全国書店新聞
             

平成21年2月1日号

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成21年4月20日(月)より30日(木)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数500万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法返信用申込書に必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額7450万円、9・8本に1本
特等賞=北京4日間の旅ペアご招待50本
1等賞=図書カード1万円500本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1500本
3等賞=同5百円1万本
4等賞=図書購入時に充当百円50万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは7月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽申込み書店特典組合経由の申込店から抽選で3店3名に北京4日間の旅無料随行員。
▽無料配布店頭活性化の一環で組合加盟店全店に書店くじ50枚、ポスター1枚を無料配布

担当者から説明求める/トーハンのポイント制/小売公取協

トーハンが発表した「e―honブックショップメンバーズ」(2面)の仕組みについて公取協影山専務理事から報告があり、取引価格の1%のポイントを付与する「景品としてのスタンプサービス」であり、規約の制限内の企画であることが説明された。
しかし、ポイント交換用の景品類は書店が実費で用意することになっており、この景品として図書カード、商品券等が使われた場合は「値引き」となるため、実施に当たっては事前にトーハン担当者から説明を受けたいと述べた。
一方、小売公取協の景品規約見直しについては「戦後最悪と言われる経済環境の下で、景品規制を緩和する必要はない。現行規約の継続を求めていく」とする方針を再確認した。

新買切り制度を模索/書店マージン拡大実現へ

日書連は1月23日午前11時から書店会館で今年初めての理事会を開催した。流通改善問題では景気低迷、10年続く出版販売額低下、返品率増大などを受け、委託制度の見直しと買切り制への機運が高まっているとし、書店マージン拡大のためにも「新販売システム」を模索していこうという方針を打ち出した。
〔流通改善〕
「新文化」1月15日号に掲載されたインタビューで書協菊池副理事長(筑摩書房)が買切り時限再販を提案していることについて報告した藤原委員長は「売れる本でなければというのが最大の眼目。来月にも菊池氏と意見交換を行いたい。日販古屋社長も新年会で買い切りへの移行を発言しており、(委託制度の見直し、買い切り制への)機運が高まっている。一歩先に進めていきたい」と、新販売システム再構築へ向けて強い意欲を示した。
これに対し、和泉理事は「本の仕入れは現物を見て注文するのでなく、出版社、著者で判断して注文するもの。買い切り制の導入は慎重に進めてほしい」と発言した。
藤原委員長は「すべて買い切りに変えるのではなく、最初は普通正味で、重版から注文、正味下げということも考えられる。多少とも買い切りにしなければマージンは上がらない」と指摘した。
雑誌発売日の問題では、雑誌の発売日表記と実際の発売日が異なること、先付けの月号表示の是正を求めていく方針を説明した。
〔取引改善〕
取引用語の統一問題で、柴崎委員長は「今月中に13項目程度をまとめ、取協に渡す。取協にも解釈をまとめてもらい、書店と取次双方の解釈を併記して話し合いに入りたい」と述べた。
柴﨑委員長は取次から送られる各種フェアの企画書が「買切り、3カ月延勘」などとしながら、フェアの主体が取次か出版社かわからず、返品了解をとる相手もわからないことを指摘。今後、各社の事例を点検して、不合理な仕組みを是正していきたいと述べた。
〔消費税〕
平成21年度税制改正法案の付則に消費税の増税時期を明記するか否かで自民党の混乱が続いていたが、面屋委員長は「出版業界としても出版物の軽減税率を求める声明を発表したあとは、動きがない」と現状を報告した。
鶴谷理事は「先進諸国で本は非課税または軽減税率というキャンペーンが必要ではないか」と指摘した

平成20年読書週間書店くじ特賞当選者

昨年実施した読書週間書店くじで、特賞は図書カード10万円分だったが、期日までに以下の13名の方が当選手続きを行った。カッコ内は発券書店名。
函館市・岩野滋、八戸市・吉田隆、松戸市・横山城行(明正堂でんでんビル店)、品川区・菱沼信介、世田谷区・伊藤俊弘、練馬区・荒木喜美子(文雄堂)、江東区・猪腰勤、多治見市・杉本晃代(東文堂)、福井市・竹原康一、大津市・山元寛昭(ふたば書房)、大和高田市・吉住雅充(高垣弘文堂書店)、和歌山市・川端敬子(帯伊書店)、西宮市・山元英治

6月に資金移動/日書連共済会

日書連共済会は1月23日の清算人会議で、昨年12月末現在の残余資産5億3424万円について利付債券6千万円の償還を待って6月にも日書連に移すことを決めた。
また、日書連共済会の契約宿泊施設エドモントホテルの利用は平成16年以降、年間172室、115室、145室、83室、67室と、平成18年をピークに漸減していると報告された。

「選書ツール」を開発/学校図書館の選書に役立つ/1月理事会

〔情報化〕
日書連MARCを利用した図書館管理システムについて井門委員長は、学年別貸出ランキング、SLA推薦図書、表紙画像、内容紹介を加えた「選書ツール」を今年5月を目標に作成するとした。
また、3年前、文科省の資源共有化事業で補助金がついたが、今年で資金が打ち切りとなる。他社マークから日書連マークへの切り替えは軽微な費用で可能であることを強調した。
携帯電話を利用した「コミック試し読みシステム」「ため本」については、都内5店、山陰6店で実験をスタートしており、組合活性化資金は30組合から申請があり、1組合10万円の補助金を支出する。
〔指導教育〕
書店の返品運賃負担問題をテーマに掲げる鈴木委員長は、まず各県の返品運賃の有無について実態調査から入りたいと、今後の方針を説明した。
また、北海道における万引防止の取り組み事例について、次回、道組合久住理事長から報告してもらいたいと述べた。
谷口副会長からは「新古書店は青少年からコミック等を買い上げる場合、親の同意書が必要としているが、実際に効果があるのは親の同意より立会い。青少年条例の改正を求めるべきではないか」と問題提起した。
〔増売〕
昨年秋の読書週間書店くじの特賞当選者は1月10日の締め切りまでに13名が名乗りをあげ、図書カード10万円分を送付する。
舩坂委員長は、券裏面の当選者住所、氏名の記入欄は今春の書店くじから特賞当選者のみ記入するよう改善すると説明した。
筒井常任委員からは当選券の立替えについて「小書店で1、2枚の立替えの場合、書留で送れば300円かかるため、引き換えしないという声がある。対策を考えられないか」と注文があった。
〔読書推進〕
愛知組合が取り組んでいる「孫の日」キャンペーンについて谷口委員長は①ポスター、しおりの製作費に7万円、②配送費に3万円かかる。希望者は愛知組合に申し込めば、キャンペーン・キットをお分けしたいとした。
2005年から読売新聞東京本社が推進している「本屋さんへ行こう!キャンペーン」は、7回目の今年も読者が書店で本を購入して、もらったレシートをハガキに貼り応募すると、抽選で図書カードが当たるキャンペーン。
3月5日の東京本社版夕刊は出版物の広告で埋め尽くすマルチ広告を行うほか首都圏の書店2千店にポスターと応募はがきを送る。
〔政策審議会〕
大橋会長は「私案だが」と前置きして「組合員減少が続く中でブックオフが新刊書店出店の意欲を持っている。図書館流通センターも一部で組合加入している。組合加入を検討してもよいのではないか」と問題提起した。
各理事からは「土俵を同じにしない者を入れるのは時期尚早」「TRCは大阪組合に加入しているが最低の組合費ランクで問題がある」「まず、ナショナル・チェーンを全店加入させるのが先決ではないか」「チェーン店は各県で最低1店は組合加入してほしい」などの発言が相次いだ。
これを受けて大橋会長は「まず、企業の社会的責任を果たすよう、各チェーン店本部に組合加入を働きかけたい」と述べた。
〔再販〕
福島のワンダーグーが「新品本」にポイント・サービスをしている問題で、岡嶋委員長は「再販商品を割引しているとすれば再販違反として、取次から指導がある。再販研究委員会に照会している」と述べた。
〔書店健全化・共同購買〕
12月期の各県組合加入店は1店、脱退23店で、昨年12月末現在の全国組合員数は昨年4月対比292店減の5631店となったことが報告された。
また、昨年作製した「組合加入のすすめ」のパンフレットは7百部の残があり、希望組合があれば配布するとした。
〔年末懇親会〕
昨年12月17日に開催した出版販売年末懇親会の収支は360人が出席。収入411万円、支出667万円になったと会計報告があった。今年は12月16日に開催を予定している。
〔広報〕
各県組合の総会・理事会開催状況についてアンケート調査の結果が発表された。面屋委員長は「調査結果をもとに、理事会の開催が十分でない組合については、県組合の方針、理事長の考えを組合員に伝えていくお手伝いをしていきたい」と述べた。

ポイントシステム開発/点数に応じて景品と交換/トーハン

トーハンはこのほど書店ポイントカードシステム「e―honブックショップメンバーズ」を開発、運用をスタートする。「e―honブックショップメンバーズ」は、ポイント付与による読者サービスの向上を図ることで書店の顧客固定化を実現。トーハンが顧客管理システムを用意して、購買履歴などの顧客データを一括管理する。書店ではウェブ上の管理画面で自店の購買履歴を確認でき、個人属性に紐付けた購買履歴データを販売促進やプロモーションに活用できる。オンライン書店「e―hon」の購入にもポイントを付与。リアルとバーチャル書店の購買履歴を統合した詳細なマーケティングデータを取得できる。貯まったポイントは各書店でポイント数に応じて景品と交換する。
加盟はPOSデータの開示とe―hon加盟を前提に、システム利用料無料。書店負担は会員カード、ポイント交換用景品の用意、ポスター・チラシ等の宣伝用拡材のみで多大な投資を必要とせずポイントカードシステムを導入できる。グループ店で共通ポイントとすることや期間、商品等により書店独自のボーナスポイント設定も可能で、他店との差別化を図るとともに、来客数・来店頻度・客単価アップを期待できる。優良顧客の定着、さらに新規顧客の開拓も図れる。
購買履歴はトーハンで統合的に収集。会員の属性情報(年齢・性別・地域)、購買履歴、景品選択情報を書店に提供する。書店は精度の高いマーケティングが可能となり、顧客に合わせた店頭在庫や陳列の見直し、商品提案の機会発見等でチャンスロスの撲滅と需要創出を図れる。

客数、客単価とも減少/12月期、売上前年比95.3%に/日販調べ

日販経営相談センター調べの12月期書店分類別売上調査がまとまった。12月期は平均で95・3%となり、厳しい年の瀬となった。客単価も平均99・2%となり14カ月ぶりに前年を下回り、客数、客単価ともに減少した。
商品ジャンル別で前年同月を上回ったのは実用書の100・1%のみ。実用書は23カ月ぶりに前年を上回った。前年より年賀状関係の銘柄が好調に推移したことが売り上げに貢献した。
新書は7カ月連続で前年割れ。前年の『女性の品格』『親の品格』に匹敵する銘柄が見当たらず、86・0%と前年を14・0ポイント下回った。
ビジネス書も86・7%と前年を13・3ポイント下回った。ビジネス書もこれで12カ月連続の前年割れ。立地的にはビジネス街を含む「その他」で105・1%と伸びており、『オバマ演説集』(朝日出版社)が売れている。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

営業女史に推薦した本を胸に抱き「ああ、今ボクは彼女と同じ本を読んでいる」と夢想しながら、涎垂らして居眠り……、という正月休みを目論んでおりました。しかし、そうのんびりとはできませぬ。地元新聞の原稿締め切りが5日です。「ワテの休みは何のため?」とブーブー言いながらも、いしいひさいちの名物キャラクター「藤原先生」そのまんまの美人編集長のご尊顔を思い出し、紙に向かうのでありました。
それでも悪いことばかりではありません。次の休日、我がアイドル娘が美人妻共々コンサートに連れて行ってくれました。自慢自慢。プロの音楽は久しぶりで、大感激です。妻子は音楽愛好家で、私だけがド素人・ヘタの横好き・クチ三味線・カスタネット・たて笛コースです。記憶にあるメロディに「知ってる知ってる」ひとり大喜び(その1)。特に関西ローカル「刑事ドラマ」のテーマ音楽に使われていた曲に「これやったー」と感涙しばし。家に帰るまでは頭の中で音楽が鳴っていました。メシ食ってフロ入って寝る頃には、もう思い出せないのです。音感のない者の悲しさです。翌朝妻に「あのメロディどんなんやった?」と訊ねると口ずさんでくれます。「それや、もう忘れんぞ」と、仕事から帰ってきたら、また……、この繰り返しです。そういえば仕事も似たようなものですなあ。相変わらずのお気楽な新年でございます。
さて、フェア第一弾は「大丈夫か?日本の保守!日本近代保守思想を辿る」。現実政治で何もしない・できない「保守」を突っつきます。ウルトラ保守は謀略史観で喜んでおるし。
前号で「古本コーナーは地元の古本屋さん」と申しました。海文堂では古本は今や重要な戦力です。次回の「大古本市」も決定しています。また、1カ月交代のワゴン展開、古本と古本屋さんが選ぶ新刊本のコラボ、テーマを決めた古本市と講演などのイベント、さらに古書目録での新刊紹介記事掲載とその目録販売など、次々に提案してくださいます。古本屋さんも自店や古書市だけではない新しい展開を模索しています。年末には、ある古本屋さんが当店のショタレ本で売れそうなモノを「市」に出してくれました。それ以外はすべて処分とフンギリもつきます。もうひとつあります。大きな声では申せません。近頃は女子の古本屋さんも活躍中で神戸にもいらっしゃいます。お楽しみはこれからです。オッサン大喜び(その2)でした。
それで新刊本は売れているのか?海文堂では『画集新神戸百景~川西英が愛した風景~』(シーズプランニング)が売れて売れて、もうこれしか売れていないという状況です。嬉しいけれど寂しいことです。

時流に即した書店経営を/神奈川組合新年会で山本理事長

神奈川県書店商業組合は1月20日に横浜市中華街の「華正楼」で新年理事会と新年懇親会を開催した。
午後2時から行われた理事会では、東京組合電子サイト運営推進委員会の小橋琢己委員長を招いて、東京組合が立ち上げた携帯電話による電子書籍サイト「Booker’s」の取組みと狙いについて説明を聞いた。
このほかの議案審議では、小口止めされていない成人向け図書が書店に送品されてくる問題で、取次に対応を求める要望書を提出したことを報告。その後状況に変化がないとの意見があり、再度要請を行うとともに、有害図書の区分陳列の周知徹底を引き続き図っていくことにした。また、4月に実施する「第3回大好きな本絵画コンクール」について説明があり、読書推進・増売委員会の筒井正博委員長は「コンクールの趣旨は、本を読んで絵を描くことで、子どもに本に親しんでもらおうということ。地元の幼稚園・保育園にアプローチをお願いする」と述べた。
午後5時半からの懇親会には書店、出版社、取次など総勢104名が出席。岩下寛治副理事長の司会で進行し、山本裕一理事長が「景気が悪い悪いと言っていると、皆が落ち込んでしまい、儲かっている人でもお金を使わなくなってしまう。不景気という言葉に惑わされず堅実にお金を使うことだ。出版社の方には最寄の書店でぜひ本を買ってほしい。最近、首相が漢字を読めないということに乗って、二見書房の『読めそうで読めない間違いやすい漢字』が大変売れている。売れる商品、時流にあった商品をぜひお願いしたい。また、隅々の書店にまで本を行き渡らせるのは取次の仕事。その仕事をぜひともまっとうしていただきたい。時代の流れに即した経営をすれば書店はまだまだ続けられる。希望を捨てずに明るい気持ちで書店経営にあたりたい」とあいさつした。
続いて出版社を代表して聖教新聞社・松浦邦照氏が「百年に一度といわれる経済危機だが、こんなときだからこそ、いい本を出版して一人でも多くの人を元気づけたい」とあいさつ。日販横浜支店・伊藤徹営業課長の発声で乾杯した。

書店の原点に戻り頑張ろう/静岡組合新年総会

静岡県書店商業組合(古澤隆理事長)は1月13日午後3時半から、伊東浮山温泉郷・日本の宿坐漁荘で新年総会ならびに新年懇親会を開催した。
総会では古澤理事長より「大変厳しい2009年の幕開けとなったが、書店の原点にもどって、頑張っていこう」とあいさつがあり、全員緊張の面持ちで新年をむかえた。
会場を変えて行なわれた懇親会は、地元のサガミヤ書店・沼田理事の司会で進行し、綺麗どころも加わり和やかなうちに大盛況となった。中締めでは中野常務理事より、「書店の原点である外売でもって書店に元気をとりもどそう」と檄があり、一本締めで終宴となった。
(菅沼壽常務理事)

池田会長に感謝状/兵庫組合

兵庫県書店商業組合は、創価学会池田大作名誉会長に「活字文化振興」に対する功績に対して感謝状と記念品を贈呈した。
贈呈式は、12月16日、兵庫文化会館で行われ、同組合の三上一充理事長をはじめ理事7名が出席。聖教新聞社の森岡正昭関西支社長、河原保雄総兵庫長のあいさつの後、三上理事長から池田名誉会長代理の西口良三副理事長に感謝状が手渡された。
村田耕平事務局長は「感謝状は『宍粟杉板一枚物』の最高の木目を中央に配し、独自のレーザー加工で感謝状を焼き付けたもの。記念品は姫路特産の牛皮日なめし革を漆等で手作り加工し、表面には姫路城をかたどった『御文庫』」と説明した。
西口副理事長は謝辞の中で池田名誉会長からのメッセージを読み上げた。
(中島良太広報委員)

情報化研修会を2会場で実施予定/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合は1月20日、エスカル神戸において、今年最初の定例理事会を開催した。
三上一充理事長は、冒頭新年のあいさつの後「厳しい経営状況ではあるが、消えてなくならないよう、生き残っていけるようにみんなで協議していきたい」と締めくくった。
支部報告では、相変わらずチェーン店などの出店が目立つが、組合加入まで至らない。取次や出店者との協議をしっかりやりたい。また、明石市では平成21年度「ほんだいすきプラン」こどもの読書活動推進3カ年重点プログラムを実施することになった。初年度の予算は1億円を予定している。
委員会報告では、増売委員会からサン・ジョルディにあわせイベントを計画中で、2月度理事会において詳細を発表する。情報化推進委員会からは、日書連に組合活性化資金を申請しており、パソコンを利用した情報化研修会を、神戸・姫路の2会場で実施の予定。組織強化委員会からは、本年度組織強化マニュアルの作成を予定などの報告があった。
事務局からは、日本ペンクラブ主催で3月2日、第25回「平和の日」兵庫・神戸の集いが開催されると報告があり、ポスターの掲示など各支部に協力の要請があった。
(中島良太広報委員)

商業組合における事業活動/弁護士(北大名誉教授)厚谷襄児氏

日書連は1月23日開催の定例理事会に厚谷襄児弁護士(北海道大学名誉教授)を招き、「商業組合における事業活動」をテーマに勉強会を行った。厚谷弁護士は経済法、独占禁止法が専門。勉強会で厚谷弁護士は商業組合にできること、連合会と都道府県組合の役割分担などについて講演し、このあと質疑応答を行った。厚谷弁護士の講演内容を紹介する。
〔共同経済事業と調整事業〕
商業組合は何ができるのか、商業組合とはどういうものかについて話をしたい。
歴史をひも解いて第二次世界大戦前にさかのぼると、中小企業の組合活動には2つの系統がある。一つは「共同経済事業」、もう一つは「調整事業」あるいは「統制」。つまり共同購入、共同販売という事業を行う「共同経済事業」と、国の経済政策の一端を担ってやる「調整事業」「統制」の2系統である。
本来的にどの国でも中小企業対策というのは共同経済事業が主である。第二次世界大戦が終わると、独占禁止法ができて、国の統制経済は廃止となり、共同経済事業は独占禁止法の適用除外ということになった。なぜ適用除外かというと、中小企業が大企業と競争していくには、中小企業がある程度共同してやらなければ対等の競争にならない。また、大企業と中小企業が対等に取引するには、共同で交渉し購入する必要がある。これが独禁法の適用除外である。
〔適用除外廃止と指導事業〕
いま日本は輸出立国のビジネスモデルがうまくいかなくなっているが、第二次世界大戦前の日本も苦しかった。農民は地主、労働者は財閥に搾取され、非常に貧しいから、それを救うために中国や満州に侵略していく――そういう性格の経済だった。第二次世界大戦後にそういう性格の経済を改善しようという動きが出て、そのためには国内のマーケットを広げねばならないということになった。そのために農地改革を行い、財閥を解体し、労働組合を作った。そうやって国内のマーケットを拡大して、侵略的体質の経済を改善していこうとしたわけだが、これはある程度うまくいった。
いちばんうまくいったのは食糧管理制度で、農村のマーケットが非常に大きくなった。サラリーマンがクルマを持つことができない時代に農民がクルマを持つことができる時代だった。農協は協同組合で、本来共同経済事業を行うものだが、実際は食糧管理法の下で調整事業をやっていた。協同組合と称しながら国の統制事業の一端を担っていた。これは本来的なあり方からすればおかしい。
朝鮮戦争が終わって不況になった。最大の問題は地場産業の繊維が不況になったこと。これを救済するために中小企業安定法ができ、この法律の下で調整事業が復活した。織機を登録制度にして、織機を増設できないようにした。これはカルテルである。この調整事業を正面から認めようとできたのが中小企業組織法、現在の中小企業団体組織法である。共同経済事業よりも調整事業のほうに重点があったから、これはカルテル。独禁法と考え方が正面からぶつかるから、これについては適用除外規制を置いた。そして、調整事業と合理化事業をやるということになった。地場産業だから、全国各地に繊維の工業組合ができた。また、商業組合で全国的に大きく展開したのは石油商業組合である。
そして、事業活動としてもう一つ「指導事業」というものが出てきた。これは情報交換である。日米構造協議で我が国はカルテルに対して甘い、独禁法の適用も甘いし、独禁法における適用除外もたくさんあるという指摘を受けた。適用除外は現実にたくさんあった。これが貿易の自由化に反するというので90年代に入ってこれを廃止し、現在、適用除外はほとんどなくなった。残っているのは協同組合による共同経済事業と指導事業である。中小企業の商業組合もできないことはない。出資組合になると共同経済事業もできる。そうすると協同組合とあまり差はない。
〔連合会と単組の役割分担〕
調整事業はなくなった。そうなったとき書店組合を含めて事業者団体はこれから何をすべきなのか。何がやれるのか。やれることは決して少なくなく、非常に多いと言える。問題は、何を解決しようとしているかということだ。情報交換は基本的に大丈夫だし、積極的にやってほしい。なぜならば、経営者が意思決定するとき、ブラインドの中を真っ暗にしてするわけではない。情報はあればあるほど優れた意思決定ができる。情報交換、情報収集し、分析して、優れた意思決定をする。
ただ、意思決定をするときに相談して意思決定することには、やや難しいところがある。しかし、これも何を解決しようとしているかによって違うから、独禁法に違反しないことなら相談してけっこう。情報を個々の店に提供して、経営者の方々がその情報を見ながら経営をどのようにしていくか意思決定することは、望ましいことである。
全国組織の連合会と都道府県単位の組合とで役割分担をどうするかということについては、これは自由である。どのように決めてもかまわない。ある問題を解決するのにどちらでやったほうがうまく解決するかということが判断の基準だから、どちらでやってもいい。取引先に「注文した商品が遅い」「もう少し早く持って来てくれないか」というのは、全国レベルでやればいいのか、それとも地方の都道府県単位の問題なのか、本社と交渉するのがいいのか、それとも支店と交渉するのがいいのかについては、自由に決めていただいてけっこう。ただ「あの店は闇で安売りしているから、あそこには商品をいれないでくれ」とか、こういう話になると独禁法に違反するからまずい。そういったこと以外は自由に話し合ってけっこう。それが、「指導事業」と言われている事業分野である。役所にみんなで陳情に行くのも自由である。
各書店がどのような問題に困っているかということを早く吸い上げて、どう解決するかということをみんなで相談するということが、おそらく商業組合にとってのいちばんの仕事だと思う。解決することは大変難しいが、問題を見つければ必ず解決の方法がある。問題を見つけることができなければ解決はできない。不満だけ残ってしまう。金融の問題もあるでしょう、銀行との関係もあるでしょう。日頃からどういうことに困っているのか。それは単位組合の問題なのか、それとも全国レベルの問題なのかということを判断して交渉する、そして解決に向けて進捗することが大事だと思う。
何をやったらいいかということではない。やることはたくさんある。何ができるかということではない。まず問題を見つけて解決の道を歩むことが大事ではないか。

趣向を凝らした宴に/大阪新年互礼会

大阪出版業界新年互礼会が1月9日午後3時からホテルグランヴィア大阪で開催され、大阪組合書店、出版社、取次など138名が出席した。
今回は趣向を凝らしたプログラムに注目が集まった。「ショートスピーチ数珠繋ぎ」と題して本にまつわる一寸いい話を参加者から3分で喋ってもらい、ジャストタイムの人に賞品を用意したが、該当者はいなかった。また、総勢25名の村上社中による「越中おわら」の総踊りで宴を盛り上げた。(坂口昇広報委員)

支部単位で増売研究会開催/本の帯コンクール継続に向けて/大阪組合理事会

大阪府書店商業組合は1月17日午後2時から組合会議室で定例理事会を開催した。主な審議事項は以下の通り。
〔読書推進委員会〕
①本の帯創作コンクール
1月15日に大阪読書推進実行委員会を開催。取次および出版社から課題図書増売方法についての提案があった。コンクール存続のためにはいっそうの増売が必要なので、支部単位の増売研究会を開催したい。支部総会の日程を組合に届けてほしい。責任者が出向いて説明会を行いたい。
②読書ノート
読書ノートの制作費を帯コン協賛金から協力してもらうことについて協賛出版社の反対があるので、組合会計から援助をお願いしたい。
〔出版販売倫理委員会〕
12月25日、大阪府・次世代育成支援室の木村主査が来組。大阪府青少年健全育成条例の有害図書の包括指定基準見直しの趣旨説明があった。今回の見直しは、レディースコミック誌の過激な性描写を取り締まり対象にしている。改定後は、有害と思われるページ数が総ページ数の10分の1、または合わせて10ページ以上のものが、未成年者に売ってはいけないものに指定される。2月23日施行。
〔経営活性化・書店環境改善委員会〕
灘委員長から提案のあった講演会を規模拡大して、近畿ブロック会主催として開催することにした。基調講演の講師には筑摩書房・菊池社長、日書連・柴崎副会長を予定。パネルディスカッションを行う予定。
〔出店問題・組織強化委員会〕
5件の出店連絡があった。地元支部から説明会開催の要望はなかった。
〔学校図書館・IT化関連委員会〕
①組合のホームページをリニューアルした。使い勝手のいいように改良中。ホームページに掲載したいので、「お薦め本」を推薦してほしい。
②S小学校に日書連マークを導入した。
③大阪市立小中学校の図書購入は、新年度から見積もり合わせによる発注となる。装備付の納入が条件となる場合が見込まれるので、図書装備の支援体制を整えたい。納入書店は組合に相談してほしい。
大阪市立図書館・分館の雑誌購入は、23館を5つのグループに編成して発注されることになった。グループ分けの仕方は、窓口業務委託のグループ分けに準じたものとなった。
(中島俊彦広報委員)

10年続く読み聞かせ会/地元に愛される一番店めざす/国分寺市・BOOKS隆文堂

〔フツーのOLから経営者に〕
東京駅から中央線快速電車で40分、西国分寺駅前の駅ビル2階にあるBOOKS隆文堂の社長は、父の病を受けてフツーのOLから書店を継いだ2代目、高橋小織さん。十年前から月に一度、店内で読み聞かせ会を行うなど、地元密着型の地域一番店をめざす取組みを高橋さんに聞いた。隆文堂は昭和41年、高橋社長の父、隆司さんが府中市武蔵台で38坪の書店を始めたのがスタート。58年に西国分寺駅前に35坪の支店を出し、平成2年、同駅前に駅ビルLEGAができた時、2階に85坪で出店した。
一昨年8月、同じフロアの新星堂が退店したのに伴い、150坪にリニューアル増床した。新星堂のあいたスペースには100円ショップや雑貨店などの応募があったが、隣接する同じフロアに書店に関連しない業種に出られては影響があると思い、売場拡張を選択した。
高橋社長は地元の小・中・高校を経て短大を卒業後、表参道でOL生活を満喫していた。ところが、父が病気を患い、平成2年から小織さんが書店を手伝うことになった。現在は取締役店長を務める順さんが小織さんの3歳年下で、弟が帰るまでのつなぎのつもりだったので、しばらくの間、昼間はOLとして働き、帰宅すると店を見るというハードな生活を続けた。
小織さんが店を手伝いだすと、父親は一切書店の仕事に干渉しなくなったらしい。経営のほとんどを小織さんに任せた。思い通りにやれという方針だったのだろうか。決算書を見せても、それでいいと口をはさまなかった。
それまで書店業に特別の関心がなかった小織さんは、店を任されてはみたものの、いくら発注しても売れ行き良好書が入らない。売上げを上げたくてもモノがない。商品を確保するのに一苦労した。
講談社の本を仕入れるには未来研に入るといいと聞いて、「それなら企画商品を売ればいいのね」と、講談社の辞書を大量に販売した。このときばかりは父親に頼みこんで販売ルートを教えてもらった。何とか実績をつくって、同社のDC―POS店にも入れてもらった。この辺の集中力の発揮が高橋さんのすごいところだ。
『新日本大歳時記』(全5巻、定価各巻3万9585円)は7百セット売り、全国で堂々の5位になった。講談社の説明会で話を聞いて、ある俳句結社に手書きの案内状を送ったところ、「手書きの案内が来たのはあなたのところだけだった。やってみる?」と電話がかかってきた。あとで調べてみると、電話の主は同書の監修者の一人という大物だった。それから次々に有力者を紹介されて、大商いになった。
父の隆司さんが若すぎる62歳で亡くなり、小織さんが社長を継いだのは平成12年の冬だった。
〔毎月第4土曜のおはなし会〕
一昨年の売り場拡張リニューアルをめぐって、何か重点を置いたジャンルはあったのか聞くと、「中央線沿線は駅ごとに一番店があって、隣の駅からお客様が来ることは少ないんです。地元客のニーズに応えられるようにしたいと思うと、どうしてもフルラインになります」と自店の方針を説明してくれた。だから精神社会や数学・宇宙など専門書も一通りラインナップする。特定のジャンルに重点は置かない。
ただ、リニューアルする時、雑誌を店の奥に持っていき、思い切って前面にコ
ミックを出してみたところ、あっという間に売上げが落ちた。あわてて元の状態に戻すという失敗も経験したらしい。あえていうなら、児童書の売場はオレンジ色の棚で暖かさを演出し、幼児用の椅子を配して、知育玩具やパズルなども並べ、力をいれている売場だ。
児童書売り場の通路は毎月第4土曜日にカーペットを敷いて特設会場を作り、午後に2回「おはなし会」を開催している。読み聞かせを行うのは出版文化産業振興財団(JPIC)の読書アドバイザー、安冨ゆかりさん、宮田桂子さんのお二人。毎回幼児から小学校低学年のこどもたちが20人ほど集まる。
平成11年から欠かさず続けており、昨年暮れには毎日新聞の読書欄に大きく取り上げられた。ポプラ社や講談社の協力により駅前の市立いずみホールで行った読み聞かせ会には3百人を超える参加者が集まったことがある。地域のお客様には、すっかり定着したイベントになっている。
〔ぬくもりを感じる接客へ〕
高橋社長は書店業のかたわら自宅に「葬儀社」の看板も掲げる。父親から受け継いだ代理店で、こちらも地域住民には欠くことのできない仕事。また、むさし府中青年会議所から日本青年会議所に出向し、仲間とともに全国を飛び回った。書店だけにとらわれない幅広い視野は、このとき培われたものだろう。
府中・大国魂神社の例大祭は「くらやみ祭り」の愛称で呼ばれる。ここから名前をとったNPO法人「九楽八魅(くらやみ)」という組織がある。府中の特産品、ブルーベリーを飴として製品化したり、ご当地人形「くらやみキティ」を販売したり、キャンドル・ナイトのイベントを行う町おこしの団体だ。この組織でも高橋さんは副会長として活躍する。
「最初は商売が面白かったのですが、今は活字を扱う書店は面白い仕事だと思っています。多くの先輩に育ててもらったので、少しでも業界のお役に立てれば」という高橋さんは、昨年から東京栗田会の副会長として首都圏栗田会の設立を進めている。「会に入ると何をしてくれるのという人が多いけれど、会に入って、みんなで書店をよくすることを考えていきたい。当面は増売商品の取り上げから始まると思いますが、緩やかな提携から書店業界の体質が少しずつでも変わっていくきっかけになればと思います。そうじゃないと、中小書店は沈んでいく一方」。
リニューアルから1年半たって、昨年12月の売上げは前年比103%、1月前半は95%だった。一度に1万円以上お買い上げになるお客様はいなくなったが、客単価千2百円弱は悪い数字ではない。品揃えは同規模の店に比べると充実している。当面の課題は従業員の接客の向上。人的パワーを発揮して、さらに愛される地域一番店をめざす。
息抜きは出版社、取次、書店14名ほどで組織する女性だけの旅行会。京都や全国の神社仏閣をめぐって集めた朱印は相当のコレクションだという。やり手の経営者とは違う一面をのぞかせる。
(田中徹編集長)

セミナー

◇トーハン書店大学売場の数字基礎セミナー
トーハンはトーハン書店大学の新コース「売場の数字基礎セミナー」を、2月24日午後、トーハン本社で開催する。同社発行の書店経営指標『書店経営の実態』をテキストに、書店における数字の基本を小売業計数指導の専門講師が、分かりやすく解説する。
プログラムは①書店経営の現状(売場規模別/立地環境別)、②店舗スタッフが意識すべき店の計数(売上、費用、利益の関係/たな卸とロスについて)、③財務諸表の読み方(貸借対照表/損益計算書/その他の財務諸表)、④経営分析とは(経営分析の意義/収益性/安全性)、⑤予算の立て方(予算管理の意義/予算編成と予算の種類/予算統制)、⑥まとめ(自店の現状を分析しよう/計数以外での経営分析とは)
講師は文京学院大学講師、日本販売士協会登録講師の上岡史郎氏。受講料は全国書店共助会加入店1名5千円、非加入店2万円。
問合せ、参加申込みはトーハン・コンサルティング教育事業部まで。℡03―3267―8686番。

第54回小学館漫画賞

1月20日開催の最終審査で以下の受賞作を決定。贈賞式は3月3日、帝国ホテルで開催する。
▽児童向け部門=やぶうち優『ないしょのつぼみ』(小学5年生)
▽少年向け部門=あだち充『クロスゲーム』(週刊少年サンデー)
▽少女向け部門=桜小路かのこ『BLACKBIRD』(ベツコミ)
▽一般向け部門=石塚真一『岳~みんなの山』(ビッグコミックオリジナル)

人事

◇中央公論新社
営業局商品管理部長兼販売促進部森本広美
同販売促進部長兼書店読売中公会事務局長池山浩和
同営業企画部長兼宣伝事業部佐藤吉春
同特販部副部長兼読売販売課長・部長待遇高井潔

『静かなるドン』連載1000回達成

実業之日本社「週刊漫画サンデー」に連載中の『静かなるドン』(作・画/新田たつお)が2月10日発売の2月24日号で連載1000回に到達する。
『静かなるドン』は1988年に連載をスタート、20年以上描き続けられている長編ストーリー。テレビドラマ化などで幅広い層の支持を受け、コミックスでも4200万部を突破している。
「週刊漫画サンデー」では2月24日号を記念特大号として、通常連載に加えてもう1本『静かなるドン外伝』を掲載する。また、同日にコミックス第90巻を発売する。

ケータイからリアル書店へ/東京組合のケータイ書店Booker’s

東京都書店商業組合とACCESSグループの協業による携帯電話向け電子書籍サイト「Bookers(ブッカーズ)」がスタートして約3カ月。ケータイとリアル書店店頭を結びつける試みとして注目を集めている。IT系企業でもベンチャー系企業でもなく書店組合がケータイ書店を運営する意義は何か。東京組合・電子サイト運営推進委員会の小橋琢己委員長(教文館)に話を聞いた。
〔読者と店頭を結ぶ仕組み〕
ケータイ書店「Bookers」は構想1年、準備期間6カ月を経て、昨年10月30日午前9時に立ち上がった。参加出版社は講談社や小学館など74社、販売コンテンツ数は約7000タイトルと、約600あると言われるケータイ書店と比べて遜色のない規模でのスタートとなった。
Bookersは読者に書店の魅力を伝え、読者を書店店頭に呼び戻すことを目指している。書店と競合関係にあり、電子書籍を販売することで書店から本の売上げを奪っている既存の電子書籍サイトとはビジネスモデルが根本的に異なる。ケータイを入口として読者をリアル書店に結びつける仕組み――それがBookersである。目的は「リアル書店の活性化」だ。
また、「収益を組合員書店に還元する」ことも目的の一つ。電子書籍市場は年々拡大を続けている。07年度の電子書籍市場の売上規模は前年比195%の355億円。内訳はパソコン向け72億円、ケータイ向け約283億円。パソコン市場は頭打ちだが、ケータイ市場は著しい伸長を続けている。出版社も自社商品のデジタル化に力を入れ、紙の本にかわる収益源を確保する動きが顕著となっている。しかし、出版業界の財産から生まれるこの収益は、書店業界にはほとんど還流していないのが実情。本を扱う知識豊富なプロである書店を飛び越えて、電子取次からサイトを通じて読者に届けられてしまっている。書店を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、組合員が収益をあげる機会を積極的に開拓する必要があるとの判断もあった。
〔書店組合の強みを活かす〕
このビジネスモデルの優れているところは、書店組合とACCESSグループが互いの持つ強みを活かして協業を組んだことだ。組合には長年にわたり培われてきた出版社との信頼関係がある。これにより立ち上げ当初から幅広いコンテンツを扱うことが可能となった。一方、ACCESSグループはプラットフォーム構築と運営、オーサリング・ツールの開発など技術の分野を担っている。
コンテンツの提供については、大半の出版社ではまだデジタル化が進んでいないことから、大手出版社に限られるのが現状。Bookersでは中小出版社のコンテンツのデジタル化を支援するため、ACCESS独自のオーサリング・ツールを開発しており、中小出版社でも簡単にデジタル化作業が行えるようにしたいと考えている。
また、IT系やベンチャー系のケータイ書店が扱うコンテンツは電子取次が扱う大手出版社のものにほぼ限られるが、Bookersは電子取次を飛び越えて出版社とダイレクトに話すことができる。組合と出版社の信頼関係に基づいてコンテンツ提供を受けているので、大手から中小出版社まで幅広いコンテンツを扱うことができる。電子書籍市場は競争が激しいが、コンテンツにおいて他サイトと差別化を図ることができるBookersは、すでに大きなアドバンテージを得ていることになる。
当初の販売コンテンツは文芸書や実用書などの文字ものとなっているが、近々コミックも扱う予定。電子書籍市場の売上355億円のうち270億円をコミックが占める。コミックを扱うことによって、さらなる伸長が期待できる。
サイトでは、スタッフによる厳選特集、書店売れ筋ランキング、書店主催イベント情報、書店人の日記を見ることができる。この4つを柱として、サイトを見たユーザーがリアル書店に足を運んでくれることを狙っている。厳選特集では、これまで「映画・ドラマ化原作」「泣ける本」「恋したくなる本」「動物本」などのテーマで、スタッフお薦め本を紹介した。
このほか、リアル書店に足を運んでもらう試みとして、「立ち読み歓迎書籍」がある。出版社の了解を得てコンテンツの一部分を無料で読んでもらい、残りはリアル書店で本を買って読んでもらうことを狙っている。これらのコンテンツがデジタルの世界とリアルの世界を結ぶ役割を担う。
また、ユーザーにリアル書店へ足を運んでもらうための情報を提供するため、書店地図データを構築。半径500メートル以内の近場の組合加入書店を検索できるようにしている。これは他のサイトにはない、リアル書店連動型であるBookersの特色の一つだ。
〔若い顧客獲得で生き残り〕
委員会活動は08年3月から始動し、当初は流通改善委員会と青年部プラットフォーム委員会が手掛けた。その後、運用チームと企画チームに分かれて準備を進め、サイト立ち上げ後の11月5日定例理事会で現在の電子サイト運営推進委員会として流通改善委員会から正式に独立し、本格的な運営を行っている。
委員会とは別に、12月11日、ある出版社から持ち込まれた企画について討議するため、組合加入書店の30~40代の若手店長クラスに集まってもらった。委員会でもなくチームでもなく意見交換の形だが、とてもいい意見が出た。若手店長クラスの意見を吸い上げる仕組みが、これまで組合にはなかった。多くの書店人が関わることで、サイトとリアル書店との連動性は強まる。この会は、できればこれからも開いていきたいと考えている。
一般向けの告知については、11月1日から3日間開かれた「神保町ブックフェスティバル」に組合のワゴンを出展し、ティッシュを配布してメールマガジンの登録を促進した。登録いただいた方には特製エコバッグなどを進呈した。3日間の宣伝告知活動で4万6千枚のティッシュを配布し、200件のメルマガ登録を得ることができた。このあと11月~12月にかけて大手書店の店頭でデモンストレーションを展開し、ティッシュ配布とメルマガ登録促進を行った。
今はまだ携帯キャリアがauのみという制約がある。しかし、現在ドコモとソフトバンクにも公式キャリアの認定を申請中だ。各キャリアを網羅し、コミックの扱いをスタートすれば、さらに大規模な展開が見込まれる。Bookersは大きく伸びる余地がある。ケータイを通じて20~30代の若い顧客を獲得し、中小書店が生き残っていくための取り組みを今後も展開していく。

売場面積は減床傾向に/新規407店、閉店1115店

出版業界紙「文化通信」はアルメディア調べの数字として、08年1月から12月までの出店・閉店状況を発表した。
これによると年間新規店数は407店で前年より25店(6・5%)増、増床面積は8797坪(9・5%)減の8万3994坪。1店舗当たりの売場面積は206坪と前年より37坪(15・0%)縮小した。
一方、閉店は1115店で93店(7・7%)減、減床面積は5141坪(7・7%)増の6万7139坪だった。
差し引きで店舗数は708店減少したが、売場面積は1万1714坪増加した。
文化通信では「今年以降は出店も減少し、大手書店で退店の動きも加速するとみられ、減床が増えてくる」と予測している。
取次別の新規出店の数字は、日販124店・3万3202坪、トーハン141店・3万933坪、大阪屋73店・8430坪、栗田28店・6475坪、太洋社21店2824坪、中央社10店・604坪、その他10店・1526坪だった。トーハン、大阪屋、栗田、その他の占有率が増加し、日販、太洋社の比率が低下した。中央社は横ばいだった。日販、トーハンの2社で、占有率は76・3%に達した。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・大平すみ子

◇2歳から/『ぷきゅっ』/かさいまり=文・絵/アリス館1260円/
2007・1
恐竜の赤ちゃんりんりんは、いつも元気いっぱい。父さんのしっぽに乗って「ぷきゅっ」。友だちと遊んで「ぷきゅっ」。母さんは、りんりんが本当に言葉を話せるようになるか心配です。読み手も聞き手のあかちゃん、若いお父さん、おかあさんも「ぷきゅっ」を楽しんで下さい。
◇4歳から/『おまかせコックさん』/竹下文子=文/鈴木まもる=絵/金の星社1260円/2007・5
おいしいものならおまかせと子どものコックさんが大活躍。リンゴをむいて、バナナを切って、卵をゆでて…。出来上がったサンドイッチを、お客の恐竜が世界一おいしいとムシャムシャ。やったね!躍動感あふれるコックさんと一緒にひと仕事した気分です。食べたい!の声がでてきます。
◇小学校低学年向き/『エゾオオカミ物語』/あべ弘士=著/講談社1575円/2008・11
100年前、北海道にはエゾオオカミが住んでいました。シマフクロウはなぜオオカミが絶滅したか、大地に根ざした命の営みと、それを打ち破っていった人間の歴史を語ります。生きとし生きるものの命の有り様をダイナミックな絵と文で語る、筋の太い、伝え続けていきたい作品です。