全国書店新聞
             

平成21年9月21日号

書店は利益が出る構造か/アンケートなどで調査実施/千葉総代会

千葉県書店商業組合(鈴木喜重理事長)は9月11日午後1時から千葉市中央区の千葉書店会館で第26期通常総代会を開催した。鈴木理事長は組合員減少が止まらない現状に憂慮を示し、書店は利益が出る構造になっているか、年間を通して調査する意向を示した。また、日書連共済会残余財産の使途について、日書連傘下組合員の共有財産として事務所・会議室を設けてほしいと求めた。
総代会は長谷部泰三副理事長の開会の辞で始まり、鈴木理事長があいさつ。日書連共済会残余財産の使途について「県組合理事会で検討した結果、日書連独自の資産とすることが良策と決定し、日書連に対して意見を寄せた。組合の将来を考慮すると事務所・会議室等を取得して、日書連傘下組合員の共有財産を設けてほしい。100年に一度の世界的大不況で建物の値下がりの今日、チャンスを失うことなく早急に事務所・会議室等を設けることが最良だ。場所については、山手線内外で徒歩10分程度のところ、また京浜東北線・総武線沿線と考える」と提案した。
さらに、「万引き問題についてきわめて憂慮しており、日書連と連動しながら防止運動につとめたい。日販の『書店経営指標』を見ると売上原価が72・41%といい数字が出ているが、実態はどうか。県における書店の実態について年間を通してアンケートや調査を行い、書店は利益が出る構造になっているか発表したい。出版業界の売上高は下がり続けているが、それだけではなく返品率が増加しており、取次も出版社も返品を減らさなければ利益が出ない状況。返品を減らすためにシステムを変えようという動きがある。書店が損をしないように注視していきたい」と重点課題について話した。
鈴木理事長を議長に進めた議案審議では、第26期事業報告、収支決算、第27期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。事業報告については、『県民手帳』『わが街の旧跡を訪ねて』『百科クスリになる食べ物』『神宮館暦』の委託販売を実施したと報告した。
事業計画については、①官公庁業務用資材の共同販売事業、②会館の貸付利用事業、③組合支部組織の活性化ならびに新規組合員の加入促進および組織化への対応、④書店経営健全化推進、⑤再販維持運動の継続、値引き販売への対応、⑥市町村図書館納入装備の支援、⑦各版元の増売運動への参加、⑧組合活性化事業の促進――などの方針を説明した。
また、千葉県書店商業組合ホームページについて、出版関連ニュース、県内書店一覧、県内出版社・県内出版図書の紹介、組合の紹介などのコンテンツを説明し、新刊案内、推薦図書、出版業界トピックス、イベント情報、書店PRの記事を組合事務局まで送ってほしいと要請した。
来賓の日書連・大橋信夫会長があいさつ。「日書連傘下組合員数はピーク時の半分を割り込む厳しい状況。本を読まない人が増えている。読書推進運動に地道に取り組むことで、本を読むことの大切さを伝えていきたい。送品・返品同日精算を取次各社にお願いしており、数社が実行してくれた。大手取次についても引き続き協力を求めていく。取引用語統一問題についても継続して議論していく。日書連共済会残余財産の使途については7組合から意見が寄せられている。千葉組合の提言を重視したい」と述べた。

柴田信、梅田望夫氏講師に「出版業界人研修」秋講座/本の学校

本の学校郁文塾は9月15日午後1時から東京・神保町の中央経済社で「第15回出版業界人研修」(秋講座)を開き、出版関係者約100名が参加した。
開講式で日本書店大学の田辺聡学長は「ITを取り入れることに一番遅れたのが出版産業。出版業界が他産業に遅れをとらないよう、これからは考えを変えねば。賢い産業にすべく本の学校の研修を活用していただきたい」とあいさつ。日書連の大橋信夫会長は送品・返品の同日精算、業界用語の統一、読書推進運動など日書連が取り組む問題を説明した。
研修会では、岩波ブックセンターの柴田信社長が「岐路に立つ町の書店」を講演。「町の本屋の立場からすると、取次による返品率改善、責任販売制などの合理化提案は浮世離れしている。もっと旨みと面白みのある提案をしてほしい。町の本屋は周回遅れだが、変化に対応するため、周回遅れのトップランナーでいたい。情報開示が必要。数字がわかることで課題が見えてくる。取引は個々。自立が求められる。書店にとって大事なのは売上ではなく、まず人材育成。きちんと育てて長く働いてもらえば、仕入能力も向上する。人を大事にしたい」と話した。
このあと、シリコンバレー在住の経営コンサルタントで『ウェブ進化論』などの著書がある梅田望夫氏が「ウェブの進化と出版・読書の明日に想う」を講演し、グーグル、アマゾン、アップルが世界の出版に及ぼした影響について話した。続いて前中央公論新社取締役雑誌編集局長の河野通和氏をコーディネーターに、梅田氏と三省堂書店理事・企画事業部長の児玉好史氏が鼎談を行い、出版とウェブとの関係、産業としての出版の可能性、出版流通が抱える問題について討議した。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

事情があって、身寄りのないおばあさんを家族同様にお世話している友人がいます。その彼が電話で「ばあさんが本探しとる」と言います。「『ショウガ』の『ガ』や、『ガ』」。彼は訳もわからずに、おばあさんの言うとおりのことを繰り返します。(何?ショウガ、正月、賀正、少額……)。私のオオボケ頭に「正解」が浮かびません。そばにいた、〝海文堂しっかりシスターズ〟のひとりが「生姜?」とメモをくれます。おかげで、おばあさんのほしい本の著者が「姜尚中」と判明いたしました。めでたし、めでたしとはならず、書名を聞き出すのに、またまた、ああでもないこうでもないと延々と続きます。こうして元町の残暑の夜は更けて行きました。
うろ覚えのヒントと、こちらの頼りない記憶が、天の配剤による偶然で繋がることもたまにあります。逆に、漢字一字や助詞を間違えただけで、コンピュータ様が「データなし」とお答えあそばすこともしばしばです。「本を探す・本を見つける」というのは、まあひとつの「縁」でしょうなあ、なんぞと他人事みたいに言っては、真剣に探しておられるお客さまに叱られます。棚の前で探していても、目的の本が目の前・指の先にあるのに、近眼+老眼&アルコール切れで目と指が素通りしてしまうのは私だけでしょうか?毎回「盲点」の存在を確認している次第です。お気楽な私ですが、問い合わせをいただいて、調べても、探しても「正解」に辿り着けない時の、お客さまの残念・無念の様子には心が痛みます。「海文堂やったらわかると思ってたのに」「ここになかったら、しゃあない」ということばは、つらいものです。プライドなんぞは、元々ありませんが、役立たずを再認識します。でも、立ち直りは早いです。
本を紹介する機会が増えて、お客さまから反応があると、これは嬉しいです。わざわざ店まで来て買ってくださるのですから、ありがたいことです。このところ続いていて、ちょっと調子に乗っています。そのうち頭を打つか、鼻っ柱を折られることでしょう。引っ込み思案のわりには出しゃばりで、人付き合いは悪いのにおせっかい、担当外の本まで紹介してしまいます。自由に遊ばせてくれる同僚のみんなに感謝しています。
先日も休憩時間が過ぎても戻らぬ私を心配して、普通なら「またサボって」と思うところを、「行き倒れかも」と心配してくれました。もう、徘徊老人の扱いです。友人としゃべっていました。反省しています。
私の本を買ってくれる方がいて、「サインせー、文豪と書け」と無理無体な要求をなさいます。私、一度は拒否しました。「客の言うことを聞かぬとは失礼千万」と童顔丸顔で凄んできます。「もう1冊買うがな」の一言で、「文豪サイン」をいたしました。売り上げのためなら転びます、踊ります。しかし、2冊買ってどうするのでしょう。もっといい本いっぱいあります。紹介しますのにねえ。

工夫を凝らして孫の日をアピール/愛知組合

おじいちゃん、おばあちゃんによる「孫育て」を提唱する、愛知県書店商業組合(谷口正明理事長)による「孫の日」運動は、いよいよ10月18日の本番に向け盛りあがりをみせている。
日書連推薦の「心にのこる子どもの本」を活用して、店内の模様がえを試みる書店。手づくりで、昔ばなしに登場する「ジャンボ竜神様」を飾りつける書店の奥様。おじいちゃん、おばあちゃんの似顔絵チラシをもって、保育園へ呼びかけにいく書店。店頭でお客様との会話の機会ができたとの声を、多くいただいている。絵本が主の運動だが、中学生の孫のためにと「小学館の世界大地図」の予約もあがり、思わぬ収穫も得たとの書店の報告もあり、責任販売商品への取り組みにも役立った。
岡崎市筒井書店・筒井隆子さんからは、「孫の日フェアに参加して」と題し以下の文をいただいた。
「『NHK飾りつけ』から『孫の日飾りつけ』にとお店の模様がえをすることができ、よかったと思いました。『心にのこる子どもの本』など、表紙を出して飾ると、我が店にこんなにいい絵本があったのかと思うほど、感じがかわってしまいます。孫の日の帯にかけかえながら、目立つように飾ろうと思いました。講談社のまんが日本昔ばなしが、ちょうど10月発売ということもあり、孫の日のアピールをしながら、予約をとっていこうと思います」
(榊原壮一広報委員)

「帯コン」応募数が増加/書店くじ積極参加呼びかけ/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は定例理事会を9月12日に組合会議室で開催した。主な報告・審議事項は以下の通り。
1、庶務報告事項
大阪組合の組合員からの日書連「秋の書店くじ」の申し込みが、昨年に比べて減少している。書店くじは日書連運営を支える基盤となっているので、一層の協力をお願いしたい。
2、加入・脱退・変更
テナントビルの営業休止、組合員の高齢化等の事情による脱退が8件あった。他に店舗移転が1件。
3、委員会報告
【総務・財務委員会】
1、書店会館2階の入居者の退去が1件あった。退去跡には、4階からの入居者移転で対応。その退去跡は、別の4階入居者が増床して使うことになった。
2、8月末で前期の決算をした。前年比で、流動資産が減った以上に流動負債が減った。また、組合員賦課金収入も、予算で想定した以上に減額となった。キャッシュフローに余裕がない。後期は各事業ともよく吟味して執行して欲しい。
【読書推進委員会】
第5回「大阪子ども本の帯創作コンクール」の作品募集を締め切った。昨年に比べて、応募総数、応募校ともに増えた。9月18日に組合会議室で、応募作品を整理する。関係者は出席すること。
【経営活性化・書店環境改善委員会】
取次主導で各種の書店支援策の提案があるが、書店にとっての利点がよくわからない。各取次の施策を研究したい。
【学校図書館・IT化関連委員会】
大阪市教育委員会が進める「合い見積」制度による弊害が顕在化してきた。大阪市教育委員会委員長・池田友隆氏と面談、書店の窮状を訴え善処を要望した。
【日書連報告】
流通改善機構の立ち上げのための準備会の進捗状況について。
実験的に一歩を踏み出すためのデータを集積している。書店・取次・出版社三者が喜ぶ方法がないかと研究している。

客注支援システムをリニューアル/ブックサービス

ブックサービス㈱は平成16年から開始した書店客注支援システム「おとりよせ@ブックサービス」をリニューアルし、9月14日からサービスを開始した。
新サービスの特徴は①従来の栗田、大阪屋の在庫に加え、大阪屋iBC在庫も追加、利用流通倉庫が拡大されたほか、②作業工程を見直し、自社在庫は受注から最短当日発送、取次在庫は最短翌日発送と発送の短縮化を図った、③注文確定後、WEBで商品確認が可能に、④カード決済に加え、取次店(大阪屋・栗田)からの請求ができる――など。
これに伴い、栗田の客注システム「本やさん直行便」は「おとりよせ@ブックサービス」に統合した。大阪屋帳合書店も同サービスを利用している。

志木センターに在庫統合/返品減へインセンティブも/太洋社

第4回太洋会総会が9月9日午後、千代田区・ホテルグランドパレスで開かれ、全国から会員50書店86名が出席した。
総会は加藤勤氏(ブックスタマ)の司会で進行。あいさつした竹島一夫太洋会会長(竹島書店)は先頃、民事再生法を申請したゴマブックスに触れて「直前にゴマブックスの営業が促進に回ってきた。当社も相当の在庫を抱えている。これを返品できないというのもおかしい。不況が続き、今後も出版社の倒産はありうる。太洋社と相談しながら返品問題に対応したい。今日は版元180名が出席予定で、懇親を深め、商売に役立てていただきたい」と述べた。
太洋社を代表して沢野豊常務は「最近の地殻変動で出版市場、特にリアル書店の縮小が激しい。返品増加により委託の限界も見えてきた。太洋社は今期を構造改革の正念場として様々な施策をとる。返品減少が喫緊の課題であり、書店個々と営業が膝をつきあわせ解決していく。マーケティング局を作り、配本システム、注文流通に根本的に手を付けていきたい」とあいさつした。
竹島会長を議長に、事業報告、会計報告を承認し、役員改選では竹島会長、沢野永、渡辺剛史副会長ら現役員を再選した。
このあと、沢野常務が第57期計画を説明。①船橋流通センター、本社など4カ所に分散していた在庫を志木センターに統合して注文品スピードアップを図る、②雑誌返品は10月に東京ロジスティックスセンターから出版共同流通蓮田センターに変更する、③書店の顧客を会員とするwebシステムをリリースする、④返品率目標を設定し、返品減少によるインセンティブを来年1月からテスト稼働する、⑤今期中にバーゲンブックの取扱いを始め、粗利の高いステーショナリー、商材を開発する――と説明した。
増売コンクール表彰式では、昨年1月から今年3月末まで136店の参加で行われ、支部対抗賞、雑誌販売総合賞など8部門81店が表彰され、出版社15社から特別賞も贈られた。引き続き行われた講演会は、WBC日本代表チーム投手コーチを務めた山田久志氏が「私の野球人生~栄光に近道なし」を講演した。
午後6時からの懇親会では太洋社国弘晴睦社長が「56期より3カ年の中期経営計画をスタートし、収益性向上、新規事業開拓、人材強化を最重要課題に積極的な営業活動に取り組んでいる。57期はより行動する構造改革の年。マーケティング局を新設し、効率販売、返品減少を進めていく。同業他社との物流協業化や流通センターの集約化により、今まで直接仕入れできなかった約30社の出版社と取引する。出荷スピードの向上と経費削減が図れる。新規事業では関連商品の開拓で収益性を高めたい。この1年の変化は大きいが、お客様と取引先のため、全員でタッグを組んで取り組んでいきたい」とあいさつした。

【太洋会増売コンクール】
☆支部対抗特別賞
①東海・近畿・中国支部、②関東・甲信越支部、③四国支部
☆雑誌販売総合賞(Aコース)
①小牧市・カルコス小牧店、②札幌市・ゲオ札幌手稲店、③目黒区・芳林堂書店祐天寺店
☆同(Bコース)
①中野区・芳林堂書店新井薬師前駅店、②熊本市・三陽書店、③新庄市・北真堂書店新庄店
☆書籍販売総合賞
①板橋区・東武ブックス成増店、②善通寺市・みどり書店、朝霞市・東武ブックス朝霞台店
☆同(Bコース)
①中野区・芳林堂書店新井薬師前駅店、②鹿児島市・ひょうたん書店西田本店、③所沢市・芳林堂書店航空公園駅店
☆新企画販売総合賞
①品川区・ノトス・ライブ、②新宿区・芳林堂書店高田馬場店、③帯広市・帯広喜久屋書店/ザ・本屋さん

戸田に共同物流センター/大阪屋友の会連合大会で発表

第43回大阪屋友の会連合大会が9月15日、大津市の琵琶湖グランドホテルで行われ、会員書店、出版社、輸送・関連会社、大阪屋など408名が出席。業務提携を進める栗田出版販売から郷田照雄社長と首都圏栗田会奥村弘志会長もお祝いにかけつけた。
冨士原純一幹事(富士原文信堂)の司会、天野隆司副会長(キャップ書店)の開会あいさつで午後2時半に始まった総会では、田村定良連合会長(田村書店)が「6月に開催する予定が延期となり迷惑をかけた。商環境は申すまでもなく厳しさが続いている。お盆明けから売上げが一段と落ちている。週刊誌が悪いとか書籍のヒットがないと言っていても仕方がない。地下鉄に出版物の中吊りが減っている。むしろ書店店頭に中吊りを出してアピールしてはどうか。今月の4連休は、23日発売が実現し、モノを売る側として感謝している。出版社、取次にお礼したい。今や業界一丸となって売上げを創造する時代だ。大阪屋の60周年グランプリ、栗田と共同展開するコミック一押しルーキーズなど、大いに前向きに取り組んでいきたい」とあいさつした。
毛利元治総務委員長(毛利書店)、工藤恭孝経営委員長(ジュンク堂書店)、高坂喜一増売委員長(高坂書店)の活動報告、青年部活動報告、会計報告を承認したあと、役員改選では大阪、兵庫、奈良、京都・滋賀、和歌山、西日本、東日本、東海の8地区ならびに「阪青会」役員候補を拍手で承認した。
祝辞を述べた大阪屋南雲隆男社長は、現在の販売状況について「8月末までの5カ月累計で雑誌は90%ぎりぎり、書籍は96%前後、合計6%強のマイナス」とし、下半期に反転攻勢をかけたいとした。
昨年6月から栗田と進めている業務提携については、「両社が保有する設備や機能の相互利用から、今後は新しい取り組みを行う段階」とし、年内に共同出資による物流子会社を立ち上げ、来秋をめどに埼玉県戸田市に5千坪の共同物流センターを開設。雑誌・書籍新刊発送を中心に注文品機能も有する統合型物流センターを目指すと発表した。
さらに、創立60周年記念の「アニバーサリー60」では、増売と店頭活性化を目的にポイントラリー制の「販売グランプリ」を実施するほか、お客様から「私と本との出会い」をテーマに記念エッセイを公募し、優秀作品をリーフレットにすると紹介。創立60周年を節目に、「本と読者の豊かな出会いをつくる企業理念を実現していく」とあいさつした。
栗田郷田照雄社長、NHK出版遠藤絢一社長に続いて、あいさつした日書連面屋龍延副会長は、先頃アマゾンジャパンを取材した経緯を報告。「出版業界の売れ行き不振は街の本屋が激減していることが原因。そのために官民一体となって読書推進運動を行い、文字活字文化振興法の施行政策に再販制も入っている。再販制度が足元から崩れるのは座視できない。これからもともに運動を続けたい」と述べた。
総会終了後、立命館小学校深谷圭助校長が「すべての子供たちに辞書を…辞書引き学習の実際」のテーマで特別講演を行い、小学校1年生から辞書を引かせる学習指導の有効性を紹介した。

5大付録で60万部発行/『新春すてきな奥さん』

主婦と生活社は9月10日、東京・京橋の本社に報道関係者を集め、『新春すてきな奥さん』2010年版の企画説明会を行った。
『新春すてきな奥さん』2010年版は11月20日発売、定価1500円。昨年は60万部発行して50万部実売、85%という仕上り率になったが、今年も発行部数は前年並みの60万部ながら、仕上り率90%を目指す。
説明会で主婦と生活社高納社長は「新春号は昨年が一つの大きな節目だったが、前年比125%の結果を残せた。『主婦の友』の新年号がなくなり、多少抑え気味の部数にした書店が多かった。今年は仕上り率をもっとよくしたい。書店にも年末商戦の大きな固まりにしていただきたい」と述べた。
今年の『新春すてきな奥さん』は豪華別冊5大付録付き。第1付録「お金が貯まる家計簿」(AB判192頁)、第2付録人気料理家「こうちゃん&YOMEちゃんのおうちでごはん80レシピ」(AB判52頁)は定番で固め、第3付録「リラックマカレンダー」、第4付録「リラックマ手帳」、第5付録は新しく「リラックマのお買いものトートバック」を付けた。
本誌はお正月準備大特集として、ビギナーズおせち、節約大掃除&裏ワザ収納アイデア集、氷川きよし新春特写、江原啓之スピリチュアルメッセージ、主婦が受けたい授業スペシャルと盛りだくさんの読み応えある内容。車とエコ家電が当たるお年玉プレゼント、総額300万円キャッシュバッククイズのほか、応募者全員プレゼントとして「リラックマのバスタオル&フェイスタオル・プレゼント」を用意している。
拡売企画は例年通り、販売促進費コースと完売賞コース(別掲)。贈答用のし袋はリラックマのものも用意している。

『新春すてきな奥さん』販売促進費コース
2百~399部130円
4百~499部150円
5百~599部150円
6百~699部160円
7百~799部170円
8百~999部180円
千部以上は営業担当者相談
完売賞コース
(ビール券)
A賞(30~49部)4枚
B賞(50~99部)8枚
C賞(百~149部)16枚
D賞(150~199部)24枚
*年内完売確約は各賞ともプラス2枚。

参考図書

◇『社会思想社半世紀の歩み1947―2004』
『河合榮治郎全集』『菊と刀』や現代教養文庫など数々の名著を出版しながら平成16年に法的整理を行い、出版社の灯を消した社会思想社の歩みをまとめた小冊子が刊行された。A5判56頁。非売品。
社会思想社は昭和22年、河合榮治郎の門下生によって社会思想研究会の出版部として設立され、平成14年に事業停止するまで多くの人文書を出版した。昭和52年の『ルーツ』は65万部、返品率1%という大ヒットとなった。
今年6月、同社の元社員ら関係者が集まり懇親会を行ったのがきっかけで冊子がまとめられた。同社の元取締役でさきたま出版会の星野和央氏や鎌塚正氏、宮川安生元社長が同社の思い出を語るとともに、小年表で同社の歩みを振り返っている。

減収ながら増益決算に/雑誌返品、出版共同流通へ/太洋社

太洋社は9月28日午前10時から文京区水道の本社で株主総会を開催するが、これに先立ち第56期(平成20年7月~21年6月)の決算概況を発表した。
これによると今期の売上高は前期比94・7%の418億8700万円。内訳は雑誌213億3百万円(前期比94・3%)、書籍198億6900万円(同95・6%)、その他7億1500万円(同82・7%)。返品率は雑誌39・7%、書籍41・0%、その他23・0%、合計40・1%だった。
昨年来、北関東の大型チェーン店の取引変更で売上げが下がるのは折込済みで、コストダウンに努めた結果、損益面では販売管理費を前期比91%、約4億円削減できた。このため、営業利益で1億円強、経常利益で約1千万円、税引前当期純利益で1億2500万円の黒字となり、昨年まで4期続いていた減益を脱した。剰余金処分案では普通配当50円に5年ごとの記念配当10円を加えて60円の配当。役員改選では取締役6名全員再選をはかる。
来期の重点営業政策として、すでに7月1日にマーケティング局を発足させており、返品率目標を共有し、達成すれば成果を配分するインセンティブの導入を目指す。また、コミック部は仕入れ、営業一体となった事業部的運営で効率的販売を目指す。売上目標は前期比103・5%の433億5千万円。
流通面の改革では、志木に倉庫を一本化するとともに、雑誌返品は東京ロジスティックスセンターから出版共同流通に移管する。従来、直接品物をとれなかった出版社31社から直接仕入れを行う。
【太洋社損益計算】
(百万円)
売上高41、887
売上原価37、394
売上総利益4、493
販売費及び一般管理費
4、386
営業利益106
営業外収益224
受取利息及び配当金72
雑収入152
営業外費用322
支払利息10
売上割引288
雑損失22
経常利益9
特別利益129
投資有価証券売却益129
特別損失13
固定資産除却損1
投資有価証券評価損12
税引前当期純利益125
法人税・住民税及び事業税
11
過年度法人税等41
法人税等調整額12
当期純利益59

本屋のうちそと

シルバーウイークなんて本屋泣かせ。4連休なんて取りたくてもとれないけれど、もしもとったら正月も盆も帰ってこない息子か娘のところにでも行くぐらいしかないのだけれど。まあ店を開けていてもお客さんが少ないのは間違いないだろうから寂しい話だ。
いつになったら長期休暇(2日以上)を取ることができるのだろうと考えていたら、今年の初めに店を閉めた友人が神奈川県のガイドを探しに来た。彼曰く休みなしで30年近く本屋をしてきたのだから、ここで1、2年休んだところで罰は当たるまいと、売上げ低下と大家との家賃値下げ交渉が決裂したのもあって閉店したのだが。
傍から見ると廃業でも自称休業中の彼は、この休み50㏄の三輪車で横須賀まで行くという。高速は走れない車両なので下道を20時間かけて爆走(最高速度40㌔)するそうだ。ロマンがあるというか、好きじゃないとやれない行動だ。10月には北海道へフェリーで渡り、この50㏄三輪車でツーリングという計画。やりたいと思っていたことがたくさんあったらしく、のんびりと計画を立てて実行している。
しかし考えてしまうのが、その後、仕事はどうするんだい?あせらないのか?還暦の彼は「だって先は長い。今あせったところでどうしようもないよ、食うのはなんとでもなるし」。楽しく過ごしつつも機会があれば再開業と、ちゃんと不動産屋を回り物件の物色を怠らないのはたいしたもの。先はまだ長いか、ならば少しスタンスを広くとって個性的なリアル本屋の青写真でもじっくりと考えて…夢想、してみるか。(理)