全国書店新聞
             

令和5年9月1日号

2022年紙の出版販売額6・5%減少/紙と電子の合算は4年ぶり前年割れ/『出版指標年報』

全国出版協会・出版科学研究所が発行した『出版指標年報2023年版』によると、2022年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比6・5%減の1兆1292億円となった。内訳は、書籍が同4・5%減の6497億円、雑誌が同9・1%減の4795億円。2桁成長を続けていた電子出版は同7・5%増の5013億円と1桁の伸長にとどまり、紙と電子を合算した販売金額は同2・6%減の1兆6305億円と、4年ぶりの前年割れになった。
〔巣ごもり終息でマイナスに転換/書籍〕
書籍の推定販売金額は6497億円、前年比4・5%減。21年はコロナ禍の巣ごもり需要が続く中、文芸書、児童書、学参などが好調で15年ぶりにプラスになったが、需要終息で再びマイナスに転じた。また、ロシアのウクライナ侵攻により原油価格の高騰や急激な円安が起き、様々な商品の価格が上昇。家計防衛意識が高まり、出版物の購入に影を落とした。年間ベストセラーを見ると、シニア向けの生き方本、マネー関連書が上位に入るなど読者の年齢層や経済的不安を反映した売れ筋となった。部数規模は年々縮小しており、22年は年間でミリオンに成長する作品はなかった。
新刊点数は同3・1%(2167点)減の6万6885点。09年の7万8555点をピークに、上下の変動はあるが長期的には減少傾向にある。内訳は、取次仕入窓口経由が同0・5%(214点)減の4万7180点、注文扱いが同9・0%(1953点)減の1万9705点。新刊推定発行部数は、同3・2%減の2億6952万冊。販売の効率化だけでなく、電子書籍やオーディオブックなど売り方が多様化していることも背景に、初版を絞る傾向が続いている。
平均価格は新刊が同2・2%(27円)増の1268円、出回りが同1・5%(18円)増の1256円。21年も大きく値上がりしていたが、用紙代や燃料費などが高騰し、さらに価格上昇が進んだ。廉価な文庫本でも同2・0%(15円)増の747円となり、ここ5年で70円以上も上昇している。金額返品率は32・6%で同0・1ポイント増。15年以降7年連続で改善していたが、22年は横ばいで終わった。
22年の単行本総合ベスト10は次の通り。①80歳の壁/和田秀樹/幻冬舎②同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬/早川書房③人は話し方が9割/永松茂久/すばる舎④メシアの法/大川隆法/幸福の科学出版⑤ジェイソン流お金の増やし方/厚切りジェイソン/ぴあ⑥70歳が老化の分かれ道/和田秀樹/詩想社⑦20代で得た知見/F/KADOKAWA⑧本当の自由を手に入れるお金の大学/両@リベ大学長/朝日新聞出版⑨聖域/コムドットやまと/KADOKAWA⑩私が見た未来完全版/たつき諒/飛鳥新社
〔推定発行部数は過去最大の減少/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は4795億円、同9・1%減。内訳は月刊誌が同9・7%減の4017億円、週刊誌が同5・7%減の778億円。月刊誌の内訳は、定期誌が同2・8%減、ムックが同3・4%減、コミックス(単行本)が同19・4%減だった。定期誌は、月刊から隔月刊や季刊への刊行サイクル変更が目立った。売れ筋企画は、相続や医薬品、食品、終活などシニア向けがほとんどで、ブランドグッズ付録もかつての勢いはなくなった。
コミックスは、20年から21年にかけてメガヒット作が相次いで登場した反動で大幅減に。しかし22年も『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』(ともに集英社)など大ヒット作品が生まれ、コロナ前の19年比では1・3%増となっている。
金額返品率は前年と同率の41・2%だった。内訳は、月刊誌が同0・1ポイント増の40・6%、週刊誌が同0・7ポイント減の43・9%。推定発行部数は同12・3%減の13億136万冊。内訳は月刊誌が同13・6%減の9億6072万冊、週刊誌が同8・5%減の3億4064万冊。22年はこれまでになく送品が抑制され、マイナス幅は過去最大になった。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同3・6%(106点)減の2847点、ムックは同5・3%(319点)減の5729点。創復刊点数は同6点増の39点。月刊誌の創刊が1点もなかったのは初めて。休刊点数は同5点増の95点。唯一の歌舞伎専門誌『演劇界』(発行/演劇出版社、発売/小学館)、週刊誌『NHKウィークリーステラ』(NHKサービスセンター)、1970年代創刊の『ボクシング・マガジン』(ベースボール・マガジン社)などが休刊した。
〔コミック成長鈍化で伸長幅縮小/電子出版〕
電子出版の市場規模は5013億円で、同7・5%増。14年の統計開始以来2桁成長を続けてきたが、初めて1桁台となった。内訳は、電子コミックが同8・9%増の4479億円、電子書籍が同0・7%減の446億円、電子雑誌が同11・1%減の88億円。電子出版における占有率はコミックが89・3%、書籍が8・9%、雑誌が1・8%。電子コミックは引き続き市場を牽引しているが、ユーザーの伸びが鈍化。電子書籍は、調査開始以来初めてマイナスになった。

読書週間標語「私のペースで しおりは進む」

読書推進運動協議会(野間省伸会長)の主催により文化の日を挟んで10月27日から11月9日まで実施される第77回読書週間の標語が「私のペースでしおりは進む」に決まった。野間読書推進賞、全国優良読書グループ表彰などの行事が行われる。

街の本屋活字文化守る主体に/青天目敦理事長を再任/茨城総会

茨城県書店商業組合は6月27日、水戸市の茨城県教科書販売会議室で第37回通常総会を開催し、組合員70名(委任状含む)が出席。青天目敦理事長(ヤマサン)を再任した。
総会の司会進行は塚越通裕理事が務め、河原崎美津江理事による開会の辞に続き、青天目理事長があいさつ。「コロナ禍による行動制限が大幅に緩和され、経済活動の回復が顕著になっている。書店組合も一致団結して業況の回復に努めたい。業界を取り巻く環境の変化を把握し、組合員間の情報共有に努めるとともに、各書店での販促強化やお客様とのコミュニケーションの円滑化に寄与できるよう努力する」と述べ、「街の本屋が活字文化を守る中心主体になるよう臨んでほしい。書店と図書館が共存共栄の関係を構築し、本の文化を大切にしていきたい」と訴えた。
なお、これらの具体策として、茨城組合では大型書店の視察、茨城県版書店新聞「木葉下通信」の発行、キャッシュレス化の現状把握とアンケートの実施、茨城県立図書館の読書フェスティバルへの参加などを実施してきている。
続いて田所和雄副理事長を議長に議事を進行。令和4年度事業報告、収支決算報告書、監査報告、令和5年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り可決した。
任期満了に伴う役員改選では、池田和雄委員長ほか3名の選考委員が理事13名、監事2名、相談役1名を選出。その後の理事会で青天目理事長を再任した。
[茨城組合役員体制]
▽理事長=青天目敦(ヤマサン)
▽副理事長=川又英宏(茨城県教科書販売)田所和雄(忠愛堂田所書店)飯田浩一郎(博英堂書店)

児童書展示会や読書感想文コンクールなど拡販につなげる/岐阜総会

岐阜県書店商業組合は6月23日、岐阜市の岐阜キャッスルインで第40回通常総会を開催し、理事7名、監事1名、組合員22名(委任状、書面議決書含む)が出席した。通常開催は4年ぶり。
総会では、池田英作副理事長の開会の辞に続き、木野村匡理事長があいさつ。「コロナ禍、ウクライナ侵攻から続く世界的なインフレ、円安、エネルギー価格の高騰、チャットGPTなど急加速するデジタル化の中、好調感のあった書籍部門の販売数が鈍化し、コミックのヒット作にも恵まれなかった」と書店業界の動向を説明し、「少子化問題も抱えるが、児童書の展示会や読書感想文コンクールを通して文化・教養の発信元として地域と交流し、学校及び公立図書館との関係性を深め、拡販につなげていきたい」と述べた。
続いて議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決した。
総会終了後、出版社など14名が参加し、各社の紹介と懇親会を行った。
(事務局・大橋麻紀子)

「春夏秋冬本屋です」/「芥川賞・直木賞に思う」/京都・宮脇書店亀岡店代表取締役・服部義彌

当店は開業してから27年ほど。本屋としては歴が浅く、まったくの素人から始めた1代目です。親から引き継いだのでもありませんから、この業界の歴史的なことは存じあげないことのほうが多いと思います。
そんな中でずっと疑問に思っていることがあって、何人かの方にも聞いてみたのですが、あまり納得のいく答にたどり着けていないことがあります。それは芥川賞・直木賞の受賞作品の販売の仕方です。
どの作品をどのような基準で選ぶのかはお歴々の先生方が選考されているので間違いはないと思います。疑問に思うのは、賞の発表がされた時、まだ本になっていなかったり、出版社に在庫が僅少だったりが多いことです。これでは店頭に並べることができません。
今の世の中、1週間もすれば忘れ去られてしまいます。注文して入荷を待ってまで楽しみにして読んでくださるお客様はごく少ないです。なぜ大人の事情を使ってでも準備してから発表しないのでしょう。さらに、やっと本が店頭に並ぶ頃、受賞作品を全文掲載した月刊「文藝春秋」を発売する。本を所有することに価値を見出してくださるお客様はごく少ないですから、これでは本が売れなくなってしまいます。
本の発売が間に合わないなら、せめて受賞作品の発表と同時に「文藝春秋」全文掲載号を発売して店頭を賑わすような工夫はできないものかと思うのですが、いかがでしょうか。そのほうが作家もうれしいと思うのですが。

鳥取組合総会/新理事長に林一郎氏/県との関係強化進める

鳥取県書店商業組合は6月24日、琴浦町生涯学習センター(まなびタウンとうはく)で第35回通常総会を開き、組合員12名(委任状含む)が出席。新理事長に林一郎氏(鳥取今井書店)を選任した。
冒頭あいさつした古泉淳夫理事長(鳥取今井書店)は「2022年度はコロナ禍の影響も緩やかになり、通常の経済活動が再開されるようになった。一方で書店業界は輸送問題や最低賃金の上昇などで経営環境の悪化が続いている。さらに組合員数の減少が喫緊の課題になっている」と指摘。「鳥取県では書店組合と図書館協会、教育委員会の連携が良好に推移しているが、全国的に稀有な例といっても過言ではない。共催事業として『鳥取県図書館大会』『ブックインとっとり』『エピソード大賞』や『青少年育成支援事業』『ポップコンテスト』『有害図書類審査会』『鳥取県青少年問題協議会』などにも関わっている」と書店組合の活動を披露した。最後に「本年度は役員改選期。新役員の皆様も県との関係性をより強固なものにしていく上で、連携事業などについて積極的な取り組みを継続してほしい」と求めた。
古泉理事長を議長に審議入りし、令和4年度事業報告、収支決算報告、令和5年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
任期満了に伴う役員改選では理事8名を選出。その後、理事会を開き、新理事長に林氏を選任し、副理事長に杉嶋運一(杉島書店)、下山雄士(下山書店)の両氏を再任した。
総会終了後、組合員研修として県中小企業団体中央会の支援で、地元の税理士による「電子帳簿保存法について」の解説を聞いた。
[鳥取組合役員体制]
▽理事長=林一郎(鳥取今井書店)
▽副理事長=杉嶋運一(杉島書店)下山雄士(下山書店)
(津田千鶴佳広報委員)

日書連のうごき

 7月5日 JPO運営幹事会に事務局(Web)が出席。
 7月6日 学校図書館賞贈賞式に事務局が出席。
 7月13日 鈴木副会長との意見交換に矢幡会長が出席。
 7月14日 子どもの読書推進会議に春井副会長が出席。
 7月19日 出版倫理協議会に平井副会長が出席。全国書店再生支援財団理事会・評議員会に平井副会長、髙島理事が出席。
 7月20日 JPO運営委員会に事務局(Web)が出席。読書推進運動協議会(読進協)事業委員会に事務局が出席。
 7月21日 出版平和堂委員会、平和堂維持会に事務局が出席。
 7月22日 総務・財務ワーキンググループに矢幡会長、春井、深田両副会長、戸和理事が出席。
 7月25日 読進協常務理事会に矢幡会長が出席。書店議連打合せに矢幡会長、春井副会長が出席。
 7月26日 文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。
 7月27日 公正取引委員会事務総局及び消費者庁幹部による講演会に矢幡会長、柴﨑、平井両副会長が出席。

支部制度の見直し検討へ/縮小続く組織規模に対応/京都組合総会

京都府書店商業組合は5月30日、京都市中京区の京都ホテルオークラで第39回通常総会を開催し、組合員67名(委任状含む)が出席した。
総会は中村佳正氏(桂書房)の司会で進行。冒頭あいさつで犬石吉洋理事長(犬石書店)は「3年間翻弄されたコロナという言葉が巷から消えかけている。『街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟』(書店議連)による提言も間もなく出る。皆さんは耐え忍んでいただけでなく、先を見据えて耐えていたはず。現状維持だけではなく、勇気をもって新しい一歩を踏み出していこう」と呼びかけた。
続いて議長に川勝こづえ氏(川勝鴻宝堂書店)、副議長に村田清氏(村田舞鶴堂書店)を選出して議事を進行。事業報告、会計報告、監査報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認した。
各種事業については次の通り報告があった。
▽組織情報委員会=令和5年3月末現在の組合員数は前年度より1店減の111店だった▽図書館納本事業委員会=図書館ごとに違った装備作業の均一化が進み、作業効率が向上した▽広報委員会=京都組合の広報誌「組合だより」を年2回、理事会報を作成して組合員にファックスで送信した▽厚生委員会=3年ぶりに新春を祝う会と慰安旅行を開催した▽事業活性化委員会=京都市消防局と「羽州ぼろ鳶組」シリーズ作者の今村翔吾氏がコラボした火の用心啓発活動の一環としてブックカバーを作成した。第10回京都本大賞と第9回京都ガイド本大賞の発表を行った。また、組織情報委員会から、組合員の減少に歯止めがかからない現状を踏まえ、支部制度の見直しを計画する事業計画案が出された。
引き続き会場では、洞本昌哉副理事長(ふたば書房)、三宅久嗣監事(久栄堂書店)、若林久嗣理事(若林書店)の10年表彰が行われた。
このあと、出席者による懇親会が開催され、すべての予定を終了した。
(若林久嗣広報委員)

総会に向け決算、収支予算案など審議/神奈川組合理事会

神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)は7月24日、横浜市中区のかながわ労働プラザで定例理事会を開催した。
議事では、山本裕一副理事長が令和4年度決算について貸借対照表・損益計算書・剰余金処分案と、令和5年度収支予算案を読み上げ、いずれも承認。組合員3店舗の脱退、2店舗の賦課金等級引き下げを承認した。また商工中金の民営化で株が公開されることに伴い、これを有効活用する方向で検討することとした。
通常総会は8月25日、かながわ労働プラザで開催することを決めた。今年も総会後の懇親会は行わない。
(山本雅之広報委員)

子どもの読書コロナ禍3年で変化/大阪読書推進会総会

大阪読書推進会は6月21日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社アサコムホールで総会を開催。共催社の朝日新聞大阪本社、大阪出版協会、在阪取次、書店合わせて19名が出席した。
総会は堀博明実行副委員長(大阪組合副理事長、堀廣旭堂)の司会で進行し、戸和繁晴実行委員長(大阪組合副理事長、トーワブックス)が開会あいさつ。
宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長)は「コロナが落ち着き、段階的に日常生活が戻ってきている。3年のコロナ禍で仕事のやり方や会議の持ち方が変わった。子どもたちが家で過ごす時間が長かったので、読書の意義も見直された気がする。今年の帯コンでは子どもたちの読書のあり方の変化が何らかの形で現れるのかに注目したい」とあいさつした。
朝日新聞大阪本社の北澤卓也総局長、大阪出版協会の矢部敬一理事長(創元社)があいさつした後、出席者全員が自己紹介した。
続いて事業報告、事業計画、会計報告、収支予算案を虎谷健司実行副委員長(虎谷誠々堂書店)が発表し、承認された。
最後に日本書籍出版協会の岡本功大阪支部長(ひかりのくに)が閉会の辞を述べ、終了した。
(石尾義彦事務局長)

事業再構築補助金の概要を説明/大阪組合理事会

大阪府書店商業組合(深田健治理事長)は7月8日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
深田理事長は、中小企業庁が公募する事業再構築補助金で産業構造転換枠の指定業種に「出版業及び書籍・雑誌小売業」が指定されたとして、補助金の概要と事業計画案策定のポイントを説明した。
(石尾義彦事務局長)

5月期は前年比7・1%減/文芸書、実用書は2ヵ月連続前年超え/日販調査店頭売上

日本出版販売(日販)調べの5月期店頭売上は前年比7・1%減だった。雑誌は同3・7%減、書籍は同5・7%減、コミックは同11・9%減、開発品は同15・3%減と全ジャンルで前年割れとなった。
書籍の中で文芸書、実用書は2ヵ月連続で前年超えとなった。一方、雑誌、コミックはともに前年好調だった商品の影響があり、前年割れとなった。特にコミックは前年アニメ化した「SPY×FAMILY」(集英社)などの影響を大きく受けた。

童心社寄席に兵庫組合・森理事長出演へ

笑喜転一頁師匠こと神戸市須磨区の井戸書店・森忠延社長(兵庫県書店商業組合理事長)の落語をメインとする恒例の童心社寄席が9月13日午後7時、東京都文京区の童心社本社紙芝居ホールで開かれる。木戸銭無料。
一頁師匠の「困った時の神頼み」をはじめ、落語は3席。また、童心社・田中正美前社長がギターの椎野みちこさんと紙芝居&ギターの協演「あひるのおうさま」を披露する。
申し込みは横井真木雄氏まで。電子メール=mishima.tigers1951@gmail.com

壁新聞と保護者向け冊子中学約1万校などに配布/万引防止機構

全国万引犯罪防止機構は6月下旬~7月12日、令和5年度「全国中学1年生向け万引防止対策啓発事業」として、壁新聞と保護者向け冊子「中1の保護者さまへ」を全国の中学校約1万校や教育委員会・私学協会、警察本部・警察署などに配布した。夏休み前に配布してほしいとの要望に応えた。
壁新聞は11年目で、3万部制作。昨年は東京、埼玉、千葉、岩手の4府県で万引対策協議会と連名化し、地域連携の強化を図った。今年は北海道、秋田、富山、石川、兵庫、鳥取、広島、福岡を加え、12道府県に拡大した。
保護者向け冊子は5年目で、119万冊制作。今回は新企画として外国語4ヵ国のダイジェスト版をホームページに掲載した。
同機構の光眞章事務局長は「万引はゲイトウェイ犯罪と言われて久しいが、軽い気持ちで犯罪に手を染めては、家庭や身近な人を悲しませることになってしまう。規範意識をしっかり身につけていただきたい」とコメントしている。

6月期販売額は8・1%減/ビジネス書でヒット作相次ぐ/出版科研調べ

出版科学研究所調べの6月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比8・1%減だった。内訳は、書籍が同4・7%減、雑誌が同11・7%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同11・1%減、週刊誌が同15・0%減。
返品率は書籍が同0・9ポイント増の41・5%、雑誌は同1・7ポイント増の42・8%。雑誌の内訳は、月刊誌が同1・4ポイント増の41・6%、週刊誌が同3・3ポイント増の48・4%となった。
23年4~6月期の四半期では、推定販売金額(本体価格)は前年同期比9・8%減の2335億円。内訳は、書籍が同9・0%減の1270億円、雑誌が同10・8%減の1065億円。雑誌の内訳は、月刊誌が同11・3%減の890億円、週刊誌が同8・1%減の175億円。返品率は、書籍が同2・2ポイント増の38・0%、雑誌は同1・6ポイント増の43・6%。雑誌の内訳は、月刊誌が同1・4ポイント増の42・9%、週刊誌が同5・3ポイント増の46・9%。23年1月期から3月期までの四半期と比べても、すべてのジャンルで悪化している。
6月期の書店店頭の売行きは、書籍が約5%減。文芸は約5%減、文庫は約4%減で、佐伯泰英『猪牙の娘柳橋の桜(1)』(文春文庫)などが好調だった。ビジネス書は約5%減だが、ダイヤモンド社刊行のヒット作が相次いで登場した。4月発売の安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』は、全国の書店で完売店が続出し、2ヵ月弱で20万部を突破。5月発売の安藤広大『とにかく仕組み化』は、『リーダーの仮面』『数値化の鬼』に続くシリーズ第3弾の完結編で、シリーズ累計90万部を突破した。
雑誌は、定期誌が約8%減、ムックが約5%減、雑誌扱いコミックスが約18%減。コミックスは、前年同期の大ヒット作『東京卍リベンジャーズ』(講談社)、『SPY×FAMILY』(集英社)などの反動が影響し大幅減が続く。

社史『小学館の一〇〇年』刊行/小学館

小学館は、昨年8月8日に創立100周年を迎えたことを記念して、社史『小学館の一〇〇年1922~2022』を刊行した。
2004年に創立80周年を記念して刊行した『小学館の80年1922~2002』を底本に、その後の20年の出来事をまとめ、年表、新たなカラーグラフを加えた。「熱意と波瀾の草創期」、「疾風怒濤の成長期」、「進取果敢の変革期」の3部からなる本編は、創業者・相賀武夫氏と2代社長・ナヲ氏、3代社長・徹夫氏、4代社長・昌宏氏と現社長・信宏氏の時代に区切って小学館の発展をたどる。
資料として小学館児童出版文化賞など各賞受賞者と作品、文化事業・社会貢献、関係会社・団体、「小学館の一〇〇年年表」などが付く。また特別復刻付録として、1925年刊行の『セウガク一年生』創刊号を同梱する。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

長年高齢者医療にかかわってきた医師が語る、長生きのコツ。和田秀樹著『頭がいい人、悪い人の健康法』(PHP新書900円)である。
病院で出された数値に一喜一憂しがちだが、健康というのは、検査データを正常にすることではなく、元気に生きられることだという。著者も血糖値が高い時があったが短期的なら喉が渇くくらい、むしろ怖いのは低血糖、意識障害や痙攣を起こすからである。高齢者医療の追跡調査では、糖尿病の人の方が圧倒的にボケにくい利点もある。また塩分は健康の敵と思いがちだが、減塩で血圧が大きく下がることはなく、塩分摂取量が減って平均寿命が伸びるというデータもないのである。
頭のいい人はこのような引き算でなく、足し算健康法を、また想定外の事態に対処するにも感情より、常に確率で考える。新しいデータやエビデンスで定説が覆っても治療法を改めない医師や栄養学の知識のない医師にも著者は困惑している。森勇麿著『その選択が健康寿命を決める』(990円マイナビ新書)も、健康寿命とは楽しく生きる時間のことだと語る。健康寿命を伸ばすには運動と食事が大事だが自分を甘やかしすぎず、追い込み過ぎず、できることからと提案する。

読進協「敬老の日読書のすすめ」推薦図書24点

読書推進運動協議会(読進協、野間省伸会長)は2023年「敬老の日読書のすすめ」のリーフレットを作成した。各道府県の読進協から寄せられた「敬老の日におすすめする本」の推薦書目をもとに読進協事業委員会で選定したもの。リーフレットは各道府県の読進協、全国の公共図書館、書店などに送付している。推薦図書は以下の24点。
▽『102歳、一人暮らし。』石井哲代/中国新聞社、文藝春秋▽『老いの玉手箱』樋口恵子、中央公論新社▽『人生百年時代の歩き方』五木寛之、NHK出版▽『老いの品格』和田秀樹、PHP研究所▽『87歳ビジネスマン。いまが一番働き盛り』郡山史郎、青春出版社▽『老年の読書』前田速夫、新潮社▽『老害の人』内館牧子、講談社▽『よき時を思う』宮本輝、集英社▽『個独という生き方』下重暁子、東京新聞▽『ものがわかるということ』養老孟司、祥伝社▽『たりる生活』群ようこ、朝日新聞出版▽『奉還町ラプソディ』村中李衣(作)/石川えりこ(絵)、BL出版▽『英国女王が伝授する70歳からの品格』多賀幹子、KADOKAWA▽『NHKカールさんとティーナさんの古民家村だより』NHK「カールさんとティーナさんの古民家村だより」取材班/カール・ベンクス/クリスティーナ・ベンクス、主婦と生活社▽『梅おばあちゃんの贈りもの』乗松祥子(著)/内田也哉子(ゲスト)、誠文堂新光社▽『落語に学ぶ老いのヒント』稲田和浩、平凡社▽『親不孝介護距離を取るからうまくいく』山中浩之/川内潤、日経BP▽『老いも死も自然がいいね』江森けさ子、農山漁村文化協会▽『瓢箪から人生』夏井いつき、小学館▽『牧野富太郎植物語り』清水洋美、世界文化社▽『昭和芸能界史昭和32年~昭和40年篇』塩澤幸登、河出書房新社▽『J00地球の歩き方日本2023~2024』地球の歩き方編集室(編)、Gakken▽『街角さりげないもの事典』ローマン・マーズ/カート・コールステッド/小坂恵理(訳)、光文社▽『運動脳』アンデシュ・ハンセン/御舩由美子(訳)、サンマーク出版

書店向け新発注プラットフォーム/日販、「NOCS0」のサービス開始/書店の運営コスト負荷を軽減

日本出版販売(日販)は、書店向け新発注プラットフォーム「NOCS0(ノックスゼロ)」の提供を9月から開始した。
書店を取り巻く環境は厳しさを増しており、マーケットの縮小に加えて各種運営コストの上昇が書店経営をひっ迫させている。「NOCS0」はこうした現状に対し、書店の運営コストの負荷を軽減することを目的に提供を始めたもの。
「NOCS0」は、〝誰でも・どこでも・無料で〟利用できることが特長。誰でも簡単に操作できるシンプルで直感的な使用感に加え、タブレットやスマートフォンにも対応し売場や商談先で即座に発注可能で、月額利用料は無料となっている。
9月時点では、特にユーザーニーズの大きい商品検索・発注機能のみ搭載した形でサービスを開始する(「「NOCS7」も並行して継続利用可能)。以降、ユーザーの声を聞きながら、機能改善と拡張を図っていく。