全国書店新聞
             

平成15年9月1日号

わくわく絵本まつり/10月に知立市で開催/愛知組合

愛知県書店商業組合(高須博久理事長)は、読書推進事業の第一弾として『わくわく絵本まつり』を企画した。これは県組合と西三支部とが連携して、書店の活性化を図ることを目的としたもの。
8月20日の第1回実行委員会では、10月25日(第4土曜日)に、知立市のセントピアにて開催するとの報告があった。会場は「お祭り」のイメージとして「やぐら」や「屋台風絵本コーナー」など和やかなムードを演出し、読み聞かせお話し会、絵本作家の講演会、絵手紙教室、中学生ボランティアによるジャンボ紙芝居劇場などの実施や、講談社の「本とあそぼうおはなし隊」の参加も発表された。
なお、実行委員長は斎藤辰夫(知立日新堂)、副委員長は中根幹雄(岡崎ブックランドミキ)、原田金正(原田屋)、中野雅人(ブックランド・ぱぴるす)、岡田鉄矢(オカダヤ)、片桐栄子(磨里書房)、土平修司(武豊書房)の各氏が選出された。
(榊原壮一広報委員)

万引きは犯罪の入り口/東京都竹花副知事と意見交換/東京組合

東京都書店商業組合(萬田貴久理事長)は8月21日に都庁を訪問。同月1日に緊急治安対策本部長に就任した竹花豊副知事と書店の万引き対策について意見交換を行った。席上、竹花本部長は、青少年の万引きが横行するのは大人社会の問題が問われているとし、「犯行を確認した上でつかまえることも重要だが、疑わしい段階で声をかける。また、実際に犯罪としての要件を満たせば損害賠償を請求するぐらいの自衛手段を行使すべきだ。店内の告知などによって万引き行為に毅然たる態度で対応する書店組合の統一行動をとるのであれば、都内全域の教育委員会、警察署にも周知徹底を図り、協力を求めたい」と、共同歩調をとることを確約した。これを受け、東京組合は9月2日の定例理事会に向けて具体案を検討し、提案していく方針を固めた。
当日都庁を訪問したのは萬田理事長、丸岡、下向両副理事長、万引き対策担当の山田出店問題委員長など6名で、東京都は竹花本部長、久保担当部長ら治安対策担当4名が応対した。
冒頭、萬田理事長が書店における万引きの現状を報売上げ伸び率1.4%の減/8年連続落ち告するとともに、ICタグ研究や貸与ビジネス権の獲得など、出版業界の取組みを説明。あわせて青少年条例改正請願の進捗状況、店頭での万引き成立要件での困難や調書作成の迅速化などを指摘した。
これに対し竹花本部長は、刑事事件として処理する場合と、自衛手段として対応する場合を分けて考えてはどうかとし、「たとえ店内であっても、万引きの疑いが持たれるような行為を行った場合は、その段階で声をかけるなどの対応を組合で申し合わせてもいいのではないか。該当する具体的事例をリストアップし、掲示しておく。そもそも良識ある読者は、疑われるような行為はしない。店外に持ち出すなど犯罪として成立する場合には損害賠償請求を検討したらどうか。弁護士と相談して可能なら全店一律に実施しては。書店組合としてそのような統一行動をとるのであれば、対策本部としても都内全域の教育委員会を通じて各学校ならびに警察署などにも周知徹底を図り、協力を求めたい」と言明した。
同本部長は、条例による規制や防止機器の研究開発以前の問題として、万引き問題に正面から立ち向かう自衛の姿勢が大切であることを強調。対策本部としても犯罪の入り口である青少年の万引き問題を根絶していくことが重要との認識を持っていると説明した。
東京組合はこれを受け、万引き問題に積極的に取り組んでいる「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」の顧問弁護士を交えて今後の対策を考えていく。

敬老の日読書のすすめ/読進協

読書推進運動協議会は今年の「敬老の日読書のすすめ」のパンフレットを作成、全国の書店、図書館などに送付した。今年の推薦図書は以下の通り。
▽『不安の力』五木寛之、集英社▽『語るには若すぎますが』古舘謙二、河出書房新社▽『釈迦』瀬戸内寂聴、新潮社▽『人を不幸にしない医療』山城紀子、岩波書店▽『昭和天皇(上・下)』H・ビックス、講談社▽『僕は人生についてこんな風に考えている』浅田次郎、海竜社▽『お年寄りのためのひとり分料理』主婦の友社▽『ゴロ寝上手は老い上手』▽『生きること老いること』吉行あぐり・新藤兼人、朝日新聞社▽『年金で行ける!海外リゾート生活術アジア編』ハッピーリタイアメント研究会編、実業之日本社▽『世界でいちばん大切な孫に送る15通の手紙』南和子、PHP研究所▽『妻の大往生』永六輔、中央公論新社▽『やまない雨はない』倉嶋厚、文藝春秋▽『わたしの人生』読売新聞教育取材班、学事出版▽『長寿食がおいしい』山本洋子、オレンジページ▽『私の仕事』緒方貞子、草思社▽『おばあちゃんの孫育ち』門野晴子、小学館▽『朝には紅顔ありて』大谷光真、角川書店▽『ないものを教えず、あるものを数えて生きていく』曽野綾子、祥伝社▽『怪老モタさんの「群れ遊び」のすすめ』斎藤茂太、佼成出版社▽『21世紀のひめゆり』小林照幸、毎日新聞社▽『いのち、生ききる』日野原重明・瀬戸内寂聴、光文社▽『信長』童門冬二、日経BP社▽『老いてこそ人生』石原慎太郎、幻冬舎

催し

◇岩波書店の歩み90年展
岩波書店は9月12日から10月13日まで本社裏の岩波書店一ツ橋ビル1階エントランスホールで「岩波書店の歩み90年展」を開催する。同社の創業は大正2年8月5日、場所は神田南神保町。夏目漱石『こころ』の自筆原稿や、岩波茂雄宛書簡はじめ興味深い資料多数を展示する。開場時間は午前10時から午後6時。入場無料。
◇「日本人の心の再生と絵」
トーハン総研は9月25日午後2時から神楽坂の日本出版クラブ会館でカルチャーフォーラム「日本人の心の再生と絵本」を開催する。講師はノンフィクション作家として著名な柳田邦男氏。大人と絵本の関係について、実際の作品を紹介しながら、絵本の持つ可能性を語ってもらう。受講料は1名5千円。申し込みはセミナー事務局まで。電話03―3268―0731番。

版元に早急な措置求む/ポイントカード終止符へ決議/神奈川総会

神奈川県書店商業組合(中村宣勝理事長)は8月22日午後1時半から、横浜市中区の神奈川平和会館で第26回通常総会を開き、組合員248名(委任状含む)が出席。退任を表明していた中村理事長に代わり、池本武夫氏(川崎市・尚文堂)が理事長に就任した。
総会は岩下寛治副理事長の司会で進行、長谷川義剛副理事長の開会の辞に続いて中村宣勝理事長があいさつした。中村理事長は「今の日書連が中小書店の生き残りを助ける役割を果たしているか疑問。組合活動が後退した大きな原因は、いわゆる事業者団体ガイドラインの実施で団体間交渉が禁止されたことにあるが、今の運動には組合としての意思統一や理論武装、行動力が欠けている気がする。神奈川からいろいろな声を出していかなければと思う。私の任期はあと1年あるが、神奈川図書の破産問題が解決したので、役員をしていた道義的責任を取り理事長を辞任することにした。後任は池本副理事長にお願いする。組合に対する情熱はまだ残っているつもり。今後も協力できることはしていくが一区切りつけさせていただいた。ご迷惑をおかけした多くの方々に改めてお詫び申し上げる」と述べた。
中村理事長を議長に進めた議案審議では、各委員会ごとに委員長が報告、いずれも原案通り承認された。小学館の協力による「ステージアップ読書ノート運動」は3万冊を配布、100冊読破達成者を昨年130名、今春145名表彰したと報告。また昨秋発足した神奈川県読書推進会について、神奈川新聞主催の夏休み読書感想文コンクールや、県児童福祉審議会の推薦図書の取り組みが報告された。
消費税の総額表示問題とポイントカード問題については、日書連の活動方針に対し、①書籍・雑誌の総額表示は出版社が本体に定価を明記せよ、②出版社・取次店は再販売価格維持契約書の早急なる処置のもと、ポイントカード問題に終止符を打て――の2点を求める決議を採択した。
神奈川図書対策では、中村理事長が昨年来の事態の経緯と対応を説明した。これに関連して、神奈川図書の役員を務めていた理事の責任を問う質疑があった。平成15年度事業計画案では、委員会構成を9委員会から7委員会に統合すると発表された。
最後に理事長交代報告が行われ、池本新理事長があいさつ。「読書離れの進行が各種調査で明らかになっているが、神奈川組合は小学館の協力で読書ノートをスタート、神奈川県読書推進会も発足した。これらを通じて読書運動をバックアップしていく。神奈川から日書連にいろいろ提言をしていきたい。組合員の皆さんには理事を通じてご意見ご提案をお願いする」と所信を述べた。このあと組合功労者の表彰を行った。
総会終了後、会場を横浜中華街の華正楼に移し、出版社、取次、業界関係者を交えて懇親会を開催。永年勤続者の表彰に続き、池本理事長より中村前理事長に感謝状が贈られた。増売企画表彰、版元紹介ののちに乾杯。来賓の日書連萬田貴久会長はあいさつで「決議を真摯に受け止めて日書連で十分討議していきたい」と述べた。
〈組合功労者表彰者〉
堀田暁(ともえ書店)野口明(野口書店)嶋崎博夫(文教堂新城店)小峰清治(葉山書房)杉本隆(のばら書店)小泉政治(八小堂書店)草薙立哉(ブックスアミ)
〈永年勤続表彰者〉
勤続5年=浜田将詞(川野書店)地島浩司(相鉄ブック)

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・佐々木美紀子

◇2歳から『おおきなきかんしゃちいさなきかんしゃ』/M・W・ブラウン=文/小池昌代=訳/講談社1600円
大人が運転する汽車と子どもが運転する小さな汽車。2つの列車は同じ町から町まで同時に出発。男の子も女の子も自分が小さい方の汽車の機関手になったつもりで、面白い響きと繰り返しの言葉をBGMに絵を楽しむことでしょう。3歳からとありますが、2歳からでも大丈夫。
◇4歳から『大きくなったらなにになる?』/C・フォックス他=作/小川仁央=訳/評論社
1700円
ベッドに入った子ブタ君。眠りにつく前にあれこれ成りたい職業を想いめぐらせます。そのめぐらす様子が仕掛けになっていて本の外へ飛び出します。読み始める前に子どもたちと言葉のやりとりを。スタートは見返しから。仕掛けをいつどんな具合に引くかがお話を盛り上げるポイント。
◇小学校低学年向き『おまえうまそうだな』/宮西達也=作・絵/ポプラ社1200円
「うまそうだな」と寄ってきた雄恐竜に「お父さん」とうれしそうにまとわりつく赤ちゃん恐竜。大弱りするも彼を守ろうと体を張るニセお父さん。言葉も交わさぬ思いがけない別れ。一人ぼっちになった雄恐竜の気持を思いやらずにはいられない。心温まる。だけど笑ってしまう作品。
 

売上高1.76%マイナス/営業利益率は6年連続赤字/日販『書店経営指標』

日販は全国449店舗の経営資料を収集分析した2003年版『書店経営指標』(B5判68頁、頒価1500円)を刊行した。これによると、売上高前年比は1・76%減と6年連続マイナスに。損益面では、売上総利益率の減少に歯止めがかかったものの、販売費及び一般管理費はわずかに上昇。営業利益率はマイナス0・24%で前年比0・31ポイント改善したが6年連続の赤字となった。
〈中小規模店で落込み/売上高前年比〉
調査店449店舗の売上高前年比は1・76%減と、6年連続マイナス成長になった(表1)。
売場規模別では201坪以上店が1・85%増、51~100坪店が0・92%増。一方、20坪以下店が7・37%減、21~50坪店が6・33%減と中小規模店で厳しい結果となった。立地別にみると、前年は全立地でマイナスだったが、駅ビル・駅前店が0・66%増とプラスに転じた。地域別では三大都市圏が0・57%減、地方が2・14%減でともにマイナスとなり、業態別では専業2・38%減に対し複合1・10%減だった。売上増加率別店舗数構成比を見ると、増加率がプラスの店舗は39・4%で前年より6・3ポイント減少した。
〈粗利益率減少止まる/損益計算書〉
損益面では、売上総利益率(粗利益率)が前年比0・37ポイント上昇して24・34%となり、99年を境に続いていた減少傾向に歯止めがかかった(表2)。
売場規模別に見ると、「10億円以上店」「3億円以上5億円未満店」で前年より減少、その他が増加となっている。前回3・22ポイントの前年比減を記録した「1億円未満店」が2・69ポイント増加し、拡大傾向だった売上規模別の格差が前年より縮まった。
販売費及び一般管理費は前年比0・06ポイント増の24・58%で、3年続いた減少傾向がストップした。要因として、前回大きく減少した人件費が0・39ポイント増加しているのが挙げられる。販売費も0・19ポイント増加しており、中でも消耗品費、支払手数料の増加が目立つ。営業利益率は0・31ポイント増加したもののマイナス0・24%で6年連続の赤字。経常利益率は0・36%で、前年より0・15ポイント増加した。
〈自己資本比率11%に/貸借対照表〉
財務体質の健全性を示す自己資本比率は高い方がよいとされるが、前年を0・75ポイント上回る11・37%と、98年以来の11%台を記録した(表3)。支払能力の目安の流動比率は150%以上が理想だが、前年比1・95ポイント改善して121・15%。設備投資等の固定資産をどれだけ自己資本で賄っているかをみる固定比率は、低い方が安全性の高い企業とされる。前年より3・80ポイント悪化して387・23%と引き続き高い数値になっている。
〈勤務日数は2日減/勤務日数・労働時間〉
正規従業員の年間勤務日数は278日で前年を2日下回った(表4)。正規従業員の年間総労働時間は2357時間と19時間増加。専業店の従業員は前年に比べて112時間も増加している。一方、パート・アルバイトは1189時間と前年より4時間減少した。
〈労働生産性が低下/生産性と分配率〉
従業員1人当たりの年間粗利益額を示す労働生産性は578万7千円で前年を46万3千円下回り、大きく低下した。従業員1人1時間当たり粗利益額を示す人時生産性は前年を17円上回る3034円で、2年続けて3千円台を維持した。粗利益額に占める人件費の割合を見る労働分配率は0・85ポイント上昇して50・29%となった。
〈9年連続して減少/坪当たり売上高〉
売場1坪当たり店売売上高(年間)は250万1千円で、前年より3万4千円減って9年連続減少となった。立地別では商店街を除いて増加しており、駅ビル・駅前店で26万2千円増、SC内店で23万円増と前年より大幅に増加した。客単価は前年比18円減の1114円で、4年連続していた増加がストップした。
調査店の内訳
〈年商別〉(%)
1億円未満12・1
1億~3億円未満28・8
3億~5億円未満12・1
5億~10億円未満13・6
10億円以上33・3
〈地域別〉
三大都市圏122店舗
地方327店舗
〈業態別〉
専業266店舗
複合183店舗
〈収益別〉(%)
経常利益率3%以上
12・7
同1%~3%未満34・9
同0%~1%未満28・6
同0%未満23・8

売上げ伸び率1.4%の減/8年連続落ち込む/トーハン・平成15年『書店経営の実態』

トーハンが発行した平成15年度版『書店経営の実態』によると、調査を行った150企業324店舗の平均売上高伸長率はマイナス1・4%。前年比3・6ポイント増となったものの、マイナス成長はこれで8年連続となった。一方、収益面では、売上高対営業利益率、売上高対経常利益率はそれぞれマイナス0・40%、0・22%となり、前年の数値マイナス0・56%、0・04%と比較して若干改善した。
〈損益状況〉
『書店経営の実態』では分析の基準として収益性に重点を置き、売上高対経常利益率がプラスの企業を「健全企業」、マイナスの企業を「欠損企業」に分け、比較対照しているのが特徴。売上高伸長率をみると、健全企業が2・8ポイント増のマイナス0・1%、欠損企業が4・1ポイント増のマイナス3・6%、総平均ではマイナス1・4%となり、前年を3・6ポイント上回った。
粗利益対経費率は80~85%以内が適切とされるが、総平均では102・3%で前年より0・2ポイント改善した。健全企業は94・0%であるのに対し、欠損企業は116・9%だった。粗利益対人件費率は50%以内が良とされるが、健全企業が50・0%、欠損企業が67・1%、総平均では前年より1・5ポイント悪化して56・0%になった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は、健全企業は1・2%で利益を確保したが、欠損企業はマイナス3・3%、総平均でマイナス0・4%となり4年連続の欠損となった。
複合型書店の調査では、売場面積が50坪以上で売上高に占める書籍・雑誌以外の割合が20%以上の店舗を「複合店」とし、それ以外の店舗を「本専業店」として分析。複合店をむ各店舗の売上構成比から便宜的に、AVレンタル複合店、セルCD複合店、TVゲーム複合店、文具複合店と分類した。
売上高伸長率をみると、AVレンタル複合店が1・4%と唯一のプラス。TVゲーム複合店はマイナス13・5%と大きく落ち込んだ。このほかセルCD複合店マイナス8・8%、文具複合店マイナス7・0%、本専業店マイナス1・9%だった。
粗利益率は本専業店21・8%に対し、AVレンタル複合店34・2%、セルCD複合店25・7%、TVゲーム複合店23・6%、文具複合店24・5%だった。
地域別の売上高伸長率をみると、東海(0・5%)以外は軒並みマイナスに。特に甲信越・北陸(マイナス5・6%)、中国・四国(マイナス4・9%)の落ち込みが目立つ。立地環境別では住宅街(マイナス5・2%)、郊外型(マイナス3・5%)が不振だった。売場規模別では201坪以上(1・6%)以外はすべてマイナスとなり、20坪以下でマイナス6・6%と小規模店落ち込みが厳しくなっている。
〈販売効率〉
従業員1人当たりの月間売上高は、健全企業213万9千円、欠損企業162万1千円でともに前年より減少し、総平均では194万3千円と2万2千円減少した。従事者1人当たりの月間粗利益高をみると、健全企業46万4千円に対し欠損企業は35万円。総平均では前年比8千円減の42万1千円となった。
商品回転率は健全企業5・6回、欠損企業5・2回で、総平均は前年と同じ5・4回。商品在庫に投下した資本がどれだけの粗利益を稼ぎ出したかをみる指標の交差比率(商品投資回収率)は、健全企業124・0%、欠損企業117・5%で、総平均では前年より3・0ポイント増加して121・6%となった。
〈財務状況〉
総資本に占める自己資本の割合を示す自己資本比率は、欠損企業が4・4%と1・9ポイント増加したものの、健全企業は8・2ポイント減の18・6%。総平均は13・5%で2・1ポイント減少した。
流動比率は資金繰りの安全性を意味し、この比率が大きいほど返済能力があり、130%以上の確保が望まれる。健全企業134・1%に対し欠損企業は121・6%で、総平均では3・7ポイント減の129・7%となった。
固定資産への投資の妥当性をみる尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は54・7ポイント増の215・1%と大幅に悪化したが、欠損企業は73・7ポイント減の376・0%と大きく改善。この結果、総平均は7・1ポイント減少して256・3%になった。
売上高足対支払利息率は総平均で前年比0・2ポイント増えて0・8%だった。借入金の健全限度額は月商の1~1・五ヵ月分、売上高対支払利息率は売上の1・0%以内が目安となる。総平均の借入金をみると、短期借入金は20・0%(1・4ポイント増)、長期借入金は36・4%(2・9ポイント増)となった。 トーハンが発行した平成15年度版『書店経営の実態』によると、調査を行った150企業324店舗の平均売上高伸長率はマイナス1・4%。前年比3・6ポイント増となったものの、マイナス成長はこれで8年連続となった。一方、収益面では、売上高対営業利益率、売上高対経常利益率はそれぞれマイナス0・40%、0・22%となり、前年の数値マイナス0・56%、0・04%と比較して若干改善した。

新BIRDネットPOSデータ/7月期

〈ムック〉
①『徹底反復百ます計算』小学館500円4-09-104425-5      
②『中高年のためのパソコン講座とってもやさしい!インターネット』日本放送出版協会1000円4-14-188364-6
③『徹底反復書き順プリント1~3年』小学館500円4-09-104439-5
④『スイミングBOOK』マガジンハウス857円4-8387-8407-4
⑤『るるぶ北海道3~4』JTB出版事業局800円4-533-04751-3
⑥『ビーズ・ニュース6』光文社800円4-334-84212-7
⑦『鶴太郎流墨彩画塾』日本放送出版協会1000円4-14-188363-8
⑧『東京ベストスポット』昭文社800円4-398-24263-5
⑨『スウィートスプリング別冊MY3夏』宝島社762円4-7966-3371-5
⑩『るるぶ沖縄3 』JTB出版事業局781円4-533-04493-X
〈単行本〉
①『世界の中心で、愛をさけぶ』小学館1400円4-09-386072-6
②『トリビアの泉1』講談社952円4-06-352702-6
③『トリビアの泉2』講談社952円4-06-352703-4
④『バトル・ロワイアルⅡ』太田出版1200円
4-87233-775-1
⑤『新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論3』幻冬舎1600円4-344-00356-X
⑥『ファイナルファンタジーⅩ-2アルティマニア』デジキューブ1800円4-88787-126-0
⑦『魔法の杖』ソニー・マガジンズ1800円4-7897-1859-X
⑧『盲導犬クイールの一生』文藝春秋1429円4-16-357260-0
⑨『冬のソナタ下』日本放送出版協会1500円4-14-005424-7
⑩『冬のソナタ上』日本放送出版協会1500円4-14-005423-9
〈文庫〉
①『“It(それ)”と呼ばれた子完結編』ソニー・マガジンズ720円4-7897-2054-3
②『“It(それ)”と呼ばれた子幼年期』ソニー・マガジンズ650円4-7897-1925-1
③『陰陽師生成り姫』文藝春秋581円4-16-752809-6
④『“It(それ)”と呼ばれた子少年期』ソニー・マガジンズ700円4-7897-1992-8
⑤『安心できない七つ道具?』富士見書房520円4-8291-1540-8
⑥『ブルーもしくはブルー』角川書店460円4-04-197002-4
⑦『DADDYFACEメドゥーサ』メディアワークス690円4-8402-2405-6
⑧『デュアン・サーク2〈2〉翼竜の舞う谷(下) 』メディアワークス550円4-8402-2403-X
⑨『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』集英社6484-08-747585-9
⑩『リセット』新潮社590円4-10-137328-0
〈実用書〉
①『Englishzone#004』中経出版1200円4-8061-1832-X
②『ウォーキング・ダイエット』講談社1200円4-06-274113-X
③『アンドディノス2003夏号』扶桑社429円
4-594-03927-8
④『赤ちゃんのしあわせ名前事典』ベネッセコーポレーション1500円4-8288-5651-X
⑤『脳が若返る30の方法』中経出版1300円4-8061-1767-6
⑥『北海道キャンプ場ガイド2003』亜璃西社
1300円4-900541-50-8
⑦『ゴルフは、かっこよく気持ちよく。』ゴルフダイジェスト社1500円4-7728-4031-1
⑧『超図解WindowsXPHomeEdition総合編』エクスメディア1380円4-87283-239-6
⑨『少年野球コーチング』西東社1300円4-7916-1168-3
⑩『新版管理者の基礎テキスト』日本能率協会マネジメントセンター1700円4-8207-1426-0

ふるさとネットワーク/近畿ブロック編

〈滋賀〉
「子どもの本と文化夏の集い」(この本だいすきの会主催)が7月25日から3日間、大津市で開かれました。同会は「いつでも、だれでも、どこでも読み語りを!」を合言葉に、読み語りの実践と、優れた本と文化を子どもたちに手渡す活動をしている有志の会です。参加費6千円とこの種の催し物としては高額にもかかわらず、全国から延べ530人が参加し、盛況のうちに幕を閉じました。
会場の一角には、講師の諸先生方(宮川ひろ、後藤竜二、小林豊、きたやまようこ)の著書の展示とともに、「滋賀の作家コーナー」(今森光彦、今関信子、梨木香歩等10名)が設けられ、大きな関心をひいていました。
活字離れが言われる昨今、会員の本に対する熱い思いに触れ、書店人として反省させられるところが多々ありました。(石岡英明広報委員)
〈大阪〉
大阪の浪速区といえば通天閣が有名ですが、その隣にフェスティバルゲート「スパワールド世界の大温泉」が大阪市の鳴り物入りで出来ています。集客都市を狙った当初の思惑とは裏腹に入居した業者は次々と撤退し、書店も数ヵ月で閉店となりました。しかしプールつきの大温泉は穴場のデートスポットとして若者のカップルが増えつつあります。温泉プールや大滑り台は子供たちにも人気がありますが、惜しむらくはその入館料の高さです。3時間で子供1500円、大人2700円はプールだけ利用したい親子連れには少し厳しいようです。私も書店組合の支部総会などで数回利用していますが、宴会のみの参加者には割高感があります。今後は宴会のみ、プールのみ、温泉のみの利用券などを考えれば利用客も増えるのにと思ったりしています。(坂口昇広報委員)
〈京都〉
京都市北部に位置する貴船は市内より5℃は気温が低く、京都人の格好の避暑地です。今年は梅雨が長くあまり暑くありませんでしたが、近年の夏場の川床料理人気で多くの観光客が涼を求めて訪れます。春は桜や山吹などの山菜、夏はアユ、アマゴ料理や流しそうめん、秋は紅葉や松茸、冬は猪と、年中賑わっています。
近くにある貴船神社は水の供給を司る神として有名で、今年3月には第3回世界水フォーラムが当所を含めて京都、滋賀、大阪で開催され、182の国と地域から2万4千人もの人々が参加、世界の水問題について熱い議論が展開されました。
天然のクーラーの中にいるようで大変涼しく、川のせせらぎの音しか聞こえない静寂の中にいると、日常の雑踏を忘れることができます。
(棚橋良和広報委員)
〈奈良〉
古都奈良の夏の五大行事の1つ「なら燈花会(とうかえ)」が8月6日~15日に行われた。「燈花」とは灯心の先にできる花の形の塊のこと。これができると縁起がよいと言われる。1万2千本以上のろうそくが、世界遺産に囲まれた奈良公園の8つのエリアを灯りの花で演出、歴史的建造物等のライトアップを含めた古都奈良の幻想的な風景をめぐる10日間の灯りの祭典である。奈良の新しい風物詩として今やすっかり定着した感のある「なら燈花会」も今年で5年目を迎えた。
豊かな緑を背景に人々の営みと自然が美しく調和したまち、古都奈良。そんな奈良の地にふさわしいのは、日本人なら誰でも懐かしい感じ、どこか心を癒してくれるやさしい灯り。奈良の灯りは歴史に回帰しながら、ゆったりと時の流れを映し出していくようだ。(森谷勝則広報委員)
〈和歌山〉
200年も昔のこと、なだらかに流れる紀ノ川の中流の村に、全国に名を知られた医師がいた。アメリカでエーテルが使用される約40年も前に、麻酔薬「通仙散」(つうせんさん)を作り上げ、世界で初めての全身麻酔による乳癌手術を成功させた華岡青洲である。彼と、彼に献身的に尽くした妻加恵、母於継(おつぎ)の物語は、有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』に著されている。
その青洲の診療所兼医学校であった「春林軒」(しゅんりんけん)が補修復元され、それを核とした記念館がわが町那賀町に「青洲の里」として99年春にオープン、賑わいを見せている。また、町の有志女性によって立ち上げられた劇団「華岡青洲」は、彼の業績、人柄を多くの人に知ってもらおうと、県内各地で公演し、素人の集まりながら情熱を注いでの公演。その評判は上々のようである。機会があれば、ぜひ一度ご覧いただきたい。(堀康雄広報委員)
〈兵庫〉
兵庫県の南東に位置する六甲山系は、神戸・阪神間の市街地の背後に帯状に連なる細長い山系。宝塚歌劇で有名な宝塚から須磨・鉢伏山、瀬戸内海に至るまで、東北から南西に向けて続く主稜線は実距離にして約56キロに及ぶ。かつて100万ドルと謳われ観光のシンボルとして全国に知られる六甲の夜景は、今や1000万ドルに昇格した。
日本における近代登山の発祥としても登山史上にその名を刻んでいるが、元々は明治後期、貿易港神戸に居留した欧州人たちによって六甲の山は歩き始められた。山上行楽の開祖と言われるアーサー・ヘルケス・グルームは山上に別荘を構え、日本初のゴルフ場を作った人物でもある。
最高峰北麗には、日本最古と言われる名湯・有馬温泉が湧き、登山と温泉を組み合わせて楽しむ人も多い。
(中島良太広報委員)

買切り55掛で販売/河出が謝恩全集セール

河出書房新社は「良書再見」をテーマに、謝恩価格全集セールを実施する。対象商品は『須賀敦子全集』、『澁澤龍彦全集』など7全集。書店の参加申し込み制で、正味55掛、3カ月延勘、完全買切り。セット販売のみとし、販売価格は書店で決める。
販売期間は平成16年3月31日まで。事故防止のため、対象商品の各巻表4のバーコード上とセットケースに専用シールを添付する。注文受付期間は10月1日から12月15日まで。
対象商品
『須賀敦子全集』(全9巻)揃本体価格4万5900円、100セット
『澁澤龍彦全集』(全22巻、別巻2)同13万7086円、100セット
『澁澤龍彦翻訳全集』(全15巻、別巻1)11万1500円、100セット
『日夏耿之介全集』(全8巻)18万583円、80セット
『日本色彩大鑑』(全1巻、6分冊)67万5000円、50セット
『松下竜一―その仕事第1期』(全10巻)2万4千円、100セット
『怪異の民俗学』(全8巻)3万1200円、100セット

工学書協会創立55周年で記念フェア

工学書協会(会員29社、佐藤政次幹事長)は、創立55周年を記念して9月から10月にかけて全国の有力7書店でブックフェアを開催する。フェア開催にあたっては4つの基本テーマを設け、書店が選択した。ブックフェアの概要は以下の通り。
▽紀伊国屋書店新宿本店=9月5日~10月5日、質の時代への対応
▽三省堂書店神田本店=9月1日~30日、先端技術とそれを支える基礎技術
▽ジュンク堂書店池袋本店=9月8日~10月19日、環境保全のための工学
▽八重洲ブックセンター本店=10月12日~11月8日、先端技術とそれを支える基礎技術
▽丸善名古屋栄店=9月16日~10月13日、質の時代への対応
 

雑誌物流の拠点に/戸田流通センターが稼動/太洋社

太洋社は物流改編計画の一環として戸田市美女木に雑誌物流の拠点となる「戸田流通センター」を開設。同社の創業記念日にあたる8月19日午前9時から起動式を行った。新システムへの移行は同日付の新潟・北海道地区からスタートし、9月中旬には全面移行する。
戸田センターは1800坪の敷地に2階建て、各階800坪。1階のトラックバースは一度に12トン車12台の積み下ろしが可能で、建物内外の高低さをなくしてフォークリフトによる作業性を高めた。
入荷→保管→仕分・梱包→保管→出荷の全工程で作業状態、商品データをリアルタイムに管理。①入荷時には雑誌コードを読み取ると結束本数、バラ冊数が示される、②仕分・梱包作業では重量検品により商品違い、冊数違いの発生を防ぐなど、作業精度と省力化を同時に実現した。
戸田センターの本稼動後は、本社物流機能を再構築。書籍在庫の充実と新刊発送業務、注文業務を見直し、効率を高めていく。
起動式であいさつした太洋社国弘社長は「流通センターの構想は先代社長の15年前からあったもの。永年の夢が実現できたことは取引先の皆さんのおかげ。今後、信頼感のある仕事でお返ししていきたい」と述べ、センターの起動スイッチを押した。

3千万円の特別損失計上/経常利益ベースでは黒字/中央社

中央社は8月26日午前10時から板橋区東坂下の本社で定時株主総会を開催し、平成14年度の営業報告、利益処分案などを承認した。
これによると、同社の平成14年度(平成14年6月1日~15年5月31日)売上げは250億7千万円で対前年比89・1%。しかしながら、雑誌送品業務のアウトソーシングなどコスト削減に努めた結果、販売管理費を前年の87・1%に抑え455万円の経常利益を確保した。
一方、今春、「宝船」の経営が行き詰まり民事再生法を申請したことから、中央社の保有していた同社の株式評価損として3200万円の特別損失を計上した。この結果、当期利益は2744万円の赤字決算。最終的には前期繰越利益で損失を埋め、677万円の未処分利益となった。
総会終了後の記者会見で秋山社長は、株式評価損は一過性のものであり、利益を出せる経営体質に変ってきたことを強調した。中央社が雑誌送品業務をトーハンにアウトソーシングしたのは今年の1月半ば。リストラ効果は4か月分しか反映しておらず、年間では2桁の削減効果が可能だという。また、1割の売上げ減少については、50店、2千坪の転廃業が大きかったと述べた。
秋山社長は新年度の重点施策は「町の本屋の活性化支援」として、①2万点、20万冊を在庫する新コミックセンターの立ち上げ、②8月からスタートした雑誌送品重量検品システムによる送品精度の高度化、③新定番商品、コンパクト・ベストの設定、④返品率を加味した新取引報奨制度の実施、⑤1日24時間、365日ヘルプデスクの構築などを説明。新コミックセンターは10月にもオープンする予定。
新年度は営業本部制を取り入れ、秋山社長自らが営業本部長、副本部長に引野専務の体制でのぞむ。
中央社損益計算
(単位千円)
売上高
25、072、112
売上原価
22、092、991
販売費及び一般管理費
2、769、792
営業利益207、327
営業外収益233、653
営業外費用436、423
経常利益4、557
特別損失32、000
当期基準損失27、442
前期繰越利益34、219
当期未処分利益6、777

本屋のうちそと

ジェージェージェー、蝉の鳴き声で目が覚めた。時計は午前三時だ。こんな時間になぜ?しかも、聞いたこともないほどひどい声だ。
音の大きさからして油蝉か、クマ蝉だろう。鳴きやんだかと思うとまた始まる。なんなんだこの音は?聞いているうちに、最初はうとましかったそのひどい鳴き声がだんだん愛おしくなってきた。
七年間も土の中にいて、地上でこうして鳴くことができるのはほんのわずか。その生命の限りを懸命に鳴いている。欲も得もなくただ鳴く、その声は生命の賛歌のように聞こえる。
明るくなって路地を見ると、水たまりにクマ蝉が腹を見せている。なるほど。音を出す膜が水の中では、いつもの声にはならないはずだ。そのままの姿勢で、まだ時折あのジェージェーという音を立てる。
生命の極みまで、文字通り死力を尽くして生き抜く小さな虫。それが運命だとはいえ、なにやら崇高にさえ感じられる。
ふいに自分たちの現実に思いが飛んだ。この蝉のように最後の最後まで力をふりしぼるというのも悪くない。厳しい現実を他者や条件のせいにせずに、今この時をそのま
ま受け止めて、ありったけの知恵をしぼる。体も動かす。ぶざまに見えるかもしれないが、おもしろいかもしれない。
と、いうところで、楽しいコラムの日々が終わってしまった。おつきあいくださったみなさん感謝しつつ筆を置く。またいつかどこかで。
(如意)