全国書店新聞
             

平成22年7月15日号

にいがた文学検定を実施/ご当地作家・作品を身近に

――新潟県書店商業組合は、国民読書年の読書推進企画として「にいがた文学検定」を実施した。事業の趣旨は。
「新潟にゆかりのある作家、文学作品が県民共通の文化的財産であることを確認し、活字文化の発展に寄与しようというのが目的だ。ご当地検定ブームのなか、新潟では『新潟市観光・文化検定』が行われており、書店が行う検定として内容を文学に限定しようということになった。今年で2回目の実施になる」
――どんな方法で実施したか。
「組合書店に検定の問題用紙を配布し、4月1日から20日までの期間中にお買い上げのお客様に手渡してもらった。解答して官製ハガキで応募いただいた中から、抽選で2百名に千円の図書カード又は新潟ゆかりの書籍をプレゼントした。正解は店頭ポスターで掲出した」
――問題の作成について。
「県内の中学・高校の先生方にお願いした。私も1問出して20問とした。会津八一の歌についての問題が、たまたま今年新潟県で特別展示された中宮寺の弥勒菩薩に関連するなど、タイムリーな設問もあった」
――前回の実施から変更点は。
「日書連からの企画推進費支給で予算が増えたので、図書カードの額や当選者数をそれぞれ倍にしたほか、問題用紙も4倍近く印刷した」
――企画の手ごたえはどうか。
「読者の反応も大きく、前回の約5倍となる1580通の応募があった。半数近くが全問正解で、皆さんよく調べたようだ。地元の人でも結構知らない内容が多く、問題に取り組んでもらうことで新潟の文学にもっと親しんでもらえれば。図書カードはまた本の購入につながるので、関心を持っていただくために今後も実施を考えていきたい」
(聞き手=土屋和彦)

書店情報化の最新事情学ぶ/日書連・情報化推進委員長会議

第17回東京国際ブックフェアが東京ビッグサイトで開幕した7月8日、日書連は午後2時から同会場で「全国情報化推進委員長会議」を開催し、各県の情報化推進委員長など63名が出席。講談社による電子書籍対応の事例報告や、「ためほんくん」のプレ稼動状況報告が行われたほか、「選書TOOL」や「Booker’s」等の概要説明があり、書店の情報化を巡る最新事情を学んだ。
会議は大川哲夫専務理事の司会で進行。冒頭で大橋信夫会長は「電子書籍を巡る動向については、規格がどうなるのかなど問題がたくさんある。今後電子社会が一方でやってくるが、紙や活字の文化も残っていく」とあいさつ。情報化推進委員会・井門照雄委員長は「電子書籍によって書店業が今後どうなるか、現時点ではっきりしていることはない。日書連として、この新しい時代に書店はどうなるのかという、5年先10年先のビジョンを作る必要がある。電子化の方に軸足を移すのか、従来の本で生計を立てるためにはどうしたらいいのか、そういう議論もしていかないといけない」と述べた。
はじめに講談社・佐藤雅信販売促進局長が、同社の電子書籍に対する試みを説明。五木寛之著『親鸞』上巻のネット無料公開と、京極夏彦著『死ねばいいのに』の電子配信について、紙の書籍の売上げも好調だと説明。今後の展開については「社内にデジタル事業委員会を設置して検討を進めており、今年中に2万タイトルの電子化を準備中だ。また、デジタルとリアル書籍を組み合わせ新しい才能を発掘する試みとして、100%出資子会社の星海社を立ち上げた」と述べた。
次に、日書連情報化推進委員会の田江泰彦委員が店頭試し読みシステム「ためほんくん」の状況を報告。「5ヵ月間の実証実験を行った結果、試し読みの回数が多い作品は売上が伸びることが分かった。そこで今年4月から9月末までの6ヵ月間を本稼動に向けたプレ稼動期間と位置付け、参加出版社の拡大や運営体制の整備、端末台数の増加を図っている」と説明した。
この後、書店周辺事情として4つのテーマについて基調報告が行われた。まず日書連図書館サポート委員の長尾幸彦氏が、公共・学校図書館向けネット選書システム「選書TOOL」(http://libsearch.jp/sensho/)について、「図書館でネットを使った選書・発注が進んでいることから、従来通り中小書店が図書館受注できるシステムを組合が作ろうと構想したもので、全国中小企業団体中央会の補助金を受けてこのほど完成した。現在のところ検索とリスト作成機能に特化しており、誰でも利用できるようになっている」と概要を説明した。
続いて「出版社共同ネット」について昭和図書の大住哲也社長が説明。同ネットは出版倉庫流通協議会が平成18年5月に開設した書店向け受注Webサイトで、「S―BOOK.NET」のインフラを利用し、書誌・在庫情報を確認して発注できる。大住社長は「現在出版社60社が参加し月間4万部の受注がある。書店からも出版社に加入を働きかけてほしい」と呼びかけた。
東京都書店商業組合電子サイト運営推進委員会・小橋琢己委員長は、電子書籍販売サイト「Booker’s」の活動を報告。これまでの売上動向から、ライトノベルとミステリージャンルの販売強化をリアル商品と連動して展開するとしたほか、従来の携帯電話に加えiPhone・iPadやアンドロイド端末へサービスを拡大していくと述べた。
最後に、凸版印刷の曽我忠・出版文化推進部長がWebサイト「本屋の歩き方」について説明。同サイトは、書店の面白さや読書の楽しさを伝え、読者と書店との情報接点拡大を図ることを目的に、日書連など6団体が後援して4月にスタートしたもので、曽我部長は「参加書店は現在1800店。無料で登録でき、自店の情報をサイトを使って発信できるなど様々なメリットがある。ぜひ登録を」と述べた。

東京国際BFに8万7千人が来場

第17回東京国際ブックフェアは、7月8日から11日までの開催期間中に、昨年を約35%上回る8万7449人が来場した。今回は8日から10日まで、デジタルパブリッシングフェアと教育ITソリューションEXPOを同時開催。世界30ヵ国から過去最大の1千社が出展し、商談や版権取引が活発に行われた。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

2ヵ月に1度くらい店外のイベントで占い師さんが来られます。先日片付けの時おひとりとお話をしておりますと、
「良い相をしておられる」(あの、話ちょっと脚色しています)
私すかさず、
「小さい頃からよく言われていました。でも一向に兆しがなく、これまで来ました。中年を過ぎてからは自分で『大器晩成』と居直っています。あと数年で定年というのに……」(しゃべりすぎ、はしゃいでいます)
このあと具体的にここが○○だから××には困らない、とかおっしゃいましたが、今さら関心がありませんので忘れました。
家に帰り、妻に「良い相」のことだけを嬉しそうに話します。
「ほんま、アンタは長生きするわ」
関西人はこの決まり文句のニュアンスを理解可能でしょう。「呆れてモノが言えない」という感じです。誉めことばではありません。人によっては、「長生きさらせー」「死ぬまで生きとけ」とか、「寝ぼけとらんとさっさと働けー」などと怒りまでがこもります。
まだ話続きます。妻は、
「アンタは長生きするやろけど、私は寿命短いわ」
「そやな、佳人薄命やもんな」
ふたりともかなり長生きしそうです。
占いで良いことを言われて怒る人はいないでしょうが、見てもらう人たちは何か不安や期待を抱えているのでしょう。また「良いこと」「愛」「生きがい」を探していて、それに向かうために背中を押してくれる一言を求めているのでしょう。
私、いつも書いているように、すべての運は「美人妻」で使い果たしていますので、あとはオマケみたいなものです。あるお笑い芸人さんがよく言います。「人生、生きてるだけで丸儲け」
私、よーく理解できます。
先日亡くなった学者さんの本で、青春時代を回想している文章があります。「青春の矜持」ということばに惹かれました。旧制中学からの同級生と上京し、受験勉強をしながら、同人雑誌で詩を読み書いていたのでした。東大の図書館にもぐり込み、屋上から大学生を見下ろして、フランス語の詩を口ずさんでいました。貧乏でも「青春の矜持」にあふれていたのです。友人はその才能を持て余すかのように失踪、酒に溺れ落ちぶれて、数十年を経た手紙には、身も心も病んだとありました。学者は自分に何ができるだろう、可能なら彼のフランス語を聴いて、共に「青春の矜持」を思い出したいと願うのです。
夢を追うことを多くの人が途中でやめてしまいます。苦しんでやめる人もいます。凡人は割り切れます。現実を選ばなければなりません。ごく少数の人が夢を追い続け、成功する人もいれば、まだ途中の人、破れる人もいます。現実を選んだ凡人でも、夢は夢として持ち続けていたいものです。趣味とかサークルとか、草○○とか、地域で子どもたちに教えるとか……。さて思えば、私の「青春の矜持」は何だっただろう、そもそもあったのだろうか。皆さんの胸の奥には残っていますか。

新理事長に光永和史氏/愛媛総会

愛媛県書店商業組合は6月8日、松山市・全日空ホテルで理事会を開催。井門照雄理事長から提出された辞表を受理し、理事の互選で光永和史専務理事を新理事長に選出した。井門氏は理事として組合に残る。
引き続き第22回定時総会を開き、組合員29名(委任状含む)が出席。光永理事長は「組合員の減少が続いている。厳しい環境下での理事長就任となった。副理事長はじめ皆さんの協力で無事につとめたい」とあいさつした。
光永理事長を議長に選出して議案審議を行い、平成21年度事業報告、収支決算報告、平成22年度事業計画案、収支予算案を原案通り承認可決した。
事業報告は光永理事長が行い、「ティーンズBOOKGUIDE」配布実績やクリスマスこども大会入場整理券配布について報告した。また、業界動向について安藤副理事長が報告。青少年万引き撲滅キャンペーン、国民読書年、キンドル、iPad、ヌックなど電子書籍端末の現状と将来、日書連のコミック試し読みシステム「ためほんくん」について話した。
(松岡省自広報委員)
〔愛媛組合役員〕
▽理事長=光永和史(松山堂)▽副理事長=安藤大三(明屋書店)日吉英夫(マスヤ書店)篠崎守良(篠崎書店)▽専務理事=足立岳彦(官報販売所)

知恵絞りデジタル化の波を乗り切ろう/茨城総会で塚越理事長

茨城県書店商業組合は6月26日に水戸市茨城県開発公社で第24回通常総会を開催し、組合員65名(委任状含む)が出席した。
総会は川又英宏副理事長の開会の辞に続き、塚越賢次理事長があいさつ。「出版界はデジタル化の波で大きな転換期を迎えている。我々中小書店は何をすればよいか大変苦慮する。過去を振り返れば、問題に直面したときは、知恵を絞り工夫を凝らして乗り切ってきた。我々は長い間社会的に大きな意義ある仕事をしてきた。その意義に確信を持ち、今日の難題に立ち向かっていかねばならない」と強い決意を表明し、対策として「情報化推進委員会に早期の研修会の検討を依頼している」と述べた。
来賓の県中央会・三村勉総務部長より祝辞を頂いた後、議長に塚越理事長を選出して議事を進行。平成21年度事業報告、同収支決算書、監査報告、平成22年度事業計画案、同収支予算等すべての議案を原案通り承認可決した。事業報告の中で、情報化推進委員会・大川敬文委員長から、日書連マーク普及の努力で近年高校図書館より「司書ツール」の採用が増えたこと、また理事長から要請があった研修会については、7月8日の日書連全国情報化推進委員長会議に出席し、情報を得て何らかの対策を講じたいと報告があった。
菅井清副理事長の閉会の辞で総会を終了した。
(高橋雅夫広報委員)

ふるさとブックフェアを企画/新潟総会

新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)は6月21日に新潟駅前のカルチャーセンターで第26回通常総会を開催した。
熊田雅明専務理事より総会成立が報告されたあと、西村理事長を議長に議案審議。平成21年度事業・決算報告、22年度事業計画・予算案を満場一致で承認した。22年度事業計画では、①読書推進運動としてふるさとブックフェアを企画する、②週刊誌類の発売日を首都圏と同じになるよう運動する、③公的図書館へ日書連マークの導入を推進する――などの取り組みを承認した。また、専務理事の補選として熊田雅明氏(春陽館書店)の新任を承認した。
総会終了後、永年勤続従業員9名を表彰。西村理事長から勤続20年の長島望実さん(文信堂書店)に賞状と記念品が贈られた。続いて、日書連・柴﨑繁副会長による「送品・返品同日精算」についての講演会が開催された。
その後、出版社、販売会社、運送会社を交えて、新潟市「行形亭」にて創立90年記念懇親会を行った。
(熊田雅明広報委員)

来期NHKドラマと店頭連動企画/東京組合ブッカーズ

東京都書店商業組合は7月2日に書店会館で定例理事会を開催。電子サイト運営推進委員会から「Booker’s」の取り組みについて、①来年のNHK大河ドラマ「江(ごう)~姫たちの戦国」の店頭連動企画を構想中。②デジタルサイネージは7月から大盛堂書店、オリオン書房ノルテ店で『命の授業』(ダイヤモンド社)を使って展開を開始。③従来の携帯電話向けに加えスマートフォン系端末にもサービスを拡大していく――などの報告があった。このほか指導・調査委員会からは、電子書籍の書店経営への影響を図る基礎とするため、理事を対象に電子書籍に対する考えを聞くアンケート調査を実施すると説明があった。

トーハン新社長に近藤敏貴氏

トーハンは6月29日、第63回株主総会後の取締役会で近藤敏貴専務を新社長とする新役員体制を決めた。
山﨑厚男社長は代表取締役会長、池田禮専務は副社長、阿部好美常務は専務に昇格。正能康成氏は常務に就任した。また、上瀧博正代表取締役会長は取締役相談役に就任した。
近藤社長は同社第12代社長。49歳での社長就任は山﨑前社長の46歳に次ぐ歴代2位の若さ。
同日午後3時半から社長就任会見に臨んだ近藤新社長は「デジタル化、グローバル化など変化の激しい時代に対応するため若手に託されたと思っている」と語り、基本政策について「山﨑前社長の中小書店支援策を継承する。それがトーハンらしさ」と強調した。経営課題については「市場占有の奪還が最優先課題。返品率の大幅改善にも取り組む」と述べた。最後に「経営は山﨑会長と私がメインで行う」と力説した。
(◎昇任、○新任)
〔役員人事〕
代表取締役会長
◎山﨑厚男
代表取締役社長
◎近藤敏貴
取締役副社長◎池田禮
専務取締役◎阿部好美
常務取締役川上浩明
同清水美成
同○正能康成
取締役相談役上瀧博正
取締役加藤悟
同本川幸史
同谷川直人
同○鈴木仁
同○小宮秀之
同○吉田尚郎
同小林辰三郎
同鈴木敏文
同立花佑介
監査役(常勤)○馬場章好
同本田和美
監査役相賀昌宏
同○野間省伸
顧問金田万寿人
相談役朝倉邦造
同赤尾文夫
同佐藤隆信
同上野徹
財務顧問藤井武彦
営業顧問鈴木常夫
情報システム顧問
飯島信太郎
〔執行役員〕
社長(マーケティング本部長)近藤敏貴
副社長(広報・物流・情報システム部門管掌、トーハン桶川SCMセンター長兼東京ロジスティックスセンター長)池田禮
専務(特販・渉外担当)
阿部好美
常務(西日本営業本部長)
川上浩明
同(首都圏営業本部長)
清水美成
同(図書館営業部長)
正能康成
上席執行役員(取引部長)
加藤悟
同(東日本営業本部長)
本川幸史
同(仕入担当、マーケティング副本部長兼MD統括局長兼MVP推進部長)
谷川直人
同(デジタル事業化推進室長)鈴木仁
同(海外事業部門担当)
○小宮秀之
同(経理部長)吉田尚郎
執行役員(総務人事部長)
森岡憲司
同(ロジスティックス部長兼トーハン桶川SCMセンター副センター長)
栃木裕史
同(中部営業部長)
庄司和人
同(中国四国営業部長)
豊田広宣
同(EC事業部長)
高見真一
同(近畿営業部長)
小野晴輝
同(輸送管理部長)
柏木祐紀
同(九州営業部長)
小島俊一
同(特販第三部長)
高田聡
同(情報システム部長)
○中村勉
同(営業統括推進室長)
○藤原敏晴
同(東部営業部長)
○石川二三夫
同(名古屋営業部長)
○川島桂
〔退任役員〕
専務取締役馬場章好
取締役志村真嗣
同近藤隆一
監査役(常勤)星野安弘
監査役野間佐和子
執行役員石井孝文
同●木荘一郎
(●=口へんに眞)
近藤敏貴(こんどう・としたか)氏
昭和36年5月12日生まれ。61年3月明大文卒、同年4月東京出版販売(現トーハン)入社。平成18年6月取締役、19年4月常務、21年4月専務、22年6月代表取締役社長就任。東京都出身。49歳。

共栄図書

6月29日に臨時株主総会を開き、新社長に志村真嗣
氏が就任した。

新取締役に森田氏/大阪屋

大阪屋は6月26日株主総会後に開いた取締役会・監査役会で以下の役員人事を決定した。○印は新任。
代表取締役社長南雲隆男
常務取締役(管理本部長兼社長室長兼広報室長兼関連会社担当)伊勢久雄同(東京支社長兼商品流通本部長兼関西ブックシティ担当兼iブックシティ担当)中田知己取締役(営業本部長)
西洋一郎
同(営業本部EC事業部長兼情報システム部担当)
荻田日登志
同(営業本部副本部長兼大阪屋友の会事務局担当)
阿部修嘉
同(商品流通本部副本部長兼仕入部長兼東京ブックシティ所長)和田年正
同(商品流通本部副本部長兼物流業務部長兼大阪流通センター担当)○森田俊郎
同(㈱大阪屋物流社長)
髙岡博
常勤監査役弓戸庄三
監査役桑原豊
同増田和彦
執行役員(㈱大阪屋商事社長)上高牧正一
同(㈱マルサカ流通センター社長)●太津義
同(㈱マルサカブックサービス社長) 笹尾幸三
(●=木へんに戸)

新取締役に兼子、髙瀬両氏/日販

日販は6月29日開催の定時株主総会並びに臨時取締役会で以下の役員人事を決定した。○印は新任。
代表取締役社長古屋文明
代表取締役副社長(経営全般担当) 柴田克己
専務取締役(事業戦略部、特販支社担当)石田耕二
同(管理部門担当=人事部、総務部、経理部、システム部=)平林彰常務取締役(関西・岡山支社担当、関西・岡山支社長)小林利夫
同(CVS部、ネット事業部担当)加藤哲朗
同(マーケティング本部長=www推進部、書籍部、雑誌部担当=、取協担当)安西浩和
同(営業推進室、経営相談室、MPD事業担当、㈱MPD代表取締役社長)
吉川英作
取締役(特販支社長)
廣谷繁樹
同(首都圏支社長)
吉島哲夫
同(物流部門担当、王子流通センター所長)中山剛
同(中四国・九州支社長)
根岸眞
同(ネット事業部長)
大河内充
同(取引部長)○兼子信之
同(東部支社長)
○髙瀬伸英
同(出版共同流通㈱代表取締役社長、日販物流サービス㈱代表取締役社長)
高見吉弘
同(カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱代表取締役社長)増田宗昭常勤監査役井上顯一
同○石田正樹
監査役(㈱新潮社代表取締役社長)佐藤隆信
同(髙野総合会計事務所代表公認会計士税理士)
髙野角司
※退任した橋昌利専務取締役は顧問に就任した。また、高橋滋世常勤監査役は退任した。

5月期は94・4%/文庫4ヵ月連続前年割れ/日販調べ

日販経営相談センター調べの5月期書店分類別売上調査がまとまった。これによると売上高対前年比は94・4%となり、3年10ヵ月ぶりに前年割れに歯止めがかかった4月期から再びマイナスに転じた。
文庫は89・9%となり、4カ月連続で前年を下回った。映画化作品の『告白』(双葉社)、『東京島』(新潮社)は好調に推移したが、これらに続く目立った銘柄が少なかったことが前年を大きく下回る要因となった。
ビジネス書は98・5%で3ヵ月ぶりに前年を下回った。売上上位10位銘柄を比較すると売上金額は173・7%、売上冊数は190・0%と大きく上回った。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』が大きく牽引したのが要因。
客単価は99・9%と前年を0・1%下回ったものの、3ヵ月連続で1200円を上回った。

紀伊國屋書店、電子書籍販売に参入/店頭でパッケージ併売

紀伊國屋書店は6月21日、一般消費者向けの電子書籍販売事業に参入すると発表した。
9月にiPhoneとiPad向けに統合アプリを公開し、AndroidOS搭載のスマートフォンやタブレット端末などにも拡大を図る。さらにSDカードなどの記録媒体に同じコンテンツを収録して店頭でパッケージも販売する「ハイブリッド販売」を計画、地域書店と協力しながら「書店発の電子書籍流通モデル」の確立を目指す。
プロジェクトには講談社、小学館、集英社、角川グループ等が賛同。また、業務提携している凸版印刷なども技術面で協力する。

近畿トーハン楽市・楽座/450人集まり商談

第2回「近畿トーハン楽市・楽座」が6月4日、大阪市・北区の梅田スカイビル・アウラホールとウェスティンホテル大阪で開かれた。大阪トーハン会・奈良トーハン会・和歌山トーハン会・トーハン近畿営業部主催、京都トーハン会・兵庫トーハン会共催。
楽市(商談会)には出版社94社がブース出展。各社営業マン、関西の書店人、トーハン社員ら約450人が一堂に会し情報交換と商談を行った。
続いて行われた楽座(合同懇親会)で、挨拶に立ったトーハンの山﨑厚男社長は「電子書籍と共存できる新しいプラットフォームを確立し、書店を応援していく」と述べ、出版社に対して「電子書籍で販売する価格に対して、コンテンツの価値を貶めることのないように」と注文をつけた。
また、大阪府書店商業組合の面屋龍延理事長は「97年に消費税が3%から5%に引き上げられたときから書店の売上が落ち出した。政界では消費税増税が検討されているが、文字活字文化を守るため、出版業界に軽減税率が適用されるよう運動を展開する」と語った。(萩原浩司広報委員)

国内最大級の電子書店開設へ/5年後500億円見込む/DNPとCHI

大日本印刷(DNP)とその子会社CHIグループは7月8日、約10万点のコンテンツを揃えた国内最大級の電子書店を今秋開設し、PC、スマートフォン、電子書籍専用端末、多機能端末などあらゆる端末に向けコンテンツを販売すると発表した。
CHI子会社の図書館流通センターが運営するオンライン書店「bk1」や、DNPグループの丸善、ジュンク堂、文教堂とも連携。リアルな書籍と電子出版コンテンツを提供する国内初となる最大級のハイブリッド型総合書店を目指す。売上は5年後に500億円を見込むとしている。
コンテンツ制作や電子出版ビジネス業務のサポートも行うという。

企業価値向上へ組織改革推進/太洋社すいか祭

「本活本屋さんを活性化するチャレンジ」をテーマに、太洋社の第20回「すいか祭」が6月12日、東京・文京区の本社で開かれ、書店49法人・105名、出版社72法人・134名が参加した。
あいさつした國弘晴睦社長は、第57期業績予測について「売上高は前年比96%の402億円。返品率は40・1%。船橋流通センターの売却で利益は大幅に増え、減収増益となる見通し。だが、増益は企業努力の数字ではない。売上高も返品率も目標から程遠い結果」と述べた。
また、「社員の意識改革を進めるため、新年度に向けて人事統括室を独立部署とし、人財開発に力を入れる。また、事業開発室を新設し、売上と利益に貢献する新商材を開発する。組織改革は半期ごとに見直す。積極的に改革を進め、企業価値を一から見直す。取引先の役に立つ企業となるよう努力する」と、組織改革に意欲を示した。

売上高1257億円/1億2700万円の黒字/大阪屋

大阪屋は6月26日、大阪市西区の本社で第63期定時株主総会を開催した。
第63期(平成21年4月1日~22年3月31日)事業報告によると、今期の売上高は前期比98・10%の1257億3900万円と減収だったが、販売費及び管理費が94・40%の93億18万円とと低減した。これにより、営業利益は79・61%の5億7800万円、経常利益は56・98%の2億3300万円になった。また、特別損失9200万円を計上したことから、税引後の当期純利益は1億2700万円になった。
売上高の内訳は、書籍820億5600万円(100・62%)、雑誌420億980万円(93・56%)、教科書その他15億8400万円(97・60%)、合計1257億3900万円(98・10%)。

電子出版ビジネス発展目的に協議会/凸版とDNPが設立

凸版印刷と大日本印刷(DNP)は7月9日、電子出版ビジネスの成長と発展を目的に、電子出版制作・流通関連事業者で構成する任意団体「電子出版制作・流通協議会」を7月27日に設立すると発表した。
同協議会では電子出版ビジネスの発展に必要な課題の整理と検証、配信インフラ基盤に関わる問題と解決、市場形成における検証や電子出版振興に関わる提言等、出版関連団体や権利者、行政機関との連携を図ることで、電子出版の発展に貢献する活動を目指す。
凸版印刷とDNPが発起人となり、電子出版ビジネスに関心のある企業の参加を広く募集。7月27日に都内で設立総会を開催する。設立準備事務局は電通が担当する。

日書連のうごき

6月3日全国万引犯罪防止機構第1回理事会と同機構第5回総会に大橋会長。第44回大阪屋友の会連合会に面屋副会長が出席。
6月7日TIBF実行委員会に大川専務理事。
6月8日第2回デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会に大橋会長が出席。
6月9日日本出版クラブ平成22年度定例理事会・評議委員会に大橋会長。JPO運営委員会に大川専務理事。厚生年金新年度説明会に石井事務局次長。
6月10日白泉社モニター会での「ためほんくん」デモに田江理事が出席。情報化推進&図書館サポート合同委員会。
6月14日集英社販売懇親会での「ためほんくん」デモに田江理事が出席。
6月15日講談社・未来研での「ためほんくん」デモに田江理事が出席。
6月16日太宰治賞贈呈式に大橋会長が出席。
6月17日「ためほんくん」協力出版社との打合せ会。第6回出版物の在り方に関するWTに大橋会長。読書推進運動協議会監査会に大川専務理事が出席。
6月21日新潟県組合総会に柴﨑副会長。全国公正取引協議会連合会平成22年度通常総会に公取協影山専務理事。第598回文化産業信用組合理事会総代会に大橋会長が出席。
6月22日箱根芦ノ湖国際聖道場評議員会に大川専務理事。第3回デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会に大橋会長。
6月23日定例理事会。第15回RFIDコード管理研究委員会に安倍専門委員が出席。東京堂書店120周年記念パーティーに役員多数が出席。
6月24日第22回日書連通常総会。
6月25日文字・活字文化推進機構の第8回定例評議員会並びに第8回定例理事会に大橋会長が出席。
6月29日メディアコンテンツ万引防止協議会打合せに大川専務理事が出席。
6月30日日本図書普及の理事会並びに総会に大橋会長ほか役員が出席。。第2回東京万引き防止官民合同会議に大川専務理事が出席。大橋会長が出版文化産業振興財団を訪問。

本屋のうちそと

東京国際ブックフェアに今年も足を運んだ。これまで欠席は数回だけのこのフェアも今回で17回目。
日本でも本格的なブックフェアをと始まったこの催しだが、書店にとってもう一つメリットが足りないような気がする。ただ、業界を取り巻く環境と動向を肌で感じるインパクトは大きなものだ。今回はiPadや携帯のデジタルコンテンツが目につく。デジタル・パブリッシングなどリアルな本以外が会場の半分以上のスペースを占めるのも、今の時代なんだろうと考えさせられた。
同時開催の国際文具・紙製品展やその他のフェアも歩き回るのだが、今回目についたのは、今まではギフトショーにしか参加していなかったという、ブックカバーやしおりなどレジ回り商品を扱うブース。売上減少対策と店の活性化につながる本以外の商材を探す書店と、より以上の販路を求めるそれら会社の思惑が一致するのだろう。
どんどんカラフル化する傾向にある書店店頭だが、逆にリアル書店とリアル書籍の感動を読者にいかに伝えていくか真剣に考えたい。(理)