全国書店新聞
             

平成18年2月21日号

値引きは認めない/近畿ブロック会が見解

書店近畿ブロック会(面屋龍延会長)は、10日の小売公取協臨時総会で景品規約改訂案が可決されたことを受けて「小売競争規約の変更について」の声明を発表した。
【小売競争規約の変更について】
今般出版物小売業公正取引協議会は「出版物小売業における景品類の制限に関する公正競争規約」(以下小売競争規約)の変更を認めましたが、日書連近畿ブロックの各理事長は、ここに見解を述べさせて戴きます。
この規約の第1条に、「公正競争規約は景品類の提供の制限を実施することにより、不当な顧客の誘因を防止し、もって出版物小売業における公正な競争秩序を確保する事を目的とする」と示してあります。
この度の公正取引委員会より示された変更は、実態として公正な競争秩序とは相反するものと考えざるを得ません。
出版不況が続く中で、変更された「通年で2%の景品提供」に対応できる書店はごく限られており、一部の大書店のみが顧客の誘因に利用できる景品提供であります。
多くの書店の意に反して受け入れざるを得ないとしても、私共は書店人として出版物の定価及び景品提供の公平性は遵守していかなければならないと考えます。
また今回の変更を、たとえ是と捉えたにしても、これは景品の提供に限られており、再販契約で規定されている「値引」やポイントカードなどの「値引類似行為」までを認めているものではありません。
このことは全国の出版物の小売に携わる方々には自明の理と考えますが、この度の変更が値引行為に拡大解釈されることのないよう、御理解をお願いします。
あわせて「著作物再販制度」のもとで、出版小売業にふさわしいサービスを、今まで以上に読者の立場から研究し実施して行きたいと考えます。
平成18年2月10日
大阪組合理事長面屋龍延
京都組合理事長中村晃造
滋賀組合理事長平柿宗敏
奈良組合理事長西本功
兵庫組合理事長三上一充
和歌山組合理事長宮井治夫

景品規約改定案を了承

書店の景品規約改訂問題を検討していた出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)は2月10日午後1時から書店会館で臨時総会を開催し、①景品提供ができる期間制限を年2回60日から年2回90日にする、②複数回取引の景品提供(スタンプサービス等)は2%まで、③ただし、施行から1年間は1%とする、④3年後に規約・施行規則を見直す――とする改訂案を賛成多数で可決した。
この日の臨時総会は、1月27日に箱根で行われた小売公取協理事会で規約改訂案がまとまらなかったため、改めて臨時総会を招集し、承認を求めたもの。
井門会長は「景品規約の見直しは昨春から萬田前会長、影山専務理事で手がけ、私は5月からかかわった。改訂自体は書店業界からは苦渋の選択だが、首の皮1枚でも(書店の景品ルールを)残したいと考えている」とあいさつ。井門会長を議長に進められた。
変更案は事務局から説明があり、井門会長は「書店の景品規約は昭和56年にできた。最初は2%でスタートし、3%、5%、7%と改訂されてきた。期間制限も30日から始まり、90日へと一般ルールに近づいている。スタンプサービスは当初、公取委から3%を求められたが、改訂案は2%にとどめた」と説明した。
これに対し、神奈川組合からは「改訂案の審議が不十分。改訂案は書店の営業に重大な影響を及ぼす」と反対意見が示されたほか、東京組合からも「公取委に不服申し立てを」と強硬な意見があった。
しかし、「改訂案がまとまらず、施行規則がなくなれば景品が一気に7%まで拡大する」「スタンプを1年間1%に据え置くことができたのは評価できる」「3年前の議論に戻すべきではない」など改訂案に賛成する意見もあり、採決の結果、賛成多数で改訂案を可決した。
【規約改訂までの経過】
書店の景品規約改訂問題は、現行の「出版物小売業公正競争規約」が平成14年7月に改訂された際、3年以内に見直しを行うことを決めており、昨年6月がその期限だった。
このため、出版小売公取協では昨年1月に規約改正小委員会を設置。見直し作業を進めてきた。この間、公取委は一般ルール並みの規制緩和を強く求め、年2回60日という期間制限と、ベタ付き景品7%という上乗せ規制の撤廃が焦点になっていた。
小売公取協は昨年5月に就任した井門会長、影山専務理事を中心に改訂案をまとめ、7月に示された影山私案を軸に各県組合の意見を求めてきた。9月理事会では低率の景品スタンプ容認を初めて打ち出したものの、公取委から低率は3%と求められ、10月、11月、12月と理事会での議論が続いていた。最終的に1月に井門会長が改訂案を示し、同案で了承された。
【出版小売業景品規約及び施行規則の主な変更点】
〔期間制限〕
景品類を提供することができる期間は年2回90日以内とする。
〔複数回取引の景品類提供〕
購入金額、購入冊数の購入実績を一定の換算方法に基づいて継続的に記録し、蓄積された購入実績に応じて懸賞によらないで提供する景品類であって、取引価格の100分の2の範囲のもの。
この規則の施行の日から1年間に限り100分の2を100分の1とする。
〔施行日〕
規約変更は平成18年●月●日から施行する。
〔施行規則の見直し〕
出版物小売業における景品類の提供の実態等を踏まえ、平成21年●月●日までに見直し

書店くじ清算はお済みですか

昨年秋の読書週間書店くじで各書店にお立て替えいただきました1等(1万円)、2等(千円)、3等(5百円)、4等(百円)の当選券清算は1月末が締め切りでした。当選券の清算がお済みでない書店は、大至急、日書連事務局「秋の書店くじ」係へ、指定の用紙に券の内訳を明記の上、ご郵送ください。

0・9%減、再びマイナスに/2005年書店分類別売上調査

日販経営相談センター調べによる2005年の年間書店分類別売上調査が発表された。これによると05年の売上は対前年比0・9%減だった。同調査による書店売上は04年、10年ぶりに前年を上回ったが、1年でマイナスに逆戻りした。
月別の売上高推移は、3月、7月、8月、10月、12月が前年をクリア。店舗規模別では121坪以上が0・3%増となったほかは、40坪以下2・0%減、41~80坪2・5%減、81~120坪1・9%減と軒並み前年を割り込んだ。立地別では全立地で前年割れとなり、商店街で3・4%減と落ち込みが目立った。このほかの立地は2%以内のマイナスに止まっている。
ジャンル別にみると、コミック(4・9%増)、新書(1・5%増)、文庫(0・9%増)の3部門が前年比プラス。コミックはメディアミックス効果で爆発的ヒットを記録した『NANA』をはじめ少女コミックが貢献。新書は『頭がいい人、悪い人の話し方』『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の2点がミリオンセラーになるなど教養新書が好調だった。逆に文芸書は11・9%減。前年に刊行された『ハリー・ポッター』第5巻の反動で大きく落ち込んだ。
客単価の平均は3・9%増の1122・5円で、全規模で前年を上回った。

学校図書館電算化を討論/近畿ブロック、IT助成金申請呼びかけ

日書連近畿ブロック会が2月8日、大阪市北区のホテルモントレグラミアハウスで開かれ、60名が出席。日書連の志賀健一情報化推進委員長を招いて「学校図書館電算化」をテーマにパネルディスカッションを行なった。また、小学館の相賀昌宏社長が講演した。
ブロック会は中村晃造副会長(京都)の司会で進行し、面屋龍延会長(大阪)があいさつ。「学校図書館IT化は小中学校だけでなく高校にまで普及しつつあるが、残念ながら本屋さんは知的業界の一員として商売と捉えるのが二の次になったり、IT化と聞いただけでしり込みしてしまい、難局打開への対応が後手後手となっている。今日は志賀委員長、各府県組合IT担当者でパネルディスカッションを行い、学校図書館電算化について議論を深めたい」と話した。
パネルディスカッションでは、まず志賀委員長が基調報告。日書連MARCの導入状況を報告したあと、TRCの動向について「昨年から営業方針を転換し、全国学校図書館に職員を派遣する人材派遣業を推進。来年度、同社への丸投げ受注倍増を目論んでいる」と注意を喚起。勉強会を重ねて個店が自前で図書装備できる体制を確立すべきと提案した。また、「各県組合にIT化助成金を上限20万円提供する。申請してほしい」と呼びかけた。
続いて辻本和樹(京都)、深田健治(大阪)、庫本善夫(奈良)、中島良太(兵庫)、上田聡幸(滋賀)、上野山順司(和歌山)の6氏が各府県のIT化と学校図書館電算化について現状報告。「京都市は小中高280校で日書連MARCの採用が決定」(京都)、「昨年末、八尾市の書店が地元小中44校に日書連MARCによる図書納入を行なうことが決定」(大阪)、「生駒市、川西町の数校で情報BOXを採用」(奈良)、「自治体へのアプローチが急務」(兵庫)、「大津市の小中学校は本屋TOOLにより装備納入」(滋賀)、「各店千円の負担でホームページ作成を支援すると呼びかけたが反応が鈍い」(和歌山)等の報告があった。
このあと小学館・相賀昌宏社長が記念講演。同社の小売店舗に対する新しい取り組み方と方針、出版業界の諸問題について話した。(中島俊彦広報委員)

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成18年4月20日(木)より30日(日)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数600万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法束単位で返信用申込書に必要事項を記入し、所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品賞品総額8680万円、9・8本に1本の当選確率
特等賞=オーストラリア6日間の旅60本
1等賞=図書カード1万円600本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1800本
3等賞=同5百円1万2000本
4等賞=図書購入時に充当百円60万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは7月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽申込み書店特典 組合経由の申込店から抽選で3店にオーストラリア6日間の旅無料随行員。
▽PR活動春の書店くじ宣伝用ポスター

日書連の動き

1月5日事務局仕事始め。
1月6日新年名刺交換会。全国医書同業会新年会礼会に丸岡会長が出席。
1月7日悠々会新年会に丸岡会長が出席。
1月10日新春おでんの会に面屋副会長が出席。栗田新春あいさつの会に丸岡会長が出席。全国中央会月例交流会新春懇談会に大川専務理事が出席。
1月11日日教販市会に丸岡会長と大川専務理事が出席。書店新風会新年懇親会に丸岡会長が出席。
1月13日第9回JPО運営委員会に志賀副会長と大川専務理事が出席。神奈川組合9支部合同新年懇親会に鈴木副会長が出席。全国万引犯罪防止機構新年顔合せ会に下向理事と大川専務理事が出席。
1月17日取引改善拡大委員会。
1月18日第21回梓会出版文化賞贈呈式に丸岡会長と大川専務理事が出席。
1月19日情報化推進委員会。
1月23日出版倫理協議会に大橋副会長、長谷川常任委員、高岡委員が出席。読書推進運動協議会常務理事会に丸岡会長が出席。個人情報連絡会に大橋副会長が出席。
1月24日増売・読書推進合同委員会。
1月25日出版再販研究委員会に丸岡会長ら役員が出席。日書連再販研究委員会。平成18年新春懇親会21世紀活字プロジェクトに丸岡会長と大川専務理事が出席。
1月26日聖教新聞社創立55周年記念祝賀会に丸岡会長と大川専務理事が出席。
1月27日日書連新年理事会。第52回出版販売新年懇親会。
1月30日第27回出版ゾーニング委員会に大橋副会長が出席。日本図書普及㈱役員会に丸岡会長ら役員が出席。出版物公取協正副会長会議にて臨時総会日程を決める。「3・13重税反対全国統一行動中央実行委員会」が来局、面屋副会長が応対する。
1月31日平成17年度公正取引協議会事務局長会議に大川事務局長が出席。

「学参・辞典販売現場のポイント」/学参・辞典勉強会

学習書協会と辞典協会が共催する「2006年新学期学参・辞典勉強会」が2月15日に東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、元三省堂書店神田本店学参担当の関根俊郎氏が「学参・辞典販売現場のポイント」をテーマに講演。コーナー作りの基本や新学期の取組みなど販売の要点を解説した。
【顧客確保で重要な分野】
学参・辞典は、小学生から大学入試まで、どんな人でも一生に一度必ず出会う大切なものだ。そして、書店にとって顧客確保に絶対必要なジャンルだということだ。子どもが書店ではじめて買うのが学参や児童書。お客になってもらえれば、大学入試くらいまでは店に来てもらえるのではないか。
学参は季節商品であり、1年中変化していて、八百屋みたいなところがある。生徒の動きを意識しなければいけない。また、学参は専門知識が必要なジャンルになっている。教科書改訂や受験の変化などがあり、年間計画の立て方や注文の仕方も違う。担当者の異動などで知識がなかなか次に伝わらないことも多く、「情報の断絶化」を起こさないようにしたい。
学参は教科別や科目別展示が基本だ。長年の経験から、学年別だと欠本が分からず、お客も探しづらいと思う。棚作りでは①教科別②科目別③シリーズ別④学年別という順が成り立つ。高校だとさらに単元別まで分類する必要がある。棚差しプレートで分類をしっかり表示したい。
科目別以外の棚は、高校学参では特に季節対応のスペースが必要だ。新学期商品と、赤本類・センター試験問題集などの商品とは、スペースをクロスさせて棚替え、拡張・縮小ができる。願書はどうしても他の商品とクロスできないが集客力が高いので、別なスペースが必要だ。
中学は比較的簡単で、教科書ガイド・準拠問題集と高校入試ものとをクロスする。小学学参は年間ほぼ同じ展開でよい。中学入試コーナーは重要なジャンルなので、大都市圏では入試を意識した棚を育てていく。この他、調べ物学習の本を棚に入れておくと気の利いた棚になる。幼児教育コーナーは今後ますます重要になる。主要商品は、知育開発、児童英語、小学受験だ。需要が伸びており、今後スペースを確保して作ってほしい。
辞典は、小学生向けや児童英語辞書などは学参の一部として考え、それぞれの棚へ置く。中学向け以上は、子どものレベルで全然変わってくるので、辞典コーナーへ置くようにする。中学で高校レベルの辞書を買う人も結構いるからだ。
陳列のポイントは、商品アイテムをできるだけ多く並べること。学参は、売上げの半分を売行き上位の商品で占めるが、それだけでは寂しい。書店での購買意欲につながるので、ぜひアイテム数を置きたい。
【棚替えの記録を残す】
自店用にできるだけ具体的な学参カレンダーを作ってほしい。計画表を一つ作ると仕事が楽だし、次の年のめどにもなる。模様替え、棚替えは、今が難しい時期だ。入試から新学期となるので入試の日程や学校行事を調べて検討してほしい。コツとして、棚の図面を残しておく。並べた品名を記入すると後で役立つ。写真も撮っておくとよい。引継ぎの時にも役立つし、情報の断絶を防ぐことができる。
棚替えには3つのポイントがある。「驚かす」は、お客の販売意欲を刺激すること。「知らせる」は新版が出たことや、受験界の動きを知らせたりする。「楽しむ」は、お客と自分の両方が楽しむことが重要だ。横浜にある大書店の担当の方と話したら、「箱根駅伝の出場大学の赤本でコーナーを作った」と聞いた。私なら例えば「学食のうまい大学」というくくりにしてみる。受験とは関係ないが、やってみてはどうだろうか。
平台のチェックは月一度は当たり前で、できれば毎日してほしい。これでいいのかと、何か浮かんだら替えてみる。題材に尽きたら本の位置や、POPを変えるだけでもいい。いつも何かをやっている店だというイメージが重要だ。
【新学期は新1年生を意識】
新学期は勝負の時で、顧客を作る最大のチャンスだ。店に初めて来る親子が多く、新しい動きがあるのが新学期。販売研修会や受験雑誌、版元から情報を集めることがまず必要だ。
新学期商品の発注だが、注文書に記入する前に、全体を見直してほしい。重複が無いかなどに注意し、前年実績や、教科書改訂があったら旧版をどうするかとか、その年の傾向を考慮して注文数を決める。意外と辞書の新刊は見逃しやすいので注意する。
自習書ガイドの発注ポイントとして、生徒がよく来る学校の自習書ガイドを切らさないことが重要。ターミナル店は、その地区だけでなく通学経路も重要なので、グローバルな範囲で見ておく必要がある。
辞典は、最近は前年実績重視の配本になっている。地域性の高い店は、よく生徒の来る学校の推薦や指定辞書を確認する。そういうものはたくさん取らなければいけないから、出版社や取次と前もって条件面をよく相談しておく。要するに返品条件についてだが、後の仕事がやりやすくなる。
新学期の陳列と販売は、新1年生を強く意識したい。親子連れが新しい意欲をもって来店するので、コーナーに新学期のムードを作る。あと、商品はできるだけドカンと積みたい。迫力を出すことにいろいろな意味があり、普段と違うことが重要だ。
新学期は、3月最後の土日から、4月の1・2週の土日くらいまでの短期集中販売になる。その時、売上げ上位の物の売り逃しを少しでも減らすことだ。定番のリストを作っておき、しっかり管理する。売れ筋は平積みだけで安心せず、重複展示したい。棚の目線のゾーンに2冊入れておくのがコツで、1冊売れたら平台から足しておく。
辞典販売も新学期に集中し、年間の半分くらいを売る。メインの辞書は高く積むことだ。お客も商品がたくさんあるほうが気持ちよく買える。特定の辞書だけ何十冊も売れることがあるので、別陳列台にしてみると効果がある。
販売の技術としては、お客に声をかけること。「何かありましたらお声をおかけください」でいい。問い合わせには周りにも聞こえるくらいの声で答える。他のお客もちゃんと聞いているからだ。よくある質問に答える準備をしておくと店の信頼度がアップし、他店との差別化になる。
辞典の薦め方は難しく、知識がないとなかなか薦められない。私は版元にセールスポイントを簡単にまとめたものを作ってもらった。傾向として男性は収録語数、女性は使い方にこだわるようだ。どちらの辞典にするか迷っているお客には、「同じ語を引き比べてください」とアドバイスすると納得して買っていく。
電子辞書についてだが、中学まではペーパーの辞書を薦めていた。例えば、ほとんど本を読まないお子さんが中学に上がる際には、中学と小学校の間くらいのやさしい辞書を薦めたりした。このレベルの辞書は電子辞書には含まれていないからだ。高校以上は電子辞書も仕方がないかなと思う。ただ、電子辞書を買っている人に「紙の辞書も持っていた方がいいか」と聞かれたことも多かった。そういう時は、「メインに使う辞書が机の上にないのは寂しいですよね」などと答えていた。
【笑顔の声かけが商機に】
店員の心構えを挙げると、まず学参・辞典を好きになってほしい。愛の無い、やる気の無い店員はお客に見抜かれる。毎朝のハタキかけを開店前の準備体操としてやってほしい。新刊が出たら必ず内容を確認しておく。商品知識が持てるしPOPが作れる。出版社別に分ける作業だけでいいので、毎日売上げスリップを見てほしい。いろいろアイデアが浮かび、店の中の動きが分かってくる。
笑顔は商売の基本だ。コミュニケーションの第一歩になるし、笑顔の一言が意外なことになる場合もある。私の例を言うと、割烹着で買い物籠を下げたおばさんが辞書売場にたたずんでいたことがあった。「何をお探しですか」と声をかけたら、お寺の奥さんだと分かった。本堂を建立した記念に檀家さんに配るものを探していたのだという。「辞書は一生使ってもらえます」と、ちょうど『大辞林』が出た時だったのでお薦めし、名入れで6百冊注文いただいた。もし話しかけなかったら、他へ行ってしまっただろう。
学参・辞典の今後だが、少子化でも伸びるジャンルはある。努力した結果が反映されるのが入試であり、小中学校の入試がカギになると思う。子どもが「勉強をする・しない」の二極化も進むだろう。書店は、店に足を運んでくれる学習意欲の高い生徒と親をターゲットに考えていきたい。

テキストで売場演出/NHK出版春の販売説明会

NHK出版は2月8日午後、新宿京王プラザホテルで「2006年春の販売促進会」を開催した。
第1部説明会で山田篤常務は「『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』に、儲けとは売上高引く原価とある。NHKテキストは質を維持するため原価を下げられないので、売上を伸ばしていきたい」とあいさつ。
春の出版企画・販売企画は野崎隆販売推進部長、田中伸一テキスト雑誌課長が説明。野崎部長は上質の客を確保する場としてテキストコーナーを見直してほしいと求め、英語講座はラジオ8講座・テレビ5講座で編成、春は「趣味の園芸」を中心に販促展開するとした。書籍では全米ベストセラー、世界33カ国で翻訳出版されるエリザベス・コストヴァ著『ヒストリアンⅠ・Ⅱ』を2月24日に発売、文庫化される『ダ・ヴィンチ・コード』との並列販売が効果的と提案した。初版は各5万部。また、田中課長はテキスト販売のコツについて①当月号と前月号の並列販売②バックナンバーを揃える③多面展開する――と説明。店頭飾りつけコンクールへの参加を呼びかけた。
第2部懇親会では大橋晴夫社長が「テキストあってのNHK、読者あってのNHK、書店あってのNHK。皆様の要望を聞きながらやっていきたい」とあいさつ。日書連丸岡会長は「NHK出版は7支社で全国書店のバックアップ体制が整っている。テキストは売りやすい商品。創立75周年をともに盛り上げたい」と述べ、乾杯した。

移転

◇あかね書房
本社周辺再開発計画のため、2月20日より来年10月まで左記に移転。電話、FAXは従来通り。〒101―0051千代田区神田神保町2―36北神ビル2階
◇化学同人
2月6日より左記に東京事務所を開設。〒102―0076千代田区五番町5―6ビラカーサ五番町308電話03―3556―4081、FAX3556―4082

世界文化社『お料理レッスン』好調

世界文化社創立60周年記念企画、3月1日発売の大型ムック『お料理レッスン』(定価2980円)の事前予約活動が好調。
同ムックは初心者向きに徹してハンバーグ、コロッケ、肉じゃがなど、日常的献立の定番を取り上げ、調理手順に沿って火加減、ゆで時間などを具体的に説明したのが特徴。分量も2人分を基本にしている。料理をしながら使える本がほしいという声に応え、ビニール製カバーで開いたままでも水や油などの汚れからページを守る工夫をほどこした。店頭展示台は見本誌が見開き状態で展示できると好評。5部以上販売すると1部百円の販促費が付く。同社では10万部は売りたいと販売目標を掲げている。

東海日販会50周年祝う/商談会も最大規模での開催

東海日販会は2月16日午後4時からウエスティンナゴヤキャッスルで第50回通常総会を開き、書店175名、出版社179名などが出席。日販会最古を誇る組織の50周年を祝った。
総会の冒頭、篠田元弘世話人代表(自由書房)は東海日販会の歴史を振り返り「昭和32年、世間は神武景気のさなかだったが、競争も激化し、名古屋日販会として発足したのが始まり。半年前から準備して記念総会が開けたのは喜びだ。東海地区は愛地球博が終わり、書店業界はナショナル・チェーンの大規模出店が続いている。再販制度もポイントカードを含め正念場を迎えた。団塊世代が定年を迎える2007年問題では、この世代を書店に引き込むキャンペーンが必要」とあいさつした。
宮川源副代表(鎌倉文庫)を議長に、事業・会計報告は佐藤光弘世話人(光書房)が説明。拡販表彰では、『旬の地魚料理づくし』で関が原・ムサシヤ、『願いは、ぜったい叶うもの』で熱田・磨里書房など4店を表彰した。
来賓祝辞では、日販鶴田社長が「この50年、日販を支えてくれた書店に改めて感謝する。最初は簿記の研修から始まり、三河、三重、岐阜が加わって大きくなっていった。本日のブックサミットのように作り手と売り手がコミュニケーションを図っていくことが商売の活力になる。さらなる発展を」と述べた。出版社を代表して小学館相賀社長は「今後も誇りをもって、一緒に仕事を進めていきたい」とあいさつした。
総会に先立って零時半から出版社107社が重点企画、新企画を持ち込んでの商談会「東海ブックサミット」が行われた。
出席者にはDVD付き『東海日販会50年史』とカラー店舗紹介写真付き会員名簿が配られた。

SCM70銘柄に拡大/2百社、1千店の目標達成/日販www

日販は2月8日、ホテルインターコンチネンタル東京ベイに出版社、書店、日販関係者280名を集めて「wwwプロジェクト感謝と未来に向けての集い」を開催した。
日販を代表してあいさつした鶴田社長は「トリプルウインはスタートして5年、ようやく業界スタンダードに定着した。今後、出版社、書店の知恵を加えて新しい付加価値と利益をあげていきたい。これに経済合理性を加えて責任販売制を確立していきたい」などとあいさつした。
wwwの現状は吉川www推進部長が「参加出版社は2年前の139社が209社に、加盟書店は473店が1192店に、SCM契約締結のSCM店は222店から971店と目標を大きく凌駕した。SCM銘柄は20銘柄から70銘柄に拡大し、売上率は高水準のまま返品率を5ポイント低下させた」などと報告した。
出版社の事例発表では、角川書店今井販売部長が『ダ・ヴィンチ・コード』を例に、正確な市場在庫をもとに堅実に重版を重ね2年間で上下巻220万部を販売。5月映画化をにらみ、3月に発売する文庫も含めダヴィンチコード5百万プロジェクトを展開すると述べた。
講談社峰岸コミック販売局長はSCM銘柄として取り上げた『ドラゴン桜』について、テレビ化の前から仕掛けを行い、学参とコミックを融合して販売した成果を紹介した。
今回から設けられた「wwwアワード」は、「メニュー徹底部門」で基本在庫充足率81・6%の精文館書店、「売上げ拡大部門」はSCM銘柄15万2744冊を販売した明屋書店、「管理徹底部門」は期間内返品率0・3%のビッグワンが受賞。受賞書店からSCM銘柄の管理・運用方法の事例が報告された。

日販労組が図書寄贈

日販労組は1月21日、28日の両日、都内の児童養護施設6施設を組合員30名で訪問し、図書220冊を寄贈。あわせて子どもたちに読み聞かせを行った。社会貢献活動の一環として1981年から続けており、組合員の募金をもとに25年間で延べ350の施設に図書寄贈を行っている。また、昨年の読書週間には全国21カ所の駅頭で読書推進を呼びかけた。

本屋のうちそと

分別ごみが浸透してきたようです。捨てるものが曜日で分かれていて、常に分別をしていく毎日です。とくに紙類は燃やすもの、再生紙にするものと分ける。
書店が配達に使用する雑誌袋など、お客様の方で綺麗に貯めておいて「また使用してください」と戻される。ごみとして捨ててしまうのはもったいない。捨てるごみなら、邪魔になるのでいらないと言う。
本、雑誌を店頭で渡すときも「袋いりません」と言う人がものすごく多くなり、当店での袋の消費が減った。買い物袋を持ち、それに入れていくという。配達の時はさすがに汚れたり濡れたりするといけないので入れていくが、袋の返品があるのです。広告もいらないと言う人が多く、新刊書、企画書などの広告も配りにくくなった。新しい企画物の広告を持っていって説明しても、広告はいりませんよと返される。一読してから返してくださいと粘って置いてくることもある。
店頭では極端な人もいる。本にカバーしてくださいと言う。カバーをすると「袋にも入れてください」。それに念を押したように「ビニールの袋にも入れてください」と、なんとも訳の判らない人もいるものです。
毎月お買い求めいただく雑誌がたまり、捨てる段になって「これ全部お宅から買ったものです」と言われても困ってしまう。いまは「もったいない」が合言葉のようだが
いらないものは片付けないと、ごみ屋敷になってしまいます。残しておきたくなる本、雑誌がないのが問題。(とんぼ)