全国書店新聞
             

平成16年1月11日号

取次週報で中止を要請/ポイントカード、新たな局面に

トーハンは同社で発行している『トーハン週報』1月9・16合併号で「ポイントカード中止のお願い」(別掲)を掲載。再販出版物の購入時にポイントを付与することや、たまったポイントで再販出版物の割引きをすることは再販違反として、即時中止するよう呼びかけた。トーハン以外の各社も年明けから「日販週報」「大阪屋週報」「栗田週報」などで実施書店にポイントカードの中止を求めている。
【ボイントカード中止のお願い】
出版業界はこれまで定価販売と委託制度とを両輪として、多様な出版物を比較的容易に刊行できる体制を構築して参りました。またそれにより読者に対し常に多くの出版物のなかから必要な一冊が選択でき、かつ全国どこでも同一内容の商品を同一価格で入手できる
という利便性を提供して参りました。
一方国家の文化的、教育的見地から見ても、国民の知的向上を図っていくためには、自由で旺盛な出版活動が保障されていることが重要であります。読者に対し広くあまねく、公平に供給しようとする定価販売と委託制度がこれを保障し、知識や文化の普及・拡大に
多大な貢献してきたことは言を待ちません。
先達が生み出し、長年にわたり我々の英知と努力で築き上げてきたこれらの制度は、読者にとって最大の利益を提供する源であり、かつ国家の繁栄と国民の知的向上を支えるかけがえのない仕組みといえます。弊社は将来に渡り出版環境の安定的な発展をめざすため、これらの制度を揺ぎないものとしていくことこそ出版にかかわるものの責務と認識しております。
そのためには再販契約が誠実に遵守されることが重要です。
しかしながら現在実施されているポイントカードシステムの内、割引に類する行為に該当するものは再販契約違反となり、一昨年来出版社各社がその見解を表明されています。
出版業界ではかつて割引行為が横行し、業界全体が疲弊してしまった歴史があります。それは自店のみが割引を行うという、他店の犠牲の上に利益を求める利己的で反規範的行為がもたらした結果です。
弊社はかねてよりこれを放置すれば再販制度崩壊につながると深く憂慮してきました。従って、この間の出版社各社の表明を受け、出版再販研究委員会での研究及び議論の経過を踏まえ、再販契約に則り以下の通りあらためてお願いするものです。
上記にかかわるポイントカードを実施している場合、再販出版物の購入時にポイントを付与する事や、蓄積されたポイントで再販出版物の割引販売をすることのいずれの場合も再販契約違反となり、即時中止をお願いします。
もし中止されない場合は、再販売価格維持契約(取次―書店)第5条により、出版社様が示されている方針に沿って措置を講ずることになります。
尚弊社は今後本件につき、当該お取引先各位とのお話し合いを持たせていただき、当社の考えや再販制度についての充分なご理解を頂戴したいと考えております。
◆尚本件に対するお問い合わせは各営業担当までお願いいたします。

年末年始の売上げ微増

トーハン調べの年末年始書店売上げは、年末29日から31日が書籍97・7%、雑誌98・4%、コミック100%、MM105・3%、合計98・4%。年始1日から3日は書籍103・7%、雑誌100・1%、コミック105・6%、MM120・8%、合計103・2%で、6日間トータルで100・5%と前年を上回った。
日販調べでも年末は雑誌98・5%、書籍98・5%、年始は雑誌100・9%、書籍104・2%、6日間合計で100・2%。

早急な正常化が必要/名刺交換会でも各首脳が指摘

出版業界の今年の始動を告げる「2004年出版関係名刺交換会」が7日正午から新宿区の日本出版クラブ会館で催され、業界関係者多数が出席した。
宮城記念会メンバーによる「砧」の琴の調べで始まった年始式は、出版クラブ野間佐和子会長、書協朝倉理事長、雑協浅野理事長、取協鶴田常任理事、日書連萬田会長が壇上に勢揃い。野間会長が「本年はサル年。出版不況が1日も早く去ってくれますよう祈念しています」とあいさつして、ワインで新年のスタートを祝った。
昨年より紙上で配布されるようになった業界団体代表の祝詞では、書協朝倉理事長が貸与権獲得、消費税総額表示義務化と並んでポイントカード問題に言及。再販契約上の値引きに当たるとして、取次を通じた書店への周知徹底と、話し合いによる解決を望んでいると問題提起した。
また、取協小林会長は、再販制度は出版販売の基本的な枠組みとしてポイントカードの取り扱いを重視。「早急に正常な状態へ復さなければならない」と強調。日書連萬田会長も「正しい再販契約の運用に向け、出版社の強力な指導と運用をお願いする」と、日書連の考え方を述べた。

新春企画「心に残る本」/「折々の本との出会い」/さいたま市・秀陽堂書店・根岸秀夫

昭和30年前後に、小中学生時代を坊主頭で秩父の山里で過ごした。電車で20分かけて町へ出なければ本屋がない。本を買うなら甘いものを買う方を優先した。家にある活字は教科書、新聞、「家の光」だけ。
先生が読んでくれた昔話の紙芝居に胸躍らせた。教科書に載る有島武郎の『一房のぶどう』を1冊の本と思う無知、幼稚さ。本を読む時間があるなら、手伝いを命令される寒村の貧しさ。家の隅にあった兄の読んだ石坂洋次郎の『若い人』を見、意味不明な部分は判読をし、子ども心に刺激を受けた。また夜祭のたび、友達が「ぼくら」や「少年画報」の古本を買ってもらうのを見て、うらやましさを越す感情を持ったものだ。
中学に入ると、兄が「中一コース」を会社出入りの書店から定期購読してくれた。うれしかった感謝の思いは、今も変らない。
高校時代、国語教師を父に持つ友人から阿部次郎の『三太郎の日記』を勧められ、これが蔵書の最初である。親からは「金をためてから物を買え。格好より中身だ」と言われながら、岩波新書を持つとイカすと思う軽い学生時代。こんなザマなので、カタカナ名が出る海外モノには全く弱い。生活のための金が優先した井の中の蛙、大海を知り、読書の大切さを思い知った。
時移り、地方財政も厳しい時代、「バカっ子」「ゴクつぶし」と言われ育った旧友は、母校の小学校に夏・冬休みの推薦図書を送っている。郷里への恩返し、子どもたちの将来の糧になればと願っているという。

生活実用書・注目的新刊

飯田深雪著『100歳のいきいき食卓術―私の食の心得7カ条』(大和書房1500円)は、実際に百歳の現在も料理研究家として活躍する著者のエッセイとレシピ。
母娘三代で通う生徒もいるという料理教室の様子が、冒頭7ページ、十数葉のカラースナップで紹介されている。料理を作る時の顔、生徒に語りかける眼差しや笑顔、その表情が素敵である。こんな教室で習えば、たちまち達人になれるのは間違いない。
生涯を現役で過ごすための食の心得の①は、自然に寄り添う食生活をすること。「旬の食材には生命力が満ちあふれている」のだ。②は「好きなものを食べる」。加齢と共に食欲も随分と落ちてきても「たとえ栄養があるといわれても好まないものはたべません」と言い切る。何々しなければならないという「心得」に比べれば、実に心休まる教
えである。一世紀を生き抜いた感覚に説得力がある。人生50年の江戸時代前期に、84歳まで生きた儒学者貝原益軒が晩年に著した『養生訓』に今なお学ぶことが多いのも同様である。生き方そのものに知恵が散りばめられている。④の「大食はいけません」も腹八分と共通する心得である。
しかし本書の面白さはほかにもふんだんで、外交官の妻として過ごしたシカゴ、インド、ロンドンでのエピソードや発見の数々。読み物として引き込まれてしまう。タイトルから書店では料理書の棚にしか置かれないのが残念だ。
永山久夫著『長寿村の一〇〇歳食』(角川ONEテーマ21C71667円)は新書シリーズだから、書店で探すには新書売場に行かなければ探すことはできない。
北海道、登別から沖縄県まで全国の長寿村を訪ねて紹介する先人の食の知恵である。意外なのは京都で、アミノ酸とバランスの良いタンパク質の豆腐に不老長寿の効果があるからである。福島県浪江町は土地の野菜とサケ。会津若松では干し貝柱と地野菜を使った「こづゆ」。甲府の「ほうとう」。長野県、豊科町の切り干し大根まんじゅう。川越のサツマイモ。小田原の梅干しなど。こうして見てくるとすべて和食である。伝統食を離れ、脂肪過多で長寿の座から滑り落ちつつある沖縄の現状もうなずける。
二点共日野原重明氏の本と並べておいて欲しいものだ。
(遊友出版・斎藤一郎)

新春企画「心に残る本」/「本屋さん誕生の記」/仙台市・協同書店/梅津理昭

何故原稿の依頼が来たのだろう?答えが出ぬまま帰宅した。家内が笑いながら言った。お友達のご主人が古希の祝いをするので、娘さんが弟にその事を電話したら、「コキって何なの」と聞かれて「古くても未だ希望がある」と答えたという。
多様化・価値観の違いなどが顕在する今日、年齢差の無い中でも、言葉や物事の理解に温度差があるのを感じさせられた。
時の流れは早い。私も還暦・古希はすでに卒業し、健康の話、昔話、そして孫の話は嫌われる三大要素と言われたのが、懐かしく思われる年齢となっている。振り返って考えると、昔は本屋さんの時代、そして今は大書店が主流である。扱うのは本ではあるが、中身の差は歴然として、書店と言われる方が間違い無く現代にマッチしていて現実的であることは良く分かる。ただ人間の触れ合いを失いながらと付け加えたい。
今回の企画の、幼い頃や青春時代に感動した本・出会い…などは、私がこの限られた字数の中で言い尽くせない程あるが、それぞれのかたが、多さ深さも異なっても同じように沢山のことを持ち続けていることだろう。本屋さん或いは読者として。そんな事から私が本屋さんになった事情を思い出しながら書いてみた。
戦後の混乱期、駅前の焼け跡で、祖父の屋敷跡に父達兄弟三人が「協同商会」の名で闇市で仕入れた物を売ったり一時預かり等をしていた。やがて店の片隅に雑誌等を置くようになり、協同書店として歩みはじめたが、まもなく大火に遭い、全ては灰燼に帰した。
小学生の頃から本の虫。オヤツを盗み、親・姉妹の目をかすめ、大人の本まで乱読した私である。本の知識は親・親戚には負けないとの思いと天邪鬼の気持ちが、生意気にも進学を勧める周りに「ちょっと手伝ってやるか」と言わせた。この「チョット」が半世紀を越える歳月となって今日がある。
開業した時の事情から、常にナンバーワンを目指さず、オンリーワンを心がけて本屋稼業を営んできた。いずれにせよ現業から離れつつある現在まで、本屋さんとして歩いて来る事が出来たのは、お客様・妻・社員・取引先、そして地域の方々に支えられて出来た事であるのは、論を待たない。書く機会を与えて下さった編集の方々にも心から感謝の意を表したい。
お読み頂いた皆様ありがとう。

2004年わが社のイチ押し企画/マガジンハウス販売企画部部長・稲垣学

マガジンハウスの名の通り、雑誌を活性化させるのがマガジンハウスの務めと考えています。何をおきましても、まず9月20日に隔月刊誌で新創刊しました「ku:nel(クウネル)」がお蔭様で順調な滑り出しを見せ、11月20日発売の2号目も在庫切れの状態で推移しております。
店頭展開として1号目と並列販売してくださっている書店様も数多く、手作りのPOPやワゴン販売と、ひとえに書店様がクウネルにご理解いただき、多くを販売していただいたおかげと、心より感謝申し上げます。もっとも1号目も在庫切れでお叱りを受けてもいるのですが……。
さて3号目は「本はいいなあ」がタイトルです。趣旨は「時間をかけて本を読む」ということで、松浦弥太郎氏が岩手県花巻市の高村光太郎山荘を訪ね、立花文穂さんはベルリンの古本屋さんを探ります。そのほか宮脇綾子さんのアップリケ芸術、ロンドンの建築家が作った動物の家など、クウネルはスローライフを更に深く楽しみます。
対象読者は30歳を中心とした女性をコアターゲットとして設定していますが、嬉しい誤算で20歳から50歳くらいまでの女性の方々にまで広く購読いただいています。
1号目、2号目と順調に販売部数を伸ばし、3号目も更に伸びることが予想されています。その実現には書店様が搬入数(販売数)を伸ばしていただくことに尽きます。将来にわたり部数が更に伸び、日本全国にクウネル旋風が巻き起こることを期待します。
私どもマガジンハウスのもうひとつの人気商品にクロワッサンのムックがございます。お蔭様でクロワッサンムックを愛読してくださるお客様は、都会から地方都市、市町村まで幅広く、シリーズで購入してくださるお客様も数多くいらっしゃいます。店頭に切らさずに頑張って並べてくださっている書店様も多く、新しいシリーズをお待ちいただいている状況です。なかにはシリーズのテーマをご提案くださる書店様もございます。それほどに愛されているクロワッサンムックシリーズ。ベストセラーを続けるクロワッサンのシリーズでは、昨年の「身体のツボ」「着物の時間」「生活雑貨」「手紙とはがき」に続き、サプリ、医療、料理、占いなどシリーズを拡大してゆきます。今年もますます幅を広げ、読者の皆さんの期待に応えられる本作りを目指す、クロワッサンムックシリーズにどうかご期待下さい。
今年は雑誌販売強化の年とこころえ、頑張ってまいりますが、もちろん書籍部門も強力な商品を控えております。マガジンハウスの雑誌、ムック、書籍にどうぞご期待下さい。

2004年わが社のイチ押し企画/小学館マーケティング局雑誌グループ・小島則夫

出版界にとって昨年は大変厳しい1年でしたが、小社におきましても、特に雑誌分野では苦戦を強いられました。
さて、今年こそは大きく躍進すべく期待の新雑誌を創刊してまいります。
〈1〉「小学一年生」大増売運動
■入学準備「小学一年生」入学直前号
1月15日頃発売/定価680円(税込)
■「小学一年生」4月号3月1日頃発売/特別定価550円(税込)
「小学一年生」は毎年4月号から完全に新規読者に入れ替わる、いわば「毎年創刊」の雑誌です。おかげさまで、昨年の成功の経験を踏まえ、今年はよりパワーアップした内容となっています。また定期購読キャンペーンに是非ご参加いただき、以降6年間のお得意様をたくさん獲得していただきたく思います。
〈2〉「週刊名城をゆく」(全50冊)創刊
1月27日創刊/毎週火曜日発売/定価(各)560円(税込)/A4変・36ページ
■創刊号①岐阜城②姫路城同時発売
創刊記念特別定価(各)250円(税込)
小社ウイークリーブック(分冊百科)の第8弾で、日本全国の名城70余を歴史・人物・城下町・建築美の各方面からビジュアルに紹介していきます。特に創刊号は2冊同時発売、そして2冊でワンコイン500円と大量販売に絶好の商品です。
〈3〉「ぼくドラえもん」(全25冊)創刊
2月20日創刊/月2回(5日・20日)刊/定価(各)650円(税込)/A4変・36ページ
■創刊第①号特別定価500円(税込)
2004年は、日本で最も幅広い層に愛される史上最強のキャラクター「ドラえもん」のTV・映画25周年のアニバーサリー・イヤーです。分冊百科形式で月に2冊ずつ、1年間で25冊、テレビ、映画、出版、グッズなどドラえもんに関する全ジャンルを集結させた「ドラえもん完全大百科」の誕生です。この企画は是非日本全国の書店様に拡販にご参加していただきたくお願いいたします。
〈4〉「Precious(プレシャス)」創刊
3月8日(月)創刊/毎月7日発売/予価700円(税込)/A4変・無線綴じ
今、絶好調のファッション誌「CanCam」「Oggi」「Domani」に続く30代後半から40代の働く女性のための新雑誌の誕生です。ファッションも美容も生き方もシンプルで上質にこだわる、前向きで、美しく、何に対しても貪欲な現代社会の「主役」である彼女たちを応援していく、類誌のないまったく新しい雑誌です。是非、創刊時に店頭での多面陳列を実施していただき、新しい読者層開拓にご協力をお願いいたします。
以上、雑誌上半期の企画を紹介いたしました。

2004年わが社のイチ押し企画/新潮社営業部雑誌担当・田中比呂之

昨年の新潮選書に続き、今年は雑誌を新創刊いたします。JTB発行の「旅」は昨年12月10日発売の号で最後となり、今年4月より小社発行となって生まれ変わります。
長い間1人の読者として「旅」を楽しんでまいりましたが、まさかその「旅」を担当することになるとは思いませんでした。本誌もさることながら、しばしば挟み込まれた付録はどれもこれも貴重な文献で、現在でも折に触れて活用しています(つまり鉄道マニアということです)。楽しみな仕事がひとつ増えました。
「旅」は大正13年に創刊されて以来、日本人の旅と密接に関わり、日本人の「旅のかたち」を提案してきました。また文学史上でも、多くの作家の作品を世に送り出し、中でも松本清張氏の「点と線」はあまりにも有名です。
編集部は4月10日の新創刊に向け、不眠不休でアイデアを絞っているところです。判型はこれまでのB5からA4変型に、紙面の大半をビジュアル・カラー化します。
何よりも大きく変化することは、海外の記事を大幅に増やすことでしょう。申すまでもなく、地球上で日本人が行かないところはないほど好奇心旺盛な国民です。「旅」の総合誌を標榜する以上、海外を取り上げないわけにはいきません。
密かにお教えしますが、新創刊号ではイタリアのある地方を特集する予定です。「グランド・ツアー」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。世界=ヨーロッパ大陸だった頃、ヨーロッパでは、歴史がぎっしり詰まった地中海地方を旅することを指し、それは知識と経験を積む「特別な旅」と見なされていたといいます。
あのバブル以降「癒し」という言葉がもてはやされ、旅もこの言葉に飲み込まれた観がありますが、癒されるだけが旅の目的ではないはずです。21世紀に生きる日本人に新しい「旅のかたち」を提案する新生「旅」が新創刊第1号に地中海地方を紹介するのは決して偶然ではありません。
もちろん温泉・美食といった国内旅行もおろそかにはしませんし、旅に出たくてもすぐには旅立てない読者にも「旅の空」を味わっていただける記事も用意します。実用から夢想まで、旅の総合誌は読者の要望に応えます。読者の関心を引きつけてやまない雑誌がもうすぐ誕生します。ターゲットは、癒されるだけでは満足しない好奇心旺盛な中高年です。
営業担当者としては、女性編集長のケツを蹴り上げてでも、売れる雑誌を作らせる覚悟で臨んでおります。書店の皆様、「旅は『旅』から始めましょう」とお客様にお奨め下さい。

本社に2台集結/講談社おはなし隊

読書の楽しさを伝えようと全国を巡回中の講談社読書キャラバン「全国訪問おはなし隊」は、昨年10月から3周目に入り、1月は埼玉と徳島を訪問するが、6日に2台のキャラバンカーが文京区音羽の講談社に集結、おはなし会が開かれた。
黄色と緑色のキャラバンカー2台は講談社本館前で絵本を展示。おはなし会は社内の図書閲覧室で行われた。JPIC読書アドバイザーの安富ゆかりさんが十二支のお話から『さる・るるるonemore』(絵本館)の読み語りへ。4冊の読み聞かせと手遊びの後、最後は谷道子隊長が紙芝居『イカタコツルツル』を披露。おはなし会終了後も子どもたちはキャラバンカーに移って楽しそうに本に見入っていた。

売上580億円微減収微増益に/栗田決算

栗田出版販売は12月25日、板橋区の本社で第66期定時株主総会を開き、決算諸案を承認した。
第66期(平成14年10月1日~15年9月30日)の売上高は580億円で前期比1・0%の減少だったが、同業6社平均の1・5%を若干上回った。返品率は雑誌35・9%、書籍39・8%、合計37・7%で、前期より1・0ポイント悪化した。
営業費は生産性の向上、ローコスト・オペレーションに徹した結果、前期比1・0%減少し、当期は微減収・微増益の決算となった。税引き後利益では3年連続の増益。
期中の新規店は80店、増床店18店、増床面積は7235坪。中止・廃業店は127店、3125坪。
今期は取締役改選期に当たり、木村、渡部、草場の3取締役が退任。新しく河本、柴原、丸山、林、雪の5氏が取締役に就任した。9月末現在の社員数は317名。
栗田新役員(○は新任)
代表取締役社長
亀川正猷
専務取締役(経営企画、社長室・総務人事部管掌)
萩原保宏
同(営業本部本部長)
郷田照雄
取締役(営業本部副本部長)林保
同(経理部長、取引部管掌)○河本正美
同(情報システム部長)
○柴原正隆
同(物流管理部長、運輸管理部管掌)○丸山政良
同(営業第2部長)
○林妙蔵
同(特販第1部長)
○雪武司
非常勤取締役(相談役)
遠藤永七郎

創業86年迎えて一層の挑戦強調/栗田市会

「フロンティア栗田だからできること/2004年栗田新春あいさつの会」が6日午前9時から板橋区の同社新物流センターで開かれた。
午前11時から行われた鏡開きでは、亀川社長が「甲申は芽が出て伸びる年。栗田は創業86年を迎え、大木ではないが、老舗の老木。接木も必用なら、新しい根も必用だ。昨年は社内で正確でスピーディーな流通改善を目指し、よい結果が出てきた。蓮田の返品協業化も軌道に乗り、入帳が早くなった。また、『棚作りエキスパートチーム』が発足し、得意先書店に商品構成を提案する。『栗田読書倶楽部』は得意分野の情報を共有して棚づくりに連動できればと考えている。信念を持ち、信用を得るため一層信頼を強固にしていきたい」と、挑戦する姿勢を明確にした新年のあいさつを述べた。
出版社を代表して筑摩書房菊池社長は「昨年の『バカの壁』は250万部を突破し、他社の養老本も上向いた。努力と工夫、決断力で道は開ける。講談社の年始広告のように『本年こそ本の年に』していきたい」とあいさつ。
書店を代表して戸田書店・鍋倉社長が「戸田書店はこの5年間に9店出して12店やめた。苦労は多いが頑張って良い年にしたい」とあいさつしたあと、亀川社長、菊池社長、鍋倉社長に栗田萩原専務、青山ブックセンター磯貝社長が加わって鏡開きを行った。
会場4階大ホールにはアートカレンダーや本屋さん直行便、栗田読書倶楽部コーナーが展示され、千名を越す来会者で賑わった。

催し

◇星野富弘花の詩画展
昨年11月に出版された星野富弘の5冊目の詩画集『花よりも小さく』(偕成社)の出版記念原画展が、1月7日から25日まで中央区銀座の銀座教文館9Fウエンライトホールで開催中。開館時間は午前10時から午後7時。入場料一般6百円、小中学生4百円。

中小書店支援策を積極推進/中央社市会

中央社新春会は1月6日午前8時半から板橋区東坂下の本社で開かれ、書店、出版社など647名が来場。商品センターでは即売会が行われた。
正午から大ホールで行われた式典で年頭あいさつを行った秋山秀俊社長は、グローバル化の潮流の中、今後の日本は成長力・市場力・外交力・構想力に加え、歴史や伝統に根ざした文化力が欠かせないとの日経新聞元日社説を紹介し、「出版界に課せられた役割と責任はますます大きい。日本の将来のためにも7年連続市場縮小から脱しなければならない」との決意を表明。100%子会社の中央ブックセンターと昨年12月1日に合併し、時価会計導入で自己資本比率が10億円以上向上したこと、6~11月の半期決算で売上前年比113・2%、経常利益も4千万円を超える大幅な増収増益になったなど、好調な業績に言及した。
新年の戦略としては、①中小書店総合支援策へ経営資源の集中②コミック在庫管理システムの充実――に優先して取り組むとした。中小書店支援については徹底した雑誌増売を図り、街の本屋さんとのタイアップ戦略を進めると説明。さらに、従来からの路線であるM&Wに代表されるセレクトショップの開発促進なども積極展開すると話し、出版業界に力強い成長力を呼び戻そうと呼びかけた。
続いて来賓の講談社・保月滋常務が「コミック、雑誌の建て直しが急務。読者のニーズをつかむことで良い企画を生み出したい」とあいさつ。講談社・保月常務、文藝春秋・浅井淳取締役、中央社共栄会・江馬一会長、三鷹書房・村田安弘社長、中央社・秋山社長の5名で鏡開きを行い、文藝春秋・浅井取締役の発声で乾杯した。

本屋のうちそと

新年を迎えた。不景気で売上げは年々下降という悪条件、良くなる状態は見えない。でも考えようによっては、仕事はある、寝る場所もある、食べるものもそれなりにある。贅沢は言わない。夫婦二人が頑張っていれば、まだ食べていける。
誰でもが順調に売上げを伸ばせる明るい未来を
望んでいる。しかし、ホームレスの人たちは働きたくても働く場所が無い。学校を出ても就職がない。若ければ当分はアルバイトで凌げるが、いつまでも定職がないと落ち着けない。
昔は試験で就職が決まったが、雇用が減っているから、今は試験だけというわけにもいかない。難関を突破して就職したはずなのに、中には箸にも棒にもかからないのが紛れ込んでいる。
友達の娘さん、大学生だがもうすぐ就職。この子を見ていると雇用する方だって良く見てから雇わないと、会社に何しに行くのかわからない。就職してしまえば、もうこっちのものと言う社会ではないはず。会社もきっと扱いにくい新入社員がいるだろう。
一方、学生時代には結構遊んでいたが、会社に入って人一倍頑張っている女性もいる。男顔負けに東京から地方の会社まで商品の説明やら販売促進に回っている。凄いなァと感心する。
いままでの習慣で商売をやっていればよい時代ではない。時代の変貌を見聞きし、未来を見つめていないと道に迷う。町の小さな書店の未来はどのように変わっていくのか。いま少し商売を続けながら、諸々な事に携わってみよう。(とんぼ)