全国書店新聞
             

平成21年4月21日号

5月8日に春のくじ抽選会

特賞「北京の旅4日間ペアご招待」が当たる日書連主催、第13回春の書店くじの抽選会は、5月8日午後5時から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で出版社、販売会社、書店など業界関係者多数の立会いのもとで行われる。当選発表は5月23日、日書連ホームページ上と書店店頭掲示のポスターで。

大活字の児童書寄贈/講談社

講談社は4月23日の「子ども読書の日」に、「青い鳥文庫」の中から『クレヨン王国の十二か月』『若おかみは小学生』など人気作品20タイトル35冊の大活字本を作成し、全国66の視覚障害特別支援学校(盲学校)に寄贈する。
講談社とオンデマンド印刷を行う「みつわ印刷」が協同して行うもので、弱視の児童・生徒が読めるよう本文活字は22ポイント、ゴチック体の大活字を使用してA5判の本に仕上げた。
昨年6月に教科書バリアフリー法が成立し、教科書出版社による拡大教科書の発行が少しずつ進んでいるが、一般書籍の大活字版は少なく、新しい作品はほとんどない状態だという。

定期獲得上位店に賞金/夏の雑誌月間キャンペーン

今年も「夏の雑誌愛読月間」に合わせて「年間定期購読キャンペーン」が展開されるが、キャンペーンが
10年目を迎えたことを記念して、今回の定期購読獲得上位書店には総額百万円の賞金を出すことになった。賞金額は1位10万円、2位8万円、3位6万円、4位4万円、5~10位2万円、11~70位は各1万円。
昨年のキャンペーンは出版社41社・121誌と過去最高の参加があり、前年対比5割増の1万9千件の受注があった。書店は5600店が参加し、1店で50件以上獲得した割合は3割増加した。
今年のキャンペーンは出版社42社から昨年と同数の121誌が参加。夏休みを中心に7月1日から8月20日まで、参加誌の定期購読を申し込むと1カ月分無料というサービスを行う。
また、その他のキャンペーンとして、今年のイメージ・キャラクターで人気アイドル・佐々木希さんのオリジナル図書カード(500円)を抽選で2009名にプレゼント、7月10日から始まる東京国際ブックフェアには図書普及と共同ブースを出して宣伝することにしている

組合員5502店に/加入25店、脱退は392店/日書連

今年4月1日現在で各都道府県書店組合に加盟する組合員数の合計は、昨年4月1日対比で367店、6・3%少ない5502店となったことが、日書連書店経営健全化委員会の調べで明らかになった。この1年間の新規加入は25店だったのに対し、脱退は392店にのぼった。
各都道府県書店組合ごとの加入・脱退数を見ると、この1年間に新規加入があったのは東京、大阪、香川の3店、千葉、三重、兵庫の2店、北海道、宮城、福島、静岡、石川、福井、滋賀、京都、福岡、鹿児島の各1店で、残りの31組合は新規加入がゼロだった。
一方、脱退は最も多かったのが東京組合の51店。次いで神奈川の28店、福岡の26店がワースト3。以下、脱退の多い順に北海道19店、千葉、愛知、兵庫各14店、福島13店、宮城12店、京都11店、埼玉10店となっている。脱退ゼロは鳥取、沖縄の2組合だけで、両組合は加入・脱退ともゼロだった。
加入・脱退を合わせた1年間の増減では東京組合が48店減で最多の減数。2番目は神奈川28店減、3番目は福岡25店減と続く。減少率で見ると、2ケタ減の組合は多い順に①高知15・2%減、②青森15・1%減、③秋田、山口14・0%減、⑤佐賀13・6%減、⑥福島12・0%減、⑦福井11・9%減、⑧徳島11・6%減、⑨北海道、富山11・1%減、⑪福井10・4%減、⑫島根、宮崎10・3%減と13組合を数えた。
日書連の組合員総数は昭和61年(1986年)の1万2935店をピークに前年割れが続いており、今年で23年連続のマイナス。昭和61年対比では42・5%の水準になっている。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

瀬戸内の春の風物詩イカナゴの釘煮を、神戸市西部では家庭で大量に作って知り合いに配る習慣があります。当店には垂水区在住の作家・高嶋哲夫さんが毎年お手製を持って来てくださいます。今年は例年にない不漁とか、感謝し、おいしくいただきました。「高嶋印」で売り出しては、と罰当たりなことを考えてしまいます。「それより本を売ろうね」と天の声あり。
PR誌「ほんまに」取材で、F店長が神保町のT堂書店を訪問し、同社の手書きPR紙(自称「週刊」実は努力目標)既刊分全号を頂戴してきました。イラスト入り力作です。紹介する本も質が高く、当店が参考にするにはちょっと……というものです。何より、我々老スタッフは読むのがたいへんです。各号細かい文字でびっしり書かれていて、読解すら覚束きませぬ。
地元新聞で他書店の方々と一緒に本の紹介をして2年半になります。たまたま目にされた営業さんから何度かお礼のことばをかけてもらいました。先日、著者から初めてお礼状が届きました。県下の方で、海文堂にもいらしてくださっているそうです。これをきっかけに講演・サイン会をしてもらえたらと、ムシのいいことを考えています。
このように、人のつながりというものはありがたいものです。本屋の歴史を調べていますが、郷土史家が資料を提供してくれ、愛書家が参考図書を教えてくれます。それらを私が別の人たちにお渡しできます。
思い起こせば、新米の頃フェアやら担当の棚で悩んでいると同僚・先輩が助言をくれました。中堅になって他店の人たちとお付き合いするようになると、彼らが力になってくれました。寂しく残念なことですが、ほとんどの人がこの業界から離れてしまっています。さて、今私は何かの役目を果たせているだろうか?自問しても、いらぬ心配です。皆、私よりしっかりしていますし、「自分のことをちゃんとしなはれ」と逆に面倒を見てもらっている次第です。歳をとるとは、そういうことでもありますから、気兼ねなく安心して看取ってもらいましょう。「ワテ、休憩すんだかいな?」とボケても、労わってもらえる存在になるよう努力します。
A新聞の短歌投稿欄で、ホームレスの人と外国で獄中にある人が毎週のように入選しています。歌を詠む素養のある人が、どういう事情で今の境遇にあるのかということより、どん底の状態でも自己を表現できる勁さに惹かれます。ふたりを思いやる歌も登場するようになり、目が離せないのですが、今、うちはM新聞です。その川柳欄では、有名女優の離婚に「ボクならうまくいくのに」とあり、美人妻を持つ私は大いに共感しています。元夫は県下の老舗書店の親戚と聞いています、業界は大損失をしたのではありませぬか?

那覇に計2200坪の出店/沖縄組合、日販、トーハンと懇談

沖縄県書店商業組合の小橋川篤夫理事長は真栄城久尚、大城行治両副理事長、安仁屋博一専務理事、宜野湾市・田園書房の佐喜眞盛秀社長とともに4月8日午後1時半に日販、午後3時にトーハンを訪問し、4月下旬に那覇市内に宮脇書店が700坪、ジュンク堂書店が1500坪で出店する件について懇談した。懇談では出版不況で組合加入書店の廃業・脱退が止まらない中、超大型書店の出店は沖縄の書店に壊滅的な影響を与えるとして、組合書店を守る立場から「取引書店に対する厚情な対応を切にお願いする」との要望書(別掲)を両社社長宛に提出。理解と協力を求めた。
日販は加藤哲朗常務、南雲勉特販支社特販第三部長が応対。小橋川理事長は要望書を読み上げ、「人口30万人の那覇に宮脇とジュンク堂合わせて2200坪の売場が出る。組合員は困惑している。沖縄は中小零細書店が多い。サバニ(漁業用の小舟)がたくさん集まっても、巨大航空母艦にはかなわない。取次として取引先書店へ何らかの対策を考えてほしい」と、沖縄組合の考えを説明した。
これに対して日販の加藤常務はNOCS9000、トリプルウィンプロジェクト、HonyaClubについて説明し、「日販が提案する諸施策をご活用いただき、経営効率の改善、品揃え、地元顧客の囲い込み等に役立てていただきたい。日本人は地域に本屋がなければ生きていけない。今後も地場の書店のため精一杯、様々な提案を行っていく。日販としてはそのような形で協力したい。ご要望にはできるだけ応えていく」と述べた。
トーハンは風間賢一郎副社長、阿部好美常務が応対。風間副社長は「地域既存書店への影響を食い止めるため、営業支援等で従来以上のフォローを行いたい。九州支社担当者や仕入れスタッフと打ち合わせ、取引先書店に対して具体的にどういう支援ができるか検討する。取引先書店と個々にお話をさせていただき、話をうかがいながら効果があがる方法を模索するやり方をとることになるだろう。きちんと形にしてお応えしたい」と述べた。
宮脇書店は那覇市前島の複合施設「とまりん」の3階と2階一部に約700坪で「とまりん本店」を出店する。オープン予定日は4月21日。2001年に同施設から撤退して以来の再入居・再出店となる。県内15直営店のうち最大規模で、中核店舗の位置づけ。書籍在庫80万冊の予定。年間売上高4億円を目指す。
一方、ジュンク堂書店は那覇市の旧ダイエー那覇店入居ビルの1~3階に約1500坪で「那覇店」を出店する。オープン予定日は4月24日。書籍在庫約120万冊と県内最大規模の書店となる。初年度売上高は8億5千万円を目指す。
両店は直線で約500㍍の距離にあり、30万都市・那覇市の同一商圏に立地することから、競合激化による影響が懸念されている。

【要望書】
拝啓早春の候、貴社におかれましては、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。
さて、御承知の通り、沖縄は、去った太平洋戦争にて唯一地上戦が行われた場所です。そのような焼け野原から復興へ向けて一歩一歩先輩達が今の沖縄を築きあげて参りました。米国統治から37年前に祖国復帰した訳ですが、日本国民でありながら教育、文化、情報面の本州との格差、時間差は当然の事実であり、そのようななか、組合員書店が、個々の地域の街で県民へこつこつと活字という文化、出版文化を提供して現在に至っております。
昨今やっと他府県とあらゆる面で肩を並べる所まで来ましたが、この所の出版不況による店の閉鎖は止まらず書店組合としても大変苦慮している所です。そんな最中、超大型店の出店は、沖縄の書店に壊滅的な影響を与えることは、歴然としています。組合としては、組合書店を守る立場から到底容認することは出来ません。
貴社には、取引書店に対する厚情な対応を切にお願い申し上げます。敬具

課題図書18点を選定/大阪、本の帯創作コンクール

大阪府書店商業組合は4月11日、組合会議室で定例理事会を開いた。主な審議事項は以下の通り。
〔読書推進委員会〕
①本の帯創作コンクール
4月2日、SLAの先生方立ち会いの下、平成21年度の課題図書の選定を行った。上・中・下級生向けに6点ずつ計18点の図書を選んだ。書店からの課題図書締切日は5月8日、商品の店着は5月28日頃を予定している。後日、面屋理事長、戸和副理事長、虎谷委員長が手分けして、取次担当者と同行し、大手チェーン店本部等にコンクールへの協力をお願いしに行く。
②読書ノート
平成20年度後期の読了達成者の氏名が、4月8日、9日、10日の朝日新聞に掲載された。120校、1877名だった。本年度の製作部数は5万部。4月20日以降に朝日新聞へ告知記事を掲載予定。希望校へは5月中旬発送予定。
〔定款等改定委員会〕
4月3日、大阪府中小企業団体中央会に出向き、5月総代会で審議予定の「新定款」の条文についてアドバイスを得て、原案を若干修正した。総代会で承認を得ることができれは速やかに登記する。
〔IT化関連・学校図書館委員会〕
2校で日書連MARCが導入された。
(中島俊彦広報委員)

エリア統括型に経営シフト/トーハン

トーハンは4月7日付で平成21年度機構改革と人事異動を発表した。新年度の経営方針に①エリア戦略の強化②責任販売施策の拡大③マーケットの拡大④書店複合化の推進――を設定、本社集中型からエリア統括型に経営をシフトし、全国を3エリアに分割して東日本・首都圏・西日本の3営業本部制とした。また、MD本部を廃止してMD統括部を新設し、その下に責任販売推進室を設置した。役員人事では、清水美成取締役が常務に昇任した。このほか、ゼネラルマネジャーの呼称を部長に変更した。
【執行役員】
解・営業本部長委嘱
社長山﨑厚男解・MD本部長兼任委嘱
副社長風間賢一郎
委嘱・特販担当、解・営業副本部長、営業全般(支店営業・特販)委嘱
専務馬場章好
委嘱・東日本営業本部長、解・営業副本部長、首都圏営業部長委嘱
常務阿部好美
解・経営支援室長兼任委嘱常務川上浩明
委嘱・MD統括部長兼営業企画部長、解・営業副本部長、開発担当、SCM統括部長委嘱
常務近藤敏貴
委嘱・開発担当、首都圏営業本部長、解・開発営業部長委嘱
常務清水美成
委嘱・西日本営業本部長、解・近畿営業部長委嘱
上席執行役員加藤悟
委嘱・名古屋営業部長、解・雑誌MD部長委嘱
上席執行役員本川幸史
委嘱・情報システム部門担当、経営企画部長、解・首都圏営業副部長兼SCM統括部GM委嘱
上席執行役員志村真嗣
委嘱・桶川営業管理センター長兼任、解・営業本部GM、桶川品質管理担当GM委嘱
執行役員石井孝文
委嘱・首都圏営業副本部長、解・トーハン桶川SCMセンター副センター長兼流通システム部長委嘱
執行役員森岡憲司
委嘱・流通システム部長兼任
執行役員栃木裕史
委嘱・MD統括部・雑誌担当部長、解・名古屋営業部長委嘱
執行役員谷川直人
【機構改革】
1.営業本部およびMD本部を廃止する。
2.東日本営業本部、首都圏営業本部、西日本営業本部を新設する。
3.書籍MD部、MD企画部、雑誌MD部を廃止し、MD統括部を新設する。
4.MD統括部に責任販売推進室を置く。
5.SCM統括部と開発営業部および事業開発室を廃止する。
6.営業企画部を新設する。
7.経営支援室を廃止する。
8.東日本営業本部に東部営業部、中部営業部、名古屋営業部を置く。
9.首都圏営業部と首都圏特販部を廃止し、首都圏営業本部に統合する。
10.首都圏SCMセンターを廃止する。
11.西日本営業本部に近畿営業部、中国四国営業部、九州営業部を置く。

【人事異動】部次長級
解・休職、命・監査室長(休職・他社出向)
石川幸人
MD統括部・書籍担当部長(北陸支店長)
小川慎二郎
MD統括部・在庫統括グループ担当部長(書籍MD部GM・MD推進グループ)矢作孝志
MD統括部・渉外担当部長(営業管理部長)
奥村泰生
責任販売推進室長(MD企画部長)岩田新治
開発担当役員付・事業開発担当部長(特販第二部長)堀川嘉一
営業管理部長(監査室長)小倉桂一郎
取引部・経営支援担当部長(取引部GM兼経営支援室GM)山口和人
東日本営業本部・開発担当部長(開発営業部GM兼事業開発室長)藤原敏晴
東日本営業本部・施策担当部長(SCM統括部GM)貝沼保則
首都圏営業本部・施策担当部長(首都圏特販部長)
高倉龍則
西日本営業本部・開発担当部長(桶川DC部長)
野辺忠史
西日本営業本部・施策担当部長(首都圏SCMセンター長・カスタマーグループ)山田康平
近畿営業部長(開発営業部GM・西日本担当)
小島俊一
九州営業部・開発担当部長(九州営業部GM兼九州支店長)奥村晴治
特販第一部・法人担当部長(特販第一部GM)
須崎浩
特販第一部・第一グループ担当部長(特販第一部SM・第一グループ)
川畑幸巳
特販第二部長兼EC事業部法人担当部長(書籍MD部長)関口晴生
桶川DC部長兼注文FAセンターM(桶川DC部SM)新井正英
東京ロジスティックスセンター総括担当部長(東京ロジスティックスセンターGM)佐藤俊之
命・休職・トーハン・メディア・ウェイブ出向(経営企画部長)大西良文
経営企画部SM・営業推進担当(SCM統括部M)
齋藤貴
東日本営業本部SM・開発担当(東部営業部SM)
高木浩行
北陸支店長(広島支店長)佐々木基樹
西日本営業本部SM・開発担当(開発営業部SM・マーケットソリューショングループ)松原憲仁

第16回東京国際ブックフェア/6万3千人の来場見込む/7月9日から12日まで開催

「東京国際ブックフェア(TIBF)2009特別説明会」が4月13日午後2時から東京・有明の東京ビッグサイト「レセプションホール」で開かれた。
はじめに、出版関連7団体で構成するTIBF実行委員会の小峰紀雄実行委員長が「TIBFはセミナーが活発に展開され、さらに商談や版権取引が充実してきた。来年は国民読書年。国民共通の課題として、読書推進や文字・活字文化振興が非常に大事だという時代になってきた。今年、来年、さらにその次と、皆さんとともにブックフェアを盛大にしていきたい」とあいさつ。TIBF実行委員会と共同で主催するリードエグジビションジャパンから、ブックフェアの概要や併催イベント、前回来場者の分析、来場者動員活動、ブース運営の諸手続きなどの説明があった。
第16回となる今回は、7月9日から12日までの4日間、東京ビッグサイトで開催。出展社は昨年の763社を上回って過去最高の800社となる見通し。また、来場者も昨年の6万1384人から、今年は6万3000人に拡大することが見込まれている。
TIBFには、仕入れなどの商談の場として来場する業界人が年々増えており、書店と出版社の商談が活発に行なわれている。海外出版社との著作権取引も増加しており、海外来場者は昨年の1507人から今年は1600人に増える見通しで、さらに大きなビジネスの場となることが期待される。
専門書コーナーでは、自然科学書、人文・社会科学書、児童書、編集制作プロダクション、学習書・教育ITソリューション、デジタルパブリッシングの各フェアを開催。また特設ゾーンとして、アートブックスクエアと語学教育、出版流通ソリューションの各ゾーンに加え、学術情報・データベース、[雑誌向け]デジタル活用支援、生活・趣味実用書、読書グッズ、パーソナルブックの各ゾーンを新設する。
また、会期中は各種のイベントを実施。7月9日は開会式と、VIPのためのレセプション・パーティー。11日は「2009年本の学校出版産業シンポジウムin東京」を開催。読書推進セミナーとして、11日に作家・林真理子氏、12日に脳科学者の茂木健一郎氏の講演を行う。
9日は東京大学大学院教授の姜尚中氏が基調講演として「『悩む力』で〝現代の古典〟を発掘する」を行なうほか、11日には本の学校運営委員会との共催で特別講演「出版産業の課題解決に向けて―これからの取引・流通・販売のあり方とは―」を実施する。パネリストは、筑摩書房・菊池明郎社長、丸善・小城武彦社長、日販・安西浩和常務、トーハン・近藤敏貴常務、NET21・田中淳一郎副社長。
出版業界関係者を対象とした専門セミナー(7月9日、10日)の書店員向けコースでは、以下のテーマと講師で講演会が行なわれる。①【ビジネス書売場】思わず立ち寄りたくなるビジネス書売場のつくり方!/リブロ港北東急SC店・昼間匠店長、②【ディスプレイ】売れるお店のVMD!~書店の演出から陳列まで~/VMDコーディネーター・中込美津子氏、③【販売術】届かない本を、届ける方法/バッハ・幅允孝代表

メディカルe-hon開設/トーハンの電子書籍販売サイト

トーハンは、医療従事者向け電子書籍を販売するインターネットサイト「メディカルe-hon」をオープンした。書籍・雑誌・CD・DVDを販売するオンライン書店「e-hon」の関連ビジネスと位置づけ、会員や商品情報の連動、加盟書店とは会員獲得で連携を図る。
メディカルe-honでは、定期刊行物を中心に出版後3カ月から1年程度経過した出版物を記事単位・論文単位で電子書籍として販売。約1万5千点からスタートする。「医学」「看護」「コメディカル」(医療従事者全般)領域をすべてカバーし、多岐にわたる専門誌から必要な部分のみ購入できる。
同サイトで電子書籍を購入するには「e-hon」と「メディカルe-hon」両方の会員登録が必要(登録料無料)。電子書籍の販売価格は525円から1050円で、クレジットカード決済。会員は欲しい記事や論文をダウンロードして自身のパソコンに保存。必要に応じて閲覧や印刷する。著作者・掲載誌、カテゴリ、キーワードなど多様な検索が可能で、半数以上の電子書籍は立ち読み(一部を無料で閲覧)も可能。会員のニーズが出版物にあれば、スムーズに「e-hon」で購入できる。
オープンキャンペーンとして、「メディカルe-hon」で電子書籍を購入した会員に各種プレゼント実施や一部コンテンツを無料で閲覧・ダウンロード可能な期間限定キャンペーンを実施している。
「e-hon」は会員数70万人、加盟書店2900店。「メディカルe-hon」に会員を獲得すると、加盟書店に販売手数料が支払われる。
メディカルe-honのアドレスは以下の通り。
http://www.me-hon.ne.jp

文学賞は奥田英朗氏/吉川英治賞

第43回吉川英治文学賞に奥田英朗氏『オリンピックの身代金』(角川書店)、第30回吉川英治文学新人賞に朝倉かすみ氏『田村はまだか』(光文社)、柳広司氏『ジョーカー・ゲーム』(角川書店)、第43回吉川英治文化賞に垣見一雅、田村恒夫、中野主一、長尾直太郎の各氏が決まり、4月10日夕、帝国ホテルで贈呈式と祝賀会が開かれた。
祝賀会は吉川英明理事のあいさつに続き野間省伸理事から各受賞者に賞が贈呈された。文学賞選考委員の渡辺淳一氏は「奥田氏は柴田錬三郎賞の『家日和』からさらに幅を広げ深みのある作品を書いた。ストーリーだけの小説が多い中で、人間がよく描かれている。今後も大いに期待している」と選評。
受賞者あいさつで奥田氏は「キャリア不足だが、ここ10年で一番心血を注いだ作品が評価されうれしい」と、謝辞を述べた。文化賞各氏の受賞理由は以下。
▽垣見一雅=ネパールに居住して住民の生活自立を支援、▽田村恒夫=阿波木偶制作保存会を設立、後進を支援、▽中野主一=新天体の軌道計算を続け、新天体発見に貢献、▽長尾直太郎=浮世絵版画の摺師として、後継者育成を指導。

『くらべる図鑑』など/小学館上期の書籍新企画

小学館が4月8日に行った今年上期書籍新企画説明会は、責任販売制・委託販売制併用の第2弾として『くらべる図鑑』など3点を発売するほか、『全集日本の歴史』全巻セットを5月末に発売するとした。企画概要は以下の通り。
◇図鑑NEOプラス『くらべる図鑑』
AB判上製128頁、オールカラー、定価1995円、7月8日発売。シロナガスクジラと25㍍プールの長さの比較、アフリカゾウの重さは小学生何人分かなど、生き物や宇宙、地理などを比べて、知識を実感させる。読者対象は小学校低学年から中学生、図鑑NEOシリーズ購読者、学校図書館など。
◇星の地図館『太陽系大地図』
菊倍判232頁、定価6090円、7月15日頃発売予定。世界天文年である今年は、ガリレオが初めて天体望遠鏡を使ってから400年。最新の資料をもとに惑星、衛星などの太陽系をまとめた初の一般向け地図帳。惑星の地形や大きさを地球と比較してビジュアルな地図帳に表現した。
◇『脳で旅する日本のクオリア』
四六判258頁、定価1575円、7月7日発売。脳科学者・茂木健一郎がクオリア(感覚質)を求めて白神山地、比叡山延暦寺、西表島と旅する新感覚の旅行書。雑誌『和楽』の好評連載をまとめた。
◇『全集日本の歴史』(全16巻、別巻1)
5月25日に別巻『日本文化の原型』(定価2730円)を刊行し、完結記念セット17点17冊(定価4万3050円)を5月末発売する。

人事

◇日経BP出版センター
(3月25日付、○新任)
代表取締役社長(コンプライアンス担当)○中町英樹
常務取締役(営業統括、総務担当)広沢健次
取締役(日経BP代表取締役社長)平田保雄
同(日経BP執行役員、販売担当)佐藤俊直
同(日経BP出版担当補佐兼出版局長)黒沢正俊
監査役(日経BP経理室長)○依田祐
*岡部力也前社長、池田和夫前常務、梶原克則前監査役は退任。岡部氏は顧問に、梶原氏は日経BP監査役に就任。
◇主婦と生活社
〔組織変更〕
広告本部と販売本部を統合し営業本部とする。同本部内に広告部、販売部、宣伝部を置く。
〔人事〕
常務取締役営業管掌
佐々木行夫
取締役営業本部長牧秀幸
販売部長兼宣伝部長今井陽敬
販売部次長兼商品管理課長(部長待遇)岡毅幸
販売部第2課長(次長待遇)山田智久
販売部第1課長島野幸夫
販売部第3課長大宅俊幸
営業本部広告部長
吉岡芳文
◇山と渓谷社
代表取締役社長(兼インプレスホールディングス代表取締役社長)関本彰大
取締役副社長(編集部門担当)川崎深雪
同(営業部門・管理部門担当)齋藤純一
◇祥伝社
販売部次長兼宣伝課課長
横塚政孝
販売促進課副課長
太田万矢
販売課副課長○飯島英雄
同○大内丙午

日販が「洋書絵本売上良好棚セット」

日販は今年6月に予定している「児童書ていばん」定期入替のタイミングに合わせて「洋書絵本売上良好棚セット」を提案する。商品は海外出版物の輸入販売会社、㈱DIP(08年8月設立、平林彰社長)から仕入れる。
国内市場の伸び悩みが続く中、海外からの絵本輸入量は年々伸び続け、輸入価額総額は平成10年の21億8300万円の2倍以上に。英語教育の低年齢化に伴い、幼児用の英語教材として絵本購入が目立つほか、若い女性客も増加しているという。今回のセットはエリック・カール作『はらぺこあおむし』など、著名なタイトルの原作を中心に、洋書ミニコーナーの常設に取り組める内容。
□洋書絵本売行良好棚セット=35点40冊、セット予価約6万円、6月送品。

本屋のうちそと

間口の狭い店なので入り口からすぐ左手にレジがあり、そのエンドにお菓子の棚があり、わずかだがお菓子と文具を置いている。
「店のお菓子を盗まれた!おいかけたけれどあかんかった。許さないからね!」というメールを出先で受け取ったのが一昨日のこと。そして今日、気を付けていたのに、ガタガタという音であわててカウンターを迂回した時には、すでに遅し。
このところの桜開花の暖かさもあり、お客さんのために全開にしていた入り口は、イコール侵入しやすく逃亡しやすいという状況で、いとも簡単に逃げられた。
60円の袋入り「とんがりコーン」をくわえてバサバサと飛び去る黒い影を呆然と眺める私。
先日、友達の書店から聞いた話。「飲料自販機に千円を入れたが、釣りも商品も出てこない。返金しろ」という年配者がいた。管理者は別なので連絡するから氏名と住所をと聞いたら、ぶつぶつ言いながら帰っていった。「せちがらい世の中になった」とぼやいていた。この厳しい時代に、カラスに二度も万引きされるようでは、真剣に閉店を考えた方が良いかもしれない。
昔は神とも崇められたカラスよ!菓子くらいくれてやるから、お客を連れて来んかい!
(理)