能、検索ツール機能、販売情報管理機能で構成される。
導入する書店は、インターネットに接続可能なパソコン、カラープリンター、陳列用買い物カードに使うクリアカードケースといった既存のインフラで基本的な運用が可能。初期導入店数は約3千店を予定し、順次拡大する方針。
「c―shelf」の運用開始を受け、出版社向けデジタルコンテンツ流通販売システム「e―base」(イーベース)に配信先を書店とするデジタルコンテンツ新刊流通機能を搭載し、12月から運用を開始する予定。
9月3日にトーハン本社で行われた会見で、鵜澤吉記執行役員デジタル事業部長は「デジタルコンテンツについても書店がプレーヤーとして参画できる事業スキームを作ろうというのがトーハンの考え。アメリカでは、電子書籍を購入する読者の多くが書店で現物を見て選書するという、書店のショーウィンドー化が起きている。電子書籍市場はまだ小さいが、『街の本屋でも電子書籍を購入できる』ということを、今の段階からきちんとマーケットの中で展開していきたい。書店マージンは20%程度を確保したい」と述べた。

J・K・ローリングの新作を12月1日発売/講談社

講談社は、「ハリー・ポッター」シリーズの著者、J・K・ローリングの最新作『ザ・カジュアル・ベイカンシー(上・下)』(邦題未定)の発売日を12月1日に決定した。
『ザ・カジュアル・ベイカンシー』はJ・K・ローリング初の大人向け本格長編小説で、予価は税込各1575円。「ハリー・ポッター」シリーズは、全世界74ヵ国語に翻訳され、2百以上の国々・地域で4億5千万冊以上を売り上げており、同作はシリーズの完結から5年ぶりの新刊。英語オリジナル版は9月27日に発売された。

講談社文庫の電子版を10月から定期配信/講談社

講談社は、講談社文庫の最新刊や人気作品の電子書籍を10月12日から定期配信する。
初回の10月12日には、石田衣良『sex』、辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』など73点を配信。以降、毎月第2金曜日に定期配信していく。紙の本の新刊のうち電子化の許諾が得られたものは、発売の翌月に電子版を配信する。
これに先立ち、6~8月に刊行された新刊文庫を中心に、プレ配信として9月14日・21日・28日の3回に分けて合計100点、10月5日に特別配信として11点を配信する。

10月11日に新宿で書店大商談会

第3回「書店大商談会」が10月11日に東京・新宿で開催されます。出展社は、昨年の約1・5倍にあたる147社(152ブース)。一般、コミック、児童書、ビジネス書のコーナーを設置し、現場で役立つ講習会の開催や書店担当者同士が情報交換できる場を設ける予定です。この商談会限定の特典も満載。『脳を創る読書』著者の酒井邦嘉先生によるイベントも開催します。より多くの現場担当者にお越しいただけるように、開催時間を前回より3時間拡大しました。皆様ぜひご来場ください。
▽日時平成24年10月11日(木)午前10時~午後7時
▽会場ベルサール新宿グランドホール(丸ノ内線西新宿駅1番出口より3分JR新宿駅西口より15分)
▽主催「書店大商談会」実行委員会(構成団体=東京トーハン会、東京日販会、大阪屋東日本友の会、首都圏栗田会、首都圏中央会、日教販、太洋会関東・甲信越支部、協和会)
▽後援日本書店商業組合連合会、東京都書店商業組合
▽問い合わせ帳合の取次担当者または「書店大商談会」実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=JPIC)まで。℡03―5211―7282FAX03―5211―7285

「三浦綾子電子全集」全80作品91点を配信/小学館

小学館は、電子書籍版の文学全集『三浦綾子電子全集』の配信を10月12日から開始すると発表した。
今年は小学館の創業90周年と三浦綾子の生誕90周年にあたっており、小学館は旭川市の三浦綾子記念文学館(三浦光世館長)との共同企画として、全80作品を今秋から順次電子書籍化し配信する。
『三浦綾子電子全集』は絵本・画文集を除く単独著作のみの全集で、全80作品91点。内訳は小説40、随筆35、語録4、歌集1。価格は90周年記念特価として、全作品とも5百円(税抜き)。三浦綾子記念文学館所有の秘蔵写真、夫・三浦光世氏が見た創作秘話などを追加収録する。
配信スケジュールは、10月12日に『氷点(上・下)』『銃口(上・下)』を発売、以後毎月第2・4金曜日に5タイトルずつ発売する予定。

勉強会「本屋が知っておくべき電子書籍のすべて」/本屋の村代表・庫本善夫

平成24年11月11日(日)、「LLP本屋の村」はPHP研究所東京本部に場所をお借りして書店を対象とした勉強会を開催します。
本屋自身により本屋のみで運営する「本屋の村」は町の小さな書店を応援しています。「本屋の村」は書店の効率よい営業活動を支援するため、また書店に訪れる読者に快適な環境を提供することを願って、書店業務総合省力化パソコンソフト「楽樂ほんやさん」を1998年から提供を始め、現在全国で300店以上の本屋さんで利用して頂いています。月平均約100通の投稿があるサポートメーリングリストの参加者は300名を越え、質問以外にも業務のことや趣味のことなどの情報交換が盛んに行われています。日書連をはじめ全国各地の書店組合のご理解と版元各位のご協力をいただきながら活動を続けてきました。
今回の勉強会のテーマは「本屋が知っておくべき電子書籍のすべて」。随分前から電子書籍元年とかデジタル書籍元年とか言われて何かとマスコミで騒がれている割にその実態がはっきりとしない。今回は紙の雑誌から書籍に加えデジタルコンテンツ、インターネットWebコンテンツ、ラジオ番組までもプロデュースするなど幅広くデジタルとアナログの全てといっていいほどの現場経験を持つ方に「本屋が知っておくべき電子書籍のすべて、今とこれから」を語って頂くことにしました。概要は下記のとおり、詳しくは本屋の村のホームページを検索してご覧ください。
日時平成24年11月11日(日)午後0時30分受付、午後1時開始
会場PHP研究所東京本部12階ゼミホール
〒102―8331東京都千代田区一番町21一番町東急ビル
第1部本屋の村ソフト「楽樂ほんやさん」概要の説明
第2部「電子書籍によって変る2013年の出版業界」
講師・中村由紀人氏(PHP研究所事業開発本部本部長)
参加費は無料ですが事前申し込みが必要です。申し込み方法はホームページを参照し10月31日までにお申し込みください。会場の定員まで申し込み先着順とします。
問い合わせは本屋の村ホームページのフォームからか、メールrakupro@hon-shop.comもしくはFAX0749―50―2093にご連絡ください。終了後に近くで懇親会を予定していますのでぜひあわせてご参加ください(懇親会費は当日に)。書店以外で参加ご希望の方は会場に余裕がある場合のみお受けしますので予め連絡先などをお知らせください(懇親会のみの参加はどなたでも飛び入りでも歓迎します)。

ドワンゴ、「ブロマガ」開始/ニコ動で記事配信/電子書籍端末で閲覧も

ドワンゴとニワンゴは8月21日、動画サービス「niconico」の公式動画配信サイト「ニコニコチャンネル」で、ブログやメルマガなどの記事コンテンツを配信する新機能「ブロマガ」を開始した。同日、東京・六本木のニコファーレで開かれた新サービス発表会で明らかにした。
ブロマガはニコニコチャンネルから動画、生放送に加え記事の配信もできるプラットフォーム。チャンネル開設者は1つのプラットフォームでコンテンツに適した配信手段を選択して配信することが可能で、読者は記事をePUB形式でダウンロードして電子書籍として閲覧することもできる。記事コンテンツごとに無料または有料の設定が可能で、有料の場合は1記事単位で課金できる都度価格設定と1ヵ月間の購読料を課金できる月額価格設定があり、自由に価格設定ができる。
今回のサービス開始に伴い、小沢一郎、堀江貴史、GACKT、津田大介、押井守、デヴィ夫人など各界の著名人による公式チャンネルが開設され、法人や個人76チャンネルで配信を始めた。
発表会ではトークセッションが行われ、ジャーナリストの津田大介、ジャーナリストの佐々木俊尚、放送作家の岩崎夏海、ドワンゴ会長の川上量生、ドワンゴ取締役の夏野剛の各氏が「コンテンツとプラットフォームの未来」をテーマに語り合った=写真。このなかで川上会長はブロマガについて「今後は誰でも使えるプラットフォームにしたい」と述べた。
なお、サービス開始から約1ヵ月の9月18日で有料登録者は1万人を突破した。配信チャンネルは119チャンネルになり、ミュージシャン、政治家、作家、メディアなど幅広いジャンルで配信されている。有料登録者数トップはGACKT氏の「GACKTちゃんねる」(月額840円)。
また、ドワンゴとニワンゴは9月21日、記事のePUBデータを月単位でまとめてダウンロードできる新機能を追加した。ePUB対応の電子書籍リーダーを開くと、著者が選んだ表紙デザインとともに、目次や背表紙も自動生成される。表紙デザインは著者が21種類から選択可能。これにより記事を「本」のような感覚で読むことができるようになった。

「店頭活性化」テーマに/第33回出版販売実務セミナー

第33回出版販売実務セミナー(書店経営研究会主催)が8月24日、東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で開かれた。
開講あいさつした書店経営研究会の郷田照雄会長(栗田出版販売社長)は「書店店頭は疲弊している。当セミナーで身近なことについて1つでも解決のヒントを提供したい。講師の話を聞き、店に戻って実行してほしい」と述べた。
第1講では、小学館パブリッシング・サービス東日本営業部の對馬安宏部長代理が「書店の収益向上について」をテーマに講演。小学館の計画販売制について「注文数に対して満数配本し、マージンの拡大により粗利益率がプラスになるが、完全買切のリスクを考慮して返品は歩安入帳になる」として、2008年の『新版・家庭医学大事典』から最新企画までの実績を報告した。
第2講では、戸田書店静岡本店仕入部の藤浪哲也次長、今野書店の今野英治社長が「店頭活性化の具体的方法」と題してパネルディスカッションを行った。
このうち雑誌販売強化について、今野社長は「雑誌を書籍的に考えている。初速のいいものは追加注文を取り、長く売っていく。スープを特集した『きょうの料理ビギナーズ』昨年11月号は今も平積みし、よく売れている」と実例を交えて説明した。藤浪次長は今野社長の考え方に同調し、「『Pen』のコム・デ・ギャルソン特集やルパン3世特集はテーマが1冊で完結しているので書籍に近い売り方ができた。いろんな場所で売る、長く売る、量を売る、しつこく売ることを心がけている。お客様のニーズを予測したバックナンバーを置き、ニーズを掘り起こす売り方もしている」と話し、両氏ともテーマ誌にビジネスチャンスがあるとの考えを示した。
このほか書籍販売、外商、店舗運営などについて意見交換した。

59期は減収赤字決算/新中計で事業再構築図る/太洋社

太洋社は9月27日開催の定時株主総会・取締役会に先立ち、9月7日に第59期(平成23年7月1日~平成24年6月30日)の決算概況を発表した。
59期の売上高は前期比9・2%減の353億6000万円で7期連続の減収。帳合変更が期末に集中して起こり、在庫返品も含めて大幅減となった。売上高の内訳は、雑誌が185億6600万円(同9・3%減)、書籍が159億700万円(同9・8%減)、その他が8億8700万円(同7・5%増)。また、返品率は雑誌が38・7%(同1・2ポイント増)、書籍が41・1%(同1・4ポイント増)、その他が29・0%(同6・4ポイント増)で、計39・4%(同1・6ポイント増)となった。
販売費及び一般管理費は同7・2%減だったが、営業損失は1億4330万円、経常損失は3億1882万円、当期純損失は5億4189万円。58期に続いて減収赤字決算となった。
役員人事では社長の國弘晴睦、専務の加藤顯二、取締役の大神田博の3氏が再任。常務の沢野豊、取締役の土屋正三、大和政之、牧野伸一の4氏は退任し、顧問の木村喬氏が取締役、社外取締役1名が新任する。
会見で大神田取締役は「非常に厳しい決算内容。60期から3ヵ年の新中期経営計画を策定した」として、①事業の再構築(マネジメントを含めた体制刷新、新商材の強化)②新規投資の実施(システム、物流面の戦略的投資)③保有資産の活用(不動産事業の見直し)④物流機能の再構築(戸田センターの集約・効率化)⑤新人事制度(脱年功序列、若手の抜擢)――を5つの柱に黒字化を目指すと概要を説明した。また、新商材と不動産事業を合わせた売上高占有率を、62期に10%まで引き上げたいとの考えを示した。

3年連続の増収決算/書籍が8%増と好調/中央社

中央社は8月28日、東京・板橋区の本社で定時株主総会を開き、平成23年度(平成23年6月1日~平成24年5月31日)決算諸案などを承認した。
今期の総売上高は前年比3・1%増の272億1979万円で3年連続の増収となった。内訳は、雑誌が140億985万円(同3・2%増)、書籍が85億9191万円(同8・2%増)、特品等が7億9057万円(同3・2%増)。書籍では、特に書籍扱いコミック、ボーイズラブ、ライトノベルが好調だった。
営業利益は4億540万円(同30・3%増)、経常利益は2億4075万円(同40・9%増)当期純利益は1億1441万円(同27・7%減)。営業、経常利益は2ケタ増と大幅に伸びたが、1億円超の法人税などが発生し、最終の当期純利益は減益となった。
返品率は、雑誌30・4%(同0・1ポイント増)、書籍28・3%(同0・8ポイント減)、特品等10・6%(同1・9ポイント増)、合計29・1%(同0・2ポイント減)となった。
期中の新規店は35店393坪、廃業店は18店295坪。また、従業員数は2名減の117名。
記者会見に臨んだ風間賢一郎社長は「新しい中長期経営計画を策定し、平成30年までに会社の骨格を作りたい」と話した。
24年度の総売上高は同3・6%増の281億9303万円、返品率は同1・2ポイント減の27・9%が目標。
役員改選では、小暮豊博取締役が退任して監査役に新任し、佐藤誠三監査役が退任した。
〔中央社役員体制〕
○印は新任
代表取締役社長総合経営計画本部長兼営業本部長
風間賢一郎
専務取締役社長補佐管理本部長兼物流・渉外担当 外山義朗
常務取締役名阪支社長兼関西支店長新谷喜代春
取締役仕入本部長大谷敏夫
同取引部担当兼総合経営計画本部副本部長
矢下晴樹
監査役○小暮豊博
上席執行役員営業本部副本部長山本章雄
執行役員経理部長
江上浩
同第三営業部長斎藤進
同名古屋支店長
○竹内文利