全国書店新聞
             

平成22年10月15日号

国民読書年しおりクイズを実施/取協

日本出版取次協会(取協)は「国民読書年しおりクイズ」を実施する。
読者向けのしおりを作成し、会員社の取次を経由して全国の書店に配布。しおりの裏面はおたのしみクイズになっており、答えを記入して応募した読者の中から抽選で計100名に図書カードが当たる企画。国民読書年に1人でも多くの読者が書店で本を購入するよう、書店活性化策の一環として実施するもの。日書連、JPIC、「本屋の歩き方」運営事務局が協賛。
賞品は特賞=図書カード1万円(10名)、1等=同・3千円(20名)、2等=同・2千円(30名)、3等=同・1千円(40名)。応募締切は11月24日。当選発表は12月中旬に賞品の発送をもって代える。詳細は取協ホームページで告知。http://www.torikyo.jp/

『全国書店名簿』10年版を発行

傘下47組合に所属する書店の名簿『全国書店名簿』2010年度版が出来ました。B5判、263頁、定価5040円(税込)。
今年8月現在の組合員総数は5197名。都道府県別に住所、代表者、電話・ファックス番号、取引取次を掲載しています。販売方法は直販のみ。取次経由の流通は行いません。お求めは日書連事務局まで。

帳合の枠超えて開催/首都圏書店大商談会に協力/東京組合

東京都書店商業組合は10月5日、千代田区の書店会館で定例理事会を開催。首都圏の書店が帳合の枠を超えて開く「首都圏書店大商談会」を後援し、全面的にバックアップすることを申し合わせた。大橋理事長は「商売の実を伴った企画。成功させたい」として、組合員に来場するよう呼びかけた。
〔事業・増売〕
首都圏の取次各社書店会が連携し帳合の枠を超えて開催する「首都圏書店大商談会」を後援し、全面的にバックアップする。
この商談会は、同実行委員会(奥村弘志委員長、首都圏栗田会会長、南天堂書房社長)が11月8日、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館を貸し切りで開催するもの。出展申込版元は当初目標の50社を大きく上回る80社となるなど、大きな注目を集めている。書店の来場目標は300店。取次会に入っていない書店をフォローするため、東京組合は各支部を通して組合員に参加を呼びかける。
大橋理事長は「真面目に本を仕入れようという企画。商売の実を伴った催し。店頭活性化の機会とするため来場を」と述べた。
〔指導・調査〕
「10年書店経営研修会」を11月16日、書店会館で開催する。テーマは「電子出版と紙の本~相乗効果は期待できるのか」。第1部は集英社の大久保取締役が「電子雑誌の配信の現状と問題点、今後の見通し」、第2部はダイヤモンド社・井上営業課長が「電子書籍の取り組み」を講演する。
〔組織〕
10月、11月に取次各社を訪問し、組合未加入チェーン書店の加入促進に協力を求める。また、東京組合独自の書店名簿を来年度から作成し、組合員に配布することになった。
〔出版物販売倫理〕
9月30日、東京都と青少年健全育成条例について話し合いを行い、書店組合は不健全図書の区分陳列を行い、対面販売では18歳未満の子供に販売しないよう努力していることを説明した。道岡委員長は「指定図書の販売、区分陳列、包装義務違反者に対しては警告が発せられ、それに従わず違反した場合は30万円以下の罰金に処せられる。各支部会で支部員に青少年健全育成条例を守るよう周知徹底してほしい」と求めた。

10年後に生き残る書店を目指して/正林堂・星野店長を講師に北海道組合が研修会

北海道書店商業組合(久住邦晴理事長)は9月22日、札幌市で「10年後に生き残る書店を目指して」と題した研修会を開催。全道各地の書店経営者、店長、従業員60名が出席した。
第1部は「10年後に生き残る書店像」実践編として群馬県渋川市・正林堂の星野上店長が競争力ある書店づくりの3つのポイントを解説。①陳列方法の工夫で在庫を劇的に減らすこと、商品の価格帯を下げること、商品への「こだわり」を捨て常に新しい商品との入れ替えを図ること、②「配本」に頼らず書店員自身顧客の代理人となって商品を仕入れること、③書店の財産である顧客情報の質を高めサービスを向上させること――など具体的な実践方法を2時間にわたって話した。
第2部は北海道砂川市・いわた書店の岩田徹社長を介添え役として会場の出席者との質疑応答。実際に店舗診断を受けた岩田社長の体験を交えながら、ネット販売や電子書籍、教科書のデジタル化、あなたの本作り応援の話、独立書店の独立宣言など、併せて4時間が短く感じられる講演会となった。
この20年間で多くの町の本屋が消えていった。本屋に限らず地方の商店街にあって、時代の波に乗って何ら自己努力をしない店に共通の現象ではないか。何々屋がすべて消えたわけではない。和服の着物屋、米屋、酒屋、花屋、洗濯物屋など大多数の店が本屋と同様に淘汰されているが、すべてが滅ぼされたわけではない。自店の売上が下がり続けるのは、政治や景気、取次や競合他社などのことを口実にし、日々言い訳を続けてきた結果だ。自店の周囲、地域の顧客の要求を汲み取りつつ、それを満たす努力を続けていけば、売る商品は山ほどある。「地域の顧客という財産のための、顧客に役立つお店を作る」――これを実現するための一歩を踏み出す決意を胸に、研修会参加者たちは各地へと帰って行ったに違いない。(岩田徹広報委員)

12月に電子配信開始/シャープ、専用端末「ガラパゴス」も発売

シャープは9月27日、同社の電子書籍事業ブランド名を「GALAPAGOS(ガラパゴス)」と決め、専用タブレット端末の発売と配信サービスの提供を12月に始めると発表した。
新聞、雑誌、書籍など約3万点の電子書籍をラインナップ。定期購読する新聞や雑誌が自動定期配信されるので、いつでも最新版コンテンツを読むことができる。来春には音楽、映画、ゲームなども配信する。
電子書籍フォーマットは、縦書き、ルビ、禁則処理など日本文字特有の表現に対応可能な同社開発の「XMDF」に動画・音声機能を加えた「次世代XMDF」。端末は5・5型液晶を搭載し文庫本感覚で読めるモバイルタイプ(写真・左)と、10・8型液晶を搭載し雑誌が見開きで読めるホームタイプ(同・右)の2種類。いずれも無線LANに対応。OSは米グーグルのアンドロイド。

シャープとCCC、電子書籍事業で提携

シャープとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は10月5日、シャープのメディアタブレット端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」向けに新聞、雑誌、映像、音楽などのエンターテインメント系コンテンツを配信する「TSUTAYAGALAPAGOS(ツタヤガラパゴス)」を12月に共同開設。合弁会社設立を含むコンテンツサービス事業の業務提携に関する基本合意書を締結したと発表した。
「TSUTAYAGALAPAGOS」はTSUTAYAの仕入れ力を活かし国内最大級の作品を揃えるとしている。ラインナップ数は電子ブックコンテンツ約3万冊。会員管理の仕組みはCCCが管理・運営する「Tポイントサービス」および「TログインID」を導入する。
今後、両社は合弁会社の運営による第1弾の電子ブックストアサービスを12月に開始し、来春をめどに映画や音楽などのエンターテインメントコンテンツを提供する予定。
合弁会社は11月設立を予定しており、出資比率はシャープ49%、CCC51%。

消費税増税で国が滅ぶ/経済評論家・上念司氏が講演

「デフレ下の日本で消費税を増税すれぱ、さらにモノが売れなくなり、税収が落ち込む」と警鐘を鳴らす株式会社「監査と分析」代表取締役CEOの上念司氏は、勝間和代氏のブレーンの1人として活躍する経済評論家。日書連消費税問題特別委員会(面屋龍延委員長)は9月16日の定例理事会に同氏を招き、「増税原理主義者の正体~消費税増税で国が滅ぶ」をテーマに講演していただいた。講演の概要は以下の通り。
「税収増と増税は違う」ということについて話したい。税収は名目GDP×税率で求める。日本は財政危機だから税率を上げようという議論をしているが、税率を上げてもそれによって名目GDPが減ってしまえば税収は減る。97年に消費税を3%から5%に上げたときがその例だ。理由は簡単で税率が上がると人はモノを買わなくなるから。
ただでさえ今はデフレで給料が減っている。増税直前までは駆け込み需要でモノを買うが、税率が上がった後は反動で景気が冷え込む。そうするとモノが売れないから企業は給料を払えなくなり、人はますますモノを買わなくなってデフレのスイッチが入る。消費税を上げた分を埋めて余りあるほど所得税と法人税が減り税収はマイナスになる。
名目GDPが横ばいの状態では、いくら税率を上げても税収増は見込めない。名目GDPが横ばいなのはデフレだから。デフレ下で増税するのはクレイジーというしかない。外国のアナリストは「菅直人は本気で消費税を上げるつもりか。クレイジーだ」と口を揃えて言っている。経済の常識では考えられないことをしようとしているのだ。
いま消費税を増税しろと言っている人間は日本を滅ぼしたいか?デフレを酷くして日本の国力を落とし、日本が持つ権益や世界の中における役割を奪おうとしている人がいるのではないかとすら思える。名目GDPを何とかしようともせず、税率だけいじって税収を増やそうというのは、日本弱体化のための陰謀と考えて間違いない。
日本の借金は900兆円で、世界で金メダル級と言われている。普段から帳簿をご覧になっている書店経営者の皆さんなら、貸借対照表に負債が900兆円あれば資産も同じぐらいあるということは分かるはず。負債しかないなんて単式簿記ではないか(笑)。
国の借金は確かに約900兆円あるが、貸借対照表の左側には約600兆円もの世界最大級の政府資産がある。日本の借金の純額は317兆円しかない。GDP比約60%でイタリアと同程度。デフレ下でイタリアと同程度なのだから、デフレを止めれば何の問題もない。日本が今すぐ破産するという話は大嘘なのだ。
10月中旬に宝島社から出る『日本は破産しない!』にも書いたが、借金が大変だから増税しろというのは根拠のない話。日本の債務は純債務で見ると対GDP比で約6割しかない。負債を減らしたければ資産を売ればいい。特殊法人を切って、小さな政府を作れば借金は自ずと減る。国の資産のうち約400兆円は今すぐ売っても問題ないものばかり。特殊法人は民間でも出来ることをわざわざ税金を注入してやっている。成功すれば官業の民業圧迫、失敗すれば税金による補填で国民負担という、ろくでもない代物だ。
どう考えても消費税を増税する理由がまったく見当たらない。借金危機もなく、増税しても税収は減るので、むしろ財政破綻に進む。しかも支出を削減する話は出ないのだから、特殊法人が肥え太り、公務員天国になるばかりだ。
『デフレと円高の何が「悪」か』に書いたが、官僚の産業政策は絶対失敗する。だから金融政策しかない。実質金利は名目金利―物価上昇率で求める。日本の名目金利は1%で、物価上昇率はマイナス3%。だから実質金利は4%ということになる。つまり名目上は金利を1%しか払わなくてもいいのだが、実質的には4%負担しているのと同じなのだ。だから誰もリスクをとって商売しようとしない。若者が草食系になったからリスクをとらなくなったのではなく、金利が高いから誰も借りない。金利が安ければ元気な若者は借金してリスクをとるだろう。
物価上昇率がマイナス、つまりデフレでは経済がうまく回らない。デフレだから実質金利が高く、景気が悪くて税収が増えない。消費税を上げるよりもデフレを止めたい。物価上昇率をプラス1~2%へもって行き、借りたほうが得という世の中にすべき。デフレを止めなければ為替介入のような小手先のことをやっても無駄。デフレを止める枠組みを作ることが先決だ。
まとめると、税収を増やすためには名目GDPを増やさなければ駄目。ただ、名目GDPを増やすためには、今の日本は実質金利が高すぎる。これでは誰もお金を借りてリスクをとらない。だから実質金利を下げよう。そのためには物価上昇率を上げなければいけない。デフレ脱却に必要な金融緩和は約40兆円と言われている。目標レンジを決めて適正なお金の供給を行うべき。日本を除く先進国は財政金融のフレームワークの仕組みを使って経済政策を行っているが、日本はまったくそのレベルに達していないし、そもそも単式簿記をやっている信じがたい状況にある。こうした問題を解決してから消費税の問題を考えてもまったく遅くはない。

『デフレと円高の何が「悪」か』(上念司著、光文社新書、定価777円)
モノの値段が下がり続けると私たちの生活はどうなるのか?日本が長期停滞から抜け出すためにはどうすればよいのか?勝間和代氏の共同事業パートナーである著者が、経済学の知見に基づきながら分かりやすく解説する。

角川GHDがグループ再編

角川グループホールディングスは9月30日開催の取締役会で、映像・雑誌・デジタル事業のさらなる強化を目的とするグループ企業再編を、来年1月1日付で行うことを決定した。
映像事業の強化では、角川書店と角川映画を合併。存続会社の角川書店は、出版と映像を融合し、映画の企画・製作から配給までを手掛ける総合映画会社としての機能も具備したコンテンツ・プロバイダーを目指す。雑誌事業では、角川マーケティングと角川・エス・エス・コミュニケーションズとの合併を行い、経営安定化と広告事業の強化を図る。デジタル事業では、アスキー・メディアワークスと魔法のiらんどとの合併、角川コンテンツゲートとワーズギアとの合併を行い、電子書籍やソーシャルアプリ、電子マガジンなど今後大きな成長が見込める分野での事業展開を効率化・強化する。

人事

(10月1日付、◎昇任)
★福音館書店
代表取締役社長(常務取締役)◎小倉昇
代表取締役専務〔編集担当〕(取締役販売担当兼広報宣伝部長)◎佐藤潤一
取締役会長(代表取締役会長)佐藤克身
取締役販売担当兼広報宣伝部長(取締役総務部長)
藤井恭子
顧問(代表取締役社長)
塚田和敏
★主婦と生活社
〔取締役担務変更〕
代表取締役社長管理本部長(代表取締役社長)
高納勝寿
常務取締役編集本部長(取締役編集第1部長)
◎伊藤仁
取締役編集本部副本部長(取締役管理本部長)
柏原達也
〔組織改編〕
編集本部を新設し、編集第1部から第4部までを編入する。
★中央公論新社
〔機構改革〕
「事業戦略本部」を新設し、編集企画部、広告宣伝部、事業開発部(旧社長直属事業開発室)の三部体制とする。事業戦略本部新設に合わせ、広告部と宣伝事業部を統合して「広告宣伝部」(広告チームと宣伝チームで構成)を新設。特販部を廃止し、通販業務は事業戦略本部に移管し、小口業務は営業局販売部に移管する。
〔人事異動〕
常務取締役総務局長兼総務部長兼事業戦略本部長
鳥山輝
事業戦略本部副本部長兼編集企画部長・特約嘱託
田居克人
事業戦略本部事業開発部長堀間善憲
事業戦略本部付・部長待遇、営業局読売販売課長兼務小泉弘
事業戦略本部編集企画部副部長染谷一
事業戦略本部広告宣伝部長飯田富美男
事業戦略本部広告宣伝部次長・宣伝チームリーダー
桃井慎一郎
同・広告チームリーダー
早乙女昌之
営業局営業企画部長兼事業戦略本部広告宣伝部
佐藤吉春
営業局販売部副部長・部長待遇高井潔
雑誌編集局中央公論編集部副部長・中央公論副編集長木佐貫治彦
書籍編集局中公新書編集部副部長白戸直人
書籍編集局書籍第一部次長並木光晴
雑誌・書籍編集局校閲部次長長谷川宏
★栗田出版販売
(10月1日付)
〔組織変更〕
1.OKC準備室の廃止
2.商品課、文庫センター、コミックセンターを統合し書籍仕入部に商品センター設置
3.物流部および書籍課、雑誌課、受入課、輸送課の廃止(平成23年3月末)
〔執行役員人事〕
取締役兼㈱黒木書店社長(執行役員)柴田正隆
執行役員(営業第一部長)高梨秀一郎
同(OKC準備室担当部長)森岡忠弘
〔執行役員担務変更〕
総務部・取引部・システム部・関係会社担当
山本高秀
営業第一部・営業第二部担当塩沢衛
営業第三部・営業第四部担当大内浩幸
営業第五部・営業第六部・営業推進部担当
高梨秀一郎
書籍仕入部長兼務・雑誌仕入部担当森岡忠弘
OKC担当森孝弘
ブックサービス担当
川窪克誌
〔人事異動〕部長級
1.OKC(8月1日付)
総務部付部長・出向OKC(物流部長)松本光男
2.本支店(10月1日付)
営業第一部長(営業第四部静岡支店長)平石和則
営業第二部長(営業第四部大阪支店長)蔦谷賢一
営業第三部長(物流部輸送課長)野田克己
営業第四部長(書籍仕入部長)森川正信
営業第四部大阪支店長(営業第四部長)
鈴木て津雄
雑誌仕入部長(営業第四部福岡支店長)吉田章
総務部長(総務部経理課長)犬竹裕二
システム部長(システム部長兼開発課長)鴨田正美

売上高4・39%減少/13年連続の前年割れ/日販『書店経営指標』

日販は全国115企業804店舗の経営資料を収集分析した2010年版『書店経営指標』(B5判66頁、頒価1575円)を発行した。これによると、売上高前年比は4・39%減で13年連続マイナス。損益面では、売上総利益率は1・53ポイント低下したものの、販売管理費の改善により営業利益率は0・23ポイント増の0・40%となった。
調査店804店舗の売上高前年比は4・39%減で、マイナス幅は前年より1・12ポイント増加した。地域別では、首都圏・中京圏・近畿圏の三大都市圏が前年を2・31ポイント下回る4・99%減、地方は前年を0・13ポイント下回る3・62%減だった。立地別に見ると、SC内5・36%減、商店街4・79%減、郊外3・39%減、駅前3・37%減、住宅地3・15%減、駅ビル2・42%減と軒並みマイナスだった。
売場規模別でも全ての規模で前年割れ。落ち込みが最も大きかったのは101~200坪で9・04%減。以下、201~300坪6・28%減、301~400坪4・83%減、100坪以下3・69%減、501坪以上1・88%減、401~500坪0・96%減。業態別では専業が5・10%減、複合が3・04%減でともにマイナスだった。
損益面では、売上総利益率は26・06%となり、前年より1・53ポイント減少した。販売費・一般管理費は06年から増加傾向にあったが、09年は25・66%と前年より1・76ポイント改善した。これにより、営業利益率は0・40%と前年比0・23ポイント改善。経常利益率は0・06ポイント改善して0・55%となった。
短期支払い能力を測る指標である当座比率は、前年比1・98ポイント向上。流動負債は前年より0・14ポイント上昇したものの、現金・預金が0・40ポイント、売掛金が0・80ポイント増加したことが影響した。また、資産の固定度合いを示す固定比率は266・98%で前年比10・75ポイント低下した。
従業員1人当たりの年間粗利益額を示す労働生産性は、前年を31万8千円下回って623万4千円になった。売上高対売上総利益率が1・53ポイント減、売上高対人件費率が0・44ポイント減となったことを考慮すると、総従業員数が減少していることが推測される。従業員1人1時間粗利益額を示す人時生産性は、前年から134円減少し2925円だった。粗利益額に占める人件費の割合を見る労働分配率は低い方がよく40%台が望ましいとされるが、前年比0・99ポイント高い46・55%となった。

実業之日本社文庫の飾りつけコンクール/トーハン

トーハンは実業之日本社文庫の創刊を記念して、書店販売のバックアップを目的に、店頭飾りつけコンクールを実施している。
コンクールは全国3250書店を対象に実施。最優秀賞1書店には東野圭吾、恩田陸ら創刊ラインナップ全9作品の著者サイン色紙またはサイン本を贈呈。さらに、上位入賞20書店には図書カードをプレゼントする。応募締切は10月末、入賞書店の発表は11月下旬。

トーハン創立61周年記念式

トーハンは9月17日午後4時から本社8階大ホールで創立61周年記念式を開催、あわせて永年勤続者表彰を行った。永年勤続者は30年勤続58名、20年勤続57名、10年勤続27名で、それぞれ表彰状と記念品が贈られた。近藤敏貴社長のあいさつ要旨は以下の通り。
「大きく分けて二つの方向性で改革を進める。一つはトーハンの本業を守り抜くこと、もう一つは新しい事業領域の開拓だ。トーハンの本業とは、出版社と書店・CVSの間に立って出版流通を担う、取次会社としての基幹業務だ。地域の書店マーケットを通じて人々により良い読書環境を提供し、一人一人の知的活動を支援していくために、今後も社業の中核として継続していく。これからのトーハンは、『読者を起点とした販売』をさらに加速させる。物流と情報のインフラを駆使して、適切な商品供給を追及していく。
二つ目の方針は『新規事業領域の開拓』だ。『知的活動支援企業』というトーハンの企業理念を実現できる分野において、高い成長性が見込まれる新たなビジネスを探し出し、新たな収益の柱に育てていかなくてはならない。60年間取り組んできている既存の本業をベースとして、そこに従来なかった売上・利益をオンしていくことで、トーハン全体の将来にわたる成長を目指していく考えだ」

新書1点を電子書籍で無料公開/主婦の友社

主婦の友社は10月6日に新書シリーズ「主婦の友新書」を創刊。これに伴い、シリーズ中の1タイトル『子どもの秘密がなくなる日』を電子書籍として期間限定で無料公開している。
「主婦の友新書」は、シリーズ全体で「もし○○がなくなったら?」という一貫したテーマを設定しているのが特徴。『子どもの秘密がなくなる日』(渡辺真由子著)は第2回刊行4タイトルの1点として11月6日発売予定で、電子書籍の形では約1ヵ月先行しての公開となる。AppStoreからの提供で、無料公開期間は10月6日から18日まで。

小学館が新ニュースサイトを公開

小学館は、日本の出版社初の総合ニュース発信サイト「NEWSポストセブン」を9月30日にオープンした。パソコン、携帯電話で無料で閲覧できる。
「NEWSポストセブン」は『週刊ポスト』『女性セブン』『SAPIO』『マネーポスト』の4誌を統合したサイト。各誌最新号に掲載された記事・コラムをネットユーザーのニーズに合わせた形に編集・加工し、オリジナルの見出しをつけて配信する。
扱うジャンルは、国内、芸能、スポーツ、国際情報、ライフ、マネー、グラビア等で、1日12本ほどの記事を掲載していく。将来的にはヤフー等約10社の提携先にニュースを配信する予定。また、4誌が蓄積する記事を元にした「アーカイブ」を設置。ネット上には1990年代後半より前の情報が少ないため、「昭和のスター」「アノ有名事件の真相」といった、4誌が豊富に持つ過去の情報を復活させ、現在話題になっているニュース・人物に関する深い情報を発信する。

電子書籍販売サイトを開設/メディア向けに企画説明会/小学館

小学館は9月29日に千代田区の一ツ橋センタービルで「出版企画メディア説明会」を開催し、新聞など報道関係者132名が出席。今秋から来春に予定している出版企画の説明や、11月に開設する電子書籍の自社販売サイト「e―BOOK小学館(仮称)」の発表などが行われた。
説明会では白井勝也副社長が「大型企画だけの説明会は書店、取次向けにやったことはあるが、こうしたメディア向けの説明会を行うのは初めて。電子化、活字離れと新聞も出版も苦しみもがいているが、少しでも新しいことをしたいという願いで開催した」とあいさつ。続いて、第一部で出版企画について各担当編集者がプレゼンテーションを実施。小学館文庫小説賞受賞作の『恋の手本となりにけり』など15点を紹介した。第二部では、電子書籍戦略や、ニュースサイト「NEWSポストセブン」等の説明を行った。
11月にオープンする電子書籍販売サイト「e―BOOK小学館」についてデジタル出版推進室の佐藤正治氏は、「自社の運営サイトにこだわったのは、著者に安心していただけること、過去の名作や現在読めなくなっている作品も収録できること、個人情報や売れ筋といったデータが取れることなどが理由だ。電子書籍端末や携帯電話など幅広いデバイスで使用できる『XMDF形式』のフォーマットを採用した。人気作品約50点を『ベストセラーセレクション』と位置づけて電子化するなど、オープン時には約2百タイトルを準備する」と説明した。

日書連のうごき

9月3日「送品・返品同日精算」の早期実現に向けて、大橋会長、柴﨑副会長、大川専務理事がトーハンと日販を訪問。
9月6日「日書連マーク」配信についての検討会。
9月7日JPIC主催「デジタルネットワーク書店活性化委員会」の設立準備会に大川専務理事が出席。
9月8日出版ゾーニング委員会に石井事務局次長が出席。
9月9日第4回JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。「ためほんくん」の協力要請で田江理事が講談社野間副社長を訪問。
9月10日千葉県組合通常総代会に柴﨑副会長が出席。「ためほんくん」の協力要請で大橋会長が集英社山下社長を訪問。
9月13日「谷山尚義お別れの会」に大橋会長ほか役員が出席。社会保険事務講習会に川端事務局員が出席。
9月14日「ためほんくん」協力出版社との意見交換会。
9月15日各種委員会(「ためほんくん」部会、増売、読書推進、指導教育、取引改善、流通改善、再販研究、広報、消費税、情報化推進、図書館サポート、組織、共同購買、福利厚生、政策)。
9月16日日書連9月定例理事会。上念司氏を講師に消費税講演会。
9月22日全国小売商団体連絡会に大川専務理事が出席。日本図書コード管理センター第4回マネジメント委員会に藤原、柴﨑両副会長が出席。
9月24日「読書週間書店くじ」並びに「ポケッター」に関する取協書籍進行委員会との打合せ会に舩坂理事が出席。
9月28日発売日本部委員会に藤原副会長ほか役員が出席。文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。「ためほんくん」協力要請で、富士見書房、祥伝社、少年画報社、芳文社を田江理事が訪問。立教出版クラブ「創立30周年祝賀会」に大橋会長が出席。
9月29日全国中小企業団体中央会商業専門委員会に大川専務理事が出席。
9月30日日本図書普及㈱役員会に大橋会長ほか役員が出席。

本屋のうちそと

10月6日、理論社が民事再生法適用の申請をしたというニュース。寺村輝夫「ぼくは王さま」、灰谷健次郎「兎の目」など児童文学の名作を始め、他社に先がけてヤングアダルト向けの作品や「よりみちパン!せ」などユニークなシリーズを出版してきた。
わが店では小学校高学年から中学生対象には森絵都の「カラフル」を薦めるのが定番だったし、壊れてしまった大切な図鑑を抱える少女と本を再生させる製本職人のおじさんとの交流を描いた絵本、いせひでこの「ルリエールおじさん」を平積みした山が少しずつ低くなっていくのが嬉しかった。そんな薦めたい本、売りたい本を出している版元が立ち行かなくなってしまうのは、現在の出版界を取り巻く状況の中、分かっているからこそ憤りを感じる。
悲しいことに、定番化してしまった子どもへの虐待や青少年の暴力、殺人の記事。この親たちが、この子どもたちが『本』と出合っていれば、きっと不幸な結果にはならなかったに違いない。ツイッターでは多くの書店員が応援フェアーをつぶやき、版元の友人はメールで〝「がんばれ!理論社」フェアーしましょう。私も理論社の本を買い続けます!〟そして、ある小さな取次からは7日付で〝微力なわたしたちの力が、どれほど貢献できるかはわかりませんが、精一杯「理論社を応援」していきたいと思います。今後も引き続きたくさんの注文をしていただき、みなさんといっしょになって、一刻も早い理論社の再生を祈念したいと思います〟
さあ、とりかかるぞ。
(理)

理論社が民事再生法の適用申請

理論社は10月6日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると負債は2010年4月期で約22億円。市場の縮小傾向から販売が落ち込み、08年4月期は年売上高約15億7600万円を計上していたが、年商規模に匹敵する借入金が重荷となっていた。