全国書店新聞
             

令和3年7月1日号

書店の役割コロナ禍で大きく/粗利拡大へ出版社・取次から具体策も/大阪組合総会

大阪府書店商業組合は5月29日、大阪市北区の同組合会議室で令和2年度通常総会を開催。面屋龍延理事長(清風堂書店)は、知識を提供する役割を担う「街の書店」の存在意義が、コロナ禍の社会で大きくなっていると強調した。また、日書連が推進する、粗利益拡大によって経営環境改善を目指す運動について、大手取次や出版社数社から具体的な方針や施策が出始めていると経過報告した。
組合員111名(委任状含む)が出席した総会は、堀博明副理事長(堀廣旭堂)の司会で進行。
開会あいさつで面屋理事長は、この1年間はコロナ禍で日本だけでなく世界中が苦労していると指摘し、斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)に言及。「人新世とは、人類の経済活動が地球を破壊するという意味。地球の状況が元に戻らないと、地球温暖化の大洪水がやってくる。人知を超えた状況が起こり、ウイルスが人間社会に出たのではないか。このような状況下で人類の知識は不足している。そこで、街の書店でコロナ禍に対処するための本を買ってもらう。出版界の果たす役割は大きい」と話した。
続いて坂口昇常務理事(梁川書店)を議長に議案審議。令和2年度事業報告、収支決算書、令和3年度事業計画案、収支予算案、理事・監事の選出などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告で面屋理事長は、日書連が推進する書店粗利益拡大に向けた取り組みについて、「粗利益が30%以上なければ経営は成り立たない。5年前に出版業界3者で協議する書店環境改善実務者会議を立ち上げ、出版社や取次を訪問した結果、トーハンと日販は30%必要という方針を掲げている。いくつかの出版社も報奨金など様々な形で30%の施策を打ち出し始めている」と経過を報告した。
コロナ関係では、大阪府が昨年4月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請の緊急支援として計25億9400万円の補正予算を決め、休校が続く子どもたちの家庭学習を支援するため図書カードの配布事業を行ったことを説明。また、全国書店再生支援財団が、コロナ禍の書店経営存続を支援するため、全国の組合加盟書店約3000店に5万円の支援金を支給したと報告した。
最後に、大阪府中小企業団体中央会と事前協議した上で、6月26日開催予定の第1回理事会まで面屋氏が代表理事の職務を続けることを承認した。
深田健治副理事長(ブックスふかだ)のあいさつで閉会した。
(石尾義彦事務局長)

11月1日は「本の日」/「ブックカバー大賞」実施へ/配布参加書店の申込受付始まる

日書連が事務局を務める「本の日」実行委員会は、「本の日」を周知する企画として、「『本の日』ブックカバー大賞」を実施する。
「読書が楽しくなる」をテーマに、文庫本のブックカバーのデザインを一般公募。矢幡秀治実行委員長、芸術雑誌編集長4名、ブックカバーを配布する参加書店で構成する審査員が最終審査を行う。大賞作品はブックカバーにして、「本の日」キャンペーン期間中に参加各店舗で配布する。
書店が力を合わせて全国規模のブックカバーデザインの募集を行うことで話題性を生み、全国各地で期間限定の「本の日」オリジナルブックカバーを配布することで書店業界全体の活性化を促す。
参加店舗の申込受付は7月1日~29日。8月10日から参加店舗に募集ポスターとチラシを発送し、店頭での告知を開始する。
ブックカバーデザイン募集は8月1日~9月20日。9月下旬~10月初旬に審査会を開催し、大賞をはじめ入賞作品を決定。ブックカバーを印刷し、各店舗へ発送する。
「本の日」の11月1日から参加店舗の店頭で、文庫本を購入した客にブックカバーを配布する。
問い合わせ・申し込みは、「本の日」ブックカバー大賞事務局・数原(かずはら)まで(㈱ブックエース事業統括本部内)。℡029-305-6200(月曜~金曜・9時~17時)メールアドレス