全国書店新聞
             

平成27年3月15日号

書店くじ立替金振り込みました

昨年秋実施した「2014読書週間書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等1万円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認いただくようお願いします。書店くじ係

「図書カードNEXT」日書連理事会で説明会

日書連は2月19日の定例理事会で、日本図書普及の平井茂常務取締役を招き、来年6月の発行開始へ向け準備が進めてられている次世代図書カード「図書カードNEXT」の説明会を開催した。平井氏は、図書カードを切り替える経緯や新システムの特徴などを説明、講演終了後に質疑応答を行った。概要を紹介する。
新しい図書カード「図書カードNEXT」は来年6月頃に発行予定で、今年5月から新しい読取り機をお手元の機械と交換していく。それが全て終了すると、新カードを発行すると同時に、磁気カードの発行を停止する。
現行の機械は3代目にあたるが、登場から10年近くが経過し次の機械をメーカーに発注したところ、今はICカードが全盛の時代となり、磁気カードはラインを撤収したという話が来た。そこで、長い間安定して提供できる次の媒体を検討した結果、カードに記載されたQRコードを読み取り、インターネット経由で情報を管理する「サーバー管理型」のシステムを採用することを決めた。
新カードには有効期限を設定する。お客様は約10年とし、書店の在庫等も勘案してトータルで12年くらいの余裕をもって用意する。また、新システムではサーバー内でカード残額などを一括管理するため、消化仕入が可能だ。だが、カードも仕入も一遍に変わるのは混乱を招く恐れがあり、新カードの導入時は、現行と同じ買切でスタートする。
消化仕入を導入した時は、カードをお客様に販売する際に有効化という作業が必要になり、有効化された時点で仕入となる。もし有効化を忘れると、本を買おうとした書店で使えないというケースが発生する。新カードの発売後、どの程度ヒューマンエラーが出るのかをテストしながら、消化仕入を目指したい。
新カードの裏面(左掲写真上)には、品名・品番・流通番号、取扱説明のほか、16桁のID番号、4桁のPIN番号、取引用・残高確認用のQRコード、有効期限を記載する。PIN番号はスクラッチ印刷で隠した状態で販売する。黒い四角の部分にはQRコードが入っていて、コピーできないように特殊インクで覆っている。
残高の確認は、店頭の読取り機で確認できるほか、パソコンやスマートフォン等でIDとPIN番号を入力することで、何月何日にいくら使い、何円残っているということまでネットで確認できる。ただし、パンチ穴は開かないので、使用したカードかどうかの区別は外見上ではわからない。
新読取り機の交換は、3月末から4月初め頃に申込み書を各店に発送する。交換費用は全て当社で賄うが、インターネット接続用の機器が必要になった場合、機器の費用は書店の負担でお願いする。また、読取り機は全て無償に切り替える。
交換作業は、まとまった地域単位で作業員が訪問する形で、5月から順次開始する。その時は磁気の読取りができる本体部を設置するので、そのまま現行カードを引き換えるための機械として使ってほしい。QRコードを読み取るQR部は、来年6月の新カード運用開始に合わせた形で一斉に全店にお送りする。
読取り機は、インターネット経由での常時接続となる。アナログ電話回線での利用も可能だが、接続に時間がかかるので、ネット環境がない書店は、これを機会に導入をお願いする。
【質疑応答】
Q:今までの機械の備品等はもう使えないのか。
A:感熱ロール紙はそのまま使い続けることができる。
Q:外商でカードを回収する時に、今まではパンチ穴で判断できたが、新カードでは、使用されているかをどう確認したらいいか。
A:携帯電話やスマートフォンで残高照会URLのQRコードを読めば、当社のホームページに行くので、そこでIDとPIN番号を打って確認してほしい。
Q:広告カードの製作は、新カードに移行することで単価は下がるか。ユーザーがオリジナルカードを作りやすくする工夫は。
A:広告カードは、現行カードと同じPET素材にする。製作コストは今より少し抑えた価格にしたい。現在、ID番号のみの広告カードを検討中だ。例えば、企業が図書カードのプレゼントを行うとすると、まず企業から応募者にメールでID番号を送り、受け取った人は当社のホームページでQRコードを打ち出す。紙にプリントアウトしたり、スマートフォンや携帯電話の画面でコードを表示し、書店店頭で使うことができる。
Q:一度有効化したものをまた取り消すことはできるか。
A:手順を踏むことで、有効化の取り消しができるシステムになっている。

新図書カードシステムの理解深める/埼玉組合研修会

埼玉県書店商業組合(川嶋孝文理事長)は2月13日午後2時半より、さいたま市浦和区の浦和ワシントンホテルで研修会を開催し、30名が出席した。
研修会は、三井田誠教育指導委員長の司会で進行。川嶋理事長の開会あいさつに続き、日本図書普及常務取締役の平井茂氏、販売促進課課長の井元富士子氏が「図書カードNEXTのシステムについて」と題する研修を行った。
平井常務は、図書券・図書カードの沿革として、20円の綴り券、一枚券から現在の図書カードに至るまでの移り変わりに続き、①なぜ図書カード(磁気)を変更するのか②「サーバ管理型」とは――の2点のポイントを説明。システムの運用、操作については参加者全員が機器に触れ、理解が深まった。
特徴としては、「図書カードNEXT」は今までと同じ「買切」で始めるが、「消化仕入」が可能であり、その際はカード販売時に「有効化」処理を行って初めて図書カードとして使用でき、有効化を販売時に忘れると使用できない。図書カードは贈答に多く利用されている為、有効化を忘れたらお客様にご迷惑をかけてしまう等の注意点が挙げられ、その解決策や運用について多くの質問・意見・要望等が行われた。
今回は、時代の流れや技術の進歩によるシステムの変化、それに伴う新しい運用と、大変勉強になるとともに活発な意見交換の場となり、有意義な研修会となった。
場所を変え、川嶋理事長のあいさつ、日書連・石井事務局長の乾杯の発声で懇親会を行った。懇親会には講師の平井常務、井元課長にも臨席を願い、システムについての討議が続いた。また、日書連活動についてなど、書店の活動の情報交換が行われ、有意義なひと時を過ごす中、閉会した。
(山口洋事務局長)

電子版描き下ろし短編を提供/双葉社モンスター文庫で連動企画/東京組合

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は3月3日に東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。各委員会の主な報告・審議事項は次の通り。
〔総務・財務〕
日書連が実施する「全国小売書店経営実態調査」への回答を要請する文書を、全組合員にFAXで送付したことを報告した。
〔デジタル戦略推進〕
「BOOKSMART」の店頭連動企画は、双葉社モンスター文庫の『ギルドのチートな受付嬢』1巻と2巻に、約10ページの電子版描き下ろしアナザーストーリーをプレゼントするクーポンを封入して販売。テスト協力店36店で、2月27日から3月29日まで実施する。
〔書店再生〕
昨年実施した日書連の実用書増売企画、第1回「書店金賞」は、2月12日に協賛出版社、取協との意見交換会を行ったと報告。この内容を踏まえ、3月は日書連定例理事会が休会のため東京組合の再生委員会が中心となって第2回企画の骨子を3月上旬に検討、日書連理事会の承認を得て企画を推進したいと説明した。
〔事業・読書推進〕
増売企画として、講談社「MOVEコミックス」創刊と「戦後70年戦争と平和を考える本」、祥伝社「完本密命①②」「ピースオブケイク」について、理事会開始前に各出版社の担当者が企画説明を行った。
〔取引・流通改善〕
TS流通協同組合の2月期発注件数は4855件(前年同月比83・9%)、売上金額は485万9026円(同85・9%)、書店数は53店(同72・6%)だった。

日書連のうごき

2月2日JPIC読書アドバイザー養成講座修了式に舩坂会長が出席。
2月4日全国中央会成果調査ヒアリングに高島部会長が出席。
2月5日出版再販研究委員会・新年懇親会に舩坂会長、面屋、西村、小泉各副会長、中村、都渡両理事、井上委員が出席。
2月6日JPO雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。
2月9日公正取引委員会取引企画課を舩坂会長が訪問。
2月10日子どもの読書推進会議臨時幹事会。JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
2月12日書店再生委員会に舩坂会長、小泉副会長、片岡理事が出席。
2月13日埼玉県書店商業組合研修会。
2月18日外商雑誌買切研究小委員会に藤原副会長、成田、片岡、光永、都渡各理事が出席。春の書店くじ取次との打合会に西村副会長が出席。各種委員会。図書館サポート部会に高島部会長、福田、楠田両理事、湯本、中尾両委員が出席。
2月19日定例理事会。図書カードNEXT説明会。書店データベース運営委員会に藤原副会長、筒井理事が出席。芥川賞・直木賞贈呈式。
2月25日文化信用理事会に舩坂会長が出席。全国中小小売商連絡会。

「新図書カード」説明会/遊友出版・斎藤氏講演会も同時開催/日書連近畿ブロック会

日書連近畿ブロック会(面屋龍延会長=大阪府書店商業組合理事長)は2月4日、大阪市内で講演会・説明会を開催した。
会は中村晃造副会長(京都府書店商業組合理事長)の司会で進行し、面屋会長のあいさつで開会。始めに、遊友出版・斎藤一郎社長が「実用書の効果的販売と売れるお店の棚づくり」と題して講演を行った。斎藤氏は「全国書店新聞」でコラム「注目的新刊」を連載しており、書店にはなじみの社長。講演では、棚に眠っている本を関連したテーマで集めてフェアをしたり、1冊残っている本や雑誌を「あと1冊」というPOPでアピールするなど、小さな書店でもお金をかけずにできる販売の仕方が好評だった。
次に「図書カードの切り替えについて」と題し、日本図書普及常務取締役の平井茂氏が、平成28年6月以降大きく変わる図書カードについて説明。今までの磁気カードから、QRコードが記載された印刷カードになり、スタート時は「買切」だが、「消化仕入」を導入した際は各書店で「有効化」作業をすること、新たに10年の有効期限が設けられたことなどを説明した。
参加者からは、「有効期限を設けるとクオカードなどとの競争で不利では」「支店など新たに機器を設置する場合の費用は」などの質問があった。平井氏は「カードの有効期限は、10年と長い期間を設けるので、ご理解いただきたい。現行の機器は無償で交換する。また、2台目以降も今後は全て無償にするが、導入時の3万円の預り金については引き続きお願いする」と述べた。
最後に山根金造副会長(兵庫県書店商業組合理事長)があいさつして閉会した。(坂口昇広報委員)

原田マハ氏の講演会を開催/阪神・淡路大震災20年で/兵庫組合

兵庫県書店商業組合(山根金造理事長)は2月15日午後2時から、神戸市中央区の神戸市産業振興センターで作家・原田マハ氏の記念講演会「翼にこめた想い~『翔ぶ少女』と阪神・淡路大震災~」を開催。読者81名をはじめ110名が来場し、会場は満員になった。
この講演会は兵庫組合が「阪神・淡路大震災20年事業」の一環として開催したもの。講師の原田氏は、大学時代から5年間を神戸で過ごし、昨年、大震災を題材とした小説『翔ぶ少女』(ポプラ社)を上梓した。
講演会は森忠延専務理事の司会で進行し、山根理事長が主催者あいさつ。続いて登壇した原田氏は「学生時代を過ごした神戸が好きで、いつか神戸を舞台とした小説を書きたいと思っていた。阪神・淡路大震災の時は東京にいたが、友達も被災したのに、兵庫にいなかったことをずっと後悔していた。11年3月11日の東日本大震災を受け、もう一度、阪神・淡路大震災を取材し直し、『翔ぶ少女』を書こうと思った。小説で阪神・淡路と東日本の被災地の皆様の役に立ちたい。小説にはその力があると信じて書いた」と作品に込めた思いを語った。
講演終了後、中島良太副理事長が謝辞を述べ、大橋洋子副理事長から原田氏に花束を贈呈。サイン会も長蛇の列ができ、盛況のうちに終了した。
(安井唯善広報委員)

万防機構緊急提言・万引犯罪防止への喫緊の対応策②/「防犯画像の取扱いに関する見解及び提言」

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は1月20日開催の平成26年度臨時総会で、万引犯罪防止への喫緊の対応策として「高齢者万引対策に関する提言」「防犯画像の取扱いに関する見解及び提言」「集団窃盗等の情報の取扱いに関する提言」の3つの提言を議決した。このうち、今回は「防犯画像の取扱いに関する見解及び提言」を紹介する。
1、問題の背景と当機構が検討する理由
近年、高性能な防犯カメラが急速に普及し、公共機関をはじめ、各種店舗、集合住宅等の施設内外、駐車場、また、繁華街や街頭にも設置が進んでいる。また、そこで採録された画像が捜査に利用されているほか、犯罪や迷惑行為の防止の目的での活用が目立って広まっている。
これは、防犯カメラが安全な街づくりや施設管理に欠かせないツールとして、また、今や社会の安全を守る社会的インフラとして、社会の理解が広がっていることの反映であるが、他方で、そのもたらす負の部分に対する懸念の声は絶えない。
同様の状況は、窃盗犯罪の一つの手口である万引問題をめぐっても生じている。
そもそも、万引の発生件数が圧倒的に多いにもかかわらず、一件ごとの被害が多くの場合僅少であるために、万引問題に対する社会的な関心は従来から高いとはいえない。しかしながら、ここ数年、万引被害の実態調査等が行われ、その被害が年間4千数百億円に上ると推定されることが明らかになるとともに、最近、万引事犯を拡大させる新たな事態が生じてきた(*)こともあって、小売店の万引被害に対する関心が高まり、その自衛措置が充実してきた。
ところで、万引が窃盗罪の一つの手口としていまや警察の認知する全刑法犯罪の約1割にも達していることからも明らかなとおり、万引に対する対応は十分効果を上げていない。
その理由は、一つは、店舗側の防犯対策の困難さである。大量の物品を販売することから、万引防止を重点にした施設作りには限界があり、また、万引防止のための十分な人的配置も経営上困難である。また、店舗にとってはお客様に気持ちよく買い物をしてもらいたいことが優先課題であり、一握りの犯罪者のために過剰な対応は避けたいとの配慮が働くのは無理からぬところである。二つは、たとえ店舗が万引犯人を発見・確保し、警察に届けた場合でも、犯人に対する警察、検察の対応は、万引が軽微な犯罪であることが多いために、逮捕・起訴する例は被害側の希望ほどには多くなく、たとえ裁判になっても実刑判決を受ける例
は多くない。その結果、一連の警察、刑事司法の万引に対する抑止機能は、犯罪の性質上、限定的なものにとどまらざるを得ない。店舗側は、苦労して確保した万引犯人に対して厳刑を要望するが、それは刑事司法の世界ではどうにもならないといってよいのである。
このように、万引の防止はかなり困難な問題であるために、店舗は焦燥感と敗北感の中でそれでも精一杯の努力をしているのが現状である(**)。その一つとして、最近、被害の大きい店舗を中心に、自ら設置した防犯カメラの録画した犯人の画像をもっと活用できないか工夫がすすめられている。その関心は、従来にも増して警察の捜査に活用してもらうほか、店舗の自主的な防犯対策に活用することに向けられている。
具体的には、録画した犯人の画像を店舗来訪者の実像と照合し、一致した場合には店員に通報がなされ、店舗内で万引がなされないように適切な対応をとるとともに、その者が警察において捜査中の者であれば警察に即座に通報するというものである。そして、防犯画像を録取した防犯カメラの設置店舗での利用とともに、系列店舗間での相互活
用や近接エリア内の他店舗を含めた広範囲での相互活用が検討課題に上っている。
現在のところ、この課題に対する対応は、全体としては慎重であるが、許される範囲が示されれば積極的に対処したいと考えている店舗は少なくなく、当機構に対してその見解を求めてきている。
そこで、当機構は、本年(※注=14年)5月にこの問題を検討する「防犯画像の取り扱いに関する調査研究小委員会」(以下、委員会という。)を設置し、当機構メンバー、業界関係者はもちろん、学識経験者、弁護士などが参加して、検討を進めてきた。その結果まとまった委員会の考え方について広く意見を求め、さらに検討を加えて、今般、以下のとおり、当機構の考え方をまとめた。
*一つは高齢者による万引の増加であり、二つは組織的な万引集団による多額万引の増加、それに、ネット通販の拡大による盗品の販売ルートの広がりである。
**このような状況に業を煮やした店舗の一例として、最近のまんだらけ事件がある。犯人の写った防犯画像を公開して自ら被害物品を取り戻すとともに、犯人に制裁を加えることを試みようとしたものと見られる。その是非をめぐって議論が巻き起こったが、万引被害に遭う小売店にとって他人事ではないものとして、その帰趨を見守ったところである。
2、当機構の基本的考え方
小売店が万引を防止するために、できる限りの措置を講じることは、小売店の財産権を守るうえで当然の権利であるとともに、犯罪を抑止するという社会の要請に合致するものであり、いわば、小売店の社会的責任である。防犯カメラに録画された万引犯罪に関する犯人の画像を活用することについても同様に考えられるべきであり、それが万引
防止等に有効であり、かつ、他の人権を侵害するものでない限り、これを積極的に活用することが望ましい。
そこで、委員会としては、防犯カメラの普及、その性能の向上、ウェブと連携しての多様な活用形態の広がりなどの状況を踏まえつつ、防犯画像内の個人の人権に十分配慮しながら、小売店は、万引被害を防止するために必要な措置として、防犯画像の積極的かつ適切な活用に努めるべきであると考える。
3、防犯画像活用の際に留意すべき事項
ここでは、まず、個人のプライバシーに関わる諸人権を守るために必要な最小限の留意事項を列挙する。
(1)防犯カメラに録画した画像を活用する場面としては、自店舗内での活用、同一会社の系列店舗間での活用、同一業種内他店舗間での活用、近接エリア内店舗間での活用等が考えられるが、いずれの場面でも共通して留意すべき事項は下記のとおりである。
ア、現場での通報はその時点では犯人ではないこと、通報の正確性が100%正しいものではないことなどを踏まえ、通報被対象者を犯人と決め付けない対応に終始すること。
イ、防犯画像利用は万引防止策の一つとしてとらえ、これのみに依存しようとせず、その他の対策を十分講じつつ、これを補完するものと考えて活用すること。
ウ、「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドラインに関する規定」(当機構が策定したもの。以下「防犯カメラ管理規定」という。)を定め、遵守していること。
エ、防犯画像の活用の対象となる蓄積された個人情報は、店舗の万引防止の目的のために利用するものであり、犯罪を防止するという目的外の利用は絶対に行わないこと。
オ、防犯画像を利用しようとする店舗には、「個人情報保護」や「組織における情報漏洩防止」に関する教育を受けた管理者(以下、管理者という。)が配置されていること。
カ、データをサーバーやネットワーク上で管理する場合は、アクセス権限の明確化やアクセス・ログの記録保存やウィルス対策を確実に行ない情報漏洩や目的外の利用の防止に努めること。加えてデータを保存するコンピューター及びメモリーないしハードディスク等の記録媒体はワイヤーでロックするなど、持ち出しができないような物理的措置を講じること。
キ、紙媒体は施錠できる部屋又は施錠できるケースに設置され、鍵の管理者が管理し、管理者以外の紙媒体の持ち出しを禁止すること。
ク、防犯カメラの性能、設置の方法等の改善・充実に努め、より鮮明な防犯画像の採取に最大限努力すること。
ケ、利用される情報の確認、印刷等については管理者が行うこと。また、情報を利用する従業員に対しては、必要な範囲でのみ情報を提供すること。
コ、画像情報が、個人を特定する他の情報と一体となって運用されないように配慮すること。
サ、システムに登録したのち1年を経過しても活用されなかった画像はこれを削除すること。
シ、管理者を含め、関係する従業員等には、就業規則や或いは誓約書等で秘密保持のルールを守らせるとともに、セキュリティ教育を施すこと。
(2)更に、同一業種他店舗間での活用、近接エリア内店舗間での活用等防犯画像の管理責任者が異なる小売店間で情報を共有する場合には、下記事項を更に留意すべきである。
ア、自社及び情報共有先会社に、防犯カメラ管理規定があり、遵守されていること、また、各店舗に「個人情報保護」や「組織における情報漏洩防止」に関する教育を受けた管理者が配置されていることを確認し合っておくこと。
イ、相互に提供する画像は、警察への被害届けの際に警察に提示し、万引犯人に関する画像であることが確実なものに限定すること。
ウ、システムの運用状況について関係会社等が定期的に検討する機会を設けるとともに、システムの運用についてできる限り警察の協力を求めること。
4、このシステムを巡る主要な論点
(1)個人情報保護法との関連
防犯画像を他店舗に提供することの可否について、個人情報保護法の諸規定に抵触するかどうか、行政当局の見解も徴し、本機構において熟考したが、特段これに抵触するものではないと判断した。
(2)運用をめぐる課題について
個人情報保護法に抵触しない場合でも、個人のプライバシーを損なうことがあれば、相応の責任を負うことになるとともに、会社や店舗の信用を損ねることにもなりかねないので、その運用には特段の注意が必要である。
ア、防犯画像活用システムで蓄積された情報が目的外に利用されたり、漏洩しないように万全の措置を講じることが重要である。上記の留意事項は、そのためにも運用上しっかり組み込まれなければならない。
イ、関係警察との緊密な連携を図ることの重要さについては、万引犯人の検挙はもちろん、防犯画像システムの適切な運用を確保するうえでも十分考慮する必要がある。既に一部の府県で先例がある。
ウ、防犯画像の採取、その送信等にかかる技術の進歩は著しいが、防犯画像の活用にあたっては、これを取り入れ、その有効性を高めるとともに、運用上の問題を軽減することにも特段の配慮をする必要がある。
エ、このシステム上の犯人画像を被害者自ら公表することについては、当機構としては、当面望ましくないと考える。その理由は、警察捜査上の必要に基づき警察が画像の公開を行うことに協力する場合は別段にして、犯人画像公開による予測しがたい人権侵害の懸念が存在するうえに、これまでに述べた画像情報の活用を充実することなど他に行うべき万引防止対策があると考えるからである。
5、関係行政庁、団体等への提言と要望
(1)小売業関係者
小売店の中には防犯カメラの運用規則を定めていない店舗もあるので、各地域の自治体から出されている「防犯カメラの設置と管理ガイドライン」や防犯カメラ管理規定を確認し、速やかに自社の運用規程を作成していただきたい。
また、各小売業団体におかれては、業界間で、防犯画像の活用の在り方について議論を深め、防犯画像情報を共有するための指針と要件等に関し、業界方針やガイドラインを検討するとともに、その動きを加速していただきたい。
(2)防犯カメラメーカー等の産業団体
その性能や機能の限界を踏まえたシステムの提案をされ、また、防犯機器の運用面についてもユーザーをサポートするように配慮いただきたい。さらに、そのメンテナンスについても継続してユーザーのサポートをお願いしたい。
(3)警察
小売業界の万引被害の深刻さをこれまで以上にご理解いただくとともに、その自衛措置についても防犯の観点から一層のご指導、ご協力をお願いいたしたい。防犯画像の活用についても小売店側の相談をお受けいただくとともに、その適切な運用にも力を貸していただくようお願いしたい。
(4)経済産業省
万引防止に向けて努力する小売業界をこれまで以上に支援していただきたい。加えて、防犯画像の運用について、個人情報保護法の視点からも一層のご指導をいただきたい。
6、結びに
防犯画像の活用は、上記のとおり、十分な検討と準備の上で積極的に行うべきであるが、それぞれの業界、店舗、地域等の状況に応じて適切なシステム設計を工夫することが肝要であると考える。当機構は、それを支援することとしている。
また、あえて指摘しておきたいのは、この活用を広めていく上で軽率な失敗事例を起こしてはならないということである。関係会社の信用失墜はもちろんのこと、他の企業の取り組みにも悪影響を与えかねないと考える。したがって、小売業界の皆さんの、積極的だが慎重な対処を期待したい。
最後に、防犯画像に関する諸問題には、微妙な側面もあるが、問題をあいまいにせず、これを正面から議論し、実施可能なものはこれを普及していくことが必要であると当機構は考えた。議論しつくされない部分もないわけではないが、現時点での検討結果について各般のご意見及び関連データをいただきたい。

定期購読の拡大目指す/スマホ活用の新サービス開始/NHK出版春の企画説明会

NHK出版は2月3日、東京・文京区の東京ドームホテルで、首都圏の書店を招いて「春の企画説明会」を開催。語学、家庭、趣味・教養各分野のテキストの内容と販売施策や、スマホを使った新サービス「かざしてプラス」などについて説明した。
「かざしてプラス」はAR(拡張現実)の技術を活用したサービス。スマホをテキストの所定のマークにかざすと、音声教材や講師メッセージ、ワンポイント動画などの情報にアクセスできる。『趣味の園芸』、『きょうの料理ビギナーズ』、語学テキストではスペイン語、フランス語、ドイツ語の4月号からスタートし、10月号からイタリア語が加わる。
また、定期購読の拡大に向け、ラジオ英語講座13誌を対象として4ヵ月以上の定期購読を申し込んだ読者に、5月号の英語講座テキスト2誌の音声教材の一部を無料で試聴できるクーポンカード「スマホで聞けちゃう!音声お試しカード」を提供するサービスを始める。カード配布期間は4月14日~5月13日。書店には5月号発売日の4月14日までに拡材発送またはメール便で送付。試聴可能期間は4月14日~16年2月29日。
梅川昭雄常務取締役営業局長は、2014年度の売上について、テキスト部門は前年比4%減。雑誌部門は同約10%減、書籍部門は同約15%減、全体で同約7%減になる見込みと報告。「15年度は紙からデジタルに飛ばすサービスを販売促進に活用し、書店の活性化につなげたい」と述べた。
販売促進計画を説明した原川善吏営業局副局長販売部長は「新年度は定期購読拡大と実用書増売を2本柱に展開する」と述べた。
懇親会であいさつした溝口明秀社長は「国民総スマホ時代。『かざしてプラス』は読者第一主義のために考え抜いたサービス」と述べた。来賓の日書連・舩坂良雄会長は「NHKテキストは店頭にも外商にも適した商品。しっかりと売っていきたい」と述べた。

トーハン、協和と資本・業務提携/発行済株式の4割超取得

トーハンは2月16日開催の取締役会で、協和出版販売と資本・業務提携を行うことを決議したと発表した。協和出版販売の発行済株式数の42・4%(総株主の議決権の数に対する割合75・8%)をトーハンが取得する。
業務提携はトーハンの物流、情報システムインフラを活用し、仕入、物流機能の統合を4月上旬から順次進める予定。「TONETSV」「e‐hon」「ブックライナー」などトーハンの営業戦略ツールを活用し、営業面での提携を進める。
両社は1997年4月に雑誌返品業務、2009年2月に雑誌送品業務、14年4月からは書籍の返品業務と物流面での協業を行ってきたが、めまぐるしい市場の変化と厳しい経営環境に対応していくためには、さらなる提携の拡大が必要と判断。資本提携を行うこと、仕入・配本から物流までトーハンのインフラを最大限活用した業務提携を行うこと、トーハンから人員を派遣し経営スタッフの強化を図ることで合意した。

小野氏、西氏が喜び語る/第152回芥川賞・直木賞贈呈式

第152回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が2月19日、東京・千代田区の帝国ホテルで開かれ、芥川賞の小野正嗣氏(受賞作『九年前の祈り』群像9月号)、直木賞の西加奈子氏(同『サラバ!』小学館刊)に正賞の時計と副賞の100万円が贈られた。
小野氏はサミュエル・ベケットなど影響を受けた作家に触れながら自身の文学論を披露。昨年10月に46歳で亡くなった兄の思い出を話し、「受賞作は間近に迫った兄の死が僕に書かせた小説。この賞を兄に捧げます」と喜びを語った。
西さんは「控室でお会いした選考委員の皆さんはやさしくてキュートで素敵なのに、恐ろしいほどオーラが出ていた。勇気を出して言うと、妖怪だと思った」と笑わせ、「直木賞という素晴らしい賞をいただいて、選考委員に『こっち側に来る覚悟はあるのか』と問われているような気がした。皆さんのようなかっこいい妖怪になりたい」と抱負を語った。

1月期は7・7%減/コミック5ヵ月ぶりマイナスに/日販調べ

日販営業推進室調べの1月期分類別売上調査は、雑誌・書籍・コミック合計で対前年売上増加率が7・7%減(先月5・1%減)となった。
雑誌は6・4%減(同7・0%減)。ムックは『妖怪ウォッチ2元祖本家真打オフィシャル完全攻略ガイド』(小学館)の売上が好調だったが、前年の家庭/生活ジャンルをはじめとした売上良好銘柄には届かず、7・9%減(同10・4%減)と下げ幅縮小にとどまった。
書籍は7・9%減(同8・4%減)。文庫は『流星ワゴン』(講談社)が好調だったものの、『永遠の0』(講談社)など前年の売行良好銘柄の反動で2桁のマイナスになった。
コミックは9・3%減(同5・5%増)。『銀の匙』(小学館)など前年の売上良好新刊銘柄に比肩する銘柄がなく、14年8月以来、5ヵ月ぶりにマイナスに転じた。

訃報

近藤晃治氏(こんどう・こうじ=文化通信社取締役会長、前代表取締役社長)3月6日、転移性肝腫瘍で死去、74歳。文化通信社・近藤家の合同葬として通夜を11日、葬儀を12日、千葉県松戸市の昭和セレモニー北小金儀式殿で行った。葬儀委員長は中央経済社・山本時男代表取締役最高顧問。喪主は妻、蓉子(ようこ)さん。