全国書店新聞
             

平成29年4月1日号

「子どもの読書活動推進フォーラム」4月23日に

「子どもの読書活動推進フォーラム」(文部科学省、国立青少年教育振興機構主催)が、子ども読書の日の4月23日(日)午後1時、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催される。
文部科学大臣表彰(優秀実践校、図書館、団体・個人)、俳優紺野美沙子氏の特別講演「心を育てる読書」、事例発表と対談、表彰式(学校、図書館、団体・個人)が行われる。

万引情報共有システム書店から/万防機構・万引対策強化国際会議

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は3月9日、10日の両日、米国から専門家を招いて東京都江東区の東京ビッグサイトで「万引対策強化国際会議2017」を開き、全国の小売業や警察の担当者ら約450名が参加。今後の万引対策で企業、地域、行政の協力体制を強固にしていくことを確認し、被害情報や犯人情報の共有・活用システムの構築、万引した商品の転売防止対策の強化などを謳った「万引対策強化宣言」を採択した。書店業界からは日書連の舩坂良雄会長らが登壇し、万引被害の実態と対策を報告した。
〔竹花理事長「中小も参加できる仕組みに〕
会議の冒頭、万防機構の竹花豊理事長があいさつ。個々の店舗による「孤独な戦い」では対応に限界があると指摘し、「被害者相互はもちろん、警察など行政機関、地域社会などが協力して万引問題を解決する必要がある。情報を共有し、有効に対処するための具体的な方策を探り出し、我々の共通認識にして、今後の取り組みに活かしたい。『ともに』がキーワード」と、連携の強化を訴えた。
万引対策が進む米国からは防犯問題の研究者や小売大手の担当者らが講演。総括会議では、竹花理事長、菊間千乃理事がコーディネーターを務め、日米のパネリストが万引対策で意見を交わした。
9日の総括会議では、万防機構の若松修普及推進委員長が盗難情報データベースの必要性を訴え、被害情報や犯人情報を企業の枠を超えて共同利用する万引防止システムの構築を計画していると発表した。
万防機構はこのシステムを書店業界から始めるという。書店の万引被害が切迫していること、業界あげて万引対策に熱心に取り組んでいることから、実現の可能性が高いと考えた。
顔認証システムによる要注意人物情報、犯人の画像・文字情報などを書店間で共有することにより、万引防止につなげる。万防機構が、店舗と警察や消費者などを結ぶデータベース管理組織の役割を果たす。
5月末に施行される改正個人情報保護法を踏まえ、今年中の開始を目指す。
丸善ジュンク堂書店の難波克行保安管理部長は、昨年11月に万引常習犯を警察と連携して検挙した事例を紹介。「高額医学書を中心に万引を繰り返す悪質常習犯で、ネットオークションで処分していた。顔認証カメラを全店舗に導入しており、犯人は判明していた。手口が巧妙で被害が膨れ上がっていったため、竹花理事長に相談した。書籍は製品番号がないので盗品と証明することが難しいが、出版社の許可を得てマーキングして商品を特定できるようにした。万引されたら判る仕組みを作り、警察、ネットオークション運営会社、万防機構と協力して逮捕に至った」と説明した。
10日の総括会議では、三洋堂書店の加藤和裕社長が、同社が2005年から実施している万引犯に対する損害賠償請求の取り組みを説明。「万引き犯は店内でも捕捉し、被害弁済その他の対処にかかった人件費の実費を請求している」と報告し、「盗んでも損害賠償請求されない日本から、どの店でも必ず損害賠償請求される日本に変えたい」と訴えた。
日書連の舩坂会長は「万引被害は自店だけの問題ではなく、商店街や地域全体の問題」との認識を示し、自身が大盛堂書店を経営する東京・渋谷地区で書店7店、新古書店1店、警視庁、渋谷警察署、万防機構による万引対策のための地域モデルを構築。これを東京都、全国に広げていきたいと提案した。
さらに、顔認証システムの導入について「多くの書店は有効性を認め、導入を望んでいるが、中小零細書店は売上低迷のため高額なシステムの導入費や維持費を捻出できない。出版社、経済産業省などからの資金面でのバックアップを検討してほしい」と求めた。
国際会議終了後の記者会見で、竹花理事長は「万防機構は中小零細事業者の店舗作りのあり方についてもサジェスチョンできる団体になりたい。最新の科学技術によるシステムを作るだけでは不十分。顔認証システムを利用した大掛かりな仕組みに参加できなくても、万引対策を諦めないでほしい。犯人の容姿の特徴などの文字情報を共有する仕組みに参加する方法もある。中小零細書店も励ますような万引根絶のスキームを作る」と力強く語った。
【万引対策強化宣言】
「万引対策強化国際会議2017」に参加した私たちは、万引が小売業者の経営を圧迫するほどに重要な経営課題となっていること、わが国が誇る安心・安全を脅かしかねない重要な社会問題であることに思いを致し、また、アメリカにおける万引防止対策から多くを学び、小売業者、警察、防犯関係事業者、関係機関等万引問題の関係者が連携をいっそう強化するとともに、ソフト・ハード両面で、新たな発想で対処すれば現状を打破できるとの確信の下、下記の事項について全力で取り組むことを
宣言する。

1小売業者の万引対応力強化万引問題に苦しむ小売業者が、孤立せずに、多くの関係者とともに万引対策に取り組めるように、小売業関係団体・全国万引犯罪防止機構等は、小売業者との連携をこれまで以上に強め、有効な手法、機器の紹介、犯罪情報の速やかな伝達、職員の研修を提供する等して小売業者をサポートする。また、小売業者は、万引被害減少を重要な経営課題ととらえ、ロス管理の徹底と万引実態の把握、有効な防犯機器の導入等により万引きしにくい環境づくりを進める。そのため、万引対策担当の専門部署を設置するなど、社を挙げた取り組みを強化する。
2被害情報及び犯人情報の共有・活用関係小売業者、団体等が不断に情報交換を行うとともに、防犯カメラ画像の相互利用を含め、この有効、適切な利用拡大に努める。特に、顔認証システムを活用した新たな万引情報共有・活用システムを早急に構築するよう、関係団体、全国万引犯罪防止機構等が本格的な準備を開始する。これらの方策で得られた、組織的、常習的その他の重要万引事犯の万引情報については、全国万引犯罪防止機構等を活用しつつ、警察等との連携による検挙・抑止を一層推進する。
3地域別、業態別等の万引対策会議の定期的な実施 小売業者、警察、地域社会等が参加して、万引情報の交換を定期的に行うことにより、多数の関係者が力を合わせ、社会全体の万引防止の機運を高め、万引の抑止力強化につなげる。
4万引した商品の転売防止対策の強化警察を中心に、国内外の盗品処分先やルートを解明し、換金目的の万引抑止を図る。インターネットオークション、フリマアプリ、宅配便などの関係事業者の協力を得るなどしてこれらが処分ルートとして利用されない仕組みづくりを進める。
5再犯防止教育の充実等少年、初犯者等、万引犯人のうち刑事責任を負わない者や負わせることが困難な者に対する再犯防止教育を格段に充実するとともに、高齢者による万引防止の新たな取組みを早急に開始する。
6万引犯に対する民事責任の追求被害者サイドからの損害賠償請求等金員の支払いを要求する取り組みを拡充し、また、これを容易にする仕組みづくりを進める。

「出版業界をめぐる改正個人情報保護法」セミナー

日書連と日本出版インフラセンターは2月14日、東京都新宿区の日本出版会館で「出版業界をめぐる改正個人情報保護法」セミナーを開催、5月に全面施行される改正個人情報保護法の趣旨や、万引犯罪の最新事情に関する講演が行われた。同セミナーから、全国万引犯罪防止機構・竹花豊理事長の講演「犯罪防止のための書店間における情報の共同利用について」と、紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長の総括について概要を紹介する。
【万引に関わる情報の共有を/全国万引犯罪防止機構・竹花豊理事長】
今日皆さんにお話しするのは、防犯画像を含めた万引に関わる情報を共有することで、万引防止に大きな新しい力を作り出したらいかがだろうかということだ。この話に万防機構が気が付いたのは一昨年のことで、市川市のショッピングセンターが画期的な万引防止の効果を上げた。
その一つがカメラ画像の活用だ。顔認証システムという仕組みが今は非常に精度を増していて、かつて万引をしたことのある者が来店すると、それがスタッフに分かり、警戒したり場合によっては入店をお断りする。そうした措置を講じることができる仕組みを採用し、万引を激減させた。
もう少しこの動きが広がってくるかと思っていたが、進まない状況が続いている。私どもとしてはこれを万引防止に活かし、皆さんが自分の財産を守るために有用なものであれば積極的に取り入れてほしい。もちろんプライバシーの保護は大事な問題だが、そこを乗り越える方法はあるはずなので、まずやる方向で考えませんかということを申し上げたい。
こうした新しい仕組みの導入については社会から大きな疑念を持たれるし、皆さんは商売をされているので、そこに影響があってはいけないという思いが強くなるのは無理からぬことだ。この状況を打開するためには、どこかのお墨付きが必要だ。また、導入するからには誤りのない形で、国民の多くの方からそれは仕方がないことだと言ってもらえるような仕組みとして運用したいという思いがあった。そこで、今回の改正個人情報保護法で個人情報保護の監督機関として設置された個人情報保護委員会に、さまざまなお願いやアプローチを進めてきた。
私が東京都副知事に就任し、歌舞伎町に防犯カメラを設置した時に、多くのマスメディアはプライバシーの侵害だと報じた。当時ある新聞が、警察の防犯カメラ設置についてどう思うか世論調査をしたところ、9割の人が防犯カメラの設置は悪くないと答えた。その新聞はこの種の問題について厳しい新聞だったが、世論がガラッと変わった。その後、犯罪抑止や犯罪捜査における防犯カメラの役割の大きさは、皆さんご承知の通りだ。
しかし、今回の顔認証の仕組みや、防犯カメラの画像の活用は、もう少し厳しい目にさらされることになると感じている。先般、個人情報保護委員会の参事官と話をしたところ、この種の新しい仕組みをやる時には世間は疑惑の目を持っているので、信用できるものとして理解をいただく工夫をすることが非常に重要だとおっしゃった。2月下旬から、カメラ画像の活用のあり方について個人情報保護委員会が音頭を取り、しっかりとした議論を始めることを決めてもらった。この仕組みで何をしようとしているのか、何ができるのかを全てオープンにする。信頼のある仕組みとして構築していくことが大事だと考えている。
また、この問題を議論するとき、法律があるからその中で何ができるだろうというのではなく、万引を防ぐために日本の科学技術を活かして何ができるか、これはぜひとも実現したいというスタンスで法を見てみる。そういう発想の逆転が大事だと思っている。
最近10年間に生じた万引をめぐる大きな変化について。私が万防機構に本格的に取り組み始めたのは前職を辞めた3年前だが、高齢者の万引犯がとても多いことに驚いた。平成23年には、高齢者の万引犯が少年を上回っている。フランスやイタリアの新聞記者が万防機構にやって来て、「規範意識の高い日本人が、しかも高齢者がなぜ万引をするのか」と聞いてきたが、答えられない問題だ。
私は警察在職時代に、犯罪抑止を警察の大きな目標として掲げた。平成14年からこれに取り組み始め、犯罪認知件数は一挙に減ってきた。これは警察ばかりの力ではなく、多くの国民が盗難に遭わないように気を付けていることが主な要因だが、万引犯罪は依然高止まりしている。東京都では警視庁と協力して万引の全件届出を始めた。その時期は件数が多少増えて、あとは減るのではないかという期待があったが、その後の減少は他の犯罪に比べると亀の歩みだ。
万引には多くの暗数がある。万引問題を社会的な大きな課題として据え直すことが大事だと感じている。警察で認知している1年間の犯罪件数の1割が万引で、捕まった犯人の3人に1人は万引犯だ。そんな大きな問題になっているのになぜもっと社会が取り組まないのか。万引犯罪対策は個々の事業者の被害を防ぐという側面もあるが、社会を守る、社会的な貢献事業だと私どもは考えている。
盗品の新しい処分ルートとなっているのがインターネットオークションで、高額本を狙った万引が後を絶たない。ある書店の方々が私どもを訪れ、「アナーキー」と呼んでいる高額本専門の万引犯について「犯人だと分かっているが、捕まえきれずにやられっぱなしだ」と訴えた。大阪中心の犯行だったので大阪府警に行き、被害者の情報を提供する仲立ちをした。大阪府警の本部長は私の後輩でよく話を聞いてくれた。この事件のために5人の捜査員を付けたということで、大阪だけでなく愛知や東海にも行って尾行するが、現場を押さえられない。その間に盗んだ本がオークションで流れていく。そこから先は捜査情報なので私は聞いていないが、盗まれた本と、オークションで流した本との同一性が証明できれば、彼が盗んだという証拠になるわけだ。そこをひと工夫して検挙したのが、私が相談に行って3ヵ月後のことだった。
万引は、少年が手を染める初発型非行から、総花的窃盗犯罪へと変化している。今は苦労して家に忍び込んでも、そんなに大したものは置いていない。ブツを持って行けば足が付く。手っ取り早い方法の一つが万引だ。だから、窃盗犯のグループが世の中に一定の割合でいるとすると、そのうちのかなりの数が、難しい窃盗犯罪から万引へ流れてくることを考えておかないといけない。もう一つは、いま格差の問題、子どもたちの貧困が言われている。オレオレ詐欺も若い連中が多い。職を持たない若い人たちが何らかの形で生活をしようとすると目先にあるものに行ってしまうということも、万引問題の将来を見る上で考えておかなければいけない。
情報の共有をすれば、何が万引防止の役に立つか。まず、今までそれぞれの店舗が個別に万引防止対策をしていたものが、多くの店舗や、場合によっては他事業者の情報も含めて共有し分析することで、常習犯罪者や組織的犯罪のグループを割り出すことができる。先ほどの「アナーキー」の件も、一つの事業者に何度もやってきた犯人を割り出した。「彼は私の店でもやっている。彼はこのグループの人間だ」ということが分かり、この人物が来た時は警戒しなければいけないことが分かるとともに、警察に「こういう人間がやっているんですよ」という情報を提供できるのだ。こうした情報を集約することができれば警察は必ず動く。そこは日本の警察を信用していただいてよかろうと思う。単発でばかりやっていたのでは、なかなか埒があかない。
また、万引の犯人を捕まえても、「初めてやった」と答えたので帰してしまい、万引常習犯を見逃しているのが現状だ。1回捕まえた万引犯の画像を撮っていれば、顔認証の仕組みで十分検証できる。照合すれば、「初めてと言うけれど、他の店舗でもやってるじゃないか」と言える。これが万引常習者に知れ渡れば、なかなか万引はできなくなる。
皆さんにとって悩ましいのは盗品の処分先だ。インターネットオークションばかりでなく、今はメルカリというフリーマーケットアプリが普及してきている。これは本人確認がずさんで匿名性が高く、後を追及できない。それから、古書店での心無い買取が、コミック本を中心に万引を助長しているという実態が見過ごされている。これらの問題については、また新たな取り組みが必要だろう。
自衛的な手段として、万引犯に対する損害賠償請求の取り組みは、三洋堂書店が始めて効果を上げている。驚いたのは、アメリカでは州法で請求の簡易的な仕組みを作っていることだ。2年ほど前にアメリカへ行って万引対策の取り組みをいろいろ聞いたが、私どもよりも7~8年ぐらい進んでいる状況にある。その専門家を5人招き、「万引対策強化国際会議2017」を3月に開催することになった。万引対策はどうあるべきか、何をすれば万引が防げるかということを徹底して議論をする時間にしようと思う。
皆で力を合わせれば大きな流れができる。あの歌舞伎町だって大きく変わった。どこかで一つ区切りを付けて本気になって取り組む、それが万引問題を大きく変えることになると思う。私は世の中には解決できない問題はないと思っている。社会的な大きな力が生まれれば、解決が不可能だと思えるような問題でも大きく改善していく。皆さん一緒にやりませんか。
【総括/万引を防ぎ、良い社会を作ることは出版界の務め/紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長】
現在わが社の万引による平均ロス率は0・4%で、中には0・8%になっている店もある。以前、万引犯と誤認して裁判沙汰になったことがあり、慎重に対応するようにしている。万引犯だと分かったら警察に届け出るようにしているが、警察で調書に時間がかかり、うちの店長が夜遅くまでいろいろ聞かれることがある。うちは女性店長が多く、これも非常につらい話だ。
万引と思われる被害額は年間2億円くらい。万引対策として防犯カメラやガードマンの雇用で1億3千万円かかっている。双方合わせると年間3億円を超えるお金が万引関連で消えていることになる。ただ、管理職研修を行ったり、万引を防ぐ方法についてケーススタディを行うなど、皆で防止に取り組んでいるので、被害は少なくなってきている。
最後に紹介したいのは、『文藝春秋』2014年6月号に掲載された「非行少女の胸を打った本の力、書店の仕事」という記事だ。これは「名物書店店長の感動講演」ということで、うちの広島店の長谷川店長が丸亀店にいたとき、女子少年院の「丸亀少女の家」で行った講演について書いたものだ。これを読んだ方から、「私は読書が必要だと思う。犯罪を犯す人は感動をする心を失っているからだ。読書を通して疑似体験し、笑い、涙を流し心から感動すればものを盗むといった犯罪に走らないと思う。それほど本の力は大きいと私は固く信じている」という感想文が寄せられた。長谷川店長は、「中学生くらいの時の万引犯罪、これが癖になってしまう。やはりここで食い止めなきゃいけない」と書いている。店それぞれで店長や店員が努力して万引を防止し、よい社会を作っていくことが書店人の務めであり、出版界の務めであると思っている。

「春夏秋冬本屋です」/暇な時ほど忙しい/福島・高島書房代表取締役・髙島瑞雄

忙しい時は、誰がやっても忙しい。
不思議なのだが、閑散としていたレジに突然お客様が並びだすことがある。偶然なのだろうが、度々あるので心理的な必然性があるのかもしれない。そんな時に限って、お釣り銭を切らす。レジのレシートがなくなる。その上図書カードリーダーのレシートも切れる。レジ袋が切り離せない、広げられない。袋を束ごと床に落とす。セロテープを使い切る。客注台帳が見つからない。注文品が入荷しているのに探せない。プリンターのインクが切れる―等々、泣かされた経験は多々ある。その上狙ったように面倒な用件の電話がかかってきたりする。げんなりする。忙しい時に限ってそうなるような気がする。
それを見ているお客様をイライラさせてしまい、挙句の果てに、周りに八つ当たりをして、職場の雰囲気を悪くすることもあったりする。
だからこそ、暇な時に自主的に忙しくすればよいのだ。要は、段取りなのだ。時間のある時に、自分のペースで、忙しい時を思い浮かべながら、準備や整理整頓をしておく。あくまでも自分のペースで、が大事なのだ。
そして、その周到な段取りさえ出来ていれば、涼しい顔をして、その「忙しい」時を楽しく乗り切ることができる。それは、傍で見ていると、余裕とみられ、お客様に安心感を与えることだろう。
だからこそ「暇な時ほど忙しい!」

「小さな本の大きなせかい」/第59回こどもの読書週間

2017・第59回「こどもの読書週間」(読書推進運動協議会主催)が4月23日から5月12日まで、「子どもの読書の日」(4月23日)から「子どもの日」(5月5日)を間にはさんだ20日間実施される。
今年の標語は「小さな本の大きなせかい」。読進協は実施にあたり、全国の公共図書館、小中高等学校図書館、書店、出版社、報道機関などにポスター(写真上)や広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を示すマーク(写真下)を作成し、期間中またはその前後を通じて各社が発行する雑誌・新聞・広報紙誌などに使用するよう呼び掛ける。
また、都道府県の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事の実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小中高等学校の学校図書館で「子どもの読書研究会」「子ども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人による子どもの本研究会」「子どもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」などの開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「子ども読書大会」などの開催
▽出版社、新聞社、放送局、文化団体などによる被災害地域、児童養護施設、矯正施設などへの「図書・雑誌の寄贈運動」の実施

応募70万点超える/第28回読書感想画中央コンクール

本の世界で得た感動を絵で表現する「第28回読書感想画中央コンクール」(毎日新聞社、全国学校図書館協議会など主催)の表彰式が2月24日、東京・千代田区の如水会館で開かれた。
今回は、38都道府県の6955校が参加し、応募総数は70万1239点。昨年より約6万6000点、参加校数も277校増えた。応募総数が70万点を超えたのは初めて。
表彰式では文部科学大臣賞、優秀賞、優良賞、凸版印刷賞、大和証券賞、奨励賞の各受賞者に賞状と副賞を贈った。
受賞者を代表して、小学校高学年の部で文部科学大臣賞を受賞した小家真琴さん(宮城県気仙沼市立新城小6年)は「私は本を読むことと絵を描くことが大好き。これからもたくさん本を読んで、いろいろな世界を想像してみたい」と喜びを話した。

「JPICYOUTH」展開/10代若者に読書をアプローチ/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は3月10日に東京都新宿区の日本出版クラブ会館で評議員会と理事会を開き、平成28年度事業報告並びに決算見通し、平成29年度事業計画案、収支予算案などを承認した。
29年度事業では、新規事業として「JPICYOUTH」を展開する。10代を中心とした若者に向けて、「混迷の時代を生きるための知性」を提示しながら「学びと読書の意欲」を喚起するアプローチをしていくというもので、ブランディングに注力するとともに、読書や学びに関心を抱いて集まった若者のネットワーク構築や、出版業界内外との積極的な協業を図っていく。7月16日に脳科学者の茂木健一郎氏が出演する第1回セッションを東京で開催する。
「JPIC読書アドバイザー養成講座」については、カリキュラム・テキストの改訂作業を進め、平成30年度の第26期講座から適用を予定する。概ね5年ごとに改訂しており、今回は専任講師の永江朗氏に加え、植村八潮氏(専修大学教授)、佐渡島庸平氏(コルク社長)、内沼晋太郎氏(ブックコーディネーター)、遠山秀子氏(山陽堂書店、読書アドバイザー)などの指導を得ながら作業を進める。

紙と電子のコミック市場、0・4%増の4454億円/紙の市場は9・3%減出版科研調べ

出版科学研究所が発行する『出版月報』2月号は、「紙&電子コミック市場2016」を特集。これによると、昨年の紙と電子を合わせたコミック市場規模は、前年比0・4%増の4454億円。紙は同9・3%減の2963億円、電子は同27・5%増の1491億円となった。
2016年のコミック市場全体(紙+電子)の販売金額は4454億円で、前年比0・4%増加した。内訳は、紙のコミックス(単行本)が同7・4%減の1947億円、紙のコミック誌が同12・9%減の1016億円、電子コミックスが同27・1%増の1460億円、電子コミック誌が同55・0%増の31億円。
コミックス単行本とコミック誌を合わせた市場規模では、紙が同9・3%減の2963億円。15年連続のマイナスとなり、1984年以来32年ぶりに3千億円を割った。電子は同27・5%増の1491億円。紙の落ち込みと電子の高成長という対照的な結果で、紙の減少を電子が補完してトータルのコミック市場は前年比で僅かに増加した。
〔既刊の苦戦で過去最大の落ち込み/紙のコミックス〕
紙のコミック市場概況をみると、コミックスの販売金額は同7・4%減の1947億円で過去最大の落ち込みとなった。販売部数は同8・0%減の3億7021万冊。『暗殺教室』、『こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)』(ともに集英社)など『週刊少年ジャンプ』連載の人気作品、長尺作品が相次いで完結し、映像化で売上を大きく伸ばす作品もなかなか出現しなかった。電子コミックが成長を続ける中で、紙のコミックスは既刊の掘り起こしに苦戦している。映像化関連の作品点数は前年並みの約180点だったが、同じ人気作を第2期・第3期と繰り返し映像化する例も多く売上は伸び悩んでいる。
平均価格は同4円(0・8%)増の526円。返品率は同0・8ポイント増の31・1%と3年連続増加した。新刊点数は同0・2%増の1万2591点。内訳は雑誌扱いコミックスが同0・6%増の9762点、書籍扱いコミックスが同1・1%減の2829点。
ジャンル別に傾向をみると、少年向けは『暗殺教室』『こち亀』のほか『ニセコイ』『BLEACH』『トリコ』(以上集英社)と『週刊少年ジャンプ』連載作が相次いで完結し、コミックスの売行きは厳しかった。少女・女性向けも全般的に厳しい状況。テレビドラマが大ヒットした『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社)はドラマ放映期間中に重版を連発、全巻合計で百万部以上が増刷された。青年向けは『キングダム』(集英社)の好調が続いており、16年内だけでもシリーズ累計で5百万部以上が増刷された。アニメ映画も高い評価を得た『この世界の片隅に』(双葉社)は上中下巻で累計百万部を突破するなど、大きく売上を伸ばした。
コミック文庫は、販売金額が同24・0%減の24億円、販売部数は同23・9%減の336万冊と大幅なマイナスが続く。新刊点数は同36・3%減の177点。既刊の掘り起こしを主眼に置いたコミック文庫は、電子コミック市場の伸長による影響を最も受けている形態となっている。
コンビニエンスストアの占有が高い廉価軽装版の販売金額は同8・2%減の157億円、販売部数は同8・8%減の3178万冊。コンビニの店舗数は増加するも出版物の売場は冷え込み、什器を減らす店舗も多くみられ、大幅減が続く。新刊点数は同5・6%増の1312点だった。
〔金額は最盛期の3分の1以下に縮小/紙のコミック誌〕
紙のコミック誌の販売金額は前年比12・9%減の1016億円、販売部数は同14・1%減の2億9900万冊と、2年連続で2桁の大幅減を記録。販売金額はピーク時の95年(3357億円)から3分の1以下に縮小した。
16年12月末時点でのコミック誌全体の発行銘柄数は、同6点(2・5%)減の231点で、ここ数年続いていた5%以上の落込みに歯止めがかかった。
コミック誌全体の推定発行金額は同10・8%減の1695億円となり、初めて1割以上落ち込んだ。返品率は同1・4ポイント増の40・0%と大台に乗った。発行部数は同12・2%減の4億6681万冊で、刊行形態別では月刊誌が同12・2%減の1億9987万冊、週刊誌が同12・1%減の2億6694万冊。
月刊誌では、子ども向けが同16・7%減とマイナス幅が最も大きかった。「妖怪ウォッチ」効果で15年初頭には百万部を超えた『コロコロコミック』は16年末には80万部前後まで後退した。少女3誌では『カードキャプターさくら』の新連載開始号が完売した『なかよし』は、それ以外の号が振るわず年末に10万部割れ。『ガラスの仮面』50巻に収録されるエピソードの一部が小冊子付録になった『別冊花とゆめ』や、『ポーの一族』の40年ぶりの新作が掲載された『flowers』など、通常部数変動が少なく固定ファンを抱える雑誌が増刷され話題になった。
週刊誌では、少年向けが同13・3%減。『週刊少年ジャンプ』は年末に2百万部前後まで後退、『週刊少年マガジン』が百万部を割り込んだ。青年向けは同9・7%減。『キングダム』など人気作が連載中の『週刊ヤングジャンプ』は小幅な落ち込みにとどまったが、他は振るわなかった。
コミック誌全体の平均価格は同5円(1・4%)増の363円。内訳は月刊誌が同7円(1・5%)増の483円、週刊誌が同4円(1・6%)増の273円。付録をつけた号など特別定価を設けて通常定価より高く設定する雑誌も多く、平均価格の上昇が続いている。
〔過去作を掘り起こし、紙への波及も/電子コミック〕
電子コミック市場は、電子コミックスの販売金額が前年比27・1%増の1460億円、電子コミック誌が同55・0%増の31億円だった。
紙と電子を合わせたコミックスは、同4・8%増の3407億円。紙のコミックスは前年より7・4%減少する一方、電子コミックスは3割近い成長を続けているため、仮に翌年も同程度に推移すると、紙のコミックスは約1800億円、電子コミックスは約1850億円と逆転する。
紙と電子を合わせたコミック誌は同11・7%減の1047億円。電子コミック誌の規模は31億円で、紙のコミック誌(1016億円)の3%程度でしかないため、紙の落ち込みをカバーするには至っていない。
16年は紙のコミックスが過去最大のマイナスを示し、中でも既刊の落ち込みが大きかった。電子コミックでは圧倒的に過去の作品が売れており、絶版となったような作品については電子が掘り起こしに成功している。現在も刊行が続いている作品については、作品特性やジャンルごとで動きが異なり、少年向け人気作は最新刊でも電子の割合は10%に満たないものが多く紙が優勢になっている。
一方、デジタル発の作品や、紙ではあまり売れていなかった作品が電子ストア内での仕掛け販売などによりヒットし、紙の売上に波及する例が、青年向けや女性向けジャンルを中心にみられた。出版科学研究所は、「改めて紙と電子双方の役割を明確にし、電子で売れているものを紙にフィードバックするという相互連携がより一層必要とされる」と指摘している。

上野の森親子フェスタ2017/5月3日~5日、上野恩賜公園で

5月3日から5日まで開かれる「上野の森親子フェスタ2017」の出展社説明会が3月16日、東京都新宿区の日本出版会館で行われた。
同フェスタは、子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団の主催3団体のもと、小峰紀雄運営委員長(子どもの読書推進会議顧問、小峰書店社長)が統括する運営委員会を組織して開催する。
会場は東京都台東区の上野恩賜公園で、中央噴水池広場で行われる子どもブック・フェスティバルでは、児童書版元70社超が出展し絵本や児童書を読者謝恩価格で販売する。絵本作家のサイン会や、講談社協力による「全国訪問おはなし隊in上野公園」、協賛社によるデモンストレーションなども実施予定。また、東京都美術館講堂や国際こども図書館研修室で絵本・読み聞かせ関連の公演・講演会を行う。屋外来場者3万人、公演・講演会参加者1500人を見込む。
昨年開催からの課題としていた①レジ対策②天候対策③安全対策の3つについては、レジ待ち行列による混雑防止のためレジを集中して配置し、特に混雑が見込まれる初日はレジを倍の16台に増設することや、救護施設を拡充すること、荒天が予想される場合の商品管理対策の留意点などの説明があった。
説明会の冒頭であいさつした小峰委員長は「昨年つくづく思ったのは、本当に子どもたちは本が好きなんだということ。出版界にとって、良質の本を作り子どもたちに手渡すことが一番大事なことだと改めて思った。ぜひ多様な本を子どもたちに届けてほしい。楽しく明るく、良いフェアにしていただきたいと思っている」と述べた。

芥川賞は山下澄人氏『しんせかい』、直木賞は恩田陸氏『蜜蜂と遠雷』/第156回芥川賞・直木賞贈呈式

第156回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が2月23日、東京都内のホテルで開かれ、芥川賞の山下澄人氏(受賞作『しんせかい』新潮7月号)、直木賞の恩田陸氏(同『蜜蜂と遠雷』幻冬舎)に正賞の時計と副賞100万円が贈られた。
山下氏は「僕も『しんせかい』の選評を書いてきたんです」と話し始め、「面白いのかと聞かれれば『うーん』と言い、面白くなかったのかと聞かれればやっぱり『うーん』と言う。その日の虫の居所が良ければなんか面白いような気もすると答えるかもしれない。僕は芥川賞には推さない」と会場を笑わせた。
恩田氏は自分の仕事を長距離列車の運転にたとえ、「直木賞は想像以上に大きなターミナル駅で、随分遠くまで来たんだな、今まで走ってきたルートは間違いじゃなかったんだなと思った。もっと遠くへ、今まで見たことのない景色が見えるところまで走っていきたい」と決意を語った。

松田奈緒子氏『重版出来!』など受賞/小学館漫画賞贈呈式

第62回小学館漫画賞の贈賞式が3月3日、東京・千代田区の帝国ホテルで開かれ、一般向け部門の石塚真一氏『BLUEGIANT』(ビッグコミック)と松田奈緒子氏『重版出来!』(月刊!スピリッツ)、少女向け部門の椎名チカ氏『37.5℃の涙』(Cheese!)、少年向け部門のONE氏『モブサイコ100』(コミックアプリ「マンガワン」)、児童向け部門の五十嵐かおる氏『いじめ』(ちゃおデラックス)、審査委員特別賞の故・高井研一郎氏の妻に、正賞のブロンズ像と副賞の100万円が贈られた。
ジャズを題材とした作品で受賞した石塚氏は、テナーサックスでソニー・ロリンズの「セント・トーマス」を演奏しながらステージに登場。「『BLUEGIANT』の物語はまだまだ先がある。受賞を励みに頑張る」と抱負を語った。
出版業界を舞台とした作品で受賞した松田氏は、「取材協力をいただいた出版に携わる皆様、本や漫画を愛してくださる読者の皆様と一緒にもらった賞だと思っている。これからも一筋に真っ直ぐ頑張る」と決意を述べた。
小学館の相賀昌宏社長は「受賞者の受賞作品や過去の作品、最終選考に残った作品を店頭に足を運んで買っていただきたい」とあいさつし、受賞を祝った。

日販機構改訂/輸配送改革推進室を新設/出版輸送の維持・継続に取り組む

日販は3月6日、4月1日付の職制人事体制および組織改訂を発令した。
今後も出版輸送を維持・継続していくため、輸配送改革推進室を新設。業界各団体、取次他社と連携し、喫緊で重大な輸配送問題の早期解決に取り組む。
物流の再構築では、流通計画室に雑誌物流再構築PTを新設。今後、雑誌販売量の減少が続いても継続できる、雑誌物流センターのあるべき姿をプランニングする。王子流通センターには書籍送品物流再構築PTと開発品物流構築PTを新設。書店のニーズや業態・売場の変化に応えるため、JANコードに対応した物流や、各種サービスのレベルアップにつながる在庫の構築を加速する。
〈組織改訂〉
【室】
▽広報室を新設▽輸配送改革推進室を新設
【部・グループ】
▽管理部に人事総務グループを新設▽営業推進室に経営相談グループを新設▽流通計画室に雑誌物流再構築PTを設置▽王子流通センターに書籍送品物流再構築PTを設置▽秘書室秘書グループを廃止。併せて各チームを廃止▽経営戦略室コーポレート統括グループを廃止。併せて各チームを廃止▽営業推進室業態開発PTを廃止
【支店・課・チーム】
▽経営戦略室経営企画グループにグループ統括チームを新設▽管理部人事総務グループに人事課、採用・育成課を新設▽管理部人事総務グループに労務課、総務課を置く▽管理部に取引法務課を新設▽管理部にオフィスワーク改革PTを設置▽営業推進室リノベーショングループにYOURSBOOKSTOREチームを新設▽営業推進室経営相談グループに物件開発チームを新設▽営業推進室経営相談グループに書店サポートチームを置く▽マーケティング本部流通改革推進グループに雑誌損益改善PTを置く▽CVS部に流通管理課を新設▽CVS部に売場企画PTを設置▽CVS部に流通・業務改革PTを設置▽図書館営業部に営業課を新設▽図書館営業部に図書館選書センターを新設▽首都圏支社にグループ企業支店を置く▽流通計画室総務グループに設備管理チームを新設▽王子流通センターに開発品物流構築PTを設置▽王子流通センター商品管理グループに在庫センターを新設▽管理部総務課を廃止。併せて総務係を廃止▽管理部労務課を廃止▽管理部取引審査課を廃止。併せて各係を廃止▽営業推進室グループ企業支店を廃止。併せて各課・各係を廃止▽営業推進室書店サポートチームを廃止▽マーケティング本部雑誌損益改善PTを廃止▽マーケティング本部仕入・配本革新PTを廃止▽CVS部営業第三課、営業第四課を廃止。併せて各係を廃止▽図書館営業部第一課を廃止。併せて各係を廃止▽図書館営業部第二課を廃止。併せて各係を廃止▽流通計画室流通計画グループCVS流通改善PTを廃止▽王子流通センター商品管理グループ新刊センターを廃止。併せて各係を廃止▽王子流通センター商品管理グループコミック・文庫センターを廃止。併せて各係を廃止

CCC、徳間書店を子会社化/出版事業の拡大図る

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は3月21日、徳間書店の株式を取得。同日付で徳間書店を、CCCグループで出版、映像、音楽などの企画・制作事業を手掛けるカルチュア・エンタテインメント(CE)の子会社化したと発表した。
CEは徳間書店と2013年10月に資本・業務提携を結び、議決権ベースで約15%の株式を保有していたが、保有比率を9割超に高めた。
CCCは出版事業を強化しており、CEグループ傘下に雑誌「ニューズウィーク日本版」「フィガロジャポン」「ペン」を発行するCCCメディアハウス、美術関連書籍や雑誌「美術手帖」を発行する美術出版社、自動車・バイクなど趣味関連の書籍・雑誌を発行するネコ・パブリッシング、絶版になった書籍を復刊する出版社でインターネット書店の復刊ドットコムを持つ。
今回、徳間書店を子会社化したことで、同社の編集力やノウハウを活かし、出版事業をさらに拡大する。CEが手掛ける映像・音楽事業と連携した出版物の刊行を行うとともに、CEグループ出版社の間で出版事業の効率化・共同化を図り、ウェブ、デジタルパブリッシング、BtoB、データベースマーケティングなどの収益拡大に各社が協業で取り組む。
徳間書店は3月21日付でクロスメディア局を新設し、体制を整備。本年度以降はメディアミックス戦略のため映像コンテンツビジネスを強化し、ライツ事業を積極的に推進する。

「週刊鉄腕アトムを作ろう」創刊/AIロボット組み立てる分冊百科/講談社

講談社、手塚プロダクション、NTTドコモ、富士ソフト、VAIOは2月22日、5社共同で「ATOMプロジェクト」を発足。第1弾として「鉄腕アトム」をモデルとしたコミュニケーション・ロボット「ATOM」をユーザーが組み立てるパートワーク「週刊鉄腕アトムを作ろう!」を、講談社創業110周年記念企画として4月4日に創刊すると発表した。
「ATOM」は身長約44㎝、重量約1・4㎏。会話と動きで人とコミュニケーションを行い、2足歩行ができる。頭部のカメラで家族を見分け、お年寄りには丁寧に、子どもにはフレンドリーに話す。胸部のディスプレイで絵本の読み聞かせや「鉄腕アトム」傑作選を楽しむこともできる。
ロボット本体のOSとAIは富士ソフトが設計開発し、クラウド上で成長する会話力はNTTドコモと講談社が共同開発する。
全70巻構成のパートワークは18年9月11日まで発売。創刊号830円、通常号1843円、高価格号2306円~9250円。全70巻を集めると18万4474円でロボットが完成する。VAIOによる組み立て代行サービスは21万2900円(いずれも税別)。
同日の発表会で、講談社の野間省伸社長は「ロボットという新しいエンターテインメントデバイスの可能性を開拓し、一家に一台のコミュニケーションロボットを普及させていくことを目指している」と語った。

新連載

4月15日号から新連載「道を拓いてくれた人」が始まります。書店クリニック・出版コンサルタントの能勢仁氏(ノセ事務所代表)が、様々な書店を見てきた経験から、「書店を経営するとはどういうことか」について、書店界の個性的な先人たちのエピソードを交えながら考えます。ご期待ください。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

遠くに行かなくても、身近に小さな旅がある。
福嶋司著『カラー版東京の森を歩く』(講談社現代新書、980円)は、今なお息づく東京の森を紹介する。
浜離宮は江戸初期に芝と呼ばれ、将軍家の鷹狩り場だった。タブノキが生い茂り、家宣による樹齢300年のクロマツが現存する。清澄庭園の森は関東大震災で2万人の人を救った。また明治神宮は約100年前に造成された人工林である。
武蔵野台地を経て、高尾山、青梅辺りから地質が異なり、山地になる。奥多摩の三頭山には二種のブナの自然林があり、散策路が連なっている。東京は自然の宝庫だ。
岡本亮輔著『江戸東京の聖地を歩く』(ちくま新書、940円)は、多種多様な聖地が累積する東京を渉猟する。
たとえば江戸の富士信仰。下谷坂本の小野照崎神社の富士塚、目黒の近藤富士、南千住の素盞雄神社、亀戸浅間神社など富士山は、江戸庶民からいつも崇められていた。
塔と聖地、では浅草寺や旧寛永寺五重塔、谷中五重塔跡、ニコライ堂が出てくる。高さのある建築や場所はそれぞれ意味を持っている。スカイツリーは隅田川の、川向こうと言われる。これは下町間の意識の違いだ。
小さな旅だが、その地の背景には歴史や物語、人々の記憶や伝承の魅力が詰めこまれている。

日販実用書ブックフェスタ2017/第4回ブックフェスタ大賞は『世界一やさしい!栄養素図鑑』

日販は3月2日、横浜市港北区の新横浜プリンスホテルで「日販実用書ブックフェスタサミット2017」を開催し、書店、協賛出版社、日販関係者ら計150名が参加した。
展示商談会の会場では、協賛出版社29社が展示スペースを設置。各協賛出版社が勧めるイチオシの1冊に対して参加書店が最も売りたい本を投票して決める「第4回実用書ブックフェスタ大賞」のエントリー商品を展示し、大賞に『世界一やさしい!栄養素図鑑』(新星出版社)、準大賞に『白崎茶会のあたらしいおやつ』(マガジンハウス)と『藤井恵さんの体にいいごはん献立』(学研プラス)が選ばれた。参加書店は3月から拡販に取り組んでいる。また、出版社横断型非再販本フェア「いま、買っ得ッ!!フェア」の商品を展示し、実用書増売のための様々な取り組みを紹介した。
展示商談会後に行われた懇親会では、日販から16年度の取組報告があった。各出版社が年間を通して提案する季節ごとの銘柄について書店が注文する施策「シーズン・ブック・チョイス」は130書店が参加し、送品冊数19万6000冊、送品金額2億3000万円、前年比11%増と好調。売上冊数1位の書店は紀伊國屋書店新宿本店、売上冊数1位の銘柄は『「朝つめるだけ」で簡単!作りおきのラクうま弁当350』(ナツメ社)だった。
協賛出版社を代表して新星出版社・冨永裕之専務は「実用書は書籍の中で14%を超えるシェアを持ち、テレビなどで話題となってブレイクする可能性の高いジャンル。協賛出版社29社を応援していただきたい」とあいさつした。
参加書店を代表して紀伊國屋書店の高井昌史会長兼社長は「ネットではなく書店で買いたくなる売場の雰囲気を作り、世界的なベストセラーが出ることを願っている」と述べた。
最後に日販の平林彰社長が「参加書店の皆様には29社の実用書を他の書店よりもたくさん売っていただきたい」と述べ、閉会した。
協賛出版社は以下の通り。家の光協会、池田書店、NHK出版、大泉書店、学研プラス、金園社、廣済堂出版、三恵書房、主婦と生活社、主婦の友社、新星出版社、実業之日本社、つちや書店、西東社、成美堂出版、誠文堂新光社、世界文化社、創元社、髙橋書店、淡交社、東京書籍、ナツメ社、日東書院本社、日本ヴォーグ社、日本文芸社、農山漁村文化協会、文化出版局、マガジンハウス、山と溪谷社