全国書店新聞
             

平成27年6月1日号

SJで『ワタシが薦める一冊』作成/書店くじ全店配布で活性化/青森総会

青森県書店商業組合(成田耕造理事長)は5月8日、青森市のアラスカ会館で第28回通常総会を開き、組合員25名(委任状含む)が出席した。
総会は藤村真専務理事の司会で進行し、成田理事長があいさつ。日書連理事会の報告のほか、サン・ジョルディの日推進事業について、「青森県内のさまざまな分野の方に『ワタシが薦める一冊』を選んでもらい、それらの本を紹介する冊子を1万部作成してポスターとともに全書店に配布。新聞広告とテレビCMの時期にあわせてお客様へ配布した」と説明した。今年度はさらに事業活性化のため「書店くじ」を組合で一括購入し、全店に一律100枚程度配布するなど、さらに書店支援を進めていきたいと述べた。
続いて成田理事長を議長に選出して議案審議を行い、平成26年度事業報告、収支決算、平成27年度事業計画案、予算案など第1号から第6号議案まですべての議案を原案通り承認可決した。
このあと取次、出版社、運送会社を交えて懇親会を行い、相互の親睦を深めた。(伊藤篤広報委員)

舩坂良雄理事長を再選/2期目の新体制がスタート/第39回東京組合通常総代会

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は5月20日午後1時半から東京・千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで第39回通常総代会を開き、総代56名(委任状含む)が出席。任期満了に伴う役員改選で、舩坂理事長を再選した。副理事長は、柴﨑繁、本間守世両氏を再任、田島敏幸、小林洋両氏を新任した。小泉忠男、片岡隆両副理事長は退任した。
総代会は田島敏幸組織委員長の司会で進行し、柴﨑繁副理事長が開会の辞。舩坂良雄理事長は冒頭のあいさつで、昨年の消費税増税や、低迷が続く出版物販売金額の状況など、書店の厳しい経営環境について言及。その中で、全国から注目を集めている書店の取り組み事例として、北海道砂川市のいわた書店が実施する、読者に1万円分のお薦め本を選書して送るサービスを紹介し、「読者が書いたアンケートを基に本を選ぶのは誰にでもできることではないが、そこにヒントがあると思う。店頭で迷っている読者の相談に応じることでリピーターになっていただけるのではないか」と指摘した。
出版物に消費税軽減税率の適用を求める運動については、出版業界4団体で国会議員に請願活動を行っていると報告。「今秋には大筋の内容が決まるとみられ、気を引き締めて活動に力を入れたい」と述べた。
最後に舩坂理事長は、「現在、全国の332市町村に本屋がないという。自国の文化を守るために、政治家の力を借りて行政に物を申していく必要がある。街に本屋は絶対に必要だ。私ども書店組合は、この国の出版文化を守っていく一翼を担っているという気概を持って、今年度も頑張っていきたい」と結んだ。
議長に武田初男氏(芳進堂)を選任して議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決。平成26年度事業報告については、各副理事長が担当委員会の取り組みを一括して説明した。
小泉忠男副理事長は組織強化について、支部再編案を理事会に上程し各支部に意見集約を依頼したことを説明。「各支部の事情があるので統一的な理解を得るのは時間がかかるだろう。エリアを活用するのも1つの考え方だ」と述べ、エリア制と支部の組織改革について引き続き議論が必要との見方を示した。
取引・流通改善では、柴﨑繁副理事長が送品・返品同日精算問題について、トーハン、日販が昨年4月から実施している返品入帳締切日の繰り下げ対応を、引き続き注視していくと説明。輸送の問題とみられるタイムラグについても解消を図っていきたいと述べた。デジタル戦略推進では、「BOOKSMART」の店頭連動企画で、本の購入者にデジタルコンテンツを付与する実験を行ったことを報告した。
書店再生について片岡隆副理事長は、昨年は売上が大幅に減少する一方で販売経費が上昇したと危機感を表明。「30%近いマージンを獲得しないと街の書店は消えていくという厳しい状況だ。組合や支部の販売提案に対し、書店が一致協力して取り組む形をとらなければ、出版社や取次にモノを言ったりお願いをするのは非常に難しい。書店が唯一できるのは力を合わせて販売することだ」と訴えた。
共同購買事業の報告で本間守世副理事長は、出版社への増売協力について、「出版社の担当者が理事会で説明し、増売の取り組みが決定すると、企画をFAXで案内して希望書店が申し込むという形で実施しているが、『この企画は何店の参加を目標に取り組む』と決めて実施していくことも必要だ」と指摘した。
平成27年度事業計画について説明した小泉副理事長は、読者謝恩図書カードの販売と第2回書店金賞の提案を重要項目に挙げ、読者謝恩図書カードについては、協賛社を拡大して制作枚数を増やし、販売期間も年度内に限定せず継続して販売していく方向で検討していると説明した。
任期満了による役員選任では理事40名、監事3名を承認。議事終了後、組合功労者5名と支部功労者3名を表彰した。その後臨時理事会を開催、投票の結果、舩坂理事長を再選した。
〈東京組合新体制〉
(○新任)
▽理事長=舩坂良雄(大盛堂書店)
▽副理事長=柴﨑繁(王様書房)本間守世(本間書店)○田島敏幸(椿書房)○小林洋(烏山書房)
▽常務理事=澁谷眞(四季書房)〇渡辺真(ワタナベ書店)〇安藤弘(サンブックス浜田山)〇秋葉幸伸(ブックタウン)〇濱野敏明(アンビル宮脇書店)〇渡部満(教文館)
〈組合功労者〉
舩坂良雄(大盛堂書店)本間守世(本間書店)根岸勇三(埼玉屋書店)土橋健(K企画金港堂)澁谷眞(四季書房)
〈支部功労者〉
大橋信夫(東京堂東京堂書店)生方宮野(生方書店)上地万智子(千歳書店)

6月18日に第27回日書連総会

日書連は6月18日(木)午後1時から東京・千代田区の書店会館で第27回通常総会を開催し、平成26年度事業報告・収支決算報告、平成27年度事業計画案・収支予算案、平成27年度借入金最高限度額決定・役員改選などを審議する。当日午前は定例理事会を開催する。

書店組合総会スケジュール

◆佐賀県書店商業組合第33回通常総会
6月13日(土)午後2時から、佐賀市の観光ホテル朝風で開催。終了後、神田村と次世代図書カードの研修会を行い、午後5時から懇親会。
◆東京都書店商業組合青年部第25回通常総会
6月18日(木)午後4時半から、東京・千代田区の書店会館3階会議室で開催。午後6時半から明治大学紫紺館4階で懇親会。
◆第67回書店東北ブロック大会
7月9日(木)~10日(金)、秋田市の秋田温泉「さとみ」で開催。9日は午後1時半から大会、午後2時50分から講演会、午後6時から懇親会を行う。10日はゴルフと観光。

面屋龍延理事長を再選/大阪組合第33回通常総代会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は5月22日午後2時から、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で第33回通常総代会を開催、総代65名(委任状含む)が出席した。
総会は堀博明副理事長の司会で進行。面屋理事長は開会あいさつで、書店を取り巻く経営環境について「今までとは全然違う状況になってきている」と指摘。大きな動きとして、KADOKAWAとアマゾンの直接取引開始や、古本市場店内への新刊書店オープン、JR大阪駅ルクア1100に出店した梅田蔦屋書店について言及。「出版業界が内部崩壊し始めているように感じる。売上の減少は底が見えず、新しいマーケットを開拓するのではなく弱いところを食っていく、先に食ったものが勝ちだという状況だ。業界の健全化の動きがますますなくなっていくのではないか」と危機感を示した。
続いて、日書連や大阪組合が取り組む活動として、出版物への消費税軽減税率適用や、外商雑誌の買切による書店収益改善策、商談会「BOOKEXPO」の後援、各種読書推進運動を挙げ、「書店は地域の読者と一緒に生きていかなければいけない。書店組合の果たす役割は大きい。知恵を絞り、1日でも長く商売を続けていけるよう、今日の議案をご討議いただきたい」と述べた。
続いて、正副議長に虎谷健司(虎谷誠々堂書店)、家村英嗣(家村書店)両氏を選任し議案審議。平成26年度事業報告、収支決算書、平成27年度事業計画案、収支予算書案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では、「本の帯創作コンクール」は第10回を記念して全国からも作品を募集、応募総数は1万2250点で、大阪府内から229校、他府県から23校(応募433作品)が参加したと報告。また2014年版「読書ノート」は160校6万4339冊の応募があり、選定の結果156校に6万1735冊を送付したことを報告した。
平成27年度事業計画を説明した面屋理事長は、重要な動きとして、4月に施行された改正学校図書館法による各学校への司書配置を挙げ、学校図書館の活用によって図書納入の増加が見込まれるため、地元書店からの納入を働きかけていきたいと述べた。また、教科書デジタル化の動向に注視していくことや、ストップ・ザ・廃業委員会の活動による閉店食い止めなどを重点項目に掲げた。
任期満了に伴う役員改選では理事40名、監事3名の候補者を承認し、初理事会で面屋理事長を再選した。副理事長は、戸和繁晴(トーワブック)、深田健治(ブックスふかだ)、萩原浩司(宮脇書店大阪柏原店)、堀博明(堀廣旭堂)の各氏を再任した。
総代会終了後、同ホテル1階「ステラマリス」で永年勤続優良従業員表彰式と懇親会を行い、木下書店の池田剛さん(勤続32年)を表彰した。

「読書ノート」133校に発送/大阪組合

大阪府書店商業組合は、5月9日に大阪市北区の大阪組合会議室で定例理事会を開催した。各委員会の主な審議・報告事項は以下の通り。
〔総務・財務・再販問題〕
第33回総代会の準備状況の説明を行った。
〔読書推進〕
2015年版「読書ノート」募集要項の掲載を、4月16日に朝日新聞大阪版、同デジタル版、組合ホームページで行ったと報告。
「読書ノート」の応募は4月29日で締め切り、応募校は173校、応募数は6万7367冊となり昨年を上回った。抽選を5月1日に行い、当選校は133校、発送数は4万9648冊となり、8日に取次・書店計16名が参加して発送作業を行ったと報告した。
〔広報〕
今年は総代会終了後、総代会特集を発刊したいとして、予算上年2回の発行となることを説明した。
〔経営活性化・書店環境改善〕
書店の厳しい現状から、マージン30%問題に取り組みたいと説明した。
〔図書館問題〕
5月15日に大阪市教育委員会事務局を訪問し、学校図書館問題についてレクチャーを受けると説明した。
(石尾義彦事務局長)

生活実用書/注目的新刊

不景気な時は実用書、というのが、書店界、出版界の古くからの言い伝えである。園芸のジャンルでは、花を愛でるより、食べられて、家計にも役立つ野菜が人気だ。
ホームライフ取材班編『野菜づくりの裏ワザ・便利ワザ』(青春新書P10351100円)はベランダの手軽なプランター栽培などに役に立つハンディ便利帳である。
第1部は果菜類、葉菜類、根菜類、豆類、ハーブ類に分類の5章。たとえばトマト。普通苗の植えつけは、根を痛めないようにポットの土を崩さないで行うのが基本だが、トマトは根の再生力が強いため、逆に土を崩し、あえて根を3分の1ほどカットする。そうすると生育は遅れるが、やがて新しい根が勢いよく伸びて成長するのである。ほかにも、ナス、キュウリ、ピーマン、ゴーヤ、スイカ、イチゴ、カボチャなどを育てるポイントを解説する。長ネギやタマネギもプランター栽培できるし、サツマイモやダイコンも可能である。
第2部ではプランター栽培ならではのポイントから、種まき、植えつけや病害虫退治まで様々なコツを伝授する。セリやミツバなら根元から5センチほどを切って小さな鉢にさし木し、ボウルなどに入れて株の先が水面に少し出る程度に水を入れる。ミツバは鉢の下に水を張った受け皿を置けばいい。キッチンの水耕栽培は子供にも喜ばれる。
植物の力を感じて愉しみ、いただいたら、今度はその力を詳しく知ってみたい。田中修著『植物はすごい』(中公新書2174840円)は3年弱の間に14刷を重ねているロングセラー。
章立てを見ると①自分のからだは、自分で守る②味は防衛手段③病気になりたくない④食べ尽くされたくない⑤やさしくない太陽に抗して、生きる⑥逆境に生きるしくみ⑦次の世代へ命をつなぐしくみの全7章。まるで人間の予防医学の本みたいである。トウガラシやショウガのように辛みを持つものが植物に多い理由は、虫や鳥から身を守るための工夫。そして、光合成。水、二酸化炭素、太陽光でデンプンを作れるのは植物だけで、人知を駆使しても及ばない、すごい力なのである。
植物の自然の力を借りて、我々が生かされていることを知るドキュメントでもある。
(遊友出版・斎藤一郎)

前年同月比で93・08%/2014年下期ABCレポート

日本ABC協会は2014年下半期(7月~12月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載した38社159誌の前年同期比指数は週刊誌93・27%、月刊誌93・02%、合計93・08%となった。
総合週刊誌は、『週刊文春』が上期から1万2千部減少したものの43万7千部でトップ。前回2位だった『週刊現代』は3万3千部減の31万8千部と後退。前回3位の『週刊新潮』は4千部減の32万5千部と微減でとどまり、2位に浮上した。新聞社系では、『週刊朝日』が1万2千部減の9万8千部、『サンデー毎日』が8千部減の5万3千部と低迷した。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が1千部増の8万6千部、『週刊東洋経済』が3千部増の6万3千部とやや持ち直した。『日経ビジネスアソシエ』は1万4千部増の5万9千部と好調、『プレジデント』は4千部減の17万5千部と若干減退した。
女性週刊誌は、『女性セブン』が8千部増の22万9千部、『女性自身』が3千部減の21万9千部、『週刊女性』が2千部減の12万4千部とまちまちの結果に。
女性月刊誌は『non・no』が7千部減の19万7千部と20万の大台割れ。『CLASSY.』は2万8千部増の19万4千部と好調を続けている。

「言論・表現の自由守る」/長寿者、永年勤続者を表彰/全出版人大会

第54回全出版人大会(主催・日本出版クラブ)が5月11日、東京・千代田区のホテルニューオータニで開かれ、「出版の原点を再確認し、総力を挙げて読者に良書を提供し続けることで社会の繁栄に貢献することを誓う」とする大会声明(別掲)を採択。長寿者31名の祝賀と永年勤続者341名の表彰を行った。日書連関係では西村俊男副会長(文信堂書店)、丸岡義博相談役(廣文館書店)が長寿者祝賀を受けた。
式典の冒頭で野間省伸大会会長(講談社)は「今年は戦後70年、阪神淡路大震災から20年が経過した節目の年であり、事件、事故、災害を見つめなおす1年になる。メディア規制が垣間見られる今、言論・表現の自由をきっちり守っていかなければいけない。忌まわしい戦争を二度と起こさないためにも、我々出版業界に携わる者が果たすべき役割は、ますます大きくなっていく。出版業界を取り巻く環境が厳しさを増しているが、全出版人一丸となって知恵を絞り体をフルに動かして、難局を好機に転じていく出版活動を展開していこう」とあいさつした。
続いて矢部敬一大会委員長(創元社)が「本日長寿祝賀、永年勤続表彰を受けられる皆様が取り組んでこられたお仕事の成果は、我が国の、世界に誇るべき水準の旺盛な出版活動として現れている。お一人おひとりの人生の歩みと業界の歴史を、今日は立ち止まって振り返り、多くの仲間と分かち合っていただきたい」と述べて大会声明を朗読、拍手で採択した。
来賓の赤池誠章文部科学大臣政務官の祝辞に続き、長寿者代表の内田眞吾ベレ出版取締役相談役に石﨑孟大会副会長(マガジンハウス)から寿詞と記念品、永年勤続者代表の川口達也氏(朝倉書店)に相賀昌宏大会副会長(小学館)から表彰状と記念品が贈られた。
この後、作家のあさのあつこ氏と文藝春秋・羽鳥好之文庫局長による対談が行われた。あさの氏は、児童文学が大きな隆盛を見せた1970年代は、誰もが未来を信じることができた時代だったが、現代は書き手が若い人に向かって『未来は生きるのに値する』と簡単に言うことができない時代ではないかと指摘。自身の見解として、若者向けの小説は、例えわずかでも希望を込めなければ成り立たないと考えているとして、「ではその希望をどのようにつかみ、語っていくのか非常に迷っている。生きるとはどういうことか、結論は自分の中に見えないが、結論を何とか見出そうとするあがきや、そのプロセスを丁寧に物語として紡いでいくしかないと思っている」と述べた。
〔全出版人大会・大会声明〕
2015年、我が国は戦後70年という節目の年を迎えています。先人たちが焼け野原の中から努力を重ね、多くの困難、試練に立ち向かい、これらを克服して今日の平和で民主的な社会を作り上げてきました。一方で、人口減少、経済格差、国際紛争、財政赤字など大きな問題も抱えたまま、新しい「日本の形」はまだ見えません。
我々出版人もこの70年、多種多様な出版物を活発に刊行し、それを全国の読者が確実に入手できる流通システムを築きあげることにより、文化の源泉として、また教育の担い手として社会の発展に大きな貢献を重ねてきたことは誇るべき事実です。しかし今、このシステム全体が根底から揺らぎはじめました。日々進化するデジタル化・ネットワーク化の影響が出版の概念を大きく変えつつあります。著作権法も今年から電子書籍について改正がなされましたが、今こそ未来に向けた「本とは何か」「出版とは何か」という本質的な議論が必要です。
昨年12月10日には特定秘密保護法が施行されました。民主的社会の基盤を担保する最も重要な権利である「言論・表現と出版の自由」は何があっても守らなければなりません。同法が濫用され、知るべき情報が隠匿されないよう運用の実態を注視していく必要があり、どのような形であれ、出版メディア規制が強化されないよう注意しなければなりません。
我々出版人が担っていくべき役割は、日本文化の発展と育成に寄与することで、この点は今後も変わりません。出版物は事態の変化に対応しながら、学問、教育、科学、経済、娯楽など幅広い分野で常に創造的な役割を担い、豊かな社会の実現に貢献しなければなりません。読書こそがすべての文化活動の基礎となるものであり、次世代の子どもたちに読書の楽しみを伝えていくためには、読書推進運動の輪をさらに大きく拡げ、長期間にわたった地道な活動が必要です。また、活字文化の普及のために書籍や雑誌に軽減税率が適用されることは必須です。
第54回全出版人大会はとりわけ厳しい経済状況の中での開催となりました。しかし我々出版人は、英知を結集してそのときどきの難局を乗り越えてきました。昭和32年に制定された出版倫理綱領の前文に「我々出版人は、文化の向上と社会の進展に寄与すべき出版事業の重要な役割に鑑み…」という一文がありますが、この原点を再確認し、すべての出版人が相互理解を深め、総力を挙げて読者に良書を提供し続けることで社会の繁栄に貢献することを誓うものです。
以上をもって大会声明といたします。
2015年5月11日
第54回全出版人大会

東京10月19日、大阪11月13日、北海道9月15日/各商談会の開催概要発表

第6回「書店大商談会」、「BOOKEXPO2015」、第2回「北海道書店大商談会」の開催概要が決まり、東京・千代田区の書店会館で5月21日に行った合同記者会見で発表した。
「書店大商談会」は10月19日に東京・文京区の東京ドーム「プリズムホール」で開催。会見の席上、奥村弘志実行委員長(南天堂書房)は「出版業界は厳しい状況だが、この商談会は書店の現場と出版社のつながりを大切にしていく催し。書店に元気を与える起爆剤になればとの思いで始めた」と説明。5~10%の歩戻しや作家のサイン会の実施、サイン本の提供など来場書店がメリットを感じる特典の提供を出版社に要請した。会場は一般書、ビジネス書、児童書、コミックなどのコーナーを設ける予定。コミックコーナーは昨年のサロン形式から他コーナーと同じくブース形式とする。また、書店員向け勉強会を併催する。出展申込は6月10日から。
「BOOKEXPO」は11月13日に大阪・北区のグランフロント大阪地下2階「コングレコンベンションセンター」で開催。細江弘人運営幹事(天晨堂)は「昨年、商談1億円、来場1000名を達成した。今年は規模よりも内容の充実と環境整備に力を入れ、来場書店と出展社の満足度を上げる」として、昨年よりイベント回数を減らし、商談にかける時間を増やす方針を説明した。児童書コーナーでは作家のサイン会やラッピング講座を予定。コミックサロンからコーナーへの変更で、商談しやすい環境を作る。さらに、OsakaBookOneProject受賞作家の講演を行うほか限定特典を充実させる。出展申込は6月15日~7月2日。
「北海道書店大商談会」は9月15日に札幌・中央区の札幌パークホテルで開催。田中雄一実行委員長(フジヤ書店)は「北海道は書店と出版社が一堂に会する機会が少ない。商談とともに情報交換を積極的に行い、道内の書店業界を盛り上げたい」として、書店員向けワークショップの実施、限定特典などを説明した。出展申込は5月22日~6月12日。
なお、東京・北海道合同の出版社説明会を6月9日、東京・新宿区の新宿区立牛込箪笥区民ホールで開催する。3商談会の参加・出展申込は出版文化産業振興財団のホームページで受け付ける。
日書連の舩坂良雄会長は「大商談会は書店のための取引の場で、書店と出版社が直接話して商品を仕入れることができる画期的な企画。関係者の努力で年々進化している。この流れを東京、大阪、北海道から全国に広げたい」と応援メッセージを述べた。
各商談会の開催概要は以下の通り。
第6回「書店大商談会」
▽主催「書店大商談会」実行委員会(奥村弘志実行委員長=首都圏栗田会会長、南天堂書房社長)
▽後援日本書店商業組合連合会、東京都書店商業組合ほか予定
▽協力出版文化産業振興財団
▽日時平成27年10月19日(月)午前11時~午後5時半
▽会場東京都文京区・東京ドーム「プリズムホール」
▽出展料3万5000円+税(税込3万7800円)
▽目標出展240ブース、来場書店人数1000名、商談成立1億円(本体価格で統一)※前回=出展社233社240ブース、来場書店936名、商談成立5008件、総額1億260万2979円
「BOOKEXPO2015秋の陣~挑め!書店人~」
▽主催「BOOKEXPO2015」実行委員会(肥田美代子世話人会代表=出版文化産業振興財団理事長、堀博明実行委員長=堀廣旭堂専務取締役)▽後援(予定)経済産業省、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会、日本児童図書出版協会、大阪21世紀協会、関西元気力、毎日放送、テレビ大阪、讀賣新聞大阪本社
▽事務局協力出版文化産業振興財団
▽日時平成27年11月13日(金)午前10時半~午後6時(開会セレモニー=午前10時10分)
▽会場大阪府大阪市北区・グランフロント大阪地下2階「コングレコンベンションセンター」
▽出展料3万2400円
▽目標出展230ブース、来場書店人数1100名※前回=出展227ブース、来場書店人数1030名、商談成立6031件、総額1億840万3339円
第2回「北海道書店大商談会」
▽主催「北海道書店大商談会」実行委員会(田中雄一実行委員長=北海道トーハン会会長、フジヤ書店社長)
▽後援日本書店商業組合連合会、北海道書店商業組合
▽協力出版文化産業振興財団
▽日時平成27年9月15日(火)午前10時~午後4時
▽会場北海道札幌市中央区・札幌パークホテル
▽出展料3万2000円+税(税込3万4560円)
▽目標出展社100ブース、来場書店人数260名、商談成立金額は昨年の成立金額以上(本体価格で統一)※前回=出展社109社110ブース、来場者数257名、商談成立1136件、総額3028万6938円

小学生1位『かいけつゾロリ』/「朝の読書」で読まれた本

朝の読書推進協議会はこのほど「朝の読書」実践校の平成26年度人気の本の調査結果をまとめ、小・中・高校の「朝の読書」で読まれた本のランキングを発表した。
小学生はロングセラーの『かいけつゾロリ』と、昨年に引き続き『科学漫画サバイバル』『学研まんが新ひみつシリーズ』などの学習まんがシリーズが人気を集めた。
中学・高校は『村上海賊の娘』『永遠の0』『謎解きはディナーのあとで』など映画・テレビ等でも話題になった作品やライトノベルが上位に入った。
「朝の読書」は今年27年を迎え、実践校は5月1日現在で2万7879校(小学校1万6975校、中学校8685校、高校2219校)。約970万人の児童・生徒が取り組んでいる。
〈小学校〉
①『かいけつゾロリ』原ゆたか、ポプラ社②『科学漫画サバイバルシリーズ』、朝日新聞出版社③『学研まんが新ひみつシリーズ』学研④『怪談レストラン』松谷みよ子・責任編集、童心社④『しずくちゃん』ぎぼりつこ、岩崎書店④『一期一会。』粟生こずえ、学研⑤『冒険!発見!大迷路』原裕朗、ポプラ社⑥『ほねほねザウルス』ぐるーぷ・アンモナイツ、岩崎書店⑦『ルルとララ』あんびるやすこ、岩崎書店⑧『ミッケ!』ジーン・マルゾーロ、小学館⑨『ディズニーアニメ小説版シリーズ』偕成社⑩『名探偵シリーズ』杉山亮/作、中山大輔/絵、偕成社
〈中学校〉
①『空想科学読本』柳田理科雄、KADOKAWA②『図書館戦争シリーズ』有川浩、KADOKAWA②『「ぼくら」シリーズ』宗田理、KADOKAWA、ポプラ社②『カゲロウデイズ』じん(自然の敵P)、KADOKAWA③『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉、小学館④『ハリー・ポッター』J・K・ローリング、静山社⑤『ソードアート・オンライン』川原礫、KADOKAWA⑥『都会のトム&ソーヤ』はやみねかおる、講談社⑦『本の怪談シリーズ』緑川聖司、ポプラ社⑧『とある魔術の禁書目録』鎌池和馬、KADOKAWA⑨『リアル鬼ごっこ』山田悠介、文芸社⑩『神様のカルテ』夏川草介、小学館
〈高校〉
①『図書館戦争シリーズ』有川浩、KADOKAWA②『ソードアート・オンライン』川原礫、KADOKAWA②『村上海賊の娘』和田竜、新潮社②『永遠の0』百田尚樹、講談社、太田出版③『カゲロウデイズ』じん(自然の敵P)、KADOKAWA④『レインツリーの国Worldofdelight』有川浩、新潮社⑤『探偵ガリレオシリーズ』東野圭吾、文藝春秋⑥『空想科学読本』柳田理科雄、KADOKAWA⑦『物語シリーズ』西尾維新、講談社⑧『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延、KADOKAWA⑨『魔法科高校の劣等生』佐島勤、KADOKAWA⑩『県庁おもてなし課』有川浩、KADOKAWA

「うちどく実践ガイド」を改訂/トーハン

トーハンは、家庭での読書「うちどく(家読)」の推進にあたり、うちどく公式ホームページで自治体・団体の推進担当者向け実践ガイドを掲載しているが、このほど取り組み事例を追加・更新した改訂版を作成した。
実践ガイドは2008年4月から掲載。PDFファイルでダウンロードでき、主に自治体が推進する際の資料として利用されている。今回の改訂では、神奈川県湯河原町の取り組み事例を新たに掲載。既に掲載されている自治体の取り組み内容も改訂し、全21の実践内容を紹介している。
ユニークな取り組みとして、「読書通帳」という推進ツール配布(岐阜県可児市、大阪府豊能町)、「家読ポップ展』開催(青森県野辺地町、山梨県)などを取り上げている。

昨今の新規開業書店についての雑感/大阪組合副理事長・萩原浩司

4月29日、大阪組合の2階会議室で、新規出店の説明会が開催されました。
1件目は、古本市場への新刊書店併設開業の説明会でした。
古本市場は全国に94店もの新古書店を展開しています。今回、そのうちの8店に新刊書店を併設。うち1店は大阪の東住吉に出店するということで、説明会の開催となりました。
東住吉店は全部で175坪。うち25坪がゲームソフト関係のコーナー、残り150坪のうち25坪が新刊本コーナーで、125坪が新古本となります。25坪の新刊本コーナーの品揃えは、雑誌から文芸書、実用書、文庫本、コミックまで揃える、いわゆるフルラインナップでの展開になるとのことです。
私は、この出店は出版業界の存続を危うくするもの、極論で言えば崩壊させるものだと考えます。
この25坪の新刊本屋はただの新刊書店ではありません。考えてみてください。新古書店の主力商品は我々と同じコミックと文庫本です。お客様は、既刊本は新古本コーナーで、新刊は新刊本コーナーで買うでしょう。当然、お店のオペレーションでは、新刊を販売するときに「読み終わったら当店で買い取らせていただきます」となるでしょう。買い取った本は、新古本コーナーですぐに販売されることになります。
新古書店のネックは、思うように本を買い取れないこと、冊数が集まらないこと、既刊本の巻数に穴が開くことでした。これらの問題が一挙に解決できるわけです。
新古書店の得意技は、巻数をバックセットにして格安で販売することですが、今まではすでに述べた問題点が壁になり思うようにセット組みできなかったのですが、この問題が一挙に解決するだけでなく、新刊をも組み入れたセット販売も可能になるわけです。
近隣の新刊書店の売上は激減することが予想できますし、新古書店で新刊本や既刊本が回転することにより、出版社も新刊の発行部数が減少したり重版が出来なくなったりしてきます。
悪循環はさらに続き、新刊書店や出版社は廃業を余儀なくされ、ますます本の流通量が減り、やがて新古書店も取次も立ち行かなくなる可能性があります。このようにして日本の出版業界は破綻していくかもしれません。
そして、同じようなモデルをブックオフでも展開していくとのことです。
新刊書店が古本を取り扱うのと、新古書店が新刊本を取り扱うのでは、全然意味が違ってきます。これは一大事です。
2件目は、蔦屋書店梅田店です。
ここは巨大なブックカフェです。三越伊勢丹大阪店の跡に開業したルクア1100の9階に開業しました。総面積1200坪。うち本を展開するのは500坪だけです。
9階の1フロアが全部このお店になるのですが、フロア全体が陸上競技場のような配置になっていて、中央のスペースがカフェスペースで、その周りを陸上トラックのように一周が楕円形の雑誌スペースとなり、その外側が書籍スペースとカフェスペースになっています。雑誌と書籍も従来の棚配置とは全然趣きが違い、ワークゾーンやビューティゾーン、コミュニティゾーン、ライフゾーンとテーマごとの陳列となり、いわゆるコミック棚や文庫棚などは存在しません。
また、シャンプーバーやネイルサロン、旅行相談窓口や保険相談窓口、携帯電話のアクセサリー販売などもあります。店内には20名ものコンシェルジュと呼ばれる専門相談員が配備され、お客様は相談しながら本を選ぶことができます。そのコンシェルジュ以外にも大勢の書店員が本の品出しや返品、レジ業務に従事します。
問題は、巨大なカフェコーナーには、雑誌はもちろん書籍なども、買わなくても自由に持ち込めることです。飲食しながら自由に好きな雑誌や書籍を読み、読了後は返して帰ることができます。
また、お店の営業時間は朝7時から夜11時までとのことで、ルクア1100の営業時間を前後に大きく延長し、直送エレベーターを利用します。梅田にお勤めの方にとっては、早朝モーニングを食べながら雑誌や書籍を読み、夜は遅くまでお酒を飲みながら読書を楽しむことができます。
このような店舗が全国に広がっていくと、お客様にとっては大変うれしいことかもしれませんが、その潜在意識の中に「本は買わずに読むものだ」と刷り込まれていくのではないでしょうか。
これらの新規出店について、本屋の皆さんはどう感じていますか。
実際には、今までのところ、究極の文脈棚にくつろげるカフェを併設したお店は、お客様に支持され、書籍の売上もしっかり取っているそうです。ただ、近隣の中小零細書店は売上を落とし続けているとも聞いています。
私たち既存書店も柔軟な発想で新たな取り組みを考えていかなければ、お客様に見放されてしまうのではないでしょうか。
資源のない国で暮らす私たち日本人は、知識や知恵で諸外国と渡り合っていかなければならず、その一翼を私たち本屋も担っています。
どのような業界にしていかなければならないのか、もっと真剣に、一緒に考えていきませんか。

『いなくなれ、群青』に決定/2015大学読書人大賞

全国の大学文芸部員が大学生に読んでほしい本を選ぶ「2015大学読書人大賞」の公開討論会が5月10日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開催され、河野裕著『いなくなれ、群青』(新潮文庫)が大賞に決定した。
同賞は全国の大学の文芸サークルに所属する学生が参加し、投票、評論、議論によって決定する。大学文芸サークルの学生有志で組織された実行委員会が運営し、出版文化産業振興財団(JPIC)がサポートしている。
8回目の今回は、全国27の大学文芸サークルが参加。58作品に投票があり、最終候補5作品の中から、10日の公開討論会で大賞作品を決定した。
贈賞式は6月12日、大賞受賞作家の河野氏を迎え、日本出版クラブ会館で開催される。
投票の結果は以下の通り。
大賞『いなくなれ、群青』(河野裕、新潮文庫)、2位『ソロモンの偽証(1~6)』(宮部みゆき、新潮文庫)、3位『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』チャールズ・ユウ、早川書房、4位『都立桜の台高校帰宅部』(大野敏哉、リンダブックス)、5位『虚ろな十字架』(東野圭吾、光文社)

厳選した書籍情報サイト/「ほんのひきだし」を開設/日販

日販は5月18日、書籍情報サイト「ほんのひきだし」を開設した。同社がこれまで作成していた販売促進や読書推進の広報誌の中から厳選したトピックスを中心に、ウェブで手軽に読めるようにしたサイト。POS動向や顧客購買情報などの情報を整理し、店作りに役立つヒントを提供しようというもの。
書店向けに出している『日販速報』『日販通信』『MD計画書』、一般向けの『新刊展望』などの広報誌で資料を探すのは、多忙な書店員にとって困難だった。広報誌作成時と掲載時のタイムラグにより情報が古くなってしまうマイナス面もあった。今回開設したサイトでは、気軽に手持ちの端末で検索でき、タイムリーに情報を提供できるようにした。一般読者向けのコンテンツも多数掲載している。
サイト開設に伴い、スマートニュース㈱が提供するスマートフォン、タブレット向けニュース閲覧アプリ「スマートニュース」内の「読書」チャンネルと連携。読書に関する情報を総合的に提供していく。

「おとどけえほん」開始/絵本プレゼントの新サービス/トーハン

トーハンは、絵本のプレゼント需要、店頭への送客強化のため、客注専用システム「本の特急便」を活用した新たなサービス「大切な人への絵本プレゼント『おとどけえほん』」を、4月23日より全国のブックライナー加盟書店1200店でスタートした。
「おとどけえほん」は、書店店頭で対象銘柄の中から絵本を選んで申し込むと、プレゼント用にラッピングした商品を指定先に届けるもの。受注から配送までのオペレーションは、トーハンの関連会社ブックライナーが担当。客注専用システム「本の特急便」を活用し、申込から最短3日でラッピングして届ける。指定日に届けることも可能。
対象銘柄は、発行部数100万部以上の絵本を集めた小冊子「ミリオンぶっく」掲載の101点。
このサービスのコンセプトは「遠くてもだいじょうぶ」「迷ってもだいじょうぶ」「店頭だけでだいじょうぶ」。遠く離れて暮らす孫や友人、知人へのプレゼント、また町内会やこども会などのギフト需要に応える。長く読み継がれている名作絵本や人気のキャラクター絵本など定評のある作品ばかりなのでプレゼントとして最適。店頭の「おとどけえほんメニュー表」に対象年齢を掲載し、客が本を選びやすいように工夫している。インターネット環境は不要なので、パソコンが苦手でも店頭で簡単に申し込むことができる。
サービスを利用するには、商品代金と宅配手数料313円(税込、全国一律)が必要。実施期間は12月31日までを予定。

新中期経営計画を発表/「書店マージン改善」「新空間創造」柱に/日販懇話会で平林社長

日販は5月19日、東京・文京区の東京ドームホテルで同社の経営計画や施策を説明する2015年度「日販懇話会」を開き、取引書店、出版社、日販関係者など439名が出席した。
冒頭、大和ハウス工業の樋口武男会長兼CEOを講師に招き、記念講演「先の先を読む経営石橋信夫に学ぶ」を行った。
このあと2015年度経営方針発表を行い、最初に平林彰社長があいさつ。4月から書店の価値を高めることをビジョンとした17年度まで3ヵ年の新中期経営計画「Breakthrough」(ブレイクスルー)をスタートさせたことを報告した。新中経で打ち出す戦略の背景として出版物の売上減少傾向に触れ、「不採算を理由とした書店数の減少と来店客数の減少が主要因になっている」と説明。「書店経営の採算性向上に向けたマージン改善を実現する出版流通改革の完遂と、来店客を取り戻すために書店から広がる新空間の創造および個客接点の拡大が必要。それを新中期経営計画の柱に掲げた」と対策を話した。
続いて販売企画グループムックチームの阿部秀司チームリーダーが「出版流通の完遂に向けて」と題して説明を行い、これまでの流通改革の進捗と今後の流通改革完遂に向けての取り組みについて話した。進捗状況については「PARTNERS契約書店の書籍返品率は減少し、書店マージン還元率は上昇したものの、約束したゴールの書籍返品率25%、書店マージン+4%には届いていない」と報告。流通改革の完遂に向けた今後の取り組みとして、①契約書店の意思に応じて新刊申し込みに対する全タイトルの送品と追加注文について全タイトルの満数出荷を目指す「ALLSCM」の実現、②出版社ごとの返品率・売上金額に応じて書店に利益を還元する「PPI」契約出版社の商品を優先的に展開し売り伸ばすなど、更に儲かる仕組み創り、③作品を熟知した書店員が売りたい本を選んでこだわりをもって展開する「傑作宣言」など、新しい売り方の構築――の3つの戦略を紹介した。
リノベーショングループの富樫建グループリーダーは、「『書店』から広がる新空間の創造と個客接点の拡大」について説明。「日販が人と本をつないでいく」というメッセージを具体化する手段として2つの戦略を挙げた。まず、「客を書店に呼び寄せるため、スマートフォンを軸に読者が本を買うプロセスに関与し、個客との接点を作る」と述べ、5月18日に立ち上げた情報サイト「ほんのひきだし」を積極的に活用したいとした。次に、「人や街にあわせた店づくりをしていく」と述べ、自由が丘にグループ会社ダルトンの旗艦店「DULTONwithBOOK&CAFE」をオープンする予定と発表した。
なお、会場の外では、DULTONの新空間店舗をイメージしたポップアップ・ストアでコーヒーがふるまわれた。また、タブレット端末で「ほんのひきだし」が紹介されるなど、来場者の関心を集めた。終了後、懇親会が行われた。

4月期は4・3%減/文芸書、文庫が2桁の大幅減/日販調べ

日販営業推進室調べの4月期分類別売上調査は、雑誌・書籍・コミック合計で対前年売上増加率が4・3%減(先月11・1%減)となった。
雑誌は6・2%減(同10・2%減)。『コロコロコミック2015年5月号』(小学館)、『文藝春秋2015年5月号』(文藝春秋)など売上好調な銘柄もあったが、前年の売上良好銘柄には届かず、減少が続いた。
書籍は7・9%減(同8・4%減)。15年度の小学校教科書改訂実施を受けて学参が9・1%増となるなど4ジャンルがプラスになったが、売上構成比の高い文芸書(15・5%減)、文庫(10・5%減)の不振をカバーできず、マイナス幅の縮小にとどまった。
コミックは1・9%減(同14・4%減)。『ONEPIECE77』(集英社)が売上を牽引したが、前年の売上良好銘柄の影響を受け、減少が続いた。