全国書店新聞
             

平成19年11月21日号

個人偲び物故者法要/京都組合図書まつり

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は11月7日、「図書まつり」の一環として物故者法要を営んだ。この一年に逝去された組合員に感謝の念を表する目的で行うもの。京都組合は長年にわたり慣例としている。本年も中京区の善導寺にて、京都組合理事と主要取次代表者ら26名が参列し、住職による法要がしめやかに執り行われた。本年の組合物故者は、故大西文夫氏(南丹市・大西好文堂)、故岩崎泰久氏(左京区・岩崎文屋)のお二人。
その後、会場を京都市内の料亭に移した食事会で中村理事長は、物故者への哀悼の意を込め、法要参加者にも感謝を述べた。献杯では、取次を代表してトーハン辻野光洋京都支店長が物故者への感謝の思いを賜った。大垣和男理事は、往年の京都組合図書まつりを振り返り「現在は読書週間として全国に定着している秋の読書推進活動だが、京都が全国に先駆けて行った図書まつりこそ、その起源と歴史書の記述に残っている。戦後間もない頃、図書まつりを始めた京都業界は、飛行機をチャーターして空からチラシを撒き、読書推進を働きかけた経緯があり、京都市・岡崎公園内にあった二宮金次郎像を、京都業界に携わる人々が皆で磨いていた。このような古き良き慣わしに習い、これからも運動を継承してほしい」と述べた。出席者一同は改めて出版業界再興に努力する思いを新たにした。(澤田直哉広報委員)

1月22日に新年会/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合は11月6日、トーハン神奈川支店で定例理事会を開催、以下の議案を審議した。
1、10月27日の読書フォーラムは売上げ目標50万円のところ、30万円にとどまった。今後も継続する。
2、「大好きな本、絵画コンテスト」は924名の応募の中から81名が入選。第2回も実施したいと長谷川理事長が発言した。
3、版元の広告入りポリ袋は来年も製作する予定で、リクルート、聖教新聞社の2社の協賛が決まっているほか、数社と交渉中。
4、昨年中止した支部合同新年会は来年は1月22日午後6時より横浜中華街の華正楼本店で行う。書店会費5千円。
5、組合賦課金は一部を除き、昨年とほぼ同じ金額とする。
6、小田急相模原駅前に12月に啓文堂書店が80坪で出店するほか、横浜市港北区のトレッサ横浜に有隣堂書店が250坪で出店すると報告があった。
(平井弘一広報委員)

地域で活発な読書活動/2団体2名に野間読書推進賞

地域・職域で読書普及に尽力し、貢献した団体・個人に贈る平成19年度野間読書推進賞の贈呈式が11月7日午前11時から新宿の日本出版クラブ会館で行われ、鳥取県・「本の学校」生涯読書をすすめる会、徳島県・おはなしのポケットの2団体と、群馬県・萩原栄子、石川県・紫藤律子の2氏に賞が贈呈された。
贈呈式で野間佐和子会長は「野間読書推進賞は第37回を迎え、今年の受賞者を含め、これまでに163の団体、個人を表彰しています。2001年に子どもの読書活動推進法、2005年に文字・活字文化推進法が制定され、行政による読書環境の整備が進んでいます。また、全国各地で展開されるボランティアの方々の活発な活動は、読書推進の輪が確実に広がっていることを示しており、心強いものがあります。今年10月には文字・活字文化推進機構も設立されました。こうした読書推進運動の流れをますます発展させていくよう努めていきたいと考えています。皆さんの一層のお力添えをお願いします」とあいさつ。
選考経過は日本図書館協会の栗原均顧問が行い、「7月31日の締め切りまでに4個人、39団体の推薦があり、団体の推薦が多かったのが特徴だった」と前置きして、受賞者の業績と受賞理由を説明した。引き続き栗原顧問から各受賞者に賞状と賞牌、副賞の賞金が手渡された。
祝辞を述べた文部科学省生涯学習政策局馬場祐次朗社会教育官は「読書活動は大人の人生をより豊かなものにし、子どもにとっては言葉・表現力を学び、生きる力を身につける大事なもの。子どもたちがあらゆる機会、場所で自主的に読書活動が出来るよう、全国で環境整備が進められている。平成18年にはすべての都道府県で子ども読書活動推進計画が策定され、昨年12月には戦後60年ぶりに教育基本法が改訂された。学校、家庭、地域が連携した読書活動を一層推進するよう取組んでいく」と文科省の施策を述べた。
各受賞者あいさつのうち、「本の学校」生涯読書をすすめる会の足立茂美代表は「10年前、大山緑陰シンポジウムが開かれたのをきっかけに、今井書店永井伸和さんの呼びかけで鳥取県内の読書推進グループのネットワークを作った。毎月、活動報告、イベントを紹介する中で、講演会やワークショップ、講座を開くようになり、最近ようやく生涯読書という言葉が市民権を得るようになってきた。米子では絵本ワールドを3回やっている。鳥取県で全国生涯学習フェスティバルが開催された時、ブックスタート地域大会も行った。境港市は2002年からブックスタートを始め、今は母子手帳を渡す時や、1歳半検診時にも絵本をプレゼントしている。来年は発足から10周年になる。新しい10年の活動に踏み出していきたい」と感謝の言葉を述べた。

ICタグ導入ガイドライン作成へ調査/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)ICタグ研究委員会は11月12日午後2時から日本出版クラブ会館で活動報告会を開催。経済産業省の委託事業として、出版業界におけるICタグ導入ガイドラインの作成を目的とした調査を実施すると発表した。
JPOは03年度から経済産業省の委託事業としてICタグ導入の実証実験を行っており、今後は09年のICタグ実導入を目指してICタグ研究委員会、出版RFID研究委員会、出版関連業界電子タグ標準化委員会の3委員会を中心とした新体制で取り組む。ICタグ研究委員会については出版社・取次倉庫部会、装着・古紙化部会、図書館部会、書店部会の4部会で運営。このうち書店部会はすでに活動をスタートしており、11月5日に第1回部会を開催。経済産業省の委託事業として、ICタグ導入のガイドライン作成を目的に出版業界におけるICタグ活用調査事業を行うことになったもの。
今回の調査ではこれまで行ってきた実証実験結果と併せて導入のステップ・レベル(範囲)と書店などを中心とした費用対効果の検証を行い、ガイドラインを策定する。部会メンバーの中から大規模書店3書店、中規模書店3書店にアンケート、ヒアリング調査を実施して取りまとめる。
特に書店経営疲弊の大きな要因の一つとされる万引きについて書店での被害額の調査、ICタグによる防止効果およびコストを調査する。新刊書店1店舗、新古書店1店舗で万引きされた本が持ち込まれたと仮定したシミュレーションを行い、万引き防止につながるか有効性を検証する。
今後のスケジュールは12月から調査を実施、1月中旬より評価・検証作業を行い、2月下旬までにガイドラインを作成する。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

2~3ヵ月に1度友人に会うため大阪ミナミまで参ります。日頃は徒歩通勤直行直帰ゆえ、ウキウキ小旅行気分です。ミナミと言うと派手な看板やイルミネーションを想像されるでしょうが、繁華街からちょっと外れると昔の街並みが残っていて、織田作之助や若山牧水ゆかりのお店があちこちに。つい「包丁1本さらしに巻いて」(作詞・十二村哲)と口ずさんでしまいます。今年薩摩川内の文学館で発見された織田作の直筆原稿収録の『夫婦善哉完全版』(雄松堂)、これから読みます。
歴史の豊かさでは京都大阪と比較されれば、問題外の大外ですが、神戸らしさと言えばやはり国際性でしょうか。幼なじみが今月から月2回中央アフリカ共和国の留学生を迎えて「連続講座アフリカ学始まる」を開催しています。同国の日本在住者の6割が神戸在住と聞いて「さすが国際都市」と感動していたら、あとは北海道と沖縄に1人ずつで、「ほな全部で5人や」。数字に騙されたらあきません。参加費500円。場所は南京町「たい焼き会館」。たい焼きもらえます。「海文堂で聞いた」と言えばさらにオマケあり。食イモンで釣るな!
神戸にだって歴史はある。高橋昌明『平清盛福原の夢』(講談社)は、半年だけ都となった「福原京」を中心に、皇胤説、「源氏物語」との相似性などから清盛に迫る本。
さて、11月のイベントは当店の本年ベストセラー、豊田和子『記憶の中の神戸』(シーズプランニング)の原画展。100点余りの原画が並ぶと壮観です。ご高齢の方に階段を上がっていただくのは心苦しいのですが、皆さんお元気に登っていかれます。盛況で感謝感謝。
12月は昨年の私の出版記念会に続きビッグなイベントです。8日、元書肆アクセス店長畠中理恵子さんが来神、「モダンジュース」編集発行人近代ナリコさんと対談、進行は林哲夫画伯。アクセス閉店後初の活動が海文堂というのは、関係者一同が真っ先に驚いています。みずのわ出版柳原社主と林さん、酒席を1度だけ共にした我が呑み助店長との、深いのか浅いのか本人のみぞ知る絆によるものです。
出版社や取次の在庫をネット上で確認でき便利且ありがたいことですが、まだ絶対安心でないこと、現場は経験中(進行形)。急ぎの客注「取次在庫なし」なら、出版社に電話、在庫・搬入日確認して待つ。1週間後「実は在庫なし」と電話あり。有力専門書出版M善でもこんなもの。連絡あるだけマシ。現場の者にしかわからぬ悲喜劇はここからが本番なのです。

参考図書

◇『研究社百年の歩み』
11月3日に創業百周年を迎えた研究社は社史『研究社百年の歩み』を刊行した。平成4年刊行の『研究社八十五年の歩み』に続く2冊目の社史。創立者・小酒井五一郎氏の略歴・紹介、青山南、柴田元幸、外山滋比古各氏らによる同社にまつわる随想、略年表等でつづる同社百年の歩み、刊行出版物年譜および総索引で構成。創業時の社屋など写真も充実している。

共通認識で出版不況打開/出版物輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会(瀧沢賢司部会長)は11月8日午後3時から四谷の東京都トラック総合会館で、出版社、印刷、製本、取次、書店の荷主を招いて「第29回出版物関係輸送懇談会」を開催した。
懇談会では輸送業界から現状報告と問題提起が行われた。瀧沢部会長は同懇談会の開催当初、出荷業量の増加を背景に輸送現場で発生していた業量平準化、出荷・配送事業者の労働問題、出荷先の物流施設・出荷体制問題について荷主に改善要請することが懇談会の中心課題だったが、その後、荷主の理解と努力で物流現場の環境は大きく改善されたと謝意を表明。「現在は出版不況の環境下、出版物に携わる業界が共通認識を持ち、現状打開への対策を模索することが求められる」と指摘した。
さらに、「出荷業量の減少と返品率の高止まりで収入が減少する一方、燃料価格の高騰・高止まり、人手不足などの労働問題、環境規制・駐車規制など社会的規制の強化で経費は増加している。出版業界は運送料金の引き上げを要請できる環境になく、収入減少と経費増加という2つのマイナス要因が輸送事業者の経営に重くのしかかっている」とし、経費削減のため業量平準化のさらなる推進を求めた。また、問題解決策として「出版物に関わる業界全体で本が売れるようにするための方策を講じることが必要。輸送事業者としても何ができるか考えたい」と提起した。
続いて荷主業界から日本雑誌協会・名女川勝彦物流委員、大日本印刷・藤田洋一市ヶ谷事業部生産管理第2部長、東京都製本工業組合・島村幸夫理事、日本取次協会・北元亮太雑誌進行委員、日書連・梅木秀孝流通改善委員が各業界の動向を報告。このうち日書連・梅木流通改善委員は「中小書店の廃業が相次いでいる。仲間がいなくなるのは寂しいこと。様々な施策にチャレンジして難局を乗り切りたい」と話した。

図書館サポートチーム/「学校」「公共」2部編成に/大阪

大阪府書店商業組合は11月10日午後2時から組合会議室で定例理事会を開いた。主な審議および報告事項は以下の通り。
〔学校図書館・IT関連委員会〕
①10月24日に大阪組合会議室で「近畿ブロック会・情報化委員会」を開催。主に指定管理者制度の情報交換を行った。
②組合の「図書館サポート」チームを「学校図書館部」と「公共図書館部」に分け、それぞれ城邦敏氏、堀博明氏がチーフとなる。深田委員長は双方を統括する座長となる。
〔読書推進委員会〕
①第3回「本の帯創作コンクール」の展示会および表彰式を11月24日、大阪市中央区の「エルおおさか」で開催する。
②「読書ノート」70冊(高学年)、150冊(低中学年)の前期読了者273名の氏名が朝日新聞紙上に発表された。併せて100冊(低中学年読了者)316名の氏名もアサヒ・コムに発表された。
〔定款等改定委員会〕
10月30日委員会では「役員選挙・選任規約」の改定案について討議。二村元監事提案の「理事会推薦理事の選出方法の見直し」を検討し、投票方法を「定数制限不完全連記方式」に改めることになった。その他の規約改定などは12月理事会までに素案を検討する。
〔庶務報告〕
①10月27日、28日の両日、大阪市中央区のOBPツイン21で開催された第5回「子どもの本フェスティバルinおおさか」で、組合が販売協力した即売会の売上げは2日間で約281万円だった。
②大阪出版業界新年互礼会は来年1月9日午後3時からホテルグランヴィア大阪で開催予定。
(中島俊彦広報委員)

前年同期比で95.67%/2007年上期ABCレポート

日本ABC協会は07年度上期の雑誌発行社レポートを発表した。これによると、今回掲載した54社149誌の販売部数平均は、前年同期を100として週刊誌が93・91、月刊誌が96・52で、合計では95・67となった。主要52誌の販売部数をまとめたのが別表。
総合週刊誌は、部数トップの週刊文春が2万3千部減の52万6千部、2位の「週刊新潮」が2万1千部減の47万3千部となるなど、減少傾向に歯止めがかからない。「週刊現代」は6万6千部の大幅減で40万部の大台を割った。「週刊ポスト」も1万8千部減と退潮が続く。
ビジネス誌は「週刊ダイヤモンド」が微増、「週刊東洋経済」が5千部増。「プレジデント」は5千部減、「日経ビジネスアソシエ」は2千部減など全体的に小動きだった。
女性週刊誌は「女性セブン」が微減、「週刊女性」が4千部減、「女性自身」が2万6千部減と総じて元気がなかった。女性月刊誌では「CanCam」が9万8千部減と大幅な落ち込みを記録。「non・no」は2万6千部増、「主婦の友」は前年同期比1万9千部増と盛り返した。

「声」/違反招く雑誌の早送りは止めてほしい/柳井市・ダルマ書店・岡本よし子

土曜日の午前中、「ジャンプの新しい号は入っていますか?」と聞かれた。時々祭日の関係で土曜日に入ることの多かったこの頃なので、それでかなーとは思いつつ、どうもそうではないらしい。子ども達が「土曜に売ってるとこがあるよ」と言っていたのを「またか」とあまりにも次元が低いと聞き流したものの、また早出しするのかと、もう「深いため息」です。
何百冊も売れるわけではないだろうけど、少しでも響いてくるのは間違いありません。多分「スタンド販売店」に早く送る制度が続いているからだと思います。そういうことをしていると、スーパー、コンビニ等での早出しを招きます。それが本屋にとって一番怖いのです。
「本は本屋で」の時代ではないからせめて売れ筋は大事に売っていきたいのです。本屋とスタンドどちらが「主」ですか?スタンド販売店への早送りはぜひ止めてください。気分が悪くてストレスになります。コツコツとまじめに楽しく本屋を続けていきたい私です。

雑誌増売の事例紹介/名女川、金子両氏が講演/東京組合研修会

東京都書店商業組合は11月12日に書店会館で中小書店経営研修会を開催。第2部で、雑協「雑誌売り名人発掘プロジェクト」の名女川勝彦氏(文藝春秋取締役)と金子義雄氏(講談社販売部次長)が、雑協が現在取りまとめている雑誌販売の成功事例集について説明し、冊子作成の意図と売上げ増進の実例を紹介した。
〔雑誌増売が経営安定につながる/文藝春秋・名女川氏〕
今回の取組みでは、町の本屋の廃業をストップし、経営をどう支えるのかということを考えた。1970年代、80年代は何を出しても売れたが、今直面している環境では、当時の事例を頭に置いてはならない。この10年に起きたことを考えると、むしろその時に溜め込んだ贅肉が災いをもたらしている。出版社は、もう一度引き締まった編集企画で読者に臨まないと駄目だ。書店もその頃の記憶を消さないと次のスタートを切れないのではないか。
「雑誌はコメ、書籍はオカズ」とよく言われる。町の書店の売上げの60~80%は雑誌が占める。書籍は書店が少ない売れ筋を奪い合っているのが現実で、出版社としても潤沢には配本できない側面がある。書籍に比べ雑誌は安定した商材確保ができるし、雑誌で付いた客は店の安定した顧客になるので、書店経営の安定化には雑誌売上げ増進が近道だ。年商8千万円の店が雑誌で60%を売上げるとすると、この店で雑誌を10%伸ばそうとするなら、雑誌の売上げは4800万円だから480万円増やすことになる。月40万円、1日で約1万3千円アップさせるということで、この売上げを安定的に伸ばす工夫を集めたのが成功事例集だ。
書籍については、書店の社長や店長が売れ筋本の入手に毎日奔走しており、特に地方の店ではそれが著しい。一方、雑誌の運用はどうしてもルーティンワークになり、パート・アルバイト任せになってしまっている。雑誌販売の販売技術がなおざりになり、伝承ができなくなっているのだ。
冊子には、書店が持っている技術を集めて収めている。ベテランの方は既に知っておられることだと思うが、それを現場のパート・アルバイトの人に知ってもらうことが重要。冊子は年内に発行するので、皆さんで読んで販売に活かしていただきたい。
〔成功事例を精選販売増の助けに/講談社・金子氏〕
事例集を作るにあたり、どうしたら雑誌が伸びるのかを全国の書店にお聞きしたが、さまざまな工夫を凝らし、非常に手をかけていることが分かった。
近畿地区にある、アーケードの繁華街路に面している店では、週間ランキングを表示して雑誌を高く積み上げ、表を歩く人の目を引いている。我々には雑誌は決め買いをしているというアタマがあるが、調査してみたところ、9割の人は買うものを決めて書店に来ていないことが分かった。気になった特集の雑誌を買う、その時一番いいものを買いたい人が多いということで、どうやってお客様にメッセージを送るかが重要になっていると思う。
中国地区の郊外店では、雑誌の入荷が少ないのでムックの店頭在庫とあわせてコーナーを作っていた。他店から在庫移動して補充した雑誌に「好評につき販売延長!残り4冊」と表示するなど、一つひとつにPOPを付け、ひと手間凝らした工夫を続けていた。また、オフィス地下街に立地する書店は、ほぼ雑誌オンリーの店だが、尋常でない数のPOPが付けられていた。朝と帰りの2回通る通勤客が相手で、お客の面子はほぼ同じなので、変化がなければ前と一緒だと思われてしまうのだ。売れ行きや追加入荷、次号予告などをアピールし、棚とPOPをこまめにぐるぐる入れ替えていた。
冊子では、雑誌売り伸ばしのいろいろな方法を百本ほど精選してお届けする。今以上に雑誌をお客様にアピールして売上げの役に立てていただければと思う。

移転

◇宣伝会議
10月29日より北青山オフィスを開設。南青山の本社ビルは教育事業部、北青山オフィスは編集部、営業本部、販売部、デザイン室、Web事業部、管理部門が入る。
新住所=〒107―8550港区北青山3―3―11ルネ青山ビル6階。営業本部電話03―3475―3030、FAX3475―3039
◇あかね書房
昨春来、建設中の新社屋が竣工し11月22日に移転。同日は休業として、26日(月)より営業する。電話、FAXは従来通り。
新社屋=〒101―0065千代田区西神田3―2―1千代田ファーストビル南館1階

柴田錬三郎賞に奥田氏/集英社4賞

第20回柴田錬三郎賞に奥田英朗氏『家日和』(集英社)、第31回すばる文学賞に墨谷渉氏『パワー系181』、原田ひ香氏『はじまらないティータイム』、第20回小説すばる新人賞に天野純希氏『桃山ビート・トライブ』、第5回開高健ノンフィクション賞に志治美世子氏『医療の光と影~隠ぺいとの闘い』が選ばれ、11月16日、帝国ホテルで贈賞式が行われた。
贈賞式では集英社山下秀樹社長から各受賞者に正賞と副賞が渡されたあと、柴田錬三郎賞選考委員の渡辺淳一氏は奥田氏の受賞作『家日和』について「短編集での受賞は大変珍しいが、全員一致の推挙で決まった。家庭の中の夫と妻、男と女の反発やため息を軽妙洒脱かつ、鋭く見据えた視点がある。直木賞をとった『空中ブランコ』は少しあざとかったが、それを完全にクリアして新しい境地を開いた」と選評した。
受賞者あいさつに続いて集英社山下社長は「今年も豊かな才能を紹介できることは喜び。受賞者の活躍を祈りたい」と述べた。

人事

◇双葉社
11月6日付で川庄篤史氏(元・扶桑社)が入社。営業局販売促進部(部長職)に配属された。

東北地区は7.1%減/4-10月期のPOSデータ/東北日販会

東北日販会総会が11月8日、松島「一の坊」で開かれ、東北6県の日販取引店、出版社、日販関係者など260人が出席した。
午後4時からの総会であいさつした藤原直会長は「季節はもう立冬で、デパートの歳末商戦が始まっている。京都の清水寺で今年の漢字が発表されるが、今年は白い恋人、ミートホープ、赤福、吉兆、比内鶏の『偽』ではないか。10数年の景気低迷で貧すれば鈍することを肝に銘じなければいけない。出版界も10年で売上げが20%シュリンクし、平成9年に1008軒だった東北6県の書店は557店と半分に減った。一方、売場面積は増加し、その分、ローコスト・オペレーションがもてはやされている。今後、書店は愚直に1冊ずつ売っていく心構えが必要だ。出版社は企画と情報提供、日販は安価なシステム提供をお願いしたい」と述べた。
藤原会長を議長に平成18年度事業・会計報告、19年度事業計画・予算案を承認したあと、日販古屋社長が以下の祝辞を述べた。
「夏休みを前に王子流通センターがトラブルを起こし、注文品処理に遅滞を起こしたことをお詫びしたい。調査委員会を設置し原因究明にあたったが、王子NEXTに移行するスケジュールに無理があった。当初予定していたNEXTに向けて立て直しを図っている。4月から10月までの7カ月の売上げは日販POSデータで雑誌3・8%減、書籍5・6%減、全体で4・7%減。東北地区は雑誌5・9%減、書籍8・7%減、合計7・1%減と厳しい。日販の中間決算も減収減益になる見込みだ。日販の施策としては、成長するネット販売をベンチマークにビジネスモデルを検証している。注文品を早く届けるため、王子を24時間稼動し、在庫のある注文品は12時間で出すことにより店頭の機会損失をカバーする。Honyaクラブは加盟202店、会員114万人。集まったデータを店頭販売促進につなげたい。雑誌はZ―TOPを秋に発表した。雑誌売場管理が主眼で、点数も多く、ジャンルがばらばらでは探しにくい。宛名紙で付録の有無、ジャンル別などわかる。できることを1つずつ着実に進めたい」
総会に先立ち出版社65社参加の商談会が行われ、研修会では越前市・ひしだい書店の京藤敏実社長が「地域密着による売上げ確保と利益創出~学校図書館の予算獲得」を、福島市・佐周書店の瓶子雅子主任、鈴木恵利子氏が「人材育成の重要性と店頭オペレーション」の事例を発表した。

中央公論新社、最高益に/会員シェアは70%に近づく/読売中公会

第23回書店読売中公会総会が11月12日午後3時から東京・丸の内のパレスホテルで開かれた。
総会第1部では亀井忠雄会長(三省堂書店)が「先ほどの役員会でもう1期会長を務めることになった。読売中公会は今期も好調で前年をクリアしている。会員販売シェアも68・5%と70%に近づいている。元気な販売力ある組織として活動していきたい」とあいさつした。
読売新聞社飯山雅史出版部長、根本千尊メディア戦略局次長から『読売ウィークリー』『YOMIURIPC』増売の結果報告と来年度企画、中央公論新社吉村治販売部長からは販売実績と新年度企画説明が行われた。中央公論新社の説明では、06年度の同会販売実績は新刊109・4%、既刊113・6%、合計111・1%で発足以来最大の売り上げ増だったとした。
このあと、田村定良販売委員長(田村書店)が新年度の取組みについて「『読売ウィークリー』は店頭増売をお願いする。『婦人公論』はリニューアル10年に向け活性化の提案を。書籍は『中公新書で磨きをかける』、『中公文庫BigDream』両フェアで既刊本増売に力を入れていただきたい」などと説明した。
第2部であいさつした読売新聞東京本社滝鼻卓雄代表取締役会長は「読売中公会の会員シェアは単行本で72%と役割は大きなものがある。最近、活字文化、文字復権の取組みが行われており、文字・活字文化推進機構も立ち上がった。読み・書き・計算と、早寝・早起き・朝ごはんが基本だ。再販は火種が残っており、堅持に向けた共闘が必要だ。消費税も新聞、出版で軽減税率の取組みを」と当面の課題を指摘。中央公論新社早川準一社長は「中公新書ラクレ『日本人ジョーク集』75万部のヒットは会員の仕掛け販売がきっかけだった。『哲学の歴史』もシェアは75%にのぼる。06年度の売上げは経常利益、当期利益とも99年以降の最高益になった」と報告した。
日販古屋社長の祝辞に続いて、来年映画公開される「スカイ・クロラ」の原作・森博嗣、監督・押井守の両氏によるトークショーが行われた。

本屋のうちそと

気分が重たい毎日が続いている。組合の理事さんの死去や廃業が4人も続き、出版社ではエクスメディアの倒産だ。店頭在庫が100冊ほど残った。
小学校の同級生で、ビジネスホテルや貸しビルや賃貸マンションを保有していた友人が外国為替証拠金取引に手を出していて、8月の米国のサブプライムローンの破綻が引き金になった急激な円高で自己破産をした。自宅だけではなく本家の邸宅も担保に差し入れていたため、全ての資産が処分された。本人も担保を差し入れた親戚もある意味では自己責任だが、従業員には青天の霹靂だ。
常連の工務店の社長が最近来店されないと思っていたら、6月の改正建築基準法で建築確認が厳しくなった事から、仕事が激減しているとの話。「年末は借り入れをしても、回復の目途が立たないので思案をしている。」との事。
住宅建設が滞ると経済の波及効果は深刻だ。資材・部品は自動車の比ではなく多く、住宅ローンの申し込みも当然減る。引越しに伴う家電の需要も減ることから、住宅着工件数は家電の半年先の売上げの先行指標となっている。景気はどうやら停滞局面に入ったようだ。
原油の高騰からガソリン代は値上がりが続いている。9月から車に乗ることを控え、可能な限り自転車で用が足るものは、健康もかねて自転車で用を足している。
眉間に皺を寄せても一日は一日。空元気でも笑顔を見せていれば良いことがあるかと思っている。(井蛙堂)